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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年8月の記事

2019年8月30日 (金)

「トールキン 旅のはじまり」

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「ロード・オブ・ザ・リング」の原作者の実話だ
友情映画・ラブストーリー・戦争映画と、多様なヒューマン映画
8月30日のフライデーから、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。
本作は、2019年製作の、アメリカ映画1時間52分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2019 Twentieth Century Fox

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大ヒットした「ロード・オブ・ザ・リング」3部作(2001年・2002年・2003年・アメリカ映画)の、
原作小説「指輪物語」(60歳過ぎて上梓し、当時史上最高のセールスを記録)を書いたJ・R・R・トールキンの、人生を描いた伝記映画。
作家を描いた映画はケッコーあるし、また名作・ヒット作が誕生した裏話みたいなのが、見どころになったりする場合があるが、
その裏話もいちおうは披露されるが、
メインはあくまで、トールキンのファンタジー「指輪物語」的とは違った、人間ドラマとしての人生である。

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その真摯なドラマぶりは、冒頭から映される、トールキン(ニコラス・ホルト)が出兵した第一次世界大戦の、戦場シーンから始まる。
戦争映画かと見まがうくらいの、波乱の幕開け。
両親が幼少の頃に死に、母から託された神父が後見人になり、トールキンは、彼の身の丈に合わない高校へ進学する。
しかし、ここからが彼の青春物語の始まりだ。
友情物語、そして、ラブストーリーだ。
最初はラグビーなどで、いがみ合った生徒と交流、
ほかにも2人が集まり、4人が喫茶店に定期的に集い、「芸術の力で世界を変える」と一致団結。
その友情ぶりは、普遍的でとても素晴らしい。
芸術を目指す者たちの、友情の在り方を示して秀逸だ。

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同じような身分の女(リリー・コリンズ)との恋が映される。
神父からは反対されるが、結局は結ばれることになる。
「指輪物語」のキーワードを取り込んだ、初の喫茶店デートでの会話を始め、
オペラ・コンサートに入れず、漏れ聞こえる音楽を聴きながら、ミュージカルチックに2人で踊ったりと、
実話ではないところでの、ドラマティックも随所に織り込まれていた。
トールキンが戦争へ行く、直前の再会シーンは、本作ラブストーリー部の、ハイライトだと言えようか。

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加えて、戦争シーンの臨場感も見逃せない。
監督は、フィンランドを代表するドメ・カルコスキ。
実話をベースにした「トム・オブ・フィンランド」(8月6日付けで弊ブログ分析済み)で、自国の特異なイラストレーターを描いた監督。
その驚きが本作にも反映された。
実話なのに、一体これからどうなるんだろうとゆう、見せ方が巧みだった。

2019年8月29日 (木)

星野源主演「引っ越し大名!」

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邦画時代劇で初めて、採り上げられる素材とは?
時代劇コメディの新境地
8月30日の金曜日から、松竹の配給により全国ロードショー。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒ2019「引っ越し大名!」製作委員会

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時代劇と言えば、チャンバラだというオールド時代劇ファンがいる。
しかし、時代劇もいろんなパターンがあり多様化している。
殺陣入りのチャンバラがなくとも、時代劇は成立する。
いにしえのファンたちは首をひねるかもしれないが、
変型時代劇はユニークさも含め、新世代の映画ファンを刺激し続けている。
とゆうことで、ここで、かつても変型時代劇の、ベスト&カルトなんかを披露したけど、
ここでは、コミカル時代劇のマイ・ベスト・ファイブを、順不同にて披露してみよう。

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①幕末太陽傳(1957年製作・モノクロ)②股旅(1973年)③清須会議(2013年・弊ブログ分析済み)④本作⑤超快速! 参勤交代(2014年・ブログ分析済み)
●弥次喜多道中ものなど、ロードムービー時代劇はコメディとして、最も似合うスタイルだと思うが、
②のサイレント・コミカルなスタイルが、ロイドやチャップリンのパントマイムも思い出して圧倒的に面白い。
コメディ時代劇の最高作は間違いなく①だろうけど、
21世紀になって以降は、戦国時代を殺陣なしに、室内劇をメインに描いたコメディ③など、
これまでの時代劇を覆すトンデモ編も出てきたが、
しかし、信長・秀吉・家康など、有名人にだけ集中しない作品はケッコーある。

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やはり、ポイントとして注目すべきは、今までの時代劇では描かれなかったところに、目を付けた作品だろう。
武士の食事作りとか、武士社会の経理部とか、藩財政の立て直しとか、参勤交代にタイムリミットを設定した⑤。
でもって、本作では、国替えを政府・幕府から命じられて、別の土地へ藩そのものが、引っ越しするナンチュー、かつて描かれなかった素材が映画化された。
いやはや、そのシステムはいかがなものかを含め、全くの初もの。
引っ越しを差配する者は、うまくいかなければ、責任を取らされ切腹ものやなんて。
しかし、問題はありません。いろいろな細部を見ていくうちに、十二分に分かる仕上げになっております。

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命を懸けさせられて、無理やり引っ越し責任者に指名された星野源は、スッタモンダを経て大真面目になり、
また、彼をサポートする高畑充希のキ一本、
退いたり押したりのチョイ姑息やけど、高橋一生のサポートぶり。
アンサンブル・チームワーク演技ぶりが、人情コメディばりしていて、ほろ心地よい仕上がりぶりだ。
ピエール瀧の好感ある演技や、ラストロールで流れる、ユニコーンのユニコーンらしいポップ・ソングなども、印象深かった。
犬童一心監督らしい、人情節・キズナ節演出が光る、快作時代劇だ。

2019年8月28日 (水)

「ザ・ネゴシエーション」⇒サスペンス韓国映画

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ソン・イェジンは、永遠のアイドル女優だ!
韓国映画初の交渉人役を、フレキシブルに演じる
8月30日のフライデーから、ツインの配給により、シネマート新宿、シネマート心斎橋などで、全国順次のロードショー。
本作は、2018年製作の、韓国映画113分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2018 CJ ENM CORPORATION, JK FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

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ソン・イェジンが韓国映画初の、交渉人刑事役に扮した作品。
彼女は、韓国映画の日本での、歴代ベストツーヒット作、ラブストーリーの「私の頭の中の消しゴム」(2004年)と「四月の雪」(2005年)に主演。
韓国映画が本格的に、日本公開されるようになった21世紀初頭から、2010年代の今まで、
彼女はずーっと一級の演技を魅せ続けてきた。
シリアスなラブストーリーだけじゃない。
2010年代以降には、ラブコメはモチ、予想外のアクション映画から、悲劇のヒロイン・ヒューマニズム・ドラマ、
そして、本作の女刑事ものまで、多彩かつ演技幅のレンジの広さを見せている。

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そんな彼女とスカイプでやり取りする、人質を取ってる犯人役はヒョンビンが演じる。
非情でクールでシニカルな役柄は、柔軟で慎重な受け答えをする、ソン・イェジン交渉人との間で、
手に汗握るハラハラドキドキが持続していくのだ。

