無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

  • ">

« 2020年8月 | トップページ | 2020年10月 »

2020年9月の記事

2020年9月30日 (水)

「シネマ歌舞伎 三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」

3_20200928233801
三谷幸喜が

シネマ歌舞伎に挑む!
 
コミック原作の

歴史ロード演劇ムービーだ
 
 
10月2日の金曜日から、東劇、新宿ピカデリーほか、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ松竹株式会社

1_20200928234501

21世紀以降に始まった、

演劇や歌舞伎などの

舞台上演ものを、

そのまま撮影して

映画にするスタイルの1本。

歌舞伎をずっと撮り続けた

松竹の「シネマ歌舞伎」シリーズ。

ところがどっこい、

役者たちは歌舞伎の人たちだけど、

歌舞伎を演じるわけじゃない。

コミック原作の演劇を、

歌舞伎役者たちが、

三谷幸喜の演出によって、

歌舞伎調の大仰な演技で、

面白おかしく演じるなんてゆう、

トンデル・トンデモ・

カブキになった
のだ。

2_20200928234601

昨年6月に、歌舞伎座で

上演されて大ヒットした劇だ。

三谷幸喜はキャリアを

演劇の戯曲から始め、

1997年の「ラヂオの時間」から

映画監督の世界へ。

その演劇的室内劇的コミカル性が、

日本映画史に残るべくな、

コメディ映画を作り上げてきた。

そして、再び演劇とゆうか、

歌舞伎に立ち返った。

歌舞伎とゆう伝統芸能に対し、

映画でのコミカルな作家性を

遺憾なく注入したのである。

4_20200928234601

実在の人物、商店主・

大黒屋光太夫(松本幸四郎)と、

その従業員・部下たち

(市川猿之助・片岡愛之助ら)との、

約10年に及ぶ漂流物語。

時代考証もきっちりなされた

歴史パニック・ロードだ。

江戸時代後期。

彼らを乗せた商船・神昌丸が

伊勢から江戸へと向かったが、

突然の嵐で漂流し、

何とロシア領の島に

流れ流れて漂着する。

5_20200928234701

その時、17人の乗組員は

11人になっていた。現実には

最後は4人になるとゆう

サバイバル劇が、

ピン・ポイントのとこを中心に、

最後の最後まで、

生き残りを懸けた、

緊張感あふれる、

ドラマが作られてゆく。しかし、

コミカルが底辺にあるから、

その緊張感は観客をもてなす

ユーモアリズムでユルユルと

緩和されてゆく。いやはや、

このあたりが三谷幸喜の粋(イキ)なの、

見せどころだと言えよう。

6_20200928234701

ストレート・プレイな1人芝居、

飢えの中で、ロシア側から支給された、

牛肉にまつわる、

みんなの対応ぶり等、

シチュエーション的演劇の妙味など、

演技の綾や粋も随所で披露される。

三味線や拍子木の、

歌舞伎特有の雅楽の音楽使いなど、

歌舞伎の伝統性を生かしつつも、

三谷ワールド全開の本作。

歌舞伎ファンはモチ、

三谷幸喜映画ファンも

見逃せない快作だ。
 

2020年9月28日 (月)

竹内結子主演・テレビドラマの映画版「ストロベリーナイト」

2

竹内結子ネーが逝ってしまったよ~。


ボクたちは、


結子ネーの元気づけてくれる、


前向きなセリフの数々に、


いつもココロ動かされた。


彼女の、ボク的最高傑作


「サイドカーに犬」


(キネマ旬報に評論を寄稿)は、


彼女の素晴らしさを、


最も反映した映画だったと思う。


本日は、ボクは


この映画を何度も見ながら、


哀悼を捧げています。


みなさんも、公式の


動画サイトで見て下さい。


でもって、彼女の主演映画で


弊ブログで分析した分を、


公開当時のままに、


再録いたします。


合掌!

 

女刑事映画の邦画最新型を、提示する作品となっているぞー

 

モチ、DVD発売中のテレビ・シリーズを見てから、映画館へ行くべし

 

http://www.strawberrynight-movie.jp/

 

2013年1月26日のサタデーから、東宝の配給で全国ロードショー。

 

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹(本作の批評は標準語バージョンです)

 

Photo
Ⓒ2013  フジテレビジョン S・D・P 東宝 共同テレビジョン FNS27社 光文社

 

日本のテレビの連続ドラマからの映画版・劇場版というのは、今や当たり前のようになっている。そして、そんな中で最も多いのが刑事ドラマだ。「七人の刑事」(1963年製作)あたりから始まり、刑事じゃないけど捜査ものではあった「ザ・ガードマン」(1965年)など。

 

テレビッ子を大量に作った1970~1980年代は、映画版は余り作られなかったが、「あぶない刑事(デカ)」シリーズ(1987年~2005年・全6作)とかがある。そして、1990年代後半に出た「踊る大捜査線」シリーズ(1998年~2012年・全4作)の大ヒットを契機に、次々に量産されてくるのだ。

 

「相棒」(2008年・2010年)などのコンビものに加え、女刑事ものという新タイプが登場する。僕の記憶では、ハリウッド映画では「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)のジョディ・フォスターが、その後の女刑事役の雛型を作ったように思う

 

Photo_2
さらに私見を述べると、日本のテレビドラマでは、映画化はされなかったが、浅野温子が主演したフジテレビの「沙粧妙子(さしょうたえこ)-最後の事件-」(1995年・全11話)が、猟奇事件を主に扱って先鋭的だった。

 

分析するに本作は、同じフジテレビというわけではないだろうが、この「沙粧…」から、かなりの影響を受けているように思えるのだ。ただ、本作には原作がある。誉田哲也(ほんだてつや)のシリーズものだ。おそらく、彼もこのドラマにハマッたはずだ。間違いない。

 

