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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年12月の記事

2019年12月26日 (木)

「男はつらいよ 50 お帰り 寅さん」

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寅さんは死んではいない設定だ
 
寅さんを思い出す満男のヒューマン・ドラマ
 
 
12月27日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019 松竹株式会社

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寅さん役渥美清が、1996年に逝去して13年。

「男はつらいよ」シリーズの新作、第50弾が公開される。

諏訪満男役の吉岡秀隆が、寅さんの代わりに、主人公になった作品だ。

寅さんは、満男をメインに、

諏訪さくら(倍賞千恵子)、満男の初恋相手・泉ちゃん(後藤久美子)、

寅さんのマドンナ役リリー(浅丘ルリ子)などが、

長めに思い出す仕様になっている。

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しかし、あくまで寅さんは、

実は死んではいないとゆう、設定になっているのである。

これは本作の大きなサプライズだった。

本編の最初の方で、満男が自分の娘と両親らと共に、

諏訪家の誰かの七回忌法要を、執り行うシーンがある。

ボクらはてっきり、寅さんの七回忌かと勘違いするのだが、

実は、満男の妻の七回忌なのだった。

では、寅さんはどうなったんだとなるのだが、

実は実は、寅さんの生死については、

全くもって登場人物の誰もが、言及しないのである。
 

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寅さんは死んではいず、

どうやら世界のどこかで、生きているとゆう設定のようなのだ。

そんな中で、妻の死後、シングル・ファーザーとなった満男は、小説家になっていた。

満男を取り巻く人間関係では、

満男の編集者役の池脇千鶴や、娘役の桜田ひよりなどが、

50弾にして、新しく登場するキャラクターである。

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そんな時、満男の高校時代の初恋相手、泉ちゃんゴクミが、

書店の作家サイン会で満男と再会するのだ。

ゴクミと満男の恋愛は、

「男はつらいよ」の後期のシリーズでも、重要なエピソードであった。

それが21世紀の、現在形で示されていく。

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ゴクミは既婚者。

満男はコブ付きのヤモメだけど、独り身だと彼女には嘘をつく。

そんな中で、ゴクミと満男の再会の物語が、綴られてゆくのである。

そして、満男はゴクミとの関係性の中で、寅さんとの過去を思い出してゆくのだ。

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恋のアドバイスとか、いいカンジのところの寅さんシーンが、

現在進行形のドラマに、反映されるノリで回想されて、

ドラマティックな感動を生み出す。

ゴクミと満男の恋愛では、それがいい方向で引用された。

寅さんを思い出しながら、満男の生き方を描くのであれば、

「男はつらいよ」シリーズは、まだまだ続くんだとゆう可能性を示している。

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サザンオールスターズの桑田佳祐が、

オープニング・ナンバーを、寅さんになりきって、絶妙に歌い上げてみせる。

いいカンジだ。

ラストロールでは、渥美清のオリジナル・ナンバーも流れきて、

余韻も感動も深まる作りになっている。

同じくラストでは、歴代マドンナと寅さんのシーンを、

ダイジェスト的に流すけど、決して回顧ムードには流れない。

その理由は、満男が寅さんをテーマにした新作を、

書こうとする意欲と熱に、ウーンとうなれるからだ。

そのハットトリックなラストにこそ、本作の意味と意義があると、ボクは思った。

シリーズはまだまだ続くはずだ。間違いない。

お正月映画の本命として、本作をおすすめいたします。


2019年12月25日 (水)

劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』

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新幹線進化型ロボット6機が、活躍するロボ・アニメ
 
宇宙からの人類の敵を、ワン・チームで倒す!
 
 
12月27日の金曜日から、東宝映像事業部の配給で、映画館へ出発進行!!

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒTOMY ⓒプロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・The Movie 2019

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TBS系テレビアニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン」の劇場版。

テレビアニメの映画版は、これまでに数多くのタイトル数があるが、

単体の多かった操縦型ロボ・アニメの、

6人6機の群像チーム版は、異例である。

また、新幹線の進化ロボ「シンカリオン」とゆう、

電車ロボ・タイプも、かつてないものだ。

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さらに、JR東日本とのタイアップとゆうのも、アニメでは珍しい。

実在する次世代の、新幹線試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」が、

操縦ロボに変形するのも、

電車ファン・電車小僧へも、刺激を与えるような作りになった。

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劇中での、いろんなものとのコラボレーションが、

満載というのも、本作の魅力を増幅させる。

映画館でのサプライズで楽しんでもらうために、

明かせるコラボは、ほんの一部ではあるけど、

例えばバーチャル・アイドル「初音ミク」や、

「エヴァンゲリオン」とのコラボなどは、

若い観客層をアッと、驚かせるところだろう。

しかも、老若男女関わらず、

各年齢層を楽しませる、多彩なコラボが用意されている。

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全国から集められた6人の中学生のメンバーたちが、

それぞれ6機を操り、新幹線超進化研究所の人たちと共に、

宇宙からの敵を倒してゆくのだけれど、

本作では、メンバーの1人ハヤトに、焦点が当てられた。

埼玉から北海道へ旅するハヤト一家(本人に父母妹)が描かれ、

父ホクトが北海道で、行方不明になってしまう事件が、

ドラマのキー・ポイントを握っている。

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ハヤトとホクトの父子のキズナが、大いに感動を呼ぶのだが、

ボクはハヤトの妹の、ユニークなキャラクターに、思わず魅せられた。

「●●というか、●●わけで」の、助詞2つを繰り返すとゆう、セリフがインパクト大。

セリフにあまり意味がない、この種のアニメにおいては、

強烈なオリジナリティーを、ボクは覚えた。

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ボイメンこと「BOYS AND MEN」が歌う、

ラストロールで流れる主題歌「ガッタンゴットンGO!」。

キャッチーな乗れるダンス・ナンバーは、映画の内容にピッタリだった。

とゆうことで、日本版「アベンジャーズ」的アニメ版は、

家族みんなで見に行く、お正月映画にメッチャふさわしいと、ボクはジャッジいたします。

2019年12月24日 (火)

インド映画「燃えよスーリヤ!!」

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インドでは珍しいカンフー・アクションだ
 
「燃えよドラゴン」へのリスペクトが強烈!

