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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2020年12月の記事

2020年12月29日 (火)

2020年マイ年間ベストテン

●日本映画

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①ラストレター

 

 

②朝が来る

 

③罪の声

 

④浅田家!

 

⑤海辺の映画館

 

⑥日本独立

 

⑦宇宙でいちばん


明るい屋根

 

⑧滑走路

 

⑨マザー

 

⑩本気のしるし

 

●外国映画

 

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①ロングデイズ・


ジャーニー(中国)

 

②パラサイト 


半地下の家族(韓国)

 

 

③デンジャー・クローズ


(オーストラリア)

 

④リチャード・ジュエル


(アメリカ)

 

⑤赤い闇(フィンランド)

 

⑥シチリアー(イタリア)

 

⑦レ・ミゼラブル(フランス)

 

⑧在りし日の歌(中国)

 

⑨はちどり(韓国)

 

⑩この世の果て、


数多の終焉(フランス)

 

●キネ旬予想と


共通するとこもあるけど、


ここはマイだから、


我が道を往きたいところ。


邦画ではボクが


今年イチバンヤー


やったのは、


コロナ禍前に公開された、


岩井俊二監督の


「ラストレター」だ。


監督の最高傑作


「Love Letter」


(1995年)の


アンサー映画であり、


旬のアイドル広瀬すずと、


福山雅治の出会いを


ポイントにして、


胸ワクドキの作品だった。


松たか子と福山の


つながりがメインだけど、


この3人のコラボレートを、


素敵に紡いだ


岩井監督流儀に痺れた。


DVD化されているので、


みなさん、年末年始に、


自宅・自室で


チェックしてみてください。


洋画のナンバーワンは、


「ロングデイズ・


ジャーニー」。


コロナ発の


中国作品だけど、


発祥以前に


作られた作品で、


今までの中国作品の


イメージを変えた作品。


これもコロナ禍前に


公開された作品。


中国のヌーヴェルバーグ


ともいえる作品で、ボクは


タン・ウェイの、


本家本元に主演した女優


(ジーン・セバークら)に


まさるぶっきら


フリーキー演技に


魅せられた。


(選=映画分析研究所


 所長 宮城正樹)

 

 

2020年12月28日 (月)

キネマ旬報2020年年間ベストテン予想

キネマ旬報2020年


年間ベストテン結果


☆予想(2020年年末)


●日本映画

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①海辺の映画館 キネマの玉手箱


(大林宣彦監督の遺作)

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②朝が来る


(来年の米アカデミー賞の


日本代表で送り出された作品)

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③浅田家!


(嵐のニノが主演した


写真家ドラマにして家族ドラマ)

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④マザー


(長澤まさみが


汚れ演技で魅せる)

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⑤スパイの妻


(ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞)

 

⑥罪の声


(グリコ・森永事件の今を描く)

 

⑦れいわ一揆


(原一男監督の長尺


ヒューマン・ドキュ)

⑧本気のしるし


(男女ラブの変型を


微妙・絶妙に描く)

⑨ラストレター


(福山雅治・広瀬すず共演の


岩井俊二監督作)

⑩さくら


(家族ドラマの問題作)

次点:男はつらいよ お帰り寅さん


(新・寅さんシリーズ第1弾)

 

●外国映画

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①パラサイト 半地下の家族(韓国)


(2019年アカデミー賞作品賞受賞)

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②TENET テネット(アメリカ)


(クリストファー・ノーラン監督の新作)

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③マーティン・エデン(イタリア)


(ブルーカラー作家の


ヒューマン・ドラマ)

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④ペイン・アンド・グローリー


(スペイン)


(ペドロ・アルモドバル監督の新作)

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⑤リチャード・ジュエル


(アメリカ)


(クリント・イーストウッド監督作)




⑥レ・ミゼラブル(フランス)


(カンヌ国際映画祭で受賞の群像劇)

⑦ロングデイズ・ジャーニー


(中国)


(中華映画のヌーヴェル・バーグ)

⑧はちどり(韓国)


(韓国インディーズ映画の今年の代表作)

 

⑨シラノ・ド・ベルジュラック


に会いたい(フランス)


(
演劇メイキング映画の傑作)

 

⑩1917(アメリカ)

 

(サム・メンデス監督の新作)

 

次点:フォード&フェラーリ


(アメリカ)(実在レースマンの実話)

●コロナ禍がカルチャーの


公開・上演部の全てを


奪ったといえる2020年。


試写室での試写も一時の閉鎖・


現況の制限された中において、


マイ・ベストテンの披露


(無理にでも年末に披露します)も


躊躇するんだけど、でもしか、


今年もキネマ旬報の、


邦画・洋画に分けた、


年間ベストテンを


マイ予想してみました。


自身が見ていない映画もあります。


そんな中での予想は


不遜ではあるけども、


みなさんの非難覚悟でやってみました。


見ていない作品は評判・


評価を基準にし、


見た作品はマイ評価のままに、


羅列してみたカンジです。


監督で選んだところも


あるんですが、各作品には


一口コメントを入れました。


ボク的には、邦画では②、


洋画では⑦⑧が印象深かった。

 