それでもってだ、テレビドラマからの女刑事映画としての近作では、篠原涼子主演の「アンフェア」(2009年・2011年)もある。浅野温子、篠原、本作の竹内結子に共通するのは、痩せ型の線の細さだ。

 

果たして刑事ドラマとしての骨太感は、あるのかどうかだが、浅野のエキセントリックには及ばないにしても、竹内は過去にトラウマがありながらも、クールで冷静な演技ぶりを見せている。平の刑事ではなく、捜査チームを引っ張る主任役というキャラもあまりない。

 

2_3
今回は設定として、ヒロインの1人捜査シーンが、大沢在昌の「新宿鮫」シリーズ(映画化は1993年)並みに多くなっている。最終的にはチーム捜査となるのだが、1人捜査部では、突発的に恋愛絡み的シーンへと発展し、何と竹内結子とヤクザ役・大沢たかおのキス・シーンを始め、それ以上のお色気シーンも披露されるのだ。セピアの照明を大胆フィーチャーした、このシークエンスは見ごたえあり。

 

加えて、雨のブルー・トーンのシーン使いも巧みだった。ラスト・シークエンス以外は、雨がズーッと降っているというシチュエーションは、新しいしユニーク極まりない。車内シーンでは、窓外を往年のハリウッド映画に見られた、懐かしきスクリーン・プロセス(スクリーンをバックにして撮る手法)も使い、逆に新鮮である。

 

ヤクザ絡みのように見える連続殺人事件に、過去の解決事件が関係してくるのは、それほど真新しくはないが、科学捜査などで犯人を絞り込んでいくプロセス描写は、緊張感に満ちている。付け足しではあるが、テレビドラマで毎回披露されていた、捜査員たちの酒席シーンが、映画でも面白おかしいコメディ・リリーフとして、描かれていて嬉しかった。

 

 

 

 

2020年9月24日 (木)

「劇場版 BEM~BECOME HUMAN~」

4_20200923233601
早く人間になりたい
 
あの妖怪人間アニメが

21世紀に蘇る
 
10月2日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸADK EM/BEM製作委員会

Photo_20200923234401
2019年にテレビ東京系で

オンエアされた、

連続テレビアニメの劇場版。

本作でリメイク・リブートされた

「妖怪人間ベム」ってみなさん、

ご存知だろうか。

いやはや、確かに、

1960年代末

(1968年~1969年全26話・

フジテレビ)
のテレビアニメだけに、

世代を選ぶ作品かもしれない。

とゆうか、その頃の世代といえば、

当時コドモ時代だったとしても、

還暦を過ぎている人が

ほとんどであろう。

1_20200923234501
しかし、本作は若い世代にも

遡及する作品となった。

妖怪人間をキーワードにしながらも、

その妖怪は、

アメコミの「スパイダーマン」や

「バットマン」のように、

ホラー・スタイルではなく、

ヒロイズムとして

機能していたのだから。

そう、当時出た

「ゲゲゲの鬼太郎」でさえ、

結局は正義の味方が、

悪を倒すスタイルだったよな。

コドモたちを始め、

みんなを勇気づけるアニメは、

何が何でも、

ヒロイズムがなければならない。

本作はそのことを、

あらためて知る、

アニメだったように思う。

2_20200923234601
どういう経緯で、

男ベム・女ベラ・男の子ベロ3人の、

妖怪人間が生まれたのか、

30秒で示す、当時のモノクロの、

イントロを冒頭部に入れて、

本作は始まる。でもって、

オリジナルにはなかった、

キャラクター女刑事ソニアが、

「早く人間になりたかった」

3人の行方を追う、

とゆうところから、

物語はスタートする。

女は人間になり、

コドモは妖怪のままで、

そして、ベムは、

大会社のリーマンとなり、

妻と子供2人で

人間の家族生活を送っていた。

1_20200923234601
ベムを利用して

悪の力を肥大化させようとする者、

ベム・ベラ・ベロを作った伯爵らとの、

クライマックスの戦いまで、

静かな展開から

突然のように

波乱に満ちた展開が待っている。

ヤマ場の戦いシーンは、

アニメの色使いの

極致を見せてくれる。

正統系のヒロイズムじゃない。

万丈の中で、最後はヒロイズムに

着地する仕上げに痺れた。

トンデモ・サプライズも

驚きの快作だ。
 

2020年9月23日 (水)

「映像研には手を出すな!」

1_20200922220101
ザッツ・アイドル・ムービー


の世界へようこそ
 
学園部活コメディの痛快作だ
 
 
9月25日のフライデーから、東宝映像事業部の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020「映像研」実写映画化作戦会議

Ⓒ2016 大童澄瞳/小学館

6_20200922220801

コミック原作による、

高校の部活に特化した

学園コメディ。

小説が原作だった

「桐島、部活やめるってよ」

(2011年製作・弊ブログ分析済み)が

正統派の表版とするならば、

本作は、誇張表現を大いに生かした

部活映画裏版の趣きだ。

そして、女子アイドル映画性を

全編に押し出し、しかも、

コミカル映画として終始一貫。

アイドル映画にして

コメディ映画とゆう

メッチャ親しみやすい映画になった。

2_20200922220801

アイドルたちは乃木坂46の3人。

齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波。

なぎなた部活映画「あさひなぐ」

(2017年・弊ブログ分析済み)

