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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


カテゴリー「映画・テレビ」の記事

2017年6月28日 (水)

「ありがとう、トニ・エルドマン」⇒ドイツ・オーストリア合作

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父娘の在り方が、これまでの映画とは、エライ違うぞ!

異彩・異能・異端に満ちた、キズナ映画の会心作

http://www.bitters.co.jp/tonierdmann/

シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋など、全国順次の上映中。

本作は、2016年製作の、ドイツ&オーストリア合作の162分。

ⓒKomplizen Film

1_2
父娘のキズナを描く映画なんてゆうたら、ある程度その作りは、予想できますよね。

けども、本作はそんなセオリーをば、大いに覆えされてしもたがな。

両親と子供たちの、1対1の関係性を描いた映画は、これまでに、モノゴッツーなタイトル数がありました。

もしか、本作は、とんでもなくトンデいたぞ。

ある意味で、こおゆう父娘の関係性を描いた映画は、かつてないと言ってもええくらいやねん。

3_2
なんで、そう思うのか。

キズナを標榜してるワケやないけども、むしろキズナとゆうよりも、

オトンと、大人になってる娘はんの、生き方の違いを、

表層的にキズナを、チラつかせつつ、描いてみた作品だと思うのですわ。

8_2
ドイツで一人暮らしのオトンが、

オーストリアでバリバリのキャリアウーマンを、やってはる娘はんヒロインのとこへ、

旅行がてら行かはりまんねん。

娘はんの営業の場にも、オトンが入って(写真上から5枚目)、イロイロ問題を起こしたりしはります。

でも、娘はんは、あくまで自然体。

4_2
ところがどっこい、オトンは娘のことが、エライ心配になってしもた。

そこで、別の人間のように変相して、娘の前に現れて、

娘のために、イロイロやってまうとゆう、ストーリー的流れなんですが…。

2_2
父娘なのに、とんでもなくその関係性を飛び越えた、ボケとツッコミ、

無意味のようで無意味やない、異質さ・違和感が、

アラマ・ポテチン(ビックリ)を連発したくなるくらい、クセになるよな作りなんですわ。

7_2

1分強の長回し撮影から始まるんやけど、

長回しの多い芸術映画かと思いきや、そうではなく、

長回しより長い間(ま)をポイントにしてはるようで、

その間(ま)が冗漫なようでありながら、

ゆったりした、のほほんな映画リズムを、作っていることに、

はたと気づいたんですよ。

5_3
さてはて、ボクが一番印象的やったシーンは、

ホイットニー・ヒューストンのバラードを、オトンのピアノをバックに、ヒロインが歌い上げるシーンです。

父娘の生き方のミスマッチ、そして、でもしか2人は…とゆうようなとこが、素晴らしく映えとりました。

6_2

言い古された、親子のキズナを描く映画に対し、“もの申す”みたいな作りが、挑戦的で衝撃的だった本作。

2時間40分とゆう長尺をカンジさせない、

とゆうか、その作りのスロー・テンポな流れに、身を任せて見てみたい作品。

新しい親子の在り方・描き方に魅せられてしもた、

ドッキリのマイ年間ベストテン級作品です。

「世界にひとつの金メダル」⇒フランス・カナダ合作

1
人と馬のキズナを描く、感動のオリンピック・ドラマだ

「シービスケット」「戦火の馬」並みにスリリング

http://www.sekakin.com/

6月24日のサタデーから、第七藝術劇場やらで、全国順繰りのロードショー。

本作は、2013年製作の、フランス・カナダ合作の130分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2013 - ACAJOJ FILMS - PATHE PRODUCTION - ORANGE STUDIO - TF1 FILMS PRODUCTION - CANEO FILMS - SCOPE PICTURES - CD FILMS JAPPELOUP INC.

