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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


カテゴリー「映画・テレビ」の記事

2017年10月17日 (火)

韓国映画「わたしたち」

1
今年の韓国映画の、マイ・ベスト・スリーだ

いじめを乗り越える、少女たちのキズナが素晴らしい

http://www.watashitachi-movie.com

シネ・リーブル梅田で公開中。

今後は、京都シネマ、神戸・元町映画館、11月18日から、MOVIXあまがさき、などで順次公開。

本作は、2016年製作の、韓国映画94分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 CJE&M CORPORATION and ATO CO., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED

2
韓国映画で、少年・少女・コドモたちを、描いた映画となれば、ヒジョーに珍しい。

それでも、韓国の孤児院の少女たちを描いた「冬の小鳥」

(2009年製作・韓国&フランス合作/本作に関わる、イ・チャンドン製作・弊ブログ分析済み)など、

韓国の女性監督による名作を見ています。

でもって、ココに、ボクが韓国映画として二度目となる、少女たちの映画が現れた。

しかも、「冬の小鳥」と同じく、女性監督(ユン・ガウン)が、メガホンを執りました。

4
かつて少年・少女もの映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーなんぞを披露いたしましたが、

本作は、ベストに入れられるような、出来栄えの映画になっています。

各国のコドモたち映画は、いろんなカタチで披露され続けていますが、

本作は、少女たちのキズナを描いています。

でもしか、そこへ、「いじめ」を媒介にした、ストレートな映画は、

「いじめ」が社会問題になってる日本はともかく、

欧米映画ではほとんどありません。

10
ホラー映画「キャリー」(1978年・アメリカ)など、

いじめられて、そのリベンジをせんと、高校生キャリーがモンスターになる、なんて映画はあるけども、

真摯に「いじめ」問題に向き合った映画は、韓国映画のみならず、稀少だと申せましょう。

そして、少女たちの友情へと着地する、

余韻深き感動系の映画になっています。

6
ドッジボールのシーンから始まり、ドッジボールのシーンで終わる、構成になっているんだけど、

そこでいじめられる少女が、誰かが示されます。

小学生のヒロイン少女(チェ・スイン)は、3人組にいじめられている。で、友達がいない。

でも、夏休みに転校生(ソル・ヘイン)と出会い、家族ともども交流します。

3
しかし、新学期になると、転校生は、ヒロインいじめの3人組とつるんで、

ヒロインにつれなくなり、いじめる側に回るのです。

でも、ヒロインは、転校生との仲を回復しようと、イロイロ考えて実行していく。

7
自然体をヌーボーと体現する、ヒロインの微細な表情を、

アップ・クローズアップを中心に、見せてゆく撮り方が、

ゆるやか、かつリズミックで良かった。

5
それによって、ヒロインの母、転校生、いじめる生徒らの演技が、ドラマ映えしていきます。

8
そして、ヒロインと転校生の関係が、

ヒロインからのアクションで、イロイロ変転していく後半が、

本作の、ドラマティックどころな見どころ。

一番下の写真が、ラスト・シークエンスですが、

胸にくるカットが、用意されています。

9
大胆にも、健常者と障害者の愛を、描いた名作「オアシス」(2002年・韓国)の、

イ・チャンドン監督が、企画した映画です。

「オアシス」始め、これまでの韓国映画のカラを、常に打ち破ろうとするスタンスが強烈です。

とゆうことで、今年見た韓国映画では、今のところ、

「密偵」(後日分析予定)、「ザ・ネット」(弊ブログ分析済み)と並ぶ、

マイ・ベスト・スリーです。

2017年10月13日 (金)

「リングサイド・ストーリー」⇒週末日本映画劇場

1
瑛太と佐藤江梨子の、破天荒なラブ・ストーリー

映画業界と格闘技業界を、ミキシングするなんて…

http://www.ringside.jp

10月14日の土曜日から、彩プロの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマほかでロードショー。

