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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2020年6月の記事

2020年6月30日 (火)

台湾映画「あなたの顔」

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前衛映画の今を問う

ドキュメンタリーだ
 
シニアたちの顔から

見えてくるものとは?
 
6月27日から[シアター]イメージフォーラムほかで上映中。

7月18日から第七藝術劇場ほか、7月24日から京都アップリンクなど、全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作の台湾映画76分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2018 HOMEGREEN FILMS TAIWAN PUBLIC TELEVISION SERVICE FOUNDATION ALL RIGHTS RESERVED

13人の老人の顔を長回し撮影する、

前衛映画的実験ドキュメンタリー。

実験映画となれば、

ヒット性の高い商業映画に、

背を向けたカタチだが、

映画作家的こだわりがあるのだろう。

実験・前衛映画の

マイ・ベスト&カルトなんかを、

弊ブログでかつて

やったことがあるけれど、

壁だけを長回しした映画などの、

意味がないようでいて、

映像で何かを感じさせる映画とか、

あるいは、映画の教科書に出てくる、

ルイス・ブニュエル監督の

「アンダルシアの犬」

(1928年製作・フランス映画・

モノクロ)みたいに、

ワケの分からない映画とは違い、

ストレートで分かりやすい

ところが見受けられる。

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13人の老女・老人を、

日本統治時代に造られた、

台北の中山堂に集めて、

1人ずつ顔のクローズアップ・

アップで撮ってゆく。

意図的に映したとゆう点では、

純粋なドキュとは

言えないかもしれないが、

13人の姿はそのままであり、

脚色はされていない。

沈黙する人たちが続く。

いわゆるつまり、

顔を映されるだけなのだが、

自らの過去を語ったり、

ハーモニカを吹いたり、

顔の体操をする人たちがいる。

一体、そんな顔を映すのに、

どんな意味があるのか。

長回し撮影続きなので、

見ていて退屈を感じたり、

疑問を覚える人が

いるかもしれない。

いや、いるはずだ。

否定はできない。

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しかし、それは映画作家的企みを

見せるためなのだ。

長く生きてきた人たちの

顔から見えてくる、

多様な人生模様。

それを顔だけで見せるスタイル。

まあ、かつてない試みだろうね。

本編丸ごと意図的実験映画が、

少なくなった今だからこそ、

むしろ逆に新鮮味があるんだ。

評論家受けの高かった「河」

(1997年・台湾)や「Hole」

(1998年・台湾&フランス)

などのドラマ映画でも、

実験精神を取り入れていた

ツァイ・ミンリャン監督が、

その実験精神を開花させた

と言っていい作品だろう。

サントラを担当した坂本龍一の、

聞こえるか聞こえないかの

軽いシンセの使い方も、

作品性にマッチしていた。

そして、最後に遂に映される、

舞台となる中山堂のホール内。

5分以上にわたる

固定のこの長回し撮影こそ、

壁を映した実験映画への、

ひそやかなるオマージュだと

ボクは感じた。
 

2020年6月26日 (金)

アメリカ映画「SKIN/スキン」

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アメリカの暗黒集団の実話だ
 
足抜けを計る主人公の

ヒューマン・ドラマ
 
 
6月26日のフライデーから、新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の、アメリカ映画118分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2019 SF Film, LLC. All Rights Reserved.

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ギャングやマフィアや

ヤクザやテロリストなどの

暴力的な集団だけが、

暗黒集団ではない。

アメリカで言うなら、

白人至上主義の

差別ヘイト集団がある。

今なお黒人差別が

問題化している現状だが、

黒人を忌み嫌い

抹殺しようとするKKKなどの、

悪化型がこおゆう集団なのである。

KKKを捉えた映画は、

古くは「ミシシッピー・バーニング」

(1988年製作・アメリカ)、

最近なら「ブラック・クランズマン」

(2018年・アメリカ・弊ブログ分析済み)があるが、

本作
はそんな闇グループから、

足抜けを計り、

家族と共にマットーに、

生きていきたいとする、

主人公(ジェイミー・ベル)の実話だ。

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身体中タトゥーだらけの

スキンヘッドとゆう主人公は、

KKKの第6世代に当たり、

昔からそれに見合った

生き方をしてきた。

そして、そういう若者の面倒を見る、

闇集団のボス(ビル・キャンプ)と

その妻(ヴェラ・ファーミガ)が

主人公を支配していた。

ある日、主人公はヘイト集会で、

3人の子連れのシングル・マザー

(ダニエル・マクドナルド)と出会い、

恋に落ち、やがて結婚する。

だが、闇集団から

いろんな悪事を強制されて、

妻から嫌がられ、

仕方なしに集団からの

離脱を計るが、

集団からいびつな圧力がかかり、

やがて家族へも危険が及び…。

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主人公が組織から抜け出す

過程はスリリングで、

ある種サスペンスフルな

ヒューマン・ドラマとなっている。

最近では「ロケットマン」

(2019年・アメリカ・弊ブログ分析済み)で

実在の人物を誠実に演じた

ジェイミー・ベルだが、

今回も実在人を演じ、

そのスタイルは、

その人物になり切るとゆう

演技性を示す。

汚れであれ清きであれ、

特筆もののなり切り型だ。

久々に見たミラ・ファーミガの、

悪辣演技にもインパクトがあった。

対して、

ダニエル・マクドナルドの優しさが、

主人公と共にココロ癒やされる。

とにもかくにも、

アメリカのタブー・

恥部とされる領域を、

惜しみなく描いた点を

大いに評価したい。
 

2020年6月25日 (木)

「15年後のラブソング」⇒イーサン・ホーク主演

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ミュージシャンのラブストーリー
 
イーサン・ホーク健在なり
 
 
6月12日から、テアトル梅田、なんばパークスシネマ、京都シネマ、シネ・リーブル神戸ほかで、上映中。

本作は、2018年製作の、アメリカ・イギリス合作映画97分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2018 LAMF JN. Ltd. All rights reserved.