2
フランスで国民的大ヒットとなったオリンピック映画。

系譜でいくと、オリンピック映画的分析が正統やろうけど、

人間以外に、馬も主役の映画とゆうことで、その種の映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、手前勝手に披露させてもらいます。

3
●ベスト⇒①シービスケット(2003年製作・アメリカ映画)②戦火の馬(2012年・アメリカ)③優駿(1988年・日本)

●カルト⇒①本作②本命(1976年・イギリス)③夢駆ける馬ドリーマー(2005年・アメリカ)

●馬と言えば、誰もがまず思い出すのは、競馬のサラブレッド。

JRAが唯一JRAの競馬場ロケを、許可したベスト③、

競走馬とコドモオーナーの、キズナを描くカルト③、

競馬にまつわるミステリーのカルト②、

そして、世界初とも言える、本格的な競馬映画のベスト①。

北海道の「ばんえい競馬」を描いた「雪に願うこと」(2008年・日本)も、記憶に残っております。

9
でもしか、馬を主役にするとなれば、サラブレッド以外の選択肢が、キチンとあります。

戦場に駆り出された馬を描く、スピルバーグ監督のベスト②であったり、

本作のように、オリンピック競技にある乗馬。

そして、本作は、その乗馬競技を、ドラマ映画史上初めて、採り上げた作品なのです。

4
ベスト①と同様、実話がベース。

馬のキモチと、金メダルを目指す主人公(ギョーム・カネ)の気概が、そこはかとなく、一体となった作品でして、

そこんとこが大いなる感動を、呼ぶようになっとるんです。

7
ロサンゼルス五輪では落馬。

でもしか、捲土重来を期し、ソウル五輪で金メダルへ。

まさに絵に描いたような、ドラマティックな実話やけど、

五輪映画としては、「炎のランナー」(1981年・イギリス)の内省的描写ではなく、

がむしゃらに熱いハートでいったとこが、映画的出来はともかくも、

みんなの胸を焦がすような、そんな作りになっているなと思いました。

6
ポップ・ミュージックを流しての、リズミックでノリのいい、調教のダイジェスト・シーンやら、

スロー・モーションのタイトな使い方など、

映画リズムの心地よさも、特記事項でしょうか。

5
映画監督もやる役者で、本作では脚本も担当した主演ギョーム・カネの、さわやかなド根性ぶりも、モチええけど、

厩務員役のルーデ・ラージュ(写真上から4枚目)の、アイドルチックなたたずまいも、なんやしらん良かったわ~。

8
オリンピック映画は、記録映画だけやない。

実話以外でもいくらでも、感動的な作品を作れるハズ。

そんな可能性を示した快作でした。

2017年6月27日 (火)

「残像」⇒アンジェイ・ワイダ監督の遺作

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ワイダ監督作品の中で、一番泣ける作品になった

最後の抵抗節映画は、仙人のような穏やかな作り

http://www.zanzou-movie.com

6月24日からシネ・リーブル梅田で、7月1日からシネ・リーブル神戸で、7月22日から京都シネマでなど、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作のポーランド映画99分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 Akson Studio Sp. z o. o, Telewizia Polska S.A, EC 1 - Lodz Misato Kultury, Narodowy Instytut Audiowizualny, Festiwal Filmowy Camerimage - Fundacja Tumult All Rights Reserved.

5
アンジェイ・ワイダ監督の遺作と言っても、

一般の人には、かなり分からないだろうし、

若い人にはさっぱりかもしれない。

なぜなら、ワイダ監督の作品の一部は、

DVD化されているけど、レンタルはほとんどなく、

さらに、配信もない。

映画は映画館で見るべきの、雛形的な監督の1人なので、

本作も、ぜひとも映画館へ行って、見なければなりません。

2
ツタヤで借りて見れないし、鑑賞するチャンスは少ないけども、

それでも敢えて、ワイダ監督の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順位通り)を、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①灰とダイヤモンド(1958年製作)②地下水道(1957年)③本作

●カルト⇒①大理石の男(1977年)②菖蒲(2009年)③ワレサ 連帯の男(2013年・弊ブログ分析済み)

