無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

  • ">

« 「ニッポニアニッポン フクシマ狂詩曲(ラプソディ)」 | トップページ | 「蜜蜂と遠雷」⇒究極のピアノ・コンテスト映画 »

2019年10月 4日 (金)

問題作「ジョーカー」⇒どこが問題なんだ?

1_20191003012701
「タクシードライバー」とシンクロナイズ
 
「バットマン」と争う、悪役「ジョーカー」の誕生秘話だ
 
10月4日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、日米同時公開。

本作は2019年製作の、アメリカ映画122分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019 Warner Bros.Ent. All Right Reserved TM &ⓒDC Comics

Photo_20191003013501

「バットマン」と対決する、アメコミを代表する悪役「ジョーカー」が、どのように誕生したのかを捉えた作品。

いわゆる、「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーの作り方のような、さかのぼり系のドラマである。

しかも、映画オリジナルとして作られた点は、特筆すべきところだろう。

母との2人暮らしで、コメディアンを目指していたジョーカー(ホアキン・フェニックス)は、

バイト先ではピエロの格好をし、次第にピエロ姿が日常生活でも板に着く。

そして、発作的に笑ってしまう、奇妙なビョーキがあった。

4_20191003013601

この発作的笑いは、冒頭の方で、セラピストとの対面の長回し撮影で、異常な癖として披露されるが、

このビョーキのおかげで、コメディアンとしての腕を上げていくのだ。
 
一方で、そんな笑いが災いを誘発する場合もある。

悪役への道が、自らが進まなくとも、敷かれたレールのように、ブラックユーモアチックに開かれてゆく。

大ヒットし、続編も公開されるホラー映画「IT」などは、ピエロが悪役だったが、本作の「ジョーカー」からの影響は大きい。

また、本作では、ジョーカーがピエロチックなチャップリンの、モノクロ・サイレント映画を見るシーンがあるが、

これもまた、彼のキャラクター付けにフックを与えていた。

2_20191003013701

さて、本作では、ジョーカーが憧れる、テレビのトーク番組の司会者役に、ロバート・デ・ニーロを起用した。

これはドラマ的・キャラ的に、計算された起用である。

なぜなら、ジョーカーのキャラ設定が、デ・ニーロの代表傑作「タクシードライバー」(1976年)の、主人公役トラヴィスに、オーバーラップするからだ。

その名作の孤独とゆうキー・ワードはもちろんだが、

拳銃を手に入れる経緯に加え、作品を象徴するところとなった、

拳銃をこめかみに当てプシュッと、デ・ニーロがツイートするシークエンスが、本作でも引用として使われている。

3_20191003013701

銃乱射事件が頻発する全米では、本作は公開前から、かなり問題視されていたが、

確かに銃撃・銃殺シーンはあるけども、決して危ない映画じゃないとボクは思う。

ジョーカーが悪に染まっていく、いわゆるアウトローの作り方を描いた映画だ。

コメディアンと殺人鬼。その段差についても、説得力ある描かれ方・演出・演技が施されている。

傑出したアウトローの、ヒューマン・ドラマとして、見てもらいたい作品だ。

« 「ニッポニアニッポン フクシマ狂詩曲(ラプソディ)」 | トップページ | 「蜜蜂と遠雷」⇒究極のピアノ・コンテスト映画 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 「ニッポニアニッポン フクシマ狂詩曲(ラプソディ)」 | トップページ | 「蜜蜂と遠雷」⇒究極のピアノ・コンテスト映画 »