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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年7月の記事

2019年7月31日 (水)

オーストラリア映画「ブレス あの波の向こうへ」

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サーフィン青春映画の会心作
人妻との不倫もあり
7月27日から、新宿シネマカリテほか、全国順次のロードショー中。
関西では、8月2日からシネ・リーブル梅田などで上映。
本作は、2017年製作の、オーストラリア映画115分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2017 Screen Australia, Screenwest and Breath Productions Pty Ltd
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本作は、1970年代のオーストラリアを舞台にした、サーフィン青春映画である。
サーフィン映画と言えば、その嚆矢とも言えるドキュメンタリーの「エンドレスサマー」(1966年製作・アメリカ映画)に加え、
ドラマ映画としては、ベトナム戦争時のアメリカを背景にした「ビッグ・ウェンズデー」(1978年・アメリカ)などが、
サーフィン映画の、バイブル的作りをなしていたかと思う。
でもって、本作もまた、サーフィンに青春を懸けるノリは、「ビッグ・ウェンズデー」と変わらない。
さらに、主人公少年と人妻との不倫も挿入し、「おもいでの夏」(1971年・アメリカ)っぽい、青春のビター・テイストを取り込んだ。
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2人の少年をサーフィン指導する男に、本作の監督でもあるサイモン・ベイカーが演じた。
オーストラリア出身の彼だが、「プラダを着た悪魔」(2006年・アメリカ)などで、イケメン俳優をやっていたけど、
一方で、サーファーとしての技量はプロ並みらしい。
本編でサーフするシーンは、CG加工など一切なし。
そのビビッドなリアル感は、本作の大きなハイライトだろう。
2人の少年への指導ぶりも、サーファーとしてのプライドにあふれていて素敵だ。
彼のヨメ役は、アンニュイでセクシーなエリザベス・デビッキが演じた。
ダンナがいない間に、主人公の少年を誘惑し、やりまくる日々のシークエンスは、サーフ映画に新たなフックをもたらした。
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21世紀になって以降は、サーフィンのコンテストものとか、サーファーの泣ける実話ものとかが輩出されたけれど、
本作はサーフィンはあくまでメインではなく、少年の成長物語に焦点を当てている作りになっている。
青春の苦味や甘味がフレキシブルに描かれ、少年の心理へと迫ってゆく。
青春の光と影が、サーフィンを媒介にして描かれた快作だった。
   

2019年7月30日 (火)

レバノン映画「存在のない子供たち」

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少年映画のかつてない傑作

今年の洋画ベストテン級映画だ

http://www.sonzai-movie.jp

8月2日のフライデーから、シネ・リーブル梅田ほかでロードショー。

本作は、2018年製作の、フランスとの合作による、レバノン映画125分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹ⓒ2018MoozFilms

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弊ブログ7月16日付けの「僕はイエス様が嫌い」のところで、ボクは下記のように書いた。
「少女視点・少女映画もあるが、本作は、少年視点による少年映画の王道編だ。
大人の視点が一切入らない、この種の映画の傑作には、
映画的に特殊性や作家性を持たせるために、ある種の設定、あるいは舞台背景が設定される。
主に多いのが、邦画に限らず、戦争時代を背景にした映画だろうか」と。

 

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本作の舞台設定は、戦下とゆうか、内乱かしましき国において、2派のリッチな人種と虐げられる系人種に分かれて、

そこに、不法滞在の人種も絡んで、極端な特殊設定の国内事情の中で、展開する少年映画である。

両親を訴える、息子少年とゆう裁判が行われる冒頭から、異質で異能な少年映画の世界が始まる。

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虐げられる貧しい家系に育った、由あって働けない両親と、兄妹らの少年少女たち。

貧しさゆえに、両親は自分の子供を利用して、生き延びようとする。

愛しの妹を、両親を抑圧する大人に、無理矢理嫁がせたことから、少年は両親に反発し、家を出る。

少年のサバイバルの始まりだ。

無垢な少年映画の多い中で、少年は大人びてメッチャまともでしっかりしている。

こおゆう少年を捉えた映画は、おそらくかつてないであろう。

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ここで、個人的に大好きな少年映画の、マイ・ベスト・ファイブを、順不同で披露してみると…。

①本作

②誰も知らない(2004年製作・日本映画)

③ブリキの太鼓(1978年・西独&ポーランド&フランス)

④E.T.(1982年・アメリカ)

⑤スタンド・バイ・ミー(1986年・アメリカ)

●少年映画のバイブルとも言える人口に膾炙した④⑤は、別格として、

戦時下のナチス抑圧を、少年を媒介として象徴的に描いた芸術映画③も、かつてない少年映画だったが、

少年サバイバルものとしては、②と本作は双璧と言ってもいい作りを施している。

時代背景は微妙に違うが、戦時・内乱・不景気時代の少年映画としては、本作の方が②以上に逼迫したものがあった。

特に本作は、少年が懸命に生きていく点においては、チョイ大人すぎないかと思いつつも、リアルかつ説得力ある作りになっている。

黒人の赤ん坊との2人暮らしのサバイバルは、チャップリンの「キッド」(1921年・アメリカ・モノクロ・サイレント)の、ドラマイズムを凌駕するリアルがあった。

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手持ちカメラによる、グラグラ不安感をあおる近接撮影を含め、セリフ少なめの描写に徹した作りといい、

「自転車泥棒」(1948年・イタリア・モノクロ)などを代表とする、イタリアン・ネオリアリズムなタッチといい

バリバリの映画ファンも、うならせる作りはメッチャ強烈至極だ。

少女ものなら、ボク的最高傑作の「禁じられた遊び」(1952年・フランス・モノクロ)と、匹敵するような、少年ものの傑作。

 

2019年7月26日 (金)

菅田将暉主演「アルキメデスの大戦」

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戦艦大和誕生秘話を捉えた作品だ
菅田将暉と柄本佑のコンビネーションぶりに注目!
7月26日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。
本作は2019年製作の日本映画130分。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒ2019「アルキメデスの大戦」製作委員会ⓒ三田紀房/講談社
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戦艦大和がどのようなプロセスを経て、造られたのかを描く大和メイキング映画。
大和そのものが主役となる「男たちの大和」(2005年製作)へとつながっていく映画だが、
本作は冒頭で、大和が壊れ沈没していくシーンを、本作の山崎貴監督お得意のCG・VFXを駆使して、
大スペクタクル映画な強烈なインパクトを見せる。
「男たちの大和」のクライマックス並みのシークエンスが、いきなり披露されるのだ。
 
