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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2020年10月の記事

2020年10月29日 (木)

「ウルフウォーカー」

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狼伝説のアイルランド・アニメ
 
ジブリやディズニーへ挑戦状だ
 
 
10月30日のフライデーから、YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町、UPLINK吉祥寺ほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2020年製作の、ルクセンブルクとの合作による、アイルランド映画1時間43分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCartoon Saloon WolfWalkers Ltd./Melusine 2020

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アイルランドの

トム・ムーア監督のアニメ作品

(本作はアニメーター、

ロス・スチュワートとの共同監督)。

弊ブログでは過去に、

ムーア監督が撮った

2作品を取り上げた。

長編デビュー作

「ブレンダンとケルズの秘密」

(2009年・弊ブログ分析済み)は、

大阪ヨーロッパ映画祭で、

本人が舞台挨拶した。
その時には、

スタジオジブリの宮崎アニメからの、

自作への影響を話していた。

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本作で言うと、

少女ヒロインが活躍する点や、

一部作品での伝承や伝説の

絶妙な引用・応用などが

挙げられようか。

第2作

「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」

(2014年・ブログ分析済み)も、

アイルランドの海にまつわる

伝承が、取り上げられていた。

そして、本作。

祖国の森の狼伝説に肉迫し、

人間が狼になり、

狼たちと共に行動する

「ウルフウォーカー」を

大きなポイントにして、

狼と人間の共存と

闘いを描いてみせた。
 

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狼はディズニー・アニメのように、

擬人化されているが、

デイズニーとの大きな違いは、

人間の心を持った

「ウルフウォーカー」たる狼しか、

人語を喋らないように

している点だろうか。

どんな動物でも喋れる

ディズニー調とは違い、

リアリティーに裏付けされている。

また、狼の擬人化映画は

ディズニーにはない。

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さらに、「千と千尋の神隠し」

(2001年)や「もののけ姫」

(1997年)など、ジブリの

代表的な宮崎アニメとの、

シンクロもあるんだけど、

あくまでアイルランドとしての、

特質を強調した作りで、

そのオリジナリティー度合いは、

ジブリとはまた違った

ドラマティックを見せる。

そして、
狼=鬼とするなら、

兄妹が父娘になるかもしれないけど、

「鬼滅の刃」にも

通じる作りになっているかも。

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でもって、原色系を好む

宮崎アニメに対し、

水彩画のように

薄色配色による手書きだ。

夜の薄ブルー、森の緑に加え、

暖色系のセピア使いも

派手ではなく、

狼視点による色使いも、

スムーズに流れていく。加えて、

アイルランド・ミュージックらしい、

透明感あるフィメール・

ポップスが流れて心地いいね。

ジブリやディズニーに挑戦状

なんて見出しに書いたけど、

でも、それにふさわしい作品だと

ボクは思った。
 

2020年10月28日 (水)

「大頭脳」「恐怖に襲われた街」

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ジャン=ポール・ベルモンド

傑作8本がリバイバル
 
犯罪映画「大頭脳」と
 
刑事アクション

「恐怖に襲われた街」を再見
 
 
10月30日のフライデーから、新宿武蔵野館ほか、全国順次のロードショー。

「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」として、「大盗賊」(1961年製作・以下全てフランス映画)「大頭脳」(1969年)「恐怖に襲われた街」(1975年)「危険を買う男」(1976年)「オー!」(1968年)「ムッシュとマドモアゼル」(1977年)「警部」(1978年)「プロフェッショナル」(1981年)の全8作がリマスター版でリバイバル上映。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

a film by Gerald Oury  Ⓒ1969 Gaumont(France)/Dino de Laurentiis Cinematografica(Italy)  

a film by Henri Verneuil  Ⓒ1975 STUDIOCANAL-Nicolas Lebovici-Inficor-Tous Droits Reserves

●ジャン=ポール・ベルモンド

とくれば、ジャン=リュック・

ゴダール監督による、

ヌーヴェル・バーグの名作

「勝手にしやがれ」

(1959年・フランス・モノクロ)や

「気狂いピエロ」

(1965年・フランス&イタリア)での、

破滅的無頼派演技が有名だけど、

しかし、アクション映画や

犯罪映画・コメディなど、

娯楽映画での快作にも

何作も出ていた。そんな中の

2本を見させていただいた。
 
「大頭脳」(115分)

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現金輸送列車から大金を

強奪するとゆう犯罪映画。

この種の映画のルーツ作は、

サイレント時代の8分の短編

「大列車強盗」

(1903年・アメリカ・モノクロ)だが、

その後いろいろ進化し作られてきた。

シリアスな犯罪ものが多い中でも、

本作は遊び心ある作品となっている。

まず、刑務所にいるベルモンドが

ムショ側から、相棒がシャバ側から

穴を掘って、貫通させて

脱走する予定が、上下で

違いがあり迷う。

最終的には何とか出て、

でもって、大金輸送列車を

狙う段取りなんだけど、

伝説の強盗

(デヴィッド・ニーヴン)も、

マフィアの協力を得て狙っていた。

ダブル強奪計画の行方は?