8
ワイダ監督は、ポーランド社会の反体制派の社会運動を、ベースにした作品を、いくつも作ってきました。

ベスト①②などは、モノクロのシブミに加えて、

抵抗運動のペシミズムと、やる瀬なさに徹して、衝撃的な作品になっています。

また、カルト①などは、この種のヒューマン映画としては、

静謐な描写に徹した、ものすごい作品になっていました。

暗い映画は嫌だとゆう人は、退くかもしれないけど、

でもしか、見れば、何かが変わるかもしれない。

4
でもしか、21世紀のワイダ監督は、何やら丸~くなりました。

悪い意味ではありません。

分かりやすい作品が、多くなったとゆうことです。

ポーランドの代表的運動家を、捉えたカルト③でも、

決して小難しい理屈を見せずに、エンタな方向性があったし、

アート系映画のカルト②さえ、ミステリー的な謎があり、面白く見られました。

3
そして、遺作となった本作。

芸術家への政府当局の弾圧に、耐え続けてゆく主人公のストイックに、

ボク的には、完璧に魅せられた作品となりました。

これこそ、ワイダ監督節です。

しかも、今までの暗みは控えめに、しかも、分かりやすく伝える作りで、

いやはや、これこそが監督が、映画人生の最後に、

伝えたかった映画なんだ、とゆうことが分かって、ボクは泣きました。

6
第2次世界大戦後の1948年から、1952年くらいまでの、ポーランドが舞台。

褪せた色合いをベースに、

体制に抵抗を露骨に示すことのない画家が、作品性で当局に目を付けられ、

生活的にも追いつめられてゆく過程が、

ゆっくり静かに描かれてまいります。

7
主人公と幼い娘との関わりなど、キズナ描写はあっさりですが、

でもしか、いつしか涙を絞らせる。

そんな作りが、今までの監督の、情緒を排した映画作りとは、少し違っていたかと思います。

監督が遺作で初めて到達した、人口に膾炙する、普遍的な作品だと、ボクは見ました。

年間ベストテン入りは、確実の傑作です。

2017年6月24日 (土)

「結婚」⇒週末日本映画劇場

1
こんな結婚サギ映画ってありですか?

衝撃の結末を、あなたはどう見るか?

http://KEKKON-MOVIE.JP

6月24日の土曜日から、KADOKAWAの配給によりまして、テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2017年製作の日本映画118分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「結婚」製作委員会

3
騙しのコン・ゲーム映画と言えば、いくつかあるかもしれない。

でもって、本作は、結婚サギをテーマにしています。

でもしか、本作のように、何人(約3人)もが、結婚サギに遭うような映画は、そうそうない。

あまりないだけに、その作りに妙に疑問を覚えてしまう。

つまり、何かのカラクリがあるのではないかと、勘繰ってしまうわけです。

2
(貫地谷しほり、と)結婚してる男(ディーン・フジオカ)が、

結婚サギに失敗してしもた女(柊子)と吊るんで、

三人の女(中村映里子・安藤玉恵・松本若菜)を、次々に結婚サギッてみせるのですが、

その方法論には、確かにミステリー的に、カモリの面白さとか妙味とかが、あるにはある。

6
そして、探偵(古舘寛治)のとこへ駈け込んで、犯人を捜してとゆう女がいる。

カモる人間とカモられる人間の、スリリングなお話とゆうのが、

こういう映画の、パターン化されたところなのでしょうが、

但し、本作は、そういう定番的流れを、覆してしまうのであります。

5
そもそも、主人公役のディーン・フジオカには、謎めき要素が多すぎるのであります。

貫地谷しほりとの結婚生活を描きながら、カモリのシーンがあり、

また、謎めいた幼少の頃の写真の謎を、主人公自身が、悩みながら、追及しようとしたりと、

結婚生活とサギが分断しているように、謎めきも乖離している。

そのこと自体が確かに謎だ。

しかし、一体、この映画のカラクリ、トリックは、どこにあるのか。

8
マトモに見れば、疑問はない。

結婚サギを、どうあざやかに達成してゆくのか、そのお手並みを見ればいいわけだ。

けども、違和感は鳴り響く。

そのあたりが、本作の怪しい度合いを増してゆき、

ほんでもって、ええ!? そんなバカな!? な結末へと導いてまいるのです。

7
過去を振り返るカットの挿入が、近過去含めて、タイトに行われます。

そして、主人公の幼少期にまつわるカットも、確かにタイトに挿入されている。

けども…、見終わって振り返るに、伏線は? イロイロある違和感は? 長~く考えました。

いわば、そういう不思議なところが、本作の見どころだと、言えるのでは…。

4
登場人物が歌う劇中歌や、サントラ使いに、謎解きのヒントがあるかも!? 

