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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年10月 8日 (火)

「蜜蜂と遠雷」⇒究極のピアノ・コンテスト映画

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コンテストに懸ける、ピアニスト4人の物語

松岡茉優・松坂桃李ら、W松の演技に注目!

10月4日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会

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ラブストーリーやら、家族ドラマやら、その片鱗が少しはあるにしても、コンテストに完全特化したピアニスト4人の映画である。

オーディション・ミュージカルだった「コーラスライン」(1985年製作・アメリカ)と同様に、

4人の緻密な演奏、それを冷静に審査する審査員がいてとゆう、

究極にして完全なるコンテスト映画なのである。

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直木賞を受賞した、恩田陸の小説「蜜蜂と遠雷」が原作になっている。

系譜分析紹介的には、直木賞映画化作品とか、ピアニスト映画とか、そのままのコンテスト映画とか、イロイロ分析できるにしても、

本作はカテゴライズされない、
特殊性のある映画だった。

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原作は各ピアニストの演奏における心理を、事細かに描いていたが、

それを映像で示すとなると、演奏を見せるだけでなく、いろんなシーンを組み合わせる必要があるだろう。

しかし、本作の演奏シーンは、ほとんどが演奏に徹した作りで、各人が実際に演奏していなくとも、その演奏パフォーマンスが、大いなる見どころとなっているのだ。

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ピアニストが登場する日本映画としては、「のだめカンタービレ 最終楽章」(2009年・2010年・弊ブログ分析済み)のようなコミカルは全くなく、

「さよならドビュッシー」(2010年)のミステリアスもなく、

「砂の器」(1974年)の、映画的泣かせるドラマティックもない。

一次予選課題曲なしの自由選択、二次予選は課題曲、そして、最終選考がオーケストラとのピアノ協奏曲。

全てがシビアに演奏され、シビアにジャッジされる。

その積み重ねには、時に、息を飲むほどのスリルがあった。

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4人4様のピアニストぶりが、相対的に描かれる。

死んだ母との想いを胸にする、どこか不安定なカンジの松岡茉優。

生活と音楽を目指す、妻子3人家族夫役の松坂桃李。

松岡茉優と幼い頃にピアノを学んだ、本格派のピアニストの森崎ウィン。

対して、自己鍛錬でピアノに目覚めた、新人の鈴鹿央士。

それぞれのキャラクターが、見事なカルテット演技を、奏でる作りになっている。

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対して、審査側のキャラも、重みと威厳がある。

これまでは、ちゃらんぽらんな演技が多かった、斉藤由貴が、オオマジに審査役に関わる。

また、料理の鉄人ばりに、無表情のクールを見せる、鹿賀丈史の演技も見逃せないところ。

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会話における、間合いの使い方など、音楽映画ながら、静かな演出具合にも意表をつかされた。

ミステリー群像劇「愚行録」(2017年・弊ブログ分析済み)で魅せた石川慶監督の、出演者それぞれのキャラ立ち演出ぶりも光る快作だ。

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