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引退したミュージシャンの、

ラブストーリーだ。

レモンヘッズの元ベーシスト、

ジェシー・ペレッツ監督が、

ミュージシャンとしての才もある

イーサン・ホークと組んだ1作。

レモンヘッズの音楽性、

オルタナティブ・ロックが、

本作のフックとして反映された。

オルタナティブとは、

アンダーグラウンドなロックのことで、

ヒット性の高い商業ロックとは

一線を画する。

そんなロックを渋く

やっていたロッカー、

タッカー・クロウ

(イーサン・ホーク)だが、

今やアメリカの片隅で

粛々と隠居生活をしていた。

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一方、イギリスの片田舎では、

そんなタッカーにハマッてる男

(クリス・オダウド)がいて、

ヒロイン(ローズ・バーン)

と同棲していた。

彼氏のタッカー熱に

うんざりしていたヒロインは、

タッカーの作品を酷評する

レビューをネットに投稿した。

すると、当のタッカーから

好意的なメールがヒロインに届き、

2人のメールのやり取りが始まり、

遂にはロンドンで会うことに。

ネットを使ったやり取りは、

今やありきたりだけど、

会ってからの展開が、

ユニークで面白い。

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イーサン・ホークの

ボク的最高傑作は、

3部作シリーズ化もされた

恋人までの距離(ディスタンス)」

(1995年製作・アメリカ)だが、

会話で魅せたその作品に対し、

本作は三角関係の

シチュエーションの特異性で魅せる。

しかもラブコメほどには

チャランポランじゃないけど、

ケッコー軽いノリだ。

分かりやすくてノリやすい。

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プリテンダーズのロックを

ャッチーに流して、

ヒロインの結末部へと

向かうシーンや、

キーボードでイーサンが、

歌を弾き語ったりしたりと、

ミュージシャン映画にふさわしい

シーンが続くのもいい。

イーサン・ホークが

多数の曲を歌うサントラ使いも、

本作にマッチした作りだった。
 

2020年6月23日 (火)

ロシア映画「ドヴラートフ レニングラードの作家たち」

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実在の作家の

不安な日々を描く
 
体制側の抑圧を

はねのけられるか
 
 
6月26日のフライデーから、テアトル梅田ほか全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作のロシア映画126分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2018 SAGa/Channel One Russia/Message Film/Eurimages

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実在の作家を描いた、

実話ベースのヒューマン・ドラマ。

作家そのものを描いた映画は多いが、

東西冷戦下のソ連の作家を

描いた映画はこれまでにない。

ソ連の抑圧下での

作家活動がいかに難しいか。

その実態が生々しく

分かる作りになっている。

抑圧を収容所を通して描いた、

ソルジェニーツイン原作の

「イワン・デニーソヴィチの一日」

(1971年製作・アメリカ&イギリス)と

同様の作品性のある問題作だ。

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日本ではあまり知られていないが、

ソ連の作家

セルゲイ・ドヴラートフの、

レニングラードでの

1971年の6日間を描いた。

妻子と離婚し、

共同住宅に住み、

業界紙の記者としての

仕事をしながら、

自分の作品を売り込んでいく。

そんな姿が淡々と綴られる。

出演者が作家たちに扮した、

映画撮影の取材や、

地下鉄工事労働者への

インタビューなど、

異質なとこを盛り込み、

また、幼い娘と

詩人のパーティーなどに参加。

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一方で、

文芸誌への売り込みをする。

しかし、

作家同盟に入っていないために、

採用されない実情が浮き彫りになる。

また、路上でピアノやらの楽器が

弾かれる中で、芸術家仲間たちと、

不満を言い合いながらの

立ち飲みシーンなど、

風変わりなシーンも挿入される。

亡命したノーベル賞詩人ブロツキーとの、

歩きながらの会話や、

扉を開けてセンターラインを

強調した固定シーンや、

部屋から部屋への

移動撮影を含むシーンなど、

映画的長回し撮影シーンが、

いろいろある。

主人公のココロの不安感が、

じわじわと伝わってくる仕上がり。

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スローなビッグバンド・ジャズほかの、

サントラ使いも

哀愁感に満ちていた。

ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞。

実話ながらも、

画家を描いた「ピロスマニ」

(1969年・ソ連・弊ブログ分析済み)のように、

アート映画としての風格も

感じられる作品だ。
 

2020年6月22日 (月)

「ドクター・ドリトル」

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あのドリトル先生の冒険映画
 
動物キャラクターが躍動する
 
 
東宝東和の配給により、6月19日のフライデーより全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、アメリカ・イギリス合作映画101分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019 Universal Studios