ディーン・フジオカが、冒頭から口ずさむ、大正時代の歌謡曲「浜辺の歌」(1913年)しかり、

ワルツやピアノ・チェロを、シーンに合わせてかけて、

でもって、ラストロールでは、フジオカが歌うデジポップを、ドカーンと流したりと、

変幻自在の音楽使いの魔法に、騙されてしまうかもな。

くれぐれも、ご注意くだされませ。

2017年6月23日 (金)

「ハクソー・リッジ」⇒大作戦争映画だ!

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「プライベート・ライアン」と変わらない、臨場感が鳥肌ものだ!

歴代戦争映画のベストテンに入るべくな傑作だ!

http://www.hacksawridge.jp

6月24日のサタデーから、キノフィルムズの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ&オーストラリア合作映画139分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒCosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

1
戦争映画は、ここで言うまでもなく、モノゴッツーなタイトル数があります。

戦争映画全体として、ベスト&カルトは、いくらでもランキングできるだろうけど、

本作は戦争としては、第二次世界大戦の太平洋戦争に、フォーカスしております。

とゆうことで、日米戦の太平洋戦争洋画の、アメリカ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(ベスト・カルト共に順位通り)を、披露いたしますと…。

ちなみに、日本映画編は、後日、披露いたします。

7
●ベスト⇒①硫黄島からの手紙(2006年製作)②本作③シン・レッド・ライン(1998年)

●カルト⇒①トラ・トラ・トラ!(1970年)②パール・ハーバー(2001年)③ウインドトーカーズ(2001年)

●歴史の教科書を反芻するまでもなく、太平洋戦争は、日本軍の真珠湾(パール・ハーバー)攻撃から始まっております。

それゆえに、カルト①②などのように、真珠湾をポイントにした映画が、まずは主流となりました。

カルト②もそうだけど、恋愛映画と戦争をミキシングした

「地上(ここ)より永遠(とわ)に」(1953年・アカデミー作品賞受賞・モノクロ・弊ブログ分析済み)などの、

ベストには、残念ながら入れませんでしたが、名作も生まれています。

4
でもって、その後、太平洋戦争にまつわる、アジア戦線や収容所ものなどの名作も、生まれ落ちましたが、

日米戦の島攻防戦とゆうのが、ある意味では、島とゆう狭量的な世界における、戦闘とゆうことで、

集中的かつ、タイトに見せられる点やら、サバイバル的作りで、

ベスト①や、静謐な展開が凄かった、ガダルカナル島のベスト③、ド派手なサイパン島のカルト③などが、誕生したのです。

5
そして、本作は、アメリカ映画としては初めて、沖縄戦にアプローチした作品となりました。

しかも、日本映画でかしましく描かれてきたような、沖縄戦ではなく、

隠れポイントとも言える、沖縄の断崖(ハクソー・リッジ)上での、米軍が大苦戦した戦いを描いております。

その凄まじい戦いぶりは、「プライベート・ライアン」(1998年)に迫る、臨場感に満ちあふれておりました。

前へ前への米軍側の視点と、迎撃する日本軍の隠れまくる、忍者的戦いぶり。

スロー・モーションの使い方なども含め、とにかくビビッドに展開します。

6
何はともあれ、実話とは申せ、武器を決して持とうとしない主人公の、

仲間を救うべくの、必死のパッチの衛生兵の在り方などは、

戦争映画では、かつて描かれなかった素材です。

それだけに、戦場の動的描写と、前半に描かれる、恋愛映画的や裁判映画的な、静なる描写の対比が、

映画をよりダイナミックな、感動的なものにしています。

3
メル・ギブソン監督の新作。

アカデミー作品賞をゲットした、スコットランドVSイギリスの「ブレイブハート」(1996年)や、

自ら主演して、南北戦争を描いた「パトリオット」(2000年)など、骨太の戦争映画を撮ってきましたが、

本作は、骨太と柔軟をミキシングして、彼の最高傑作になった作品でありましょう。

2
かつてないスタイルで描いた、アンチ戦争映画でもあり、

戦争映画としても、永らくココロに残るべくな傑作となりました。

でもって、モチ、マイ年間ベストに入る作品です。

2017年6月21日 (水)