どちらが大金を奪うのか?

なんてカンジで、ユニークな展開で

映画は進行していく。

意外性ある結末も

楽しい仕上がりだ。
 

●「恐怖に襲われた街」(126分)

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ベルモンドが初めて刑事役で

主演した、刑事アクション。

クリント・イーストウッドを

有名にした「ダーティハリー」

(第1弾は1971年・アメリカ)への、

フランス映画からのアンサー

といった感覚があった。

ベルモンドが犯人を

追いかけるシークエンスは、

本作のハイライトと

言ってもいい作りで、

カーチェイスの

「ブリット」(1968年・アメリカ)

「フレンチ・コネクション」

(1971年・アメリカ)など、

当時ヒットした作品との

シンクロだけでなく、例えば

21世紀の「ボーン」シリーズの、

追っかけシーンなどへも

通じるものだ。また、

クライマックスの、

ビルの中に上から、

窓を割って
入り込む、

ハットトリックなシーンなど、

「ダイ・ハード」

(1988年・アメリカ)

的なとこもある。

体を張ったアクション・シーンを

堪能してください。
 

2020年10月27日 (火)

「罪の声」

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迷宮入り事件を追う

新聞記者ドラマだ
 
衝撃と感動あるミステリー
 
 
10月30日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

本作は2020年製作の、日本映画2時間20分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020「映画 罪の声」製作委員会

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ボクはこの原作小説を、

映画化が決定する前に読んだ。

実在の迷宮入り事件を

モデルにして、

その解決編を示すのだが、

同じ事件を想定させ

映画化もされた先行作品

「レディ・ジョーカー」

(2004年製作)の、

犯人側から描くのではなく、

あくまで事件を追う側から

描くとゆう、正統派のミステリー

である点に好感を覚えた。

事件を追うのは刑事ではなく、

新聞記者(小栗旬)である。

事件から35年も経っている

設定なので、刑事が追うよりも、

よりリアル感を増す作りなのだ。

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実在の未解決事件を

想定した日本映画は、

昭和時代の「下山事件」や

「三億円事件」など、

結構あるのだが、

ほとんどの場合が、

犯人側から描くとゆうのが、

オーソドックスだった。あるいは、

ドキュ・ドラマ風にしたりとか…。

調査・捜査側から、

深堀りしてゆくタイプはあまりない。

だから、本作は際立ったものとなり、

しかも、最後には、

ドラマティックな正義節や、

感動の泣きまでもが、

用意されたのである。

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誘拐事件の身代金の電話で、

コドモの声が使われた点が、

本作の大きなミソになっている。

そのコドモ

(大人になった役柄は星野源)は

今、どこにいるのか。

犯人は誰なのかも

モチあるんだけれど、

そのコドモに焦点を当てる展開が、

本作の最大のポイントである。

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何といっても、

マスコミ試写室に出入りして、

映画紹介をしていた文化部の記者が、

本作の迷宮入り事件を

マジで追うのだが、

そんな新聞記者魂役を見事に演じ、

しかも正義肌のヒロイズムで

魅せる小栗旬は、

メッチャカッコよくて

映画映えしていた。ボクも

こんな風にカッコよく

決めたいなんて思わせてくれた。

そして、最後の方で、

真犯人に対し小栗旬が

「それは正義じゃない」と言う

シーンには震えたんだよな。

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星野源の演技も光っていた。

家族との絆の中で悩み迷う姿は、

テレビドラマや映画で見せた、

のほほんな感じではなく、

地味でありつつも、うーんと

身に染みる演技ぶりだった。

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故竹内結子主演の

「いま、会いにゆきます」

(2004年)や、

「涙そうそう」(2006年)で、

感動系を紡いだ

土井裕泰監督作品だけに、

やはり最後には

感動のシーンが待っている。

とゆうことで、

今年のマイ・ベストテンに、

入れたい映画になっていた。
 

2020年10月25日 (日)

日曜邦画劇場「オレたち応援屋!!」

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ジャニーズの新星たち

「A.B.C-Z」主演
 
みんな前向きになれる快作だ
 
 
10月23日から、東宝映像事業部の配給で全国ロードショー。

本作は、2020年製作の、日本映画90分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020映画「オレたち応援屋!!」製作委員会