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交渉人役の女優と言えば、日本なら、米倉涼子がいたけど、米倉と比較すると、ソン・イェジンはそれほど骨太っぽくはない。
もっとまろやかだが、本作の大きな伏線になっている、冒頭の任務の時には、酒臭い息で現場に駆けつける男っぽさも見せる。
線の細さはあるけど、随所で機転の利いた女性らしさを見せて、ギリギリのサスペンスの中でも、アイドルっぽい清涼感を漂わせる。
アップが多いのも嬉しいところ。

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韓国女優のアイドルと言えば、ボク的にはハ・ジウォンとチョン・ジヒョンとソン・イェジンの3人だ。
イ・ヨンエもいいけど、最近は映画に出ていない。
中でも、ソン・イェジンは日本でも、前述通り大ヒットを飛ばしたこともあり、
21世紀の韓国映画に、ずずずいーっと注目している人たちにとっては、ボクを含めて永遠のアイドル的存在なのだ。

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韓国の刑事ドラマ映画となれば、ボクの最高傑作は、迷宮入り事件への刑事のこだわりを描いた「殺人の追憶」(2003年)だけど、
本作もまた、解決はするけど、事件に対しストレートに向かう女刑事の執念を描いて、
刑事ゴコロのなんたるかに、魅かれる映画になっている。

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サプライズやミステリー的面白さもある。
それが、キチンと伏線としてあるところは、伏線なしに突然解決編を見せるミステリー映画とは、一線を画するだろう。

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日本と韓国。
国家間のいろんな問題などとは全く関係なしに、
極上のサスペンス映画として、楽しめるエンターテインメント快作だった。
 

2019年8月27日 (火)

「ガーンジー島の読書会の秘密」⇒ヒロイン映画の傑作

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誠実・ポジティブなヒロインに魅了される
ラブストーリーとしても渋い作り
8月30日のフライデーから、「キノフィルムズ/木下グループ」の配給により、大阪ステーションシティシネマほかで、全国ロードショー。
本作は、2018年製作のフランス・イギリス合作の124分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒ2018 STUDIOCANAL SAS

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女性映画というか、ヒロインの前向きな生き方を描く映画というのは、
映画の1ジャンルと言ってもいいくらい、一般大衆に浸透している。
共に大ヒットしたラブストーリーながら、女性の想いも描いた「タイタニック」(1997年製作)や、
女性の矜持も描いた、クラシック映画「風と共に去りぬ」(1939年)などに、登場してきたヒロイン像が、
本作にも、オーバーラップするような作りとなっている。

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ヒロイン役は、リリー・ジェームズ。
日本ではあまり知られていないけど、主演した「シンデレラ」(2015年)などで、劇場・DVDで見た方には、鮮烈に思い出すところもあるはず。
ドラマティックな映画映えする女優だと思う。
ハリウッドの映画史に残る女優のような気品があり、
その堂々たる演技ぶりには、思わず目を瞠り、前のめりになるところがあり、
またラブストーリーなところでも、往年のハリウッド女優的なセンスがあった。

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ナチスによる迫害映画で、イギリスものは珍しいと思うが、過去には「つぐない」(2007年)とか、
戦争映画「ダンケルク」(2017年・弊ブログ分析済み)などがあったけど、
ストレートに迫害が映画のポイントになったのは、稀少だと思う。
本作の描かれる背景は、第二次世界大戦後のイギリスを現代としているが、
戦中のイギリス領ガーンジー島の、ナチ支配の現状をプレイバックしながら、
現代の島の人々の過去の謎へと迫る、作家・ライター役ヒロインの取材ぶりを描いてゆく。

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リリー・ジェームズの柔軟で明るい、ストレートな潜入取材ぶり。
そして、島の地元の人たちとの交流ぶり。
ヒロインに心地よく感情移入できる、かなり好感度の高い演技ぶりである。
なるほど、監督はマイク・ニューウェルだ。
マフィアにジョニー・デップ刑事が潜入し、マフィア役アル・パチーノと交流する「フェイク」(1997年)が、ボクが監督の最高傑作だと見ているんだけど、
その心地よさみたいなものが、どちらにおいても、ドラマの行方を左右する。
本作と「フェイク」との違いはどこにあるのか、劇場にてご確認ください。

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海辺の夕景や島の自然シーンの美しさにも魅了されるし、アップよりもロングショットのキレに魅かれる。
オーソドックスながら、映画的作りにも、渋く魅せられる映画だった。

2019年8月23日 (金)

「火口のふたり」⇒アダルト日本映画の傑作

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メッチャヤラシーを意図した映画だが…
性的人間を描く、ヒューマン・ラブストーリーだ
8月23日より全国順次の公開。「R-18+」指定映画。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2019「火口のふたり」製作委員会

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2人ぼっちでセックス・シーンを、タイトに挿入しながら展開する、
「愛のコリーダ」(1976年製作・日本&フランス合作)のような
「R-18」成人指定映画。
日活ロマンポルノや、ハードコアとは微妙に違い、
セックスに浸る2人の男女の、性的人間性を見せていく、セクシャル・ヒューマン・ラブストーリーだ。
そして、チョイ役やエキストラは別にして、2人しか登場しない映画となっている。

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かつて東京で付き合っていた「いとこ」同士。
男役は柄本佑。女役は瀧内公美。
女の結婚式に出席するため、男が故郷の秋田に呼ばれるが、
出張中の婚約者が、結婚式で新居に帰ってくるまでの5日間だけ、
あの頃に戻りたいと女が男を誘い、
でもって2人は、婚約者と女の新居で、セックス三昧に浸るのだ。

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モノクロ写真の過去のシーンを思い出しながら、
2人は変態系の会話を繰り出し、
で、長回し撮影を使ったりの、濡れ場セックス・シークエンスが頻出する。
ハードコアは除いて、「愛のコリーダ」以来の、生々しさ・過激さが伝わってくる。

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富士山が噴火してもやり続けたいと言う、柄本佑のエロ人間度合いに加え、
瀧内公美のエロさもハンパじゃない。
本作の監督・新井晴彦が、脚本を担当した「赫い髪の女」(1979年)主演の、宮下順子のアンニュイと比較すると、
彼女・瀧内公美はもっと明るく、エロイズムを楽しんでいる。
そこんところが、なんかいいね~。

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映画脚本家として有名な、荒井晴彦の監督第3作だ。
監督デビュー作「身も心も」(1997年)、第2弾「この国の空」(2015年・弊ブログ分析済み)に続く本作。
中でも本作は、最も性的人間を追求した作品となった。
単にヤラシーだけじゃない。
ココロに粘りつくような性的衝撃がある、年間ベストテン級の作品だった。

2019年8月22日 (木)

「二ノ国」⇒山﨑賢人・永野芽郁声優共演

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とんでもないサプライズにビックリ!ドッキリ!