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100年以上にわたり、

親しまれている

普及の児童文学小説、

ヒュー・ロフティングの

「ドリトル先生物語」が

原作の映画。

動物と話せて、

彼らの病気を診る

ドリトル先生のお話は、

いかにもディズニーが、

好みそうな素材だが、

本作シリーズも

前作シリーズも、

ディズニーじゃない、

ハリウッド大手が、

ポスト・ディズニーを目指して、

実写版として

製作してきたのである。

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さて、その前作シリーズ

(1998年~2009年・全5作)は、

エディ・マーフィが

ドリトル役主演だったが、

本作の新シリーズは、

今をときめく

ロバート・ダウニーJr.主演だ。

未公開があったので、

本作はシリーズの

何作目かに当たる。

だから、先生の妻が死んだあと、

失意の中にある

ドリトル先生とゆう始まり方は、

チョイよく分からないけれど、

でも、見ていくうちに、

そんなのはすっかり、

解消してしまい、

胸ワクワクドキドキで、

見られるようになっている。

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ロバート・ダウニーJr.が、

アメリカン・ヒロイズムを

絶妙に演技していた。

それは、「アベンジャーズ」や

「アイアンマン」、

さらに「シャーロック・ホームズ」

などで示した、

チョイ万能じゃないけど、

最終的には結果オーライとなる、

あの独特のセンスで魅せる

ヒロイズムは健在だ。

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そして、動物たちの

個性あふれる躍動ぶりに加え、

今回から人間の少年が、

先生の助手として参加。

オウム、ゴリラ、アヒル、犬、

リス、シロクマ、ダチョウ、

キリン、キツネ、トラなど、

その多彩なキャラクターぶりには、

擬人化ディズニーの

1作品キャラを上回る、

オールスターな

アニマル・キャラだと言える。

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動物しか診療しない先生の元へ、

陛下の病気を治してほしい

とゆう依頼がきて、

逡巡の末に、

先生は依頼を受けるが、

陛下を治すには、

未開の地のある物が必須となり、

それを探しに、

動物たちや助手と共に、

船出する。

アクション・シークエンスが

次々にやってくる。

これぞ、アドベンチャー・

アクションのお手本

といっていい作りだ。

コロナ禍の

緊急事態宣言は解除され
 

遂に公開される。
 
ファミリー映画として
 

メッチャなおすすめだけど、
 
ソーシャル・ディスタンス。
 

離れて見てだけど、
 

でもしか、ナンチューても


一番に
おすすめしたい。
 

2020年6月18日 (木)

戦争映画「デンジャー・クロース 極限着弾」

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知られざるベトナム戦争映画だ
 
応戦サバイバル系の会心作
 
 
6月19日のフライデーから、彩プロの配給により、新宿バルト9、梅田ブルク7、T・ジョイ京都、OSシネマズ神戸ハーバーランドほか、全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作の、オーストラリア映画118分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019 TIMBOON PTY LTD, SCREEN QUEENSLAND AND SCREEN AUSTRALIA

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毎年戦争映画は公開されるが、

最近の戦争映画は、

戦闘の激しく厳しいものは

あまりない。

「1917」(2019年製作・

アメリカ・弊ブログ分析済み)など、

稀少な第一次世界大戦もの

などが出てきたが、

戦争映画の主流は、

太平洋戦争含む

第二次世界大戦もので、

最近の対テロ報復戦争ものが

それに続く。

本作のベトナム戦争映画となれば、

ボクは久々に見たように思う。
 

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戦争アクション映画としての、

ベトナム戦争映画の傑作は

「ディア・ハンター」(1978年製作)

「地獄の黙示録」(1979年)

「プラトーン」(1986年)

「フルメタル・ジャケット」

(1987年)など、

1970年代から1980年代に

出尽くしていて、

その後は悪く言えば亜流であり、

現実に忠実な描写が多く、

映画的オリジナルに

欠けていたように思う。
 

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では、本作はどうか。

実話なので現実に忠実というか、

ベースにはしている。

しかし、従来のアメリカ

対ベトナムの図式ではない。

オーストラリアが参戦し、

アメリカのサポートもある中で、

ベトナムと対峙する。

ほとんど知られていない、

1966年のベトナム戦の

一地域戦が初めて

映画で取り上げられた。

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最初は静かな流れだ。

上官と部下の摩擦も

決定的なものはなく、

また、

「地獄の黙示録」でも
描かれた

歌手の慰問コンサートさえある。

その静かな流れが一転し、

森中の銃撃戦へと

なだれこんでゆく。

ベトナム側に取って、

地上戦とはいえ、

野戦はお手のものだろう。

オーストラリア軍は

三方から攻められて、

アメリカ軍の空爆や、

自国の砲撃を要請するが、

その着弾がずれたりして、

さらなる危難に遭う。

やがて、雨が降り出して…。

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でもって、帰還すべきの

上の命令を無視して、

よれよれの一個中隊は、

仲間の救出へと向かうのだ。

戦争映画としての

サバイバル描写は、

上記の名作4作を上回る出来だ。

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サントラ使いも

少なくとも3作は

上回っているのでは…。

「地獄の黙示録」のドアーズや

「ワルキューレの騎行」

の使い方は強烈だけど、

本作も

ポップ・ナンバーの使い方や、

ギターの弾き語りフォークなど

印象深い。

私的なことを言おう。

21世紀のベトナム戦争

アクション映画として、

「ワンス・アンド・フォーエバー」

(2002年・アメリカ)を

遥かに超えた最高傑作だ。
 

韓国映画「はちどり」

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女子中生ヒロインのキモチ
 
1990年代の韓国をバックに
 
 
 
6月20日の土曜日から、ユーロスペースほか、全国順次のロードショー。

本作は2018年製作の、アメリカとの合作による韓国映画138分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2018 EPIPHANY FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.

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女子中生ヒロイン

(パク・ジフ)の挙動と

キモチを描いた作品。

1994年の韓国・ソウルが

背景となっている。

キム・ボラ監督の

長編初監督作品だが、

本作を10年の歳月を

かけて完成させた。

自らの1990年代の体験に

基づいたオリジナル脚本で、

プライベートな側面が

あるかと思いきや、

普遍的な少女のキモチを

撮ることに成功している。

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監督の体験を基にした点では、

傑作「冬の小鳥」

(2009年製作・

韓国&フランス合作・

弊ブログ分析済み)

