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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析


カテゴリー「映画・テレビ」の記事

2018年7月12日 (木)

「検察側の罪人」⇒7月の年間ベストテン級作品

Photo
木村拓哉キムタク&二宮和也ニノの、骨太ガチ対決

「HERO」とは真逆の、正義の検察官映画だ

http://www.kensatsugawa-movie.jp

8月24日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。ⓒ2018 TOHO/Storm

●いつもは月の末日の晦日に披露してる、

「7月に見たマイ年間ベストテン級映画」を、先行してお届け。

本作は、公開直前に、緻密な分析批評をいたします。

まずは、さわりを申し述べますと…。

本作は、従来の検察官ドラマ映画のセオリーを、ディープ・インパクトに、破壊した映画だった。

これまでの検察官が、主演の映画となれば、

「アンタッチャブル」(1987年製作・アメリカ)など、

悪との対決や正義を、ストレートに描く、ヒロイズム映画が、

映画史に残ると思われていた。

しかし、本作はその正義を、暗転させるとゆう、離れワザを披露した作品。

共に検察官役だが、上司役キムタクと、部下役ニノの、

やがては対立してゆく図式と流れが、ドラマティックに描かれ、

時に、2人のワメキ演技を強烈に仕込み、ハッとさせることが何度もあった。

キムタク的には、主演した映画版「HERO」とは、真逆とも取れる、正義の映画となった。

とゆうことで、さらなる深い分析を、公開直前の後日に、披露いたします。

「インサイド」

1
スリリングかつ緊張感ある、ヒロイン・サスペンス

2時間ドラマの映画的進化型だ

http://INSIDE-MOVIE.JP

7月13日のフライデーから、ショウゲートの配給で、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、スペイン&アメリカ合作の89分。

ⓒ2016 NOSTROMO PICTURES SL/INSIDE PRODUCTION AIE/GRAND PIANO LLC

3
本作は、クライシスに1人で対応し、危機をハネのける、ヒロイン・サスペンスの快作。

そういうサスペンス映画は、これまでに多数存在する。

しかし、本作のヒロインは、ある種のハンデを負ったと取れる、出産間近の妊婦だ。

10
盲目のヒロインが1人で、強盗らから身を守る「暗くなるまで待って」(1967年製作・アメリカ映画)のような、

ハンデキャッパー・ヒロインの、知己ある応戦・反撃が展開する。

ただし、相手は女1人だ。

女対女のガチ対決が、スリリングかつ緊張感に満ちて、さらにサスペンスフルに繰り広げられる。

2
妊婦が危機に遭う映画となれば、ボクがイチバンに思い出すのは、

モダンホラー映画の嚆矢「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年・アメリカ)だが、

本作との相似は、妊娠とゆうキーワード以外に、

緊張感ある静かなる展開と流れの中で、徐々に波乱への予感が増し、

そして、遂にバクハツ! となる作りが強烈なのだ。

6
冒頭。

妊娠経過を病院で見たヒロイン夫妻が、自家用車で家に帰るその帰途、正面衝突の交通事故に遭ってしまう。

でもって、ダンナは死亡、ヒロインは聴覚障害になる。

9
一方、偶然にもヒロイン側と同じく、妊娠中の夫妻だった事故の相手側。

どんな風になったのかは、すぐには示されない。

ネタに関わるから、わざと隠してるんだけど、想像は容易につく。

ただし、相手側がどう考え、どう行動するのか。

そこが大いなるネタであり、謎めきの行動原理となっている。

7
人物のアップが頻出するが、謎めきサスペンスには、欠かせない撮り方だ。

クライマックスでは、女2人対決になるので、

その効果は、臨場感の創出と共に、ハラハラドキドキを増していく。

4
家の部屋内外での攻防が、緻密に展開。

「パニック・ルーム」(2002年・アメリカ)や「ウィークエンド」(1976年・カナダ)のような、

駆け引きの応酬に、目が離せない。

8

そんでもって、とんでもない場所での、対決へと続いてゆくのだ。驚きがあった。

相手の動機はシンプルだけど、ある意味でココロ凍るものだし、

異常心理サスペンスとしても、

直情径行型の「危険な情事」(1987年・アメリカ)並みに、背筋に寒々しさを感じた。

5
今やオンエア機会が少なくなった、テレビの2時間ドラマと、比較するのは、どうかとは思ったけど、

本作はそんなドラマを、映画的に進化させた作品だ。

「火サス」よりサス度合いは高く、「土ワイ」よりワイ度は濃縮され、タイトでカチッとしている。

断崖が水際攻防となるところも、また面白かった。

2018年7月10日 (火)