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そんなスペクタクルから始まると、戦争映画アクションを思わず期待してしまうが、
実はその後は、室内の机上における、戦艦大和の設計や見積もり検証に費やされる。
しかし、これがスリリングで波乱に満ちた展開が待っているのだ。
1933年の戦争前のことだ。
戦艦・母艦の設計・ミニチュア・見積もりを、対立する海軍の2派から、海軍省のプレゼン会議に提示された。
その2派とは、山本五十六少将(舘ひろし)と嶋田繁太郎少将(橋爪功)。
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山本五十六と言えば、戦争映画では何度も採り上げられた、「真珠湾(パールハーバー)攻撃」を指揮した人物であり、
映画でも「連合艦隊司令長官 山本五十六」のタイトルで、1968年と2011年の2回などで採り上げられて、
ある意味映画映えする、ドラマ映えするような、歴史上における重要人物である。
過去には、そんな山本五十六役に、三船敏郎、役所広司らが演じたが、戦火の最中なので、むしろ逼迫節が見られたが、
本作で演じる舘ひろしは舘流と言ってはなんだが、冷静沈着にして穏やかである。
そして、好感ある演技を見せる。
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そんな五十六に見出されたのが、東大中退の天才的数学者・櫂直(菅田将暉)だ。
相手方は巨額の金がかかりそうなのに、正当見積もりの五十六側より、安い製作費を提出していた。
間違いなく不正な見積もりだ。
本当の数値を出してもらうべく、五十六は櫂を抜擢したのであった。
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五十六の指令だが、海軍少尉(柄本佑)を部下にして、櫂の机上の戦いが始まる。
菅田将暉と柄本佑の相棒コンビネーションぶりは、本作の大いなる見どころとなった。
さらに、菅田を慕う令嬢(浜辺美波)との麗しきエピソード。こちらも重要だ。
そして、鶴瓶や國村隼らベテラン陣の渋き演技に加え、菅田と敵対する田中泯の、ねっとりした演技節。
演出面においても、計算された作りがなされていた。
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さてはて、本作はコミック原作である。
骨太感あるコミック原作映画は、これまでにもあったけど、本作は、その究極型を示す作品だった。
とゆうことで、今夏のマイおすすめ大作として提示する。

2019年7月25日 (木)

韓国映画「ヒョンジェ~釜山港の兄弟~」

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相克する兄弟を描く犯罪アクション映画だ
韓国映画らしい大仰な徹底ぶりが凄い!
7月26日の金曜日から、ブロードウェイの配給により、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほかで、全国順次のロードショー。
本作は2017年製作の韓国映画114分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
ⓒ2018 CION Pictures All rights reserved
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双子の兄弟(兄役=チョ・ハンソン、弟役=ソンフン)のキズナとゆうか、
キズナよりもお互い敵対する方向性で描かれた作品。
同じ韓国映画なら、「マイ・ブラザー」(2004年製作)や「ブラザーフッド」(2004年)のような、ベタベタな感動ではなく、
いがみ合うところにおいては、ある種バイオレントな作りになっている。
港町を背景にした兄弟ものとしては、バイオレンスに帰趨した、アカデミー賞作品賞受賞作「波止場」(1954年・アメリカ)的ノリがあるかもしれない。
その兄役主演だった、マーロン・ブランドのような、ワイルドなインパクトはないけども、
兄弟共に、クールイズムに徹した演技ぶりを見せる。
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1996年~1998年頃の釜山。
両親を亡くし施設で育った兄弟は、施設長の娘を巡って、密やかなる三角関係になっていた。
そして、娘が事件に遭う。
この過去のエピソードやらは色褪せた配色で、現代との交錯の中で、時おり挿入される渋い作りになっている。
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そんな事件から20年後が現代編だ。
兄は刑事になり、弟はマフィアの後継者になっていた。
刑事と犯罪者とゆう、相反する立場になってしまったとゆう設定は、極端でわざとらしいけど、
いずれにしても、ドラマ映えするシチュエーションである点は間違いない。
弟が神を信じない無神論者だとゆう設定も、ドラマのクールさを助長する。
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この立場違いの2人が「インファナル・アフェア」(2002年・香港)ばりに、お互い牽制し合いながら、戦ってゆくわけだが、
そこに、娘の過去の事件も絡み合って、究極の犯罪映画アクトへと展開してゆくのだ。
近接撮影によるアクション・シーンの数々は、ビビッドでこたえられないものになった。
穏健派なチョ・ハンソンの、刑事らしくない演技。
対して、非情性を打ち出した、映画初出演のソンフン。
この対比演技ぶりは、ドラマティックな効果をもたらしている。
 
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でもって、とんでもく凄まじい結末が待っているので、みなさんのそれを見る覚悟は、およろしいでしょうか。
何はともあれ、ココロして見てくだされ。
ラストロールで流れる、チョー・ヨンピルの演歌ポップス「釜山港へ帰れ」には、ボク的には、チョイ「驚き桃の木」(今や死語だが、チョー・ヨンピルが日本でヒットしてた頃の流行語)だった。
日本の元祖K-POPを、流すあたりのセンスもまた、衝撃的で良かった。
 

2019年7月24日 (水)