などにも通じるものだろう。

ヒロインは両親・姉兄の5人家族で

集合団地に暮らしている。

4人家族の

「パラサイト 半地下の家族」

(2019年・韓国)みたいに、

格差社会の現代性はないけど、

1990年代とはいえ、

韓国の平均的家族の実情を

捉えていたと思う。

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しかし、メイン・テーマは

少女ヒロイン映画である。

学校はつまらないし、

友人たちと遊んで、

カラオケやクラブに行ったりして、

適当に遊んでる。

家では兄にいじめられる。

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韓国の歌謡曲を流しながらの

ヒロインの様子や、

家族で囲む食卓シーンなどで、

1~2分の長回し撮影を使い、

アップ・クローズアップと

ロングショットのバランス感もいい。

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ブラブラ生きてる

ヒロインを変えるのは、

漢文塾の女子大生教師

(キム・セビョク)との

出会いだった。

ヒロインと教師のやり取り・会話は、

かなり練り込まれている。

本作の出来を決定づける

セリフもあるので、要チェックだ。

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そして、1994年に起こった、

漢江(ハンガン)に架かる

ソンス大橋の崩落事件が…。

現実の重大事件や背景・環境と、

ヒロインのプライベート部を融合させ、

最後は劇的かつ

哀愁感ある結末へとつなげていく。

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先の「パラサイト」など、

アカデミー賞作品賞を受賞する、

メジャー系韓国映画も

もちろんいいんだけれど、

本作のような、作家性に満ちた、

シブミあるインディーズ映画も、

決して見逃すわけにはいかない。

おすすめです。
 

2020年6月17日 (水)

「エジソンズ・ゲーム」

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エジソンの意外な一面で魅せる
 
電気にまつわる2派の戦い
 
 
 
6月19日のフライデーから、KADOKAWAの配給により、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。

本作は、2019年製作のアメリカ映画108分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸLANTERN ENTERTAINMENT, LLC Ⓒ2019. ALL RIGHTS RESERVED.

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トーマス・エジソンとくれば、

みなさんの

パブリック・イメージは何だろう? 

発明王であり、

シネマトグラフつまり映画を、

作った人物なんかであろうか。

彼が映画を発明する以前に、

電気の発明に関して、

凄まじい対決があった。

本作は、そんな意外なとゆうか、

あまり知られていないところに、

アプローチして、

心理的スリルとサスペンスに満ちた、

見ごたえある作品になった。

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歴史に残る偉人を描いた映画は、

映画の1ジャンルと

言えるくらい存在する。

そして、そんな偉人を、

そのままイメージのままに、

描く映画もあれば、

偉人の知られざるところに

アプローチする映画もある。

とはいえ、意外で知らないところも、

フィクションではなく、

実話がベースに

なっているのが基本だ。

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1880年から1892年くらいまでの

エピソードが綴られる。

エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)は

発明王として、

断わるけども

大統領から依頼がくるくらいの

重要人物になっていた。

1982年、エジソンは、

ニューヨークの街を照らす、

電気を発表する。

一方、実業家の

ジョージ・ウェスティングハウス

(マイケル・シャノン)は、

違った電気の在り方を

模索していた。

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直流と交流。

エジソンが直流。

ウェスティングハウスが交流だ。

教科書でも習った、

電気の2大在り方を巡って、

丁々発止のやり取りが行われてゆく。

会わない中での2派の描き方は、

スリリングだ。

直接対決が見どころとなる、

この種の映画では、

ガチなく魅せるなら、

それぞれの演技が重要になる。

エジソン役のカンバーバッチも

対抗格のマイケル・シャノンも、

生真面目さと誠実を

ポイントにしている。

激さない、そのリアルな

現実感・自然体感が、

スリルだけでなく、

ヒューマニズムある、

重厚な対抗ドラマにしていた。

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単なるサスペンスだけじゃない。

2派の緻密な策略から

生み出される

ドラマの深みや滋味が、

ココロに染み入る作りになった。

知能戦の面白さにも

魅せられる快作だ。
 

2020年6月15日 (月)

韓国のエロティック時代劇「背徳の王宮」

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韓国映画お得意とも言える、エロティック時代劇

 

やりたい放題の王に対し、セクシャルな復讐劇が展開

 

 

各種オンラインで配信中。

 

本作は2015年製作の韓国映画131分。

 

文=映画分析評論家・宮城正樹

 

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Ⓒ2015 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

★本稿は2016年に書いた記事の再録です。

アクセス数が今も多いための再録です。

 

さっそくですが、順不同で、韓国時代劇映画の、マイ・カルト・スリーを披露しますと…。

 

①本作②後宮の秘密(2011年製作・弊ブログ分析済み)③スキャンダル(2003年)。

 

本作でも描かれる、女の復讐劇映画の、マイ・ベストワンは「キル・ビル」(2003年・アメリカ映画)ですが、

 

ここ数年で見た、マイ・カルト・スリーを言うと…。

 

①本作②マジカル・ガール(本日分析)③後宮の秘密

 

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●かなりと大ざっぱな選択に、見えるかもしれへんけど、

 

メッチャヤラシーで勝負する、女の大胆な復讐劇とゆうのは、

 

ボク的には韓国映画が、かなりと鮮烈な印象があります。

 

日本のポルノ映画にも、そういうのんはあったかもしれへんけど、

 

女への虐待・もてあそびぶりに対する、女からの反抗・復讐とゆうスタイルは、いかにもストレートでありそうやけど、なぜかボクはあんまし見ておません。

 

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ほんで、時代劇・史劇で、メッチャ・ヤラシーを披露する韓国映画のイメージちゅうのんは、

 

「後宮の秘密」のインパクト以降、ボクの頭の中では、警戒警報発令が、鳴り響いておまんねん。

 

しかも、「後宮…」は、三角関係での復讐劇やったけども、

 

本作では、何人もの女(史実的には1万人を超えとったらしい)が、王の愛人となり、もてあそばれたとこが、まずはディープ・インパクト。その描き込みにも注目や。

 

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1505年。朝鮮王(キム・ガンウ)は、朝鮮全土から、1万人以上の若い女たちを、強制徴収させた。

 

そして、そんな王に仕えるチュ・ジフンは、王にふさわしい女の選別をやってはります。

 

