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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2020年7月の記事

2020年7月30日 (木)

「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」

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「ひめゆりの塔」並みに

悲しき物語
 
宝田明の感動系

ナレーションに泣く
 
 
8月1日の土曜日から、第七藝術劇場で、全国順次のロードショー。

8月7日まで、東京・K's cinemaなどで上映中。

全国の上映館は、上記の映画公式ホームページでご確認ください。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ浄土真宗本願寺派(西本願寺) 青空映画舎
 
沖縄ロケのドラマ映画が

21世紀の初めに、

ブームになったことがある。

しかし、それらは沖縄人

ウチナンチューじゃなく、

ヤマトンチュウ=本土の人

視点による、ラブストーリーや

人間ドラマであり、

過酷で悲惨で非情な

アメリカとの沖縄戦が

あった過去は、当然のように

スルーされていた。

一方で沖縄戦を主題にした

ドラマ映画は、

今井正監督による

セルフ・リメイクもされた

「ひめゆりの塔」(1953年製作・

モノクロ・弊ブログ分析済み)

をルーツとして、

東宝製作の

「激動の昭和史 沖縄決戦」

(1971年)などがある。

また、アメリカ側からの視点では、

「ハクソー・リッジ」

(2016年・アメリカ&オーストラリア・

ブログ分析済み)や、

アメリカ人監督による

「STAR SAND-星砂物語-」

(2017年・ブログ分析済み)などが、

21世紀も2010年代になって

製作・公開された。では、

ドキュメンタリーとなるとどうか。

そちらは、21世紀になって以降も、

本作を含めて何作か作られてきた。
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中でも沖縄戦に

特化したところでは、

「沖縄 うりずんの雨」

(2015年)と本作が、

2大ベストだとボクは見ている。

但し、「…うりずん」は、

アメリカ人監督が撮ったものだ。

2作は似通っているとこが

多い点があるものの、

本作の場合は、

生き残った人たちの

インタビューを豊富に、

過去の映像や写真を

ドラマティックに見せた。

ドキュにドラマティックは

そりゃないだろうと言う者もいる。

しかし、Wナレーションの2人

(宝田明・斉藤とも子)が、

語りの深みや演技性を、

声優並みに披露してみせた。

斉藤とも子のナレートは、

観客に投げかけ系を含め、

タイトで分かりやすく、

今村正リメイク版

「ひめゆりの塔」(1982年)に

出演した経験も生かされていた。

そして、感動のツボは宝田明だ

生き残った子供たちを映す動画に、

彼の感動系のナニワ節が乗る。

思わず涙がにじむ、

泣きのツボある

シークエンスであった。

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戦後75年に、

心して見てもらいたい映画だ。
 

2020年7月29日 (水)

ブラジル映画「ぶあいそうな手紙」

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年の差キズナな友情もの
 
老いらくの恋の行方は?
 
 
7月31日のフライデーから、ムヴィオラの配給により、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の、ブラジル映画123分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCASA DE CINEMA DE PORTO ALEGRE 2019

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年の差ある友情映画とくれば、

あなたが思い出すのは何?

ボクは若い郵便配達屋と

年老いた詩人の

「イル・ポスティーノ」

(1996年製作・イタリア映画)

なんだけど、子供と老人、

モチ男女など、

いろいろあるかと思う。

但し、そこに恋愛が絡む例は

意外と少なく、

やはり友情やキズナに

焦点を当てた作品が

多数を占めるようだ。

本作のブラジル映画はどうだろうか。

アパートで一人暮らしの老人と、

若い娘との友情ものである。

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老眼で目がかすむ

老人主人公の元に、ある日、

長年の友の死を伝える、

かつての恋人からの

手紙が送られてきた。

近くの部屋に来ている若い娘に、

手紙を読んでもらい、

その返事を書いて

娘に送ってもらうことに。

主人公は、その老女に

今も恋ゴコロを抱いていた。

その娘をある種の

キューピッドとして描き、

老いらくの恋は

成就するのかを

着地ポイントにして

描かれる映画。

単純で分かりやすい。

しかし、よくありがちな話で

ありながらも、

人情深いドラマへとつながっていく。

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シニア映画の

スパイスをメインに、

それをサポートする

ヒロインとゆうスタイルで、

ほのぼのとしたタッチで、

物語は心地よく進んでゆく。

娘を一緒に住まわせるけど、

娘が男を連れ込んだりする以外は、

あんましマイナス・ポイントはなく、

最後まで好感ある

ドラマが紡がれてゆく。

ハードルのないスムーズな展開が、

ともすると、そんなに

人生うまくいくかなと、

思う人もいるかもしれないけど、

でも、そおゆう心地よさが、

今の映画には必要なんだと思う。

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これまでのブラジル映画には

なかった感触がある。

カエターノ・ヴェローゾの

ブラジリアン・ポップス・ナンバーに加え、

ブラジル発のタンゴに

似合うバンドネオンや、

ピアノ・ギター・チェロなどの

使い方も斬新な、

サントラ使いにも注目したい。

年の差キズナ映画の、

巧妙な作り方に

酔ってみてください。
 

2020年7月24日 (金)

「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」

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大林宣彦監督の遺作
 
反戦を絡めた

映画愛映画の大傑作
 
 
7月31日の金曜日から、大阪ステーションシティシネマほかで公開。

本作は2020年製作の、日本映画179分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」製作委員会/PSC