「よこがお」

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異彩を放つヒロイン映画の妙
主演・筒井真理子と深田晃司監督の、絶妙コラボレーション
7月26日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、テアトル梅田ほか全国順次のロードショー。
文=映画分析研究所 所長 宮城正樹
ⓒ2019 YOKOGAO FILM PARTNERS & COMME DES CINEMAS
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みなさん、筒井真理子ネーさんを知ってるかい?
いやはや、知っていようが知らなかろうが、恐れ入る演技派女優だ。
本作監督の深田晃司との「淵に立つ」(2016年製作・弊ブログ分析済み)で魅せた、複雑系の心理演技は、本作でも遺憾なく発揮されている。
介護ヘルパー役に似合う演技を見せつつも、静かに壊れてゆく心理を、緻密に演じてみせた。
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筒井ネーさんと絡むのは、主に絡むのが市川実日子ネーさん。
筒井がヘルパー先で市川のおばあちゃんを介護し、その縁で市川と仲良くなるけど…。
そして、事件が起こる。
筒井の妹の息子が、市川の妹を誘拐とゆうか、拉致して捕まったことから、市川家から筒井は解雇され、市川との間にも亀裂が生じる。
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難題がいくつも襲ってくる、ヒロイン映画の典型的な作りの映画だ。
「嫌われ松子の一生」(2006年)ほど、悲惨系ではないけども、「花も嵐も踏み越えて」な、たくましきところの肝っ玉ある映画でもない。
でも、筒井ネーさんは、自分なりにそれなりに、対応してゆくのでありました。
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市川ネーさんの、いつもながらのぶっきら棒節も、筒井ネーさんの胸にこたえるカンジの演技で、
また、美容師役の池松壮亮の飄然節も、筒井を悩ませる演技になっていた。
いやはや、ヒロイン筒井ネーはどないするのか。
試練の向こうにあるものとは…?
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堕ちるヒロイン映画を、自然ななりゆきで魅せてゆく映画だった。
でも、堕ちてゆくだけじゃオモロナイ。
ヒロインの逆襲もあるかもね。
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「淵に立つ」では、弊ブログで深田監督インタビューを掲載しましたが、さてはて、最後に、私家版・深田監督のベスト・ファイブを、順位通りに披露してみよう。
①淵に立つ
②歓待(2010年)
③さようなら(2015年)
④本作
⑤ほとりの朔子(2013年)
●①②の闖入者によって変形していくような家族ドラマこそ、彼の真骨頂だけど、
③はSF映画。でもって、
ヒロイン映画の本作や⑤も、女性心理を中心に、演出していく面白さがある。
女性映画のユニークなタッチとスタイル。
タイトル通り、各人の横顔を採り上げる映し方もいい。
本作はそんなユニークさに、魅せられた作品だった。

2019年7月23日 (火)

アイスランド映画「隣の影」

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嗚呼(ああ)!アイスランド映画だぜ
ヒッチコック・サスペンスなノリの映画になった!
7月27日のサタデーから、ブロードウェイの配給により、ユーロスペースほか全国順次のロードショー。
本作は、2017年製作の、デンマーク・ポーランド・ドイツとの合作による、アイスランド映画89分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
2017ⓒNetop Films, Profile Pictures, Madants
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嗚呼!アイスランド映画を、みなみな様、見たことがあるかい? 
単館系だけど、イロイロ日本公開されているんだけど、実はボクなんかも、あんまし見ていないとゆう、テイタラクぶりなんだ。
少年たちを描いた「ハートストーン」(弊ブログ分析済み)などは見てるよ。
まあ、見てるのは10本そこそこだけど、
アイスランド舞台を標榜した映画よりは、アイスランドに関わらず、普遍的なテーマやエンタをポイントにした映画の方が、印象に残る作品があるように思う。
そして、本作は、普遍的であり、誰にでもよく分かる、日常系サスペンスにフォーカスしている。
 
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嗚呼!アイスランド映画で、サスペンス映画といえば、アメリカとの共作によるSFサバイバル・サスペンス「死の谷間」(2015年・弊ブログ分析済み)なんかも見たけど、
アメリカ資本が入ると、どちらかといえば、ハリウッド映画のインディーズ・ノリになるようだった。
それは、ハリウッド映画チックを、低予算で作るようなノリだろうか。
他国との共作となった本作も、そんなノリがないとは言えない。
けれど、ボク的には、アイスランド映画で、この日常の普遍的サスペンスは、日常を描く映画はあったかもしれないが、サスペンス・ノリは貴重に思った。
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嗚呼!アイスランド映画だけど、ヒッチコック・サスペンスなテイストが何やらあるぞ。
日本的には、テレビの二時間ドラマ・サスペンスは、今は少し衰退してるけど、
二時間ドラマに限らず、刑事が必ず登場するようなタッチのサスペンスではない。
夫妻の軋轢、隣家同士のいがみ合い。
それらが映画ドラマ的に、既視感ある風でありながらも、
意図的ではなく、見ていて自然に手に汗握るサスペンスを作っていくのだ。
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嗚呼!アイスランド映画らしさを、いかにも垣間見せないところに、ボクはこの映画が気に入った。
内緒でAVに出演した夫に、離婚の引導を渡した妻。
家を追い出された夫は、実家に出戻ったけど、そこでは隣家の夫妻と両親との間で、トラブルが静かに進行していた。
夫妻問題映画や隣家・隣室とのトラブル映画は、ケッコーあるけれど、
これらを複合させた上で、しかもシンプルな作りとゆうパターンはあまりない。
報復のやり合いのあとにある、ストレートな展開と皮肉な結末。
異彩にしてゾゾゾ・ゾクッとくる、面白さのある映画だった。

2019年7月19日 (金)

韓国映画「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」

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韓国映画が魅せるスパイ映画とは?

南スパイが北に潜入する面白さとは?

http://www.kosaku-movie.com

7月19日のフライデーから、ツインの配給により、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほかで、全国順次のロードショー。

本作は2018年製作の韓国映画137分。

ⓒ2018 CJ ENM CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

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本作は、韓国のスパイ映画である。

スパイ映画は、韓国に限らず、これまでにもイロイロあった。

マイ・ベスト&カルト・スリーを、まことしやかにこのブログで、披露したこともあった。

ちなみにスパイ映画のルーツといえば、

女スパイを描いた「マタ・ハリ」「間諜X27」(共に1931年製作・アメリカ映画)で、両作とも第一次世界大戦を舞台にしていた。

むしろ男優より、女優がスパイ役で行く方が、オモロイやろと思われたんやろか。

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しかし、シビアなスパイ映画は、第二次世界大戦後の東西冷戦を、主にベースとして繰り広げられた。

娯楽として見せる「007」なんかの方が、圧倒的に大ヒットしていたし、「MIP」や「ボーン」シリーズなんかも展開している。

但しいくらエンタとはいえ、実話をベースにしたスパイ映画には、リアリズムにおいてはかなわない。言うまでもなく、007な娯楽作とは、一線を画する作りになる。

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東西冷戦はもちろん、二つに分かれている国家のスパイ映画が、