で主演した齋藤飛鳥は、

「あさひなぐ」の

おぼこい誠実系に続き、

今度は人見知りの映画監督役。

役作りをきっと

楽しみながら演じたはずだ。

前田敦子のような

雰囲気がある山下美月は、

雑誌モデルでアニメーター役。

3人の中では、アイドルらしさが

最も引き出されたように思う。

プロデューサー役になった

梅澤美波は、

ちょっとオトコ女っぽいけど、

リーダーとしての先導役が

見事に似合っていた。

3_20200922220901

舞台となる高校では、

生徒は全員部活に

入らなければならず、

たがために

多種多彩な部があり過ぎる状況。

そこで、生徒会では

部活の統合会議が催された。

映像研はアニメ研究会との

統合を言われるが、大いに反発。

ロボット研究会との提携で、

オリジナルのロボ・アニメを

制作しようとする。

4_20200922220901

そのメイキングぶりが、

映画メイキング映画のノリで展開する。

本作の大いなる見どころだ。

蟹手ガメラと人型ロボットの

対決アニメを、

大マジで作るのであった。

モチ、クライマックスでは、

文化祭でそのアニメが上映される。

かつて高校時代に八ミリ映画を撮り、

文化祭で上映したボクにとって、

ウ~ンと痺れる映画だった。

5_20200922221001

「踊る大捜査線」(1998年)の

パロディ・シーンや、

人工台風を作った

浜辺美波の怪演技、

映像研顧問役の高嶋政宏の

ええ加減さなど、

映像研関連だけでなく、

笑いを誘うシーンが満載。

ラストロールでは、

乃木坂46の

キャッチーなアップ・ナンバー

「ファンタスティック3色パン」が流れ、

3人横並びで歩くカットも

挿入されて、ああー面白かったね、

で終われる映画になっている。
 

2020年9月22日 (火)

イタリア映画「マーティン・エデン」

4_20200921224101
作家になった

ブルーカラーの愛の物語
 
まっすぐで一途な

今年のベストテン級映画だ
 
 
9月25日のフライデーから、ミモザフィルムズの配給により、テアトル梅田、京都シネマほかで、上映。

関東では、9月18日からシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほかで上映中。

本作は2019年製作の、フランス・ドイツとの合作によるイタリア映画129分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2019 AVVENTUROSA - IBC MOVIE - SHELLAC SUD - BR - ARTE VISA NUMBER: 147,267, ISAN - 0000 - 0004 - AF17 - 0000 - I - 0000 - 0000 - Y VENDITE INTERNAZIONALI THE MATCH FACTORY

1_20200921225501

アメリカのジャック・ロンドンが

書いた自伝的小説が

映画になった。とゆうても、

そいつは一体

誰やねんなんやけど、

ボクチンも読んでないんやけど、

いやはや、メッチャシンプルで

ストレートなヒューマン・

ドラマ性にビックラコンした

映画でおました。まあ、

作家やら芸術家やらの

物語と言えば、実話も含めて、

そのアーティストの作家性に

基づいた人間ドラマが

撮られるもんなんやけど、

本作は、作家になるための

イロハを含め、これまでとは

異にする小説家

メイキングものになっていた。

3_20200921225601

主人公は漁師である。

で、彼女の弟の危機を救って、

主人公は彼女と出会い、

知的な彼女と

肉体労働者の主人公の、

文通が始まる。

文学者ボードレールに

ついての会話からの、

主人公と彼女の

コンタクトを始めとして、

作家になることを決意。

労働のかたわら、

小説を書き始めるのであった。

5_20200921225701

いやはや、ボクはこの映画に

ゾッコンになってしもた。

なんでやねんやけど、

恋する彼女の求めるスタイル・

理想のカタチへと、

一途にやろうとする、

主人公の姿勢に

グッときたんやねん。

モチ、愛の映画でもあるので、

ベッド・シーンもありま。けど、

濃厚なんは全くなし。まあ、

主演女優(ジェシカ・クレッシー)が、

メッチャ女優映えする美女やから、

そんなん濡れちゃうなんてね。

ちゅうことで、その種のヤラシーは

期待できないんやけど、でもしか、

男の一本気なストレートさに、

ココロ奪われる快作やねん。

2_20200921225701

イタリア映画の

パブリック・イメージについて、

みなさんはどんな風なんやろか。

イタリア映画を見る機会は、

映画館で見なくても、

それなりにあるかもしれへんけど、

この最新作は、映画館で

じっくり鑑賞するのが、

ふさわしいと思うねん。

主人公のキモチを辿る、

心理映画だと

本作を規定するならば、

そのビミョーな心理は、

大画面でないと読み取れない。

そして、

愛の在り方についても同様だ。

「ライフ・イズ・ビューティフル」や

「イル・ポスティーノ」や

「ニュー・シネマ・パラダイス」

のような、泣ける感動は

ないかもしれないけど、

男の真摯な生き方とゆうもんが、

じわじわと胸に

きよる映画でおます。

ちゅうことで、間違いおへん、

今年の洋画の

ベストテン級やで~。

2020年9月17日 (木)

東海テレビ劇場「おかえり ただいま」

4_20200916215101
ドラマ部とドキュ部を分けた仕上げ
 
斉藤由貴と佐津川愛美の深きキズナ
 
 
9月19日より、ポレポレ東中野ほか、10月3日より、第七藝術劇場ほか、全国順次のロードショー。

本作は2020年東海テレビ放送製作の、ドキュメンタリー・ドラマ112分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ東海テレビ