「フィフティ・シェイズ・ダーカー」⇒トンデモヤラシー映画だ

1
変態セックス・シーンのオン・パレード

ダコタ・ジョンソンの、露出狂的脱ぎっぷりが強烈

http://www.fiftyshadesmovie.jp

6月23日のフライデーから、東宝東和の配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画1時間58分。「R-18+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017 UNIVERSAL STUDIOS

8
「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(2015年製作・アメリカ映画)に続く、セクシー恋愛映画の第2弾。

全国公開系の洋画においては、久しぶりに見た、メッチャなヤラシー映画だった。

その衝撃度合いは、「エマニエル夫人」シリーズ(第1弾は1974年製作・フランス)以来かもしれない。

しかも、アメリカ映画で、このような映画の本邦上陸は、

メッチャ珍奇と言わざるを得ないでしょう。

3
さらに、ヨーロッパの、例えば「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972年・イタリア&フランス)や、

「愛人/ラマン」(1992年・フランス&イギリス)などとは違って、

退廃や暗さのない、どちらかと言えば、明るい系の前向きな、セクシー恋愛なのであります。

加えて、ヤラシーかなと期待(!?)して、見に行かれたかもしれない

「セックス・アンド・ザ・シティ」(2008年・アメリカ)みたいに、タイトルで騙される(!?)こともありません。

2
何はともあれ、ヒップ90くらいの八頭身美人女優、アナスタシア役のダコタ・ジョンソンが、

当たり前のように、平気で脱ぎまくり、裸身をさらし、彼氏の要求に、なんぼでも応えるとゆう、

すがすがしいほどの、100パーセントなエロエロ度合いを、披露しまんねん。

7
描かれるのは、上流階級のCEO(ジェイミー・ドーナン)との恋ですが、

「プリティ・ウーマン」(1990年・アメリカ)ほどの格差はないけども、

格差を感じさせないのは、このCEOが変態キャラだからやないかな。

6
この男、フツーのセックスじゃない、変態系のセックスを、常にヒロインに強要し、

ほんでもって、ヒロインもそれに、応じるんであります。

約8シーンにわたり、胸ワクワクのあそこドキドキの、濡れ場シークエンスが、繰り広げられるんだす。

4
女が触ってはいけない部分を、男が体に赤線で示した上で、

前後から、抱き合いながら、器具・拘束具を駆使しもって、仮面・コスプレ系で、

はたまた時には、満員のエレベーター内でとか、

最後までマトモなセックス・シーンは、ないと言ってもよろしいかと…。

9
2人のラブ部以外の、人間関係部では、演技派女優が参加してはります。

マーシャ・ゲイ・ハーデンとキム・ベイシンガー。

2人のヤラシーさとは、妙にミスマッチやけど、

男が変態になったところに、まつわるところの役柄なので、

そのシリアス演技には、謎めきとサスペンスを付加していると言える。

5
3部作仕様の第3弾が、2018年にバレンタイン・デーの週末に、全米公開されるそうです。

本作第2弾の、セックスと恋の行方については、モチ、ネタバレになるので言えませんが、

この種の映画としては、予想外の第2弾の結末が、待っています。

すると、第3弾は、めくるめくの濡れ場が果てしなく…いやはや、それ以上は…。

10
とゆうことで、予復習どちらでもいいですが、第1弾をDVDで鑑賞して、

本作を見に行ってくだされ。

2017年6月20日 (火)

野際陽子の遺作「いつまた、君と~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~」

1
向井理と尾野真千子が贈る、昭和の夫婦映画だ

大河系昭和映画のベタがたまりません

http://www.itsukimi.jp

6月24日の土曜日から、ショウゲートの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「いつまた、君と ~何日君再来~」製作委員会

