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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年10月の記事

2019年10月30日 (水)

「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」

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怖いホラーのイメージを変えた作品だ
 
7人7様のホラーイズムが展開

11月1日のフライデーから、全国ロードショー。

本作は2019年製作のアメリカ映画169分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND PATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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「IT “それ”が見えたら、終わり。」(2017年製作・弊ブログ分析済み)の、続編にして完結。

前編は、7人のコドモ時代の、怖~い話が展開した。

怖い「IT」に対し、7人が共同戦線を張り生き延びた。

あれから27年後。

そのITが再活動を始めたらしく、故郷の田舎町でコドモたちが失踪する。

そして、大人になってバラバラになった7人が、約束通り故郷に帰ってくるが、

再会した時には既に1人が、ITの魔手に遭って死んでいた。

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本作は、スティーヴン・キングの原作ホラーだが、

コドモの頃の約束が、ポイントになっているので、ホラー版「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)などと言われているらしい。

確かに大人になって再会し、会食するシーン(写真上)などは、何やら和みとキズナがあるようだ。

しかし、その場に突然のように、ITないろんな化け物が現れるのだ。

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それらはほとんどが幻影・幻想なんだけど、

6人6様の少年時代のトラウマをベースに、大人になった今、各人の6パターンの怖がり度ポイントを見せてから、

さあ、みんなで一体どうするんだ、とゆう流れになっていく。

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怖さを売りにしたいところのホラー映画だが、ボク的には決して怖くなかった。

というより、観客を怖がらせるために、作られた映画ではないと思うのだ。

各人の怖がるホラーイズムを、観客は客観視できるし、

その6人が協力して、ホラーの根源のITに挑むのだが、あくまで自分の妄想との戦いであり、

そんな精神的な戦いを、化け物との戦いに仮託して、それを乗り越えたところに、意味を見いだせるし、自己変革もなんや知らんできる、

いわゆる、ヒューマン・ホラーとも言うべきものである。

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各人の怖がるシーンには、時にウーンと首をひねるとこもあるが、

それは各人各様の、個人的な想いが投影されているからだろうか。

ジェームズ・マカヴォイやジェシカ・チャスティンらの想いに、感情移入すればいいのだけれど、

彼や彼女にも謎めきがあるので、ある意味では、ミステリー・ドラマ的に見ていくこともできる作りになっている。

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洞窟の中だけに、ダーク・ブルー・トーンで展開する、クライマックスのITとの一大決戦は大きな見どころだ。

キングらしからぬと言うか、キングの新生面と言うべきか、

深層心理の底にいる化け物に、焦点を当てた革新的ホラー映画だった。

2019年10月29日 (火)

福山雅治主演「マチネの終わりに」

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福山クンのラブストーリーやなんて…

なんかメッチャおいおい、純情デレデレやん

11月1日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019 フジテレビジョン アミューズ 東宝 コルク

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福山クンのラブストーリーやなんて…と見出しに書きましたが、

福山雅治主演の恋愛映画
なんて、映画では初めてなんとちゃうん? 

これまでは理系の教授探偵役で、ミステリーに主演したり、息子への想いに悩むオトン役だったり、

イケメン・イメージとは相違し、ベタベタなラブとは無縁だった。

でも、ここに、堂々の、王道の恋愛映画の登場なのである。

福山クンにしてみれば、遅すぎた感のあるラブストーリー。

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それだけに、男女共に40代で独身やなんて、設定になってしもた。

セカンド・ラブな年齢やのに、この設定はどないやねんと、ツッコミ入れたくなるやろ。

まあ、芥川賞作家・平野啓一郎の、純文学な恋愛小説が原作なだけに、その心情の機微の演出・演技に、期待したいと試写に臨んだ。

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いやはや恐れ入ったわ。

福山クンは終始、真摯で紳士な立場を貫いていた。

ビックリだ。これはネタバレになるのかな。いや、ならない。

だって、恋愛の成否がネタになる、そんなタイプの映画やろ。

でもしか、まさかやけど、ネタバレかもしんないな~。

福山クンの、石田ゆり子へのストレートな想いが、

すれ違い恋愛や、福山クンを片想いする、別の女子の横恋慕によって、どうなるのかがポイントなんやから。

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その種のラブストーリーの展開や結末は、ある程度見えてしまうとこがあるし、

主人公がマットーであればあるほど、やっぱりそうだったかになってしまう。

それにしても、福山クン、あまりにも誠実過ぎやしないか。

好感度とかを気にするとこは、あるかもしれへんけど、もっとワルになってもええんとちゃうん。

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でも、スクープカメラマン役で、チョイワルぶりを披露したこともあったよね。

でも、恋愛映画でワルぶりを披露するのは、難役で演技の巧拙が試されるんやろか。

けど、福山クンの本作での演技は、女はどうか知らんけど、男のボクには好感があったで。

年を経れば、恋愛に関しては、チョイワルオヤジぶりはリアリティーがない。

ボクはそう思うし、そんな思いに沿ったような、福山クンの演技ぶり。

悪くないで。

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福山クンに惚れられる、石田ゆり子サイドもまた、そうなるやろな~とゆう展開ぶりなんで、

定番的恋愛ドラマの作りとはいえ、その流れに逆らわない、

よく言えば自然体、悪く言えば通俗的なフツーの演技に、

実は、ホッとするようなカンジだった。

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恋愛映画に王道はない、とゆうのが、ボクの持論でおます。

安直にハッピーエンドで終わる恋愛映画が、もし王道だとするなら、本作はさらなる王道を往く作品なんやないやろか。

王道やないけど、王道を往く映画なんて…。矛盾してるやん。

でも、エエ感じに仕上がってるラブストーリーやと、ボクはなんや知らん思いました。

2019年10月26日 (土)

「お嬢ちゃん」⇒週末日本映画劇場

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萩原みのりの魅力で、魅せるヒロイン映画だ

長回し撮影を多投する作りに妙味あり

10月26日の土曜日から、第七藝術劇場ほか、全国順次の公開。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒENBUゼミナール

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日本のインディーズ映画は、ATG映画以来、脈々と作られ続けている。

最近では、「カメラを止めるな!」(2018年製作)の大ヒットが生まれた。

その製作会社「ENBUゼミナール」が、作ってきた作品が本作だ。

映画メイキング映画の、オリジナリティーあふれる、スリリングを構築した「カメ止め」に対し、

本作では、どのような新味とオリジンを、見せてくれたのか。見ていこう。

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一言で言えば、ヒロイン映画の新味となるだろうか。

ヒロインを描くのに、その周辺やらヒロインとの人間関係をメインに、作り上げていくのだけど、

ストレートには、ヒロインにフォーカスしないような作りになっている。

周辺部にかなりの時間を割いている。

男たちのダベリ合い、女たちのタベリ合い。

男たちは女のこと、女たちは男のことが、今も昔も変わらずに、会話のメインにある。

全くもって、フツーだ。

でも、フツーである点が、むしろドラマ的に、功を奏することもある。

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長回し撮影が多いね。

1から2分くらいもたまにあるけど、4分、6~7分、8~10分などと、かなり長~い長回しが多投されていく。

長回しとゆうのは、計算された撮り方以外には、時に退屈を助長したりする。

相米慎二監督的な動的な長回しとは違って、時に、そこでドラマの流れが逼塞するようなとこも、なきにしもあらずだ。

見やすい乗りやすい、観客視点の撮り方は、確かに大事だけど、

しかし、テオ・アンゲロプロス監督のように、眠たくなるような長回しじゃない。

観客にこびるなんてことは、しなくてもいいんだけど、

そこんとこは何とか、一線を越えていなかったかと思う。

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ヒロイン映画だけに、どうあってもやはり、ヒロインに魅力があるのかどうかが、大きなポイントになるだろう。