ジャニーズ映画最新作。

ジャニーズの新星たち・

5人組「A.B.C-Z」が主演した。

みんなを応援する

仕事をする男たちの、

応援することの熱気に

あふれた作品だ。

ともすると、応援するだけだと、

我々の書き屋の世界では、

チョウチン記事やろ

ちゅうとこもありで、

心からやないやろちゅう

とこもありま。けども、

本作の5人は、応援だけやなく、

当事者の中に入り込んで、

必死のパッチを

繰り返すんでありました。

まずは、マラソンレースでの応援で、

どんな具合なんかが披露されます。

でもって、本編のメインどころへ。

依頼者はマドンナ的役どころの、

廃校間近の島の女教師役の

小島藤子ネーさんだ。

弊ブログで分析した、

彼女の最新作

「君がいる、いた、そんな時。」でも、

マドンナ的男たちの

憧れ役を演じたけど、本作では

そこんところがさらにヒートアップ。

「A.B.C-Z」の5人がみんな、

彼女にウウーンとなり、

その都度彼女は

クローズアップとなり、

ラブリーなCGが

ひらめくのでありました。

「寅さん」的作りをチョイ意識した、

こんなところは何やら、

ニンマリとなります。

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そんな彼女が、

島の祭りを復活させようとし、

彼ら5人にそのサポートを

依頼したんだけど、

その応援サポートぶりが、

本作の当然見どころでして、

クライマックスの祭りシーンでは、

ジャニーズらしい、

ディープ・インパクトな、

カッコイイダンス・シーンを、

堂々と披露してみせる。

いやはや、このあたり、

目が点になりまっせ。

フツーのアイドル映画を

見るキモチで見ると、

つい裏切られてまうような映画です。

ちょっと外すようなとこも

あるんだけど、そんなとこもご愛嬌。

最後まで楽しく見られる映画でした。

家族みんなで見に行っても、

2人のデート・ムービーとしても

全然OK。楽しんでください。
 

2020年10月22日 (木)

「おもかげ」

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子を想う母なるキモチの哀愁
 
「ベニスに死す」にも似た
 
愛のカタチ
 
 
10月23日のフライデーから、ハピネットの配給により、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA、テアトル梅田、京都シネマほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作のスペイン・フランス合作の129分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸManolo Pavon

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母の、子を深く想う映画。

となれば、これまでにも多数の、

タイトル数がある。しかし、

そのコドモが行方不明、

もしくは死んでいる

かもしれないとなれば、

もっとずっと想いは重くて、

限りなく深々となるだろう。

そんなところを、意味深に

描いた映画が本作である。

冒頭から、幼い息子が母へ、

SOSの電話を掛けるところから、

胸騒ぎのサスペンスある

シーンが始まる。ここんところ、

室内の15分余りの

ワンカット長回し撮影だ。

長回し撮影が狭い場所で

撮られるこのシーンは、

導入部として強烈で、

緊張感や逼迫感を、いきなり

観客に強いていてすごかった。

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だが、冒頭部の緊迫が、

10年後のシーンへと移行すると、

モノゴッツーな静かな

シーンへとすり替わる。

息子が蒸発した母役ヒロイン

(マルタ・ニエト)は、

スペインの我が家を出て、

息子が消えた、

フランスの海岸あたりの、

海の食堂で働いていた。

息子は死んでるかもしれないけど、

でも、その行方を捜してる

とゆうところで、母は

10年後の息子を想定して、

息子にソックリの

男の子と出会うのだ。

母は仮想息子をストークし、

彼は年上の女が自分に

恋してると勘違い。

そんな2人の人間関係の行方は?

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家族・親子・恋人たち・片思い

に関わらず、愛はいろんなカタチで

映画で描かれてきた。ただその愛が

仮想的・妄想的になる場合がある。

老教授が美少年に頭の中で恋した

「ベニスに死す」

(1971年製作・イタリア映画)の、

一方通行的幻想愛のような感覚が、

本作にもあった。

失ったのが息子ではなく

夫であった「まぼろし」

(2001年・フランス)にも、

似たようなところがある。

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報われない愛とその行方。

しかし、それでも、

明日への希望はある。

そうしたところも描いた本作は、

その種の映画の、

新たな次元に入った作品だと、

言えるのではないか。

いずれにしても、

映画ファンを魅了する映画、

であることは間違いない。
 

2020年10月21日 (水)

「天井桟敷の人々 4K 修復版」

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映画史に残るあの名作が

2020年に蘇える
 
多角関係ラブストーリーの

ルーツ的作品だ
 
 
10月23日のフライデーから、ザジフィルムズの配給により、YEBISU GARDEN CINEMAほかで、全国順次のロードショー。

本作は、1945年製作のフランス映画モノクロ190分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ1946 Pathe Cinema - all rights reserved.