5
昭和を象徴する役者がまた、一人逝去した。

女優・野際陽子。

映画ではなく、テレビドラマの方で、若い頃は刑事アクションや、

中高年過ぎには、マザコンのマザー兼継母役で、国民的衝撃女優を演じたりと、みんなのアイドル(!?)だった。

ただ、映画では地味な役が多かったけど、そのバイ・プレーヤーぶりは、ある時フッと思い出させるような、滋味があった。

そして、映画の遺作となった本作も、そういう役柄を、マイ・ペースで演じていて、グッとくる。

3
さてはて、野際さんのことばかりゆうてますが、

本作は尾野真千子と向井理主演・共演による、昭和の時代の大河系夫婦・家族ドラマ映画です。

野際さんは、尾野真千子の晩年を演じてはるのですが、

本作そのものが、昭和をバックにした映画なだけに、

野際さんの活躍した時代と共に、50代以上の昭和世代には、懐かしく見られる映画になっています。

4
みなさん、昭和映画を見たことはあるでしょうか。

若い世代はどうなんだろうか。

家族の大河映画となれば、日本映画だけでなく、これまでに多数の映画が出てきております。

永遠の名作なんてのも、思い出せるテーマですが、本作は、もっともっと昭和のベタさに、特化した作りでして、

昭和ドラマのNHK朝ドラに主演した、尾野真千子や向井理の起用は、まさにピッタリフィット。

うまいことゆかんけど、夫婦で一緒にガンバローみたいなこの映画は、

まさに昭和節満載の映画でした。

6
妻役・尾野真千子のナレーションが、タイトでドラマティックに進みつつ、

戦前に尾野と向井が結婚し、中国の南京・上海、向井の実家・愛媛、茨城、福島、大阪と、向井が職を転々としながら、

妻のサポートもありつつも、しかし、世の中、うまくいかない現実を、描いてゆきます。

8
夫を支える妻役の尾野真千子のキャラは、まさに昭和を代表する雛形的女房役でしょう。

職替えしてゆく向井理も、高度成長時代と、その後のリーマンの生き様とは違い、

負け組になるまいと、必死のパッチを見せる、昭和世代の男の、もう一つの生き方を見せてくれます。

7
向井のおばあちゃんの、半生記を原作にした本作。

向井が映画化を熱望し、推進した映画なだけに、その演技はこれまでとはどこか違っていました。

向井は、自分の祖父の人生を演じるのです。

いつものようでありながら、いつものようでない、その熱意ある演技ぶりに、

見終わってしばらく経ってから、ウーンとうなった。

どこか温厚ながらも、気合の入った演技を、見ていただきたい

2
コドモたちがいる「夫婦善哉」(1955年)の大河版。本作を、ボクはそう見ました。

ペシミズムも少々あるけど、「夫婦善哉」や「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)の明るさもある、昭和の家族ドラマ

ほんでもって、高畑充希ちゃんが歌う主題歌も、しっとり癒やしをくれました。

2017年6月16日 (金)

「キング・アーサー」

1
「シャーロック・ホームズ」と変わらない、ヒロイズムがシュートする!

古代もの映画が、21世紀的ゲーム感覚で生まれ変わる

http://king-arthur.jp

6月17日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、3D・2D同時上映で、全国ロードショー。

本作は、2017年製作の、アメリカ映画126分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017 WARNER BROS. ENT. INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI)LIMITED AND PATPAC-DUNE ENT. LLC

2
ガイ・リッチー監督の新作です。

監督のマイ・カルト&ベストでゆけば、本作はカルトになるかもしれないけど、

監督の破天荒かつ、自由な作風が吹くままに、かつてなく思いっきし披露された作品ではないか。

4
かつての古代ものにはなかった、ゲーム感覚、VFX・CGの多用などは、現代では当たり前ではあるけれど、

それらを見せてゆくスリルある流れの中に、今までにない新しさを見た。

6
ちなみに、古代もの映画のマイ・ベスト&カルト・スリーを、思いつくままにゆうと、

●ベスト⇒①ベン・ハー(1959年製作・以下の引用は、指定以外は全てアメリカ映画)②イントレランス(1916年)③十戒(1956年)

