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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2020年2月の記事

2020年2月28日 (金)

韓国映画「PMC:ザ・バンカー」

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サバイバル映画ノリの脱出劇

ハ・ジョンウの激烈アクションに熱視線
 
 
2月28日のフライデーから、ツインの配給により、シネマート心斎橋、京都みなみ会館、元町映画館で、全国順次のロードショー。

本作は2018年製作の、韓国映画125分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2018 CJ ENM CORPORATION. PERFECT STORM FILM ALL RIGHTS RESERVED

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北朝鮮と韓国の2国間の間で、

丁々発止が

展開する映画となれば、

これまでにも

多くの作品が作られてきた。

しかし、2国間に、

中国やアメリカが

関わってくる映画となれば、

あんまし例を見ない。

不法移民の傭兵たちを指揮する、

韓国側の主人公

(ハ・ジョンウ)たちが、

38度線にある、

地下バンカーに集結した。

北朝鮮のキング

(イ・ソンギュン=

「パラサイト 半地下の家族」に出演)を、

韓国側へ亡命させるとゆう

ミッションを負っていた。

すぐに済むはずの任務が、

裏切者らがいたことで、

当初の計画が破綻。

サバイバル映画の脱出劇

とゆうノリになっていく。

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近接撮影の

ビビッド感・臨場感の中で、

ハ・ジョンウの

アクション演技が、

際立つ作りとなった。

ハリウッド的映画を

志向する本作だが、

ハ・ジョンウの

「ミッション:インポッシブル」

シリーズ(第1弾は1996年製作・アメリカ映画)の、

トム・クルーズを、

思い出させるような

アクション演技は、

本作のキモとなっている。

キングを演じた

イ・ソンギュンも、

ハ・ジョンウの

逼迫系演技に対し、

受け身系の演技に徹して、

その対比ぶりも

面白い作品だ。

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監督はキム・ビョンウ。

デビュー作「テロ,ライブ」

(2013年・韓国)で、

ハ・ジョンウを主演に、

臨場感あふれる

室内劇をクリエイト。

でもって、本作では、

そのバージョン・アップした

ハリウッド映画級を

披露してみせたのだ。

スピードフルな銃撃戦。

地下から空へ、

そして地上へと着地する、

スペクタクルあふれる作りなど、

見逃せない。

とゆうことで、

韓国映画の

ハリウッド・エンタ級を示す、

快作だ。


2020年2月27日 (木)

「スケアリーストーリーズ 怖い本」

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「IT」的

ホラー映画のノリだ
 
そのホラーのツールは

何だ?
 
 
2月28日のフライデーから、梅田ブルク7ほか、全国ロードショー。

本作は、2019年製作のアメリカ映画108分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019 CBS FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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小説通りに被害者が、

死ぬだなんてノリのホラー。

革命的ホラー「リング」

(1978年製作・日本映画)が、

ビデオがホラーの

ツール(ネタモト)

だったところと、

何となく似通ってないかな。

でも本作は「リング」の

VHSではなく、書かれる文章。

なるほど。

ビデオが普及する以前の、

1968年を背景にした

ホラーなのだ。

ハロウィーンの日に、

ドライブインシアターで、

ゾンビ映画のルーツ

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」

(日本未公開)を見ているところとか、

時代考証は的確だ。

でもって、ボクは一見して、

ホラー小説の巨匠

スティーブン・キングの原作かと

思ったけど、違っていた。

でも、いかにもキングが

作りそうなタイプの

小説の映画化だ。

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ボクはキングの21世紀の近作

「IT」的を感じたのだが、

とゆうことは、

本作の原作(1981年に上梓)を、

一つの参考にして、

キングが敷衍し応用したことを、

示しているのでは…。

コドモ時代と、

大人になってからでいった

「IT」に対し、

本作はティーンエイジャーの、

高校生たちが関わる話だ。

青春ホラー映画として、

「スクリーム」(1996年・アメリカ)や

「ラストサマー」(1997年・アメリカ)などと

リンクするとこもある。

ただ、それらの作品と

一線を画するのは、

1960年代末の雰囲気や色合いを

濃厚に取り込んだところである。

キングの「スタンド・バイ・ミー」

(1986年・アメリカ)は

1950年代だったけど、

年代色を表出するとゆう意味では、

本作は「スタンド・バイ・ミー」にも通じるのだ。

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そして、これまでに

何度も書いてきたけど、

アメリカン・ホラーは、

「リング」のような人の恨みより、

悪魔がホラーの主流にあった。

しかし、本作は違う。

サラとゆう女の子の

恨み節なのである。

それに対し、メガネ女子や

主人公の高校生らが立ち向かう。

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幽霊屋敷など、

ダーク・グリーン・トーンを配した、

ホラーチックな配色だったり、

妖しのフィメール・スロー・ナンバーなど、

ホラー映画を際立たせていたのは、

ホラーのお手本的作りだと言える。

とゆうことで、

アメリカン・ホラーの

新しいところを

見せてくれた快作だ。
 

2020年2月26日 (水)

「ロングデイズ・ジャーニー~この世の涯てへ~」

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中国のアート系ラブストーリー
 
3D後半60分の長回し撮影が強烈
 
 
2月28日から全国順次のロードショー。

本作は2018年製作の、中国&フランス合作の138分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2018 Dangmai Films Co., LTD - Zhejiang Huace Film & TV Co., LTD / ReallyLike Films LCC.