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コロナ禍かしましい中で、

大林宣彦監督が逝去した。

その遺作である本作が、

当初4月10日公開だったが、

7月31日に延期された。

とゆうことで、追悼を込めて、

ここで監督の、

マイ・ベスト・ファイブを、

順位通り披露する。

①本作

②転校生(1982年)

③時をかける少女(1983年)

④花筐/HANAGATAMI(2017年)

⑤異人たちとの夏(1988年)

●キャリア初期の1980年代に、

「尾道三部作」として作られた

青春映画からは、

②と人口に膾炙した③を選択。

それ以外では、

親子の絆を独特のタッチで描いた⑤。

それから、2010年代まで

トンデしまうけど、

その間の作品も

多数の傑作を撮っている。

そして、晩年に披露した

「大林的戦争三部作」から、

近作の④と

遺作の本作を選んだ。

総じてキャリア全体を通して、

評論家受けの高い監督だった。

でもって、本作は、

遺作にして、

監督の集大成ともいえる、

最高傑作となった。
 

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閉館を迎えた、

映画館のオールナイト上映

とゆう設定から、

「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年)的

映画愛がストレートに見えてくる。

映画館のスタッフ

(小林稔侍・白石加代子ら)を始め、

その上映映画のナビゲーター

(高橋幸宏)に加え、

観客の若者たち4人

(新人クラスの吉田玲・厚木拓郎・

細山田隆人・細田善彦)が、

映画の中
に入る

とゆうユニークな試みで、

反戦映画が展開していく。

SF映画のノリで

この4人は歴史を変えようと

奮戦していくのだが…。

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映画内映画は、

最初はヤクザ映画や

「尾道三部作」的

青春映画のノリで始まるが、

時代劇から太平洋戦争まで、

日本の戦争の歴史を、

俯瞰するスタイルで展開。

映画はいろんな時代を、

タイムスリップし行き来していく。

日本の多彩な時代劇に加え、

戦争映画とのシンクロナイズが、

これでもかと繰り返される。

そんな中で、SF映画、

例えば「2001年宇宙の旅」(1968年)とか、

ハリウッド・ミュージカルとかのノリも、

随時挿入していくとゆう、

ウルトラ級の映画への

オマージュと愛が綴られる。

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女優陣の演技ぶりが強烈だった。

役柄を変えて、

映画の中に入り続ける

新人・吉田玲の

おぼこい演技ぶり。

ミュージカル始め

踊って歌って、

さらにキリリとした演技を

見せる常盤貴子。

娼婦役の成海璃子や、

沖縄娘役の山崎紘菜など、

大胆なヌードも披露しつつ、

キリリや弱々しさを

柔軟に披露している。

割れガラスの

万華鏡的シーンでの、

成海璃子の

セックス・シーンは、

印象に残った。

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原色系の色使いに加え、

薄ブルーフィルターを入れたり、

紹介字幕やナレーションなど、

目まぐるしく変わるカット割りを

補足するところだったり、

アイリス・インや

アイリス・アウトなどの

映画的撮り方の多彩ぶりなど、

映画作家としてのアート性と、

分かりやすさを

バランスよく配した。

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中原中也の詩を、

場面に応じて多数引用し、

純文学的映画を目指したと、

監督は言ってたらしいけど、

そおゆう文学的な試みも含んで、

大林宣彦監督流の映画になっていた。

ぜひ見に行っていただいて

痺れてほしい作品です。
 
 

2020年7月23日 (木)

「いつくしみふかき」

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渡辺いっけいが映画初主演

親子の相克を描く激烈な作品

7月24日のフライデーから、渋谷プロダクションの配給により、テアトル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の、日本映画107分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
 