映画的王道アクション・エンタな「007」などとは真逆となる、シリアス性をもたらすのだろうが、

ハラハラドキドキなサスペンス度合いは、同じ種類のものだとボクは思うのだ。

北と南に分かれた朝鮮半島の韓国では、スパイ映画のいくつものハラドキ作品が、作られているし、作られ続けている。

そして、本作は、北のスパイが南に潜入する作品ではなく、その逆バージョンとなった。

あまりない設定だ。

北の経済効果を増すための、営業活動と捉えて、工作員役のファン・ジョンミンは、何と金正日にまで会うのである。

そこまでには、殺されかけたり、命がけのシーンが当然ある。

その後にしても、波乱な危険な行動・活動ぶりが続くのだ。

そのたんびに、つまりは、ハラハラドキドキってワケ。

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1992年頃から、スパイとしての仕込みを開始する。

最初の方では、ろくでなしのアル中を演じていたファン・ジョンミンだが、次第に本気にスパイらしくなり、遂には1995年から1997年にかけて、目ざましい活躍を見せていく。

緻密に計算された、冷静沈着な演技ぶりは、彼の最高演技ぶりだと言っても、決して過言ではない。

ボク的には、「二重スパイ」(2003年・韓国)よりも、面白いスパイ映画だった。

 

2019年7月18日 (木)

「チャイルド・プレイ」

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あの快作シリーズが、21世紀に戻ってきたぞ!
怖くないコミカル・ホラーが、メッチャ怖くなってリターンだ!
7月19日のフライデーから、東和ピクチャーズの配給により全国ロードショー。
本作は、2019年製作のアメリカ映画90分。「R-18+」指定映画。
ⓒ2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved CHILD`S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation All Rights Reserved.
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1970年代の「エクソシスト」(1973年製作・アメリカ映画)の衝撃以来、綿々と製作・公開され続けてきた、ホラー映画の系譜。
そんな中、1980年代末に現れた、ホラーはホラーでも、怖くない、ある種カワイイくらいの、
コミカル・ホラーとして登場した「チャイルド・プレイ」シリーズ(1988年~2004年・アメリカ・全5作)。
コミカル・ホラーの嚆矢なあのシリーズが、
21世紀も、2010年代の後期に戻ってきたぞい。
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あのシリーズの、でも、バディ人形ことチャッキー人形は、今作では、吊り目の怒りの尖り目ではなく、
アイドルチックなおっきな目になった。
それでいて、元祖チャッキーよりも、よりバイオレントで過激な性格を有している。
たがために、「R-15」指定なんかに指定されちゃった。
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ホンマのホンマに、ハンパない過激で衝撃的だ。
そんな人形の誕生は、人形工場での悪意に満ちた従業員の設定により、善意ある人形が悪の権化たるものに転化した。
そして、そいつが市場に流通し、本作主人公の少年(ガブリエル・ベイトマン)の母(オーブリー・プラザ)を経由して、
息子への誕生日プレゼントとして、少年の元に届けられたのだ。
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あのシリーズのセオリー通り、少年の相棒として、喋るチャッキー人形は機能していく。
だから、少年の想いが、チャッキーの行動に、全て反映されるのだ。
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だから、少年の嫌いな人間は、少年の心理を読んで、チャッキーは抹殺してしまうのだ。
まず、その犠牲になるのは、母の彼氏である。
少年の嫌いなそんな彼氏を、チャッキーが斬首する残虐ぶりは、目を覆いたくなるほどだ。
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あのシリーズは、ディープ・インパクトに進化した。
再シリーズ化されれば、さらに過激度合いは増していくだろう。
コドモには見せられない、大人のための過激ホラーへと、変身していくのである。
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あのシリーズのハチャメチャなノリは、でも健在だが、
今回新たに設定された、チャッキーが歌を歌うシーンの、何とも言えなさは、寒々しくココロを震えさせる作り。
モチ、前シリーズにはなかったノリだ。
前向きな歌を、暗く歌う。
これはチャッキーの性格を示す、新たなフック・ポイントとなっている。
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あのシリーズのリメイク・リブート・リターンは、
何はともあれ、チャッキー・サポーターには嬉しい限り。
本作からチャッキーのトリコになる人へも、ぜひとも推薦したいホラー作品だ。

2019年7月16日 (火)

「僕はイエス様が嫌い」

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少年映画の初々しい快作
若き監督・奥山大史(ひろし)の才能がほとばしる!
ショウゲートの配給により、大阪ステーションシティシネマほかで上映中。
ⓒ2019 閉会宣言
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少女視点・少女映画もあるが、本作は、少年視点による少年映画の王道編だ。
大人の視点が一切入らない、この種の映画の傑作には、
映画的に特殊性や作家性を持たせるために、ある種の設定、あるいは舞台背景が設定される。
主に多いのが、邦画に限らず、戦争時代を背景にした映画だろうか。
「少年時代」(1990年製作)とか、「美しい夏キリシマ」(2002年)などの名作が、それに当たる。
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一方、少年映画の少年映画たる、純粋無垢に帰納する映画もある。
古くは、小津安二郎監督のユーモアチックな「生れてはみたけれど」(1932年)や、
文学小説を原作にしたオオマジの「次郎物語」(1955年)などだが、
本作は、特殊設定ものと純潔ものを、程よくブレンドした作品になった。
しかも、何作も映画を撮ってる手慣れた監督や、巨匠監督によるものではない。
20代の監督、奥山大史が撮り上げた作品であり、その初々しさが光る快作となっている。
スペインの「サンセバスチャン国際映画祭」で史上最年少の22歳で、最優秀新人監督賞をゲット。
その映画作家性にも、注目してもらいたい作品だ。
 
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都会から田舎に来た少年とゆう設定は、疎開してきた「少年時代」を想起させるが、
ナイーブさ加減においては、本作の主人公は「少年時代」の少年と変わらない。
ミッション系の学校に通い、サッカーに興じる友達もできる。
ごくごくフツーの少年時代が淡々と描かれてゆく。
しかし、特殊設定としては、彼の前に時々、ミニチュアなイエス・キリストが現れることだ。
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本作をフツーの少年映画にしていないところは、ココにある。
神頼みとゆう言葉がある。でも、彼は神なんかに頼っていない。
そんな彼に唐突に、彼にしか見えない、神の子イエス様が現れるのだ。
そのタッチは、ユーモラスにして、まるでかわいいちっちゃなペットが、現れたノリなのである。
このセンスこそが、本作のオリジナル・ポイントとなるところだろう。
そんなイエス様が、ペット並みに頼りないところもまた、面白い。
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少年の友達のオカン役で、佐伯日菜子ネーさんが出演。
若き頃の作品「毎日が夏休み」(1994年)とほとんど変わらない、自然体系演技が、本作に大きなフックをもたらしていた。
そして、主人公少年役の佐藤結良クン。
悲喜こもごもを、無表情で演技する演技ぶりには、逆にインパクトをもたらした。
ミニ・イエスとの関わりにおいても、それがどうしたとゆうカンジが、なんや知らん、メッチャええやん。
悲しい話なのに、暗みのない作りも良かったと思う。

