「許された子どもたち」
本作は、2020年製作の、日本映画131分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
少年が逮捕され、
家庭裁判での裁判となり、
加害者家族と被害者家族が
裁判に臨む。
裁判でも、この対立する
2家族の関係を描いた
映画はあまりない。
少年犯罪というところでだろうか。
しかも、少年は自白している
にも関わらず、無処分となり、
加害者家族と被告の少年のその後が、
ピリピリした感じで描かれていく。
そして、無表情で不機嫌な、
少年の無謀な行動が、
とんでもないところへと…。
ボク的には、
どちらも見たあとの鑑賞後感は、
決してよくないが、
「リリイ・シュシュのすべて」
(2001年製作)と
「告白」(2010年・弊ブログ分析済み)が、
ベスト・ツーだと見ていた。
いじめ裁判を独自でやる
「ソロモンの偽証」
(2015年・ブログ分析済み)も悪くない。
ただ、本作のように、
リアリティーある裁判や、
実話をヒントにした作りとなれば、
フィクションとしてのリアルを、
ある意味超えているといえようか。
それが、インディーズ映画として
提示されたことに、
ボクは本気印、
本物のリアルを覚えたのだ。
メジャー系の映画も撮ったことがある、
内藤瑛亮(えいすけ)監督作品。
映画評論家筋で評価の高かった
「先生を流産させる会」
(2012年・ブログ分析済み)など、
実話に基づいた
インディーズの問題作に、
鋭さを見せる監督だが、
本作はその鋭利さが最大になり、
監督の最高傑作となった作品であろう。