昨日紹介した

「君がいる、いた、そんな時。」

に続き、本作もまた

地方ロケ映画の粋を見せる1本。

だが、地方ロケ映画は映画でも、

ポジ入り純粋無垢や清く正しいが

ある作品があるかと思えば、

本作のように、

ネガ入りの非情さや相克ぶりが

浮き彫りになる作品がある。

そのテーマが

親子の関係性となれば、

より激烈なシビアさが伴う。

三國連太郎と緒形拳が

いがみ合った「復讐するは我にあり」

(1979年製作)のような、

相克ぶりが衝撃的な1作となった。

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長野県飯田市ロケーション映画である。

長野のイメージとは裏腹の

ロケぶりがまずは目に付く。

悪にいそしむ男(渡辺いっけい)と、

男の息子(遠山雄)のお話である。

息子は父を知らない、

シングルマザーの元に

生きてきたが、

男が疎まれる村では、

その息子もまた村人から、

ハバにされる。

男のワルぶりと

息子の疎まれ具合が、

前半では交互に描かれる。

渡辺いっけいの

トンデモワルぶりは、

冒頭から吐き気を催すくらいで、

そのいびつさが残響される中で、

息子の迷いぶりや戸惑いが

対比的に描かれて、

ドラマティック効果が

上昇していくのだ。

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渡辺いっけいが、

賛美歌「いつくしみふかき」を、

ブツブツ呟きながら

ナレートしていくところは、

傑作「青春の蹉跌」(1974年)で、

萩原健一が「斎太郎節」を

「エンヤードット」と呟いた

シーンにも通じるものだろう。

渡辺いっけい一世一代の、

最高傑作演技とも、

言えなくはない、

悪役メインの怪演技ぶりだ。

そして、親子を見守る

牧師役に扮した金田明夫

(写真4枚目)の渋演技ぶりが、

本作の大きなフックになっていた。

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「カメラを止めるな」(2018年)で

クローズアップされた、

日本のインディーズ映画だが、

ATG映画以来、

この種の映画は傑作の宝庫である。

それを証明するような1作に、

本作は数えられるのではないかと、

ボクは思う。

親子が対峙した時の緊張感は、

「復讐するは我にあり」に

勝るとも劣らない

テンションがあった。

必見だ。

2020年7月22日 (水)

「ブルース・リー4Kリマスター復活祭2020」

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「ドラゴン危機一発」

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「ドラゴン怒りの鉄拳」

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「ドラゴンへの道」

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「死亡遊戯」

ブルース・リーが蘇える
 
格闘アクション映画のルーツ
 
 
7月3日のフライデーから、ツインの配給で、アップリンク渋谷、なんばパークスシネマ、元町映画館ほかで上映中。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸFortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

『ブルース・リー4Kリマスター復活祭2020』トークイベント・献花式

 

開催日時:

①7月23日(木)19:00〜「死亡遊戯」上映終了後

②7月24日(金)19:00〜「ドラゴン危機一発」上映終了後



場所:元町映画館

 

詳細:

①トーク「今、読み解くべき『死亡遊戯』の心」

 登壇者:ちゃうシンイチーさん(ブルース・リー同人誌発行人)



②イベント「ブルース・リー没後47年命日追悼献花式」

進行・トーク:ちゃうシンイチーさん(ブルース・リー同人誌発行人)

ゲスト:内野隆司さん(リズミックボクシング創始者/TSD-KALI代表)、ソフィ上川さん(香港 李小龍會/メインスタッフ・海外広報担当)、矢部佐織さん(株式会社ツイン/宣伝ディレクター)

 

※当日映画を観られた方対象、参加無料
※事前予約はできません。当日10:00より受付を開始いたします。入場システムをご確認ください。
※イベント回に限り、招待券・満了スタンプカードなどでの無料入場はできません。


詳細はリンク先にてご確認を!!

https://www.motoei.com/post_event/brucelee2020event/


★ブルース・リーのファンなら、

全員見てるだろうけど、

初めて見る方にとっても、

ハマることは間違いなし。

ワールドワイドに

ブルース・リーが

有名になった作品は、

ハリウッド大手が製作した

「燃えよドラゴン」

(1972年製作・香港&アメリカ)だが、

その基となった、

香港製のドラゴン・シリーズ4作が、

1970年代の日本公開時

バージョンのリマスター版で蘇える。

みなさん、ぜひとも映画館の

おっきなスクリーンで

体感していただきたい。
 
●「ドラゴン危機一発」

(1971年・100分)
 
ブルース・リーは、

製氷工場に勤める冴えない労働者役。

工場長のおもてなしで酒に酔っ払い、

女をあてがわれてベッドイン。

しかし、そんな彼が相手を打ち倒して、

写真の怒りの形相で、

拳を固めるキメポーズを見せる。

最後に必ずある、

1対1対決は毎回のハイライト。
 
●「ドラゴン怒りの鉄拳」

(1972年・102分)
 
日本武道との対決。

剣対ヌンチャク、剣対素手の、

スリリングな対決。

マイク・レメディアスが歌う、

香港ポップス歌謡曲

(「死亡遊戯」では流れない)の

哀愁がココロをそそる。

いいねー。
 
●「ドラゴンへの道」

(1972年・100分)


上記2作の

ロー・ウェイ監督に代わって、

ブルース・リーが監督した

シリーズ第3作。

イタリア・ロケ作品。

最初はコミカルなタッチで始まる。

イタリアのレストランの、

用心棒としてリーが活躍。

ローマのコロシアムでの、

チャック・ノリスとの対決は、

大いなる見どころだ。
 
●「死亡遊戯」

(1978年・100分)
 

ブルース・リーが

「燃えよドラゴン」撮了後に逝去して、

宙に浮いていた作品だが、

ソックリサンの代役シーンも

取り入れて完成した、

シリーズ最終作。

クライマックスの4人との

勝ち抜きサバイバル戦は、

ブルース・リー・アクションの

集大成的ベスト版的仕上がりだ。

「君がいる、いた、そんな時。」

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地方ロケ映画の粋を見せる快作
 
少年たちの友情

プラス大人のヒロイン
 
 
7月24日からテアトル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の日本映画85分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒとび級プログラム