(選=宮城正樹)


●結果(2021年2月5日付け)


●日本映画

①スパイの妻<劇場版>

 

②海辺の映画館-キネマの玉手箱


③朝が来る


④アンダードッグ


⑤本気のしるし<劇場版>


⑥37セカンズ


⑦罪の声


⑧喜劇 愛妻物語


⑨空に住む


⑩アルプススタンドのはしの方


次点:れいこいるか


●外国映画


①パラサイト 半地下の家族


②はちどり


③燃ゆる女の肖像


④ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語


⑤死霊魂


⑥異端の鳥


⑦フォード vs フェラーリ


⑧ペイン・アンド・グローリー


⑨1917 命をかけた伝令


⑩TENET テネット


次点:レ・ミゼラブル


☆講評


●順位は別にして、


邦画・洋画で各5作ずつの


10本の的中。


50パーセントの的中率は、


映画評論家を標榜してる者としては、


決して誉められたもの


ではありません。


マイナー系の作品は、


コロナ禍の大阪とゆうところでは、


ほとんど見る機会がなく、


まあ言い訳であるのは


間違いありませんが、


見ようと思えば、


DVDででも見られたわけで、


自分の不徳とゆうところでしょう。


一方において、今年の


キネ旬年間ベストテンで


最も驚いたのは、


読者のベストテンで


邦画の1位になった、


故・三浦春馬の主演作


「天外者」が、評論家の方で


誰も投票していなかったことです。


う~ん、これは一体


どおゆうことなのか。


試写がなかったから


誰も見ていなかったのか、


それとも…。謎めきあるこの点が、


奇妙にも心に引っ掛かりました。


いずれにしても、今年は


100パーセント当てたいと思います。

 

 

 

2020年12月25日 (金)

「映画 えんとつ町のプペル」

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ゴミ人間と少年の

ヒロイズム・アニメ
 
エンタメの要素を

多彩に取り入れた傑作
 
12月25日のクリスマスから、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ西野亮廣/「映画エントツ町のプペル」製作委員会

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抑圧された街で、

明るい現実を探すとゆう、

いわゆるプレッシャーを

はねのけて夢を

実現するタイプの、

映画系列に入る作品だ。

その種の映画の醍醐味は、

夢が実現した時の爽快感だ。

本作は、そこんところを、

多彩な映画的エンタ要素を

散りばめながら、描き込んでいる。

いきなり、HYDEの

ハードロックに乗って、

ハロウィンのコスプレ・

ダンス・ミュージカル・シーン

が披露される。

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映画内では、

5曲の多彩なJポップが流れて、

ゴミ人間プペル(声・窪田正孝)や

少年ルビッチ(声・芦田愛菜)の

キモチを見せるシーンや、

ダイジェスト・シーンなどで

使用されて、ノリノリだったり

キモチ消沈だったりする。

その使い方は、

サントラ使いとしては

見事なものだった。そして、

冒頭のミュージカルのあとに

展開する、アクション・シーンの、

もの凄さには

驚きを隠せなかった。

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「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」

(1984年製作・アメリカ)ばりの、

スピードフルな落下・移動撮影の、

ゴミ処理場に放り込まれるのを、

何とか奇跡的に回避するシーン。

ゴミ人間と少年のトンデモなさに

ハラハラドキドキ、たまらない。

そんな2人がアレコレ

やり取りしながら、かみ合わない

相棒ぶりを見せながらも、

何とか生きていくのだ。

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ゴミ人間の窪田正孝の

作り弱々声と、主人公の

芦田愛菜の自然体な声が、

ハーモニーの

上のパートと下のパート、

といったカンジで

粋なコラボレートを見せる。

そして、この二人の

積み重ねられるやり取りが、

チビチビココロにきて、

でもって、最後には

ドッカーンと爆発するんだ。

立川志の輔の物語る

ナレーションに乗って、

空飛ぶ船艦に乗った

2人のシークエンスは、

本作のクライマックスだ。

ハリウッド映画ばりのスタントを、

見せてくれて酔わせてくれる。

アニメでスタントなんてゆわないけどね。

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スモッグに空が覆われた

灰色の街を示すため、

原色系をできるだけ排した、

褪せた色使いが

作品にマッチしている。

主人公の死んだ父との、

過去のエピソード部では、

モノクロになったりする。

モチ、キズナ系のドラマ部の

描き方も、巧妙を極めている。

しかも、押し付けのない、

感動がある点にも注目だ。
 

2020年12月23日 (水)

「劇場版ポケットモンスター ココ」⇒映画版第23作

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ポケモン父と

人間コドモのキズナの在り方
 
悪人間とサトシと

ピカチュウの戦いは続くのだあ~
 
 
12月25日のクリスマスから、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸNintendo・Creatures・GAME FREAK・TV TOKYO・ShoPro・JR Kikaku