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今年のマイ・ベストワン級に

指名したい作品が、

早くも登場だ。

中国のアート系映画は

これまでにもあった。

ジャ・ジャンクーを始め、

巨匠級のチャン・イーモウや

チェン・カイコーも

それなりに作ってきた。

しかし、本作のアート性は、

これまでの中国映画には

なかった質度があった。

それはフランスの

ヌーヴェルバーグの

テイストだったり、

ウォン・カーウァイ監督が
 
「花様年華」

(2000年製作・香港)で示した、

ラブストーリー感覚に

似通っている。

でも、「花様年華」よりは、

もっとストレートで、

隠しようのない愛を、

感じさせる作りが

メッチャ心地よい。

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ヌーヴェルバーグチックなだけに、

迷える男が主人公だ。

しかし、

本作の男(ホアン・ジエ)は、

「勝手にしやがれ」

(1959年・フランス・モノクロ)

や「気狂いピエロ」

(1965年・フランス&イタリア)

のジャン・ポール・ベルモンドよりは、

無鉄砲でやけくそじゃなく

大人である。

父の死をきっかけに、

故郷に帰った主人公が、

かつて恋した女の行方を、

追って旅に出るお話。

一方で、夜の夢で見た

幻の女を追うノリもあって、

ここがシュールレアリスムな

ポイントとなる。

夜の夢を

モチーフの一つにするのは、

映画作家が好むとこだと思うが、

本作でも機能はしていた。

但し、黒澤明監督「夢」

(1990年・日本)のような、

夢のエピソードを

披露することはなく、

夢と現実が混生するような

スタイルで展開する。

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主人公が追いかける

ミステリアスな女役には、

アン・リー監督の

「ラスト、コーション」

(2007年・香港&中国)で、

惜しげもなく濡れ場を披露した

タン・ウェイが扮した。

ミステリアスな女と、

ぶっきら棒な女の二役を演技して、

その演技分けの妙味も、

素晴らしい演技
ぶりとなった。

ボクはヤラシー

「ラスト、コーション」にも

モチそそられたけど、でも、

本作が

彼女の最高傑作だと断じたい。

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主人公が

とある映画を鑑賞するとゆう、

映画内映画的シーンから始まる、

後半の60分は、

3Dによる長回し撮影である。

いやはや、これこそが

本作のオリジナリティーであり、

キモとなるところ。

主人公とタン・ウェイの

ラブストーリーがあるのだが、

その作りは、ベタベタじゃない、

映画芸術的ノリで渋く展開する。

痺れた!

「花様年華」を超えた

不可解謎めきラブの傑作だ。
 

2020年2月25日 (火)

ミステリー「霧の中の少女」

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イタリアン・ミステリーは稀少だ
 
どんでん返しにアッと驚く仕上がり
2月28日のフライデーから、

kino cinema横浜みなとみらい他、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作のイタリア映画128分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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イタリア映画の、

ミステリー映画となれば、

さほど多くない。

なぜなのかは別にして、

とりあえず

マイ・
イタリアン・ミステリー・

ベスト5を、

他国との合作含めて、

順不同で披露してみよう。

①本作

②暗殺のオペラ(1970年)

③薔薇の名前(1984年)

④太陽がいっぱい(1960年)

⑤ローマに散る(1977年)

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歴史ミステリー③や、

犯人側から描く
 
倒叙ミステリー④は、

ミステリー度は確かに高いが、

そのほかは、本作を除き、

あくまで人間ドラマとしての、

質で勝負した作品だろう。

しかし、本作は

刑事の人間ドラマに加え、

本格ミステリーに

ふさわしい骨格に加え、

トンデモどんでん返しを

用意した作品である。

まずは、特殊キャラの刑事

(トニ・セルヴィッロ)と、

精神科医(ジャン・レノ)

が登場する。

2人は事件について

話し合うのだが、

そのシーンと過去のシーンが

プレイバックされる。

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少女失踪事件を刑事が追い、

やがて容疑者候補が

特定されて、逮捕する。

ある意味、ミステリー的には

ストレートな作りながら、

それぞれのところで、

刺激的なフックがある。

刑事の捜査具合の

断定的独裁ぶりだったり、

マスコミに囲まれる

容疑者家族の苦悶など、

見ていてのめりこめるような

ポイントになっている。

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硬軟両様を駆使する

トニ・セルヴィッロは、

今回は硬派な役柄で魅了する。

かなりのトンガリ刑事ぶりだ。

ジャン・レノの出番は少ないけど、

トニ・セルヴィッロとの絡みで、

落ち着いた演技を

マイペースで演じた。

いやはや、それにしても、

ミステリーの質度は

メッチャ高いぞ。

重厚なチェロや、

ポイントで流される

イタリアン・ポップ

などのサントラも、

サプライズを刺激する。

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どんでん返しも含め、

過去の事件とリンクして、

現在の事件が暴かれるスタイルは、

ミステリーならではのもの。

謎解きミステリーの少ない、

イタリアン・ミステリーにおいて、

出色のミステリーとなった快作である。
 

2020年2月20日 (木)

「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」⇒シリーズ第2弾

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恋人・白石麻衣を守れ!千葉雄大!
 
犯罪者・成田凌が捜査協力!?
 