12月27日のフライデーから全国公開。

本作は、2018年製作のインド映画138分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019 RSVP, a division of Unilazer Ventures Private Limited

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カンフー映画といえば、

大ヒットした「燃えよドラゴン」(1973年製作・アメリカ&香港合作)を始め、

中華圏の香港映画・中国映画のオハコであった。

しかし、「燃えよドラゴン」以降、ハリウッド始め日本でさえも、カンフー映画が作られてきた。

さらに、カンフー映画へのリスペクトやパロディを込めた映画が、各国で作られた。

ただ、インド映画としては、ボクの見たり聞いたりした範囲では、

これまでには、本作誕生まで、カンフー映画へのアプローチは、珍しいというよりなかったと思う。

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しかもカンフーはカンフーでも、

その決定的代表作
「燃えよドラゴン」シリーズへの、リスペクトがストレートに込められた。

さらに、「燃えよドラゴン」主演ブルース・リー以降に輩出された、

ジャッキー・チェンなどの、スピードフル・カンフーへのアプローチも見られ、

かつてないカンフー映画の、ハリウッド的ボリウッドらしい大作となった。

しかも、ブルース・リー・カンフーにはなかった、

ラブストーリーを、仕込んでみるとゆう作りである。

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アクションとラブストーリーを融合させるとゆうのは、

かつてはミュージカル・ラブを、主としてきたインド映画においては、ある意味で画期的だと言えるだろう。

アカデミー賞作品賞を獲得した、イギリス資本の入ったインド舞台の

「スラムドッグ・ミリオネア」(2012年・イギリス)にも見られた
、幼なじみの彼女と主人公の恋。

そんなラブを、彼女を救うためにとゆう、オーソドックスながら、

ストレートなヒロイズムで主人公が、カンフー・アクションに挑んでゆく。

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冒頭と最後がつながる構成だ。

そのイントロでは、スローモーションを加えての、格闘シーンが繰り広げられる。

1990年代のPV風だという解説も入るが、

ブルース・リーとの違いも加えられたわけだ。

そして、過去の主人公の誕生シーンへとさかのぼり、

幼なじみの女の子との逸話へと進む。

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過去から現代に戻っての、主人公が彼女を助太刀するシーンが、

仮想と現実の2パターンで作られて、随所にユニークな作りが施された。

「スターウォーズ」や「アベンジャーズ」など、

現代の大ヒット作品への、アクション・トリビュートもあるとゆう、

ちょっと欲張りな(!?)作品でもある。

売れ線を志向した、インドのカンフー映画。

お正月映画としては、妙ちきりんかもしれんけど、

はまってるとは思うんだけどなあ…。

みなさんの、見ての意見を聞いてみたい。

2019年12月22日 (日)

「冬時間のパリ」⇒オリヴィエ・アサイヤス監督の新作

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ジュリエット・ビノシェが円熟の癒やし演技で魅せる
 
2組の夫婦のアレコレを魅せる、夫婦映画の傑作
 
 
12月20日のフライデーから、Bunkamuraル・シネマほか全国順次の公開。

関西では、2020年1月17日から、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸ほかで公開。

本作は、2018年製作のフランス映画107分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒCO CINEMA/ARTE FRANCE CINEMA/VORTEX SUTRA/PLAYTIME

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夫婦映画はこれまでに多数作られてきた。

何組かの夫妻を組み合わせた映画もある。

本作のように、2組の夫婦に集中してゆく映画もあった。

夫婦が入れ替わるトンデモ映画もあった。

しかし、本作はもっとずっとフツーである。

それでも、何かしらシブミがある。

その理由は何か?

探る前に、本作の主演女優ジュリエット・ビノシェと、

オリヴィエ・アサイヤス監督について見ていきたい。

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ジュリエット・ビノシェの、マイ・ベスト&カルト・スリーを、各順不同で披露する。

●ベスト⇒①存在の耐えられない軽さ(1988年)

②本作

③イングリッシュ・ペイシェント(1996年)

●カルト⇒①ショコラ(2000年)

②夏時間の庭(2008年)

③トリコロール/青の愛(1993年)

●アカデミー賞で演技賞を得たベスト③の演技こそが、

ジュリエット・ネーさんの持ち味であると断言したい。

その癒やしと優しい演技に、ボクは魅せられ続けている。

ベスト①カルト③など、時に反抗的な態度も見せる。

それは思想的・信条的なとこであって、決して彼女の柔和なイメージを壊しはしない。

ジョニー・デップと共演したカルト①、

そして、オリヴィエ・アサイヤス監督と組んだカルト②や本作など、

癒やし性格の女が、家庭に入って年をとって、どうなってゆくのかを演技していくのだ。

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オリヴィエ・アサイヤス監督のマイ・ベスト・スリーは

①夏時間の庭②アクトレス 女たちの舞台③本作だ。

全て、ジュリエット・ビノシェが出ている映画である。

とゆうことは、監督と彼女のコラボレーション作品が、

ボクを魅了しているとゆう結果になっているわけだ。

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女優役ジュリエット・ビノシェと、本の編集者役ギョーム・カネ。

作家役ヴァンサン・マケーニュと、政治家の秘書役ノラ・ハムザウィ。

そんな2組の夫婦が、それぞれの夫婦ぶりを披露しつつも、

この中のうちの2人が不倫しているとゆう構図で、物語は紡がれてゆく。

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冒頭はギョーム・カネが、作家のヴァンサンの作品について、2人で話し合うところから始まる。

しかし、この小説は、カネのおメガネにかなわなかった。

ナチスの台頭期を描いた「白いリボン」とゆう、暗い映画が引用されていること。

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何よりも、ギョームの妻・ジュリエットとの浮気を描いた、私小説だった点(本人のギョームはそれについて言及はしないが…)。

ビミョーなとこから始まる夫婦映画ながら、

そのあたりはあとから、じわじわと効いてくるようになっとります。

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アサイヤス監督の自然体演出ながら、

時おりのハッとや、オッとや、ミラクルやらを、心理的に取り入れる演出ぶりが、いつもながらに光っていた。

2組の夫婦のラストの、海辺の家での交流ぶり。

こんなハッピーエンドも、演出できる監督の懐は深いと思った。


2019年12月20日 (金)

