「パリの調香師 しあわせの香りを探して」
香水作りのノウハウを魅せる
調香師ヒロインの
ヒューマン・ドラマ
1月15日のフライデーから、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田ほかで、全国順次のロードショー。
本作は2019年製作の、フランス映画101分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⒸLES FILMS VELVET - FRANCE 3 CINEMA
フランスの調香師の
ヒューマン・ドラマ映画。
香水で有名になった
人たちのドラマは、
「ココ・アヴァン・シャネル」
(2009年製作・フランス)など、
実話を含めてそれなりにあるけど、
人間性に肉迫する描写はあっても、
香水作りの詳細部については、
ほとんど明らかにされなかった。
本作は、香水を作る調香師の、
おそらく映画史上初めての
人間ドラマである。
嗅覚に異状をきたして
業界から身を引き、
エージェントの取ってくる
臭いにまつわる仕事、
例えば嫌な臭いを消すためには
どうするかとか、そんな仕事を
やってるヒロイン
(エマニュエル・ドゥヴォス)。
でも、彼女の描写からは、
ドラマは始まらない。
彼女を仕事場へと運ぶ、
専用タクシードライバー
(グレゴリー・モンテル)の
話から始まるのだ。
とゆうか、ヒロインと
このタクドラとの関係性によって、
ドラマがビビッドに
動いていくのだ。その関係性は
アカデミー作品賞受賞の
「ドライビング・ミス・デイジー」
(1989年・アメリカ)の、
女主人と黒人お抱えドライバーとの
関係性に似ているが、向こうが
黒人差別の社会性の中で捉えたが、
本作にはそういうところはない。
そして、男と女のラブ抜きの
ドラマに徹した作りになっている。
男と女の友情
といったドラマでもない。
もっと、シンプルで
お互いの行方を見守るような
対等の関係で、それぞれの
個人的なところに、深く
介入していくようなことはない。
しかし、そんなシンプルさが徐々に、
胸を突くようなドラマになっていく。
共にフランス映画だけど、
男と男のベタな「最強のふたり」
(2012年・弊ブログ分析済み)や、
女と女のベタな
「アデル、ブルーは熱い色」
(2014年・ブログ分析済み)とは違う、
ソーシャル・ディスタンスな、
適度な距離を保った関係性。
それでいて、しみじみと
胸にクルような関係性だ。
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