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ベッド・インはもちろん、そんな女たちにレズをやらせて、どっちがエロイかを競わせたりして、王は女たちをもてあそび続けます。

 

そのあたりが、そのまま容赦なく描かれとりまして、ウーンとうなったりしてまいます。

 

ほんで、余りの横暴ぶりにでんな、王への嫌悪が増し、観客のキモチは、誰かあいつを止めてくれへんかと、なってゆきよります。

 

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さてはて、それをやってもらわないかんのは、当然チュ・ジフンどす。

 

そして、王に復讐せんとする、イム・ジヨンのネーさんでおます。

 

2人が剣戟特訓するシーンもあるし、

 

モチ、クライマックスでは、女を武器に「後宮の秘密」と同じく、ジヨン・ネーさんが、王と対決しはります。

 

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思わせぶりで大仰な女のナレーションが、当時の異界(異常な世界)へと、連れていくのに打ってつけでおました。

 

電気のない時代に合わせた、ダークで薄色な配色具合も、時代の雰囲気を醸し出しとります。

 

セピア、薄グリーンの使い方も、決まっとりました。

 

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正直に言いますと、ボク的には、ヤラシサよりも、王の残虐度合いに目がいってしまいました。

 

それによって、王をどう倒していくのかに、興味の比重が移っていったんどす。

 

また、一部シェークスピア悲劇的な作りにも、ハラドキを増長させてくれとったかと思います。

 

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ラスト30分で、復讐劇のカラクリと、登場人物たちのその後が、明かされるんやけど、

 

重々しくはないサプライズと、そこはかとない感動の余韻に浸れる、そんな映画でした。

ホンマ、メッチャ、ヤラシー韓国映画「後宮の秘密」どすえ~

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男にとってやろか…、ヤラシー・シーンいっぱい、ムネいっぱいの1本どす

 

どうゆうたらええのんか、ウ~ン…悩ましき1本どしたえ~

「パラサイト 半地下の家族」の上流階級人妻役チョ・ヨジョンが

 

 

メッチャな脱ぎっぷりやー

 

各種オンラインで配信中

 

18歳未満の方は、本作を見ることはできしまへん。

 

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

 

Ⓒ2012 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

★本稿は2013年に披露した記事の再録です。

アクセス数が今も多いための再録です。

 

いやはや、ナンチューたら、ええんやろか。

 

性欲なる欲望について、ストレートやないんやけど、イロイロ人間性を描きもって、ほんでヤッパこれしかないやん! なノリでやってくれはった作品どす。

 

ほんでもって、そこに、サプライズを用意し、さらにどんでん返しまで披露してはります。

 

エロエロ映画でも、エロ部をなくしてもうたら、ミステリー部やら男女の駆け引き部もなくなってまいます。エロとドラマとサスペンスやらが、融合した稀有な1本どした。

 

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ところで、ここで、ヤラシー映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(ハードコアやらロマンポルノは除く)を、恐る恐るながら思いつくままの気ままに、披露させてもらいます。

 

●ベスト⇒①愛の嵐(1973年製作・イタリア映画)②愛のコリーダ(1976年・日本&フランス)③ラストタンゴ・イン・パリ(1972年・イタリア&フランス)

 

●カルト⇒①ラスト、コーション(2007年・香港&台湾&中国)②本作③キリング・ミー・ソフトリー(2001年・アメリカ)

 

●ヤラシーとこを入れつつも、芸術性を見出したりするような、タイプの映画がほとんどどす。

 

でも、性描写にハンパやないとこをば、設定してやってもうた作品は、そない数多くはありまへん。

 

奇しくもベストは前世紀、カルトは21世紀の作品を並べるカタチとなりよりました。

 

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本作はベスト・カルトのほかの作品に比べまして、セックス・シーンは最も少ないかと思います。

 

でもしか、ヒロインの妄想系を含む、3度にわたるセックス・シーンの密度の濃さが、本作のヤラシー度を大いに増してはります。

 

例えば、アン・リー監督作品のカルト①なんぞは、スパイ・ミッション系の流れの中で、ホンマヤラシーセックス・シーンが頻出しよるけど、映画的作りとは全く関係ないんやけど、そういうシーンが頻出すればするほど、ヤラシー度は薄くなっていったりしよります。

 

しかし、本作は濃厚度合いを含めましてでんな、息子はんの●●度の高さは、ゆうてみたら、ハードコアやらにも勝るとも劣らない作りを、見せてはるんどすえ。

 

いやはや、ひょっとしたら、映画史上最高の●●度かもしれまへん。

 

ナンチューても、韓流テレビドラマで、メッチャ清純系アイドルチックなとこをやらはった、チョ・ヨジョンちゃんが180度の豹変ぶりや~。

 

若き頃のイ・ヨンエはん的なとこもある彼女の、セクシー・ダイナマイトな演技ぶりこそ、本作のディープ・インパクトな見どころなんどすえ。

 

2
スリムな体に見えながらも、バスト90以上とも思える巨乳にして、豊満にして軟らか系。

 

スタイル抜群。エエ体に思わず、ウウーッとため息もん。

 

でもって、ヒップも大きめにして、ソソル系や。完璧やんか。たまりまへんがな。

 

おいおい、一体、ボクチン、何ゆうてんねんやろか。

 

いやはや、とにかくでんな、すっかりヒロインの爆裂セクシーに、ヤラれてしもたっちゅうことなんやろか。

 

そんなんやったら、冷静にでんな、映画分析なんぞができるわけがありまへんがな。

 

でも、それこそが、欲望をテーマにしたらしい本作の、狙い通りなんやろなと思いました。

 

クライマックスのシークエンスなんぞは、ネタバレせんようにゆうと、セックス映画としては、モノゴッツーなとこがありました。さらに、サプライズ・エンディングもあって、どないショーもありまへん。

 

ラストロールで流れる、ゴージャスな弦楽オーケストラ・サントラなんぞも、メッチャシニカルに満ちておました。

 

でもでんな、デート・ムービーとして2人で見にいったら、意外なサプライズと新発見がある、作品なんやないやろかと思います。

 

韓国の時代劇ながら、「ファンジニ」(2007年・韓国)なんかより、過激にして感謝感激。

 

見に行ったら、2人の仲はきっと深まるやろと、ボクチン、確信いたしまっせー。

 

ホンマかいや~!