アメリカ映画「ジョン・デロリアン」

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「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と、リンクする実話映画だ
 
天才自動車エンジニアの破天荒な生き方
 
 
12月20日のフライデーから、ツインの配給により、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作のアメリカ映画113分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒDriven Film Productions 2018

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「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年製作・アメリカ映画)に出てくるカー「デロリアン(DMC-12)」を作った男、

自動車エンジニアのジョン・デロリアンの、波乱の人生を描いた映画。

自動車業界の男を描いた実話映画では、

ボクは「タッカー」(1988年・アメリカ)など、車業界人間の生き方を、ストレートに描いた映画が好きだったけど、

本作は「タッカー」とは真逆とも言える、裏サイドからのアプローチで、

クルマ人間の予想外の姿を、浮き彫りにしてみせるのだ。

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ジョン・デロリアン(リー・ペイス)を描くのに、

麻薬の運び屋にしてFBIの情報屋(ジェイソン・サダイキス)から、まず描くとゆう、ユニークなスタイルを採っている。

ココがまず本作に、魅了されたところだ。

情報屋の家族もフツーのように描かれ、主人公はこの情報屋だと思える作りなのだ。

さらに、意外なのは、裁判劇から何やら始まるとゆう構成になっていて、

過去の話と裁判劇が、カットバック的に描かれるような、構成の妙味でも魅せている。

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過去の話は、南カリフォルニアの1977年から始まる。

情報屋がFBIにつかまり、妻子もいるしで服役を拒んで、麻薬犯罪のFBI情報屋になる。

FBIから優遇されて、高級住宅地に住み、ある日、隣に住むジョン・デロリアンと出会うのであった

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デロリアンのパーティーに出たりするうち、情報屋とデロリアンは、すっかり仲良しになってしまう。

デロリアンが経営の窮地に陥った時、情報屋に相談し、

そして…とゆうことになっていき…。

やがては、裁判沙汰へと流れてゆき…。

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時代の雰囲気とか背景とかの描写には、目を見張らせる。

1970年代末から1980年代初めの描写は、

当時公開されたアメリカ映画の現代映画の背景と比べても、

全くおんなじくらいの映り方であった。

当時の風景は、広大なアメリカならまず現存している。

そのあたりを緻密にロケハンしながら、撮り上げたところが凄く感じられて、ボクは好感を覚えた。

でもって、何といっても特筆すべきは、裁判で争いながらも、友情節を奏でる2人の存在だ。

みんな、あんましとゆうか、全く知らないかもしれないけど、

2人の男優・ハリウッド役者の、好演ぶりを見てください。


2019年12月17日 (火)

「THE UPSIDE/最強のふたり」⇒あの大ヒット作のリメイク

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フランス映画「最強のふたり」の、ハリウッド・リメイク作だ
 
結末を変えたハリウッド映画らしさに好感あり!
 
 
12月20日のフライデーから、ショウゲートの配給で、全国ロードショー。

本作は、2019年製作のアメリカ映画125分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

MOTION PICTURE ARTWORKⓒ2019 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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日本では、単館系から始まって大ヒットした

「最強のふたり」(2011年製作・フランス映画・弊ブログ分析済み)の、ハリウッド・リメイク作だけど、

アメリカ映画以外のハリウッド・リメイク作には、ある種の年季や系譜がある。

その種の映画の、国別に披露してもいいんだけど、フランス映画に限って、各順不同でマイ・ベスト&カルト・スリーを披露してみよう。

()内には、オリジナル作を表記します。
 

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●ベスト⇒①本作

②恐怖の報酬(1977年・弊ブログ分析済み/「恐怖の報酬」1952年・モノクロ)

③運命の女(2002年/「不貞の女」1969年)

●カルト⇒①リプリー(1999年/「太陽がいっぱい」1960年)

②スリーメン&ベビー(1987年/「赤ちゃんに乾杯!」1987年)

③ホワイト・ライズ(2004年/「アパートメント」1996年)

●サスペンス映画ベスト②③カルト①、コメディのカルト②、ラブストーリーのカルト③など、

いかにもハリウッドが、リメイクしたくなるような素材が並んだけど、

本作は世界的にヒットしたとはいえ、友情をポイントにしたヒューマン映画である。

人間ドラマ映画を、ハリウッドがリメイクするのは、よほどのことである。

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とはいえ、友情を描いたオリジナルだけど、

友情映画としては、ハリウッド的には、アメリカン・ニューシネマの傑作群があるんだけど、

しかし、そおゆう友情映画のノリとは、違うテイストでリメイクされている。

身障者の富豪(ブライアン・クランストン)を、介護する青年(ケヴィン・ハート)。

2人の間に絡むのは、富豪の秘書役のニコール・キッドマン。

オリジナルは、かなりの方が観られているとは思うが、

このリメイク作は、オリジナルの結末を変えている。

そのキーを握るのは、友情を紡ぐ2人ではなく、ニコール・キッドマンである。

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友情映画とラブストーリーを、融合するのは至難のワザだ。

しかし、本作はその難しいハードルを入れ込もうとした、挑戦的な作品だった。

うまくいったとは思わないけど、でも、オリジナルを超えようとした意気込みには、好感を覚えた。

久々に見た、ニコールが冷静沈着な役柄だったし、

アカデミー主演女優に輝いた、「めぐりあう時間たち」(2002年・アメリカ)のヴァージニア・ウルフ役にも近い演技ぶりだった。

モチ、2人の男の友情演技にも、オリジナルに勝るとも劣らない、好感ぶりだったと思う。

オリジナル以上に、ヒットしそうな予感ある作品だ。

アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画

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ヌーヴェルバーグを牽引した女性監督だ

ドキュメンタリー映画にもその波は波及

12月21日のサタデーから、ザジフィルムズの配給により、シアターイメージフォーラム始め、全国順次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

●「アニエスによるヴァルダ」(2019年製作・フランス映画・119分)

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ⓒ2019 Cine Tamaris - Arte France - HBB26 - Scarlett Production - MK2 films

アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本といっても、

アニエスを全く知らない人には、

誰やねんそいつは!なんてことになりかねない。

2019年3月29日に逝去したといっても
、答えは同じだろう。

そう考えると、ボクは映画にとって、人々の胸に刻印されるのは、

監督なのか作品なのかを、考えることになってしまった。

すると、作品であり映画であるとゆう結論に至った。

監督の「幸福」(1965年製作・フランス映画)を見た時、ボクは鳥肌が立った。

こんな男のエゴを、家族映画の中で、フツーのように撮るなんて、どうかしてるでとまで思った。
しかし、ショックで衝撃的だ。

まずは映画館で見たのだが、深夜のテレビでも再び見た。

今や地上波のテレビでは、やらないかもしれんけど、映画館であれテレビであれ、衝撃度合いはいっしょ。

監督が誰なのかは、二の次だった。

確かに人は映画を、男優・女優でまず見るのが一般大衆的だ。

監督は二の次になるかもしれない。

しかし、「幸福」が女流監督の、メガホンによるものだったことを知ったのは、映画を見てから少しあとだった。

さて、本作はアニエス監督の遺作であり、

自身の監督作品を、セルフ解説するドキュメンタリーである。

本作を見て興味を覚えられた方は、監督の作品をぜひとも見てほしい。

しかし、DVD化されていない作品もケッコーあるし、CSでも採り上げられない。

けれど、下記の2作品は、映画館で見られます。

百聞は一見にしかず。

ぜひともこの機会に行って見ようで。

●「ラ・ポワント・クール」(1954年・フランス・80分・モノクロ)

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ⓒ1994 AGNES VARDA ET ENFANTS
 
見出しにも書いた、ヌーヴェルバーグ。

ネットで調べたらすぐ分かるだろうけど、

1950年代にフランスで起こった、それまでの映画とは違う波ってことだけど、

まずは作品ありきの観点からは、

フランソファ・トリュフォーとかジャン・リュック=ゴダールの監督作品を、

DVDであれ、見てもらうのが一番だろうか。

その上で、本作を見たなら、ヒジョーに分かりやすくなるかと思う。

単なる漁師の話が、全く違う様相を見せる。

妻子であれ恋人同士であれ、男女の会話のシュールなテイストが、サラッと描かれる。

映画史、映画芸術史に残るヌーヴェル・バーグの、兆しを見せる作品だ。


●「ダゲール街の人々」(1975年・フランス)

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ⓒ1994 agnes varda et etfants

アニエス・ヴァルダは、ドラマ映画と同じくらい、ドキュメンタリー映画にも、執念を見せた監督である。

ボク的には、ミレーの同名の名画にインスパイアーされ、

現代の落穂拾いの実態を探った「落穂拾い」(2000年・フランス)の面白さに魅せられたが、

本作はもっとずっと、パーソナルな内容だった。

何しろ監督の住む家の近くで、
撮った映画なんだけど、

これが、群像ドキュの新機軸を見せる作品になっていたのだ。

香水を売る、写真の老夫婦の店を皮切りに、

時計屋、肉屋、服の仕立て屋などを取材しながら、

異能のマジシャンの姿をはさみつつ、

街と人々を活気づかせる捉え方をする。

素晴らしい。

これこそ人々と居住する街への、愛と言えるかもしれない。

彼女の作品をもっと探索したいと、思えるような作品になっていた。


2019年12月13日 (金)

「映画ひつじのショーン UFOフィーバー!」


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遂にひつじショーンは、SF映画になった

サイレント映画ノリは、誰にでも分かりやすい

12月13日のフライデーから、全国ロードショー。

本作は、2019年製作のイギリス・フランス合作映画86分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019 Aaroman animations LTD and studiocanal SAS, ALL RIGHTS RESERVED.

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クレイ・アニメで世界的に有名な、イギリスのアードマン・アニメーションズ映画の最新作。

ディズニー・アニメのキャラクターの多さには、当然ながらヒケはとるけど、

ウォレスやグルミット、チキンたちが活躍し、ほんでもって、「ひつじのショーン」は、

ディズニー・キャラに勝るとも劣らない人気キャラになった。

テレビアニメでも人気だけど、2007年から始まった映画版だが、

サイレント映画のノリと、コドモから大人まで誰にでも、分かる面白さに魅了された。

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ショーン映画は弊ブログで、これまでに何度か分析紹介してきた。

そのたんびに、アニメ映画のマイ・ベストやらカルトやらをやってきたけど、

でも、はっきり言いたいのは、本作は映画版ショーン・シリーズの、最高傑作だということだ。

宇宙から迷って地球に来たエイリアン異星人と、ショーンたちの交流が面白おかしく描かれる。

ショーンもの初のSF映画のふれこみだけど、ノリはこれまで通り。

SF映画の傑作を、いくつも思い出させるようなとこを盛り込みながらも、

あくまで本作はショーンたちの、さわやかでキズナある、そしてユーモアあふれる映画になっている。

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「E.T.」(1982年製作・アメリカ)の絆、

「2001年宇宙の旅」(1969年・アメリカ)の謎めき、

「未知との遭遇」(1977年・アメリカ)の冒険、

そして、宇宙人を探して何かしようとする者たちと、ショーンたちのフレキシブルな対決など、

基本はコミカルに紡がれて最後まで魅せる。

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何はともあれ。一番の妙味は、サイレント映画ノリであるということだろう。

しかも分かりやすさ。言葉の分からない、小さなコドモにでも分かるノリ。

そおゆう映画は、ボクの経験上、実はあまりないのだ。

その意味でも、本作は画期的だと思う。

老若男女誰にでも分かり映画も楽しめる映画は、さほど多くない。

ディズニーがあるじゃないかと、言われる方がいるかもしれないが、

も、ためされたこともあるだろうけど、どうだろうか。

ボクは本作こそ、5歳以下のコドモを連れて映画館へ行った場合に、

コドモたちが最後まで、おとなしく見れる映画の見本だと思う。

一度、試してみてください。


「少女は夜明けに夢をみる」⇒イラン・ドキュ映画

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イランの少女たちを描いた、群像ドキュメンタリー

更正施設もの映画の問題作

12月14日の土曜日から、第七藝術劇場にて、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作のイラン映画76分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒOskouel Film Production