「ジュラシック・ワールド/炎の王国」

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「ジュラシック・パーク」シリーズの第5弾だ

世界興収歴代第5位の、前作「ジュラシック・ワールド」に、どこまで迫れるか、注目!

http://www.jurassicworld.jp/

7月13日のフライデーから、東宝東和の配給で、全国ロードショー。

本作は、2018年製作の、アメリカ・スペイン合作の、本編2時間8分。

ⓒUniversal Pictures

11
スピルバーグ監督の「ジュラシック・パーク」(1993年製作)から、始まったこのシリーズ。

3作続いて、しばらくインターバルがあったが、第4弾「ジュラシック・ワールド」(2015年・弊ブログ分析済み)が、満を持して登場。

世界興収歴代第4位になり、

今年公開された「アベンジャーズ」シリーズの新作に抜かれて、5位になったものの、

本作でさらなるヒットを狙う。

2_2
かつて弊ブログで、モンスター・パニック・ムービーの、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露しましたが、

シリーズものとしては、日本の「ゴジラ」ほどではないものの、アメリカ映画としては、最も長いシリーズとなった。

恐竜を再生し、島に隔離。

恐竜パニックなどの危機を乗り越えて、

動物園的パークとして開園し、人気のアミューズメント・リゾート島となる。

9_2
久々に登場した前作では、そんなパークが、閉園へと追い込まれるクライシスを描いた。

そして、本作。

島に取り残された恐竜たちを、火山パニックが襲い、絶滅の危機に瀕していた。

政府は、恐竜の救助と保護を断念する。

7_2
しかし、ヒロイン(ブライス・ダラス・ハワード)は、恐竜たちを救うべく、

元恐竜飼育士のクリス・プラットと、助手の2人と共に、島へと向かう。

一方、恐竜開発者の部下は、恐竜を捕獲し、

売り飛ばすと共に、新種の恐竜を開発しようとしていた。

この2派の攻防が、火山パニック、恐竜パニックの嵐の中で、ド派手に繰り広げられるのだ。

10_2
恐竜たちが逃げ、ヒロインたちも逃げる、火山パニック・シークエンスは、

前半の凄まじきハイライト・シーンになっている。

取り残され死んでゆく、恐竜たちの悲鳴がもの悲しい。

4_2
「アベンジャーズ」にも出ているクリス・プラットのヒロイズムも、「インディ・ジョーンズ」並みに、カッコイイのだが、

ブライス・ダラス・ハワードの、硬軟両用のヒロイン・アクションも、

ウルトラ級のアクトとは違った、新生面を見せて魅力的だ。

3_2
人間並みの知能があるTレックス、正義の味方「ブルー」と、

新種の凶暴極まる恐竜との対決に加え、

クリス・プラットらの応戦ぶりがクライマックス。

前作と比べても、勝るとも劣らない、パニックとアクションが繰り広げられる。

6_2
モンスター映画の嚆矢「キング・コング」(1933年・モノクロ)の超進化型。

「ジョーズ」(1975年)のスリリングの拡張版。

本作を名作と比較するなら、そんなカンジだろうか。

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一部のアニメ映画を除いて今夏、

ファミリーみんなで見に行ける映画としては、最適の作品だろうと思う。

前作の日本興収75億を超えて、さらに100億超えさえ期待できる作品だ。

2018年7月 6日 (金)

池松壮亮主演「君が君で君だ」

1
三角関係じゃない、こんな一途で情けない、男たちの純情ぶり

片想い恋愛映画のユニークな新次元か!?

