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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年10月16日 (水)

「エセルとアーネスト ふたりの物語」

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渋く深く胸にクル、年間ベストテン級の、夫婦アニメの傑作だ

ディズニーやジブリにはない見ごたえとは?

10月11日からシネ・リーブル梅田で上映中。10月26日から京都シネマほかで全国順次の公開。

本作は、2016年製作の、イギリス・ルクセンブルク合作の94分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒETHEL & ERnEST PRODUCTIONS LIMITED. MELUSiNE PRODUCTIONS S.A., THE BRITISH FILM INSTITUTE AND FfiLM CyMRU WALES CBC 2016
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ブリティッシュ・アニメとなれば、みなさんのイメージはどうだろうか。

アメリカのディズニー・アニメや、日本のスタジオジブリ・アニメは、世界で大ブレイクしてるわけだけど、

アニメのイメージがほとんどない国からは、時おり、ディズニーやジブリでは描かれない、意表を衝いた、本作のような傑作が登場してくる。

実写で描いてもおかしくない、夫妻の物語を、あえてアニメで描出。

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「スノーマン」で有名な、絵本作家レイモンド・ブリッグスの、両親の思い出を描いた絵本が原作で、その世界観を表現するためには、アニメが最適だったのだろう。

ロンドンを舞台に、1928年から第二次世界大戦を経て、1971年まで、時代背景を新聞とテレビで示したりしながら、また、生活用品の流れなども披露しながら、

夫妻の出会いから、結婚・出産・子育て・子供の独立・夫妻の老後・それぞれの死までを描く、いわば夫妻ドラマの大河系なのだ。
でも、大河っぽい大仰さはなし。

ごくフツーの夫妻の生活が、淡々と描かれるのだ。

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ヒトラー、子供だけ疎開、ロンドン空襲、チャーチル首相、戦勝祝い、朝鮮戦争、アポロの月面着陸など、時代のキーワードをちりばめつつ、

ありきたりな夫妻のドラマ、家族のドラマへと集中していく作りは、ドラマティックやら派手やらのアニメティックを外して、渋く胸にクル。

ディズニーやジブリにはない、フツーこそ素晴らしい、ワビサビなるものがあるのだ。

ディズニーのように、動物も出てくる。

しかし、ネコがずっといる生活風景は、あくまで家族に寄り添う脇役・象徴としてのネコである。

そういうところも、なんかいいんだよな~。

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原色系のディズニー・ジブリとは違う、手書きによる薄色配色も目に優しい。

夫妻の声を担当したのは、共に熟年名優の、ブレンダ・ブレッシンとジム・ブロードベント。

「秘密と嘘」(1996年・イギリス)の、
迷えるオカン役の気弱なノリが、声に移ったブレンダ。

本作では、アルツハイマーの妻をいたわる「アイリス」(2001年・イギリス)の、夫役のノリも声から聞こえるジム。

共に、2人の代表作を思い出すような、声の演技ぶり・トーンが良かったと思う。

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ラストロールで流れる、ポール・マッカートニーの、この映画のために書き下ろしたバラード「In The Blink Of An Eye」が、メチャメチャ感動的で美しい。

さらに、その直後には、ポールの父、ジェームズ・マッカートニーのビッグバンド・ジャズ・ナンバーが流れくる。

最後の最後まで、ホンマ、渋~く余韻深~く、ココロに染みたがな。

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