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本作は、広島県呉市にロケした、

地方ロケーション映画。

地方ロケ映画は、

映画黄金期にもあったけど、

愛媛ロケの

「がんばっていきまっしょい」

(1998年製作)以降、

各都道府県への映画ロケを、

管轄するフィルム・コミッション

の充実により、

メジャー、インディーズ関わらず、

メッチャ製作され公開されてきた。

本作はそんな1作だが、

得てしてありがちな、

観光誘致含む映画とかとは、

一線を画する映画になっている。

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広島市ロケ映画は多数あるけど、

呉市はどうか。

イロイロあるだろうけど、

呉市全面ロケは

なかなか思い出せない。

アニメの「この世界の片隅で」

(2016年・弊ブログ分析済み)があるけど、

これはロケはしていない。

けども、広島原爆を

背景に置いたそのアニメと、

本作は相似形の位置に

あるようにボクには思えた。

特に、少女であれ大人であれ、

ヒロインのキモチの

造形ぶりだろうか。

但し、メインにあるのは、

いじめられたり親から虐待される、

少年たちの友情であり、

大人のヒロイン

(本作の場合は、

小学校の図書室の司書)

と関わる少年の、

今も昔も変わらない

ナイーブなキモチだ。

ヒロインのために、

2人が、あるドッキリビックリな

ことをするのも、意外性がある。

そして、少年たちの想いと、

トラウマあるヒロインの想いが

交錯した時…。

ドラマティックな感動が訪れる。

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地方ロケを意識させないで、

地方ロケ映画の粋を

見せる快作だった。

少年たちと大人が関わる映画では、

三國連太郎主演の名作

「夏の庭」(1994年)

などを思い出すが、

本作はそれに近いアプローチがある。

大人が積極的か

消極的かの違いだけだ。

少年たちに関わる小島藤子は、

トラウマ部を含め、

好感度の高い演技ぶりを示している。

故郷ロケを選択した、

迫田公介監督の

オリジナル脚本による

長編映画デビュー作。

自身の体験を、

ヒロインに託したところもあって、

その繊細な心理的機微でも

魅せる映画になった。

ポップなオカダノリコが歌う

主題歌「予感」

(ウサギバニーボーイ+

kneeeeee+

オカダノリコが

作詞・作曲・編曲)も、

本作の作品性に貢献していた。
 
 

2020年7月21日 (火)

香港ノワール「追龍」

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アンディ・ラウ&

ドニー・イェン共演
 
香港黒社会の実録映画
 
 
6月26日のフライデーから、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、中国(香港)映画128分。
「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2017 Mega-Vision Project Workshop Limited.All Rights Reserved.

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本作は、黒社会を題材にした、

実話ベースの香港映画。

黒社会映画は、

ギャング映画・ヤクザ映画・

ノワール映画などと多彩にある。

そのルーツといえば

アル・カポネをモデルにした

「暗黒街の顔役」

(1932年製作・アメリカ映画・

モノクロ)だとボクは思うが、

その作品のリメイク

「スカーフェイス」

(1983年・アメリカ)も、

元ネタをバージョンアップした

強烈な作品だった。

黒社会映画のキモは、

そのバイオレンス描写の凄みにある。

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「黒社会」とゆう表記は、

香港映画界から起こったものだが、

その描写は先の

ハリウッド映画ばりの

容赦のなさがある。

そのハリウッド的に、

犯罪者側から描くだけではない。

刑事側のアウトロー

(アンディ・ラウ)と、

犯罪者側のモロ悪人

(ドニー・イェン)が結託し、

香港の黒社会を牛耳ってゆく

とゆうストーリー展開だ。

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アンディ・ラウと

ドニー・イェンの2人を

交互に映してゆき、

やがて2人の関係ドラマへと

結んでゆく作りだ。

何はともあれ

男たちのドラマが熱い。

2人のパブリック・イメージに、

見合った演技性に、

グッと魅了された。

アンディ・ラウは、

代表傑作「インファナル・アフェア」

(2002年・香港)のように、

善悪のG線ラインを

飄々と綱渡りするような演技。

対して、

カンフー・アクションの

正義派アクターとして、

君臨するドニー・イェンは、

アウトローの演技でも

アクションで魅せつつも、

悪役になりきれないところを

渋く見せている。それでも、

「スカーフェイス」の

アル・パチーノに

迫る演技ぶりだった。

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ファンキーなサウンドに乗っての、

拷問などのダイジェスト

・シーンのタイトさ。

香港ポップスの余韻など、

映画にマッチした

サントラ使いにも注目されたし。

最後に流れる、

ファンキー・ロックには

ノリノリになれたしね。

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監督は「ゴッド・ギャンブラー」や

「古惑仔」など、

ヒットした香港シリーズもので、

気を吐いた、バリー・ウォン。

アクションを中心とした、

エンタの醍醐味演出に、

長けているだけに、

その硬軟描写に、

香港アクトの粋(イキ)を感じた。

とゆうことで、実録の重さよりも、

ドラマの軽快さを、

楽しめた作品だった。
 

2020年7月17日 (金)

「今日から俺は!!劇場版」

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80年代ツッパリ・

ブームへのオマージュ
 
学園アクション・

テレビドラマの映画版だ
 
 
7月17日の金曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

本作は、2020年製作の日本映画114分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会

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学園のアクション・ドラマ

(まあ、ケンカです)