2019年7月14日 (日)

「アンダー・ユア・ベッド」⇒日曜邦画劇場

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高良健吾が妄想男を怪演
「R-18」指定の衝撃に満ちた作品
7月19日の金曜日から、テアトル新宿ほか、全国順次のロードショー。
本作は2019年製作の、日本映画98分「R-18+」指定。
ⓒ2019映画「アンダー・ユア・ベッド」製作委員会
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ストーカー映画とゆうか、男の妄想系の映画なんだけど…。
でも、男にとってシャイな作りといい、
片想いながらも、好きな恋する愛する彼女を、守ってあげたいとゆう、
男にとって、普遍的なヒロイズムといい、
メッチャ共感できる作りになった、
大人のための「R-18」指定作品。
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この種の、一方的な男や女の偏執・変態チックな、片想い映画となれば、ケッコーあるんだけど、
でも、本作の男(高良健吾)の場合は、かなりとクセのあるユニークな、キャラクター付けとなった。
ナイーブな男。目立たない男。孤独な男。友達は誰もいない。
孤独映画には「タクシードライバー」(1976年製作・アメリカ映画)のように、戦争帰りで鬱屈したとかゆう時代性があったけど、
本作の高良クンの場合は、社会性や現代性とは少し違う。
未だかつて、名前で呼んでもらったことがない男とゆう設定など、ありえないところがある。
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しかし、大学時代に、名前で呼んでくれた女の子(西川可奈子)がいた。
高良クンはそんな彼女にハマッてしまうのだ。
2人を結ぶのは、高良クンが好きな、グッピーとゆう観賞小魚だ。
男は女にグッピーを届けようとした。
そんな過去の大学時代の、エピソードのナゾがある。
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過去と現在が交錯する。
現在は、男は観賞魚を売る店の店主。
女は既婚してるけど、ダンナからドメスティック・バイオレンスされている。
男は店に来た、男を覚えていない女に、過去から引きずる想いもあって、
近くに住むその女に接近し、盗聴器を家の各所に付け、カメラで監視するのでありました。
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夫から虐待される彼女の姿が、「R-18」に指定されているように、
メッチャエゲツナイカンジで披露される。
何とかそんな彼女を守ってあげたい。
そのために、彼はどうするのか。
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妄想か現実か。
セックス・シーンや殺人シーンが、アレアレオイオイとゆうカンジで描かれる。
彼女を彼が救い出すシーンは、ホントなのかウソなのか。じっくり見ていただきたい。
冒頭の夫と彼女の濡れ場を、ベッドの下にひそんで聞いている彼・高良クンの姿から、映画の中に引き込まれるが、
そこへ到る過程、そして、その後の話など、スリリングかつサスペンスな、ハラハラドキドキで描かれていく。
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「屋根裏の散歩者」(1976年)とか、「陰獣」(1977年)とか、
江戸川乱歩原作映画チックな怪しさ・妖しさのある映画だった。

2019年7月11日 (木)

フランス映画「田園の守り人たち」

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女たちの農業映画なんてどうよ!
何やらエロティックでもあるんだぜ!
7月6日のサタデーから、岩波ホールほか、全国順次のロードショー。
関西では、7月19日からテアトル梅田、7月20日から京都シネマなどで、上映。
本作は2017年製作の、フランス・スイス合作の135分。
ⓒ2017 - Les films du Worso - Rita Productions  - KNM - Pathe Production - Orange Studio - France 3 Cinema - Versus production - RTS Radio Television Suisse
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農業を媒介にして、人間ドラマ、家族ドラマを、展開していく映画。
漁業・林業・畜産業などもあるけれど、
ここでは、大地を耕す農業系に特化して、その種のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露すると…。
●ベスト⇒①南部の人(1945年製作・アメリカ映画・モノクロ)
②裸の島(1960年・日本・モノクロ)
③天国の日々(1978年・アメリカ・弊ブログ分析済み)
●カルト⇒①本作
②にがい米(1948年・イタリア・モノクロ)
③ブルゴーニュで会いましょう(2018年・フランス・弊ブログ分析済み)
●全ての作品が農業とゆう日々の営みの中で、人間関係の多彩なドラマが、静かに繰り広げられる。
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ベスト①②はある意味で地味な作りだ。
だけど、カルトはユーロ映画がメインになったけど、
ボク的には、シルヴァーナ・マンガーノ主演のカルト②のように、
農業なのに女優の魅力が、はちきれそうな作品に、ついついココロ奪われてしまう。
ワイン作りの実際を、詳細にドラマティックに描いたカルト③、
そして、本作は、地味な農作業を描きつつ、女たちのドラマが密かにクールに紡がれながら、
最後には、悲喜こもごもの、何とも言えないところへと着地する。
加えて、テレンス・マリック監督の傑作ベスト③の、ビミョーかつシニカルな視点も、付加された快作となった。
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第一次大戦下で男たちが戦場で戦う中、家業を守る女たちとゆう、戦時下の映画は、これまでにもあった。
宮廷舞台ながら、今年公開の傑作「女王陛下のお気にいり」(2018年・イギリス・ブログ分析済み)も、同様のテーマ性がある。
でもって、本作は戦場シーンを描かずに、女たちの守る側を、全編にわたって展開していく。
母とヨメ入り娘(実の母娘・ナタリー・バイとローラ・スメットの共演)に加え、
母が雇った孤児院育ちの、天涯孤独な女(本作のオーディションで選ばれたイリス・ブリー)が、必死に農作業にいそしむ。
のイリス・ブリーが、シルヴァーナ・マンガーノ並みに、ココロ魅かれる演技をしていたと思う。
彼女と、戦場から休暇で帰ってくる次男との、悲恋なども、かなりシビアな設定だが、戦争悲恋ものの在り方も示している。
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ミレーの名画「落穂拾い」や「種をまく人」的な、芸術的農作業カットな構図に加え、
それを長回し撮影で披露していくなど、細部の描写も、ウーンと唸る作りになっている。
「神々と男たち」(2010年・フランス)で、カンヌ国際映画祭グランプリをゲットした、グザヴィエ・ボーヴォワ監督の、映画作家性が遺憾なく発揮された。
また、「シェルブールの雨傘」(1964年・フランス)などの音楽監督ミシェル・ルグランの、遺作となった作品でもある。
そのドラマティックでゴージャスなサントラ使いだが、
本作でも、フエとバイオリンとゆう限られた楽器の中で、静謐ながらも、シーンに合わせて琴線に触れるように、ビビッドに披露して見せる。
何はともあれ、必見の映画です。