3_20200916220201

ドキュメンタリーとドラマを

合成したドキュ・ドラマは、

多数のタイトル数がある。

しかし、本作のように、

ドラマ部とドキュ部を、

くっきりと分けた作りの

映画は、稀少だ。

被害者が殺害され

犯人が捕まるまでの、

被害者側家族のキズナと、

加害者側の家庭環境と

ワルになるまでの過程を、

ドラマとして描き、

後半のドキュ部は、

実際の被害者家族の母をメインに、

裁判後の母の行動や

生き方を撮り上げている。

7_20200916220301

加害者サイド描写でいけば、

今村昌平監督「復讐するは我にあり」

(1979年製作)のような凄みは

期待できなくとも、できるだけの

最低限の描写はしていた。

被害者側の母娘のキズナ部は、

家族ドラマ部としては面白いけど、

このような娘が殺害される

とゆう悲劇的な事件において、

過去にさかのぼって、

キズナを描く映画はあまりなく、

単なる感傷にすぎないと

一蹴する方もいるかもしれないけど、

本作は事実を描いているので、

この流れは決して、

事件の本質を衝くところの、

マイナスにはならないと思う。

1_20200916220301

冒頭から登場し、

最後もシメル母親役・斉藤由貴が、

悲喜こもごもの絶妙な演技を見せる。

1980年代のアイドル時代の

きらめきが、何十年後には、

こんなに渋くて泣ける演技に

昇華するのだと思うと、

感慨深いものがあった。

8_20200916220401

被害者となる娘役・佐津川愛美の、

フツーな女子大生や

OLに見える自然体演技や、

「ALWAYS 三丁目の夕日」

(2005年)などで子役を演じた、

須賀健太の大人な誠実な演技など、

若手陣に加え、浅田美代子や

大空眞弓の熟成の自然体演技も

また、ドラマ部を映えさせていた。

5_20200916220401

犯罪ドラマ部としては、

3人がネットで知り合い、

金を持ってそうなOLを拉致して、

その銀行カードを奪って

暗証番号を吐かせるとゆうもので、

メッチャな単純さが、

誰にでもできる

とゆうところがあって、

ある意味では恐ろしい。

6_20200916220501

闇サイト殺人事件

と表記されているが、

ネットがなくても

起こりうる殺人なので、

昔も今も、夜の一人歩きは要警戒だ。

そんなところが改めて

分かるようになっている。

9_20200916220501

映画が始まって1時間10分から、

ドキュメンタリーへと転換する。

被害者の母の訴えが、

ドラマ部を経て、

より一層の熱さを帯びていた。

アカペラから始まる

スロー・ナンバー、

ミナコ“ムーキー”オバタの

「Home」が

映画の最後をシメる。

Photo_20200916221701

東海テレビドキュメンタリー

劇場版の第13弾。

ドキュ・ドラマは、

仲代達矢・樹木希林・

山本太郎らが出演した

「約束 名張毒ぶどう酒事件

 死刑囚の生涯」

(2013年・弊ブログ分析済み)

以来となる。

ドキュが苦手な人にも、

十分にサスペンス・ドラマとして

見られる作品だ。
 

2020年9月16日 (水)

「プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」

1_20200915213501
ハリー・ポッターの


ダニエル・ラドクリフ主演
 
重厚な実話ベースの脱獄ムービー
 
 
9月18日のフライデーから、アット エンタテインメントの配給により、

シネマート新宿、ユナイテッド・シネマ豊洲ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2020年製作の、イギリス&オーストラリア合作による106分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2019 ESCAPE FP HOLDINGS PTY LTD, ESCAPE FROM PRETORIA LIMITED AND MEP CAPITAL, LP

2_20200915215601

ハリー・ポッター役以降の

ダニエル・ラドクリフは、

ファンタジーなスマートさはなく、

あえてのように、ワイルドで

ダーティーな役柄に

チャレンジしてきた。そして、

本作ではそんな役の

ピークを迎えた感がある。

南アフリカのアパルトヘイトに

反旗を翻した民間運動家で、

1978年に逮捕され投獄された

実在の人物を演じた。

4_20200915215701

アパルトヘイトもので

思い出すのは、古くは

「遠い夜明け」

(1987年・イギリス)であり、

21世紀では

「マンデラ 自由への長い道」

(2013年・アメリカ・

弊ブログ分析済み)などがあるが、

本作は隔離政策のポイントとなった

黒人の俳優が主演ではなく、

あくまで白人の運動家だ。

アパルトヘイトが世界的に

注目された問題である点を

示すには絶好だと思う。

3_20200915215701

でもって、刑務所内ドラマに加え、

メイン・ソースは

脱獄映画となっている。

「ショーシャンクの空に」

(1994年・アメリカ)や

「グリーンマイル」

(1999年・アメリカ)などの、

刑務所群像ドラマの名作を

思い出すヒューマン性もあり、

さらに、脱獄テクニックを見せる

スリリングな展開が待っている。

脱獄の様子をえいえいと描いた

「抵抗」(1956年・

フランス・モノクロ)とか、

戦争収容所からの「大脱走」

(1963年・アメリカ)などの、

緊迫感あふれるシーンが

繰り広げられるのだ

5_20200915215801

実話ものながら、

刑務所内の各合い鍵を、

木で作るなんて妙味は、

穴を掘ったりする脱獄の定番を、

ワザありで覆すような、

痛快感があった。また、

ラドクリフのナレーションも

その時のキモチに応じて、

感情を入れたり冷静だったりと、

柔軟かつフレキシブルで、

サスペンスのフックを作っていた。

6_20200915215801

看守や刑務所長との

駆け引きを始め、

自由への最後の扉まで、

合い鍵を作っても、

最後の最後まで、

波乱の展開となっている本作。

ハラハラドキドキのサスペンスを

見たい方は必見の仕上がりだ。
 

2020年9月15日 (火)

韓国映画「ブリング・ミー・ホーム尋ね人」

2_20200914220501
あのイ・ヨンエが


マザー役で戻って来た
 
ヒロイン・サスペンスの快作だ
 
 
9月18日のフライデーから、ザジフィルムズとマクザムの配給により、新宿武蔵野館ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の韓国映画108分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