本作は、2017年製作の、日本映画104分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017 Ringside Partners

2
カンヌ国際映画祭を目指してる、冴えない男優役の瑛太。

彼の夢を慕って同棲し、彼を経済面で支える佐藤江梨子。

こんな2人の、ラブ・ストーリーが展開するのですが、

その作りは、これまでにない、トンデモない作りを示しています。

瑛太が、佐藤江梨子のヒモみたいなとこは、そんな映画、いくつもあったでーとなるのですが、

サトエリが、首になった弁当工場の仕事から、

瑛太の隠れたプッシュもあって、何とプロレス団体の営業・事務職に転職したことから、

物語は異質で異能な、コミカル展開を見せるのです。

6
瑛太の芸能界における、厳しい状況描写は、いわば映画業界ものと言えるでしょう。

対して、サトエリのプロレス・格闘技業界は、

どちらかといえば、映画業界とは、相反するようなスポ根業界。

この2界を、ラブをキーに、強引にミキシングしてゆく作りとなれば、

かつてあった、日本のプログラム・ピクチャー的喜劇映画を、

ドカーンと進化させたような、爽快さと驚きが、あったわけであります。

11
映画業界映画は、多々ある。

一方、プロレスなどの格闘技映画も、ケッコーある。

でも、その2界をドッキングさせようなんて、フツーは考えられない。

でもしか、それを、やってもうたんです。

9
俳優の瑛太が、サトエリのためにとゆうか、ほとんど意地に近いカタチで、

ケイワン出場選手と、何と闘うんであります。

あり得ない展開を、

それでも、強引に見せてゆく作りには、恐れ入るとこがあります。

3
格闘技映画の傑作「ロッキー」(1976年・アメリカ)

「カリフォルニア・ドールズ」(1981年・アメリカ)

「レイジング・ブル」(1980年・アメリカ)などを、

コミカルに引用しながらも、

あくまで、ラブ・コメディとしての、日本喜劇の在り方を、

示そうとするとこらへんに、ボクは魅了されました。

5
久々のサトエリの、戸惑いつつの、やがてガンバルぞー、となる演技ぶりとか、

以前のサトエリ節と変わらへんとことか、

余貴美子の名バイプレーヤーぶりとか、

いやはや、心地よくて良かったです。

8
主演の瑛太の、コメディアンぶりにも魅せられた。

「ミックス」(後日分析)や、「光」(後日分析)など、今後も公開映画が満載の、瑛太やけど、

「ミックス」で見せた、卓球での爆裂ぶりを超えた、トンデモ格闘演技ぶりを、本作で見せています。

「ロッキー」のパロディチックを、カンジながらも、

クライマックスの格闘対決シーンには、グッときました。

4
岩井俊二監督のチョイ出演とか、

フラカン(フラワーカンパニーズ)の、元気なポップロックとか、

シブミあるフックもいい。

10
アカデミー賞外国語映画賞の、日本代表になった「百円の恋」(2014年・弊ブログ分析済み)の、

武正晴監督の新作です。

シビアでシリアスな「百円の恋」に対し、本作は、より柔和でフレキシブルになった、ラブ・ストーリーだ。

日本の喜劇映画の、プログラム・ピクチャー的に、みんなでワイワイガヤガヤ楽しめる作品でした。

2017年10月12日 (木)

「恋と嘘」

1_2
三角関係学園ラブ・ストーリーの、ニュータイプが登場

森川葵ちゃんが、同名の葵役で主演

http://koiuso.jp

10月14日の土曜日から、ショウゲートの配給で、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「恋と嘘」製作委員会