2019年7月 9日 (火)

インド映画「SANJU サンジュ」

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実話系のヒューマン・ドラマ映画
インド映画の定番を覆す作品だ
京都シネマ、シネ・ピピア(7月27日~)ほか、全国順次のロードショー。
本作は2018年製作のインド映画159分。
ⓒCopyright RH Films LLP, 2018
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インド映画は今、どうなっている?
チョイ系譜的に見てみよう。
サタジット・ライ監督など、大河系の重厚なドラマがかつてはあったが、
1990年代の半ば頃から、長尺ミュージカル映画が本邦に上陸し始め、
21世紀前後に、日本のミニ・シアター系劇場で渋くヒットした。
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しかし、インド・ミュージカルの波は、長くは続かなかった。
21世紀以降、インド映画のヒットはあまりなかったが、2018年に「バーフバリ」が大ブレイク。
インド映画のエンタな全てを、凝縮した大作だった。
そして、本作の登場だ。
ヒューマン・ドラマ映画となれば、サタジット・ライ以降では、未公開の映画を含め結構あったのだが、
本作の監督ラージクマール・ヒラニ監督が撮った「きっと、うまくいく」(2015年)など、ハリウッド映画流のエンタと人間ドラマをミックスした作品が誕生したのである。
 
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インドの映画スターの実話だ。実話ベースと言えば、「ガンジー」(1982年)など、
ハリウッドやイギリスなどの資本が入った、インドを舞台にした映画はあるけど、インド製作となれば、稀少となる。
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映画スターを描いた映画は数多くあれど、これほど波乱万丈なタイプはあんましないだろう。
マリリン・モンローなどは、死の謎を絡めてサスペンス・タッチで描けるが、波乱は万丈ではない。
本作の主人公は栄光と挫折を体現、イロイロあって罪に問われ、長らく投獄される。
その過程で、恋のドラマがあり、友情のドラマがあり、家族のキズナ・ドラマがある。
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主人公スターの自伝を、書いてもらうとゆうイントロから、この種の映画の意外性を見せる。
彼に関わる女優たちも、キラキラ輝いていて、彼の凋落との段差を際立たせている。
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また、陰陽を兼ねる彼の生き方そのものが、ドラマティックでもあるので、ヒューマン・ドラマとしても、抑揚の効いたシブミあるものになった。
インド映画に特有な、ミュージカル・シーンもいくつか挿入される。
ということで、本作は、現代のインド映画の在り方を示す快作となった。

アキラ100%出演「こはく」

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驚きのアキラ100%と、井浦新の共演映画だ
父子のキズナを、父を探しての視点で描く
7月6日よりユーロスペース、シネマート新宿ほか、全国順次のロードショー。
本作は2019年製作の日本映画104分。
ⓒ2018「こはく」製作委員会
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幼い頃に蒸発した父を探す、兄弟を描く映画。
地方ロケ映画が続く井浦新と、芸人アキラ100%(実名の大橋彰名義)が、兄弟役で共演した作品。
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本作は長崎ロケ映画だ。
長崎ロケによる家族映画となれば、
「TOMORROW 明日」(1988年)や「母と暮せば」(2015年)など、戦時下の原爆絡みに名作があるが、
現代を描く映画では、さだまさし原作映画の「精霊流し」(2003年)「解夏」(2003年)などがある。
しかし、戦争絡み以外には目立った作品は、ないように思われるが、決してそうではない。
低予算ながらも、胸にググッと食い入る映画はある。
そんな1作が本作である。
情緒や泣きがある「精霊流し」と同じく、本作にも泣きのポイントはある。
ただしかし、本作の泣きは泣きを誘発するものではなく、もっとずっと自然な作りになっている。
お涙ちょうだいではなく、見ていれば自然に涙が流れてくる作りなのだ。
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セピアの海辺の夕景を、兄弟2人が眺めるシーンが、
幼い頃と大人になった時の2バージョンで披露されるが、この対比が本作の行方を大いに左右する。
父への想いが深まるシーンでもある。
そんな2人が大人になってから、父を一緒に探すことになるのだ。
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父や母を探すとゆう行動は、
母を探して何千里などがあるように、コドモたちを主な主人公にして、ロードムービー仕様になるのが定番だけど、
本作は成人兄弟が、ワケありの父を、いろんな大人の事情を踏まえつつ、
長崎県内を探しまくるとゆう設定になっている。
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父との過去が脳裏にチラつく、壊れかけの父の会社を継いだ、妻(遠藤久美子)帯者の弟役。
複雑系の心理演技を、演技派の井浦新が、演技派を見せない自然体を通して演じる。
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また、驚きなのは、アキラ100%とは真逆の、大橋彰のシリアスな演技だ。
本作のサプライズは、感動のラストシークエンスよりも、アキラ100%にあるのかもしれない。
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鶴田真由や鶴見辰吾の登場も、もちろん驚かせてくれる。
そして、父子のキズナの感動節。
家族の泣ける系に着地する、日本映画の伝統的なノリに、いつになく感動できる作品だった。

2019年7月 5日 (金)

