無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

  • ">

« 「愛の小さな歴史」誰でもない恋人たちの風景vol.1 | トップページ | タイ映画「ホームステイ ボクと僕の100日間」 »

2019年10月19日 (土)

「楽園」⇒綾野剛・杉咲花共演

1_20191017231901
Photo_20191021182001
これまでにない、謎が深いミステリー映画だ
 
一体、誰が犯人なのか? 

10月18日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、日本映画129分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019「楽園」製作委員会


5_20191017233301

本作は、どちらかと言えば、ミステリー映画である。

しかし、フツーのミステリーやサスペンスとは、趣きや作りを大いに異にしている。

テレビの2時間ドラマや、犯人探し・犯人当てのミステリーなどに、ハマっている人には、

その異彩な作りに、むしろ驚きを隠せないのではなかろうか。

人間の心の闇、あるいは、不確かな側面を捉えようとするが、

しかし…という映画だ。

7_20191017233301

芥川賞作家・吉田修一の小説を原作に、瀬々敬久監督が撮り上げた。

「パレード」「悪人」「怒り」など、吉田修一原作映画には、確かに殺人事件が起こり、刑事が捜査に乗り出す場合もある。

でも、芥川賞作家だけに、あくまで文学であり、人間を描いている。

ミステリー的に見えながら、しかし、あくまで人間の心理に、食い込む作りをしているのだ。

ただ、犯罪者の屈折した心理だけではない。

犯罪者の周囲にいる人たちの心理を含め、複雑系を謎めきを入れつつも、巧妙に描き出す。

4_20191017233401

ミステリー系の映画では、「64-ロクヨン-」や「友罪」などの、傑作をものした瀬々敬久監督。

「64」「友罪」共に、加害者・被害者・事件関係者の、心理に肉迫していた。
 
本作もまた、そのビミョーなところの演出ぶりが、巧緻を極めている。

それに応える演技陣の層も厚い。


日本の片田舎で母と共に生きる、韓国人の青年役に綾野剛。

日本に馴染めない、あやふやな演技は、いつもの綾野剛じゃない。

村八分になる被害者ぶりを、やるせなく悲劇的に演じる佐藤浩市。

「64」とは違って、こっちの方が佐藤浩市らしさがある。

で、杉咲花。

少女時代に友達が謎の失踪をし、それが大人になってまでも、心にまとわりつく事件となる。

彼女は戸惑いながらも、事件を探るとゆうか辿るとゆう、アイマイ(曖昧)ミーでファジーな、探偵サイドな役柄を演じる。

3_20191017233601

刑事役がいなければ、探偵役をあえてのように作りだす、この種のドラマにおいては、

杉咲花のキャラクターは、かなり特殊なものだ。
 
そのあたりを、彼女は臆することなく、ストレートに演じ抜いていたのには、好感を覚えた。

6_20191017233601

さて、最後に…。

映画とは関係のない、ボク個人の想いを伝えます。

本作の舞台は特定されていないけど、長野県ロケーション映画です。

美しい田園風景やお祭りシーンなど、本作はあくまでミステリーなので、地方の風景描写が、ドラマの行方を左右する重要なキーになっています。

一方において、本作公開前に、重大な自然災害が発生しました。

映画と現実の事件は無関係だとはいえ、また本作は、台風19号が来るずっと以前の、ロケではありますが、

千曲川が決壊し、他の都県でも多数の犠牲者が出た、今回の惨事には、つつしんでご冥福をお祈り申しあげます。

« 「愛の小さな歴史」誰でもない恋人たちの風景vol.1 | トップページ | タイ映画「ホームステイ ボクと僕の100日間」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 「愛の小さな歴史」誰でもない恋人たちの風景vol.1 | トップページ | タイ映画「ホームステイ ボクと僕の100日間」 »