ⓒムサヲ/講談社

2_2
高校の学園ラブ・ストーリー、しかも三角関係なんてくれば、これまでにモノゴッツー出てきてるし、

さらに、コミック原作となれば、21世紀になって、ドカーンと出てきたタイプ。

そして、アイドル映画仕様に、なってるとこも共通しとります。

でもしか、それでも、新しどころは少しであっても、採り入れています。

8_2
いわゆる、特殊設定を設けているんです。

少子化対策で、厚生労働省が結婚相手を、決めるなんてゆう、結婚相談所のようなことを始めまして、

森川葵ちゃんと、佐藤寛太クンが、くっつけさせられます。

でもしか、葵ちゃんには、幼なじみの北村匠海クンがいて…。

9
コミック原作には、SF的近未来設定でも、小説原作もの、

例えば、「時をかける少女」(1983年製作)などとは、ビミョーに違うとこがあります。

リアリティー重視の小説に対し、トンデモ破天荒を、展開させられるコミックは、

何でもありのジャンルなんです。

10
そして、アイドル映画性。

学園ラブ・ストーリーは、日本映画では、ほとんどがアイドル映画に、なっているかと思いますが、

トンデモ設定とは別に、各役者はあくまで、アイドルにふさわしい、アブノーマルな演技で演出されています。

3_2
2人の男優に加え、葵ちゃんも、自然体演技に終始する演技ぶり。

アイドル性にとっては、この自然体は、とても重要なのです。

ヘタに作り込むと、おかしな方向へ行ってしまう。

最初から最後まで演出された、この自然体が、

三角関係のドロドロを全く感じさせない、

さわやかな仕込みと作りになっているのです。

4_2
一部、京都ロケーションがあります。

京都タワー、五重の塔、平安神宮、木屋町・高瀬川など、京都ロケ映画のセオリー的も、

鴨川をはずしていたのは、オモロかったかな。

7_2
セピアと薄ブルーを、場面に合わせて、巧妙に配置させたとことかも、映画的やったし、

弦楽オーケストラを基本にした、サントラ使いもココチ良かった。

ラストロールでは、福山雅治の名曲「HELLO」が、阪本奨悟によってカヴァーされる。

この曲はゲツクの主題歌だったが、

本作はかつて大ブレイクした、トレンディー・ドラマからの、濃厚な影響がうかがえた。

5_2
三角関係ラブに加え、もどかしげな愛の行方、ドラマティックな恋の成就ぶりなど、

まさに最盛期の、トレンディー・ドラマな映画仕様でした。

6_2
本作の古澤健監督は、学園映画・アイドル映画共に、何作か撮って楽しませてきた。

中でも、本作は、彼の最高傑作と言ってもいい、仕上がりになったのではないか。

武井咲主演の「今日、恋をはじめます」(2012年・弊ブログ分析済み)よりも、

トリッキーでハラドキの、仕上がりになっとります。

「もうろうをいきる」

1
盲ろう者の群像人間ドキュメンタリー

九州から東北まで、全国各地を巡る作り

http://www.cine.co.jp/

10月14日の土曜日から、シグロの配給により、第七藝術劇場で、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の日本映画91分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017 siglo