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第二次世界大戦のヨーロッパ戦線。

フランスがナチスに

統治されていた時代。

ナチスの支配に耐えながらも、

フランス映画の矜持を示した、

歴史的にも意義のある

映画史に残る傑作だ。

完成から7年後の1952年に、

日本公開され、

キネマ旬報で洋画の第3位。

1988年に上梓された

文春文庫「大アンケートによる

洋画ベスト150」では、

堂々の1位になった作品だ。

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戦時下の苦渋な様子や

支配下の重さは全くなく、

映画としてのラブストーリーに

撤した作りが、

あまりにも素晴らしくて、

その後多数の

本作に影響を受けた作品が

製作されたが、

本作を超える作品は、

私見ではあるけれど、

輩出されていない。

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何が素晴らしいのか。

2点ある。

まず、三角関係とかは

よくあるけれど、

多角関係による複雑な恋愛構図を、

映画史上初めて

構築した点が挙げられる。

しかも、男4人女2人の中で、

両想いなのは男女ひと組だけ。

でも、ネタバレになるんだけど、

その2人は結ばれない

とゆうことになっている。

なぜ結ばれないのか。

その人間関係において、

いろんなキモチや想いが交錯し、

両想いの2人が結ばれるとは

限らない必然性や運命を、

心理的に解明してみせるのだ。

いやはや、このあたりは

渋くてすごいね。

後発となったその種の映画では、

決して模倣できなかったところだ。

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そして、今一つは、

役者たちを中心にしたドラマであり、

貧しい人たちに人気の
大衆演劇界を

背景に置いた点だろう。

映画内演劇として、

何作かがダイジェストで

上演されるのだ。

パントマイムの無言劇と、

セリフのある演劇とゆう

2つを対比させ、特に

ポイントとして描かれる、

主人公主役の無言劇は、

哀愁に満ちた展開で魅せる。

映画内で別の演劇やドラマ映画を見せ、

それが本編において、

重大なところとなっていく。

本作は、そんな映画の

嚆矢となる作品でもある。

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2部構成になった点も、

その種の大作のルーツだろうか。

オーケストラ・サントラの壮大さも、

ハリウッド大作に

対抗しているようで心地いい。

また、「恋なんて簡単だ」

なんてゆう、恋にまつわる

いろんなセリフも、

ウーンと唸りたいところだ。

さらに、余韻を深める、

主人公が彼女を追う、

ラスト・シークエンスだ。

いやあ~、ココロに深く永く

刻まれるね。たまりません。

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本作はフランス映画。

みなさん、フランス映画を

最近見たことがありますか。

アカデミー賞作品賞受賞作や、

歳の差友情を描く映画など、

イロイロあるけど、

本作を見ずして

フランス映画は語れません。

ラブストーリーの、

映画史だけではなく、

ナチスに密やかに

対抗した歴史的大傑作。

「鬼滅の刃」を見る若い人にこそ、

ぜひ見て震えてもらいたい名作です。
 

2020年10月20日 (火)

「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」

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あの「ラスト・ワルツ」への
 
アンサー・ドキュメンタリー
 
 
10月23日のフライデーから、彩プロの配給により、角川シネマ有楽町、WHITE CINE QUINTOほかで全国順次のロードショー。

関西では、10月30日からシネ・リーブル梅田、アップリンク京都ほかで上映。

本作は2019年製作の、カナダ・アメリカ合作101分。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

ⒸRobbie Documentary Productions Inc. 2019

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巨匠マーティン・スコセッシ監督が、

キャリア初期に撮った、

音楽ドキュメンタリー

「ラスト・ワルツ」

(1978年製作・アメリカ映画)への、

グッド・アンサーとなった作品だ。

「ラスト・ワルツ」は、

「ザ・バンド」とゆうバンドの、

ラスト・コンサートを、

観客を映さない実験性において、

ドラマティックに捉えたドキュで、

洋画の音楽ドキュの

マイ・ベスト・スリーに入る傑作。

あとの2本は、

反戦コンサートを描いた

「ウッドストック」(1970年・アメリカ)と

ビートルズの「レット・イット・ビー」

(1970年・イギリス)だろうか。

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本作は「ザ・バンド」の結成から、

解散までの足跡を、

振り返る映画だが、

バンドのフロントマンで

リードボーカルの、

ロビー・ロバートソンの

現在のインタビューを中心に、

ボブ・ディラン、

ブルース・スプリングスティーン、

エリック・クラプトンらの

談話を挿入している。

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5人のメンバーたちのキズナを、

意識的に捉えた点は、

かのクイーンのドラマ映画

「ボヘミアン・ラプソディー」

(2018年・アメリカ・弊ブログ分析済み)

の影響を感じるが、でも、あくまで

バンドの作り方と

その後の流れを捉えて、

バンド・ドキュの在り方を

問うドキュになっている。

感傷はあるかもしれない。

しかし、本作は

真実に即した展開で、

クイーン・ドラマ映画より

もっとドライだ。

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ボブ・ディランのバック・バンド、

ツアー・バンドとしての活躍ぶりが、

前半で捉えられるが、

コンサートでも

ーイングがあったりと、

決して聴衆に快く、

受け入れられていたのではない

点が強調される。このあたりが、

オモロイとこだろうか。

それでも、彼らはバンドとして

表舞台に立ち、大ヒットをかます。

アメリカの国民的ミュージシャンの

ブルース・スプリングスティーンが

称賛し、エリック・クラプトンが、

バンドの一員に加えてほしいと

掛け合ったけど、断わられた

エピソードなども披露される。

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ボク的には、

「ラスト・ワルツ」も

衝撃的だったけど、

「イージー・ライダー」

(1969年・アメリカ)で流れた

彼らの代表ナンバーには、

もっとグッときた。

単なるバンドの足跡映画ではない。

バンドとは何か。

そのココロに迫るドキュだった。
 

2020年10月15日 (木)

河瀨直美監督「朝が来る」

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来年のアカデミー賞日本代表作品だ

「おくりびと」に続く受賞なるか!? 注目!
 