●カルト⇒①本作②トロイ(2004年)③300<スリーハンドレッド>(2007年・アメリカ)、

なんてカンジやけど、ボク的古代ものの基本は、スペクタクルやら、戦闘シーンのダイナミズムやらですが、

でもしか、本作やカルト③は、21世紀ものらしく、VFX・CG主流ながら、大作感あるエンタイズムがあります。

8
さてはて、アーサー王の話とゆうのは、ある程度みんな知ってるやろけど、

シェークスピアが「ハムレット」でヒントにした、エピソードでして、

アーサーの父をクーデターして、叔父が王になったけど、

のちに大人になったアーサーが、叔父を倒して王になる、なんて話やけど、

本作は、原作とゆうか、言い伝えられた話を、そのまま描いたのではありません。

9
黒澤明の「七人の侍」(1954年・日本)以来、定番化した7人メンバー。

そんなアーサーを含む7人組が、叔父王とその軍兵と戦うわけですが、

はともあれ、ストレートには描かれません。

一方、コンドルを始めとした動物たちも、敵や味方として使われます。

7
子供のアーサーが大人になるまでを、タイトなサウンドでダイジェストで描いたり、

作戦行動を、想定を入れて短カットで示したり、

いわゆる、映像編集的スピードフルが、ドラマ・リズムを作ってゆきます。

これは間違いなく、監督のセンスやろな。

オーケストラ・サントラから、バンド・サウンド、シンセやドラムなどで、シーンをリズミックに魅せるところも、秀逸でノリノリ。

3
少人数と多勢対決ではありますが、

最終的には、アーサー役主人公チャーリー・ハナムと、ジュード・ロウの1対1対決へ。

主人公の過去の切れ切れの追憶を、謎めきポイントにしながら、

主人公がその気になっていく過程描写も、面白いかと思います。

5
「シャーロック・ホームズ」(2009年・)あたりから確立された、

ガイ・リッチー監督チックな、ヒーロー描写・ヒロイズム描写の、トリッキーに魅せられてください。

2017年6月15日 (木)

「心に吹く風」⇒日本映画劇場

1_2
「冬のソナタ」のユン・ソクホの、初映画監督作品

不倫愛が北海道をバックに、静かに展開

http://www.kokoronifukukaze.com

6月17日の土曜日から、松竹ブロードキャスティングとアーク・フィルムズの配給によりまして、新宿武蔵野館ほかで、全国順次のロードショー。

関西では、7月8日からテアトル梅田やらで上映。

ロケ地の北海道では、6月10日から、札幌シネマフロンティアほかで上映中。

本作は、2017年製作の、日本映画107分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ松竹ブロードキャスティング

2_2
韓流を日本に築いた、韓国の連続テレビドラマ「冬のソナタ」。みんな、知ってはりますよね。

そのドラマを演出した、ユン・ソクホ監督が、何と初めて映画監督のメガホンを採った。

なぜにこれまで映画監督をしなかったのか、そのあたりは置いといて、

初の映画監督作品が韓国映画ではなく、日本映画だった点も、興味をそそられるんやけど、

作品性は、モチ「冬ソナ」チックを、ベースにした作品になっとります。

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「冬ソナ」にあった初恋・純愛なんかを、1つのキーにしてるようやけども、

それも入れつつ、「冬ソナ」の今一つのキー・記憶喪失とゆう、ドラマツルギー・セッティングをはずして、

今作の映画では、不倫がテーマになっているようどすえ~。

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不倫映画の在り方みたいなんは、日本映画「昼顔」(弊ブログ6月9日付けで分析)の項で、分析いたしとりますが、

本作は、男は独身・女はダンナと子持ちとゆうことで、いわゆるW不倫やありませんが、

「昼顔」にあった、ベタベタやない、純な愛の交歓ぶりは、共通しとりまして、

その愛のつつましさに、ウーンとくるような、仕上げぶりなんどすえ~。

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しかも、本作は静謐な、ストーリーの流れが、目立つ作品になっとります。

間合いの長さ、あまりにも静かな展開。

フロントからの車内の、2人のツーショット・カットなど、2人のツー・ショットは、当たり前のように頻出。

2人のためだけの静かなる世界が、全編のほとんどを覆っているんだす。

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でもって、北海道ロケ作品だけに、美しき自然風景描写をバックに、展開させる作りでおます。