 
2月21日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020「スマホを落としただけなのに」製作委員会

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シリーズ第2弾。

第1弾に登場した2人

(北川景子・田中圭)の結婚式に、

事件を解決した刑事(千葉雄大)と

その彼女(白石麻衣)が

列席するところから、

第2弾は始まる。

今回は千葉と白石が、

北川と田中の代わりに、

危ない目に遭うこととなる。

第1弾の犯人(成田凌)を、

捕まえたにも関わらず、

女殺しは続けられていた。

捜査に息詰まった警察は、

成田から犯人の、

ヒントを得ようとする。

そして、刑事と収監中の犯罪者が

協力して、殺人捜査に当たるのである。

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「48時間」

(1982年製作・アメリカ映画)のように、

外へ出て2人で捜査というのではない。

「羊たちの沈黙」

(1991年・アメリカ)の、

ハンニバルと女刑事のような関係性だが、

こちらは、もっとずっと、

計略と騙しある作品になっている。

千葉と白石のラブストーリーを

サブ・ポイントにしながら、

第1弾の田中と北川のように、

千葉が白石を守るとゆう、

展開が待っている。

しかし、どんでん返しの、

どんでん返しがあるとゆう、

一筋縄ではいかない

作りが施されているのだ。

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1作目より、

成田凌はよりエキセントリックに、

千葉雄大はよりヒロイックになった。

乃木坂46総出演の

青春なぎなた映画「あさひなぐ」

(2017年・弊ブログ分析済み)に続く、

本作で、

4作目の映画出演となる

白石麻衣。

「あさひなぐ」に続き、

アイドルらしい

純潔モードある演技ぶりだったが、

それでも、

毅然と凛としたとこもありで、

ファンにはたまらない演技に

なっているはずだ。

サプライズある、

刑事役の井浦新の登場も

よかったと思う。

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「リング」(1998年)の

中田秀夫監督らしい、

ミステリアスにして、

ホラーチックなとこもある、

快作となった。

第1弾も監督しているし、

シリーズ化されそうな終わり方なので、

今後も楽しみになってきた。

千葉雄大と成田凌の

心理戦の行方は?

さてはて、どうなるんだ!?

「名もなき生涯」⇒テレンス・マリック監督作品

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テレンス・マリック監督の新作
 
第二次世界大戦秘話
 


2月21日のフライデーから、全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、アメリカ・ドイツ合作の2時間55分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

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テレンス・マリック監督らしい、

静謐さのマジックに、

魅せられた会心作だ。

戦争映画「シン・レッド・ライン」

(1998年製作・アメリカ映画)でさえ、

静かな展開に、

酔って痺れたあの感覚は、

今作も健在だった。

本作は、第二次世界大戦の、

名もなき1個人に関わる、

秘話めいた実話仕様ながら、

監督の名声を高めた第2作

「天国の日々」

(1978年・アメリカ・弊ブログ分析済み)

に見られた、農業映画のノリもあった。
 

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だから、美しい自然描写が、

メッチャ際立っていた。

オーストリアの小さな村。

自然に囲まれ、農耕に精を出す毎日。

ワイドに撮れる、

撮影機を使っているのだろう、

広がりある3Dっぽい映像感が、

まずは目に付く。

夫婦とコドモ3人の女の子たち。

農作業シーンが何度も出てくる。

しかし、第二次世界大戦中の背景において、

主人公に召集令状がきて、

出兵しなければならなくなる。

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それ以前に、

ナチス・ヒトラーに支配された、

オーストリアにおいて、

主人公は頑なに

兵役を拒否する発言をして、

村八分のような状況に陥っていた。

沈黙シーンが頻出する。

主人公や妻の静かなカットの連続は、

彼らのキモチを代弁する

効果あるカットとなっている。

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いちおう兵役に行って、

ヒトラーへの忠誠を拒否して、

主人公は収監されてしまう。

家を守る妻の様子と、

監獄映画のノリの夫・主人公の姿が

交互に映され、

そして、裁判へ。

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第二次大戦もの・

反ナチスものとしての、

新たな局面をとらえた作品である。

迫害されたユダヤ人以外の、

個人的視点とゆうのも、

新しいかもしれない。

「シンドラーのリスト」

(1993年・アメリカ)のシンドラーとは、

真逆の全くの無名だけど、

悲劇的なとこはあるとはいえ、

同じような感触を得た

感動ある作品だった。
 

2020年2月19日 (水)

「私の知らないわたしの素顔」⇒フランス産心理ミステリーの傑作

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ヒロインの心理サスペンス

SNSミステリーの騙しの傑作

 
2月21日の金曜日から、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の、フランス映画101分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINEMA-SCOPE PICTURES

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ヒロインがイロイロチビチビ、

やってくれる心理サスペンスである。

これまでにも、その種の

いろんなタイプの映画が

放出されたけど、

本作はSNS時代に合わせた、

心理ミステリーとなっている。

肖像画像を含め、

自らを偽ってSNSをし、

相手の男性を惑わせるとゆ
う流れ。

SNSでは、よくありすぎる、

嘘がまかり通る世界なのだが、

これが恋愛がらみとなると、

そうはいかない。

イイ女だと、男は会って、

濃厚に接触したくなるもんだ。

それが大きな波紋とサプライズと、

どんでん返しを呼ぶ映画となった。

共に中年の、女セラピストと、

ヒロインが対話するシーンと、

ヒロインの男とのSNSでの付き合いが、

カットバックされる。

ヒロインは年齢詐称だけでなく、

容姿まで偽って、

イケメン男に接触して、

男をまんまとその気にさせてしまう。

第三者的に、男から見れば、

ああ、そうそう、

よくある騙しやなあと、

思うんだけど、それによって、

女に何かの利が得るわけでもない。

むしろ、男と実際に会った時の、

恐ろしさのみが募っていくしかない。

そこんとこをサスペンスにして、

男の会いたいに、

女がどう対処していくのか

とゆう前半のスリル。

そして、後半では…。

ヒロインが描く妄想的なところと、

現実の段差が、

とんでもない驚きへと導かれる、

ミステリーの王道的ともいえる、

サプライズ映画になっていた。

騙しのヒロインを演じるのは、

ジュリエット・ビノシェ。

フツーのようでいて、
 
しとやかなる曲者ぶりは、

さすがアカデミー賞の、

演技賞受賞女優だと思わせる、

演技ぶりであった。

さらに、セラピスト役の、

映画監督もやってる

ニコール・ガルシアの、

静かなる落ち着き払った、

演技ぶりの凄み。

ウーンとうなれるハズだ。

何はともあれ、

極上の心理ミステリーである。

そして、騙しのミステリー。

思わず言いたくなる。

くれぐれも、

ご注意あそばされませ、

なんてね!
 