中井貴一&鈴木京香主演の三谷幸喜監督のドラマ「short cut」

 

 

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映像界のワンカット長回し撮影の最長不倒時間やもしれまへん

 

中井貴一のアニキと鈴木京香ネーさんの、夫婦ラブコメ・ドラマの新次元でもありま

 

http://www.wowow.co.jp/shortcut/

 

文=映画・ドラマ分析評論家・宮城正樹

 

Ⓒ2011 WOWOW

★本稿は2011年時点での記事の再録です。

今なおアクセス数が多いため再録いたしました。

 

ワンカット長回しのドラマでおます。映画、テレビを含めた映像界においてでんな、ボクの記憶では、本作が世界最長不倒時間やもしれまへん。映画では、美術館を撮った「エルミタージュ幻想」(2002年製作・ロシア&ドイツ&日本合作)とゆうのんが、96分のワンカットをやってはりまして、映画ではコレが最長時間やと思います。

 

でも、本作はそのタイムを超えただけやなく、演技する者がいて、ずーっと演技してゆくドラマとしてはかつてないものでおましょう。2人芝居に、プラス途中で1人が参加しますけども、演技ポイントはほぼ2人に絞られておます。

 

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中井貴一キイッちゃんと鈴木京香のネーさんの、2人芝居ワンカットどす。監督の三谷幸喜のアニキやけど、演劇畑の出身やし、演劇的なワンカット映画にはこだわりがあるんやろと思います。「THE  有頂天ホテル」(2006年製作)も長回し撮影を意識してはりましたし、本作は遂にその思いが結実した作品やと申せましょう。

 

三谷作品とのコラボでは「ステキな金縛り」(本作と同日にレンタル&セル・リリースどす)の冷静演技やなく、ハイ・テンションでゆかはるキイッちゃん。かつてないくらいに、バカになって弾けてはりまっせ。対して、京香ネーさんも、三谷監督「ラヂオの時間」(1997年)のオドオド・コメディエンヌやなく、ある種さわやかな自由ホンポー系でいってはります。

 

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田舎の葬式から東京へ戻ろうとしやはるんやけど、クルマがなくて仕方なく夫妻は、山の近道から国道へと出ようとしはります。その道行がワンカットとなった、いわばロードムービー・タッチなんやけど、一方で仲の冷え切っとる2人がこの道行で、どないな風に変わってゆくんかとゆう、夫妻映画としての面もござります。

 

ラブコメ・タッチで軽快に物語は進みますが、まあ、道中でいろんなことが起こります。「インディ・ジョーンズになった気分」だとキイッちゃんのセリフにありますが、クマに襲われそうになるアクション・シーンやらもあります。

 

ずーっと喋り続けてはるカンジのキイッちゃん。2人の口論やら、セリフ回しもヒジョーに重要どす。セリフの繋ぎや流れに、時おり淀みがあったりしますが、コレは想定内でおましょう。そういうとこも見せてのワンカットなんでおます。スムーズに流れる方が逆に不自然やろしな。

 

ともかく、ワンカット・ドラマとして、ハラハラしもってスリリングにも見られる作品どしたえ。

 

オンライン配信中

セル DVDでも発売中

WOWOW開局20周年記念番組 三谷幸喜「short cut

 

品番/TDV22160D POS4988104071606

 

価格\3,800(税抜き)\3,990(税込)

 

★80分に及ぶ豪華映像特典!

 

貴重なメイキング/監督インタビュー/出演者インタビューなどで、

 

前代未聞の「ワンシーン・ワンカット」撮影の舞台裏に迫る!!

 

★新収録・三谷監督によるオーディオコメンタリー!

 

商品仕様本編112分/片面2層/16:9/音声:①2.0chステレオ ②オーディオコメンタリー

【映像特典】メイキング/監督インタビュー/出演者インタビュー/TVスポット集

 

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品番/TDV22159R 本編112分/片面1層/16:9/音声:2.0chステレオ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年6月11日 (木)