6
盲人であり聾唖者でもある「盲ろう者」。

目も見えず、音も聞こえない。

本作は、五感の二つを失った人たちの、生き方を捉えた、群像人間ドキュメンタリーです。

特殊なビョーキの人間ドキュなだけに、思わず「かわいそう」の言葉が、出てくるかもしれないけど、

それでも、何とか生きていく姿には、ココロ打たれるものがありました。

5
ドラマ映画でもイロイロありますが、盲人・聾唖者の各ドラマは多いけど、

この盲ろう者ものは、ヘレン・ケラーを描いた「奇跡の人」(1962年製作・アメリカ映画・モノクロ)くらいしか、ボクは見ていず、

稀少価値の高い、映画だと言えるでしょうか。

7
そんな盲ろう者の多いことに、改めて驚かされた映画でした。

全国各地へと、カメラは巡ります。

宮崎県の女性、東日本大震災に遭い、津波で家を流された、宮城県石巻の男性、

そして、広島、東京、新潟県佐渡ヶ島と巡る、盲ろう者を捉える旅は、

静かながらも、胸にクル仕上がりになっています

4
2016年に起こった、神奈川県「やまゆり園」の、障害者19人殺人事件にも、アプローチします。

障害者の作った詩の披露など、前向きに生きていこうとする、盲ろう者の姿と、

さりげない対比効果を呼んでいます。

2
「全国盲ろう者協会」への、取材もなされました。

健常者の女性職員が、盲ろうの夫と結婚した逸話など、ほのぼのとしたところもあり、

一概に「かわいそうやん」で、済まない作りだと思います。

でも、確かに「かわいそう」と思うとこもある。

けども、みんな一生懸命に生きる姿に、健常者のボクらが、勇気をもらえるとこもあるのです。

8
しっとりのピアノを、ポイントにしたサントラ使い。

歌ものでは、マンドリンのソフトな弾き語りや、

子守唄的スローなど、癒やしのある歌が、

映画を優しく包み込みます。

3
さまざまな盲ろう者の生き方を捉えた、人間ドキュメンタリー。

最初から最後まで通底してるのは、どこまでも優しい視線です。

むしろ、泣きよりも、さわやかな鑑賞後感のある映画でした。

「奇跡の人」の激しさとは正反対の、

サントラ使いにもあるように、癒やしに満ちた作りです。

2017年10月11日 (水)

「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」

1_2
快適な生活のための、建築とは何かを追求した作品

抑制を利かせた、2人の演技が特注

http://www.transformer.co.jp/m/lecorbusier.eileen/

10月14日の土曜日から、トランスフォーマーの配給により、Bunkamuraル・シネマテアトル梅田、ほかで全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、ベルギー・アイルランド合作による108分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2014 EG Film Productions / Saga Film

ⓒJulian Lennon 2014 All rights reserved.