な日本映画は、

21世紀も作られ続けている。

「クローズドZERO」シリーズとか、

EXILEグループの

「HIGH&LOW」シリーズとか、

まあ、イロイロある。

でもって、本作もまた

そんな1本だが、

それらと違うところは、

現代ではなく1980年代を

背景に置いている点だ。

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1980年代以前にも、

学園アクションものは

あったんだけど、

ツッパリ・ブームなるものが、

80年代に音楽界からまず起こり、

映画界へも広がった経緯がある。

本作でも、

正義の味方側の学生キャラたち

(賀来賢人・伊藤健太郎・

仲野太賀・
清野菜名・

橋本環奈・山本舞香ら)が、

80年代に大ヒットした

ツッパリ・ロック「男の勲章」を、

2度にわたり歌い上げる。

いわば、ツッパリ・ブームへの

オマージュが仕込まれた

映画となっているのだ。
 

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80年代当時に生まれた映画では、

シリーズ化もされた

「ビーバップ・ハイスクール」や

「スケバン刑事(デカ)」などがあるが、

本作はそれらの映画と

同時代を背景にしながらも、

それらよりCG時代を反映した、

よりバージョンアップした

アクションを、見せつけるだけでなく、

コミカルなところもまた、

ふんだんに取り入れて、

より余裕を見せる

パロディチックなところが

ある点が面白い。

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日本テレビの

連続テレビドラマの劇場版だ。

ドラマの映画版は

いっぱいあるんだけど、

こおゆう学園アクションは

皆無に近い。

映画版の予習・復習として、

ドラマの再放送や、

本日7月17日には

午後9時から日テレで、

関西なら10チャンネルで

「今日から俺は!!スペシャル」が

オンエアされるんで、

映画を見に行く前後に

チェックしてみるのも

悪くないだろう。

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ケンカ映画ではあるんだけど、

やはりアイドル映画ノリが

ある点も見逃せない。

ビーバップやスケバンも、

アイドル映画としての

基軸があったしね。

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ボクは特に女優の

アイドル性に魅かれた。

男優もだいぶコミカルしてるけど、

女優たちもまた、

コメディエンヌ・アクションしてるのが、

仲村トオル(ビーバップ)や

南野陽子(スケバン)との大きな違いで、

メッチャなコメディ・

リリーフになっていた。

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80年代はツッパリだけでなく、

イジメが社会問題になった

最初の年代でもある。

そして、本作も

そうしたところを取り入れて、

善と悪(柳楽優弥ら)の対決へと、

最終的に持っていく構図も、

またよかったと思う。
 

2020年7月16日 (木)

スウェーデン映画「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」

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シニア・ヒロイン映画の


新たなカタチ

オーソドックス


だけどポジティブ

7月17日のフライデーから、松竹の配給で全国ロードショー。

本作は、2019年製作のスウェーデン映画1時間37分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸAB Svensk Filmindustri, All rights reserved

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老人・老女のシニア映画は、

これまでに数多くの

タイトル数がある。

「老人と海」など、

男の老人映画は、

ケッコー多くて傑作もありで、

老女ものを

上回っているかもしれないけど、

本作は、そんな老女ものでも、

あったかい系に

帰趨する映画だった。

人と人の温かみとかキズナとか、

ボクは何作も見てきたけど、

シニア映画には孤独映画の

アート系とかがあり、

あまり心地いいラストは、

体感できなかったように思うけど、

本作の温かさは違っていた。

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夫は外でビジネス、

妻は家内で家事にいそしむ。

そんなマニュアル通りのように

長らく共に暮らしてきた

老夫妻がいる。

でも、夫に愛人がいることが発覚。

63歳の老妻は、

夫を捨てて家を出て、

仕事探しをし、

コドモたちのサッカー・チームの

コーチ・監督になるのだ。

夫はサッカー好きだったけど、

妻は全く知らない。

こんな設定からして既に、

破綻をきたしそうな

雰囲気があるのだけれど、

これが一線で

何とか踏ん張っているところに、

驚きがある映画だった。

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サッカーも分からん人間に

コーチ・監督が務まるはずがない。

当たり前だ。しかし、

本作は、そこんところを、

リアリティーはなくとも

難なくクリアーしてみせる。

キモチである。

前向きであれば、そんなのは

何でもなく乗り越えられる。

だけじゃない。

みんなの信頼も得て、

尊敬も得るのだ。いいね~。

本人が最初からバリバリの

ガンガンなノリだったんじゃなく、

流れのままにいけば

ヒロイズムの中に

いつの間にかいたとゆう、

この種のヒロイズム映画の

面白さに魅かれた。

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老女のラブを描く

「八月の鯨」

(1987年・アメリカ)とか、

「タイタニック」

(1997年・アメリカ)のように、

老女が過去を思い出すノリの

映画とかとは違って、

シニアの前向きさを、

あくまでシンプルに

ストレートに描く映画として、

本作は心地よくなる映画だった。

過去の想いが結実する

ラストシーンも印象的。

いずれにしても、

ココロあったかになる作品だ。
 

2020年7月15日 (水)

SF系不条理映画「リトル・ジョー」

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植物系ウイルス映画の

怪しき作品だ
 
コロナ禍を想起させる

SFアート映画だ
 
 
7月17日のフライデーから、ツインの配給により、アップリンク渋谷、シネ・リーブル梅田ほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の、オーストリア・イギリス・ドイツ合作の105分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸCOOP99 FILMPRODUKTION GMBH/LITTLE JOE PRODUCTIONS LTD /ESSENTIAL FILMPRODUKTIONS GMBH/BRITISH BROADCASTING CORPORATION/THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019