「裏アカ」⇒瀧内公美主演

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2つの顔を持つヒロインの物語

とんでもない展開に

胸ワクワクに
 
 
6月12日の金曜日から、全国ロードショー。

本作は2020年製作の、日本映画101分。

「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020映画「裏アカ」製作委員会

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瀧内公美ネーさん主演だ。

美人系のスリム・ビューティー。

従来の日本の美人女優と

比較しても、何ら遜色ない。

アイドル女優と

見まがえてもおかしくない。

しかも、権威あるキネマ旬報の

主演女優賞を昨年

ゲットしちゃったよ。

ところが、どっこいだよ。

その作品「火口のふたり」

(2019年製作・弊ブログ分析済み)。

さらに、評価の高かった

「彼女の人生は間違いじゃない」(2017年)。

おいおいだよ。

男にとっては、

小田和正じゃないけど、

うれしくてうれしくて、

言葉にできないんだよ。

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1970年代。

ロマンポルノが定着して

ハードゲイさえ出現し、

フツーの映画でも

女優は脱ぎっぷりが

成功への近道になった。

桃井かおり、秋吉久美子、

関根(高橋)恵子ほか、

1980年代映画デビューの

「ダイアモンドは傷つかない」

(1982年)の田中美佐子など。

しかし、それらの作品には

なぜか傑作が多いのも

事実としてあった。

でもって、21世紀の今だ。

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モチ、21世紀においても、

その流れはある。

エロをモロに出すような

壇蜜さんとかは別にして、

瀧内公美は、

あくまでエロスの演技に、

説得力を持たせるような

演技を施している。

単にあえいでるんじゃない。

前述の2作を含めた本作は、

2つの顔を持つ

ヒロインの物語でもある。

3作とも、セックス絡みの

二面性なのだが、

それぞれにおいて、

マットーなところとの

段差が強烈だ。
 

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今までマジだったのが、

突然ヤラシーに変身する演技性は、

凡百のポルノ映画とは

完璧に一線を画している。

その豹変ぶりは、

本作でも健在だった。

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ネット、スマホ、SNSを

取り込んだ映画は、ここ数年、

多数の作品が輩出された。

本作は裏アカウントを使った、

二面性を見せる女の話だ。

普段はアパレルショップの

シビアな店長だが、

裏アカウントに、

セクシー度をアピールする、

写真を投稿していた。

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それに乗って来た男と、

1度だけのデートとセックスをする。

だが相手に

濡れ場の動画を撮られ、

それがネットにアップされて…。

しかも、その相手は

アパレル会社の取引先の社員だった。

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ヒロインは一体、どうするのか。

その行方を、

サスペンスフルにも

描いてみせた作品だ。
 

「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」

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一つの集落が

消えていくものの…
 
美しき自然に

癒やされて…
 
 
6月12日の金曜日から、テアトル梅田で、全国順次のロードショー。

シネスイッチ銀座ほかでは上映中。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸNHK

村や集落と、

そこに住む人たちを、

捉えたドキュメンタリー。

18年間とゆう

ロングスパンでカメラが追った

NHKドキュメンタリーの映画版だ。

山形県の農村を

長きにわたり撮り上げた

小川紳介監督の

ニッポン国 古屋敷村」

(1982年製作)や

「1000年刻みの日時計 牧野村物語」

(1987年)に匹敵する作品となった。

本作で撮られるのは、

埼玉県秩父市に実在する村だ。

2001年から2018年まで、

1組の老夫婦を中心に、

いろんな人たちを撮る

群像ドキュ・スタイルで

村を描いていく。

ドキュの巨匠

フレデリック・ワイズマンが

NYのとある街を

撮った映画のように。

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冒頭部の

「今は誰も住んでいない」と語る、

ナレーションからも分かるけど、

かつては養蚕業で100名くらい

住んでいたらしいとはいうものの、

一つの集落が消えていく現実を、

捉えた映画ではあるが、

滅びの美学とゆうか、

そおゆう負のイメージは、

実はあんましない。

そこに住んでいた人たちは皆、

そこに住みたくて住んでいたし、

自然体で生きていこうと

していたわけで、

そのあたりのところが、

美しき自然をバックに、

綴られていくのだ。

その自然を、

花々を育てて村を

自然に返していこうとする、

ムツばあさんと、

今は亡き夫の、キモチに

グッとくる作りになっている。

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素朴な人たちの生き方に魅せられ、

ウグイスの鳴き声や

桜を始めとした

美しき自然に魅せられて、

何とも言えない

鑑賞後感のある映画だった。

ピアノやバイオリンなど、

癒やしのサントラもまた、

作品性にマッチしていた。

廃れの美学が

癒やしの美学へと
転換する、

不思議快感のドキュメンタリー。

ドキュの宝庫NHKの

フレキシブルを見せられた快作だ。
 
 

2020年6月 4日 (木)

「死神遣いの事件帖-傀儡夜曲-」


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江戸時代の時代ミステリー
 
探偵と死神が遊郭殺人に挑む
 
 
6月12日の金曜日から、東映ビデオの配給により、全国ロードショー。

本作は2020年製作の日本映画90分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020 toei-movie-st

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映画と演劇の

ツージャンルで

同内容の作品を作る

シリーズの最新版。

演劇原作の映画は多いが、

21世紀になると、

演劇をそのまま

映画館で映す

パターンも出てきた。

しかし、本作シリーズは、

それぞれのジャンルの、

オリジナリティーや特性が

生かされたものとなっている。

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江戸時代をバックにした

時代劇だが、

チャンバラでも人情劇でもない、

ミステリーだ。

しかも、実在した人物も登場する。

「五条霊戦記」(2000年製作)や

「魔界転生」(1981年)のような、

SFアクション映画や

伝奇映画的ノリもある。

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そして、主人公の探偵役

(鈴木拡樹)キャラのユニークさだ。

金によって依頼を

受けるかどうかを決めたり、

丁半バクチに

うつつをぬかしたりと、

あんまし好感度はよくないが、

人には見えないが

死神(安井鎌太郎)との

コンビ相棒ぶりで、

事件を解決していく。

その死神は

主人公が携帯する

死神人形を通して、

みんなに何かを伝える。

吉原遊郭の女郎連続殺人が

起こる江戸。

そんな中、とあるおばはんから、

高額ギャラの

義理の娘探しの依頼がくる。

娘はどうやら、吉原にいるようだ。

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花魁ではなく

吉原で働く女に、

「乃木坂46」の鈴木絢音が扮した。

アイドル映画ノリもありで、

アップの多さも含めて、

彼女は映画のキーを

握る役柄となっている。

彼女には死神が見える設定も

謎めいていて、

それが映画のスリリングも

決定づける。

「風と共に去りなさい」なんて言う

死神人形の言葉も、

ある意味で名作映画からの

引用で面白い。

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クライマックスでは、

剣劇アクションが披露される。

モノクロ・シーンから

1対1対決へと転化。

いわゆるチャンバラだけど、

その見せ方もCG入りで、

特殊な殺陣スタイルとなっている。

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ラストで披露される、

ある人物の正体は、

本作の大きなネタ。

豊臣・徳川に関わることだけど、

驚きと共に、

うっとりもやってくる、

ハッピーな展開が嬉しい限りだ。
 

2020年6月 2日 (火)