http://www.kimikimikimi.jp

7月7日の七夕から、ティ・ジョイの配給により、全国ロードショー。

ⓒ2018「君が君で君だ」製作委員会

2
ヒロインの韓国女性(キム・コッピ)に、

各人の出会いやアプローチや展開で、惚れ

た3人(池松壮亮・満島真之介・大

倉孝二)が、

ヒロインの好きなタイプの、セレ

ブになり切って、

10年間ヒロインを、向かいの部屋

から、3人で共同生活をしなが

ら、見守り続けた。

なり切ったのは、池松が尾崎豊、大倉が坂本龍馬、満島がブラッド・ピットだ。

フィクションでもおよそ、考えられないようなお話を、

妄想系と現実系を織り交ぜて、映画化したのが本作だ。

4
彼女には10年の間に、彼氏(高杉真宙)ができていて、

そいつが借金して返さない分が、彼女の負担になり、

借金取り立て屋(YOU、向井理)が登場する。

そして、取り立て屋たちが、向かいの3人の存在を知り、彼らに接近。

丁々発止のやり取りが繰り広げられる。

5
男たちの情けない姿を無視すれば、

まるでコンゲーム・ノリの映画のような、スリリングが内在してる映画だ。

8
そんな映画にしてる起因は、役者たちのトチ狂ってゆくような、負の演技アンサンブルとゆうか、

逆アンサンブルとでも呼ぶべき点に、あるのではないだろうか。

かみ合わない演技の数々が、ボクたちのココロを、徐々にくすぶらせてゆく。

意図的かつ作為的だ。

しかし、これは、男たちのだらしなさを、無理にも美化して、

テーマの是非を問う、攻撃的な作術劇ではないか。

7
どう見ても、1人の女に魅せられた男の、情けなさをとことん露呈してゆく、

池松壮亮、満島真之介、大倉孝二の演技。

何やってんだ!の想いを募らせる。

だが、このもどかしさをカンジさせることこそが、本作の大いなる狙いの内なのである。

9
彼らに対する、キム・コッピの、消極的なビジター的演技や、

彼らに抗する、YOUの、いつも

ながらのけだるさ、

対して、向井理の、演

技幅を見せるヤクザっ

ぽさなど、

演技の多種多様の混

成が、映画の着地へ向

けた方向性を、右往左

往させてゆく。

全くもって、松居大悟監

督の作術劇に、ハメら

れる映画だった。

6
3人とヒロインの過去のシーンでは、

色褪せた色合いとか、モノクロだったりを駆使したりの、

映画作家的施しを、採り入れつつも、

やはり、どうしても男の不甲斐なさが、浮き彫りになってくる作りだ。

10
ギター・サウンド、バイオリンなどの弦楽を、主にしたインストに、

尾崎豊の歌を、ドラマティックに流してゆくサントラ使いは、印象的だった。

特に、尾崎豊の歌に乗って、池松壮亮とキム・コッピが、

レコード店から、ひまわり畑へ出て絡み合う、ミュージカルチックなシークエンスは、

秀逸なココロに残るシーンだろう

3
この映画の宣伝コピーに、

「なんてひどい!なんて無様だ!この映画は、観ちゃいけない!」なんてあるけど、

モチ、そう言ってみんなのココロを、そそろうとする意図なんだけど、

本作はそんな意図通りがありながらも、なぜかなんだかオモロかった。

そのあたりの二律背反ぶりも、楽しみたい作品だ。

2018年7月 5日 (木)

「ルームロンダリング」

2
幽霊たちとヒロインの、キズナを描く、ヒューマン・コメディ

池田エライザと、オダギリジョーのタッグで、キズナを作る!

http://www.roomlaundering.com

7月7日の土曜日から、ファントム・フィルムの配給により、シネ・リーブル梅田ほか、全国ロードショー。

ⓒ2018「ルームロンダリング」製作委員会

1
古来、幽霊が出てくる映画とは、ホラー映画とゆうのが、定説・定番である

幽霊が館や家・部屋に住んでる

となれば、ホラー度合いは、さら

に高まるだろう。

しかし、本作は全く趣きを、異に

した作品だ。

ジャンル的にはコメディだけど、

幽霊たち(渋川清彦・光宗薫)

見えるヒロイン(池田

エライザ)と、

幽霊たちの交流が、ま

ことしやかに描かれて

ゆくのだ。

10
死んだ妻が、別の女と住む夫の前に現れて、三角関係になる「居酒屋ゆうれい」(1994年製作)やらの、センスがある作品。

幽霊が幽霊じゃないと、最後まで騙し抜く作品、

例えば、「シックス・センス」(1999

年・アメリカ)とか、

邦画「黄泉(よみ)がえり」(2002年)