「Diner ダイナー」⇒週末日本映画劇場

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藤原竜也主演映画
特殊設定のアクションが目に焼き付く
7月5日の金曜日から、全国ロードショー。
ⓒ2019「Diner ダイナー」製作委員会
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藤原竜也主演映画。
ということで、ここで、彼の主演映画の、各順不同で、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露してみよう。
●ベスト⇒①バトル・ロワイアル(2000年製作)
②パレード(2010年)
③藁の楯(2013年)
●カルト⇒①本作(2019年)
②僕だけがいない街(2016年)
③カイジ 人生逆転ゲーム(2009年)
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藤原竜也主演映画には、ある種の特徴がある。
基本はミステリアスなアクション系。
そして、それらの映画で披露される演技性は、
究極の試練を課せられた中で、
どう生き抜いてゆくのかがポイントになっている。
冷静に対処したり、逼迫したりと、
1本の映画の中で、この2面性がいったりきたりする、
パターンが多いのだが、どちらかに比重が偏る場合が当然ある。
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冷静対処系にシフトした演技性・アクションでいくと、
ベスト②③カルト②などと、本作は同等のように思われる。
しかし、クールイズムに徹した点においては、本作がイチバンであろうか。
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ベスト①の頃の、過激アクションと非情系演技へと、
リターンしたような映画である。
但し、サバイバル系の映画ノリの中で、ベスト①にあったように、
ヒロイン(玉城ティナ)と最後には、ココロ通じ合わせるところは、
好感ある作りになっている。
ヒロインを守るとゆうヒロイズムを見せる映画としては、
カルト②と双璧の出来だと思う。
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藤原竜也主演映画に、付きものといえば、あり得ない特殊設定である。
あるいは、本人がフツーの人間のようであっても、犯罪者役であっても、
異能な存在感を示す点だ。
そのあたりが、顕著に顕現したのが本作である。
まさに、藤原竜也のために、作られた映画にも思える。
真矢ミキたちとの最終決戦は、トンデモない作りで、目が点になるに違いない。
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闇の殺し屋たちが集う、ダイナーとゆうのが設定され、
藤原竜也はそこの店主にしてシェフ。
彼もまた、元殺し屋だ。
そんなとこへ、ワケありの玉城ティナが、拘束されて連れてこられ、
藤原竜也の助手として、無理矢理働かさせられる。
集う客はメッチャ変な者ばかり。
窪田正孝、本郷奏多、斎藤工やらが、そんな妙なクセモノぶりを、絶妙に演じている。
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蜷川実花監督作品だ。
藤原竜也にとっては、彼女のおとうさん故蜷川幸雄に、演劇で鍛え上げられた経緯もあり、
何やら運命的なつながりを感じた。
蜷川実花監督らしい色彩感あふれる中で、渾身の藤原竜也流演技を披露していたのには、とても印象深かった。
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音楽監督・元モンドグロッソの大沢伸一の、デジタル・サントラ使いも、舞台背景にはピッタリ。
ラストロールで流れる、DAYOKOとMIYABIによる、ピコピコ・ナンバーも、本作の異世界感を反映していた。

2019年7月 4日 (木)

「劇場版パタリロ!」

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コミック原作によるミュージカル映画の快作だ
ただ今、ヒット中!
6月28日の金曜日から、HIGH BROW CINEMAの配給により、全国順次公開中。
ⓒ鷹夜峰央・白泉社/劇場版「パタリロ!」製作委員会2019
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日本映画のミュージカル映画となれば、古今より、あんましエエもんがないとゆうのが、定説になっていた。
しかし、ブロードウェイほどのゴージャス感やキレはなくとも、邦画には邦画らしいノリのある、娯楽作品がある。
とゆうことで、邦画ミュージカルの、マイ・ベスト・カルト・スリーを、順不同にて披露してみると…。
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●ベスト⇒①モテキ(2011年)②嫌われ松子の一生(2006年)③ニッポン無責任時代(1962年)
●カルト⇒①本作②少年たち(2019年)③舞妓はレディ(2014年)
●岡本喜八監督による「ああ爆弾」(1964年・モノクロ)やベスト③の、賛否両論・物議をかもした映画以来、
松竹・東映・日活にも、面白い作品があるけれど、
ミュージカル映画のブランドは、ベスト①②カルト③など、東宝映画とゆうことで、脈々と続いてきた経緯がある。
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しかし、大手の東宝以外にも、時代時代に応じて、イロイロ多彩な作品が出てきている。
2019年の現代においても、異色ながらも、本作やジャニー喜多川原作のカルト②などが、輩出されている。
その2作に共通するキー・ワードは、1970年代だ。
1970年代に舞台初演を迎えたカルト②。
でもって、本作は2010年代に舞台化・映画化されたけど、
原作となったコミックは、1978年から雑誌連載されたものである。
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大作感は本作にはない。
だが、小演劇で何が表現できるのかを、追求した舞台版に続き、そのインディペンデント・スピリッツに満ちた作りは、
まさにクセになり、まさに理屈抜きに楽しめる作品となった。
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映画らしくCG・VFXを駆使しながら、四つ巴にわたる対決が展開してゆく。
男同士のキス・シーンなんか妙にそそられた。
そんな中で、いろんな大ヒット映画が引用されているのも、面白い。
「スター・ウォーズ」から「インデペンデンス・デイ」などが想起される。
 
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昭和ミュージカル的な色彩も強い。
また、チャッチーな歌からキャッチーなダンス・ナンバーまで、ストーリー展開に合わせた、ギャグチックに展開しつつも、
ある種本格的でもある、ミュージカル・シーンの造形ぶりは、特筆すべきところだろう。
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舞台版の役者たちが、映画でもケッコー演じているのだけど、
そんな中でも、パタリロ殿下を演じた主演の加藤諒には、
そののほほんぶりといい、お気楽ぶりといい、肩の力を抜いた演技ぶりに魅せられた。
単館系ながらも、渋くヒット中のこの映画。
みなさんの期待を、決して裏切らない作品になっています。

2019年7月 3日 (水)

フランス映画「アマンダと僕」

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今年のベストテン級の映画だ
大人と少女のキズナが胸に染みる
7月5日のフライデーから、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。
本作は、2018年製作の、フランス映画107分。
ⓒ2018 NORD-QUEST FILMS-ARTE FRANCE CINEMA
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少女もの映画の宝庫でもある、フランス映画界から、新しいタイプの少女映画が登場した。
「禁じられた遊び」(1952年製作・フランス映画)の戦時とは違い、
本作は現代のテロリズムが背景になっている。
大人と少女のキズナを描く映画でもある。
「ロリータ」(1962年・イギリス/1997年・アメリカ)や恋愛系「シベールの日曜日」(1962年・フランス)は、特殊で論外かもしれないが、
本作は、叔父(ヴァンサン・ラコスト)と姪(イゾール・ミュルトリエ)の、深きキズナを描く映画だ。
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親が死んで、親族の誰かが、1人になった少女を引き取るタイプの映画で、思い出されるのは、
例えば、松山ケンイチと芦田愛菜が共演した「うさぎドロップ」(2011年・日本・弊ブログ分析済み)なんかだけど、
大人と少女のおのおのの立場やキモチを、ナイーブに捉えた意味においては、本作は圧倒的であり、
最後の感動も、押しつけがましくない作りになっている。
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オカンと娘少女の間で、映画の冒頭で話される、エルヴィス・プレスリーにまつわる逸話が、本作の感動の大きなキーワードになっている。
「エルヴィスは建物を出た」の言葉は、つまりエルヴィスはもうコンサート会場にはいない。
だから、みんな出待ちしても無駄だよという話なんだけど、
少女はオカンのテロによる死によって、その言葉が終了の意味で、胸に刻みつけられるのだ。
 