2020年2月16日 (日)

「影裏」(えいり)綾野剛・松田龍平共演

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ドライでフェイクっぽい男の友情
 
東日本大震災もの映画の1本だ
 
 
2月14日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2010「影裏」製作委員会

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本作は綾野剛と松田龍平の、

関係性ドラマである。

男の友情ものとなれば、

ボク的にはついつい、

アメリカン・ニューシネマ的な友情節を、

期待したりするのだが、

本作は、どこかドライで嘘っぽい、

フェイクな男の関係だった。

2008年に、

会社の人事異動で、

綾野剛は岩手県・盛岡に移る。

友達もなかった孤独な矢先、

松田龍平と出会う。

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職場で出会ったのだが、

松田が突然酒を片手にふらりと、

綾野の下宿に訪ねてきたことをきっかけに、

2人はイロイロ話をし、

松田の趣味の川釣りに行ったりして、

表向きは交流を深めるのだが…。

松田がいみじくも綾野に言う。

影裏(人の裏側)を見なければと。

フツーに交流しつつも、

この発言は、綾野の心に、しがみつく。

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そして、東日本大震災が起こる。

この未曽有の大震災を、

とらえた映画は数多いが、

本作のように、

一部的に撮り上げる映画は、さほど多くない。

「寝ても覚めても」

(2018年製作・弊ブログ分析済み)などもあるが、

本作は一部でも、それがポイントになると、

胸騒ぎは主人公役・綾野剛と同じく、

見る側にしても、大きいものがあるだろう。

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震災を境にして、

松田龍平は蒸発する。

その謎を追って、

綾野剛がイロイロ調べるのだ。

松田の父親(國村隼)との出会いで、

とんでもない事実が

発覚することに。

それに対し、

綾野剛はいかに対処し、

いかなる着地点を見出すのか。

見どころである。

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綾野はゲイであり、

かつての恋人とのつながりもありで、

綾野自身も、

怪しの存在になっている。

でもって、原作小説で、

斬新とされた、自然描写が

映画にも反映された。
 
空や川や森やらの自然描写には、

美しいカットがケッコーある。

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時代劇「るろうに剣心」シリーズ

(2012年・2014年・ブログ分析済み)など、

ヒット作を撮り続けてきた、

大友啓史監督の、

人間ドラマ映画の快作だ。

その複雑な友情系も含めて、

ココロに何かを刻印する

問題作となった。
 

2020年2月13日 (木)

「グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~」

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大泉洋が小池栄子と偽装結婚!?
 
太宰治の原作をコミカルに映画化
 
 
2月14日の金曜日から、大阪ステーションシティシネマほかで、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2019「グッドバイ」フィルムパートナーズ

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本作は、太宰治の未完の遺作を、

映画化した作品だ。

太宰治小説原作映画といえば、

「人間失格」をメインに、

総じて、太宰治キャラ自身が主演し、

「無頼派」と呼ばれたところの、

無頼ぶりを演技・表現する

とゆうような作りであった。

傑作だった夫妻映画としての

「ヴィヨンの妻」

(2011年・弊ブログ分析済み)も同様だろう。

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しかし、本作は主人公役・大泉洋が、

太宰治らしきキャラを演じつつも、

太宰治作品ではかつてない、

コミカルな映画になった。

妻子(妻役は木村多江)のいる大泉洋が、

愛人たち(水川あさみ・橋本愛・緒川たまき
)

と別れるために、

偽装の女房(小池栄子)を

連れて会いに行って、

別れてもらうとゆう、奇妙なお話だ。

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戦後の1948年の話。

大泉洋の妻子は、

実家の青森に疎開させたまま。

その間に作った愛人と別れるのに、

当然ホントの妻は使えない。

とゆうことで、

大泉洋がうってつけの役柄として、

発見したのが、小池栄子だったのだ。

その出会いはまずは

スロー・モーションで描かれる。

小池栄子の持ち味である、

強気な姿勢は健在で、

それをどう大泉が懐柔していくのか、

小池栄子はどうこたえるのかに、

騙しのコンゲームとしての

面白さがあった。

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大泉洋のおどおどしながらも、

あざとさある平常感と、

小池栄子のコンビぶりに加え、水

川あさみ、橋本愛、緒川たまきの、

別に驚かない平常心演技の、

いわゆるアンサンブルなるものが、

絶妙にドラマを

弾ませていたかと思う。

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サプライズの、サプライズがある。

悲劇が、

ハッピー・ラブストーリーへと、

転換し着地する、

このどんでん返しにはうなった。

太宰治の原作を換骨奪胎させた、

本作で原作にクレジットされている、

ケラリーノ・サンドロヴィッチの勝利であり、

成島出監督の演出ぶりの、

見事さが如実に

反映される結果となった。

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成島出監督の、順不同のマイ・ベストスリーは、

「八日目の蟬」(2011年・弊ブログ分析済み)、

「ソロモンの偽証」(2015年・ブログ分析済み)、

そして、本作である。

ミステリー映画がいいみたいだけど、

本作もコメディとはいえ、

どんでん返し含めミステリー色がある。

いずれにしても、

メッチャ楽しめる作品です。
 

2020年2月12日 (水)