1_20200914221301

イ・ヨンエが14年ぶりに

映画に主演・出演した。

彼女のパブリック・イメージは、

NHKで放送された

「宮廷女官チャングムの誓い」

(2003年製作)での、

好感度の高いヒロイン役だし、

映画でも泣ける映画や

ラブストーリーにも主演してるけど、

ボク的には「JSA」(2000年)での、

キリリとした女刑事役が印象深い。

美人系だけに、結婚前には、

アイドル的な捉え方もされていたが、

今度の映画復帰作は、

その「JSA」に近い、

強くてめげない、

何とクライマックスでは、

アクションだって披露する、

ヒロイン役を演じてみせた。

3_20200914221401

長年行方不明になっている

息子を探し、取り戻そうと

必死になっていくマザー役を、

心理の機微を見せながら、

全力投球の演技で魅せてゆく。

息子を探す間に、

交通事故で夫が死亡。一方、

探されてる息子は、

闇商売の家族にこき使われて

奴隷のような状況だ。

しかも、地元警察が

賄賂をもらって、

闇商売連中を守ろうとする。

4_20200914221501

そんな時、

息子の行方の情報が入り、

それも彼女が大金を払って

得たものなのだが、

その闇商売家族の元へ、

彼女は1人で出向いていく。

そして、彼女と一家との

駆け引きが始まるのであった。

7_20200914221501

その駆け引きが本作の、

サスペンスのキモになっている。

向こうは息子を故意に隠している。

疑いを抱いたイ・ヨンエは、

隠し場を探して、密かに潜入する。

ハラハラドキドキが続く。

5_20200914221501

双子を産んだ彼女だけに、

演技とはいえ、我が子供への

感情移入度は高く、それが

演技にも強烈に反映されていた。

時に、オーバーだったり、

神経質過ぎるとこもあるけど、

できるだけのことを

自由自在に演じてみせた。

6_20200914221601

ヒロイン・サスペンスの

映像ジャンルは、

二時間ドラマを例に出すまでもなく、

あまりにもタイトル数が多すぎて、

マヒしたように

出来の良さが

分かりにくくなっているけど、

本作は正統的で、

間違いなくあなた方を魅了し、

満足させてくれる仕上がり。

謎めきのラストシーンを含め、

ウ~ンと考えさせるとこもある。

一筋縄ではないとこも

あったりする快作だ。
 

2020年9月13日 (日)

「メイキング・オブ・モータウン」

2_20200909224101
モータウン・サウンドって何だ?
 
ノリノリの

ブラック・ミュージックだ
 
 
9月18日のフライデーから、ショウゲートの配給により、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の、アメリカ・イギリス合作の、音楽ドキュメンタリー112分。

文=音楽分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019 Motown Film Limited. All Rights Reserved

1_20200909225201

ボク的には、

モータウン・サウンドといえば、

いち早く思い出すのは、

ダイアナ・ロス&シュープリームス

の「恋はあせらず」だ。

もちろん、ビルボードの

週間シングル・チャートで

No.1になった。その後、

フィル・コリンズが

その曲をカヴァーし、

これもNo.1だ。

どんな音楽だって聞かれれば、

ボクはノリノリの

ブラック・ミュージックだ

と答えている。

その後誕生した

ディスコ・ミュージックや

ダンス・ミュージックも、

モータウンの濃い影響を受けていたし、

プリンセス・プリンセスの

「ダイヤモンド」など、

日本でもそのサウンドを、

イロイロ取り入れている。

レコード会社「モータウン」の、

いわゆるファクトリー(会社)・

サウンドのルーツ的サウンドなのだが、

創業者のベリー・ゴーディが、

デトロイトのフォード社で

働いていた経験から、

サウンド・ラインは

車の生産ラインが、

ヒントになっていると言う。

車のモーター・サウンドな、

アップテンポが基本にあるのは、

ここにあるのかもしれないね。

盟友のサウンド作りの要となる、

スモーキー・ロビンソンと共に、

名曲・ヒット曲を量産してきた。

2人のキズナぶりも披露される。

3_20200909225301

先のシュープリームスを始め、

フォートップス、テンプテーションズ、

マーヴィン・ゲイ、

スティーヴィー・ワンダー、

マイケル・ジャクソンがいた

ジャクソン5などを、次々に輩出し、

大ヒット・レーベルへと発展。

1968年には、ビルボードの

シングル・ベストテンに5曲も

チャートインさせた。

これは、単一アーティスト、

ビートルズの5曲と並ぶものであった。

イギリスのビートルズに対し、

アメリカ勢として、

チャート上で対抗していたのは、

ボブ・ディランや

ビーチ・ボーイズではなく、

モータウンだったのだ。

シュープリームスなど、

映画化されたアーティストもあり、

映画そのものも高い評価を受けた。

モータウン創立60周年記念の

記録映画だけど、

そういうところを抜きにして、

素で見てみたい映画だと思う。
 

NHKドキュ映画「僕は猟師になった」

4_20200825212701
猟師の生き方を描く
 
ヒューマン・ドキュメンタリー
 
 
リトルモアとマジックアワーの配給により、 8月28日の金曜日から京都・出町座、9月11日からアップリンク京都、9月12日から第七藝術劇場、元町映画館など、全国順次のロードショー。

本作は2020年製作の日本映画99分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2_20200825214201

漁師ではなくて猟師。

漁師は儲かるけど、

猟師は儲からない。というより、

野生動物ハンティングとゆう

趣味の世界であり、

狩った生き物はさばいて、

肉は家族みんなで

食べ合うとゆうものだ。

そんな主人公の千松信也を捉えた、

人間ドキュメンタリー。

洋画でも「ディア・ハンター」

(1978年製作・アメリカ)