ⒸPokemon

Ⓒ2020 ピカチュウプロジェクト

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最新版のドラえもんの

とこでも書いたんだ
けど、

ポケモン・シリーズもまた、

映画紹介はあっても、

映画レヴュー(評論)がなされない、

国民的アニメである。

大ヒット中の「鬼滅の刃」にしても、

ボクは同じだと思う。

テレビでの連続放映があり、

そんな中での映画版。いわゆる、

テレビアニメとの関連性などを加えると、

非常に映評をするのが

難しいとゆうところがある。

以前もやってみたけど、

色使いなどを分析する、

手法はあるにはあるけれど…。

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しかし、ポイントとしては、

ドラえもんもポケモンも鬼滅も、

実はキズナとゆうものが、

アニメの大きな感動と

見どころになっている。もちろん、

見ごたえあるアクション・

シークエンスはあるよ。でも、

それらが披露される理由には、

人と人、あるいは

人と何かのキズナが、

必ず関わっている。

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本作では、そのキズナが、

ポケモン義理父と、

人間のコドモの間で、

展開するのだ。

「ターザン」のノリに似たタッチ。

捨てられていた

人間の赤ちゃんココを、

見るに見かねて保護した

森のポケモン「ザルード」が、

仲間たちから掟破り

と言われて、追放される。

しかし、ザルードはココを育てて

数年後には、

はつらつとした少年に育てた。

ココは町に出て、

サトシとピカチュウに出会う。

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一方、森中の神聖なる地を求めて、

人間たちが森へ侵攻してくる。

いわゆる環境破壊の

森林伐採のノリかな。

ココには当然

人間の両親がいるので、

サトシはココのために

両親を探そうとする。

でもって探し当てた両親は

既に死んでいた。実は

ココの父は、森中の地に関する

研究に携わっていたのだ。

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てなカンジで、どうあっても、

ストーリーを中心に

紹介するとゆうのが、

ポケモン新作の定番に

なってしまう。そんな中でも

特筆しておきたいのは、まずは

ピカチュウが進撃を阻止する

ハットトリックなアクションの妙味。

さらに、父子のキズナと共に、

ココの自立だろうか。

ポケモンと人のキズナ。

本作シリーズのキモとなるところを

最大限に引き出した快作だ。
 

2020年12月22日 (火)

アニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」

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実写映画化より

17年ぶりのアニメ化
 
介護する男と介護される女の

前向きラブストーリー
 
 
12月25日のクリスマスから、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020 Seiko Tanabe/KADOKAWA/Josee Project

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アニメ映画化先行の

実写映画化が多い中で、

その逆パターンによる作品。

しかも、実写映画化より、

17年ぶりとなる
アニメ化だ。

「時をかける少女」(1983年)は

23年ぶりだったけど、

本作はそれに続くインターバル。

共に、小説原作の実写作品で、

映画評論家筋から高い評価を得た。

それゆえに、アニメ化するには

高いハードルがあったと思われる。

しかし、本作は「時と…」と同様、

そのハードルを越えて、

実写作品に変わらぬ評価を

得られる作品になった。

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車椅子の女性と、

介護する大学生男子の

ラブストーリーだが、

どちらかが病系の恋愛ものの、

定番ともいえる、

涙をしぼらせる

悲しき結末はなく、あくまで

ポジティブ恋愛である点が、

実写版でも撮られていたが、

本作ではさらに

前向き系が捉えられて、

三角関係ドラマとしても、

フツーの恋愛映画として見ても、

見ごたえある作品となった。

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実写作品はみなさん、

大たいの方は見ているだろうけど、

介護する男は妻夫木聡、

介護される車椅子の女性は、

池脇千鶴が演じたが、

2人の好演と、

アニメ・キャラの演技は、

確かにあまり変わりは

ないように見える。しかし、

アニメならではの

サムシングがある。

そのあたりの機微を

味わってもらいたい。

スタジオジブリの原色系ではない、

薄色配色も良かったし、

声優はあんまし

クローズアップされないにしても、

中川大志と清原果耶とゆう

フレッシュさで、
キャラを

声は目立たないながらも、

見事に表現している。

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実写版を未見の方は、

前後してもモチOKなので、

ぜひ見比べていただきたいと思う。

また、近作では、

実写後アニメ化の

「思い、思われ、ふり、ふられ」

(2020年・弊ブログ分析済み)

とゆう
作品があったけど、

微妙なラブストーリーとしての

違いも確認してもらいたいところ。

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大阪舞台のアニメ

とゆうのも稀少だ。

関西弁が飛び交い、

グリコの看板のある道頓堀川、

天王寺動物園、

紅葉、桜舞う中之島公園、

天保山の海遊館などの、

舞台背景がリアルに

描写されていて臨場感OK。

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癒やし系のポップス、

バンド・サウンド、

キャッチーなポップロックなど、

サントラ使いにも

ココロ弾む映画だった。

2020年12月17日 (木)

「日本独立」⇒浅野忠信・宮沢りえ共演

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敗戦直後映画の

ポジティブな群像劇映画
 
日本国憲法誕生秘話を

スリリングに描く
 
 
12月18日の金曜日から、TOHOシネマズ シャンテほか、全国順次のロードショー。

本作は、2020年製作の、日本映画2時間7分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「日本独立」製作委員会