戦争映画「1917 命をかけた伝令」

192

ロードムービー・スタイルの戦争映画
 
全編ワンカット長回し撮影だ
 
 
2月14日の金曜日から、東宝東和の配給により、全国ロードショー。

本作は2019年製作の、イギリス・アメリカ合作の119分。

文=映画分析評論家 宮城正樹

Ⓒ2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

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本作は第一次世界大戦ものだ。

第一次大戦ものと言えば、

思い出すのは

アカデミー賞作品賞を受賞した、

ドイツを舞台にした

「西部戦線異状なし」

(1930年・アメリカ映画・モノクロ)だが、

本作はモチ、21世紀的に、

そのバージョンアップした

作品ぶりを見せている。

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ロードムービー・スタイルの戦争映画である。

その種の戦争映画では、
 
スティーヴン・スピルバーグ監督の

「プライベート・ライアン」

(1998年・アメリカ)が、

圧倒的な仕上がりぶりを見せていたが、

本作も、決して負けては
いない。

本作は小隊ではなく、たったの2人。

しかも、途中からは相棒が死んで、

1人ぼっちになるのだ。

また、戦うだけの戦争映画とは違い、

特殊任務という点でも、

1人の兵士を守れとゆう

「プライベート・ライアン」と相似する。

本作は、伝令を敵陣にいる部隊に伝えるとゆうもの。

シンプルながら、このパターンは

これまでの戦争映画にはなかった。
 

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全編ワンカット長回し撮影だ。

21世紀になって試みられた手法である。

美術館内を撮った「エルミタージュ幻想」

(2002年・ロシア&ドイツ&日本)や、

最近なら劇場内を長回しした

「バードマン」(2014年・アメリカ)などがあるが、

いわゆる戸外をメインに

ロードムービーで、

しかも戦争映画での長回しは、

前代未聞だろう。

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木の下で寝そべる2人が、

上官から大事な指令があると言われ、

その話を聞きに歩いていくところから、

この長い長い長回し撮影は始まる。

伝令を伝えるだけなのに、

過酷な運命が2人を待ち受けていた。

敵の塹壕でのネズミを使った爆発シーン、

敵の戦闘機が墜落してなどの、

臨場感あふれる危険なシーンが続き、

遂に相棒が命を落とす。

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1人だけになっても、

敵からの銃撃やら、

いろんなハードルが待ち構えていた。

そのサバイバル模様には

ケッコー波乱はある。

但し、銃撃に一発も当たらないとゆうのは、

少しリアル感がないかもしれない。

しかし、そこはそこ。

当たって死んでしまえば、

そこで終わりだもんね。

それでも、最後の最後まで、

もどかしさを募らせる、

スリリングは続くのでした。

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サム・メンデス監督作品。

アカデミー賞作品賞に

ノミネートされていたけど、

残念ながら韓国の

「パラサイト 半地下の家族」に負けてしもた。

「アメリカン・ビューティー」

(1999年・アメリカ)で、

既に作品賞をもらっているんだから、

まあ、今回
は仕方なしとしよう。

でも、本作は、戦争映画の新たな地平を、

切り開いた作品であることは間違いない。

とゆうことで、

同じく作品賞に届かなかった

「プライベート・ライアン」にハマった方は、

ぜひとも見てもらいたい作品だ。
 

「ゴールデン・ジョブ」⇒アクション香港映画の粋

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「欲望の街・古惑仔」シリーズ
 
22年ぶりの最新作が本邦公開
 
2月7日から、新宿武蔵野館、シネマート心斎橋などで、全国順次の公開。

本作は2018年製作の、香港映画99分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2018 BEIJING SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION  THE ENTERTAINER PRODUCTION CO.LTD. KWAN'S INTERNATIONAL CO.,LTD. ALL RAGHTS RESERVED.

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「欲望の街・古惑仔(こわくちゃい)」

シリーズ(1995年・1996年に2作

・1997年・1998年)の、

何と
22年ぶりとなる

新作の第6弾だ。

この香港映画の名シリーズを、

ジャッキー・チェンが、

製作総指揮者になって蘇らせた。

香港の暗黒街で、

若者たち5人と、

ヤクザらが抗争する、

アクション活劇だったが、

その5人(イーキン・チェン、
 
ジョーダン・チャン、

マイケル・ツェー、

チン・ガーロウ、

ジェリー・ラム)が、

新たなミッションに挑む。

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香港はもちろんのこと、

アフリカ、ハンガリー、

日本の熊本などと、

半世界をワイドに、

ロケーションした作品だけに、

スケール感・壮大感が味わえる作りだ。

そして、銃撃戦からカーチェイス、

格闘アクションまで、

ハリウッドを席巻した

ジャッキーらしい、

香港アクションにとどまらぬ、

ハリウッド流儀を魅せてくれる。

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5人は高額の新薬を、

強奪するつもりだったが、

盗んだのは予期せぬ金塊だった。

5人の仲間内に、

外国マフィアと手を組んだ

裏切り者がいたのだ。

そのせいで、

イーキン・チェンは逮捕され、

ムショ入りになってしまう。

5年後、出所したイーキンは、

仲間の3人と再会し、

後見人の親父(エリック・ツァン)に

会いに日本の大分へ行くが…。

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日本ロケに登場する、

倉田保昭のサプライズある登場など、

日本シーンは

本作のハイライトにもなっている。

福岡でのカーチェイス・

シークエンスなどは、見逃せない。

でもって、クライマックスは

モンテネグロでの、

4人と裏切り者との対決だ。

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ラブストーリー部も含め、

イーキン・チェンが

メッチャカッコいい。

ヒロイズム感も5人の中では最高だ。

製作にも関わったエリック・ツァンも、

いつもながらに渋かった。

間違いない。

「欲望の街・古惑仔」シリーズの

最高傑作だ。


 