ヒロイン役は、萩原みのりが演じた。

浜崎あゆみみたいな容姿。ええやん。

けども、本作の作りやテーマに合わせて、ぶっきら棒・不機嫌な演技ぶりで、演出・演技されている。

意図的とはいえ、そこに共感できるか、できないかが、本作を見た人の評価の、分かれ目になるのではないか。

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ポスターにもあるセリフだけど、「どいつも、こいつも、くだらない」。

そこに、「自分も含めて」と続く。

ヒロインの鬱屈ぶりはよく分かる。

そこからの脱却を計ろうと、実行する映画は多いし、見ていて好感を覚えることもある。

本作はどうだろうか。

見て判断してみて、ちゅうところだけど…。ウーン…。

ヒロインの生き方に、賛否を呼ぶだろう作品である。

2019年10月25日 (金)

インド映画「ロボット2.0」

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「ロボット」の続編が登場

スーパーヒーローアクション映画だ

10月25日のフライデーから、KADOKAWAの配給により、大阪ステーションシティシネマほか、全国ロードショー。

本作は、2018年製作のインド映画147分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2018 Lyca Productions. All rights reserved.

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インド映画の系譜やマイ・ベスト&カルトは、これまで分析してきたインド映画で、何度か披露してきた。

かつてはサタジット・ライ監督の、映画作家性の高い大河系のドラマとか、

3時間以上の長尺にわたるミュージカルとかが、インド映画のイメージを作っていた。

でも、ハリウッドがボリウッドと文字られて、インドは映画大国らしいが、インド映画が日本に恒常的に、上陸・公開されているわけじゃない。

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だが、インド映画のイメージを変えた、時代劇アクション「バーフバリ」(2017年・2018年製作・弊ブログ分析済み)の大ヒットが、もたらしたインパクトは大きかった。

インドでは、ハリウッド並みの大作が、日本未公開ながら、イロイロ作られているのだとゆうことも分かってきた。

本作もまた、そんな大作エンタな1本である。

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世界興収100億円を超えた、SFアクション作品「ロボット」(2010年)の第2弾。

インド映画国内では、「バーフバリ」に続く、第2位のヒットになっている。

インド映画史上最高の、製作費90億円が投下されただけに、その大作感は「バーフバリ」並みに強烈だ。

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みんな知ってるかどうかは分からんけど、インドのスーパースター、ラジニカーント主演作。

こんなミュージカルが、あったんだとゆう衝撃があった、ミュージカル大作「ムトゥ 踊るマハラジャ」(1995年)での主演から、

彼のカッコイイ演技と、アクションとダンスは始まった。

飛び去るスマホと、そんなスマホの集合体によって、できた巨大怪鳥(実はその魂は人間)と、ラジニカーント扮する博士の、分身たるロボットとの対決。

最終的には、この2人の対決シーンが、大いなる見どころとなり、クライマックスとなる。

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ハリウッドのアメコミ原作映画に、ある意味では物申す映画だと思う。

スーパーマンやスパイダーマンやアベンジャーズたちは、もっとアウトローであれ、ある種スタイリッシュだった。

けども、このラジニカーントがやってまうロボット「チッティ」は、ハチャメチャな造形ぶりで口をあんぐりして見るしかない逸材だ。

しかし、何はともあれ、その想像を絶する、規格外のトンデモおバカな対決ぶりを、堪能していただきたい。

ミュージカルが定番となったインド映画だが、アクション映画においても、ミュージカル部は恒常的に存在する。

本作では、ラストで、ヒップホップに乗った、ロボット・ダンスが披露される。

アクションドドーンの中で、それらのシーンは、インド映画らしさをかもして、何だかほほえましく思えた。

とゆうことで、理屈抜きに楽しく見られる映画だ。

2019年10月24日 (木)

ロシア映画「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」

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ロシアの戦争映画大作の登場だ

「スターリングラード」並みの臨場感あり!

10月25日のフライデーから、ツインの配給により、新宿バルト9、梅田ブルク7ほか、全国ロードショー。

本作は、2019年製作のロシア映画113分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒMars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

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第二次世界大戦の、ナチス・ドイツとの、連合国もしくは各国の戦争映画は、これまでに多数のタイトル数がある。

太平洋戦争ものも含めれば、戦争映画とは、第二次世界大戦を描く映画と言ってもいいくらい圧倒的だ。

本作はロシア産の戦争映画だ。

しかし、何度も作られた「戦争と平和」などの、戦争映画の傑作がある一方で、

ロシアとナチスのガチ戦争ものは、さほど多くはない。

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そんな中で本作は、スターリングラードの攻防戦を描いた2作、

狙撃手の1対1対決「スターリングラード」(2001年製作・アメリカ&ドイツ&イギリス&アイルランド合作)や、

戦争の模様を大々的に描いた「スターリングラード大攻防戦」(1972年・ソ連)などの、

戦場最前線ものに、匹敵するような傑作となった。
 

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いわゆるロシア戦争ものとしては珍しい、ナチスの捕虜になった、ソ連・ロシア兵たち4人のストーリーである。

アメリカ映画などでは、捕虜収容所ものは多数作られてきたが、ロシア映画ではヒジョーに珍しい。

しかも、収容所ものとは違い、捕虜として捕まっているイメージは少なく、

さらにナチス側には、スパイじゃないけど、ロシア側の女性がいる。

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1944年に、この4人は戦車「T-34」と共に、ナチに拘束されてしまう。

ナチ側は、このロシアの兵士や戦車を、有効に活用できないかと考える。

だから、フツーの捕虜のイメージじゃない。

そのスキをついて、つまりは4人は、戦車に乗って逃げ出すのだ。

チャイコフスキーの「白鳥の湖」の美しい旋律に乗って…。

収容所からの逃亡劇「大脱走」(1963年・アメリカ)のように。

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ハリウッド映画ほど、高度で洗練されていないにしても、CG使いがストレートで分かりやすかった。

戦車の撃退対象物への照準カットとか、弾道のスロー・モーションとか、ゴチャゴチャしていないのでノリやすいのだ。

でもって、逃亡するシークエンスを、ポイントゲットなクライマックスにして、

シンプルだけど、ドラマティックなスリルとサスペンスを構築していく。

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ニキータ・ミハルコフが製作に関わっている。

戦争映画だけでなく、軍人の人間ドラマでも、世界的に評価の高い彼の監督作だが、

そんな彼が、ハリウッド並みの戦争映画を製作すべく、挑んだのが本作だとボクは見た。

超えたなどとは言わないけど、それでも往年のハリウッド戦争映画の粋が、巧みに取り込まれた快作だった。

ロシア映画の日本公開がほとんどない中で、稀少価値のある娯楽作品だ。

ボクは推奨します。

2019年10月22日 (火)