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更正施設に収容された、イランの少女たちを描いた、群像ドキュメンタリー。

7年もの歳月をかけて撮り上げた労作だが、

世界三大映画祭のベルリン国際映画祭で受賞したりと、

評論家筋においても、評価の高い作品だ。

ティーンエイジャーの少女たちを集めた、精神病院群像ドラマ

「17歳のカルテ」(1999年製作・アメリカ映画)のような、見ごたえがあるドキュになった。
 

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いろんなイランの少女たちが登場する。

家出してきた、最初は集団に溶け込めない少女。

15歳でコドモを産んだ17歳の少女。

名無しの少女、妊娠中の少女、父を殺した少女、死にたいと言う少女などなど。

彼女たちへのインタビューや、会話などを丹念に織り込みつつ、

少女たちのキモチを映し出してゆく。

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人形使いのイベントを楽しんだり、

ある少女の赤ん坊を、みんなでかわいがったりと、

少女たちの素直なキモチや喜びも、過不足なく捉えられた。

そして、両親や兄妹たちが迎えに来て、再会するシーンを、

ある意味でドラマティックに捉えてゆく。

群像ドキュメンタリーのお手本的な快作だ。

ピアノやチェロなどの、サントラもうまく使われていた。

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イラン映画は、1990年代以降、故アッバス・キアロスタミ監督作品を始め、日本にいろいろ上陸していたし、

その仕上がり具合も総じて悪くなく、傑作が多かった。

21世紀になって以降も、イラン映画の傑作は作られ、本邦公開されてきたが、最近はちょっとご無沙汰とゆうカンジだった。

そんな折に、本作が登場したのだ。

何はともあれ、イランの現状をシビアに、捉えた作品だと言える。

おすすめだす。

2019年12月11日 (水)

「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」

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1人だけで作った手作りの宮殿

途方もない現実の物語

12月13日のフライデーから、KADOKAWAの配給により、YEBISU GARDEN CINEMA、角川シネマ有楽町、

シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸ほかで全国順次の公開。

本作は、2018年製作のフランス映画105分。

ⓒ2017 Fechner Films-Fechner BE-SND-Groupe M6-FINACCURATE-Auvergne-Rhone-Alpes Cinema

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1873年から1916年までの実話物語。

1人のしがない郵便局員が、

1人だけで手作りの宮殿を作ろうとして、

苦節何十年、それを実現させたお話の映画化だ。

本作を見る前にはボクは、

アマゾンのジャングルに、オペラの上演ホールを造ろうとした男の話

「フィツカラルド」(1982年製作・西ドイツ映画)的な映画なのかと思ったけど、

見るとかなりと違っていた。

「フィツカラルド」の男は、孤独でジコチューにしてエキセントリックだったけど、

本作の主人公(ジャック・ガンブラン)は、とことん職人肌のナイーブでおとなしい男で、熱血肌じゃない。

さらに、彼には家族がいる。

深きキズナがある。

死ぬ最期まで、彼を見守りサポートする妻(レティシア・カスタ)との出会いこそ、

彼が手作りの宮殿を、完成できたゆえんである。

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結婚、出産といった、女にとっても重要なポイントが、

男の人生を大きく輝かせてゆくのだ。

ソクラテスの妻も悪くはないけど、妻がもしそんな妻だったら、

この主人公はライフワークを、完璧なカタチで達成できなかっただろう。

まずは、妻との出会いと生活模様が、淡々と描かれていく。

そして、2人の間に女の子が誕生する。

最初は主人公は、赤ん坊の守りに戸惑いを覚える。

でも、やがてはうまくやるようになり…、

そんな描写も、ほほえましく見られるようになっている。

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やがて女の子は成長し、主人公の宮殿作りに、ずっと立ち会ってるような状態へ。

主人公は、娘のために宮殿を建てる方向へといくのだ。

妻子だけじゃない。父娘の絆も紡がれていく。

しかし…。

人生のターニングポイントは、ある日突然のようにやってきて…。

主人公が失意を超えて、それでも宮殿を完成させる流れは、

本作を大いなる感動篇にしているのだ。

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目に優しくココロを癒やす、美しい自然風景が何度も映されていく。

19世紀なら、そんな自然美はいっぱいあっただろうが、

映画が撮られているのは21世紀の今である。

CGを駆使せずとも、今でもそんな風景があるのだ。

本作は久々に、ドラマ映画の中にある自然美に酔った。

単なる自然美じゃなく、ドラマとリンクしてるカンジも良かったと思う。

鑑賞後、心地よくなる映画として、おすすめしたい。


2019年12月 8日 (日)

「屍人荘の殺人」⇒日曜邦画劇場

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クローズド・サークル・ミステリーの新境地だ

ホームズ&ワトソン役は、神木隆之介と浜辺美波だ

12月13日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019「屍人荘の殺人」製作委員会

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クローズド・サークル・ミステリーとは何か。

クローズド=閉じられた、サークル=場所。

そこにいてる人間たちの中で、大たいにおいて連続殺人が起こり、

一体誰が犯人やねんとなる、ミステリーである。

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孤島、台風災害なので閉ざされた山荘等。

つまり、何人かが閉じ込められた中において、

そこで殺人事件が起こるとゆう流れである。

そして、そこには事件を追及すべくな、探偵役と助手がいるとゆうのが、

いわゆるオーソドックスな展開である。

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ホームズ&ワトソンといえば、探偵と助手とゆう役柄のルーツだ。

でもって、今回の作品に当てはめてみるとだね、

当初は中村倫也と神木隆之介だったんだけど、

イロイロあってだね、浜辺美波チャンと神木クンになってまうんだよな。

しかも、美波チャンがホームズで、神木クンがワトソンなんだよな。

どないなっとんねんやけど、まあ、まあ、映画をば見てくだされば分かります。

中村倫也は、被害におうてまうんだす。

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さて、クローズド・サークル・ミステリーの嚆矢的作品と言えば、