4_2
実在の男女有名な2人を描いた、Wセレブ映画。

「サルトルとボーヴォワール」(2006年・フランス製作・弊ブログ分析済み)のように、実に興味深い映画になりました。

実話・偉人伝ですが、意外性のある描き方は、かなりとセンセーショナル。

建築家のル・コルビュジエと、家具デザイナーのアイリーン・グレイの物語。

よう知らんな~とゆう方は、「サルトルとボーヴォワール」以上に、ワケ分からんかもしれんけど、

どちらもその筋では、伝説的な方であります。

2_2
まず、ゆうときますけど、2人は愛し合ってるわけやありませんねん。

アイリーン・グレイは、別の建築家と結婚してたんやけど、

そんな夫婦の海辺の、豪邸の建築を任せられるんが、コルビュジエなんであります。

夫婦とコルビュジエのやり取りと駆け引き、

そして、歴史的住宅が作られた経緯が、緻密に描かれてゆくのです。

3_2
1920年代がメイン舞台です。

それゆえか、自然光を活かした、薄色配色で、映画は撮られています。

そして、ピアノ・ソロ、バイオリンに加え、

キモとなるシーンでは、オーケストラ・サウンドを、派手に流すとゆうサントラ使い。

しっとりのピアノをバックにした、ヒロインのアイリーンが踊りつつ、家を見ていくシークエンスや、

オーケストラに乗っての、作業のダイジェスト・シーン、

ラストロールで流れる、フィメール・ポップスなど、

印象深きとこが、ケッコー造形されております。

6
建築家、インテリア・デザイナーたちの、生き方やスタンス・心構えなどが描かれます。

人生と芸術、知性と本能の共存とか、

自由は孤独を生み、成功のためには孤独が必要など、

室内劇を中心に語られる。そのあたりが、退屈そうに見えるかもしれへんけど、

本作の見どころ・クライマックスへの道筋としては、はずせないカットであります。

7
コルビュジエが時おり、観客に語りかけてくる、ナレーション・スタイルを採っていますが、

ナレーションによって、ドラマティック効果を呼ぶ手法は、本作でも巧妙に使われていました。

つまり、最後まで目が離せない作りになっているのです。

海のきらめきを見せながらの、主人公・ヒロインのナレーションなど、ココロに残るべくなシーンでしょう。

5_3
オークション・シーンなども、本作を効果的に見せております。

異能の偉人伝映画のように見えながらも、住居とゆう生活面において、普遍性のある作品。

日常生活においても、イロイロと参考になる作品でありました。

フランス映画「静かなふたり」

1
久々のパリ映画を見たで~

現代のパリを舞台に、渋い年の差恋愛が展開

http://www.mermaidfilms.co.jp/shizukanafutari

10月14日の土曜日から、コピアポア・フィルムの配給により、新宿武蔵野館やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、フランス映画73分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒKinoEletron - Reborn Production - Mikino - 2016

かつては、花の都パリを舞台にした映画は、しょっちゅう製作・公開されて、

憧れのパリに、胸焦がれたものでした。

そんなパリ舞台映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたしますと…。

2
●ベスト⇒①天井桟敷の人々(1945年製作・フランス映画・モノクロ)②巴里の空の下セーヌは流れる(1951年・フランス)③巴里の屋根の下(1930年・フランス・モノクロ)

●カルト⇒①本作②巴里のアメリカ人(1951年・アメリカ)③凱旋門(1948年・アメリカ)

●本作だけが、最新のパリ映画として、ランク・インさせましたが、

でもしか、いろんなパリ映画は、今もなお、多彩に出てきてはいます。

ただ、パリとゆう都市に、感慨的な意味を持たせた意味において、本作は久々に見たパリ映画でありましょうか。

パリを舞台にした、映画史上の歴史的名作ベスト①、

群像劇ベスト②、パリの市井を捉えたベスト③。

フランス映画界が、ストレートにパリの魅力を伝えたベストですが、

カルトでは、フランス以外の国が捉えた、パリ映画を選んでみました。

ラブ・ストーリーをメインに、パリの魅力を伝えたカルト②③。

この種のフランス以外の外国映画は、モノゴッツーありますが、

そんな中でも、本作は、これまでとは、少し違った視点がありました。

3

若者同士の恋愛が、多かったパリ映画において、年老いた男と若き女の、年の差恋愛を描きながらも、

その都度パリの風景を映しながらも、あくまでパリを、憧れの街としては描いていないセンスは、特筆ものでありましょうか。

「美しいけど、罠の多いパリ」とゆうセリフがありますが、

そんなパリの表裏を、巧妙に取り込んでいたのが、印象的でした。

4

これは、フランス映画のロマンティック・ラブ・ストーリーと、

フィルム・ノワールのルーツである、フランス映画の表裏を、

さりげなく溶かし込んだ作品なのです。

主人公の初老の古書店主が、逃亡してた、元「赤い旅団」の思想犯だったとこなんか、なるほどと納得できます。

5_2
ヒロインが、本作のヒロイン映画的の、テーマにも通じるような、

インドの監督サタジット・レイの「チャルラータ」(弊ブログ分析済み)を、映画館で見ていたり、

コミカル映画に多投される、画像を丸くしてフェイド・イン・アウトする、アイリス・イン、アイリス・アウトを、採用していたりと、

映画的作りのシブミにも、注目してください。

2017年10月10日 (火)

「あなた、そこにいてくれますか」

1_2
韓国映画のラブ・ストーリーは、どう進化してきたのか

「イルマーレ」を超える、さわやかハッピーな仕上がり

http://gaga.ne.jp/anasoko

10月14日の土曜日から、ギャガ・プラスの配給により、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の韓国映画111分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