などで描かれているが、

あくまでシカ猟は

休日の趣味であり、いわゆる

釣りなんかと似ているのだろうか。

本作の千松は、

猟銃は所持しておらず、ワナ猟師だ。

ワナのカラクリは

のちほど披露されるが、

冒頭から、イノシシ猟で

そのワザを見せてくれる。

1_20200825214301

彼は京都大学文学部在籍中に、

狩猟に魅せられ狩猟免許を取り、

先輩猟師にワナ猟を学んだ。

一方で、結婚して子供を2人儲け、

京都の街と山の境界線の、

一戸建てに住み、

運送会社に勤めて

生計を立てながら、

11月から始まる狩猟期間に、

イノシシやシカを

ワナ猟で狙うのだ。

そのお手並みのほどがいわば、

本作の見どころとなるだろうか。

動物愛護の観点からは、

一部ちょっと残酷、

なんてとこもあるんだけど、

獲物を絡めた家族との交流が、

ホッとさせるところが多々あり、

いわばユニークな

家族ドキュメンタリーにも、

なっていた点は驚きだった。

また、師匠とスズメ猟をして、

その成果でヤキトリして、

酒を飲み合うシーンも、

ユーモアがあって面白い。

3_20200825214401

本作は、

映像ドキュメンタリーの宝庫、

NHKが製作した作品だ。

21世紀の現代における、

ITオンライン時代に、

背を向けて、

原始時代に立ち返ったような、

生活の在り方を提示。

鳥肌立つシーンが何度もある、

21世紀の原始時代シーンに、

衝撃があって、身体的に痺れた。

名優・池松壮亮のナレーションも、

いわゆるガイダンスに

しかならないような、

そんなインパクトが

本作にはあった。

千松信也の生き方に、

賛否があるかもしれないけど、

現代に逆行するその生き方に、

ボク的には魅せられた。
 

2020年9月 9日 (水)

大作戦争映画「ミッドウェイ」

8_20200909172601
天下分け目の

ミッドウェイ海戦だ
 
太平洋戦争映画の

ベスト・ファイブだ
 
 
9月11日のフライデーから、キノフィルムズ/木下グループの配給により、全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、アメリカ・中国・香港・カナダ合作の、本編2時間18分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

MidwayⒸ2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

1_20200909001601

第二次世界大戦の、

日米で繰り広げられた、

太平洋戦争もの戦争映画となれば、

これまでに多数のタイトル数がある。

名作が多すぎるゆえに、

迷いまくったけど、その種の映画の、

マイ・ベスト・ファイブを、

順不同で披露してみると…。

①硫黄島からの手紙

(2006年製作・アメリカ映画)

②シン・レッド・ライン

(1998年・アメリカ)

③ひめゆりの塔

(1953年・日本・モノクロ)

④地上(ここ)より永遠(とわ)に

(1953年・アメリカ・モノクロ)

⑤本作

5_20200909001701

●太平洋戦争の悲劇的幕開けとなった、

日本の真珠湾攻撃だが、

アメリカ側の視点から、

その悲劇性を最も表現した④。

太平洋のいろんな島での

日米決戦を描く、

イーストウッド監督の硫黄島①

テレンス・マリック監督の

ガダルカナル②。

共に映画作家性を

遺憾なく発揮した傑作だった。

終戦間際の沖縄戦を、

心理面を中心に激烈に描いた、

今井正監督の③のインパクト。

そして、本作。

天下分け目に結果的にはなった、

ミッドウェイ海戦は、

かつても何作か撮り上げられたが、

本作が最もその代表作にふさわしかった。

そのあたりを見てみよう。

4_20200909001801

日本軍の奇襲となった、

パールハーバーの戦いが

まず描かれる。

日本側・アメリカ側と分けて

描かれるのが、

まずそこんとこが

これまでと違っている。

パールハーバー後の、

次なる決戦の地が、

アメリカ本土への進攻を目指す、

日本軍のミッドウェイ海戦

となるのだが、それが

アメリカの緻密な、

暗号解読によって分かり、

無敵の日本の戦艦を沈めるための、

空軍の突撃攻撃が

計画され、実行されるのだ。

6_20200909001801

本作の大きな見どころは、

戦闘機による戦艦攻撃だ。

戦闘機で急降下しながら、

地対空シューティングを避けて、

母艦に爆弾を落とし、

そして生還する。

そのスリリングなアクションが、

何度も出てくるのだ。

「プライベート・ライアン」

(1998年・アメリカ)の

戦場臨場感に勝るとも劣らない、

この攻撃の衝撃度は絶大だった。

さらに特筆すべきは、

群像劇にふさわしく、

日米オールスター的布陣で

キャスティングされたことだ。

ウディ・ハレルソン、

デニス・クエイド、

アーロン・エッカートなど、

ハリウッド映画界の演技派に加え、

日本からは、

トヨエツこと豊川悦司、

ハリウッド映画には既に出ている

浅野忠信などが、

渋いコクある演技を示している。

7_20200909001901

さて、本作は、

ローランド・エメリッヒ監督の、

新作となる。彼の

マイ・ベスト・スリーも披露すると…。

円盤SF映画の大作

「インデペンデンス・デイ」

(1996年・アメリカ)。

ディザスター・パニック・ムービー

「デイ・アフター・トゥモロー」

(2004年・アメリカ)。

戦争映画として
は本作。

映画評論家の受けは

決してよくないけど、

とにかくハリウッド映画らしい

豪快さ・大作感、

大きなスクリーンで見るべき

スケール感にあふれている。

音響のドルビー・システムも完璧な、

ココロ打ち震える、

ハリウッド映画の劇場体験を、

ぜひともご堪能ください。
 

2020年9月 8日 (火)

「カウントダウン」⇒アメリカン・ホラー

1_20200907233001
スマホを使った


21世紀型ホラー・サスペンス
 
呪いの解除に新味は?
 