 

「千と千尋の神隠し」に迫るパラレルワールド!

http://www.ninokuni-movie.jp

8月23日の金曜日から、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2019 映画「二ノ国」製作委員会

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スタジオジブリからは、その出身者たちが、ジブリ以外のいろんなところで、活躍している。

スタジオジブリで「火垂るの墓」(1988年)や「もののけ姫」(1997年)に関わった百瀬義行だが、

本作長編アニメを監督した。

そのスタイルはSF系アニメだ。

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SFアニメと言えば、古来よりある宇宙船系やロボ・アニメ系を別にすれば、

過去と現在を行き来するタイムスリップ系と、パラレルワールドを描く系が、

一般に敷衍しているのではないか。

そして、本作は現実とパラレルワールドが、密接なつながりを見せる映画である。

天国と地上、バーチャルリアルと現実など、イロイロある、仮想と現実のコラボレート・ドラマ・アニメとなった。

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その種のアニメ映画作品としては、最近では、「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」(弊ブログ8月4日付けで分析)などがある。

ジブリのパラレルワールド・アニメとしては、「千と千尋の神隠し」(2001年)が圧倒的に有名だが、

百瀬監督は2界を対比させ、どちらの世界でも登場する2人の男子高校生と、キャラの違うヒロイン(現実は女子高生・仮想はプリンセス)を設定し、

2界を同時に生きる同人物別キャラの、シンクロナイズを追求していくのだ。

そこに、謎があり、ハラハラドキドキのサスペンスがあるのが、ミソになっている。

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現実では、高校生のユウ(声=山﨑賢人)とハル(声=新田真剣佑)、で、異界では姫となるコトナ(声=永野芽郁)は、大の仲良しだった。

でも、コトナが魔手の手で瀕死の重傷を負い、そこへユウとハルが駈けつけたところで、異界へとスリップする。

でもって、ユウとハルはお互いを認識し、コトナはこの異界ではどうなっているのかと、彼女を一緒に探すのだった。

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アニメでは、声にはあんまり意味はないとゆう、意見や感想はあるけども、

でも、この3人の声演技ぶりは、3人の実写映画での演技ぶりを、如実に思い出させるものだった。

山﨑賢人の、ヒーローになりきれないヒロイズム系の軟弱とか、永野芽郁のヤサ(優)ソフトな謎めき系とか、

そこはかとなく、香りくる声優ぶりだった。

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最後の最後には、とんでもない「どんでん返し」がある。

ジャパニメーションでは、かつてないどん返しぶりではないだろうか。

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パラレルワールド・アニメらしい、そのサプライズこそ、本作の一大キモとなるところだ。

「時をかける少女」(第1弾は1983年)以上の、驚きがあるココに、何度もリピートしたい作品なのだ。

2019年8月21日 (水)

音楽映画「ロケットマン」

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「ボヘミアン・ラプソディ」と本作を比較すると…
エルトン・ジョンのハイパー・パフォーマンス
8月23日のフライデーから、東和ピクチャーズの配給で、全国ロードショー。
本作は2019年製作の、アメリカ映画121分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
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かつて弊ブログの「ボヘミアン・ラプソディ」分析のところで、
英語圏映画に限定し、実在のミュージシャンを、モデルにしたドラマ音楽映画の、
順不同のベスト・ファイブ(製作年/採り上げられたミュージシャン)を披露したことがある。
ジャンルはロック・ポピュラーに限定(ジャズやクラシックなどは外す)。
まずはそれを振り返ってみると…。

①ジャージー・ボーイズ(2014年製作・弊ブログ分析済み/ザ・フォー・シーズンズ)

 

②Ray(2004年/レイ・チャールズ)

 

③ドリームガールズ(2007年/ダイアナ・ロス&シュープリームス)

 

④ローズ(1979年/ジャニス・ジョプリン)

 

⑤ボヘミアン・ラプソディ(2018年/クイーン/弊ブログ分析済み)

では、限定できないけど、想起されるモデルが主演の映画(上記では③④)や、
ビヨンセやレディー・ガガが主演しても、想定できるミュージシャンがいない場合ではなく、
そのものズバリのミュージシャンの実話として、採り上げた映画の場合の、
マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露してみると、どうなるだろうか…。

●ベスト⇒

①ジャージー・ボーイズ(2014年・弊ブログ分析済み/ザ・フォー・シーズンズ)

 

②Ray(2004年/レイ・チャールズ)

 

③ボヘミアン・ラプソディ(2018年/クイーン)

●カルト⇒

①本作(2019年/エルトン・ジョン)

 

②ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(2005年/ジョニー・キャッシュ)

 

③ドアーズ(1991年/ドアーズ)

 

 

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●ビートルズやエルヴィス・プレスリーなど、ポピュラー音楽史に残るミュージシャンを、

実名で描いた映画は複数作あるが、ボクの場合はそれらを採り上げなかった。

むしろ映画映えする、あるいはドラマティックなところがあるミュージシャンの、実話映画を採り上げる結果となった。

イギリスのミュージシャンは、「ボヘミアン・ラプソディ」のクイーンと、本作のエルトン。

クイーンのリーダー、フレディ・マーキュリーとエルトンが、ゲイであったとゆう表層上の共通項はあるが、2作の作りはかなり違ったものとなっている。

そのあたりを見てみよう。

以下略記で、「ボヘミアン・ラプソディ」は①、本作は②とします。

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②は突然ミュージカル入りだ。

冒頭でエルトンが集団セラピーに来るや、悩みの原点を語るや、出身地の場所へ突然スライドし、本格的ミュージカルへと発展する。

家族たちが歌い合って、家族の現実を映すところもまた、ミュージカル・スタイル。

しかし、それ以降は、ライブ・パフォーマンスをポイントにして、物語は展開する。

①にはこうしたミュージカル・タッチは全くない。

①と②に共通するのは、ライブ部と、レコーディングを含めた曲作りの裏話に加え、家族をキーワードにした点だろうか。

①では、実の家族と言うより、「クイーンは家族」とゆうのが繰り返し出てくるが、

②はかなり深く家族のキズナと言うより、悩み深い深刻度合いに肉迫する。

幼少の頃に、両親は離婚しているのだけれど、何しろエルトンはいくら有名になっても、父には認められず、ゲイであるがゆえに母からは拒絶されるのだ。

そのあたりの負の部分を、どうドラマ的に中和していくのか、本作の大いなる隠し味である。

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①はブライアン・シンガー監督の、クランクアップ後の監督降板が話題になったが、そのあとを引き継いだのが、②本作の監督、デクスター・フレッチャーだった。