2_2
最近とゆうか、ここ数年、韓国映画がヒットせず、元気がないように見えるけれど、

実は、21世紀のゼロ年代に出てきて、高く評価されヒットした作品と比べても、

甲乙つけがたいような傑作が、今もなお製作されております。

とゆうことで、今後も傑作を紹介・分析してまいります。

さてはて、本作は、韓国映画の主流ジャンルとなる、ラブ・ストーリーです。

テレビドラマ「冬のソナタ」効果で、韓国映画の恋愛ものが耳目を集めました。

3_2
韓国映画のラブ・ストーリーについては、これまでにイロイロ言及してきましたが、

改めて韓国恋愛映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・ラブコメ除く)を、披露しますと…。

●ベスト⇒①猟奇的な彼女(2001年製作)②私の頭の中の消しゴム(2004年)③八月のクリスマス(1998年)

●カルト⇒①本作②イルマーレ(2000年)③ビューティー・インサイド(2015年・弊ブログ分析済み)

7_2
●「冬のソナタ」現象にあおられて、韓国映画界も、その種の映画、

つまり、記憶喪失やらのビョーキ系を、取り入れたベスト②だったり、ガン系のベスト③が出てきたり、

一方で、サプライズある、ベスト①などがあった。

しかし、近年は、恋愛ものでも、タイムスリップ系を取り入れた、カルト②などの設定やら、

異能のSF系カルト③など、ストレートな恋愛ものを、裏返ししてゆくような作品が出てきています。

そして、本作もまた、その種の異能ぶりを、大いに発揮した恋愛映画となりました。

6_2
タイムスリップ系でも、21世紀になってケッコー出てきてる、過去改ざん系の映画となりました。

過去の自分に、特殊な薬を飲むことによって、戻るとゆう設定なんやけど、

「時をかける少女」(1983年・日本)やらの設定と比較しても、決して首をひねるようなとこはない。

一番の問題は、過去の恋愛を改ざんするために、

主人公(キム・ユンソク)は、どないしたのかが、大きなポイントとなるのです。

5_2
過去をリセット・修復する映画としては、

リアリティーは別にして、「僕だけがいない街」(2016年・日本・弊ブログ分析済み)やらと同じくらいの、スリリングとドキドキがあった。

けども、本作はミステリーではなく、恋愛映画です。

死んだ人・死んでない人の、恋愛を構築した「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年・アメリカ)に近い、

ハットトリックを、カンジさせる映画でありました。

4_2
いずれにしても、サプライズのあるラブ・ストーリーですが、

ベスト①の驚きにはどうかだけど、そのさわやかなハッピー仕様は、

ハッピー・エンド恋愛映画のセオリーとはいえ、グッと胸にクルものがありました。

キム・ヒョンシクのグッド・バラードと共に、ココロに永く残る快作だと思います。

「アナベル 死霊人形の誕生」

1
21世紀的ホラー「死霊館」シリーズの最新作だ

「スター・ウォーズ」的遡り系で恐怖をあおる

http://annabelle-creation.jp

10月13日の金曜日から、ワーナーブラザース映画の配給により、全国ロードショー。

本作は2017年製作の、アメリカ映画110分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

3
これまでのホラー映画を、弊ブログで分析し続けてきたように、

怪談ものから始まったJホラーが、人間の恨み・死人の恨み節ならば、

洋画ホラーは、悪魔ホラーが主流になっとります。

その違いの比較と、映画史的考察についても、これまでにも何度か言及してきましたが、

いずれにしても、悪魔とゆう概念は、キリスト教からきたもので、

特にアメリカ映画においては、ホラー映画のメイン柱になっとります。

2
そんな悪魔ホラー洋画の、マイ・ベスト&カルト・スリー

(各順不同・シリーズものは、第1弾の製作年度・指定製作国以外は、アメリカ映画)を、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①エクソシスト(1973年)②ローズマリーの赤ちゃん(1968年)③サスペリア(1977年・イタリア)

●カルト⇒①本作②オーメン(1976年)③チャイルド・プレイ(1988年)

