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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2021年1月12日 (火)

「パリの調香師 しあわせの香りを探して」

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香水作りのノウハウを魅せる
 
調香師ヒロインの

ヒューマン・ドラマ
 
 
1月15日のフライデーから、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田ほかで、全国順次のロードショー。

本作は2019年製作の、フランス映画101分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸLES FILMS VELVET - FRANCE 3 CINEMA

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フランスの調香師の

ヒューマン・ドラマ映画。

香水で有名になった

人たちの
ドラマは、

「ココ・アヴァン・シャネル」

(2009年製作・フランス)など、

実話を含めてそれなりにあるけど、

人間性に肉迫する描写はあっても、

香水作りの詳細部については、

ほとんど明らかにされなかった。

本作は、香水を作る調香師の、

おそらく映画史上初めての

人間ドラマである。

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嗅覚に異状をきたして

業界から身を引き、

エージェントの取ってくる

臭いにまつわる仕事、

例えば嫌な臭いを消すためには

どうするかとか、そんな仕事を

やってる
ヒロイン

(エマニュエル・ドゥヴォス)。

でも、彼女の描写からは、

ドラマは始まらない。

彼女を仕事場へと運ぶ、

専用タクシードライバー

(グレゴリー・モンテル)の

話から始まるのだ。

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とゆうか、ヒロインと

このタクドラとの関係性によって、

ドラマがビビッドに

動いていくのだ。その関係性は

アカデミー作品賞受賞の

「ドライビング・ミス・デイジー」

(1989年・アメリカ)の、

女主人と黒人お抱えドライバーとの

関係性に似ているが、向こうが

黒人差別の社会性の中で捉えたが、

本作にはそういうところはない。

そして、男と女のラブ抜きの

ドラマに徹した作りになっている。

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男と女の友情

といったドラマでもない。

もっと、シンプルで

お互いの行方を見守るような

対等の関係で、それぞれの

個人的なところに、深く

介入していくようなことはない。

しかし、そんなシンプルさが徐々に、

胸を突くようなドラマになっていく。

共にフランス映画だけど、

男と男のベタな「最強のふたり」

(2012年・弊ブログ分析済み)や、

女と女のベタな

「アデル、ブルーは熱い色」

(2014年・ブログ分析済み)とは違う、

ソーシャル・ディスタンスな、

適度な距離を保った関係性。

それでいて、しみじみと

胸にクルような関係性だ。

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自然体と言っていいのか、

ヒロインと主人公は、

激することもなく、

スムーズな演技性で、

ドラマを演じ抜いていた。

エキセントリックな演技が、

ドラマの鍵を握ったりするけど、

本作は大人の冷静さが、

最後まで統一された作品だった。

香水作りの実際にも踏み込み、

2人の相棒ぶりをさりげなく示す。

地味が滋味になる、

あと味のいい作品だった。
 

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