とかの、サスペンス系へのシフト

とは、

いわば、真逆の作りの映画だと

言えるだろうか。

4
シングル・マザーのオカン(つみきみほ)が、娘(大人になれば池田エライザ)を、オバン(渡辺えり)のとこに、預けて失踪。

オバンが死んでしもたら、1人になってまうエライザちゃんやけど、

オカンの弟、エライザちゃんから見たら、叔父(オダギリジョー)が、彼女を引き取った。

ほんでもって、大人になったら、オダギリはエライザちゃんを、自分の仕事のパートナーにしてまうんや。

3
そんなオダギリの仕事とは? 

入居者が自殺したり殺されたりした、ワケありの部屋を浄化して、売りに出せるようにするビジネスなんだけど、

エライザちゃんはその部屋に入って、

部屋にいつまでも居座る住人の魂を、癒やして天国へと導き、

ほんで、部屋をすっきりさせるワケやん。

幽霊が見えるからこその、技能なんであります。

6
彼女は2つの部屋の居住者幽霊と、関わることになる。

渋川清彦演じる、音楽に挫折して自殺した男と、

ストーカーに殺された光宗薫。

哀愁や悲愁モードは、あるにはある。

でも、コミカル・モードにくるまれた、哀愁ペーソスだ。

部屋が違うのに、幽霊の2人が出会い、ラブへと発展しそうな展開さえあるのだ。

8
エライザちゃんの、天然ボケ的演技の、自然体的面白さ。

彼女はオカンの行方も探してるんだけど、マジ・モードなサプライズが、後半にあります。

いつもながらに、オダギリの落ち着いた言動ぶりも、

エライザちゃんを優しく包み込む。

7
さまざまなキズナがあって、感動も、そこはかとなく感じられる、ヒューマン・ドラマになっている。

そして、本作は、今や稀少な映画オリジナル作品。

そのあたりも、頭の中においてもらって、見てもらいたい作品だ。

2018年7月 4日 (水)

「返還交渉人」

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井浦新のヒロイズムに、魅せられる映画だ

戸田菜穂ネーさんの、名サポートぶりも良し

http://www.henkan-movie.com

6月30日の土曜日から、太秦の配給により、ポレポレ東中野ほか、全国順次のロードショー。

ⓒNHK

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NHKの地上波・BSなどのテレビドラマが、そのまま映画版になった1作。

沖縄返還をポイントにした、返還に命を懸けた実在の男の、

熱血あるヒューマン・ドラマとなった。

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主演は井浦新。

彼には、正統系のヒューマニズム映画は、似合わないと思ってたけど、

今作は、思いがけないくらいの、イメチェン作品となった。

ここで、井浦新の、ARATA名義時代の作品を含めて、

マイ・ベスト・ファイブを、順不同で披露すると…。

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①本作

②かぞくのくに(2012年製作・弊ブログ分析済み)

③ワンダフルライフ(1998年)

④ピンポン(2002年)

⑤11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち(2012年・ブログ分析済み)

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●モロ北朝鮮男②、卓球嫌いの卓球の名手④、エキセントリックな作家⑤など、屈折した男を演じた井浦は、

時に、考えられないような、奇跡に近い演技力を見せていた。

しかし、死人を天国へと導く優しい男を演じた、是枝裕和監督作③や、

本作のように、ストレートな正義漢ある、ヒロイズム演技でもまた、

彼は観客を魅せられるんだと、ボクはグッときたのだ。

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ベテラン名バイ・プレーヤー石橋蓮司との、酒を飲み合っての会話シーン、