 
9月11日のフライデーから、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の、アメリカ映画90分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020 STX FINANCING,LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

2_20200907234001
大手のハリウッド映画作品が

コロナ禍で公開・撮影延期が続く中で、

コロナ禍前に完成していた

アメリカのインディペンデント映画が、

ようやく日本公開されるに到っている。

そんな1本の本作は、

スマホを使った

21世紀型のホラー・サスペンスだ。

スマホをメイン・ソースで

導入した映画は、

ケッコー出てきているけど、

ホラー映画では、初めてじゃないだろうか。

でも、そのスタイルは、

これまでのホラー映画を

踏襲するものとなっている。

3_20200907234101

人の呪いは、怪談ものから始まった

日本映画のお家芸だが、

本作はアメリカン・ホラー伝統の

悪魔ものを踏襲しつつも、

「リング」「呪怨」などの、

ジャパニーズ・ホラーの影響を、

濃厚に受けて、人の呪い以外に、

さまざまなところで、

そのスタイルやタッチを引用している。

余命を告知するスマホ。

それは100パーセントの

完璧な絶対予想であった。

そのあたりが、冒頭から

1人の女性の死によって示される。

6_20200907234201

スマホアプリから、

余命3日を告げられた

ヒロイン(エリザベス・ライル)。

その解除を模索し実行していく

3日間の物語となれば、

やはり「リング」の設定を

思い出さざるを得ない。

ビデオがスマホになった

だけのようだけど、但し、

呪いの解除の方法論は違っていた。

タイムスリップ映画で、

よく見受けられる、

過去を変えられるかを、

近未来に変えたもので、

その手法は“変更”にある。

いわばホラーに、

SF映画のノリを加えるとゆう、

新味を見せてくれるのだ。

5_20200907234301

ホラー的なビクビクの怖さよりも、

いかにして時間内に、

呪いを解くかの、

ハラドキ・サスペンスの方に、

比重が掛けられた作品

だと言えるだろう。

この種の映画に欠かせない、

ヒロイン役エリザベス・ライルの、

魅力も付け加えておきたい。

男勝りな「エイリアン」の

シガニー・ウィーヴァーかと思いきや、

上司からセクハラも受ける

美人タイプで、

サスペンスやホラーなんかよりも、

ラブストーリーなどで、

ウットリさせてほしい

タイプだと思う。けれど、

美しくてハリウッド女優

らしさある彼女が、

必死のアクションや、

眉しかめなサスペンスを見せるのは、

ミスマッチ感があるとはいえ、

メッチャ面白くて、

血沸き肉躍った(!?)。

とにもかくにも、怖さ控
えめ、

サスペンス強めで、楽しめた作品だった。
 

2020年9月 4日 (金)

「れいわ一揆」

1_20200902230201

山本太郎率いる


「れいわ新選組」の

 

参議院選ドキュメンタリー

 

「アベンジャーズ」並みの

 

個性あふれる10人だ

 

http://www.docudocu.jp/reiwa/

 

9月11日の金曜日から、アップリンク渋谷ほかで上映。その後、9月18日からアップリンク京都、9月19日から第七藝術劇場など、全国順次のロードショー。


本作は、2019年製作のドキュメンタリー248分。


文=映画分析研究所 所長 宮城正樹


Ⓒ風狂映画舎

2_20200902231701

日本のドキュメンタリー映画界の巨匠


・原一男監督の新作。


20世紀には、共にキネマ旬報で、


邦画年間ベストワンとなった


「ゆきゆきて、神軍」(1987年)


「全身小説家」(1994年)


の2作などを輩出。


両作共に、個性あふれる人間の、


ドッキリ・ヒューマンドキュ


になっていたが、本作もまた、


その例に漏れない。


ドラマ映画では


とても演技しきれない人間性が、


むき出しのままに撮られて、


メッチャなインパクトを与えるのである。

6_20200902231801

本作は、山本太郎率いる


れいわ新選組」の、


参議院選に立候補した


10人の群像ヒューマン


・ドキュメンタリー。


ドラマ映画に何作も出ていた


俳優でもある、山本太郎自身が、


エキセントリックで


個性あふれるキャラクターだが、


原監督としては、最初の構想では、


山本太郎ではなく、


立候補者の1人である、


トランスジェンダーの東大教授・


安冨歩をクローズアップする


つもりだった。確かに、


安冨歩の映画だと言うくらい


露出されてはいる。しかし、


ドキュの面白いところは、


メインに追求しようとしたものとは、


違った何かに、


心を奪われる点である。

 

3_20200902231801

モチ、安冨歩が本題にある。


彼の選挙活動は、白馬を伴って、


選挙演説をする点だ。


彼のユニークさが


イロイロ撮られてゆく。


京大出身の彼が京大前で


誰も聞いていないとこで演説したり、


最終演説の場が、


通天閣前だったりと面白い。


元創価学会の沖縄人や、


シングルマザーの元派遣社員、


当選することになる、


2人の重度の身体障害者なども、


サプライズある選挙戦を


戦っていくのだ。


「アベンジャーズ」並みに


個性あふれる、候補者たちの


いろんな主張や言葉が、


心に響いたり重くのしかかったり


ウーンと唸ったりさせるのだ。

4_20200902231901

和太鼓による雅楽のサントラが、


ドキュの独特なリズムを奏でるが、


サントラとは違うが、


マイケル・ジャクソンの


ミュージック・ビデオ「スリラー」の


ゾンビ・シーンを、


歌なしのダンスだけで見せたり、


ラップ演説だったりと、


「れいわ新選組」の


常軌を逸したところが


いくつも撮られてゆく。

 

5_20200902231901

「このままではこの国は壊れてしまう」


とゆう山本太郎の言葉があるが、


コロナ禍により本当に


壊れてしまったとも


いえる現状において、


本作はかすかではあるが、


新たな希望の光を、


見せてくれる映画でもあった。


今年逝去した大林宣彦監督の遺作


「海辺の映画館」と共に、


本作は年間ベストワン・ツーを


競い合う傑作である。

 

2020年9月 3日 (木)

「mid90s ミッドナインティーズ」

1_20200901230201
90年代青春ムービーの快作
 
アメリカン・インディーズの

心意気だ
 
 
9月4日のフライデーから、新宿ピカデリー、渋谷ホワイトシネクイントほか、全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作のアメリカ映画85分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸA24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