①で魅せる編集具合とかサントラ使いとか、クランクアップ後に映画化するための、ポストプロダクション作業において、デクスターは大いにその映画作家性を発揮したのだ。

だから、この2作の作り、特にコンサート部の臨場感演出に際立つところがあった。

①と同様に、楽しめる作りだし、シリアス部でも納得のできる仕上げとなっている。

ところで、最後に蛇足をタラタラ。

日本映画には、日本の実在する、あるいは実在したミュージシャンのドラマ映画は、ドキュメンタリーはあったとしてもほとんどない。

その理由とは? 日本の音楽業界にのみ、あり得る理由なのですが…。

そして、ポピュラー・ミュージシャンを、アーティスト(芸術家)と呼ぶ例も、日本以外にはあまり聞かない。

ちなみに、このミュージシャンを、アーティストと呼ぶようになったきっかけは、

1990年代にボクが編集長だった頃の某音楽紙で、ボクが繰り返し意図的に書いた「アーティスト」の言葉が、きっかけだったと、

大ヒットをかました元音楽プロデューサーが言っていたらしい。

でも、基本、ポピュラー・ミュージシャンはアーティストじゃありません。

エンターテイナーです。

だから、本作も楽しく見られるのです。

エルトン・ジョンはミュージシャンだけど、アーティストじゃなく、あくまでエンターテイナーです。

とゆうことを前提に、あるいは念頭において、本作をお楽しみください。

2019年8月16日 (金)

「熱帯魚」「ラブゴーゴー」デジタルリストア版

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夢見るすべての人に捧げる「熱帯魚」
サプライズある群像劇「ラブゴーゴー」
8月17日のサタデーから、新宿K's cinemaで初の同時上映。その後、全国順次公開。
●「熱帯魚」(1995年製作の、台湾映画108分)
●「ラブゴーゴー」(1997年製作の、台湾映画113分)
共にデジタルリストア版
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒCentral Pictures Corporation
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台湾の巨匠監督エドワード・ヤンやホウ・シャオシェンは、ワケの分からないアート映画(一部、欧州の国際映画祭では、退屈な映画とゆう評価があった)を創っていた。
評論家筋の評価は得ても、一般大衆的には理解され、ヒットすることがあんましなかった。
しかし、彼らのあとに映画監督デビューしたチェン・ユーシュンは、
1990年代に誰にでも分かりやすい映画を、映画作家的な企みも入れながら、2本撮り上げた。
これぞ台湾アート映画の、エンタ的普及版といった仕上がりになっている。
但し、監督は2本が公開されたあと、今に到って長い沈黙に入っている。
かつての日本の長谷川和彦監督のような、沈黙ぶりだが、
いずれにしても、この2作は、発表当時の今までも、2020年を目の前にした今までも、
台湾映画の今までにない、ニューウェイブぶりを披露している。
そんな2作が、デジタル修復されてリバイバル上映される!
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●「熱帯魚」(写真上から2枚目・3枚目)
●青春学園ラブストーリーな冒頭から、突然、2人の高校生の誘拐事件へと転換。
そして、主犯格が事故死し、共犯者は戸惑いながらも、2人を連れて家族の元へ。
このところ、ボクはブラックユーモアな作品を採り上げてるけど、本作は言うならば、その種の映画の究極型を示している。
後半の仮想家族の、キズナ的ドラマ展開になるところなど、
ひょっとして、是枝裕和監督の「万引き家族」(2018年)に、影響を与えたんじゃないかと思った。
高校生たちの安否よりも、彼らが受験日までに戻れるかとゆうところが、クローズアップされるところなど、全くもってシニカル・テイストだ。
しかし、台湾の田舎の家族の人情節には、コミカルかつシニカル入りながらも、ココロにくる作りになっている。
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●「ラブゴーゴー」(写真上から4枚目・5枚目)
●何人かの人間の、それぞれの個人的エピソードが披露され、それぞれの逸話の関係性が、
薄口・濃口に関わらず、最後になって分かる、いわゆるオムニバス映画的ドラマ映画。
この種の映画は、これまでにかなりのタイトル数があるけども、
その多くは、つながり具合のサプライズに、目が行くようになっているみたいだ。
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本作もまた、その例に漏れないとはいうものの、それぞれのエピソードにも、コミカルなオリジナリティーがある。
特に、太めの女子が、見知らぬポケベル相手と会うために、ダイエットにいそしむところは、本作をコメディとして見た場合、最も楽しい見どころとなるだろう。
ウォン・カーウァイ監督の「恋する惑星」(1994年・香港)を、意識した映画だと、ボクは思った。

2019年8月14日 (水)

「鉄道運転士の花束」⇒セルビア映画

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ブラック・ユーモアある奇妙な映画だ
エミール・クストリッツァ監督的作り
8月17日のサタデーから、新宿シネマカリテほか全国順次のロードショー。
本作は、2016年製作のクロアチアとの合作による、セルビア映画85分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒZILLION FILMⓒINTERFILM
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クロアチア映画がここ最近、単館系の上映ながら、日本上陸している。そんなクロアチアとの合作で、クロアチアの隣国のセルビアから、映画が届いた。
東欧系の映画というのは、ユニークでブラック・ユーモアある作品が、時おり見受けられる。
本作などはその最たるものだろう。
鉄道運転士の物語とくれば、古くは「鉄道員」(1956年製作・イタリア映画・モノクロ)や、高倉健主演「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年・日本)など、家族ドラマをベースに、感動的な作品があるが、本作にその種を期待すると、裏切られるかもしれない。
しかし、アイロニカルなタッチは、これまでに見たことがない映画観を、刺激する作りになっている。
言うならば、エミール・クストリッツァ監督風の、重い話なのにも関わらず、奇妙にも明るい感触のある映画なのだ。
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その重さとは、鉄道運転士が何人も人を轢いてきたとゆう話が、作品の根幹にある点である。
鉄道事故以外にも航空機事故・ロケット事故など、運行事故を採り入れた映画において、コメディ・モードやシニカル・モードにするのは、これまではある種タブーであったように思う。
しかし、本作はそれを逆手に取って、轢く運転士のお話を飄々と作り上げ、賛否はあるかもしれないが、独特なオリジナリティーで魅せる。
轢いた人間の数について、当たり前のように運転士たちが話し合うシーンなど、あり得ないのだが、
これはあくまで映画なんだよという気持ちで見ていただきたい。
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運転士に世襲制があるわけはないけども、66人を轢いてきた家系の元運転士主人公が、親に捨てられた子供を引き取り、自分の息子として育てた。
人を轢く運命が付きまとう運転士の、後継者にするつもりはなかったが、養子息子は鉄道会社に入社する。
最初は洗車係だったが、変な訓練士が来て運転する羽目になり、やがては養父も直接指導をすることに。
でもって、運転士になったんだけど…。
還暦過ぎの元運転士の、ラブ・ロマンス・ポイントも描かれて、物語は進行するが、あくまで運転士親子の奇妙奇天烈(きてれつ)なエピソードに、唖然とする映画になっている。
アコーディオンをメインにしたサントラ使いも、そんな変な話をほのぼのと包み込む、不思議な効果をもたらしていた。

2019年8月13日 (火)