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第二次世界大戦・太平洋戦争での、

日本の敗戦直後映画とゆうのは、

戦中映画よりは、タイトル数は

少ないけれど、これまでに

ケッコーな数が輩出された。

「日本のいちばん長い日」

(1967年製作)のような、

敗戦カウントダウンの

映画のようなスリリングが、

日本国憲法誕生秘話として、

同じく手に汗握る緊張感

をもって綴られていく。

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直後ものとして、既に

映画化された傑作が何作かある。

例えば「天皇」(2005年・

露&伊&仏&スイス)とか、

「マッカーサー」

(1978年・アメリカ映画)とか、

さらに日本国憲法については、

弊ブログで分析した映画を含め、

数作の先例があった。しかし、

本作ほどのビビッドやスリリングは

感じられなかったように思う。

しかも、本作は

オールスター映画として、

また、コロナ禍の時代になぞらえた、

お正月映画として、みんなでぜひ

映画館へ行ってもらいたい

そんな映画になった。

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実在の人物に扮した

役者陣の熱血の演技が、

胸を熱くする。

映画にもなった吉田茂役に、

キャリア史上初めての、

メーキャップを施して

演じた小林薫。いやはや渋い。

何より、GHQとの憲法交渉の、

仲立ちをやった

白洲次郎役の浅野忠信の、

抑揚を利かせた演技は、

彼のベストな演技の1本となった。

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白洲次郎の妻・正子役の宮沢りえ。

アイドル演技からキャリアを始め、

その後さまざまな苦境を経て、

胸に染みる癒やしの演技へと、

到達した彼女の演技は、

暑苦しい男たちの群像劇において、

見事な緩衝的和みの演技で魅せてくれた。

柄本明、松重豊、石橋蓮司、

伊武雅刀、佐野史郎、浅田美代子

などのベテラン陣の、

なりきり好演に加え、

久々の大鶴義丹、

小林秀雄役の青木崇高、

「戦艦大和ノ最期」を実体験から書いた

吉田満役の渡辺大などの、

エピソードも印象深い。

宮沢りえと並ぶ

癒やしの演技として、

吉田茂の三女・麻生和子役の

梅宮万紗子には、

個人的にグッときた。

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伊藤俊也監督の新作だ。

萩原健一主演のサスペンス

「誘拐報道」(1982年)に感動し、

梶芽衣子主演の伝説の映画

「女囚701号さそり」

(1972年)に胸焦がれ、

アルツハイマー映画

「花いちもんめ。」(1985年)

にホッコリした。そして

21世紀に撮り上げた本作。

監督のマイ・ベスト・スリーに

入る傑作だ。
 

「夏、至るころ」池田エライザ監督作品

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男の友情を描く

青春学園ムービー
 
ジャニーズ並みの男優が演じる
 
 
12月18日の金曜日から、池袋シネマ・ロサ、立川シネマシティ、アップリンク吉祥寺ほか、2021年1月29日からシネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。渋谷ホワイト シネクイントなどでは12月4日から上映中。

本作は、2020年製作の日本映画105分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「夏、至るころ」製作委員会

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女優監督、池田エライザが

メガホンを執った

映画監督デビュー作品。

俳優監督の作品は、

邦画・洋画を問わず、

これまでに多数撮られ続けてきた。

クリント・イーストウッドや

ロバート・レッドフォードなど、

アメリカを中心に男優監督の方が

幅を利かせているようだが、

女優の方も決して負けてはいない。

邦画でいえば、かつては田中絹代、

左幸子などが傑作を輩出し、

2020年の最近でも、

黒木瞳が新作を発表している。

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しかし、20歳代の女優が

監督するとゆうのは、

邦画史上初めてではないだろうか。

しかも、これが原作ものではなく、

彼女、エライザ監督の

オリジナルなのである。さらに、

福岡の地方ロケによる、

男の友情を描いた

青春学園ムービーだ。

女監督だから、女のことを

描こうなんてゆうところはない。

ボクはそこんとこが気に入った。

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主人公(倉悠貴)と、

その友情相手となる男子生徒

(石内呂依)の二人は、

イライザ監督の好みかどうかは

別にして、ジャニーズ俳優並みの

イケメンだけど、陳腐なBL映画

とは一線を画す、男の友情節を、

監督は緻密かつ繊細に演出している。

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主人公の家族映画としての、

温かみも忘れられない仕上がりだ。

父母と主人公を兄とする息子2人に

祖父母の6人家族の物語でもある。

監督だけでなく

プロデューサーもやってる

杉野希妃がおかあさん役で、

ちょっととんがってるけど、

息子主人公を励ますとこで

好感はいいね~。

祖父役リリー・フランキーと

孫主人公のやり取りの

シブミもいいね~だし、

ギター少女(さいとうなり)や、

先生(高良健吾)との

エピソードも印象深い。

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リリー・フランキーが読む

小説のナレーションと、

ギター・サントラを流しながら、

主人公が行動するシークエンスは、

ボクは本作で最も痺れたシーンだ。

無論、クライマックスとなる、

男2人による夏祭りの

太鼓プレイ・シーンも見どころで、

2人のツーショット・シーンの

長回し撮影やらも、

練り込んだセリフと共に

ココロにきた。

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男ゴコロが百パーセント、

リアルに描かれている

とは思わないけど、監督なりの

良質な切り込みぶりには、

心地よさしかなかった。

旅立ちのラストシーンも

キモチいい快作だ。
 

「佐々木、イン、マイマイン」

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シリアスな

青春プレイバック映画
 
それでもボクたちは…
 
 
11月27日から、パルコの配給により、新宿武蔵野館、渋谷シネクイント、TOHOシネマズなんば、シネ・リーブル神戸、MOVIX京都、ほかで全国順次の上映中。京都・出町座などは2021年元旦1月1日より上映。