タイ映画「ホームステイ ボクと僕の100日間」

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「バッド・ジーニアス」に続く学園サスペンス

タイムリミット映画のニュータイプ


10月25日のフライデーから、ツインの配給により、テアトル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は2018年製作の、タイ映画136分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2018 CDH 559 CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

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今年の「大阪アジアン映画祭」で上映されたタイ映画。

一見した時に年間ベストテン級の映画だと確信し、弊ブログ今年の3月13日付けで一度分析した。

さて、みなさん、タイ映画をこれまでに見たことはあるかな。

「ない」と答える方が多いと思うので、いつものマイ・ベストというより、

タイのお国柄を感じさせない、見ていて普遍的に楽しめるタイ映画を、5本選んでみよう。

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①本作

②バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年)

③チョコレート・ファイター(2008年)

④the EYE【アイ】(2001年・香港との合作)

⑤すれ違いのダイアリーズ(2010年)

●シリーズ化された女優ジージャーの格闘アクション③や、ハリウッドでリメイクされたホラー映画④以外は、弊ブログで紹介分析しとります。

格闘アクトやホラーなど、いわゆるハリウッド的娯楽作が目立ったけど、

2010年代には、カンヌでパルムドールを受賞した作家性の強い作品や、もどかしい系のラブストーリー⑤など、これまでのタイ映画にはなかったタイプが作られ、

そして、②や本作などの、学園ドラマをベースにした、サスペンスフルな快作が誕生してきたのである。

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②はカンニング・サスペンス。

日本でも話題になり、スマッシュ・ヒットし、DVD化されて好調。

でもって、本作は、異能なタイプのタイムリミット・サスペンスだ。

森絵都の小説「カラフル」が原作となれば、ジャパニメーション「カラフル」(2010年)に続く、二度目の映画化となるが、本作は実写でタイ製作映画。

かなりのサプライズがあると思うのだが、しかし、これが波乱とスリルに満ちた作品になった。

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自殺した主人公が冒頭で、大人から子供まで、いろんな人間に仮託する管理人なる者と出会い、

100日のタイムリミット内に、本人が分からない自殺の原因を見つければ、生き返るとゆう条件が提示される。

高層ビルの壁面で展開するこの、臨場感あふれるシーンから、胸騒ぎとハラハラドキドキの緊張が始まるのだ。

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両親・兄の家庭と学園に戻った主人公は、家庭でも学園でも、意外な事実に出会うことになる。

家庭では兄との確執に、両親の不仲。

高校では身に覚えのない、ラブストーリーが展開する。

このラブ部は、オーソドックスな学園ラブな作りで、サスペンスの中で、一服の清涼剤のような効果もあったりして…。

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死にたい原因探しのミステリーと、純情ラブが交錯しながら、時間がだんだんなくなっていく中で、ドラマは逼迫度を増してゆき…。

とゆうことで、ボクは今年の洋画のベストテン級だと思う。

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2019年10月19日 (土)

「楽園」⇒綾野剛・杉咲花共演

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これまでにない、謎が深いミステリー映画だ
 
一体、誰が犯人なのか? 

10月18日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、日本映画129分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019「楽園」製作委員会


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本作は、どちらかと言えば、ミステリー映画である。

しかし、フツーのミステリーやサスペンスとは、趣きや作りを大いに異にしている。

テレビの2時間ドラマや、犯人探し・犯人当てのミステリーなどに、ハマっている人には、

その異彩な作りに、むしろ驚きを隠せないのではなかろうか。

人間の心の闇、あるいは、不確かな側面を捉えようとするが、

しかし…という映画だ。

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芥川賞作家・吉田修一の小説を原作に、瀬々敬久監督が撮り上げた。

「パレード」「悪人」「怒り」など、吉田修一原作映画には、確かに殺人事件が起こり、刑事が捜査に乗り出す場合もある。

でも、芥川賞作家だけに、あくまで文学であり、人間を描いている。

ミステリー的に見えながら、しかし、あくまで人間の心理に、食い込む作りをしているのだ。

ただ、犯罪者の屈折した心理だけではない。

犯罪者の周囲にいる人たちの心理を含め、複雑系を謎めきを入れつつも、巧妙に描き出す。

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ミステリー系の映画では、「64-ロクヨン-」や「友罪」などの、傑作をものした瀬々敬久監督。

「64」「友罪」共に、加害者・被害者・事件関係者の、心理に肉迫していた。
 
本作もまた、そのビミョーなところの演出ぶりが、巧緻を極めている。

それに応える演技陣の層も厚い。


日本の片田舎で母と共に生きる、韓国人の青年役に綾野剛。

日本に馴染めない、あやふやな演技は、いつもの綾野剛じゃない。

村八分になる被害者ぶりを、やるせなく悲劇的に演じる佐藤浩市。

「64」とは違って、こっちの方が佐藤浩市らしさがある。

で、杉咲花。

少女時代に友達が謎の失踪をし、それが大人になってまでも、心にまとわりつく事件となる。

彼女は戸惑いながらも、事件を探るとゆうか辿るとゆう、アイマイ(曖昧)ミーでファジーな、探偵サイドな役柄を演じる。

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刑事役がいなければ、探偵役をあえてのように作りだす、この種のドラマにおいては、

杉咲花のキャラクターは、かなり特殊なものだ。
 
そのあたりを、彼女は臆することなく、ストレートに演じ抜いていたのには、好感を覚えた。

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さて、最後に…。

映画とは関係のない、ボク個人の想いを伝えます。

本作の舞台は特定されていないけど、長野県ロケーション映画です。

美しい田園風景やお祭りシーンなど、本作はあくまでミステリーなので、地方の風景描写が、ドラマの行方を左右する重要なキーになっています。

一方において、本作公開前に、重大な自然災害が発生しました。

映画と現実の事件は無関係だとはいえ、また本作は、台風19号が来るずっと以前の、ロケではありますが、

千曲川が決壊し、他の都県でも多数の犠牲者が出た、今回の惨事には、つつしんでご冥福をお祈り申しあげます。

2019年10月18日 (金)

「愛の小さな歴史」誰でもない恋人たちの風景vol.1

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三角関係ラブストーリー
 
略奪愛も、ヒロインのキモチに沿った作り
10月19日の土曜日から、コピアポア・フィルムの配給・スローラーナーの制作により、新宿K's cinemaほか、全国順次のロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019 キングレコード株式会社

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ピンク映画は別にして、ATG映画以来、日本映画のインディーズ映画は、巧拙あれど、質度の高い映画を輩出し続けてきた。

最新では「カメラを止めるな!」(2018年製作)のヒットも出た。

そして、ボクの大好きな映画製作会社「スローラーナー」の社長にして監督の、越川道夫が最近、次から次へと、ラブストーリーを撮っている。

ATG映画に魅せられて、日本映画に目覚めたボクは、インディーズ映画の活性化を常に望んでいる。

「ATG映画」や「スローラーナー」で検索すれば、どんな名作があるのかは出てくるので、ここでは省略する。

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でもって、越川監督は、おそらく「カメラを止めるな!」級のヒットを出すべく、映画戦線に挑んでいるとボクは思う。