「ダンスウィズミー」⇒突然歌って踊って…

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突然ミュージカルへの、コミカル・アンサーだ
矢口史靖監督の"新"骨頂がココに
8月16日のフライデーから、全国ロードショー。
本作は、2019年製作の日本映画1時間43分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2019「ダンスウィズミー」製作委員会
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日本のミュージカル映画は、ハリウッド映画のそれと比べて、従来よりあんましよくないなどが定説としてあった。
無論、ハリウッドにしても、1950~1960年代をピークに、ミュージカルはあんまし作られなくなった。
たまに作られたハリウッド作品は、ヒットしたり高評価を得たりしてるけど、
ほな、日本映画が採るべき、ミュージカル映画への"正しき(!?)"道とは何なのか。
その答えを、コメディ・タッチで提示したのが本作である。
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ボクは評論家筋では、さほど評判のよくない、日本のミュージカル映画につき、マイ・ベスト&カルト・スリーなるものを、ブログで書いたことがあったけど、
その時に思ったのは、21世紀になってからの方が、なんかエエ感じになってきたみたい。
「モテキ」(2011年・弊ブログ分析済み)などの傑作が誕生してるしね。
そして、本作も、カルトな作りながらも、ミュージカルへのブラック・ユーモアな視点を加えて、ミュージカル愛を届けてくれる、かつてない快作になった。
ブロードウェイの演劇やハリウッド映画では、決してないようなタイプの映画なのだ。
 
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ミュージカル映画は、唐突に歌って踊ってが頻出する。
そんな違和感あるリアリティーのない、突然ミュージカルに対して、
ドラマ的アンサーとして、音楽が流れると、「突然ミュージカル」するように、
似非(エセ)マジシャン(宝田明)に魔法を掛けられた、ヒロイン(三吉彩花=みよし・あやか)のお話を、
誰にでもよく分かるように、コミカルに構築してみせた。
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仕掛け人は、矢口史靖(やぐち・しのぶ)監督。
ミュージカルは初めてだけど、ジャズ音楽映画「スウィングガールズ」(2004年)や、男のシンクロ・ダンス映画「ウォーターボーイズ」(2001年)など、
従来のその種の映画をガラリと覆し、コミカルでポジティブに転換変化(ヘンゲ)させる才を、どの作品でも持ち合わせた監督だが、
そんな彼の"新"骨頂を魅せる映画となった。
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目を見張る、踊って歌ってのミュージカル・シーンについて。
会社のスポンサーに対する、プレゼンテーション・シーンで、提案者(三浦貴大)と出席したヒロインは、音楽が流れてきたことで突然ミュージカルへ。
そんな大胆なオフィス・ミュージカルに加え、ハットトリッキーなレストラン・ミュージカルや、
三浦貴広との「ラ・ラ・ランド」(2017年・アメリカ)まがいのミュージカル、
加えて路上ミュージシャンの演奏ツアーまでと、多彩に展開してみせる。
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1960年代に東宝のゴジラを始め、青春映画、時にミュージカルにも出演した、宝田明のコメディアンぶりが異彩を放ち、
でもって、彼につられるように、巻き込まれ受難型のヒロインを演じる、
三吉彩花チャンの、コメディエンヌぶりには、終始ハラハラしながらも魅せられた。
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彼女の映画デビュー作は、音楽家族映画「グッモーエビアン!」(2012年・弊ブログ分析済み)だった。
その時に共演した、のん(当時の芸名は能年玲奈)は、その後ブレイクしたけど、
むしろ逆視点の見方をするならば、彼女は"遅れてきたアイドル女優"と、言えるのかもしれないね。
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とゆうことで、突然ミュージカルをベースにしながらも、
また、リアリティーの面で、いろいろ突っ込まれるだろうけど、
「男はつらいよ」みたいに、家族みんなで安心(!?)して見られる、
一級の面白おかしい、喜劇映画になった1作である。
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2019年8月10日 (土)

「パラダイス・ネクスト」⇒週末日本映画劇場

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妻夫木聡と豊川悦司がW主演で共演
アメリカン・ニューシネマなテイストもあり!
7月27日の土曜日から、ハークの配給によりまして、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田ほかで、全国順次のロードショー。
本作は2019年製作の、日本・台湾合作映画100分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒ2019 JOINT PICTURES CO.,LTD. AND SHIMENSOKA CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED
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海外を舞台に、日本人役者たちが他国の役者と絡んで躍動する、日本映画の最新作。
こおゆう海外ロケ作品は、日本映画の1ジャンルとも言えるだろうか。
そんな本作は、オールロケによる台湾が舞台。
ワケありの2人(妻夫木聡、豊川悦司)が、日本から台湾に逃亡してきて、妻夫木からトヨエツへのアプローチで出会う。
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妻夫木は、饒舌でチョイちゃらんぽらん。
対して、トヨエツは、無口で陰あるキャラクター。
この2人の対比演技は、本作の最初から最後まで一貫している。
出会いは居酒屋だ。
喋りまくる妻夫木と、黙って飲食するトヨエツ。
この2分くらいの長回し撮影から、面白おかしい相棒映画が、始まるんじゃないかと期待を抱かせてくれる。
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しかし、2人は敵対するような関係性でもある。
そんな2人の、悪い奴らからの逃亡劇が、飄然と描かれるのだ。
ボクの大好きなアメリカン・ニューシネマにあった、男同士の相棒ぶりを、ヒョイと思い出したのだが、
途中からは女(台湾女優ニッキー・シエ)が、2人に絡んでくる。
何やら「明日に向って撃て!」(1969年製作・アメリカ映画)の、紅一点3人的に見える。
ただ、ドラマ的には、過去の記憶絡みの中で、女と男がリンクする。
この3人の関係性は、殺伐としたノワール・サスペンスでも、癒やしやひと時の安らぎエピソードになっていた。
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音楽監督は坂本龍一だ。
オーケストラ・サントラを始め、潤いあるピアノ・ソロも奏でる。
本編で流れる歌ものにも注目されたし。
スタンダードなジャズ・ナンバーや、メロディアスなピアノ・バラードなどが、胸にクル感覚で流れてくる。
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本作の半野喜弘監督は、もともとは台湾のホウ・シャオシェンや、中国のジャ・ジャンクーらの作品の音楽監督だった。
そして、本作は2度目の映画監督作品。
そのキャリアのシブミが、そこはかとなく本作に反映されていたと思う。
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かつて、海外ロケの「カポネ大いに泣く」(1985年)とゆう邦画があった。
その作品に出ていた萩原健一と沢田研二の関係性に、ツマブキ・トヨエツは、微妙ながら似ているような気がした。
とゆうことで、今どきの相棒節とは、趣きを異にした作りに、妙に魅せられる映画なんだよな~。

2019年8月 9日 (金)