本作は2020年製作の日本映画119分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ映画「佐々木、イン、マイマイン」

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高卒数年後に振り返る、

青春プレイバック映画。

この種の日本映画で

ボクの最高傑作といえば、

城戸賞受賞作を

藤田敏八監督が撮った

男の友情映画「帰らざる日々」

(1978年製作)なのだが、

21世紀にもなると、友情も

それほどシリアスで深い

ものではなくなっている。しかし、

悩み深き青春と現実とゆう意味では、

内実はおんなじだとゆう気がする。

センチメンタルな感傷があったり、

ユニークなオマージュがあったり…。

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21世紀になっても

「世界の中心で、愛をさけぶ」

(2004年)など、センチな

感傷ものが圧倒的だが、

本作はユニークの方へと

決着をみている。そこんところが

本作のオリジナル・ポイントだろう。

さてはて、タイトルにある

佐々木(細川岳)は、

本作の主人公ではない。

主人公(藤原季節)の

高校時代の友達である。

「桐島、部活やめるってよ」

(2011年)みたいに、

タイトルにある人物が本編に

出てこないのは、極端だけど、

そんな人物との高校時代を

振り返りつつ、主人公は

今の佐々木や同級生たちと、

交流していくのだ。

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主人公は村上虹郎らと共に、

小劇団の演劇をやってる、

俳優志望だが、

イマイチパッとしない。

彼女もいて同棲してるけど、

こちらもうまく

いってるわけじゃない。

そんな時に、パチンコで生活してる

佐々木と再会するのだ。

佐々木はハダカ踊りで

みんなを鼓舞し、

男子学生たちのヒーローだった。

佐々木の今と自分の今を

リンクさせながら、

思案し続ける主人公の姿には、

共感できるところがあるのでは。

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カラオケルーム、バッティングセンター

などの遊興場などで、

佐々木の人物像を浮かび上がらせつつ、

感傷深いシーンを盛り込みつつ、

また、バンド・サウンドで

主人公の激しい胸の内を捉えつつ、

ラストシーンまで突き進む。

青春回顧映画の

新たな側面を示した本作。

主人公の激しいココロの衝動が、

胸にクル傑作だ。
 

2020年12月15日 (火)

「燃えよデブゴン TOKYO MISSION」

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コミカル・アクション

香港映画シリーズの最新作
 
東京ロケーション・

アクションがキテる!
 
 
2021年1月1日元旦より、ツインの配給により、TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、ほかでロードショー。

本作は、2020年製作の香港映画96分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020 MEGA-VISION PROJECT WORKSHOP LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

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「燃えよドラゴン」(1973年製作・

アメリカ&香港合作)などの

ブルース・リー主演映画以来、

香港のカンフー・アクト映画は

多彩に製作されてきた。

シリアス系だけじゃ面白くない。

ジャッキー・チェンの出現以来、

コミカル・アクションな香港映画が、

次々に製作されてきた。

どちらのエポック・メイキングも

1970年代発信である。

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そして、香港の

コメディ・アクション映画は、

シリーズものを含めて

百花繚乱となった。

カンフー格闘ものだけではなく、

刑事ものなど、

バリエーションも広がり、

21世紀以降も、

綿々と作られ続けた。

本作は「燃えよドラゴン」に

インスパイアーされた

シリーズの最新作だ。

サモ・ハン・キンポーが主演した

「燃えよデブゴン」

(1990年・香港)が、

そのルーツとなる。しかも、

ジャッキー・チェン主演映画

から始まった、刑事アクション。

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ブルース・リーに影響を受けた、

太っちょ刑事(ドニー・イェンが

メーキャップやらで仮装)が、

事件解決のために

頭より体を駆使して、

ハットトリックを見せる。

冒頭。いきなり

銀行強盗グループとの、

追っかけとカー内アクションが展開。

手に汗握るアクションで、

解決はしたのだが、

不備があって地方へ左遷され、

突発事件で約束を破った

フィアンセとも破談となる。

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なんでそうなるの?な展開だけど、

そんな疑問も、

中盤から後半の東京ロケーション・

アクションで一掃される。

香港から東京へ護送する男に

日本で逃げられて、闇組織に

殺されるとゆう中で、

デブゴン刑事は

東京の相棒と共に事件を追う。

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組織と結託する、

警視庁の刑事(竹中直人)が登場。

アクションには関わらないけど、

コミカルな竹中節を披露する。

でもって、デブゴンは組織との

ド派手なアクションを披露するのだ。

築地市場、東京タワーでのアクトなど、

目が点になる見どころが満載。

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日本人監督、谷垣健治の

メガホンによる、

アクション香港映画とゆうのも、

画期的だ。

香港でスタントマンから始めて、

やがてアクション監督になり、

今作では監督である。

従来の香港アクションを

踏襲しつつも、コミカルな

ポイントをチビチビ入れて、

谷垣監督らしさを

さりげなく演出している。

いいね~。
 

2020年12月10日 (木)