育ての親と産みの親の

究極系を描く問題作
 
永作博美と井浦新演じる


夫妻の想いは?
 
 
10月23日の金曜日から、キノフィルムズの配給により、TOHOシネマズ梅田ほかで全国公開。

本作は2020年製作の日本映画139分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「朝が来る」Film Partners

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2021年に延期された

「東京オリンピック」の、

ドキュメンタリー映画を撮る、

河瀨直美監督の、

ドラマ映画の新作だ。

女性監督らしい、女性にしか

描けない視点とテーマが、

ストレートに見える、

問題作となった。

育ての親と産みの親の話を、

これまでには描かれなかった、

一種タブーとも思える、

究極のカタチで描いた作品。

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永作博美と井浦新演じる夫妻と

幼い男の子・息子。3人家族の

日常シーンから本作は始まる。

フツーの3人家族の話か

と思いきや、

夫妻の過去の話へプレイバック。

井浦新・だんなの方に

問題があって、夫妻は

子供が出来なかった。

不妊治療もやったけど、ダメ。

そこで、養子縁組の道へ。

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浅田美代子演じる女が、

代表のNPO法人があり、

子供を育てられない親と、

子供が出来ない親をつなぐ、

赤ちゃんの譲渡をやっていた。

永作・井浦夫妻はそこに登録し、

男の子をもらうのだ。

もらう時に、

産みの親と会うかどうかの、

自由選択もある。そして、

2人はそのティーンエイジャーの

母(蒔田彩珠)と会うのだ。

過去と現在を往来する本作だが、

本編で3回出てくるこのシーン

(写真上から5枚目)は、

インパクト深い

シーンになっている。

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その子供がどうして出来たのか。

本編の半ばあたりから、

14歳の娘(蒔田彩珠)の

中学時代の恋の話へと転換する。

男の子との恋愛ある

セックスで妊娠。しかし、

産んでもとても

子供は育てられない。そこで、

親は浅田美代子のとこに

泣きつくのだ。密かに

環境の良い場所で

子供を産むのだが、娘は

そこでいろんな人たちと、

交流して大人になっていく。

人情深い浅田美代子の演技は、

本作で最も印象深く

好感度も高かった。

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演技賞ものの永作博美と、

地味な井浦新も、

実の子供が出来なかった、

親らしい役に徹していて、

実の母と永作博美の

ラストのエピソードなどは、

感動的である。

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メフィスト賞・直木賞作家の

辻村深月の、

ミステリー小説が原作だけど、

ミステリーに付きものの

殺人事件が、起こるタイプではなく、

人間の心理に食い入った

キズナをポイントにしている。

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だから、謎解きよりも、

映画的感動があるのだと思う。

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出身地・地元の

奈良ロケ映画の傑作を、

何作か輩出してきた

河瀬直美監督だが、

奈良を外した作品もあったし、

樹木希林主演の傑作もあったけど、

本作こそが彼女の

最高傑作ではないだろうか。

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今年の日本映画の

マイ・ベストテン級映画だ。

このところ連発だけど、

これで、大たい10本目かな。

12月1日には、いつものように

「キネマ旬報」の

洋画・邦画年間ベストテンの

予想をやります。

本作は実際、

邦画ベストワン候補にも
 
なり得る作品なので、

ぜひ映画館でご覧ください。
 

2020年10月14日 (水)

「本気のしるし《劇場版》」


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トンデモ悪女映画の新種だ
 
今年のベストテン級仕上げも
 
みなさん、絶対騙されるな
 
 
10月17日の土曜日から、第七藝術劇場、シネ・ヌーヴォほかで、全国順次のロードショー。

東京のシネ・リーブル池袋などでは上映中。

本作は2020年製作の日本映画232分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ星里もちる・小学館/メ~テレ

コミック原作にして、

テレビドラマ(メ~テレ=
名古屋テレビ

ほかでオンエア)の劇場版。

それらのイメージを、

全くもって、

100パーセント覆すような、

トンデモ女と、誠実一本気な男の、

不可解不自然、

おかしくて怪しくて、

よろめくような、

ラブストーリーだ。

「君の名は」

(1953~1954年製作・モノクロ)

