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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2021年1月21日 (木)

「花束みたいな恋をした」菅田将暉・有村架純主演

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菅田将暉と有村架純が

恋に落ちて
 
21世紀の日本的

ラブストーリーの在り方とは
 
 
1月29日の金曜日から、東京テアトルとリトルモアの配給により、TOHOシネマズ日比谷ほか、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2021『花束みたいな恋をした』製作委員会

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1980年代末から1990年代、

2000年代前半くらいまで、

連続テレビドラマの

要として機能していた、

ラブストーリーを主に核とした

トレンディー・ドラマ(以下TDと略記)。

それは今や過去の栄光(!?)となり、

形骸化・変異している状況にある。

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映画との関連でいえば、

確かに1990年代には、

ドラマの劇場版としてリンクし、

ラブストーリーじゃないけど、

「踊る大捜査線」などの

傑作を生み出した。その後、

テレビドラマの劇場版が、

次々に輩出されてきたのも、

「踊る大捜査線」の大ヒットを

ピークとした、TDの

隠し裏ポイントが

あるように思われる。

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では今、TDはどこにあるのか。

テレビドラマはモチ、

試行錯誤を繰り返しつつも、

いちおうのラブストーリー・

ドラマを、常に作り続けている。

しかし、1990年代にあった、

「僕は死にません」みたいな、

ストレートで、誰にでも

分かりやすくて、共鳴できる

ラブストーリーは、あんましない。

また、そういう愛の在り方が、

つまらないと思われがちだ。

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そんな中、TDの代表傑作

「東京ラブストーリー」の、

オリジナル脚本を書いた坂本裕二が、

久々に映画の脚本、しかも

オリジナルを書き上げた。そして、

昨年のベストテン級傑作「罪の声」

(弊ブログ分析済み)や、泣ける映画の

「いま、会いにゆきます」

(2004年製作)を撮った、

土井裕泰監督が、

本作のメガホンを執った。

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それぞれ同じような行為や、

感想を覚える、スマホ世代の2人

(有村架純・
菅田将暉)が、

ちょっとしたことから出会う。

この“同じような”は、

わざとらしく見えるが、

作術的にはラブストーリーの

伏線的には、巧妙な

仕込み具合だと思う。2人は

最初は恋に落ちてる

カンジはなかったんだけど、

やがて両想いだと気付き、

途端にラブラブの

展開になってゆくんだ。

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2015年からコロナ禍直前の

2020年まで、いかにも、

21世紀10年代の日本的

ラブストーリーの在り方を、

顕現しているような作りなのだが、

このカップルは同棲はするけども、

結婚はしない。でも、

2人の心の動きの描写は、

緻密で繊細だった。

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そんな役柄を演じたのは、

有村架純と菅田将暉の2人。

まとめて自然体の演技と

評すればいいのだろうけど、

しかし、2人のそれぞれの演技には、

心に刻まれるサムシングがあった。

恋人同士の微妙な距離感や

行き違いを自然体ながら

絶妙に演じてるんだ。

そのあたりを、今どきの

恋愛映画を見る中で、

ジワッと感じてもらいたい。

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何はともあれ、

TDの21世紀的映画移植が、

見事にハマった作品だろう。

TDが次の世代に伝えられるとしたら、

本作を通してではないか。

そこまで考えさせられるくらい、

TD遺伝子がギュッとクル映画だった。

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コロナ禍で制約のある今だけど、

「鬼滅の刃」が大ヒットしたならば、

本作もそれくらいヒットしても、

おかしくない仕上がりだ。

コドモには分からないかもしれないけど、

家族や恋人と一緒に見てほしい1作。

不要不急じゃない、

みんなで楽しむための劇場鑑賞です。

そして、胸に染みる何かを

ぜひ感得してください。

今年イチバンヤーのおすすめです。
 

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