今は亡き大杉漣や、曲者俳優・佐野史郎とのやり取り、

アメリカとの交渉ぶり、

妻役・戸田菜穂との、ラブ・ストーリーとは趣きを異にした、誠実な絡みなど、

ヒロイズム演技のマニュアル・お手本的なところが、

その種の映画に見られがちな、鼻につくようなこともなく、

自然に見せている点も、かなりの好感を呼んでいたかと思う。

6_2
大阪万博や、ニュース記録映像も取り込みつつ、

1960年代から、1970年代の話にふさわしく、薄色配色で当時を再現。

映画に、シブミを加えていた。

9_2
ナレーションを担当した仲代達矢の、重厚な語り口、

哀愁のトランペットや、映画的リズミックを、構築したベースなどのサントラ使いも、

ドラマのシブミに、大いに貢献していた。

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本作はモチ、沖縄ロケ入りの映画だが、

1970年代の沖縄ロケ映画「青幻記・遠い日の母は美しく」(1973年)なんかも、思い出しつつ、見ていた一方で、

沖縄返還には「密約」が、あったとかゆう実話ドラマもあったけど、

こちらは正統系でいってるので、その種のドラマを裏とするなら、

本作は正攻法な作りによる、表バージョンだと言えるのではないか。

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井浦新・戸田菜穂夫婦が、年老いて沖縄へ行くラスト・シークエンスで、

映画的ドラマティークは完結するが、

その心地よさにも、ココロ打たれた作品だった。

2018年6月30日 (土)

6月の年間ベストテン候補作

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●日本映画

「泣き虫しょったんの奇跡」

(松田龍平・野田洋次郎・染谷将太・永山絢斗・松たか子・妻夫木聡・イッセー尾形・小林薫・國村隼ほか出演/監督・豊田利晃/9月7日公開)

http://www.shottan-movie.jp/

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●韓国映画

「沈黙、愛」

(チェ・ミンシク、パク・シネ、イ・スギョン、イ・ハニ、リュ・ジュンヨル、ほか出演/監督:チョン・ジウ/7月28日公開)

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●フランス映画

「2重螺旋の恋人」

(マリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエ、ジャクリーン・ビセット、ほか出演/監督:フランソワ・オゾン/8月4日公開)

http://www.nijurasen-koibito.com

6月度は、日本映画・韓国映画・フランス映画の3本を、

マイ年間ベストテン候補に選びました。

全ての作品は、公開直前の後日に分析いたします。

各作品のさわりを述べます。

「泣き虫しょったんの奇跡」は、将棋士ヒューマン映画の、新生面を打ち出した作品。

コミック原作の「3月のライオン」(2017年製作・弊ブログ分析済み)とは違い、

実話ならではの、シビアなリアル感・流れ・展開が、胸にじんわりとクル。

韓国映画「沈黙、愛」は、法廷ミステリーの会心作。

「オールド・ボーイ」(2003年・韓国)の、悩み深き骨太・シブミなチェ・ミンシクと、

誠実な女弁護士役パク・シネの、演技戦が見ものだ。

フランソワ・オゾン監督の新作「2重螺旋(らせん)の恋人」。

ノワール映画の嚆矢国フランスの、サスペンス映画の名匠なだけに、

心理サスペンスの妙味に加え、「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年・アメリカ)のような、インパクトがあった怪作だ。

とゆうことで、後日の分析をお楽しみに。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2018年6月29日 (金)

韓英恵主演「大和(カリフォルニア)」

1
ヒップホップを唱える、ヒロイン・ムービーの快作

アンチ・アメリカナイズが、見え隠れしてゆく作り

http://www.yamato-california.com/

6月30日の土曜日から、boidの配給で、大阪のシネ・ヌーヴォ、京都の出町座などで、全国順次のロードショー。

ⓒDEEP END PICTURES INC.