2020年2月 7日 (金)

「ヲタクに恋は難しい」⇒週末日本映画劇場

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腐女子とゲーム・オタク男の

ラブコメだ
 
ミュージカル・スタイルで

いってまうで~
 
2月7日の金曜日から、東宝の配給で、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒふじた/一迅社

Ⓒ2020「ヲタクに恋は難しい」製作委員会

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従来のオタクをヲタクと表記して、

ネットから端を発した、

コミック原作映画。

現代のオタク同士の恋愛を描く、

ラブコメ仕様のラブストーリー。

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こなたBL(ボーイズ・ラブ)マンガにハマり、

自らも書いたりしてる腐女子(高畑充希)。

かなたゲームオタクの男(山﨑賢人)。

この幼なじみの2人が、

同じ会社に勤めて、

オタクにしか通じない、

交流を始めとして、

ゆっくりじっくり

恋愛モードへと

進んでゆくのであった。

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コメディエンヌとして、

めざましい活躍を見せる高畑充希が、

究極のオタクぶりを演技する。

ゲームオタクの山﨑賢人も、

終始クールイズムで演技するけど、

充希ちゃんの、

コロコロクルクルの縦横演技には、

かなわないんじゃないか。

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また、充希ちゃんの上司役の斎藤工の、

突然変異系のコミカル演技。

菜々緒ネーさんの、

シビア系のコミカルだったりが、

映画をメッチャ

面白くするんだよな~。

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単なる変局の、

オタク恋愛映画じゃないぞ。

それは始まってから、

五分以内に判明する。

本作は、何を隠そう、

ミュージカル映画なのである。

なんと、ボクが試写室で、

見たところにおいては、

全12曲12シーンにまたがって、

ミュージカル・ダンス・歌パフォームが

繰り広げられるのである。

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集団によるダンス・パフォームは、

2パターンあり、

どちらもノリノリの仕上がり。

ソロ・バージョンもいくつかあり、

充希ちゃんのパートは、特にしんみり、

うっとりなカンジになっとります。

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バーのマスター役ムロツヨシの、

シークエンスとか、

アニメ歌手の

ライヴ・ノリだったりとか、

多彩なカタチで、

ミュージカルしてるところも、

ミュージカル映画らしさだ。

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但し、見ていて、

本格的なミュージカル映画ノリではない。

むしろ、オタク恋愛映画に、

巧妙なアクセントを、

施すような作りだった。

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「モテキ」(2010年・弊ブログ分析済み)や、
 
最新の「ダンス・ウィズ・ミー」

(2019年・ブログ分析済み)などにも、

感じられたけれど、

ミュージカルではあるんだけど、

映画として、何をテーマにするのかに、

こだわった1作でもあった。

でもって、本作は、

心地よい恋愛に、着地するノリが、

メッチャよかった。
 

2020年2月 6日 (木)

「ハスラーズ」⇒コンゲーム映画2

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女たちが男たちをカモる、

セクシー・コンゲームだ
 
女たちのセクシーさに

気持ちよく騙されて…
 
 
2月7日のフライデーから、

TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、アメリカ映画110分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2019 STX FINANCING, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

