「花束みたいな恋をした」菅田将暉・有村架純主演
菅田将暉と有村架純が
恋に落ちて
21世紀の日本的
ラブストーリーの在り方とは
1月29日の金曜日から、東京テアトルとリトルモアの配給により、TOHOシネマズ日比谷ほか、全国ロードショー。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
Ⓒ2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
1980年代末から1990年代、
2000年代前半くらいまで、
連続テレビドラマの
要として機能していた、
ラブストーリーを主に核とした
トレンディー・ドラマ(以下TDと略記)。
それは今や過去の栄光(!?)となり、
形骸化・変異している状況にある。
映画との関連でいえば、
確かに1990年代には、
ドラマの劇場版としてリンクし、
ラブストーリーじゃないけど、
「踊る大捜査線」などの
傑作を生み出した。その後、
テレビドラマの劇場版が、
次々に輩出されてきたのも、
「踊る大捜査線」の大ヒットを
ピークとした、TDの
隠し裏ポイントが
あるように思われる。
では今、TDはどこにあるのか。
テレビドラマはモチ、
試行錯誤を繰り返しつつも、
いちおうのラブストーリー・
ドラマを、常に作り続けている。
しかし、1990年代にあった、
「僕は死にません」みたいな、
ストレートで、誰にでも
分かりやすくて、共鳴できる
ラブストーリーは、あんましない。
また、そういう愛の在り方が、
つまらないと思われがちだ。
そんな中、TDの代表傑作
「東京ラブストーリー」の、
オリジナル脚本を書いた坂本裕二が、
久々に映画の脚本、しかも
オリジナルを書き上げた。そして、
昨年のベストテン級傑作「罪の声」
(弊ブログ分析済み)や、泣ける映画の
「いま、会いにゆきます」
(2004年製作)を撮った、
土井裕泰監督が、
本作のメガホンを執った。
それぞれ同じような行為や、
感想を覚える、スマホ世代の2人
(有村架純・菅田将暉)が、
ちょっとしたことから出会う。
この“同じような”は、
わざとらしく見えるが、
作術的にはラブストーリーの
伏線的には、巧妙な
仕込み具合だと思う。2人は
最初は恋に落ちてる
カンジはなかったんだけど、
やがて両想いだと気付き、
途端にラブラブの
展開になってゆくんだ。
2015年からコロナ禍直前の
2020年まで、いかにも、
21世紀10年代の日本的
ラブストーリーの在り方を、
顕現しているような作りなのだが、
このカップルは同棲はするけども、
結婚はしない。でも、
2人の心の動きの描写は、
緻密で繊細だった。
そんな役柄を演じたのは、
有村架純と菅田将暉の2人。
まとめて自然体の演技と
評すればいいのだろうけど、
しかし、2人のそれぞれの演技には、
心に刻まれるサムシングがあった。
恋人同士の微妙な距離感や
行き違いを自然体ながら
絶妙に演じてるんだ。
そのあたりを、今どきの
恋愛映画を見る中で、
ジワッと感じてもらいたい。
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