「マイ・エンジェル」⇒フランス映画

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アカデミー賞女優マリオン・コティヤールが真価発揮!
母娘映画の新味を問う快作だ!
8月10日のサタデーから、有楽町スバル座(最後の洋画ロードショー)、なんばパークスシネマほかで全国順次のロードショー。
本作は、2018年製作のフランス映画108分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2018 WINDY PRODUCTION-MOANA FILMS  LYNK HOLDINGS LIMITED-MY UNITY PRODUCTION
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フランス映画界から、母娘のキズナを描く傑作が誕生した。
「ショコラ」(2000年製作)「アリスの恋」(1974年)などのように、
母の彼氏絡みの映画ではなく、ストレートに母と幼い娘を対峙させてみせる。
一方で本作は、少女ものの快作にもなっていた。
とゆうことで、フランス映画の少女ものの、マイ・ベスト&カルト・スリー(フランス監督作品なら、アメリカ資本入りもOKとしています)を、順不同で披露してみよう。
●ベスト⇒①禁じられた遊び(1952年・モノクロ)
②地下鉄のザジ(1960年)
③シベールの日曜日(1962年・モノクロ)
●カルト⇒①本作
②アマンダと僕(2019年日本公開・弊ブログ分析済み)
③プリティ・ベビー(1978年)
●少女ものでも、気まぐれ系ベスト②と、アンニュイ系カルト③を撮りあげた、ルイ・マル監督作品は別格として、
悲しくて泣ける系の、クラシック映画なベスト①も別格としたい。
そのほかは、大人の男と少女の関わりを描いたベスト③カルト②など、
「ロリータ・コンプレックス」とは、ビミョーに趣きを異にするところも、フランス映画らしさだろうか。
ベスト③なんか、マジなラブだしね。
本作でも、大の男と少女の間で、それらしき関係になりそうになるけど、一線を引いていて、ロリコンにはならない。
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でもって、本作はオカン(マリオン・コティヤール)の造形ぶりも、かなりと異彩を放っております。
娘を抱えたシングルマザーのオカンが、リッチマンと再婚。
でも、その結婚式場で、結婚相手を浮気者としてけなす歌を歌い、
おまけに、別の男と厨房でセックスまでやってまう。
娘でさえもあきれ返る、とんでもないハスッパさぶり。
でもって、結婚相手にそこんとこを目撃されてしまい、オジャンになってまう。
その後、イロイロ再アプローチしても、ニッチもサッチもでんなあ~。
アカデミー賞主演女優賞をゲットした、フランス映画「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」(2007年)の、マリオン・コティヤールが、
「愛の賛歌」並みの気だるい演技で、演技派ぶりを特注で披露してみせる。
初の母親役らしいが、そんなの関係なしな、マイ・ペースな演技ぶりが、素晴らしかった。
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女性監督ヴァネッサ・フィロの、メガホンによる作品。
女性監督らしい、繊細なところが見え隠れする。
娘と一緒にオカンが暗がりのベッドで寝る、長回し撮影の冒頭から、ストレートに母娘の関係性を提示。
娘とのツーショットや、横顔アップやクローズアップの多さで、観客を引き込んでゆく。
ピアノ、バイオリン、チェロなどのサントラ使いは、静かで穏やか。
母娘の異質な関係性を、真逆のサントラで魅せるなんて、オモロイやん。
母娘の危ういキズナを描いた、いまどきの感動系を外した作りが、癖になる作品だった。

2019年8月 7日 (水)

「あなたの名前を呼べたなら」⇒インド映画

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メイドとだんな様の身分違いの恋
オーソドックスで素朴な作りが、しみじみと胸に…
8月9日のフライデーから、テアトル梅田ほかで、全国順次のロードショー。
本作は2018年製作の、フランスとの合作によるインド映画99分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒ2017 Inkpot Films Private Limited, India
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インド映画とくれば、ミュージカルとゆうのは、「今は昔」かもしれない。
インドでも渋いドラマ映画があるし、エンタメ系でも、ハリウッドなインド流儀のボリウッド・エンタメも、SF、アクション、時代劇とイロイロだ。
そんな中で、日常生活をベースにした、庶民的人間ドラマの、21世紀のインド映画マイ・ベスト・ファイブを、順不同で披露してみると…。
()は日本公開年を表記。
ハリウッドなど他国の資本が入った映画は、基本的に外しています。
①本作(2019年)
②きっと、うまくいく(2013年)
③モンスーン・ウェディング(2002年)
④めぐり逢わせのお弁当(2014年・弊ブログ分析済み)
⑤スタンリーのお弁当箱(2014年・ブログ分析済み)
●素朴かわいい少年映画の⑤、インド映画には珍しい、友情映画の画期的なコミカルな傑作②を除いては、
いわゆる、ラブストーリー絡みの映画である。
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インド映画のラブストーリーはどんなもんよ。
ミュージカルチックに披露するのが、おハコのように思われるけど、最近は違うんだよなあ。
手作りのお弁当を通して、男女の恋を描く④の人間らしさ・日常生活らしさを始め、
結婚式を自然な流れで描いてみせる③など、
ハリウッド映画の恋愛映画には、決して出せない感触が、インドのラブストーリーだ。
そして、本作は、メイドとだんな様とゆう、いわば古典的とも取れる身分違いの恋を、
21世紀のインドの現代において展開してみせるのだ。
いやはやスゴイ。
シェークスピアの時代が現代に蘇えったような、とてつもない仕上がりながら、全くあざとさやわざとらしさがない。
自然体で素朴な作りだ。
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本作は③と同じく、女性監督による映画である。
女性監督にしか演出できない、繊細かつ微妙な心理演出が多々ある。
ヒロインのメイドらしい控えめな心理や行動ぶりは、当たり前のフツーのメイド演技のように思われるが、
そのナイーブさやストイックぶりは、もどかしいくらいに絶妙で、静かな演出ぶりに反して、ハラハラさせる作りになっている。
インドっぽい民族音楽に加え、ミュージカルっぽいダンス・ポップも、サントラとして披露されるけど、
決してユルユルなゆるみの方向や、嘘っぽいハリウッド的大団円へと、流れることはない。
でもって、メイド・ヒロインが喋る、最後のセリフが、ココロに深くクル。
身分違いの恋のドラマの、お手本的作品だ。

2019年8月 6日 (火)