何度か映画化されている、アガサ・クリスティ原作の「そして誰もいなくなった」が、必ず俎上に上がる。

孤島で人が次々に殺されて、遂には誰もいなくなった。あり得ない話だ。

しかし、それを論理的に解決する妙味は、本格ミステリーの粋を示す大傑作であった。

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本作も、メッチャものすごいあり得ないところがあって、謎解きの凄みを示していく。

弊ブログで、11月~12月に分析した映画の中に、この映画の謎解きのキモがあるけど、

原作小説を読んでいる人には、そのあたりは全く関係ないであろう。

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いずれにしても、重厚な犯人探しのミステリーじゃない。

コミカルで軽い。

それは、探偵役の美波チャンの、コミカル度合いによるものだろうか。

神木クンは、美波チャンに終始押されちゃってるからね。

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異人種やら怪物やらを入れて、クローズド・サークルするとゆうのは、

何やらいくらでも、できそうな気がするかもしれない。

本作のようなヤツでなくても、エイリアンとか吸血鬼とかさ。

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それでも、やはり科学的な根拠は必要になる。

そこのところは、小説では説明されていたけど、映画ではどうなのか。

さてはて、映画から発生した怪物だけに、許されるのだろうか。

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とはいえ、本作の原作は、間違いなくこれまでのミステリー小説を、震撼させるようなスゴイ作品だった。

その作品のスゴサが、キチンと映画化されたかとなると、少々不安もある。

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だが、コミカルなとこがあるとはいえ、本作は美波チャンのキャラ込みで、ミステリー的面白さにあふれていた。

邦画の本格ミステリーの映画化作品の中の、歴代ベストテン級にはなっていたとは思うぞ。

劇場へ行って確認してみようで。

2019年12月 6日 (金)

「午前0時、キスしに来てよ」⇒週末日本映画劇場

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スターとフツーの高校生のラブストーリーだ

「EXILE TRIBE」の片寄涼太と橋本環奈のラブ

12月6日の金曜日から、松竹の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019映画「午前0時、キスしに来てよ」製作委員会

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スター俳優とフツーの女子高校生の、ラブストーリーとなれば、

思い出させる名作は、これがケッコーある。

いわゆる貧富の差じゃなく、知名度の格差。

記者と王女の「ローマの休日」(1953年製作・アメリカ映画・モノクロ)、娼婦と富豪の「プリティ・ウーマン」(1990年・アメリカ)、

女優と書店員の「ノッティングヒルの恋人」(1999年・アメリカ)などに加え、

今や映像としては存在しないけど、映画創生期には、

王と女奴隷の恋「ファラオの恋」(1921年・ドイツ・モノクロ・サイレント)などの、究極の格差愛映画があった。
 

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例として掲げたのは、全て洋画だけど、格差愛は日本映画でもこれまでに、イロイロと作られてきた。

スターとフツーの一般人との恋物語とゆうのは、

ある意味で分かりやすい格差恋愛だと思う。

しかし、ともすると、ムムーンと首を傾げて、うなるようなものもあるけど、

本作は、あくまで許容範囲にあるだろうか。

しかし、ラブ・コメディ仕様である点は、

やはりこおゆうドラマは、シリアス・ドラマには似合わない。

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但し、ラブコメ好きの方には、間違いなく面白くて楽しめるのは保障できる。

橋本環奈が、
アイドル演技的にも、好感度的にも、素晴らしくいい演技を見せている。

この種のラブストーリーでは、「かぐや様は告らせたい」(2019年・弊ブログ分析済み)に続くが、

どちらもラブコメ演技の基準値を、大幅に超える好感演技を見せているのだ。

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むしろ彼女と対する、恋のお相手役の「EXILE TRIBE」の片寄涼太の方が、

プレッシャーがかかるんじゃないかと思ったけど、

しかし、自然体のさわやか演技を貫いて、最後の最後まで、首をひねるようなところはなかった。

無難だけどOKだ。

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鎌倉ロケーション映画である。

鎌倉ロケ映画は、これまでに20本くらい見てるけど、

鎌倉鎌倉を感じさせない撮り方が、妙に良かったと思う。

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ラストロールで流れくる、映画主題歌は、「GENERATIONS from EXILE TRIBE」による、「One in a Million -奇跡の夜に-」。

そのスロー・バラードの癒し系には、グッと胸に染みた。

本作のシメにふさわしいかはともかく、

映画も音楽も、メッチャ楽しめるラブコメ娯楽作品だった。


「一粒の麦 荻野吟子の生涯」

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日本初の女医者役を、若村麻由美ネーさんが演じる

山田火砂子監督の、知られざる偉人映画シリーズ

12月6日の金曜日から、テアトル梅田ほかで全国順次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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実在した人の話の映画化は、無論ものすごい数のタイトル数がある。

みんながよく知ってる偉人やセレブなら、ヒットするんだけど、

本作のように、ほとんど知られていない人の場合の映画化となれば、どうだろうか。

しかし、本作の山田
火砂子監督は、そおゆう知られざる偉人を、好んで映画化してきた。

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弊ブログでは、彼女が監督した何作かを紹介してきたけど、

小林多喜二とゆう小説家を描くにしても、その母の生き方を描いたり、

留岡幸助とか山本慈昭とか高江常男とか石井十次とか、

みんな1人でも知っているかい? 

まあ、分からんわな。

それでも、彼女はしつこく、そんなみんなに知られていない人たちの、物語を撮るのであった。

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男の人が多いけど、女の人もきちんと誠実に描いてはります。

常盤貴子もそうやったけど、その撮り方にこたえるように、生真面目な演技で応えてくれていまっせ。

そして、本作は日本初の女医・荻野吟子役を、

若村麻由美のネーさんが、好感度あふれるカンジで演じ抜かはりました。

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1990年に映画デビューした若村麻由美ネーさんは、

吉永小百合と比較しても、決して見劣らない美人女優だ。

ボクが初めて彼女を映画で見た「月光の夏」(1993年製作)では、その凛としたたたずまいに魅せられた。

でもって、ボクが彼女の最高傑作だと見る「金融腐蝕列島・呪縛」(1999年)では、

その男勝りのストレートさに、完全にヤラれてしもた。

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本作も、彼女の柔軟な演技性が示されている。

年下の夫役の山本耕史が、あまりにも優しい役柄なんで、

それと比べて見てしまうと、なぜか彼女の柔軟性が際立つようになっている。

これは特異な夫婦を描く点においての、演出の妙味であろうか。

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柄本明、佐野史郎、賀来千香子ら、

ベテランの脇役陣の、演技も見逃せない。

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この種の映画は、あくまで主人公やヒロインが、いい人とゆうカタチで描かれていて、あまり毒がない。