10
2017年の大阪アジアン映画祭で見て、さらに公開前に、マスコミ試写室でも見た作品。

1回目を見た時には、既にいいね~な分析を、弊ブログでしたけど、

公開前に2度見る映画とゆうのは、個人的に、引っ掛かりとか、こだわりとかが、ある作品だろう。

リピートしたいと、思った点は何か。

自らのココロと、向き合ってみた。

2
本作は、ヒップホップ・アーティストを目指す、ヒロイン・ムービーだ。

舞台は、米軍基地のある神奈川県の大和市。

基地内は、日本じゃなく、アメリカ・カリフォルニアだという伝説がある。

そんなビミョーな場所で、育ったヒロインと、家族の物語が展開する。

6
舞台となる、異質な場所に合わせ、この家族もフツーじゃない。

オカン(片岡礼子)と兄(内村遥)と、娘ヒロイン(韓英恵=かん・はなえ)の3人家族。

未亡人シングルマザーなのかは、明らかにされず、

オカンには米兵の愛人がいて、その娘(遠藤新菜)が、アメリカから大和市にやって来る。

そして、ヒロインと2人で、イロイロ遊びながら、交流していくとゆう流れ。

3
家族映画とゆうより、娘2人の交遊映画のノリだろうか。

そこへ、アメリカ発のヒップホップを、日本流に変換しようとする、音楽ムービーとしてのところがあり、

それらが、ヒロイン・ムービーとして、結ばれてゆくとゆう作りになっている。

9
ヒロイン役の韓英恵の、世をすねたようなぶっきら棒な、存在感がココロに残る。

とゆうか、ココがボクに、本作を2度も見させた、ポイントかもしれない。

8
けだるいぶっきら女優と言えば、これまでにイロイロ思い出せる、女優がいるかと思う。

でも、心底けだるいワケじゃなく、役柄に合わせて演技しているようだ。

喜怒哀楽の怒がメインだけど、その怒は自分に向けられている。

5
是枝裕和監督の「誰も知らない」(2004年製作)で魅せた、クールイズムの、応用編だとボクは捉えた。

こおゆう役柄を突き詰めれば、映画史に残るような演技を、見せられるんじゃないかと、期待を抱かせる。

4
音楽ムービーでもあるが、特に、ジャパニーズ・ヒップホップ音楽ムービーとしての、キレが鋭くて、

その種を取り込んだ映画の、代表型な作品になっている。

7
何よりも、ヒロイン映画、女性映画としての、フリーキーなカンジが表出されていて、心地よかった。

5月に見たベストテン級でも披露した通りで、

年間ベストテン級の作品だと、評してもいい快作だ。

2018年6月28日 (木)

「明日にかける橋 1989年の想い出」

2
タイムスリップ系日本映画の、大胆果敢な1作

21世紀に登場の、過去改ざん系映画に挑む!

http://www.asunikakeruhashi.com

6月30日の土曜日から、渋谷プロダクションの配給により、有楽町スバル座ほか、全国順次のロードショー。

ⓒ「明日にかける橋」フィルムパートナーズ

1
タイムスリップ系映画とくれば、これまでに多数のタイトル数がある。

そのルーツ映画は、「タイム・マシン」(1959年製作・アメリカ映画)だが、

本作では、その種の洋画の最高傑作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年・アメリカ・第2弾は1989年)が、