「トム・オブ・フィンランド」⇒フィンランド映画

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名作「真夜中のパーティー」の進化型の登場
堂々たるゲイ・ヒューマニズム映画だ
8月9日のフライデーから、シネ・リーブル梅田ほかで上映。
本作は2017年製作の、スウェーデン・デンマーク・ドイツとの合作による、フィンランド映画116分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒHelsinki-filmi Oy, 2017
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本作はゲイにまつわる映画であり、実在したゲイの人間ドラマ映画だ。
ゲイ映画はかつては、ゲイ&レズ映画祭が毎年開催されるほどの盛況ぶりだった。
ゲイやレズへの偏見を解消する点もあったように思うが、映画として、ボクは鑑賞しているので、ゲイやレズへのどうのこうのは全く気にならない。
むしろ偏見の視点を、主人公の逆境としてドラマに織り込めば、よりドラマティックなヒューマニズム映画に、なっていくのではないだろうか。
ゲイ映画のルーツ作品かどうかは分からないけど、ボクが初めて見たゲイ映画は「真夜中のパーティー」(1970年製作・アメリカ映画)だった。
当時、社会現象を巻き起こしていたアメリカン・ニューシネマの、大きな柱の一つに「男の友情」があったが、
「真夜中のパーティー」は、ニューシネマの1本として捉えられることもあり、男の友情と男同士の恋愛は、ボク的にはさほどの差異は感じなかった。
しかし、現実の社会では、今なお厳然とゲイやレズへの偏見が、こびりついていることは確かだ。
例えば、ミュージシャンでは、クイーンのフレディ・マーキュリーや、エルトン・ジョンらがいるが、
前者を主人公にした「ボヘミアン・ラプソディ」(2018年・アメリカ・弊ブログ分析済み)は大ヒットし、後者も「ロケットマン」(後日分析)が8月23日に公開される。
特に、後者の場合、息子がゲイだった点が、たとえ息子がアーティストとして成功したとしても、
親子の仲を断絶させる一つの理由に、なっているところは衝撃的だった。
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本作も当然偏見がある。しかし、あまり目立たない。
唯一の家族・妹の理解を得ての、兄のゲイ関係とゆうのもいい。
ゲイと普通人の交流、あるいは相克、そして、ストレートな恋愛など、ゲイ映画は多彩に可能性を広げてきたが、
ゲイたちがパーティを開く「真夜中のパーティー」の密やかなノリは、本作にはない。
また、実話系の「ミルク」(2008年・アメリカ)などの、シリアスで虐げられ系のナイーブなところもない。
兵士としても戦中からゲイであった、フィンランドの主人公は、戦後にはゲイ向きのイラストを描いて、
アメリカのその種の雑誌へ密かに送って採用され、それがアメリカのゲイたちの間で、大ブレイクするのだ。
しかも、彼のファン代表が、アメリカへ彼を招待する。でもって、大きな盛り上がりを見せるのだ。
内密にやっていた「真夜中のパーティー」の、堂々たる進化バージョンだと言えるだろう。
ゲイ映画の新たな地平を切り拓いた作品だ。
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本作のフィンランド人監督、ドメ・カルコスキは、本作のあと、「ロード・オブ・ザ・リング」のタイトルで映画化された「指輪物語」で有名な、
自国の作家トールキンの実話ベース映画「トールキン 旅のはじまり」(8月30日公開・後日分析)を、ハリウッド資本で撮り上げている。
本作の実話映画の出来が、ハリウッドの映画会社の目を、瞠らせるものだったと言えるのではないか。
とゆうことで、本作を見て、実話とはいえ、監督の映画作家としての、ケレン味ぶりを見てもらいたい。

2019年8月 5日 (月)

「世界の涯ての鼓動」⇒ヴィム・ヴェンダース監督の新作

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ジェームズ・マカヴォイと、アリシア・ヴィキャンデル
2人のラブストーリーが、ドラマティックに展開
8月2日のフライデーから、キノフィルムズ/木下グループの配給により、
TOHOシネマズ シャンテ、大阪ステーションシティシネマほか、全国順次のロードショー。
本作は、2017年製作のイギリス映画112分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2017 BACKUP STUDIO NEUE ROAD MOVIES MORENA FILMS SUBMERGENCE AIE
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ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の新作だ。
とゆうことで、ここで監督のマイ歴代ベスト・ファイブを、順不同で披露してみよう。
①本作
②パリ、テキサス(1984年製作)
③ベルリン・天使の詩(1987年)
④ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年)
⑤東京画(1985年)
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●監督の作品を、ボクは全て見ているわけではないけども、
アート映画を中心に、バラエティーに富んでいると思う。
音楽ドキュメンタリーの歴史的傑作④があるかと思えば、
アート映画の宝庫の、カンヌ国際映画祭で受賞した②(パルム・ドール)③(監督賞)、
小津安二郎監督にオマージュを捧げた⑤など、
ある意味では、1980年代に映画作家としての、ピークだったと思われがちだ。
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しかし、ドキュの傑作④をものしているように、1990年代以降も気を吐いているし、
ほぼ毎年作品を届けてくれている。
21世紀以降に発表した作品には、巧拙さまざまだけど、
本作はその中でも、最高傑作になったんじゃないだろうか。
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アート映画よりの監督なだけに、直球のラブストーリーや家族ドラマはあまりない。
ボクの見た範囲では、最高傑作の②みたいに、
夫妻・家族のキズナ・ラブストーリー・ドラマは、分かりやすくて貴重だけど、
本作もまた、監督作品にはあまりない、キズナなラブストーリーへと、フォーカスしている。
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ただ、その作りは、フツーのラブストーリーのノリではない。
このあたりに、映画作家としての、監督のこだわりが見え隠れする。
テロ防止のミッションを帯びた、スパイ役主人公・ジェームズ(ジェームズ・マカヴォイ)と、
海洋学者役のヒロイン・ダニー(アリシア・ヴィキャンデル)。
こんな2人が、ノルマンディーの海辺のホテルで、出会って恋に落ちる。
その恋は束の間のものではなく、
お互いに運命の出会いだと、認識するものだった。
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それぞれの2人が、バカンス先からいったん別れたあとは、2人の任務・行動を、カットバック的に描いてゆく。
主人公はスパイ映画的行動、
片やヒロインは「アビス」(1989年)みたいに深海探索をする。
つまり、前半はラブストーリーであり、
後半は、この2人は果たして再会できるのかに、焦点が絞られてゆくのだ。
すれ違い恋愛ものは数多い。
また、再会を果たすハッピーな映画も、同じくらい多い。
どちらに転ぶのか、ハラハラドキドキで見れる映画なのだ。
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「恋では人は死なない」などの、印象的なセリフ。
風の使い方、映画的ロングショットとアップのバランス。
弦楽オーケストラを基調とした、サントラ使い。
ハリウッド恋愛映画とアート系恋愛映画の、狭間をゆく作りが、渋くて素晴らしい。
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しかも、泣ける映画でもある。
悲しくて泣けるのか、感動的で泣けるのか、
劇場にてご確認ください。

2019年8月 4日 (日)