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SF映画の不条理系映画は、

「2001年宇宙の旅」

(1968年製作・アメリカ映画)のような、

宇宙を舞台としたものだけではない。

不条理系映画は多数存在するが、

新種の植物を媒介として

描かれる映画は、

かなり特殊で特異な作品と言える。

しかも、今のコロナ禍を、

ある種示唆するようなところがあり、

思わずドッキリする、

ブラック・ユーモアな、

凄みがあって、身が震えた。

ウイルスを持つ新種の植物

「リトル・ジョー」の話である。

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植物を栽培し育てる

ヒロイン(エミリー・ビーチャム)は、

植物と接する時は、

常にマスクを着用。

他の研究員も同様だ。

花粉を吸い込んで

感染する可能性があり、

また、感染しても気づかない

無症状の人間もいる。

まるでコロナ禍を

なぞるような

怖さがある。しかし、

ヒロインは、そんな恐るべき植物に

ビビることなく、あえて

共存する生活を目指そうとする。

静かな展開が続く。

どこにも問題がないような

流れが続く。実は、

そんなとこにこそ

緊張感と違和感、

そして不気味さがある。

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カンヌ国際映画祭で、

本作で主演女優賞を受賞した、

エミリー・ビーチャムだが、

そのどこまでも揺るぎない、

落ち着いた演技ぶりこそ、

本作の不気味さの

キモを握っている。

ヒロインの息子の、

危機感のない無邪気さも

キモさを助長する。

感染してゾンビに

なるわけじゃないけど、

そのドラスティックで

乾いた静けさは、

何とも言えない、

恐るべきものを内包している。

癒やしやアロマな、環境音楽とか、

時に雅楽が流れ、

ヒップホップも使われたりと、

サントラでの怪しの

使い込みにも恐ろしさがあった。

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コロナ禍を描く映画は、

今後いろいろ出てくるだろう。

しかし、コロナ禍を前に、

それをそれとなく予告した本作は、

のちにカルトな名作・迷作として、

長く人々のココロに残る

作品になるに違いない。

そのあたりをぜひ

感得していただきたい。

2020年7月10日 (金)

「透明人間」

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透明人間映画が復活した!!
 
21世紀的

SFホラー・アクションだ
 
 
7月10日のフライデーから、東宝東和の配給により、全国ロードショー。

本作は、2020年製作の、アメリカとオーストラリア合作による、本編2時間4分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020 UNIVERSAL STUDIOS

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透明人間映画は、

ボクが見た範囲では、

これまでに3本あった。

戦前に製作された「透明人間」

(1933年製作・アメリカ・モノクロ

/ユニバーサル・ピクチャーズ製作)。

「透明人間」(1992年・アメリカ

/ワーナー・ブラザース製作)。

そして、「インビジブル」

(2000年・アメリカ

/ソニー・ピクチャーズ製作)。

この3本は、

ハリウッドの大手映画会社が

製作したものだが、

全て会社が違う。

会社によって、

作品性が違うのだ。

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「透明人間」の原作者は、

「タイム・マシン」

「宇宙戦争」などで有名な

エンタ作家H.G.ウェルズだが、

その作品性に最も近いのが、

ユニバーサル版である。

SFやアクションよりも、

ホラーに特化した

仕上がりなのだ。

そんなユニバーサルが、

21世紀になって初めての

透明人間映画を作ってきた。

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透明人間になれば、

何でもできちゃうとゆう発想は、

実は本作にはない。

ヒロインと夫の透明人間との、

全く個人的な確執と

対決なのである。

怖がらせる者と

怖がる者とゆう、

ホラーのルーツ的な、

シンプルなスタイルが、

本作の根幹にある。

富豪の科学者の夫が嫌で、

ヒロイン(エリザベス・モス)が、

自宅の邸宅から

ひそかに逃げるところから、

本作は始まる。

刑事の妹に連れられて

男友達の刑事の自宅に

身をひそめることに。

だが、その直後夫は自殺するが、

財産管財人の夫の兄が、

遺産について、

ヒロインにコンタクト。

夫が死んだとは

信じられないヒロインは、

夫の気配を感じ続け、

そして、遂に

透明人間になった夫と対峙する。

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突発的なサウンド効果で、

驚かすようなショッカーは、

あんましないけど、

夫の所在を確認する

静かな流れから、

どうなるんだという

手に汗握るがあり、

やがて、夫とやりあう、

1人アクション・シーンが

繰り広げられ…。

ヒロインの大切な人たちに

危難が及び、

妹をヒロインが
、殺した風に

されたヒロインは、

さらに窮地に

追い込まれることに。

ヒロイン役

エリザベス・モスが、

エイリアンと闘った

シガニー・ウィーヴァーばりの

必死の演技を披露する。

サプライズとゆうか、

謎めきのあるラストもいい。

ということで、

二面性ある「サイコ」

(1960年・アメリカ・モノクロ)的、

透明人間の造形に痺れた!!

2020年7月 9日 (木)

ドイツ映画「バルーン 奇蹟の脱出飛行」

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家族みんなで脱出劇だ
 
サスペンスフル!

スリリング!!
 