7
●ベスト②以外は、シリーズ化されました。

ベスト②はあくまで、怖がらせる意図のない、映画的悪魔ホラーでしたが、

ベスト①の世界的大ヒットから、怖がらせる悪魔ホラーが、定着し蔓延しました。

この観客を怖がらせるを、ポイントにしたホラーは、多彩なカタチでベスト②以降、出てきましたが、

21世紀以降においては、Jホラーの人恨み節ホラーのリメイクに、依存する時期はありましたし、

人恨み節の「ソウ」(2004年)などがヒットしましたが、

低予算の悪魔ホラー「パラノーマル・アクティビティ」(2010年・弊ブログ分析済み)や、本作シリーズが、

新たな地平を築こうと、ガンバっています。

6

本作は、悪魔ホラーの、ワン・ポイントである館ホラーを、応用した「死霊館」シリーズの1作。

中でもカルト③以来、悪魔が取り憑くのは、人ではなく、アナベルとゆう人形であるところがユニーク。

そして、本作は、アナベル誕生の秘話を映画化した、遡り系のホラーになっとります。

「スター・ウォーズ」が、その先鞭を付けたように思われがちですが、

実はその遡り系のルーツは、ボクはベスト①だと思う。

4
本作は、悪魔人形が誕生した経緯を、1952年へとプレイバックし、その後の経緯を詳細に描いています。

ただ、悪魔が死んだ少女に取り憑いた理由が、少し曖昧なのはあるけれど、

ベスト①も理由は曖昧だったし、別に気にはなりません。

5
一番のポイントは、何はともあれ、絶叫し怖がれるかどうかでしょう。

孤児院のコドモたちが、個人の邸宅へ住まいを移し、そこで展開する群像ホラーなんですが、

館ホラーの怖さや、ビビらせる効果音(ショッカーと言います)もあり、結構震えました。

とゆうことで、今後の悪魔ホラーの、命運を握るような1作でありましょう。

2017年10月 6日 (金)

「アウトレイジ 最終章」⇒週末日本映画劇場

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北野武監督・ビートたけし主演作の最新作

「仁義なき戦い」とは違う、ヤクザ映画の粋

http://www.outrage-movie.jp

10月7日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画と、オフィス北野の配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2017年製作の1時間44分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会