のようなすれ違い恋愛でもなく、

不倫・熱愛でもない。まあ、

作り的には、W不倫だった

「失楽園」(1997年)とか、

成瀬巳喜男監督の「浮雲」

(1955年・モノクロ)とかの、

男女の堕ちてゆくような

恋愛ものの部類に入るだろうか。

女(土村芳=つちむら・かほ)に、

人生含めて振り回される

男(森崎ウィン)。

女は借金まみれで、

今やその種の闇組織から、

どっかに売り飛ばされそうな

ヤバイ状況にある。その女は

「すみません、どうしようもない

女なんです」と自覚し、

そんな行動をわざとのように

続けている女だ。

悪女もの映画なら数多いけど、

そんなんとはだいぶ違うんだけど、

でも、本質はいっしょやで~。

コワモテ強気か、

だらしない弱気かの、

表面上の違いだけで、

男を貶める点では

全くおんなじだ。

そんでもって、

そんな女を愛してもいないし

体もほしいわけじゃないのに、

なぜか男は2人の女がいるのに

彼女を、借金を肩代わりまでして

守ろうとする。

ワケ分からへんがな。

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まあ、男より女の方が

さらにワケ分からんのやけど、

そんな男女が結ばれるまでの、

とんでもないエピソード

満載の映画なのである。

もどかし恋愛ものなんてあるけど、

これはその逆をいってるような、

アンチ・ラブストーリーな

展開や流れが、これまでの

映画方程式を逸脱した

作りになっている。だから、

見ていて「なんでやねん?」が多い。

けれど、フツーの恋愛ものとか、

「映画の中にいるみたい」な映画

なんかいつでも見られるけど、

これはそうそうは見られまへんで。

大胆果敢、恋愛映画に物申すような

映画のメガホンを執ったのは、

先鋭的な「淵に立つ」

(2016年・弊ブログ分析済み)など

家族映画の進化型を撮った

深田晃司監督。

恋愛映画でも

一筋縄ではいかない

傑作を作った。

今年のベストテン級作品だ。
 

「わたしは金正男[キム・ジョンナム]を殺してない」

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金正男殺人事件の真相とは?
 
2人の女容疑者の


ヒューマン・ドキュメンタリー
 
 
10月23日の金曜日から、ツインの配給により、シネ・リーブル梅田、京都シネマほか、全国順次のロードショー。

本作は2020年製作の、アメリカン・ドキュメンタリー映画104分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020 Backstory, LLC. All Rights Reserved.

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事件ドキュメンタリーにして、

北朝鮮関連のドキュメンタリー。

北朝鮮ものがアメリカで

製作されたのは珍しいが、

北朝鮮国内のドキュでない点が

製作を容易にしたのだろうか。

しかも、単なる事件ドキュではなく、

容疑者にさせられた冤罪者たちの、

人間性に迫った、

ヒューマン・ドキュになった。

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「真昼の暗黒」(1956年製作・

モノクロ・弊ブログ分析済み)や

「それでもボクはやってない」

(2008年)などの、

日本の傑作冤罪者ドラマに迫る、

見ごたえあるドキュになっている。

まずは、事件の検証シーンの

ハラハラドキドキ感。

いつものような

イタズラ動画の撮影だと、

説明された2人の20代の女が、

北朝鮮の最高指導者・

金正恩(キム・ジョンウン)の

実兄・金正男(キム・ジョンナム)

とは知らされずに、

マレーシア・クアラルンプール

空港ロビーで、神経剤VXを

金正男に注射し、

逃亡するシーンまで、

防犯ビデオの映像と共に、

詳細に映される。

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インドネシアとベトナムの、

スケープゴートにされた

2人の女の、家族への

インタビューを始め、

本人の話は映さずに、

その周辺部から、

2人の人間性に迫っていく作りだ。

モチ、ストレートに

2人の女にインタできれば、

それに越したことは

ないんだろうけど、

それができない場合の

作り方はどうあるべきか、

そのお手本を示したような

カタチである。

手に汗握るビビッド感より、

事件の裏側を冷静に

見ていく冷めた視点が、

事件の恐ろしさを物語っていた。

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2人の女はみなさんも知る通り、

共に無罪釈放へと到るのだが、

釈放後の2人への取材も

行われているものの、

それらの平穏な姿は、

事件の生々しさを余計に

浮き彫りにするシーンにしか

映らない。そして、

主犯格のスパイたちは、

北朝鮮に帰って

今も次の指令を待っている。

有無を言わさぬ事件ドキュの、

在り方を問う問題作だ。
 

2020年10月 9日 (金)

「実りゆく」

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お笑いかりんごか、

それが問題だ
 
父子の確執と絆の物語
 
 
10月9日のフライデーから、彩プロの配給により、新宿武蔵野館、ほか全国順次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ「実りゆく」製作委員会

