パレスチナ映画「天国にちがいない」
サイレント映画のオマージュある
映画監督役主人公の試行錯誤
1月19日より、アルバトロス・フィルムとクロックワークスの配給により、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか、全国順次のロードショー。
本作は2019年製作の、フランス・カタール・ドイツ・カナダ・トルコ・パレスチナ合作の、本編102分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
Ⓒ2019 RECTANGLE PRODUCTIONS-PALLAS FILM-POSSIBLES MEDIA II-ZEYNO FILM-ZDF-TURKISH RADIO TELEVISION CORPORATION
パレスチナ系イスラエル人の
映画監督、
エリア・スレイマン監督の、
10年ぶりの新作。
自ら映画監督役となり、
自身の企画を売り込んでゆくが、
うまくはいかない、映画監督の
苦悩ぶりを描く映画。
メイキングを含む、
映画監督・主人公の話といえば、
ボク的には、
イの一番に思い出すのは、
フェデリコ・フェリーニ監督の
「8/1/2」(はっかにぶんのいち・
1963年・イタリア)だが、
本作は、それに近いニュアンスを
持った作品となった。
製作中の現場での悩みではない。
企画段階で、自らが映画化を目指し、
パリやニューヨークへと赴き
売り込みをする。でもしか、
主人公・監督の設定は、
言葉なきプレゼンテーションを
する人なのだ。主人公を
セリフなしのサイレントにし、
何やら傍観者めいた作りに
するとなれば、間違いなく、
チャップリン作品ら、
サイレント映画への意識と、
さりげない主張があり、いわゆる
無声映画へのオマージュ
であると取れる。
サイレント映画へと
オマージュした映画は数多い。
中でも、主人公をその設定にした
映画となれば、フランスの
ジャック・タチ監督が、
自ら主演し監督した、
1950年代の一連の作品が
思い出される。但し、本作の
監督主人公は、タチ監督ほど
行動的じゃなく、もっとずっと
傍観者の立場を堅持する。
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