北海道ロケの日本映画は、これまでに100作以上にわたっておりますが、

自然描写を、かなりと打ち出す映画は、なぜかそうそうありませんねん。

桜やら蝶々。大地と空の風景やら。

2人の愛と自然風景が、絶妙にリンクした作品として、

本作は記憶に残るべくな、1本になっとります。

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日照のテカリ・反射感を、取り入れたカットが頻出し、

風の音・香りを、カンジさせる効果音だったり、

自然を取り入れたカットやシーンが、

2人の愛の行方は別にして、

ある意味で、本作の見どころにも、なっているようにも思えました。

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観客によっては、「冬ソナ」との既視感を、見たい方もいてるかもしれません。

とゆうワケではないとは思いますが、

主演の2人には、「冬ソナ」の2人に見合ったような、キャスティングが施されているようで…。

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ペ・ヨンジュンは、眞島秀和。

共にメガネを掛けているとこは別にして、ナイーブでストイックなキャラはよく似とりますし、

また、チェ・ジウと真田麻垂美。

こちらも、ナイーブ、ストイック共に、特注やねん。

特に、つつましき人妻ヒロイン役として、真田麻垂美は、

往年の日本映画の名作にあった、人妻役に通じるものがありましたで。

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静かな展開を続けながらも、ラスト近くで示される女の衝動と、ラスト・シークエンスのサプライズ。

静かに静かに、しっとりしっとり、そして最後には、滋味ある哀愁を示す作品。

「冬ソナ」ファンだけでなく、大人の恋愛映画を見てみたい方に、ピッタリの作品でした。

スペイン映画「オリーブの樹は呼んでいる」

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おじいちゃんと孫娘のキズナが、純粋で美しい

スペインから登場する、前向きヒロイン映画の快作だ

http://www.olive-tree-jp.com

6月17日のサタデーから、アット エンタテインメントの配給によりまして、テアトル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は2016年製作のスペイン映画99分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒMorena Films SL-Match Factory Productions-El Olivo La Pelicula A.I.E.

スペインから、家族のキズナ入り、ロードムービー仕様の、

前向きヒロイン映画の、元気がもらえる映画が、登場いたしました。

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まず、家族のキズナ系は、おじいちゃんと孫娘のキズナがメインです。

オジンと孫のキズナ映画といえば、イロイロあるけど、

ボク的には、菅原文太と石原ひとみの「わたしのグランパ」(2003年製作・日本映画)が、大好きでした。

「わたしのグランパ」は、オジンが孫を守るとゆう設定でしたが、

本作は、その逆でして、

オジンとの過去の追想に浸りつつも、

アルツハイマーになったかのようなオジンの、一番大切だったものを取り戻そうと、

大人になった孫娘ヒロインが、必死のパッチで、奮闘努力する映画でおます。

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オジン・オバンの想い出を、孫が現在形から辿ってゆくとゆうスタイル映画も、それなりにあるけども、

本作は、孫娘の熱意と行動ぶりにおいて、

ココロ揺るがせる、映画になったのではないかと思います。

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さて、ロードムービー的には、オジンの大切なもの・オリーブの樹木へと向かう道行ですが、

目的地がはっきりしているロードとゆうのは、

結末がなんとなく見えてしまって、チョイオモロないとこがあるけども、

本作は、ヒロインの熱意がポイントになって、感動的でもありましたやろか。

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かつて弊ブログで、ロードムービー映画の、マイ・ベスト&カルトを披露したり、

ソロを含む、ロードの組み合わせについて、考察したりしましたが、

本作の組み合わせは、ヒロイン・叔父さん・男友達の3人です。

ほんでもって、ヒロインが2人を、引っ張るとゆうカタチで展開します。

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強気なヒロインの、前向きな映画として、グイグイとドラマを推進してゆきます。

その真っ直ぐな生き方は、名作ヒロインものに多かった、

それでもガンバッテ、前を向いて生きてゆくみたいな、ヒロイン映画の在り方に、通じていると思います。

3
スペイン出身の女性監督、イシアル・ボジャインのキモチも、入った作品でありましょうか。

オーケストラ・サウンドも使った、ドラマティックを意識した作りも、胸にきました。

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大企業ビルのロビーにあった、オジンのオリーブの樹。

果たしてヒロインは、この樹をオジンのために、取り戻せるのか。

ハラハラドキドキしながらも、ヒロインに感情移入して見られる、ヒロイン映画の快作です。

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