いや、無論、ヒットすりゃいいというものではないし、映画評論家筋をうならせる、映画作家性も当然示さなければならない。

本作は、三角関係ラブストーリーだ。

でも、そんなのを大マジに撮っても、手垢の付いた素材なだけに、とんでもないオリジナルと評価、そしてヒットまでは至難のワザだろう。

しかし、それでも、本作は妙味のある恋愛映画だった。
 

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ピンクやポルノでは、ヒロインはエゴイズムな男に、もてあそばれたりするけど、濡れ場は3シーンほどあるが、本作にはそんなところは、皆無だと言っていい。

しかも、三角関係にありがちな、ドロドロや男同士の戦いなどはほとんどない。

2人の男は、ヒロインのキモチを最優先させるのだ。

前妻が死亡し、その幻影を引きずったままの男(宇野祥平)は、若妻(瀬戸かほ)と再婚して、2人で古書店をやってる。

そこへ、父を突然死で亡くした、夫の幼なじみの男(深水元基)が現れる。

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ゲーテのエピソードをベースにした、オリジナル・ストーリーだ。

ヒロイン瀬戸かほの、本人視点・客観視点のナレーションを採り入れて、彼女のアップをタイトに映しつつ、ヒロインのキモチに則した作りが施された。

でも、2人の男もムズムズするし、感情もあらわにする。

但し、沈黙や間(ま)の使い方のうまさで、ドロドロの泥沼感は全くなし。

後半に多投される、2分以上の長回し撮影も、3人それぞれの心理を反映した作り方をしていた。

ヒットするかどうかは別にして、あと味のいい三角ラブだった。

2019年10月17日 (木)

「フッド:ザ・ビギニング」

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ロビン・フッドの誕生秘話
 
遡り系スタイルのニュー・バージョン

10月18日のフライデーから、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。

本作は、2018年製作の、アメリカ映画116分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2018 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

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ロビン・フッドを描いた映画は、多数存在する。

しかし、ロビン・フッドとゆうヒーローが、どのようにして誕生したのかとゆうお話は、本作が製作されるまでは、映画化されていなかった。

見本となる原作もない。いわゆる、新たな創作として創り出さねばならないわけだ。

遡り系、いわゆる誕生するまでの秘話・逸話といえば、「エクソシスト」(第1弾は1973年製作・アメリカ映画)のメリン神父や、

「スター・ウォーズ」(第1弾は1977年・アメリカ)のダース・ベイダー、

アメコミ・アウトロー「ジョーカー」(2019年・弊ブログ10月4日付けで分析済み)などで、披露されてきた。

そのキャラクターが有名であればあるほど、続編であれ新作であれ、ヒットするキー・ワードになる。

本作もまた、そんな前例に漏れない作品である。
 

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遡り系としては、ホラー、SF、アメコミものなどの中で、時代劇としては、キリストなどのチョー偉人は別にして、珍しい作品となるだろうか。

12世紀の十字軍の時代に、形成されたロビン・フッドとゆうキャラは、実在の人物なのか、架空の人物なのかは定かではないが、

そのヒロイズム・イメージは普遍的なものだ。

でも、本作では、スーパー・ヒーローではなく、もっと人間らしいキャラクターとして描かれている。

映画で描かれ続けてきた、アクション一辺倒のロビンのイメージを、まず覆すところから本作は始まる。

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それは、ラブストーリーだ。

ラブ・ロマン・シーンから本作は始まる。

パニックと同等にラブが重要だった、 主演の大ヒット作「タイタニック」(1997年・アメリカ)の、レオナルド・ディカプリオが、製作に関わっているのも、意味深なところ。

ロビン(タロン・エガートン)はマリアン(イヴ・ヒューソン)と結婚の約束をし、十字軍として出兵する。

だが、戻ってきたら、マリアンは別の男とできていた。

この種の設定は、戦争映画三角関係ラブの定番とされているが、ロビン・フッドの時代に、それを持ち込んだのは、珍しいし面白いと思う。

「ロケットマン」(2019年・弊ブログ8月21日付けで分析済み)のエルトン・ジョン役で、
演技力を要する、自在な演技を示したタロン・エガートンが、

本作では、ジェイミー・フォックスと共に、ストレートにヒロイズムを、表現していて心地良かった。

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映画撮影で初めて使われた、新しいカメラ(Panavision DXL6mmデジタルカメラ)の効果はどうだったろうか。

近接撮影のビビッド感はより増し、

さらに、俯瞰シーンやスローを含めた、アクション・シーンも、3D並みの臨場感・ワイド感があった点を、強調しておきたい。
 

2019年10月16日 (水)

「エセルとアーネスト ふたりの物語」

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渋く深く胸にクル、年間ベストテン級の、夫婦アニメの傑作だ

ディズニーやジブリにはない見ごたえとは?

10月11日からシネ・リーブル梅田で上映中。10月26日から京都シネマほかで全国順次の公開。

本作は、2016年製作の、イギリス・ルクセンブルク合作の94分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒETHEL & ERnEST PRODUCTIONS LIMITED. MELUSiNE PRODUCTIONS S.A., THE BRITISH FILM INSTITUTE AND FfiLM CyMRU WALES CBC 2016
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ブリティッシュ・アニメとなれば、みなさんのイメージはどうだろうか。

アメリカのディズニー・アニメや、日本のスタジオジブリ・アニメは、世界で大ブレイクしてるわけだけど、

アニメのイメージがほとんどない国からは、時おり、ディズニーやジブリでは描かれない、意表を衝いた、本作のような傑作が登場してくる。

実写で描いてもおかしくない、夫妻の物語を、あえてアニメで描出。

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「スノーマン」で有名な、絵本作家レイモンド・ブリッグスの、両親の思い出を描いた絵本が原作で、その世界観を表現するためには、アニメが最適だったのだろう。

ロンドンを舞台に、1928年から第二次世界大戦を経て、1971年まで、時代背景を新聞とテレビで示したりしながら、また、生活用品の流れなども披露しながら、

夫妻の出会いから、結婚・出産・子育て・子供の独立・夫妻の老後・それぞれの死までを描く、いわば夫妻ドラマの大河系なのだ。
でも、大河っぽい大仰さはなし。

ごくフツーの夫妻の生活が、淡々と描かれるのだ。

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ヒトラー、子供だけ疎開、ロンドン空襲、チャーチル首相、戦勝祝い、朝鮮戦争、アポロの月面着陸など、時代のキーワードをちりばめつつ、

ありきたりな夫妻のドラマ、家族のドラマへと集中していく作りは、ドラマティックやら派手やらのアニメティックを外して、渋く胸にクル。

ディズニーやジブリにはない、フツーこそ素晴らしい、ワビサビなるものがあるのだ。

ディズニーのように、動物も出てくる。

しかし、ネコがずっといる生活風景は、あくまで家族に寄り添う脇役・象徴としてのネコである。

そういうところも、なんかいいんだよな~。

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原色系のディズニー・ジブリとは違う、手書きによる薄色配色も目に優しい。