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実話をベースにした、

女たちの犯罪映画であり、

騙しのコンゲーム映画だ。

その内容は、

ストリッパーたちの女たちが、

ウォール街でバリバリ働く男たちを、

カモって大儲けをするとゆうもの。

男にしてみれば、

下半身ゴコロをくすぐって、

なんちゅう悪女らやねんってカンジで、

見ていて気分もよくないだろう。
 

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でも、男としてボクは、

一歩引いて、この映画を見てみた。

男たちが大金奪取を計り実行する

「オーシャンズ11」

(2001年・アメリカ)などがあり、

その女版もあるけれど、

実際には、か弱き女たちが、

一攫千金を狙って、犯罪する場合は、

やはり本作の場合のような、

パターンしかないように思うのだ。

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彼女たちが逮捕され、

いろいろ尋問されて釈放されたあと、

その1人のヒロインの

コンスタンス・ウーに、

女記者(ジュリア・スタイルズ)が

インタビューする、

そんなシークエンスを現在形にして、

過去のシーンと、

カットバックしながら、

物語は進行してゆく。

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コンスタンス・ウーは、

ストリップクラブに勤めていたが、

ある日、先輩ジェニファー・ロペスの

踊りを見て、衝撃を覚え、

ロペスに接近する。

そして、友達になると共に、

いろいろ教えてもらうのだ。

やがて、リーマンショックが訪れて、

ストリッパーたちにも、不況の波が押し寄せ、

みんなやめて、散り散りばらばらに。

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しかし、ウーとロペスの再会により、

男たちをカモるビジネスを、

かつての仲間2人(写真上)にも声をかけて、

4人で始めるのであった。

麻薬などを入れた酒を、

たらふく飲ませて男たちを、

忘我の境地に至らせ、

持ち金を盗むとゆう手法だ。

彼女たちの犯罪を、

キャッチーな歌をバックに、

ダイジェストで見せる、

シークエンスには、

リズミカルで乗れた。

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歌ものを始め、

ピアノの速弾きや、

デジタル・ダンス・ミュージックの軽快さなど、

サントラ使いは、

製作にも関わっている、

大ヒット歌姫でもある、

ジェニファー・ロペスの威光が、

見え隠れしているようだった。

音楽映画かと思うくらい、メッチャ乗れるのだ。

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そんなロペスの安定感ある熟演技に加え、

「チャーリーズ・エンジェル」で有名になった、

中国人女優ルーシー・リュー、

なんて客から言われる、

コンスタンス・ウーの、

平然毅然としつつも、

かよわさを時折見せる演技には、

何やらアイドル並みに、

見守ってあげたい、

とゆうようなキモチになった。

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そのほかの女優達も光っていたので、

魅せられてください。

でもって、女の友情とゆうか、

キズナらしきものへと、

着地してゆく流れは、

男の友情が主流だった、

アメリカン・ニューシネマ的な

センスがあった。

とゆうことで、ボクは本作を、

マイ年間ベストテン級映画に挙げたい。
 

「グリンゴ/最強の悪運男」⇒コンゲーム映画1

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コンゲーム・リベンジ・アクション映画
 
シャーリーズ・セロン、

アマンダ・サイフリッドらが好演
 
 
2月7日のフライデーから、梅田ブルク7ほか、全国ロードショー。

本作は2019年製作の、

アメリカ&メキシコ&オーストラリア合作の111分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2018 STX FINANCING LLC ALL RIGHTS RESERVED

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共同経営者にして、愛人の2人

(シャーリーズ・セロン、ジョエル・エドガートン)が、

会社内でセックスしようかという時に、

電話がかかってきて、セロンが出た。

メキシコからの電話で、

出張してた社員

(デヴィッド・オイェロウォ)本人が、

5億円払わなければ、

殺されるとゆうものだった。

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実はそれは狂言だったのだが、

2人は仕方なく動き出す。

エドガートンのアニキが、社員を救うが、

それにも、カラクリと主人公の意図があった。

さらに、メキシコのシンジケートが、

ここに関わってくる。

コンゲーム・リベンジ・アクションなどと、

面白さは倍化、

三倍化してゆくとゆう展開になっていく。
 

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コンゲーム映画的には、

「スティング」ほどの軽やかな、

ノリはないけども、

アマンダ・サイフリッドなどが、

コンゲームに、主人公に関わってくることで、

ある種の軽妙さを付加して、

シャーリーズ・セロンらと、

対峙していくのである。

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アクション的には、

カーアクションあり、

銃撃アクションありの、

展開が待っている。

リベンジ映画的には、

セロンとエドガートンに、

リベンジするとゆう、

主人公デヴィッドのポイントは、

かつての復讐映画の深刻度合いとは、

少々異なっている。

そのノリは「スティング」(1973年・アメリカ)に近い。

つまり、悪い奴らを懲らしめようとゆうノリだ。

そのうえで、最後に得をするのは誰なのか、

とゆう決着がある。

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主人公デヴィッドの、

オドオド感をポイントにした、

自然体なフツーの演技は、

この映画に見合っていたかと思う。

しかし、主人公の演技を、

遥かに凌駕していたのは、

シャーリーズ・セロンだったと思う。

いわゆる悪女役だが、

役柄を作っていた「モンスター」

(2003年・アメリカ)以上に、

すんなりフツーなカンジの、

悪役ぶりで分かりやすかった。

アマンダ・サイフリッドも、

自然体を通していて、

「マンマ・ミーア」

(2018年・アメリカ・弊ブログ分析済み)

ほどではないにしても、好感度はよかった。

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コンゲーム・リベンジ・アクションの

どれにも対応できる本作。

エンターテイメント映画の王道

と言ってもいい仕上がりだ。
 
 

2020年2月 5日 (水)

フランス映画「男と女 人生最良の日々」

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映画史に残る傑作「男と女」の晩秋編
 
シニア恋愛映画の究極型を示す
 
 
1月31日のフライデーから、大阪ステーションシネマほかで上映中。

京都シネマは2月8日から、シネ・リーブル神戸は2月7日から、全国順次の公開。

本作は、2019年製作の、フランス映画90分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019 Les Films 13 - Davis Films - France 2 Cinema

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1966年。

若きクロード・ルルーシュ監督は、

ラブ・ストーリー「男と女」をもって、

カンヌ国際映画祭に挑み、

見事に最高賞のグランプリ

(今の名称はパルム・ドール
)

