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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年9月12日 (木)

「Tommy/トミー」⇒ロック・オペラ再降臨

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ロック・オペラとは何ぞや?
エルトン・ジョンらが爽快パフォーマンス
9月13日のフライデーから、シネ・リーブル梅田で1週間の限定公開。本作は、1975年製作のイギリス映画106分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒ1975 THE ROBERT STIGWOOD ORGANIZATION LTD. All Rights Reserved.

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1975年に製作されたロック・オペレッタが、HDリマスター版にて上映される。
1969年にザ・フーが発表した、2枚組のロック・オペラ・アルバム『トミー』を、ケン・ラッセル監督が映画化したもので、アルバム発売50周年も兼ねた映画となっている。
まずは事実関係を述べたけど、ドイツ映画「会議は踊る」(1931年製作・モノクロ)をルーツとするオペレッタ映画。
それを含むミュージカル映画の系譜でいけば、本作は、英語圏ミュージカルの、ターニング・ポイントとなった作品である。

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1960年代の「ウエスト・サイド物語」(1961年)「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年)などの名作をピークに、
映画史的には、アメリカン正統系ミュージカルは、終わりを告げたと言われた。
しかし、1970年代以降、正統系ミュージカルも時おり作られたけど、今までとは違うタイプのミュージカル、例えば、ロック・オペラ&ミュージカルが登場した。
その転換点となったのが、「ジーザス・クライスト・スーパースター」(1973年・アメリカ)であり、本作だった。
ブロードウェイ・ミュージカル原作映画が多かった中で、
ロック・グループのアルバムが映画化されたのは、画期的な試みだったと言えるだろう。

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夫が戦死。戦争に勝った日に、未亡人(アン・マーグレット)が産んだコドモは、聾唖で盲目だった。
しかし、彼は大人になって、喋れるようになり、ピンボールの魔術師になり、多くのオーディエンスを獲得し…。
そんな数奇な人生を、数多くのミュージシャンのパフォーマンスで彩ってゆく。

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エリック・クラプトン(写真上から3枚目)は、ビョーキの人たちが集う教会で、ブルース・ロックを披露する。
ビョーキの人たちの中には、オカンに連れられた主人公(ザ・フーのロジャー・ダルトリー)もいる。
マリリン・モンローの「七年目の浮気」(1965年・アメリカ)の像などの、アイロニカルな使い方に衝撃があるシークエンスだ。
続く麻薬の女王役のティナ・ターナー(写真上から4枚目)編も、ソウルフルでエキセントリックで、強烈な印象を残した。
そして、ピンボールの天才主人公をたたえる、エルトン・ジョン(写真上から2枚目)のノリノリのパフォーマンスへと。
エルトンを描いた、ヒット中の「ロケットマン」(弊ブログ8月21日付けで分析済み)とも、シンクロするライヴ・シーンだ。

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オカン役アン・マーグレット(写真上から6枚目)の、ドロドロの中での歌うたいパフォームやら、
医者役ジャック・ニコルソンの演技ぶり、
主人公の「時計じかけのオレンジ」(1971年・イギリス)を思い出す、洗脳・治療ぶり(写真上から5枚目)など、
異彩・異能・異質なシーンに、おいおいなんじゃこらーと、思わず唸ってしまうのでありました。
幻惑され眩暈も催しかねない中でも、見たあと何とも言えない境地に達する映画。
これはマジカル映画の、代表作だと断言できる作品です。

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