夫妻の声を担当したのは、共に熟年名優の、ブレンダ・ブレッシンとジム・ブロードベント。

「秘密と嘘」(1996年・イギリス)の、
迷えるオカン役の気弱なノリが、声に移ったブレンダ。

本作では、アルツハイマーの妻をいたわる「アイリス」(2001年・イギリス)の、夫役のノリも声から聞こえるジム。

共に、2人の代表作を思い出すような、声の演技ぶり・トーンが良かったと思う。

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ラストロールで流れる、ポール・マッカートニーの、この映画のために書き下ろしたバラード「In The Blink Of An Eye」が、メチャメチャ感動的で美しい。

さらに、その直後には、ポールの父、ジェームズ・マッカートニーのビッグバンド・ジャズ・ナンバーが流れくる。

最後の最後まで、ホンマ、渋~く余韻深~く、ココロに染みたがな。

2019年10月13日 (日)

「空の青さを知る人よ」⇒日曜邦画劇場

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音楽ドラマ・アニメを媒介に
 
夢を追いかける素晴らしさを描く
 
 
10月11日の金曜日から、東宝の配給により全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019 SORAAO PROJECT

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長井龍雪監督の、埼玉県秩父市を舞台(聖地)にした、アニメ映画の第3弾。

第1弾略して「あの花」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」(2011年)、

第2弾の実写化もされた「ここさけ」「心が叫びたがってるんだ」(2015年)に続くのだが、

全ては秩父の町を、ほわ~んと表出しながら、ヒロインをポイントゲッターにした青春映画だ。

そこにあるのは、前向きポジティブな世界観である。

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タイムスリップを始めとした、時制の過去・現在を設定したアニメとゆうのは、今では珍しくないが、

但しそこに新しい解釈や設定を加えることにより、多彩な世界観や人間関係ドラマが構築できるようになってきた。

タイムスリップな「時をかける少女」だけじゃない。

大ヒットした、過去を変えるラブストーリー「君の名は。」しかり。

そして、今年も次々にそおゆうアニメが輩出されてきている。

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今年公開された「HELLOW WORLD」などに続き、本作も、過去と現在をモチーフにしている。

過去のどこかで、高校生のまま時間が止まった、人間とヒロインの交流とゆうのが、本作のオリジナル・ポイントだろうか。

空を2人で飛ぶクライマックスなどは、「未来のミライ」(2018年)とシンクロする。

でもって、それらの作品と大いに異なるところは、音楽アニメで
ある点だ。

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夢を持って生きることの素晴らしさがまずあり、たとえ夢破れたとしても、それでも前向きに生きるんだとゆうのが、本作の根幹にあると、ボクは思う。

高校生の頃と大人になった現実との差異。

しかし、日常生活、広い世界でなくてもいい、狭い故郷でも、空の青さは知ることができる。

夢の在り方を、おおらかな癒やし系の視点でとらえたこの映画は、とんでもなく心地いい。

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現実的な音楽としては、ゴダイゴの「ガンダーラ」(1977年)がポイントとなっているみたいだ。

ベーシストの若きヒロインたちは「ガンダーラ」を弾く。

なぜ「ガンダーラ」なんだとゆうセリフもある。

その答えは歌詞にある。

最後に流れる、「あいみょん」のさわやかギターの弾き語り「空の青さを知る人よ」もまた、作品に直結していく。

間違いなく、ポジティブになれる映画だ。
 

2019年10月11日 (金)

野村周平主演「WALKING MAN」

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日本のヒップホップ映画の在り方とは?

アナーキーなアウトサイダー野村周平が魅せる!


10月11日の金曜日から、avex picturesの配給により、全国ロードショー。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019 映画「WALKING MAN」製作委員会

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ヒップホップ・ミュージシャンのANARCHYが、初監督した作品。

ラップが主のヒップホップは、基本は黒人の音楽、ブラック・ミュージックだ。

日本人がヒップホップをヤルだなんて…、そんなセリフが本作には出てくる。

1980年代にアメリカで生まれたヒップホップだけど、

1990年代には日本の音楽界にも浸透し始め、

今やヒット・ジャンルの1ジャンルにもなったし、ヒップホップ映画も輩出されている。

ラッパー・エミネムの生き方を描いた「8 Mile」(2002年製作・アメリカ映画)など、ヒット作品も生まれた。

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ラップ・ヒップホップは音楽性よりも、ポエトリー・リーディングのように、自らを主張するところにキモがある。

主張は誰にでもある。だから、誰にでも、自らのオリジナルを歌える音楽なのだ。

で、ANARCHY監督は、主人公に、ヒップホップに似合う、低所得層の若者を設定し、

しかも、吃音とゆうハンデを課すのである。ヒップホップをやるのに、吃音はどう考えてもまずいでしょ。

果たして、主人公はそれを克服できるのか。

本作の大いなる見どころがココにある。

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主人公役には、野村周平が起用された。

野村周平は「ちはやふる」など、広瀬すずとの共演による、さわやか青春系が似合う役者のようだが、

本作では、監督のアーティスト名とシンクロするけど、アナーキーな、はみ出しアウトサイダー系の演技でいってみたぞ。

母(冨樫真)と妹(優希美青)の3人暮らし。不用品回収会社で働き、母が病で入院し、高校生の妹は万引きしたり、風俗で働いたり…。

入院費やらで「自己責任」なるものが、当たり前のように言われる。

そこんところは少し誇張して、描かれているように思ったけど、主人公へのハードル設定としては、これでいいのかな。

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主人公が勤める、会社の先輩役になった柏原収史。

久々に見たけど、主人公を励ます、好感度の高い演技を披露していた。

大げさかもしれないけど、名作「グッド・ウィル・ハンティング」(1997年・アメリカ)の、

ベン・アフレックがマット・デイモンを、励ますようなノリがあった。

おそらくANARCHY監督も、この映画を意識していたと思うよ。

そして、そのANARCHYがラストロールで披露する、ヒップホップナンバーは、メッチャ力強かった。

ココロに残る映画へと誘導する、勇気リンリンになれる歌だった。

2019年10月10日 (木)

「イエスタデイ」⇒音楽映画の傑作

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ビートルズ音楽ドラマ映画の最高傑作だ

ラブ&ピースなラブストーリーも心地いい

 

https://yesterdaymovie.jp/

10月11日のフライデーから、東宝東和の配給で全国ロードショー。

本作は2019年製作のイギリス・アメリカ合作の117分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒUniversal Pictures

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音楽映画のドラマ映画は、実話系映画を中心に、これまでは展開されてきた。


ビートルズなら、ビートルズのメンバーの話が主軸にあったり、


ビートルズに影響を受けた人たちの話だったりした。


しかし、本作のビートルズ音楽映画は、かつてない設定が施された。


とはいえ、実にシンプルなアイデアだ。


ビートルズの曲がこの世から消え、主人公のミュージシャンの記憶にしかなくなったとしたら、とゆう設定だ。


ビートルズのレコードも当然消えている。


だから、主人公はビートルズの曲を記憶から引き出し、自分の曲として歌っていくのである。

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最初はほとんど誰も注目しなかった。


自分に魅力がないんだなどと、自己卑下する主人公。


しかし、本作に本人として出演する、今大ブレイク中のエド・シーランの耳に止まり、


彼のツアーのオープニングアクトに起用され、さらにメジャー・デビューを果たし大ヒットへ。


ビートルズの曲の素晴らしさに特化した本作は、まさに歌そのものに集中した音楽映画だと言えよう。

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一方で、ラブストーリーも展開する。


冴えないミュージシャンだった主人公(ヒメーシュ・パテル)と、幼なじみの女マネージャー(リリー・ジェームズ)。


だが、全米デビューで主人公は、イギリスからアメリカへわたり、エド・シーランの事務所に所属し、新しい女マネージャーが付いて、2人は離れ離れになる。


さあ、そんな2人の愛の行方は?