を獲得した。

一夜にして、無名から有名となった。

しかし、その後の映画監督人生は、

鳴かず飛ばずだったと思う。

一発屋の汚名に、

見合うような具合になったけど、

でも、「男と女」は、

映画史に燦然と輝く、

恋愛映画の傑作である。

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1970年代に、

ボクが初めて「男と女」を、

映画館で鑑賞した時の衝撃は、

記憶に深く刻まれている。

その衝撃度の今を取り込みつつ、

本作では、かつてのシーンを、

褪せた色合いで、

プレイバックしつつ、

男(ジャン=ルイ・トランティニャン)と

女(アヌーク・エーメ)の、

再会を紡ぐ

感動的な作品となった。

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本作には、シリーズとして

続編(1986年の「男と女Ⅱ)があったし、

その後も監督は、恋愛映画を作り続けてきた。

しかし、「男と女」を超える作品は、
なかなか撮れなかった。

「男と女」は、

あまりにも傑出していたのである。

監督のフィルムディスコグラフィーを、

見るにつけても、それを示している。

そして作られたのが、

晩秋編
の、シニア恋愛映画

とも取れる本作なのだ。

結果的には、

シリーズ3部作の、

最終章とゆうカタチを取っている。

シリーズとゆう形態は、

監督の頭にはなかったろうが、

結局はそうなってしまった。

とゆうことで、「男と女」未見の方は、

ぜひともDVDで見てから、

本作を見ていただきたいと思う。

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パリのカー・アクション。

斜め後方からの、

ロー・アングルでのカー・ロード撮影。

運転手視点での、長回し撮影のあとに、

過去のシーンとの、

オーバーラップを、モンタージュ。

夕景の美しさに加え、

フロントガラスに映える、森の緑など、

流れるような美麗感は、

「男と女」以上の美意識を、感じさせてくれた。

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音楽監督フランシス・レイの、

遺作となった2曲、

特に、渾身のスロー・バラードには、


鳥肌だった。
2人の演技も、

熟成の演技に見合う、渋演ぶりだった。

懐古趣味に陥ることなく、

シニア恋愛映画の粋を紡ぎだす。

「男と女」の締めに、

メッチャふさわしい作品だった。
 

2020年2月 3日 (月)

2020年現時点マイ年間ベストテン

●日本映画

①ラストレター

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 影裏(2月14日公開)

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ロマンスドール

グッドバイ(2月14日公開)

さよならまでの30分

AI崩壊

 

●外国映画

リチャード・ジュエル(アメリカ)

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①ロング・デイズ・ジャーニー(中国/2月28日全国順次公開)

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レ・ミゼラブル(フランス/3月13日全国順次公開)

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母との約束、250通の手紙(フランス)

フォード&フェラーリ(アメリカ)

ジョジョ・ラビット(アメリカ)

キャッツ(アメリカ)

私の知らないわたしの素顔(フランス/関西2月21日)

ハスラーズ(アメリカ/2月7日全国順次)

巡礼の約束(中国/関西2月22日)

 

●現時点における、


暫定年間マイ・ベストテンです。

邦画は10作に及んどりませんが、


とりあえず、


ベストテン級とゆう作品を列挙いたし、


現在のマイ・ナンバーワンには


①の表記を入れました。

日にちの表記のない分は公開中で、


既に弊ブログで分析しておます。

今後公開作については、


後日分析紹介いたします。


とゆうことで、大たい月イチで、


現状を披露する所存ですので、


よろしくお願いします。

 

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)


 

 

 

 

 

2020年2月 1日 (土)

「AI崩壊」⇒週末日本映画劇場

Ai2

AI時代の「逃亡者」的近未来映画
 
ネットを使った、トリック満載のミステリー
 
 
1月31日の金曜日から、ワーナー・ブラザース映画の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2019「AI崩壊」製作委員会

Ai8

AIが登場するハリウッド映画は多い。

有名どころでは「ターミネーター」や、

「ブレードランナー」、

スピルバーグの「A.I.」などがある。

しかし、日本映画で、

AIを使うとなると、どうだろうか。

違和感はないだろうか。

そんな違和感や齟齬を含めて、

近未来SF映画として、

作られたのが本作である。

Ai3

AIが反乱を起こすのである。

それで、首相を始め、

何人もが死ぬことになる。

人間に従順な設定で作った、

AI開発者の主人公(大沢たかお)が、

改ざんしたんじゃないかと、罪に問われ、

警察から追われる羽目になる。

しかも、AIの反乱で、

主人公の娘が、冷凍下のエリアに閉じ込められ、

命が危ぶまれる、タイムリミットな、

状況下に置かれることに。

Ai1

つまり、大沢たかおは、

逃げながら、真相究明をしようとする

「逃亡者」(1990年)的状況となり、

さらに、娘を救わなければならないとゆう、

タイムリミット・サスペンスな状況も加わって、

過酷な二重のハードルを、背負わさせられるのだ。

Ai7

片や、警視庁の捜査側は、

ネット主眼のデジタル捜査側(岩田剛典)と、

アナクロな現場主義の刑事

(三浦友和、相棒は広瀬アリス)の、

2方向で進んでゆく。

デジタル捜査が、

何者かによって改ざんされるのに対し、

足の捜査をする友和組が、

犯人を追い詰める過程など、

デジタルよりアナログが、

勝利するような流れは、

この種の映画では定番かもしれないが、

それでも心地いい。

Ai4

メイン・ポイントは、

激しかったり落ち着いたりの、

大沢たかおVS、

クールイムズな岩田剛典だ。

さまざまな逃走劇だったり、

カーチェイスに加え、

ネットを使った、

いろんな仕掛けを施す、

トリッキーの妙味。

どちらが最終的に勝つのかは、

見てのお楽しみだ。

Ai5

主人公の妻役の松嶋菜々子が、

好感度の高い演技ぶりで魅せる。

夫が作ったAIへ語りかける、

イントロ部と最後の方がつながり、

ハッピーエンドへと向かう作りや展開は、

メッチャ心地よかった。

Ai6

そして、ラストロールで披露される、

AI(アイ)の主題歌「僕らを待つ場所」は、

ドラマティックだった。

ピアノから始まる、壮大なソウル・バラード。

ボク的には、AIの最高傑作だ。

とゆうことで、本作はAI映画の、

挑戦的な快作となった作品だ。
 

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