「新解釈 三國志」

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お笑い系時代劇三國志

メッチャな遊びゴコロが

たまりまへんなー
 
 
12月11日の金曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。
 
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「新解釈・三國志」製作委員会

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「三国志演義」としてまとめられた、

中国の歴史の実話「三国志」に

アプローチした映画の最新版。

ゲームやマンガなんかが

突出して有名だが、映画でも

大ヒットした「レッドクリフ」など、

これまでに多数のシリアスな

三国志」映画が作られてきた。

しかし、本作は、

コメディ・お笑い系時代劇として、

「三国志」を捉えた、おそらく

最初の作品かもしれない。

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コメディ時代劇な邦画では、

幕末もの、戦国時代もの、

信長・秀吉・家康、忠臣蔵など、

イロイロあるけど、中国時代ものは、

「西遊記」などが、

ケッコーいじられてるけど、

本作はメッチャ稀少だろうね。

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ハットトリックなコメディ作りで、

有名な福田雄一監督の、

「三国志」にもの申す

強烈な一撃だ。しかも、

お正月映画にふさわしい、

オールスター映画として

作り上げたところに、

監督のイキを感じた。

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大泉洋対小栗旬とゆう構図に、

多数のスターをキャスティング。

ムロツヨシなんかはかなり、

フィーチャーされて

主演級の活躍だし、

カッコイイ剣士役の

城田優や岩田剛典、

コメディアン・コメディエンヌ

としての力量を示す、賀来賢人、

ムロツヨシの妻役・橋本環奈ほか、

お笑い系の群像スター劇の

粋を見せていく。

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時代考証上の

絶世の美女役として登場する、

渡辺直美のエピソードでは、

メッチャ嬉しい

サプライズがあるので、注目!

また、ドラマ「西遊記」

などでの縁だろうか、

大御所・西田敏行が、

ナビゲート・ナレーション役で

「三国志」学者役で出演し、

トンデモコミカル・ドラマの

リアリティー部を担当している。

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最後に流れる映画の主題歌は、

福山雅治の「革命」だ。

ノリのいい、

アップテンポ・ナンバーで

最後を、キチッとシメてくれる。

何はともあれ、

コロナ禍で沈んだ日本を、

みんなを、

笑って癒やす快作映画だ。

2020年12月 9日 (水)

井筒和幸監督作品「無頼」

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「仁義なき戦い」への

激烈オマージュ作だ
 
「極道の妻たち」も

入ってまっせ
 
 
12月12日の土曜日から、K's cinema、ほか全国順次のロードショー。

関西では、12月18日から、京都みなみ会館、出町座ほか、12月19日から第七藝術劇場ほかで上映。

本作は、2020年製作の日本映画146分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム

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一人の男がヤクザ組で台頭し、

女房と共に組織を広げて、

ドンになり、そして…

どないなったんやねん

とゆう映画。東映系の

「仁義なき戦い」や

「極道の妻たち」のノリが

濃厚な映画なんだけど、ポイントは

それらの映画でもあったように、

昭和の時代が背景となっている。

いわゆる、昭和映画とゆうか、

昭和史をバックにした映画とゆうか。

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本作の井筒和幸監督の

マイ最高傑作は「パッチギ!」

(2004年製作)だが、そこにあった

昭和映画節なるものが本作にも、

大いに反映されたわけだ。だが、

1960年から1989年までとゆう

昭和史を描いているのだが、

一つ一つのエピソードが

深堀りされず、ダイジェスト的なので、

ただ流れてるように見えるが、

そこはスピード感を

優先したのかもしれない。

時間的には

2時間半くらいの作品なので、

30年間を駆け足で描くには、

このあたりが限界なのかな。

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しかし、役者陣の演技を含め、

熱量は「仁義なき」や「極妻」と

同等のラインにあったと思う。

主演のEXILEの松本利夫。

菅原文太やらの骨太感はないけど、

クールで抑制された演技の機微。

そして、松本の極妻となる、

柳ゆり菜の、

岩下志麻ほどベタじゃない、

ユルリズムな柔和感。

無論マネしても意味はないので、

この演出は正解だろう。

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というより、2人の主役に絡む、

エキセントリックな脇役陣が強力だ。

木下ほうか、中村達也、ラサール石井

などが、粘着力ある演技で、

ベタな話をより

ベタベタにしてみせるのだ。

でもって、銀行へバキュームカーを

持って行って大量の糞尿を撒いたり、

トラ対ライオンのトンデモ話など、

極端な逸話が、

ヤクザ映画のイメージを変える。

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社会事件はモチ、

映画では石原裕次郎主演の

「太陽の季節」(1956年・モノクロ)や、

洋画のヤクザ映画

「ゴッドファーザー」(1972年)