バック・トゥするところの、1989年とゆう時代の中で引用される。

5
日本映画のタイムスリップ・ルーツ作は、「時をかける少女」(1983年)だろうけど、

その作品以降にも、イロイロ出てきたけれど、

「時を…」を超える仕上がりの作品は、未だに出ていないのではないかと思う。

けれど、亜流と言われればそれまでだけど、挑戦的な作品は何作か出てきた。

その一つが、タイムスリップして、過去改ざんするタイプの映画で、

その種の映画としては、掟破りの作品である。

7
過去改ざん系は、21世紀になって出てきた。

日本なら、バブル時代を変えた「タイムマシンはドラム式」(2006年)などがあるが、

「信長協奏曲」(2014年)なども含め、時代のキーや歴史を変える映画は、それなりにあるけど、

あくまで、エンタとして楽しめる姿勢を崩さない。

もちろん、本作のような、歴史的には関わらない、個人的な過去改ざんも同様だ。

6
でも、過去改ざんが、キーになるポイント映画は、エンタの新たなハラドキを作った。

タイムスリップもないが、改ざんはそれに輪を掛けて、リアリティーはない。

しかし、リアリティーのなさが、映画の出来や面白さを、左右することはないと、ボクは思う。

3
両親(板尾創路・田中美里)と姉(越後はる香)弟コドモの4人家族。

1989年に、弟が交通事故死したことで、家族の不運が始まり、最悪に近い状況へ。

2008年のリーマンショックの頃に、大人になった姉(鈴木杏)は、

タイムスリップできる方式を、ダメモトでやってみて、過去へリターン。

過去を変えれば、今の状況も変わるだろうと、弟の死を回避しようと、頑張ってみるのだ。

9
過去を変え、今をハッピーにしようとする、このスタイルは、

ドラマ的には、安直で甘い作りだと、思われるかもしれない。

しかも、それがスムーズにいってしまうと、

結局、妄想系でご都合主義を、やっただけやないか、ええ加減やんと、思われてしまう。

4
確かに、甘いかもしれない。

しかし、ドラマツルギー的流れとしては、OKだ。

つまり、ドラマ・ベースがしっかりしていて、登場人物たちの、心理やキズナも説得力があり、それらの瑕瑾(かきん)を忘れさせてくれた。

見ていて面白いのだ。面白いのが、一番じゃないか。

それに、映画に久々お帰りの鈴木杏ネーさん、ええカンジやん。

だけど、みなさんの判断は、見てジャッジしてくだされ。

8
個人的には、バックにクラシックを流しての、昭和・平成の時代的流れの、ダイジェスト・シーンに妙味があり、

映画のドラマティックに、大きく貢献していたと思う。

昭和映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)を意識した、夕景シーンの数々にも魅せられた。

「万引き家族」とはまた違った、家族のキズナぶりを、見てほしい作品だ。

2018年6月22日 (金)

「猫は抱くもの」⇒猫映画最新版

2
沢尻えりかが主演した、猫映画の最新版だ

「グーグーだって猫である」と、対をなす快作

http://www.nekodaku.jp

6月23日の土曜日から、キノフィルムズ/木下グループの配給により、

新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、ほか全国ロードショー。

ⓒ2018「猫は抱くもの」製作委員会

1
日本の2大ペットといえば、犬と猫だ。

映画でも、犬映画と猫映画があるが、

犬は調教しやすいこともあってか、犬映画の方が、圧倒的に多い。

でも、最近は邦画に限れば、毎年1、2作は猫映画が、作られ公開されている。

ここで、かつても披露したけど、猫映画・日本映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、あらためてやってみると…。

3
●ベスト⇒①グーグーだって猫である(2008年製作)

②本作

③猫の恩返し(2002年)

●カルト⇒①子猫物語(1986年)

②公園通りの猫たち(1989年)

③先生と迷い猫(2015年・弊ブログ分析済み)

●猫映画にも犬映画にも、共通する点だが、どちらも4パターンほどに分けられる。

その1⇒猫を自然体にそのまま描く映画。

その2⇒猫と人間の交流・キズナを描く映画。

その3⇒猫を擬人化して描く映画。

その4⇒猫を通して人間を描く映画。

8
それぞれ1~4を、ミキシングしたりしてるけど、

犬映画の名作、例えば「さよなら、クロ」(2003年)には、「その4」はあるけど、

映画には、実は4はかなり稀少だ。

つまり、人間ドラマとして機能させるのに、演出不能の猫をフィルターにすると、4は難しいとゆうことか。

しかし、ベスト①②カルト③は、かなり健闘していると思う。

7
ベスト①、そしてベスト②の本作は、同じ監督、犬童一心監督作品だ。

犬童監督とくれば、オムニバス犬映画「いぬのえいが」(2004年)で、短編を披露したが、

姓にある犬よりも、猫にご執心か!?

小泉今日子の、人間ドラマにもなっていたベスト①。

でもって、本作はその1を控えめに、

その2~その4を、ドラマツルギー的に、ミキシングした快作となった。

6

演劇的な作りが際立った。

ディズニー・アニメや、ミュージカル「キャッツ」などは、猫の擬人化ものの最たるものだが、

本作は、猫そのものが集うシーンもあるが、猫的外装を施さずに、人として描出。

野良猫グループを、人間たちのホームレス一団として描いたり、

場面転換に、演劇的舞台変換を採用したりと、工夫が凝らされている。

4
元アイドル・グループの一員で、今は引退してスーパーのレジをやってる沢尻えりかが、

野良猫(猫の種類はロシアンブルー・人は吉沢亮)を、スーパーの倉庫裏で飼ってる。

そんな沢尻に言い寄る店長や、飼い猫が消えた画家(峯田和伸)たちと関わりながら、猫とのキズナを深めてゆく。

そんな時、アイドル・グループの復活が持ち上がり…。

今年の沢尻えりかの、攻撃的な女刑事役だった「不能犯」(2018年・弊ブログ分析済み)とは違った、

自然体の退きの演技に、妙にホッとさせられた。

5
多彩な猫役人間にも注目したい。

音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」の、柔和なサントラに加え、

そのフロントの、コムアイの猫役は、とてもスムースで優しい感触で、ココロにきた。

とゆうことで、新鮮味にあふれた猫映画だった。

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