5_20200901231701

ティーンエイジャーの、

ラブストーリー抜きの、

アメリカン青春ムービー。

これまで、時代時代に合わせて、

アメリカの青春映画は

数多く輩出されてきたが、

本作は1990年代の

ロサンゼルスが舞台になっている。

この種のアメリカ映画で、

ボクが好きなのは、

ジェームス・ディーンが主演した

「理由なき反抗」

(1955年製作・アメリカ)や

「エデンの東」

(1954年・アメリカ)なんだけど、

そこで描かれた家族関係や、

青春の暴走ぶりが、

ドラマティックではないけれど、

本作にもある。

2_20200901231701

スケボー仲間たちの

男たちの青春だ。モチ、

時代を反映したものだが、

スケボーがスポーツか

どうかは別にして、ボク的には、

サーフィンをベースにした

「ビッグ・ウェンズデー」

(1978年・アメリカ)のような

友情ものほどには、

本作には感動はなかったけど、

あくまで時代を反映した

ものであるならば、

これはこれでベタじゃない、

軽みなキズナだけど

頷けるところはあった。同じく、

家族のキズナも、

飄々とした軽みが感じられる。

4_20200901231801

おそらく、ベタでヘヴィーな描写では、

表現したくない監督の意図が

あるのではないかと思った。

90年代の青春を描く点もまた、

その意図に合っていただろう。

サントラもその時代に合わせて、

ヒップホップな歌ものを、

中心に選択している。

監督は俳優のジョナ・ヒル。

「マネーボール」(2011年・

アメリカ・弊ブログ分析済み)で

ブラッド・ピットと、

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」

(2013年・アメリカ)で

レオナルド・ディカプリオと共演し、

主役を食う演技ぶりで、

アカデミー賞助演男優賞に

ノミネートされた俳優である。

それだけに、初監督作品の本作には、

演出具合に注目したが、

やはり激烈を外した、

自然体の演出に撤していた。

これは作品性に

合わせたものだろう。

3_20200901231801

自我を押し付けない、

この監督の演出ぶりは、

ボクはシブミがあって

うまかったと思う。

16ミリフィルムで

撮影するとゆう手法も、

この青春映画にはピッタリだった。

アメリカン・インディーズ映画の

粋に魅せられた快作だった。
 

2020年9月 1日 (火)

「宇宙でいちばんあかるい屋根」

2_20200831222901
清原里耶と桃井かおりの

歳の差交友だ
 
ヒロインドラマにして家族ドラマ
 
 
9月4日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020「宇宙でいちばんあかるい屋根」製作委員会

4_20200831224101
2人の年の差交流・

交友映画とゆうのは、

実は映画映えしやすい素材だ。

みんなも思い出してほしい。

映画館であれDVDであれ、

少なくとも1作は

どこかで見ているはずだ。

この種の映画では、

子供と大人(若者から老人まで)

が定番だが、

親戚・親族を除く、

大人同士(未成年含む)とゆう

パターンも結構ある。

5_20200831224701

その場合、いろんな形態がある。

郵便を通して交流に徹した

「イル・ポスティーノ」

(1995年製作・イタリア映画)や、

取材を通して心の交流が紡がれる

「サンダカン八番娼館 望郷」

(1974年・日本)などが、

ボクは好きだが、本作のように、

生きているか死んでいるか

分からない、ババア天使の

ようなオバサン(桃井かおり)と、

ヒロインの女子高生(清原里耶)

の交流とゆうのは、

ユニークで面白く、

時にドッキリがあって

スリリングだ。

1_20200831224701

年配者が年下を、

指南するようなところもあるけど、

押しつけがましくなく、

自然な流れである点がいい。

ボク的には、今年逝去した

大林宣彦監督作品への

オマージュも感じられて、

ウーンと唸って胸にきたぞい。

3_20200831224801

ヒロインの家族と、

隣に住むヒロインの

好きな大学生(伊藤健太郎)の

家族とゆう生活環境なんだけど、

桃井かおり天使は、

流れのままに、ヒロインに、

恋や家族関係の

アドバイスをするのである。

何かいいね~。

映画監督もした、

桃井かおりの過去には、

名作・傑作が目白押しなんだけど、

本作のように

サポートに回った時の

渋い演技性には、

独特なセンスを発揮する。

「時間は気持ちよく使わなきゃ」

なんてセリフも効いてるし、

これぞ、若い頃に

ハチャメチャ演技をした

大人の演技者の凄みである

8_20200831224901

本作は角川映画こと、

KADOKAWAが

配給しているだけに、

1980年代に一世風靡した

角川アイドル映画の流れを、

大いに汲んだ映画にもなっている。

それを体現するのは、

もちろん清原里耶だ。

今後のNHKの

朝ドラ・ヒロインにも、

抜擢されてる彼女だけに、

国民的人気を獲得するのは

ほぼ間違いない。その前に、

きっちりファンになっとくのは、

いいんでねえか。

6_20200831224901

さてはて本作は、

日本アカデミー賞で、

最優秀作品賞を受賞した

「新聞記者」(2019年)の

藤井道人監督の、

その傑作の次作となる

新作である。

スクープを追う女記者と、

恋に家族関係に迷う

女子高生とゆう違いはあれ、

それぞれのところで、

最高ラインの演技を、

引き出してみせた監督の手腕は、

特筆ものだ。

7_20200831225001

「新聞記者」も、

邦画年間ベストテン級の

仕上がりだったが、本作もまた、

間違いなくベストテン級になった。

ヒロインの家族

(両親役は吉岡秀隆と坂井真紀)

ドラマでもあるので、

家族みんなで見に行っても、

楽しめる映画だよ。
 

« 2020年8月 | トップページ | 2020年10月 »