 
7月10日のフライデーから、大阪ステーションシティシネマほか、全国公開。

本作は、2018年製作のドイツ映画125分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2018 HERBX FILM CMBH, STUDIOCANAL FILM CMBH AND SEVENPICTURES FILM CMBH

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脱出劇となれば、

刑務所や収容所からの脱出が、

これまではスリリング

だったように思う。

「大脱走」

(1963年製作・アメリカ)など、

エンタの神様的な作品さえある。

だが、実話をベースにした

脱出劇となると、

面白いと言って

うなってばかりはいられない。

亡命もの・脱北もの、

ナチスからの逃亡など、

いろいろ重く深々と

考えさせられる映画がある。

本作もまた、

東西冷戦の時代に、

束縛な東ドイツから、

自由な西ドイツへと脱出

・逃亡を計る映画である。

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しかも、逃げるのは1人じゃない。

5人家族みんなで脱出劇だ。

そんなのは、かつてあっただろうか。

グループでの逃亡はあった。

家族となれば、

ミュージカル

「サウンド・オブ・ミュージック」
 
(1965年・アメリカ)

なんかがあるけど、

逃亡劇のところは

さらりと済ませている。

しかし、本作は、

そんな逃亡劇を主題にした作品だ。
 

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1979年の話。

冒頭。

友人の夫妻家族の協力で、

5人家族は、

ベルリンの壁の上空を、

手作りの熱気球に乗って、

西側へ逃げようとする。

しかし、それが失敗に終わる。

不時着地点から

自宅まで戻るのも、

サスペンスに満ちていた。

けれど、細かいとこだけど、

物的証拠を残してしまっていた。

それを発見した現場の警察官の報告で、

秘密警察は逃げようとした者を

特定し罰しようとする。

ここで、警察と家族の

ひそやかなる闘いが始まる。

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それでも、家族は2度目の逃避行に、

チャレンジするのだ。

そのための、

微に入り細にうがった、

気球作りのイロイロは、

目を見張らせるような、

細部描写になっている。

こうしたリアリティーが、

実話とはいえ

嘘っぽい話にしないための、

重要なサブ・ポイントになる。

大雑把なハリウッド映画には

あまりない点だろうか。

だからこそ、クライマックスに

ハラドキで興奮し

ココロ震えるのだ。

家族みんなの行方を、

手に汗握って見守りたい。
 

2020年7月 7日 (火)

韓国映画「マルモイ ことばあつめ」

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抗日韓国映画の新たな1作
 
7人の命を懸けた文化な闘い
 
 
7月10日のフライデーから、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の韓国映画135分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

史実に基づいた、

抵抗運動の映画は、

これまでに数多く作られてきた。

韓国の場合も例外ではない。

本作は第二次世界大戦・

太平洋戦争時の

日本の侵略統治に対し、

韓国が抵抗する映画の1本。

但し、抵抗運動ではない。

弾圧に対する抵抗だ。

しかも、文化的な抵抗だ。

本が燃やされる

焚書に近いものがある。

韓国の言葉ハングルや方言を

辞書にして後世に残し

伝えるというものだ。なぜなら、

日本統治下では、

日本語を使わねばならず、

そのために、ハングルを国民が

忘れてしまうのではないか

との危惧から、

7人が立ち上がったのだ。

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しかし、支配側の日本は

当然それを取り締まる。

ゆえに、どうしても地下組織的に、

内密に事を進めなければならない。

しかも、その7人の中には、

ハングルを読み書きできない

主人公(ユ・ヘジン)がいる。

組織(出版社)のリーダー

(ユン・ゲサン)との

トラブルめいた出会いから、

やがて組織の中核を

なしていく姿は、

粗削りな中でも

ワイルドな存在感を示している。

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ハングルを必死に勉強し、

言葉集めのために

何人もの協力者を連れてくる(写真上)。

このシーンなどでは、

マカロニウエスタンに似合う、

トランペットと

スパニッシュ・ギターの

サントラが映画リズムを作っている。

ドラマのノリを弾ませるのだ。

荒っぽいユ・ヘジンと

インテリゲンチャでクールな

ユン・ゲサンの、

対照的な相棒ぶりも

ドラマ映えしていた。

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原稿を守ろうとする、

クライマックスの、

ひそやかなる当局との攻防は、

大いなる見どころだ。

抗日ものとなれば、

日本人にしてみれば、

あんまし見たくないものかもしれない。

それでも、

ソン・ガンホ主演の「密偵」

(2016年・韓国・弊ブログ分析済み)、

中国の抵抗となった、

ジャッキー・チェン主演

「レイルロード・タイガー」

(2016年・中国・ブログ分析済み)など、

見ごたえのある作品が多い。

本作は文化会系なので、

アクションは少なめだけど、

サスペンス度合いは2作と

同等の出来具合だろう。

手に汗握って見てください。
 

2020年7月 2日 (木)

「タッチ・ミー・ノット ローラと秘密のカウンセリング」

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ベルリン国際映画祭の

最高賞・金熊賞ゲット
 
異質感ある

カウンセリング・ムービーだ
 
 
7月4日のサタデーより、渋谷[シアター]イメージ・フォーラム、大阪のシネ・ヌーヴォほか、全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作の、ルーマニア・ドイツ・チェコ・ブルガリア・フランス合作の125分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸTouch Me Not - Adina Pintilie