音楽映画の新味の中で、披露されるラブストーリーもまた、オーソドックスに見えながらも、フォーエバーな輝きがある。

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アカデミー賞監督ダニー・ボイルと、ラブコメ・群像劇などの名脚本家リチャード・カーティスの初タッグ。

2人の才能が融和し、かつてないユニークな作品が撮り上げられた。

ユニークとはいえど、ボク的には年間ベストテン級の映画だった。

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とゆうことで、ビートルズ映画最高のドラマ映画であり、


音楽映画のセオリーを覆した映画として、永く記憶に残る作品となるだろう。

 

北欧ミステリー「ボーダー 二つの世界」

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異質人間のプライドを描く怪作ミステリー
「エレファント・マン」よりポジティブだ


10月11日のフライデーから、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、京都みなみ会館ほかで、全国ロードショー。

本作は、2018年製作の、スウェーデン・デンマーク合作の110分。
「R-18+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒMera_Spark&Karnfilm_AB_2018

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異質人間を描く映画というのは、実はケッコーある。

「エレファント・マン」(1980年製作・アメリカ&イギリス・モノクロ)や「オペラ座の怪人」(最新は2004年・アメリカ)のような、

後ろ向き消極的孤独人間あり、人間とはチョイ違うような、ドッペルゲンガーな「Us」(2019年・アメリカ・弊ブログ分析済み)なんかがあり、

でもって、本作がある。

特殊変型ものなら、吸血鬼などのモンスターがあり、変身系のヒーローがあったりする。

ベースにあるのは、どのパターンであれ、感情ある人間だということ。
そして、人間にも、考えてみれば、いろんな種がある。白人・黒人・黄色人種といった、肌色の表面上のものだけじゃない。

本作は、そこのところでかつてない種を、創作した作品である。

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臭いを嗅ぐことで、羞恥心や罪悪感などの人間の感情が、見えてしまうなんてゆう女がいる。

その醜女でなんか獣じみた太っちょ女は、スウェーデンの税関で危険・禁止物を見つける仕事をしていて、嗅げば何もかも分かってしまうんだ。

このかつてないイントロから、このヒロインは、自分と同じ特殊人間な男を見つけるのだ。

女は親から引き継ぐ家で男と同居、母は死んだけど、アルツハイマーがちの父は、老人ホームにいる。

こんな設定だが、ヒロインの特殊性が、いろんなところで見せられ、でもって、見ていくにつれ、異様な世界へと導かれてゆくのである。驚いた。

静かな展開から、意外性あるところへといき、そして、なんじゃこらーな世界へと落とし込まれる。

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冒頭から異質感はあった。

それが徐々に増してゆき、いつの間にか、とんでもないところへといってしまうのだ。

サプライズは複合的に訪れる。最後の最後まで、そんなバカな…が持続する。

もうコレは見てもらうしかない。

異様な映画だけど、異様な中に、ある種の感動もある映画。

そのあたりを劇場にてご確認ください。
 

2019年10月 9日 (水)

「牙狼(GARO)-月虹ノ旅人-」

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特撮ヒーロー・シリーズ映画の最新版

「仮面ライダー」以上にヒューマンな作りだ

10月4日の金曜日から、新宿バルト9、梅田ブルク7ほかで上映中。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019「月虹ノ旅人」雨宮慶太/東北新社

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テレビシリーズ「牙狼(GARO)」の劇場版だが、劇場版もシリーズ化されてる作品。

特撮系のドラマとなれば、「仮面ライダー」などの変身系を思い出すが、

本作の主人公・ヒロインは、素顔のイケメンにしてイケジョ。

変身するのは、主に敵方となっている。

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とゆうことで、最新劇場版では、主人公「冴島雷牙」役には、中山麻聖(ませい・写真上)、

雷牙と共に戦うヒロイン「マユリ」役には、石橋菜津美(なつみ・写真下)が抜擢された。

中山麻聖は、三田村邦彦と中山麻理の間に生まれた二世俳優だけに、

そのイケメンぶりとヒロイズムなカッコヨサが、大きなポイントになっている。

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そして、今回、敵方にさらわれるヒロインのマユリ。

その軟柔・骨細感を見せながら、敵への抵抗アクトを見せ、ああ、大丈夫か感を募らせてゆく。

そんなマユリを救おうとする、雷牙の戦いぶりは、波瀾万丈の、刺激に満ちたものとなっている。

2人のクローズアップ・シーンの多さにも、胸焦がれる作りだと言えようか。

でも、チャッチーなとこもある。

けども、父親との確執部やキズナ部も含めて、ヒューマニズムなところも、ケッコー魅せてくれていて、

アクション・シーンも、ドラマティックなとこと共に映えるようになっている。

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列車に乗ってのロードムービー・スタイルも、ドラマ映えしやすいし、

モノクロ・カットと過去カットの、タイトな挿入に加え、

アニメ・CGと実写部との複合も、スムーズだった。

過去に出ていた正義側の、渡辺裕之のサポート・サプライズ出演やら、

強敵・敵方の京本政樹の登場など、最後の最後まで戦いの行方は分からない。

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特撮映画の本道とは違うところにあるような、ヒーロー映画の在り方が、ココにあると思う。

雨宮慶太監督のオリジナル作品である。

まだまだこのシリーズは続くだろう。

「仮面ライダー」や「ウルトラマン」では見られない、ヒューマン特撮アクションに酔ってもらいたい。

2019年10月 8日 (火)

「蜜蜂と遠雷」⇒究極のピアノ・コンテスト映画

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コンテストに懸ける、ピアニスト4人の物語

松岡茉優・松坂桃李ら、W松の演技に注目!