まず言っておくと、本作は

長野県の農村地帯を舞台にした

地方ロケ映画である。

地方ロケ映画は

邦画黄金時代の1950年代以来、

脈々と続く邦画のキモを

なすジャンルである。そして、

そこにどんな人間的キズナな

ドラマを紡ぐのかが、

映画の出来やヒットの

成否を左右する。本作は、

実にシンプルで分かりやすい。

父子・親子のキズナなんだ。

でもって、2人の間にわだかまるのが、

見出しにあるように、

お笑いかりんごか、

それが問題だ、なのだった。

つまり、オトンの跡を継いで

りんご農家を継ぐのか、

それとも上京して

お笑いをやるのか、とゆう命題。

まあ、よくある親子間にある、

息子・娘の未来の

進路についての問題だ。

しかし、よくあるとはいえ、

本作はそんな問題の、

原点回帰したような設定

だったのには驚いた。

りんご農家を継いでほしい父

(田中要次)と、

お笑いの道を進みたい

息子(竹内一希)。

2人のイロイロが映される。
 

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芸人グランプリのステージに

主人公が相方と出るシーンから、

スライドして父子で

りんご取りをするシーンへ。

この冒頭のシーンから、

さっそくお笑いかりんごかが、

暗示的に披露される。

田舎で重要なりんご奉納の

まつりがあること。一方で、

上京して漫談する主人公の姿。

対比的に描かれることで、

主人公の二つの世界を見せてゆく。

特別出演となる爆笑問題が、

DJのラジオに主人公が

出演するなどの、サプライズの

インパクトも挿入。

クライマックスで披露される、

主人公が相方と漫才する

シークエンスが大きな見どころだ。

サントラ使いもいい。

ギターやバイオリンに加え、

ラストロールで流れる、

長野県出身男女2人組ユニット、

GLIM SPANKYの

フォーキーな渋いナンバーも

余韻は深かった。

共に不器用な父子のキズナを、

絶妙に表現していた。
 

2020年10月 8日 (木)

家族ミステリー「望み」

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家族ドラマ系の

犯罪ミステリー・サスペンス
 
堤真一と石田ゆり子が

父母役で熱演
 
 
10月9日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「望み」製作委員会

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家族ドラマをベースにした、

犯罪ミステリーあるいは、

サスペンス映画とゆうのは、

これまでにもかなりの、

タイトル数がある。

家族一同で犯罪を

やっちゃうドラマ、例えば

「パラサイト 半地下の家族」

(2019年・韓国映画)や、

ワケあり犯罪の

「万引き家族」(2018年)など、

家族全員が関わるものから、

家族1人が犯罪者

といったものまでイロイロだ。

さらに、加害者家族を

メインに捉えたり、

犯罪者のいた家族の行方を探す

「罪の声」(10月30日公開)

だったりと、家族絡みの

犯罪ものは
多種多彩に

枝分かれして進化している。

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そんな中で、家族の中に、

犯罪者がいるのかいないのかに、

ポイントが置かれたのが、

本作である。

4人家族の話なのだが、

犯罪者(息子役=岡田健史)

がいることで、ほかの家族たちに

迷惑が、掛かるかもしれない。

それを避けるために、

必死に父(堤真一)が行動し、

母(石田ゆり子)が

祈るように事件の推移を待ち、

妹(清原里耶)は、兄のせいで

進路を阻害されると悩む。

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行方不明になった、

息子は殺人者なのか、

それとも被害者側の人間なのか、

憶測が飛び、

マスコミが大挙して、

一戸建ての家の前に待機し、

家族の言動をうかがう。

そんなに大変な事件なんだろうか、

と思う人もいるだろうけど、

いわゆる一つの例示として

捉えられるので、

重大事件かどうかは

この際いいだろう。

3人のうろたえぶりに

サスペンスが生まれ、

捜査の過程において生まれる、

緊張感とは違ったところが

見せられてゆく。

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進退窮まったり、

緊迫感あるとこでの、

堤真一の演技は、

やはり見ている者の身に、

迫るような強烈な、

インパクトがある。

不安感ある石田ゆり子の演技も、

サスペンス度を増していて、

2人の演技性が、

新人クラスの岡田健史や、

清原里耶の演技にも、

影響を与えているようだった。

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堤幸彦監督の撮る

ミステリーとくれば、

オリジナルとなる、

仲間由紀恵と阿部寛が共演した

「TRICK」が有名だが、

ミステリー小説を原作とした、

本作のような作品にも魅力がある。

東野圭吾原作の

「天空の蜂」(2015年)や、

映像化不能とされた

「イニシエーション・ラブ」

(2015年・弊ブログ分析済み)など、

その作りは、テレビの二時間ドラマでは

決して見られない技巧が

施されている。そこんところを

ぜひ見てもらいたい作品だ。
 

2020年10月 7日 (水)

「鬼ガール!!」

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元気印の女子学園映画の快作
 
映画メイキング映画にもなった
 
 
10月9日大阪先行公開後、10月16日から全国順次の公開。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020映画「鬼ガール!!」製作委員会