ルーマニアの女性監督

アディナ・ピンティリエが、

ベテラン女優ローラ・ベンソン

とタッグを組み、

ベルリン国際映画祭の最高賞の

金熊賞をゲットした作品。

しかし、さてはて、

こうした作品の評価は

どうしたものだろうかと

ふと、
考えてしまった。

世界三大映画祭のベルリンで

最高賞なんだから、

アート映画として文句なしに、

素晴らしい!の作品評価

五つ星であるはずなのだが…。

精神疾患のある人たちの、

カウンセリング・ムービーだが、

それが体に触れ、
顔をさわって

セラピーするというもの。
 

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カウンセリング映画は、

1対1を基本に、

これまでにも何作かあったし、

精神病者や障害者たちの

群像劇となれば、

アカデミー賞作品賞を得た

「カッコーの巣の上で」

(1975年製作・アメリカ映画・

弊ブログ分析済み)などがあるが、

本作は、そういった作品の

異能系の作品性を感じるのだ。

それは、アディナ監督自らが出演し、

カウンセリングしたり

されたりしている点もある。

ただ、メイン・ポイントは

当然ヒロインにある。

ヒロインと監督や男のセラピストや

スキンヘッドの男などと関わる。

さわられると、

ヒロインが嫌がって

ワアーっと叫ぶシーン

(3枚目の写真)など、

インパクトあり。

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ヒロインが歩く後ろ姿の、

移動撮影カットが頻出する。

また、ハダカで寝たり

踊ったりするシーンなど、

ヒロインの不安感が

じわじわとココロに染み付いてくる。

障害者の男たちが、

乱交やサド・マゾに参加するなど、

触れ合いセラピーの

過剰型も見せる。

果たしてカウンセリングやセラピーで、

精神は安穏へと向かうのか。

それに疑問を投げかけるような映画だった。

ブラームスのクラシックや、

メランコリアと歌う、

打ち込みのシンセ・ナンバーなど、

的を射たサントラ使いにも

注目されたし。

2020年7月 1日 (水)

「MOTHER マザー」⇒長澤まさみ主演

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長澤まさみ初の汚れ役
 
彼女の母なる演技を分析する
 
 
7月3日の金曜日から、KADOKAWAとスターサンズの配給により、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。

本作は、2020年製作の、日本映画126分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020「MOTHER」製作委員会

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長澤まさみが、阿部サダヲと共演。

濡れ場シーンもある、

キャリア初の汚れ役に扮した1作。

何をもって汚れ役と見るかは、

見る人によって違うかとは思うが、

彼女の場合は、

今までのイメージとは

違う役柄であり、

決してメッチャ

汚れているわけではない。

とゆうか、その汚れは、

これまで映画やドラマで
積み重ねた

好感度合いを覆している。

つまり、とんでもなく

嫌なキャラクターなのだ。

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長澤まさみのファンはモチ、

映画ファンにしても、

注目すべき1作だ。

果たして、彼女のキャリア史上

の最高演技なのか、

見て感じてもらいたい。

役柄は、実際の事件に

ヒントを得て設定されたもので、

祖母と祖父を殺した17歳の少年の、

シングルマザーな母親役だ。

どんな母親役なのか、

まあ、いちいち細かいことは書かずに、

見てもらうのがイチバンだろうか。

基本にあるのは、

自分が生んだ子供だから、

自分がどうしたっていいでしょとゆう、

子供を所有物扱いしてるとこや、

働きもせずにぶらぶらと、

よく言えば自由気ままに、

また、男あさりも

自分のためとゆう、

好感度がいっさいないような役なのだ。

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そんな長澤まさみと絡むのは、

まずは子供(少年時代は奥平大兼)。

終始オカンに忠実で、

反抗も何もしない役。

いや、このストイックな

演技ぶりはスゴイね。

しかも最後には、

信じがたいセリフを披露するんだから。

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阿部サダヲは彼女の男役で、

女の子まで儲けるが、

このアベサダがまた、

これまでの演技とは

真逆の演技を見せている。

松たか子や菅野美穂などと絡んだ、

これまでに見せた

弱々しさや誠実ぶりとは違い、

一言で言えばワルでグウタラ。

出会う男によって

女性の人生は変わるものだが、

アベサダと出会ったことで、

ヒロインの人生は

さらに変局するのだ。

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殺される祖母役の

木野花の嫌味な演技ぶりや、

長澤まさみとは「海街diary」

(2015年製作・弊ブログ分析済み)

に続く共演となる、

夏帆の優しい演技ぶりは、

映画に見事なフックを加えていた。

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監督は大森立嗣。

樹木希林主演作など、

滋味ある女性演出にも

才を見せる監督だが、

「さよなら渓谷」

(2013年・ブログ分析済み)のように、

主演・真木よう子の、

複雑系ヒロインの演出にも

長けた監督だけに、

今回の長澤まさみとのコラボは、

女優演出のピークをなすものだろう。

長澤まさみをポイントにした、

ロングショット、長回し撮影、

アップ・クローズアップの

バランス感も素晴らしく、

映画的造形は完璧に近い。

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コロナ禍で例年より

公開作品は少なくなるだろうけど、

はっきり言って本作は、

今年の邦画のベストテン級、

いや、ベストワン級の作品だ。

長澤まさみと監督らが、

年末・年初の賞レースを、

にぎわせることは間違いない。
 

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