しかし、NHKの朝ドラがそうであるように、

良い面・重要なところを、キズナをもって描くとゆう、

マニュアル通りながらも、スムーズなオーソドックスさが、

安心して見れると同時に、安らいだ気分を運んでくるんだと思う。

そおゆう安らぎを、感じてほしい作品だ。

2019年12月 5日 (木)

「“隠れビッチ”やってました。」

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男をもてあそぶ、女ヒロインの物語

それでも、運命の恋は訪れるのか?

12月6日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019「“隠れビッチ”やってました」フィルムパートナーズ/光文社

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変なジコチュウなこだわりのある女の、ヒロイン映画にして、変型ラブストーリー。

男たちをミツマタヨツマタかけて、セックス抜きに「スキ!」と言わせ、チヤホヤされたい女。

「ビッチ」って称される女の行為なんだが、男にしても女にしても、決して共感を呼べないだろう行為だ。

確かに、ボクの学生時代にも、「ミスブランニューデイ」的な八方美人はいたけど、

そんなことをして、本作のヒロインのように、勝ち誇り喜んでいるような女子は、いなかったと思うんだよな

そんな女を描いても、オモロないのは確かだけど、

その女が運命のホントの恋をした時に、一体どないなるのか、

そこんとこを追求してみたのが、本作なのである。

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おかしな女の子を描いた映画は、これまでにも、それなりにあった。

「アメリ」(2001年製作・フランス映画)なんかは、好感度の高いヒロインだったけど、

では、本作の場合はどうか。

でも憎めない。

ヒロイン(佐久間由衣)は、そんな役をやりながらも、きちんと恋をするんだよな。

それを一方的に描けば、これまでのフツーのラブストーリーになってまうんで、

オモロないと、逆方向から入ってるんだけど、

でもしか、本作は非日常性が尊ばれるコミック原作とはいえ、

やっぱり女の子なんだもん!な、乙女ゴコロを衝く、映画になっているのであった。

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一緒に住むシェアハウスの2人(村上虹郎・大後寿々花)とのイロイロやらキズナやらに加え、

モチ運命の男(森山未來)との恋の行方など、

これまで出てきたラブストーリーのセオリーを、外さないような作りになっている。

上にあるベンチに座る2人を、背後からの1分以上の長回し撮影で捉えて、恋の行方を緊張感をもって見せたり、

ラストシーンのツーショットの長回しでは、逆にコミカルに撮ったりと、フレキシブルさにも好感があった。

ピアノ・バラードが流れるラストロール後にも、粋なカットがあって鑑賞後も、キモチいい余韻があるね。

心地いいデートムービーとして、彼女や彼と共に楽しめる作品だ。

2019年12月 4日 (水)

ロシア映画「私のちいさなお葬式」

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「八月の鯨」に匹敵する老女映画の傑作

ペーソス&ブラックユーモアな、年間ベストテン級作品

12月6日のフライデーから、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作のロシア映画100分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒooo≪KinoKlaster≫,2017r.

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老人を主人公・ヒロインに描いた映画は、いつも言うことで恐縮だが、多数のタイトル数がある。

かつてシニア映画のマイ・ベスト&カルト・スリーなんぞを、その種の映画の紹介に合わせて、数回にわたり披露したけど、

本作はそれらの映画とは、少しビミョーに相違するとこがある。

そのあたりを見ていこう。

老人となればすぐに思い出す「老人と海」(1958年製作・アメリカ映画)とか、

老人の元気系映画は、老人になっても頑張れるんだとゆうこともあって、若い人たちにも有名だけど、

モチ、弱者としての老人映画も、見逃してもらっては困るのである。

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君たち私たちはいずれ年をとり、人生の最後の着地点で、本作の老女ヒロインのような運命に出遭ってしまうのである。

それは病気であったり、息子たちとの確執であったりする。

本作のように、病気とゆうのが、確かに一番分かりやすい。

末期の病気で医者から余命いくばくかを、通知されたヒロインは、

自らの葬式に掛かる費用を計算し、生きているにも関わらず、葬式のいろんな段取りを生前にやろうとする。

唯一の肉親の息子は、仕事でいろいろと忙しいとゆう設定になっている。

だから、息子はそんなオカンの行状を知らずにいる。

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老女映画は、男の老人映画よりは少ない。

それでも、老女2人の「八月の鯨」(1987年・アメリカ)とゆう傑作が生まれた。

本作はそんな「八月の鯨」と、勝るとも劣らない仕上げを示している。

特に老女1人で、ペーソスやらを示すのは、本作が初めてとも取れるような作りなのだ。

かつての教え子が、食べてくれとくれた鯉を、一時冷蔵庫の冷凍室に入れてたけど、

その鯉が奇跡的に生きていたからといって、誰がペットとして飼おうなんて思うかね? 

まず、ない!

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ヒロイン老女がいかに優しくて、いかに弱々しくて、でも自然体であるかが、映し出されて、

アアッ、ウウーンと、唸れるのである。

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こおゆうヒロインを描いた映画は、ありそでなさそな映画だと思う。

ヒロインの好感度は、すこぶるメッチャ高い。

ソ連時代の映画を含めロシア映画で、こおゆう映画が輩出されたことに、

ボクには驚きがあった。

前向きに生きていこうな映画はありきたりだけど、

その種の映画と比べても、本作には際立った前向きがある。

そのあたりを、ぜひとも見てもらいたい。

キネマ旬報の2019年年間ベストテン予想でも入れたので、

マイ・ベストテンには、間違いなく入る傑作だ。


2019年12月 3日 (火)

「ゴーストマスター」⇒三浦貴大・成海璃子共演

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映画メイキング映画のホラー映画版だ

監督役・三浦貴大と、女優役・成海璃子の対決

12月6日の金曜日から、新宿シネマカリテ、なんばパークスシネマほか、全国順次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019「ゴーストマスター」製作委員会

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ユニークな映画メイキング映画が登場!