「ダイハード」(1988年)。

音楽では、フィンガー
5や

小林旭「熱き心」などが、

話の流れの中で

時代のワードとして使われている。

ラストロールでは、

1970年代に発表した、

シンガーソングライター

泉谷しげるの最高傑作「春夏秋冬」が

「無頼バージョン」で披露される。

とゆうことで、

「仁義なき」や「極妻」に

ハマッた人にはピッタリの

映画だと確信いたしました。
 

2020年12月 8日 (火)

タイ映画「ハッピー・オールド・イヤー」

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かつてない整理整頓映画

のユニーク作
 
クールイムズな

ヒロイン映画の快作
 
 
12月11日のフライデーから、ザジフィルムズの配給により、シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作のタイ映画113分。

「第15回大阪アジアン映画祭」で最優秀作品賞となるグランプリ受賞。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019 GDH 559 Co., Ltd.

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ヒロイン映画なんだけど、

タイ映画でこおゆうのって、

あり得ないなってまず思った。

とゆうか、

これまで輩出された映画で、

家を建てたりリフォームやら、

住まいに関する映画は多々あれど、

持ち物をさっぱりと整理する

なんて映画は、かつて

なかったんじゃないかな。それが、

欧米や日本・中国・韓国などの、

映画先進国じゃない

タイから出てきたことに、

驚きがあった。

地味だけど面白い。

生活空間だけで撮れるので

製作費も安上がりだ。しかし、

そういうとこでない

目の付けどころに

光るものがあったのも事実だ。

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この映画が出るための

伏線はあった。

それが、本作でも主演した

チュティモン・

ジャンジャルーンスックジンの

「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」

(2017年製作・タイ映画・

弊ブログ分析済み)だ。

大学受験のカンニング・ムービーだが、

それもまたかつてない

サスペンス度合いで展開し、

みんなを驚かせた。

タイ映画の歴代最高傑作と

いってもいい仕上がりだった。

そんな中で、彼女の演技は、

クールでスリリング。

無表情演技の粋を見せる好演ぶり。

でもって、本作でも、

そのクールイズムが遺憾なく

発揮された作品となった。

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本作の彼女の演技は、

クールにてきぱきと

捨てるものは捨てるとゆう

タイトさなんだけど、でも、

人にはどうしても捨てられない、

あるいは捨てちゃいけないものがある。

そこんところを、

身内や人とのキズナを

絡めながら描いているのが、

本作のドラマ的ヒューマニズム的な

見どころなんでありんす。

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彼女の悲しむ顔の、

クローズアップで、

エンディングを迎える。

いやはや、それがなんてゆうの、

何や知らん、グッとくるってゆうか。

まあ、一見あるのみですな。

そのあとに流れ来る

フィメール・ポップスや、

男性アーティストの

ピアノ・スロー・ナンバーが、

余韻を深める作りになっとります。

ヒロイン映画の新次元

なんてゆわないけど、

ミソが新なんで、

そのあたりがココロにきてまう。

ってことで、そんな映画でありました。
 

2020年12月 4日 (金)

「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」

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本格音楽ムービーの快作
 
歌がまずありきの映画だ
 
 
12月11日のフライデーから、東宝東和の配給により、全国ロードショー。

本作は2020年製作のアメリカ映画114分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020 UNIVERSAL STUDIOS

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ラブストーリーなどに流れない、

音楽に撤した、

本格音楽ムービーの会心作だ。

アーティストの実話ベースもの

映画を別にし、21世紀の

ドラマ音楽映画の

マイ・ベスト・ファイブを、

順不同で披露してみると…。

本作以外の作品も弊ブログ分析済み。

①本作

②セッション(2014年製作・アメリカ)

③COLD WAR あの歌、2つの心

(2018・ポーランド&イギリス&フランス)

④アリー/スター誕生(2018年・アメリカ)

⑤イエスタデイ(2019年・アメリカ)

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●全てがこれまでの音楽映画の

イメージを変えた作品だ。

その詳細は弊ブログ評論を

見ていただくとして、

本作のポイントは、

アーティスト
(トレイシー・エリス・ロス)

の単なる付き人(ダコタ・ジョンソン)が、

男性歌手をプロデュースするとゆう、

かつてない話で、

レコーディング現場の様子も

詳細に捉えた作品となっている。

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歌がまずありきの映画だったという。

数々の歌が作られ、

歌に合わせて

ストーリーと台本が作られ、

そして、シーン作りが

なされていったという。いわゆる、

ミュージカルとは正反対の作り方で、

かつてない試みだといえる。

ソウル・バラードを中心に、

ドラマティックな楽曲が

歌われていく。

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役者陣も魅力的だ。

美人女優ダコタ・ジョンソンの

スターらしいきらめきに加え、

ダイアナ・ロスと

レコード会社モータウンの社長が

両親のトレイシー・エリス・ロスの

プロフェッショナルな歌唱ぶりなど、

本格音楽映画の粋を随所で魅せる。

最後の方ではサプライズがあり、

挫折とサクセスの急転回を見せ、

ハッピーエンディングを迎える。

音楽映画であると共に、

正統派アメリカン・ムービーの

快作でもある。

クリスマスやお正月に、

恋人や家族と楽しみたい映画だ。
 
 

