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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2021年1月27日 (水)

中国映画「羊飼いと風船」

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「赤い風船」へのオマージュか
 
牧場系中国映画のフレキシブル
 
 
1月29日のフライデーから、ビターズ・エンドの配給により、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は2019年製作の中国映画102分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2019 Factory Gate Films. All Rights Reserved.

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21世紀も20年代に入った今、

それでも世界のどこかでは、

素朴で前近代的な生活に、

いそしむ人たちがいる。

チベットもそんな国だろうか。

ブラピが主演した、

ハリウッド映画の

「セブン・イヤーズ・イン・チベット」

(1997年製作・アメリカ映画)

などの、偉人の生き方とは違い、

チベット庶民は、牧畜業を中心に、

地味な暮らしを営んでいる。

その生活ぶりと1家族の日常を、

淡々と描いた映画が本作だ。

チベット舞台の中国映画だが、

チベットの監督

ペマ・ツェテン監督が、

映画作家的手法を

イロイロ駆使しながら、

地味な話を壮大に見せている。

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四囲をぼかした映像、

近接撮影による

種羊を巡る長回し撮影、

柱をセンターラインにした、

避妊に関する女医と患者の長回し、

コドモたちがはしゃぐ

スロー・モーション、

広大な草原・大地に加え、

厚い雲が広がる空の描写など、

自然描写の映画的取り込み具合など、

随所にシブミを感じさせる

シーンが続出する。

ラストロールでは、

チベット仏教風の、

フィメール・スロー・ナンバーが

流れ、しみじみと胸にクル。

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そして、何といっても

目を瞠るのは、母親役を演じる、

チベットの舞台女優

ソナム・ワンモの、

複雑な心理演技の妙味だろう。

尼になった妹や、

妹の彼氏との対峙など、

重要なシーンで見事な演技で魅せる。

でもって、おじんが死亡し、

転生するかもとゆうところで、

妹が妊娠するなど、

輪廻転生の世界観も、

きっちりと描かれている点が、

興味深い内容となっている。

コンドームを風船にする

コドモたちとゆうシーンも

ユニークで、最後には

本当の風船を飛ばすところなど、

名作短編「赤い風船」

(1956年・
フランス)への、

オマージュかとも取れる、

シーンもあって、

個人的には嬉しかった。
 
コロナ禍を忘れさせてくれる、

朴訥とした癒やし感に

ぜひ浸ってみてください。
 

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