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3部作シリーズの第3弾。

「仁義なき戦い」シリーズ(1973年~1974年製作・全5作)へのオマージュと言うより、

そんな名作に、対抗しようかとゆう大胆さに、あふれた作品です。

「仁義なき戦い」は、そうやなかったけど、本作シリーズは、悪役・ワルしか出てこない。

善悪ドラマやヒーロー映画を、あざ笑うような怪作にして、

アンチ・ヒロイズムを標榜する、大胆不敵なシリーズだった。

4_2
北野武監督作品・ビートたけし出演作品の、

いろんなセルフ・オマージュorパロディ・シーンが、いくつかありました。

例えば、監督・主演作の、拳銃自殺する「ソナチネ」(1993年)を思い出させるシーン。

最もインパクトを感じたのは、出演作「戦場のメリークリスマス」(1983年)です。

デヴィッド・ボウイが顔出しだけの、地中埋めシーンがありましたが、

本作では、トンデモ・シーンで、大杉漣が、その憂き目に遭います。

3_2
何はともあれ、役者陣の熱血の演技ぶりに、引き込まれてしまう映画であります。

前2作より、ワメキの美学を抑制し、

より緻密で分かりやすい、ワルぶりを、全役者が披露してはります。

7_2
全役者の中で、誰がイチバンヤーやったかは、

人それぞれの見方があるでしょうが、ボクは西田敏行でした。

ハマちゃんと呼ばれた、プログラム・ピクチャーの終了後の、西田はんは、

さらなる進化型の演技を、次々に披露してきはりました。

最近も、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(弊ブログ分析済み)の、人情深い穏やかな演技。

対して、本作の、関西弁を駆使する、泥臭いベタな攻撃的な演技。

その対比ぶりは、メッチャ強烈やったなー。

5_2
韓国ロケも敢行してるんやけど、

韓国ヤクザと日本の関西ヤクザの、抗争ぶりのハットトリッキーの中、

韓国ヤクザの大森南朋の、粘りある自然体やら、

ピエール瀧やら岸部一徳やらもまた、きっと自然体だったと思う。

捜査側の松重豊もまた、おんなじようなカンジ。

8_2
ワメキを排除した上で、

みんなにストーリーに沿った、自然体を演出したのは、当然、北野武監督でしょう。

そして、ビートたけしとしての演技も、高倉健やら鶴田浩二やら菅原文太やらとは、異にする、

カッチョ悪いけど、アンチで悲愁なヒロイズムを、披露しはります。

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アンチ・ヒロイズム映画に、支障をきたさないカンジの、

ムーンライダース鈴木慶一の、弱音のシンセ・ベースを流すセンスにも、グッときた。

とゆうことで、北野武監督の最新作は、いろんな意味で、目が離せません。

デート・ムービーや、家族一同劇場へ、とは言いませんが、

いずれにしましても、楽しめるエンターテインメント作品になっています。

2017年10月 5日 (木)

「ナラタージュ」⇒松本潤・有村架純共演

1
有村架純の濡れ場シーンは、果たしてどうか

いわゆる王道の、ラブ・ストーリーなんやけど…

http://www.narratage.com/

10月7日の土曜日から、アスミック・エースと東宝の配給により、全国ロードショー。

本作は、2017年製作の、日本映画140分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「ナラタージュ」製作委員会

2
本作の有村架純の濡れ場シーンが、

余りにも大胆不敵やなんてことが、ネットの映画取材記事で書いてあった。

しかし…。

みなさん、明後日から公開なんで、その目で確認してください、なんてで、

ネタ部の執筆部については、終わるのが常套なんやけど、

でもしか、はっきりゆうとった方が、エエ場合もあるんで、言いましょう。

4
松本潤や坂口健太郎との、有村架純のセックス・シーンは、全然ヤラシくはありません。

そこを分かった上で、映画を見に行ってください。

これはネタバレやないんで、見に行こうと思っていたのに、見に行くことを控える人は、いないとは思うけど、

本作のネタは、あくまでラブ・ストーリーとしての、決着部であります。

8
高校教師(松本潤)と、OGの元生徒の女子大生(有村架純)とのラブ。

そこへ、大学生(坂口健太郎)がシャシャリ出てきて、三角関係になりまして、

でもって、どんな決着が待っているのかと、ハラハラドキドキで、見られるハズの映画なんやけど…。

3
3人それぞれのキモチは、よく分かるような仕上げにはなっている。

けども、余りにもセオリー通りじゃないだろうか。

そんなことを、つい思いました。

5
だからと言って、楽しめないとゆうことやありません。

それは、ボクが思ったことであって、ほかの人たちは、全く違う感触があるかもしれません。

ボクが男やからかもしれませんが、

でもしか、女の人が本作を見たら、もっと違ったロマンチシズムを、感じるかもしれません。

6
松本潤には、ヨメ(市川実日子)がいた。

これはサプライズなのかどうか。

そして、映画配給会社に就職した有村架純が、過去を思い出すとゆう設定の、追憶カットバック的構成は、

ある意味では、ドラマティックを作る意味では、マニュアル的なものだ。

7
セオリー通り・マニュアル通り・ありふれた作品。

でもしか、本作には、三角関係ラブ・ストーリーの、普遍的な作りを施して、

どうでもエエ作品だとは、突っ放せないものになっとりました。

有村架純には、もっと大胆になってほしかった。

たぶん、そのあたりが、本作への不満となったのかもしれません。

いずれにしても、ラブ・ストーリーとして、快感を覚える作品でした。

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