「街の上で」⇒今泉力哉監督の新作
本作は、2019年製作の日本映画130分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
Ⓒ「街の上で」フィルムパートナーズ
別れた主人公(若葉竜也)が、
3人の女たち
(古川琴音・萩原みのり・中田青渚)と、
会話だけの関係ながら、
濃厚接触をしてのちに、
彼女とヨリを戻すまでのお話。
女遍歴な主人公の話ではなく、
女に淡白な主人公が、
下北沢を背景に、
日々の暮らしを営んでゆく。
主人公の性格に合わせて、
まさに淡々と、
長回し撮影を多投して
スローリーなユルユル展開で
物語は進む。
下北沢ロケ映画は
ケッコーあるけど、
例えば、故市川準監督が撮った
群像劇「ざわざわ下北沢」
(2000年製作)のノリと、
何となく似ているかもしれない。
そこが下北沢らしい
人のあったかさなのだろうか。
個性的な女たちが登場する。
古書店に勤める古川琴音は
ナイーブながらクセのある役だし、
学生映画監督役の萩原みのりは
ちょっと今どき風にトンがってるし、
中田青渚は関西弁のおっとりながら
なんや知らんムムムとくるし、
穂志もえかは、悩んでいるようで
そんなに深くは悩んでないキャラで、
主人公の若葉竜也は、
流れのままにホワーンと漂流中。
今泉力哉監督の
アドリブっぽい演出ぶりは、
登場人物たちがキレず熱くならずに、
女からの一方的片思いを描いた
「愛がなんだ」(2019年・弊ブログ分析済み)
を踏襲しているようだ。
「サッドティー」
(2011年・弊ブログ分析済み)も良かったけど、
特殊な恋愛系の「愛がなんだ」もいいし、
本作のような、なんやかんやあって、
結局元のサヤに収まる
タイプの恋愛映画も、
映画的に粋なんやあーりませんか!