10月4日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会

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ラブストーリーやら、家族ドラマやら、その片鱗が少しはあるにしても、コンテストに完全特化したピアニスト4人の映画である。

オーディション・ミュージカルだった「コーラスライン」(1985年製作・アメリカ)と同様に、

4人の緻密な演奏、それを冷静に審査する審査員がいてとゆう、

究極にして完全なるコンテスト映画なのである。

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直木賞を受賞した、恩田陸の小説「蜜蜂と遠雷」が原作になっている。

系譜分析紹介的には、直木賞映画化作品とか、ピアニスト映画とか、そのままのコンテスト映画とか、イロイロ分析できるにしても、

本作はカテゴライズされない、
特殊性のある映画だった。

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原作は各ピアニストの演奏における心理を、事細かに描いていたが、

それを映像で示すとなると、演奏を見せるだけでなく、いろんなシーンを組み合わせる必要があるだろう。

しかし、本作の演奏シーンは、ほとんどが演奏に徹した作りで、各人が実際に演奏していなくとも、その演奏パフォーマンスが、大いなる見どころとなっているのだ。

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ピアニストが登場する日本映画としては、「のだめカンタービレ 最終楽章」(2009年・2010年・弊ブログ分析済み)のようなコミカルは全くなく、

「さよならドビュッシー」(2010年)のミステリアスもなく、

「砂の器」(1974年)の、映画的泣かせるドラマティックもない。

一次予選課題曲なしの自由選択、二次予選は課題曲、そして、最終選考がオーケストラとのピアノ協奏曲。

全てがシビアに演奏され、シビアにジャッジされる。

その積み重ねには、時に、息を飲むほどのスリルがあった。

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4人4様のピアニストぶりが、相対的に描かれる。

死んだ母との想いを胸にする、どこか不安定なカンジの松岡茉優。

生活と音楽を目指す、妻子3人家族夫役の松坂桃李。

松岡茉優と幼い頃にピアノを学んだ、本格派のピアニストの森崎ウィン。

対して、自己鍛錬でピアノに目覚めた、新人の鈴鹿央士。

それぞれのキャラクターが、見事なカルテット演技を、奏でる作りになっている。

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対して、審査側のキャラも、重みと威厳がある。

これまでは、ちゃらんぽらんな演技が多かった、斉藤由貴が、オオマジに審査役に関わる。

また、料理の鉄人ばりに、無表情のクールを見せる、鹿賀丈史の演技も見逃せないところ。

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会話における、間合いの使い方など、音楽映画ながら、静かな演出具合にも意表をつかされた。

ミステリー群像劇「愚行録」(2017年・弊ブログ分析済み)で魅せた石川慶監督の、出演者それぞれのキャラ立ち演出ぶりも光る快作だ。

2019年10月 4日 (金)

問題作「ジョーカー」⇒どこが問題なんだ?

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「タクシードライバー」とシンクロナイズ
 
「バットマン」と争う、悪役「ジョーカー」の誕生秘話だ
 
10月4日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、日米同時公開。

本作は2019年製作の、アメリカ映画122分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2019 Warner Bros.Ent. All Right Reserved TM &ⓒDC Comics

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「バットマン」と対決する、アメコミを代表する悪役「ジョーカー」が、どのように誕生したのかを捉えた作品。

いわゆる、「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーの作り方のような、さかのぼり系のドラマである。

しかも、映画オリジナルとして作られた点は、特筆すべきところだろう。

母との2人暮らしで、コメディアンを目指していたジョーカー(ホアキン・フェニックス)は、

バイト先ではピエロの格好をし、次第にピエロ姿が日常生活でも板に着く。

そして、発作的に笑ってしまう、奇妙なビョーキがあった。

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この発作的笑いは、冒頭の方で、セラピストとの対面の長回し撮影で、異常な癖として披露されるが、

このビョーキのおかげで、コメディアンとしての腕を上げていくのだ。
 
一方で、そんな笑いが災いを誘発する場合もある。

悪役への道が、自らが進まなくとも、敷かれたレールのように、ブラックユーモアチックに開かれてゆく。

大ヒットし、続編も公開されるホラー映画「IT」などは、ピエロが悪役だったが、本作の「ジョーカー」からの影響は大きい。

また、本作では、ジョーカーがピエロチックなチャップリンの、モノクロ・サイレント映画を見るシーンがあるが、

これもまた、彼のキャラクター付けにフックを与えていた。

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さて、本作では、ジョーカーが憧れる、テレビのトーク番組の司会者役に、ロバート・デ・ニーロを起用した。

これはドラマ的・キャラ的に、計算された起用である。

なぜなら、ジョーカーのキャラ設定が、デ・ニーロの代表傑作「タクシードライバー」(1976年)の、主人公役トラヴィスに、オーバーラップするからだ。

その名作の孤独とゆうキー・ワードはもちろんだが、

拳銃を手に入れる経緯に加え、作品を象徴するところとなった、

拳銃をこめかみに当てプシュッと、デ・ニーロがツイートするシークエンスが、本作でも引用として使われている。

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銃乱射事件が頻発する全米では、本作は公開前から、かなり問題視されていたが、

確かに銃撃・銃殺シーンはあるけども、決して危ない映画じゃないとボクは思う。

ジョーカーが悪に染まっていく、いわゆるアウトローの作り方を描いた映画だ。

コメディアンと殺人鬼。その段差についても、説得力ある描かれ方・演出・演技が施されている。

傑出したアウトローの、ヒューマン・ドラマとして、見てもらいたい作品だ。

「ニッポニアニッポン フクシマ狂詩曲(ラプソディ)」

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ミュージカルとアニメで大震災を癒やす

 

映画的面白さがゴッタ煮になった快作品だ

http://www.nipponiamovie.com/

10月5日からシネ・ヌーヴォで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒラピュタ阿佐ヶ谷

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2011年の東日本大震災への想いを取り込んで、エンタテイメント化した作品。


映画に3.11を入れた作品は、これまでに100作以上のタイトル数にのぼるが、ドキュメンタリーは除いて、ほとんどがシリアスに特化したものであった。


しかし、本作は違う。


哀悼は捧げてることは捧げてる。


けども、哀悼・追悼以上に、遊びに比重が置かれた作品になった。


その遊びも、映画的なパロディやオマージュを多投し、大震災の悲惨さを映画で中和するような作りになっている。

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そのスタイルにあるのは、アニメであり、ミュージカルであり、日本映画名作へのオマージュである。


主人公が隆大介であるところも、大いに本作に連関する。


黒澤明監督「影武者」(1980年製作)の織田信長役で、その尖った演技性を示した彼が、


晩年を迎えて丸くなり、市役所職員として、寺田農の案内・教示のもと、震災のその後のアフターケアと復興に、いそしむなんて話。


「影武者」の仲代達矢のセリフ「地獄の入り口で待ってるぜ」なんてのも引用されて、


隆大介は、ココロそわそわざわざわしてまう。

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「イージーライダー」(1969年)「卒業」(1967年)「真夜中のカーボーイ」(1969年)など、アメリカン・ニューシネマにまつわるセリフや、


「イージーライダー」風に、実際にオートバイ事故に遭ったり…。


アニメ部では、宮沢賢治へのオマージュ&ミュージカル・シーンなどもあるが、


NHKの「ひょっこりひょうたん島」の歌や、「津軽海峡冬景色」の演歌が歌われるシーンがあったりして、

おいおい、遊び過ぎなんちゃうん、なんてとこもあるけれど、むしろミスマッチなところこそが、本作のオリジンを誇示するところだとも言える。


沖縄民謡も許容範囲やろか。でも、ラストロールでは、ヴィヴァルディの「四季・春」も流れ来るんで、あくまで希望が視野にあるわけでありまして…。

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ミュージカル映画的には、宝田明が登場してるのは、特筆事項でおましょう。


かつての東宝ミュージカルの雄の登場ゆえに。


いろんな要素をゴッタ煮にして、楽しんでみた作品。


若い人たちにどう見られるのか、ちょっと不安やけど、理屈抜きに入れば何の問題もないでしょう。


楽しく見られて、ちょっと考えさせる。映画は娯楽だけやない。そんなところが分かるはずだから、ボクはいいと思う。

 

2019年10月 3日 (木)

「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」


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松重豊アニキと北川景子ネーさんの夫妻映画だ
 
かつてない妊娠ハウツー映画になった!