「ANNA/アナ」

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リュック・ベッソン監督の新作
 
「ニキータ」に迫る快作だ
 
 
6月5日の金曜日から、キノフィルムズの配給により、TOHOシネマズ梅田ほかでロードショー。
 
本作は、2019年製作の、フランス・アメリカ合作の119分。

文=映画分析評論家・宮城正樹
 
Ⓒ2019 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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コロナ禍の非常事態宣言

解除のあとに見るべき、

自粛・鬱屈を解消し、

すっきりさわやかになれる

快作アクション・エンタだ。

女スパイ映画にして

アクション映画。

「007」を代表とする

スパイ映画や、

ヒロイン・アクション映画の

系譜については、

これまでに何度か

披露してきたけど、

本作の

リュック・ベッソン監督は、

「ニキータ」(1990年)によって、

女スパイ映画と

ヒロイン・アクションを、

映画史上初めて

融合させた監督ではないだろうか。

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ヒロイン・アクションを、

多数にわたり作ってきた監督。

特に、子役の

ナタリー・ポートマンを

有名にした「レオン」(1994年)や、

「バイオハザード」の

ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の

SFアクション

「フィフス・エレメント」

(1997年)など、

ヒロインの起用ぶりに、

目を見張る監督ぶりを示す。

そして、本作は

「ニキータ」の主演

アンヌ・パリロー以上に、

ロシア出身のサッシャ・ルスが、

スリム・ビューティーな、

アクションぶりを披露する。

最初の任務から、

3密の中での銃撃アクションで、

孤独で密かな狙撃者の

イメージをさっそく覆す。

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女スパイにして女暗殺者。

しかも、あんまし映画では

描かれたことがない

ロシアKGBのスパイだ。

そんなスパイの作り方が、

本編の前半で披露される。

時制通りには進まず、

過去と現在が交錯するという、

構成に妙味を加えて、

謎めき度合いを

膨らませた作りだ。

KGBのスパイ教育役の

アカデミー賞女優

ヘレン・ミレンなど、

シビアで命懸けの

ミッション教育ぶりに、

リアリティーを感じるけど、

最後のミッションを含め、

リュック・ベッソン流儀の、

ハリウッド映画的

現実にはあり得ない

フィクション性が見られる。

そんなにうまくいくものだろうか、

とゆうところだけど、

そこんとこを

アクションでねじ伏せる。

「ニキータ」のアクションを

倍加させたような作りで、

あり得ないミッションを、

あり得たように見せる、

監督の演出ぶりに魅せられた。

「ニキータ」のストレート系を、

複雑化させた作りにも

好感があった。

監督の21世紀の

最高傑作と言える快作だ。
 
 

2020年6月 1日 (月)

広瀬すず主演「一度死んでみた」

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広瀬すず過去最高の

コメディエンヌぶり
 
タイムリミット系

蘇えりコメディだ
 
 
3月20日の春分の日から、松竹の配給により、全国ロードショー。
 
緊急事態宣言解除後も、全国で上映中。
 

本作は、
2020年製作の日本映画93分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020 松竹 フジテレビジョン

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広瀬すずの役柄は、

アマチュア4人組デスメタル・

バンドのリード・ボーカル。

そんなことやらずに、

マジに後継者になってくれとゆう、

製薬会社の社長である

オトン(堤真一)が、

死ぬほど嫌いだ。

オカン(木村多江)が、

天国へ行って以降は、

2人暮らしだけど、

オトンの加齢臭に

「臭い」と言っては、

ファブリーズを掛けまくるのだ。

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そんなオトンが急死した。

広瀬すずは知らないけど、

オトンは社内の裏切り者を

特定するため、

松田翔太が開発した、

一度死んで2日後に

蘇える新薬を飲んで、

あの世から社内事情を

観察しようとしたのだ。

あの世への案内人

(リリー・フランキー)と共に。

しかし、裏切り者は、

蘇えるまでに火葬して、

灰と骨にしてしまえば、

蘇えりはないと目論んで、

イロイロ画策する。

しかし、広瀬すずは真相を知って、

娘の偵察役とゆうか、

お守り役に近い吉沢亮と共に、

それを阻止しようとする。

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いわゆる、タイムリミット系の、

生き返るか死ぬかのコメディだけど、

本作は全く新しい設定だ。

なぜなら、これまでのタイムリミットは、

死んだ者があの世へ行くまでに、

一時生き返れる時間制限があるのが、

主流であったように思う。

生き返るのに制限がある

パターンは珍しい。

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死んだ者が生き返る場合でも、

生前の記憶をなくしていたり、

全く新しい人間として蘇えったり、

蘇えりを謎にしたりしていた。

この映画ははっきり言って、

コメディであることは別にして、

生死の騙しを使った

「シックス・センス」

(1999年製作・アメリカ映画)ほど、

衝撃的ではないけど、

斬新さはあると思った。

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「ゴースト ニューヨークの幻」

(1990年・アメリカ)の主題歌

「アンチェインド・メロディー」が流れたり、

蘇えりポイントで

「2001年宇宙の旅」(1968年・アメリカ)

で使われた「ツァラトゥストラかく語りき」が

掛かったりと、

ツボを得た曲使いにも妙味があった。

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タイムリミット系のスリリングに加え、

コメディとしての面白・おかしさは、

最後の最後まで持続する。

死を取り込んだ映画で、

これほど笑える映画が

かつてあっただろうか。
 
コロナ禍で1人見が基本だけど
 
席がチョイ離れたとしても、
 

デート・ムービーとして、

ファミリー映画としても、

おすすめの映画です。
 

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