「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」⇒日曜邦画劇場

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ゲーム原作映画の、歴代マイ・ベストに入る傑作だ
山崎貴、佐藤健、有村架純らのオリジナル性が光る
8月2日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒ2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会
ⓒ1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNS OFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
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アニメ映画ながら、ゲーム原作映画の新たな作品の登場だ。
ゲーム原作映画には、年間ベストテン級はないとゆう、都市伝説的な定説がある。
そのあたりを覆すべく、その種の映画のマイ・ベスト・ファイブを、順不同で披露してみよう。
①劇場版ポケットモンスター・シリーズ(第1弾は1998年製作・日本映画)
②バイオハザード・シリーズ(第1弾は2002年・アメリカ)
③本作(2019年・日本)
④ストリートファイター(1994年・アメリカ)
⑤トゥームレイダー・シリーズ(第1弾は2001年・アメリカ)
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●実写版とアニメ版をバランス良く選んでみた。
①②⑤のシリーズものを主にしたけど、ヒット・シリーズにおいても、映画史に残るべくな作品たちだ。
単発系アニメでいけば、本作は「ファイナルファンタジー」(2001年・アメリカ)以上に、登場人物たちが、リアルかつビビッドに弾ける作品となっている。
日本産ゲームは、ハリウッドでも注目されているが、本作もまた、「ファイナルファンタジー」と同じくらいに注目されているはず。
①がハリウッド実写版「名探偵ピカチュウ」(2019年・アメリカ・弊ブログ分析済み)として、リメイクされたように。
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本作はファミコンのゲームソフト原作でも、日本のゲームの嚆矢的なヒット作品である。
何度か映画化されようとしてきたけども、21世紀も19年を迎えて、遂に映画化された。
その功績は、日本の実写映画におけるVFX・CGを、ハリウッドばりに進化させた山崎貴によるところが大きい。
本作では監督ではなく、脚本で見事なところを見せつける。
原作にはない、オリジナルなところをラストの方で、唖然と驚かせるようなカンジで披露してみせる。
つまりは、サプライズと、どんでん返し。
トンデモナイ面白さを付加してみせた。
いわば「マトリックス」3部作シリーズ(第1弾は1999年)のような、仮想現実を反映させたその作りは、思わず拍手を送りたいくらい、冴えまくっていた。
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ゲームのファンにとっては、すぎやまこういちの、お馴染みの交響曲シンフォニーは、そのまま採用されている。
ドラマのキメとなるところで、サントラとして絶妙に披露される。
そして、声優陣にも当然注目だ。
主人公・リュカの声を担当した佐藤健。
ヒロイズムあふれる声だ。
リュカの相棒の戦士役の有村架純。
男まさりのアクションに見合った、タイトでスリリングな声を披露していた。
フローラ役の波瑠を始め、坂口健太郎、山田孝之、安田顕、井浦新など、
キャラクターに合わせた声優ぶりにも、また魅せられる映画だった。

2019年8月 2日 (金)

令和元年8月1日時点の暫定マイ年間ベストテン

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●日本映画

①長いお別れ

②町田くんの世界

③半世界

④愛がなんだ

⑤盆唄

⑥タロウのバカ(9月6日公開)

⑦火口のふたり(8月23日公開)

⑧泣くな赤鬼

⑨ワイルドツアー

⑩夜明け

 

●外国映画

①バーニング 劇場版(韓国)

①運び屋(アメリカ)

③女王陛下のお気にいり(イギリス)

④シャドウ影武者(中国・9月6日公開)

⑤ブラック・クランズマン(アメリカ)

⑥ハッピー・デス・デイ(アメリカ)

⑥ホームステイ ボクと僕の100日間(タイ・10月6日公開)

⑥存在のない子供たち(レバノン・8月2日大阪公開)

⑨アマンダと僕(フランス)

⑨希望の灯り(ドイツ)

⑨COLD WAR あの歌、2つの心(ポーランド)

⑨金子文子とパクヨル(韓国)

⑨アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場(フィンランド・8月2日大阪公開)

 

●気の向くまま気ままに毎月変わってゆく、暫定年間マイ・ベストテン。

この7月は、邦画は先月のままですが、洋画に新たな動きがありました。

チラシ画像だけを取り込みましたが、新たにチャート・インした3作は、全てがベストテン級の作りでして、

どのあたりの位置にすべきか悩んだ末に、同率順位とゆうカタチで入れてみました。

最終的には、3作がベストテン外になってしまうワケですが、今のところは、とりあえずこんなカンジでしょうか。

年末の最後の最後には、10作に絞ります。

下位に位置する作品にしても、鑑賞後の余韻の深みによっては、上位に持ってくることも大いにあります。

とゆうことで、新たに入れた青色で示した3作についてですが、

「存在のない子供たち」と「アンノウン・ソルジャー」は、今週分析いたしました。

残る1作の「シャドウ影武者」。

公開直前もしくは公開1週目の時に、後日分析いたしますが、前振りとして数行コメントを申しますと…。

チャン・イーモウ監督の新作。

「HERO」(2002年製作・中国)「LOVERS」(2004年・中国)の、スタイリッシュかつ華麗なる武侠アクションとは様変わり。

流血おびただしいバイオレンスな作りになったけど、その斬新な映画的撮り方には目を瞠ってしまう。

黒澤明「影武者」(1980年・日本)や、

悲劇性においては、シェークスピア悲劇に基づいた黒澤の、「蜘蛛巣城」(1957年・日本)にも肉迫する作りになっています。

とゆうことで、後日の分析をお楽しみに。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2019年8月 1日 (木)

フィンランド映画「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」

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ハリウッド級の戦争映画大作だ
壮絶な展開が待ち受ける
彩プロの配給により、8月2日の金曜日から、シネ・リーブル梅田、8月3日の土曜日から、京都シネマなどで上映。
本作は、2017年製作のフィンランド映画132分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒELOKUVAOSAKEYHTIǑSUOMI 2017
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第二次世界大戦の頃に、フィンランドとソ連の間で戦争が勃発した。
映画史上初めて描かれる戦争であり、第二次大戦下なのに、ナチスが戦いの中に出てこない、稀有な戦争映画となった。
日本の北方領土問題のように、ソ連はフィンランドに侵攻し、領土を奪った。
その領土を取り戻すべく、フィンランドはソ連と戦うのだ。
しかも、ナチの支援を得るとゆう展開だが、そのあたりは流すようなカンジで、詳細には描かれない。
フィンランド軍の視点から、奪われた土地へと前進行軍するスタイルで、まずは描かれる。
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森林や野原での地上戦が、敵側ソ連をあまり出さずに展開。
川を渡り、雨中を行進してゆく。雪中行軍もあり。
戦争ロードといえば、「プライベート・ライアン」(1998年製作・アメリカ映画)や「シン・レッド・ライン」(1998年・アメリカ)などを思い出すが、
ハリウッド映画ほどの製作費は、投入されてはいないらしいが、フィンランド映画史上においては、過去最大の製作費が投入された。
だから見ていて、ハリウッド級と見まがうような作りになっている。
はっきり言って、ハリウッドの戦争映画と言っても、いいくらいの仕上がりだ。
「1シーンに用いられた最大の火薬量」の点で、ギネス記録に認定もされた。
戦争映画ファンの期待は、決して裏切らないだろう。
 
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群像劇としての面白さも見逃せない。
いろんな人たちがいる。仲間同士でいがみ合ったりする。
束の間の休暇には、家族の元へ帰ったり、恋をしたり、遂には結婚式までやってまう。
そして、それぞれの兵士たちが再集結し、クライマックスの壮絶な防衛戦が繰り広げられるのだ。
過去のカットを挿入しつつ、死んでゆく兵士たち。
目を覆いたくなるくらいの、悲惨なシーンが次々にやってくる。
めまいにも似た気分が襲ってくる、後半の凄まじい展開には、言葉が出てこない。
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弱者が強者にやられるとゆう戦争映画だが、しかし、救いのシーンもいくつか用意されている。
何はともあれ、フツーの戦争映画じゃない。
ある意味、戦争映画の定番を覆すような作りが、強烈至極だった。
劇場にてご確認ください。

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