そのユニークさを記述する前に、日本映画の映画メイキング映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリーを、各順不同にて披露してみよう

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●ベスト⇒①キネマの天地(1986年製作)②桐島、部活やめるってよ。(2011年)③蒲田行進曲(1982年)

●カルト⇒①本作②カメラを止めるな(2018年)③地獄でなぜ悪い(2015年・弊ブログ分析済み)

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●洋画では「映画に愛をこめて~アメリカの夜」(1973年・フランス&イタリア)や「8 1/2」(1963年・イタリア・モノクロ)など、

ユーロの映画史に残る映画監督の、映画作家性を示したアート系映画があるけど、

邦画の場合はアートというより、エンタ系で機能する映画が多い。

そして、その作りは、撮影現場を描くとはいえ多彩だ。

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戦前の松竹蒲田撮影所を、バックにしたベスト①、

最後までメイキングだとは分からないベスト③など、

松竹系映画は娯楽に徹していてオモロイけども、

学園ドラマに八ミリ映画撮影を加えたベスト②とか、

映画メイキング映画に、スリルやサスペンスを求めるならば、

カルトの①②③は、同等に面白い。

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カルト③はヤクザ映画メイキングだったけど、

他の3作は、ゾンビ映画の大ヒットしたカルト②、同じくホラーのベスト②、

そして、本作は悪霊ホラー映画だ。

しかも、学園純愛ラブストーリーを撮っていた現場(写真上から3枚目)が、

悪霊の出現で、ホラー映画の現場(写真上から4枚目)へと変わっていくとゆう、

撮影時に異変が生じて、現場が様変わりする、

メッチャ新しくて、ユニークな映画となった。

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「ボクキョー」なんて略称された、「僕は今日、天使の君が舞い降りた」ナンチュー、

コミック原作の学園ラブストーリーが、とある廃校で撮影されていたけど、

監督や演技陣のわがままにより、いったん撮影は途絶えた。

そこへ、悪霊が主演男優に取り憑いて、現場はメッチャな状態へ。

そのどさくさに紛れて、助監督の三浦貴大は、

「悪魔のいけにえ」(1974年・アメリカ)「スペース・バンパイア」(1985年・アメリカ)で有名な、

ホラー監督トビー・フーパーに影響を受けた、自身の台本「ゴーストマスター」を、

無理やり映画化しようとするのであった。

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そんなトビー・フーパー監督始め、黒沢明とゆう名の役柄の三浦貴大、クエンティン・タランティーノ監督への敬意など、

映画監督へのオマージュも、ブラック・コメな感覚でインサートされている。

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監督役・三浦貴大と、主演女優役・成海璃子の、対決とゆうか、

コラボレートが、本作のクライマックスにして結末となっている。

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「カメラの前に立つ人生か、スクリーンの前に座る人生か、おまえが決めろ」とか、

「君は映画に愛されてる」とか、映画俳優女優魂なセリフがあるし、

映画愛がアイロニカルに込められて、いわゆるマットーな映画愛に着地しない作りも、ユニークでオモロかった。

2019年12月 1日 (日)

「ルパン三世 THE FIRST」⇒日曜邦画劇場

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あのルパン三世が3Dになった

{広瀬すず}らが新たに声で参加

12月6日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒモンキーパンチ/2019映画「ルパン三世」製作委員会

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宮崎駿監督の映画監督デビュー作は、みんな知ってるよね。

「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年製作)だ。

その後、「ルパン三世」映画版は、シリーズ化されて作られてきたが、23年前にシリーズは止まった。

21世紀に入ってからのその後は、映画実写版や、名探偵コナンとの対決版とかが作られた。

そして、今年、3Dになって「ルパン三世」は、蘇えるのであった。
 

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監督は山崎貴。

ミレニアムに監督デビューした山﨑貴は、日本映画21世紀の監督として、

CGを駆使しながら、これまでに21世紀的ケッサク・ヒット作を、次々に作ってきた。

そのポイントは21世紀的再生である。

1950年代を再現した「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年製作)、

「ルパン三世」と同時期に出た「宇宙戦艦ヤマト」の、実写版「SPACE BATTLES SHIP ヤマト」(2010年・弊ブログ分析済み)、

ドラえもんシリーズに、21世紀的を付加した「STAND BY ME ドラえもん」(2014年・弊ブログ分析済み)…。

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でもって、今年。

太平洋戦争映画の、21世紀的ビビッドな再現「アルキメデスの大戦」(ブログ分析済み)、

20世紀のゲーム・アニメの再現「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」(ブログ分析済み)、

本作と、3作も撮り上げたのである。

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「ルパン三世」オールド・ファンへ、アピールするだけじゃない。

新たにファンになる方へも、遡及するような作りが施された。

モチ、お馴染みのキャラクターが活躍する。

オリジナル声優による、ルパン三世、次元大介、石川五ェ門、峰不二子、銭形警部らの登場は、

オールド・ファンには、こたえられないだろう。

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ヤング層へ告ぐ。

今をときめくアイドル、広瀬すずチャンが、

ルパンと敵対しながらも、やがて同じ目的をもって、共に活躍するとゆう、

ルパン三世と対等のヒロイン・キャラ「レティシア」の、

声優としてキャスティングされた。

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さらに、悪役側として、ランベール博士(声:吉田鋼太郎)、

ナチの残党ゲラルト(声:藤原竜也)らが登場。

最後の最後まで、戦いの行方は分からない、悪役ぶりを披露する。

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オリジナル版で使われたサントラは、そのまま使われているが、

やはり、オールド・ファンだけじゃなく、今の若者にも、何やら懐かしく響くはずだ。

大野雄二のファンキーなテーマ・ソング、ラストロールで流れる、フィメール歌謡曲など。

さて、本作のシリーズ化はあるだろうか。

いや、間違いなくあるだろう。

次があるような終わり方をしてるからね。

とゆうことで、楽しみにしておこう。

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