 
10月4日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」製作委員会

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日本映画の夫妻映画は数多くあれど、

妊娠に特化したものは、洋画を含めてもかつてない。

子供を作らないでいようといった夫妻が、妻からの希望で、突然のように子供が欲しくなり、

夫妻がともども子供作りに励んでゆくドラマ。

いかにもこれまでにもありそうな映画だが、

調べてはみたけれど、喜劇映画をベースにしても、そういう映画は
まずない。

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確かに、妊娠して出産する映画ならば、夫妻映画に関わらず、それなりにあった。

しかし、イロイロやってみて、妊娠するか、しないか、そこに焦点を当てられた映画はない。

付け加えるなら、妊娠ノウハウ・ハウツー映画なんてゆうのは、つまりは、かつてない映画なのだ。

いわば、受精・妊娠、フツーにできない場合はどうするのかとゆう、人が誕生するその経緯を細かく伝える映画は、

これまでは、ある種タブー視されていたとも言えるかもしれない。

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妊娠するための、精子の運動率とか、人口受精、顕微受精、試験管ベイビーなど、

妊娠するかしないかまでの過程が、描かれるのだ。

その際、夫はどうすればいいのか、妻はどうすればいいのか、

そのあたりをコミカルに見えながらも、シリアスにリアルに描いてゆく。

そんな史上初とも取れる映画の夫役主演には、映画初主演となった、松重豊が起用された。

人間味豊かに、大マジに精子力を増やすために、いろんな方法にチャレンジする彼の姿は、

日本のプログラムピクチャーのコメディの、かつての主人公以上に、

奮闘努力して、笑い以上の何かを感じさせてくれる。

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そして、妻役になったのは北川景子。

特殊な映画にも関わらず、これまでの演技と変わるところはない。

自然体とゆうのは、プロとして演技していないんじゃないかと、思う方もいるだろうが、

作る演技の方が、場合によっては、嘘っぽく映ったりするものだ。

最新主演したテレビドラマ「家売るオンナの逆襲」では、異能なとこも見せてくれたけど、

ボクは本作の北川景子の方が、絶対好感があると思うよ。

洋楽を流しての婚活ダイジェスト・シーンとか、

最後に流れる、洋楽のさわやかなフィメール・ポップスとか、

心地よいところが、いくつもあった点も評価したいところ。

2019年10月 1日 (火)

10月1日時点の暫定マイ年間ベストテン


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●「イエスタデイ」

(ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ共演/監督:ダニー・ボイル/脚本:リチャード・カーティス/イギリス&アメリカ合作/10月11日公開)
 

●日本映画

①長いお別れ

②宮本から君へ

③町田くんの世界

④半世界

⑤愛がなんだ

⑥盆唄

⑦タロウのバカ

⑧火口のふたり

⑨ワイルドツアー

⑩泣くな赤鬼

●外国映画

①バーニング 劇場版(韓国)

②運び屋(アメリカ)

③イエスタデイ(アメリカ)

④女王陛下のお気にいり(イギリス)

⑤SHADOW 影武者(中国)

⑥ブラック・クランズマン(アメリカ)

⑦存在のない子供たち(レバノン)

⑧アマンダと僕(フランス)

⑧ホームステイ ボクと僕の100日間(タイ・10月6日公開)

⑧アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場(フィンランド)

⑧ジョーカー(アメリカ/ホアキン・フェニックス主演/10月4日・日米同時公開)

⑧ハッピー・デス・デイ(アメリカ)

⑧エンテベ空港の7日間(イギリス・アメリカ/10月4日公開)

⑧希望の灯り(ドイツ)

●暫定年間マイ・ベストテンです。

邦画は9月と変わらず、洋画は下位7作を同率順位にして、7位までをいちおうランキング付けしました。

洋画では2作新たに青文字で入れました。

「イエスタデイ」は、実話系映画が多かった音楽映画の、新機軸を打ち出した傑作。

ビートルズの曲がこの世から消え、主人公の記憶にしかなくなったとしたら、とゆう特殊設定が、メッチャスゴイ。

「ジョーカー」は、DCコミックの悪役キャラクター、ジョーカーの誕生秘話を描くヒューマン・ドラマ。

共に、近々の後日に分析紹介いたします。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)


 

 

 

 

 

「エンテベ空港の7日間」

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1970年代を感じさせる実話テロ映画だ
 
ダニエル・ブリュールとロザムンド・パイクが魅せる

10月4日のフライデーから、キノフィルムズの配給により、TOHOシネマズ シャンテほか、全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作の、イギリス&アメリカ合作映画107分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017 STORYTELLER DISTRIBUTION CO,. LLC. All Rights Reserved.

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かつて「エンテベの勝利」(1976年製作)として製作・公開された、実話ベースのハイジャック事件を、再び映画化したのが本作だ。

セット撮影の会話劇が主体だった前作に比べ、本作はロケはもちろん、臨場感あるサスペンスフルなバージョン・アップ版となった。

ここで、ハイジャック映画の英語圏映画の、マイ・ベスト・ファイブを、順位通りに披露してみると…。

①ユナイテッド93(2006年)

②15時17分、パリ行き(2018年)

③サブウェイ・パニック(1974年)

④本作

⑤ハイジャック(1972年)

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●この種の映画の本格化は、1970年代にさかのぼるだろうか。

地下鉄の③や航空機の⑤など、フィクションとしてのスタイルは、1970年代に形成された。

一方で、実話ベース映画はどうか。

21世紀に発表された、航空機の①列車の②は、9.11テロを始め、21世紀のテロをベースにしている。

しかし、本作は1976年に起こった、
航空機ハイジャック事件である。

しかも③や⑤などで示された、1970年代の当時の色合いやスタイルを、濃く感じさせる仕上がりになっている。

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事件発生から解決までの1週間を、時制順に展開。

人質を取った犯人側と、模索するイスラエル政府側を、タイトにカットバックさせて、日を重ねるにつれて、スリルとサスペンスを増してゆく。

リアルに徹した作りだが、ダンス公演の練習風景から始まるとゆう、意表をつく冒頭。

このダンス公演は、クライマックスの人質救出劇で、カットバックされる。

斬新だ。サスペンス映画でも、こんなヤマ場の創出はあんましないが、ドラマティック度合いは、救出劇のみを映すより、かなり高いとボクは見た。

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多彩な映画で誠実な演技で魅せ続けてきた、ダニエル・ブリュールが犯人役を、終始冷静に演じ抜いた。

また、「ゴーン・ガール」(2014年・弊ブログ分析済み)で、評論家をうならせる悪女を怪演したロザムンド・パイクが、

実在の人物を演じるだけに、その人物を研究したのか、理知的かつ柔軟な演技を見せていた。

この2人は、悪になりきれない繊細さも、演じていて妙味がある。

ハリウッドでリメイク版「ロボコップ」(2014年・弊ブログ分析済み)を監督した、ブラジルのジョゼ・パジーリャ監督。

シリアスな作りながらも、エンタとしての手に汗握る面白さも、キチンと仕込んでいる快作だ。

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