2020年12月 3日 (木)

「ノッティングヒルの洋菓子店」

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スイーツ店経営の

実際を描くドラマ
 
垂涎のおいしい

ケーキの数々に酔う
 
 
12月4日のフライデーから、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、テアトル梅田、なんばパークスシネマほか、全国順次のロードショー。

本作は、2020年製作のイギリス映画98分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸFEMME FILMS 2019

ゴートゥーイートの対象となる、

いろんなお店の作り方映画な1本。

食堂やレストラン、

焼肉屋、ラーメン屋など、

これまでにイロイロ出てきたけれど、

本作は洋菓子スイーツ店経営の、

実際を描いたドラマ映画だ。

ボクはこの種の映画は、

邦画はケッコー見てるんだけど、

洋画はそれほどでもない。

とゆうか、印象深い映画を

見られなかったとゆうか。

しかし、本作は、

経営ノウハウから、

オープンし繁盛するまで、

緻密かつ説得力ある

描き方をしていて、好感があった。

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各国のケーキを作るんだけど、

そのおいしい見栄えにウットリ、

垂涎ものなんだよな。

店のNo1ヒットスイーツとなるのが、

日本の抹茶ケーキとゆうのも、

ココロそそるエピソードだ。

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ストーリーを記すと…。

スイーツ店を開こうとしてた

オカンが死んでしまい、

そのあとはどうするのとなり、

娘と祖母、オカンの共同経営者の

3人に加え、男のケーキ職人の

4人でやっていくのだった。

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ケーキ作りながら、

4人のチーム・プレイの

素晴らしさに魅せられた。

ラブストーリー的なところもなく、

あくまでケーキ作りドラマに

撤している点も良かった。

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「ノッティングヒルの恋人」

(1999年製作・アメリカ映画)

などで描かれた、

イギリス・ノッティングヒルの

風景描写にもココロ癒やされた。

ラストロールでは、

キャッチーな男性アーティストの

ピアノ・バラードが流れきて、

さらにウットリ感が増す映画だった。

2020年12月 2日 (水)

「ヒトラーに盗られたうさぎ」

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「戦場のピアニスト」の

家族バージョンだ

戦争シーン皆無の作りが

緊張感を増す
 
 
彩プロの配給により、 11月27日からシネスイッチ銀座ほか、12月4日からシネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作のドイツ映画119分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019SOMMERHAUS FILMPRODAKTION GMBH/LA SIALA ENTERTAINMENT GMBH/NEXTFILM/FILMPRODAKTION GMBH&CO.KG/WARNER BROS ENTERTAINMENT GMBH

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ヒトラー・ナチスから逃れる、

家族4人のドラマ映画。

「アーニャは、きっと来る」

(弊ブログ分析済み)でも

書いたように、この種の映画は数多い。

但し、本作の

オリジナル・ポイントは、

戦時に逃亡したのではなく、

ヒトラーが選挙に勝って

総統になったら(1933年のこと)、

家族みんなでスイスに逃れるとゆう、

迫害を予見して前もって

行動するところだろうか。

戦場シーンもないし、迫害部もない。

少女ヒロインの視点から、

何やら穏やかそうな日々が

綴られていく
のだ。

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しかし、見ていくうちに、

その穏やかな日常描写に

むしろ逆に、見ているこちら側は

不安感を覚えてしまうのだ。

それでも、ナチからの追及を

避けるために、あらかじめ予防線を、

張っていくような

夫妻の在り方が見事だった。

それも、少女視点で見せていくので、

ストレートには描かれない。

この少女視点が

メッチャ自然で分かりやすく、

本作のいいところだと思う。

例えば、太鼓を叩く少年を

狂言回しにした「ブリキの太鼓」

(1979年製作・西ドイツ&

ポーランド&フランス合作)のような、

映画作家的企みや芸術性はなく、

スムーズにココロに入って来て

胸に染みるのだ。

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1人孤独に逃げまくった

「戦場のピアニスト」

(2002年・ポーランド&フランス合作)

の、いわゆる家族バージョン

だと言えるけど、こちらは

緊張感はないように見えるけど、

実は内包された緊張度は

おんなじなのではないか。

そのあたりはぜひ

本作を見て感じてもらいたい。

名作ミュージカル

「サウンド・オブ・ミュージック」

(1965年・アメリカ)は、最後は

ナチから家族が逃れるエピソードを、

さりげなく挿入していたけど、

本作の描き方とその質は

おんなじなんじゃないかと思う。

ナチの脅威が、全面に出るか

出ないかの違いだけだろう。また、

スイスの田舎の美しい風景描写も

シンクロナイズする。

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スイス・サイドも

大きな見どころだが、

そのあとのフランス・パリ・サイドも

印象深いシーンが続く。

ナチのユダヤ人迫害映画には、

悲惨な映画が多いだけに、

緊張感の中にも温かみある本作は、

ハッピーエンド含めて、

心地よいあと味のある映画だった。
 

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