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日本映画の創成期には、

映画と演劇と音楽を組み合わせた、

連鎖劇なる

エンタテインメントがあった。

本作は、それを

21世紀の現代に蘇らせた、

画期的な作品だ。しかも、

高校の生徒有志たちによって作られ、

そのメイキングと

作品上演・上映が展開する。

高校生たちによる、

部活的映画メイキング映画となれば、

今ヒット中の

「映像研には手を出すな!」

(2020年・

弊ブログ9月23日付けで分析済み)や、

日本アカデミー賞作品賞受賞の

「桐島、部活やめるってよ」

(2011年・分析済み)などがある。

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さらに特質を言うなら、

地方ロケ映画とゆう点だ。

大阪の河内長野の学園を舞台に、

元気印な女の子ヒロイン

(井頭愛海)が主演して活躍する。

地方映画でこの種の傑作と言えば、

ボートに青春を懸けた

田中麗奈主演

「がんばっていきまっしょい」

(1998年)や、

ジャズ・プレイした上野樹里主演

「スウィングガールズ」

(2004年)などがある。

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でもって、本作主演の井頭愛海は、

田中麗奈のガンコこだわり系と、

上野樹里のコメディエンヌ

ちゃらんぽらん系とは違い、

全くもってストレートな

裏表のない元気印を披露する。

オスカー・プロモーションの

ニューフェイスであり、

土屋太鳳のような、

みんなを元気にさせるような

役柄が似合う女優だと思う。

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確かに、河内長野には

鬼伝説とゆうのがあり、

彼女は頭に角が2本ある

鬼族の家系なんだけど、

また、鬼にまつわるいろんな蘊蓄や、

エピソードが挿入されるけれど、

それはあくまでこの青春映画の、

フックなポイントでしかない。

メインは連鎖劇含む

映画作りであり、

映画監督生徒と女優生徒の、

ロマンティックな

ラブストーリーなのだ。

加えて、彼や彼女の両親にまつわる、

過去の美しき

恋愛秘話も披露される。

そして、それがこの映画の

大きな伏線にもなっていた。

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何はともあれ、

クライマックスで披露される、

連鎖劇・映画・音楽の、

圧倒的な面白さはどうだ。

音楽で言えば、

和太鼓とロック・バンドの融合。

ガールズ・バンドによる、

ブルーハーツの

「TRAIN-TRAIN」の

カヴァー演奏など、

「リンダ リンダ リンダ」

(2005年)以上の、

熱気と渾身が迫ってきたぞ。

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吉村大阪市長のチョイ出演など、

おいおい!なんてとこもある、

遊びゴコロもある作品。

家族みんなで見に行っても、

きっと満足できる楽しい作品だ。
 

2020年10月 1日 (木)

年間ベストテン級「浅田家!」

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写真家家族ドラマの傑作
 
「男はつらいよ」系


家族ドラマの進化形だ
 
 
10月2日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「浅田家!」製作委員会

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まず言っておきたいのは、

本作は今年の日本映画の

ベストテン級作品だとゆうこと。

かつて多数輩出された

家族映画だが、例えば

キネマ旬報の年間ベストワン

になった作品を見てみると、

大半が何らかの形で

家族を描いた映画になっている。

日本映画の今や、

伝統的なお家芸と、

いってもいいジャンルなのだ。

でもって、本作の

写真家家族ドラマは、

歴代ベストテンに入り得る

傑作となっている。とはいえ、

本作は家族映画ではあるけど、

ドラマティックで感動的な写真家の

実話ドラマにもなっている。

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竹中直人と中山美穂が

夫婦役で共演した

「東京日和」(1997年製作)とか、

戦場カメラマンを描いた

「地雷を踏んだらサヨウナラ」

(1999年)とかの、

写真家としての、

スタイルやプライド、

そして想いを撮り上げた、

映画とシンクロする。

さらに、いい人ばかりしか出ない

松竹系家族ドラマ、例えば

「男はつらいよ」シリーズ

みたいなタッチとゆうか、

その進化系といってもいい、

心地いいセンスが、

いっぱいの映画となった。

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ドラマは3部構成の感じで展開する。

一家の次男(二宮和也)が、

自分の家族(父役:平田満

/母役:風吹ジュン/

長男役:妻夫木聡)に助けてもらって、

ユニークな家族写真を撮り、

それを持って

写真家になるべく上京。

幼なじみの女性(黒木華)

の元に転がり込んで、

写真家修行を始めるのであった。

彼のコスプレ家族写真集が

小出版社の目に止まり出版され、

あんまし売れなかったけど、

写真の権威ある賞を受賞。

ここまでが第一部。

続いて、ユニークな家族写真を、

一般家庭から受注する仕事へ。

何パターンか披露される、

これらのメイキング・シーンは、

本作の大きなハイライトとなっている。

そして、第3部は、

東日本大震災に見舞われた、

写真を撮った家族の安否を

求めて岩手へ行き、

写真を家族の元へ戻す

ボランティアをするシークエンスだ。

菅田将暉とのキズナなど、

ここでも感動がある。

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宮沢りえ主演

「湯を沸かすほどの熱い愛」

(2016年・弊ブログ分析済み)や、

故・竹内結子が出演した

「長いお別れ」

(2019年・ブログ分析済み)と、

家族ドラマの傑作を、

立て続けに撮った、

中野量太監督の

メジャー第3作だけに、

その仕上がり具合は、

家族映画として完璧に近い。

演技派揃い踏みの

役者陣も強力だ。

主演のニノはモチ、

ナレーションも担当した

妻夫木聡の誠実さ。

冒頭とラストの結末の、

つながり具合は、

でっかいサプライズ。

ボク的には、ニノを支える役の

黒木華に魅せられた。
 

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