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一方、少女を引き取る、叔父サイドの心理について。
オカンと叔父は、仲のいい姉弟だが、2人の親は今は近場にはいない。
だから、少女を引き取ることになるなら、独身の叔父になってくる。
でも、叔父は彼女もいて、少女の面倒をみることに躊躇し悩む。
そのあたりの心理描写かつ心理演技は、緻密で巧妙だった。
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叔父と姪少女のキズナ描写が、本作のメイン・テーマだとは思うが、
それに到る過程を含めて、一筋縄ではないところが、ミソでもある。
ストレートのように見えながら、複雑な心理を交錯させるとゆう、
これまでの大人と少女のキズナ描写には、なかった作りを施しているのだ。
 
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そして、叔父と姪のラストシーンのやり取り。
「もうおしまいよ」
「いや、終わりじゃない」
胸にしみじみとクルシーンである。
このシーンだけで、本作は年間マイ・ベストテン級映画になった。
映画評論家筋や一般大衆でも、ベストテンに入るだろう。
間違いない!

「COLD WAR あの歌、2つの心」

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冷戦時代のロミオ&ジュリエット
クールでシニシズムある悲恋ラブストーリー
6月28日の金曜日から、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル梅田ほかで、ロードショー。
本作は、2018年製作の、イギリス、フランスとの合作によるポーランド映画。モノクロ88分。
ⓒOPUS FILMp.zoo./Apocalypso Pictures Cold War Limited/MK Productions/APTE France Cinema/The British Film Institute/Channel Four Television Corporation/Chanal+Poland/ED1 Lodz/Mazowiechi Instytut Koltury/Instytucja Filmowa Silesia Film/Kino Swiat/Wbjewodzld Dom Kultury w Rzeszowie
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東西冷戦時代に、東と西に引き裂かれた2人の、悲恋系ラブストーリーだ。
「ロミオ&ジュリエット」を始め、悲恋ラブはこれまでに数多くあれど、
そんな系列に続くように、クールでシニカルなラブストーリーになった。
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さて、本作はモノクロで描かれる。21世紀になって以降も、モノクロ作品は時おり輩出される。
若い世代の人たちが、モノクロ映画を避けるような、今の時代において、 モノクロで撮る意味とは何だ? 
その検証の前に、21世紀のモノクロ映画(一部カラーになる、パートカラー映画含む)の、
各順不同で、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露してみよう。
●ベスト⇒①本作②ニーチェの馬(2011年製作・ハンガリー映画・弊ブログ分析済み)③白いリボン(2009年・オーストリア)
●カルト⇒①アーティスト(2011年・フランス・ブログ分析済み)②グッドナイト&グッドラック(2005年・アメリカ)③ユリイカ(2001年・日本)
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●全ての作品が映画作家性を志向する作品だ。
そして、舞台はカルト③を除いて、現代ではなく過去を描いている。
アメコミ原作のSF系「シン・シティ」(2008年・アメリカ)などは異例として、過去を描くにはモノクロが最適であり、
しかも悲しい話となれば、よりその悲しみが、胸にクル作りになってくるだろう。
暗い時代を反映する意味でのモノクロ選択もあり、本作もそうだけど、
サイレント時代のハッピー恋愛を描いた、アカデミー作品賞のカルト①とは、全くもって好対照な恋愛映画となっている。
ユーロ映画にモノクロ作品の傑作が多いのも、今作の紹介であらためて感じ入った。
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ソ連支配下の1949年の、ポーランドから物語は始まる。
西へ亡命する主人公(トマシュ・コット)のコンサートマスターは、いたってマトモで熱情的だが、
一緒に亡命しようと持ち掛けて、結局約束の場所に来なかった、歌手のヒロイン(ヨアンナ・クーリク)の設定は、父親を殺した過去があり、
冷戦時代のクールイズムを、反映したような複雑系の、キャラクターに設定されている。
そこのところの妙味が、ロミオとジュリエットの直情系の恋愛ではなく、
不倫系ながら、変型のラブストーリーになっていて、
こんなラブもあるんだなーと、驚きつつ見入ってしまう作りになっている。
また、説明は少なく、描写に徹した作りになっていて、スクリーンの画面を、食い入って見ておく必要のある映画である点にも、ご注意!
 
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音楽ムービーとしての側面も見逃せない。
2人の行く末を暗示するようなバラッドを、ヒロインが歌い上げるシーンや、ロックに乗って踊るシーン、
さらに、2人のレコーディング現場の様子など、リアリティーある音楽性を示している。
ラストロールでは、切ないピアノ・ソロと、フィメール・ソロの、もの悲しいアカペラで締められて、より一層泣きの領界へと誘導していく。
ということで、アート系恋愛映画の傑作だ。

2019年7月 2日 (火)

今年の年間マイ・ベストテン(令和元年7月1日時点の暫定)

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●日本映画

①長いお別れ

②町田くんの世界

③半世界

④愛がなんだ

⑤盆唄

⑥タロウのバカ(9月6日公開)

⑦火口のふたり(8月23日公開)

⑧泣くな赤鬼

⑨ワイルドツアー

⑩夜明け

 

●外国映画

①バーニング 劇場版(韓国)

①運び屋(アメリカ)

③女王陛下のお気にいり(イギリス)

④ブラック・クランズマン(アメリカ)

⑤ハッピー・デス・デイ(アメリカ)

⑥ホームステイ(原題・タイ)

⑦アマンダと僕(フランス・6月22日東京公開・関西は7月5日から)

⑧希望の灯り(ドイツ)

⑨COLD WAR あの歌、2つの心(ポーランド・6月28日公開)

⑩金子文子とパクヨル(韓国)

●気分次第で毎月変わってゆく暫定ベストテンですが、

テン外から再びチャート・インしたり、順位がガラッと変わったり、洋画の1位は依然未確定だったりと、イロイロです。

今回新たに入ったのは4作。

チラシ画像だけを入れましたが、洋画の2作は今週分析紹介いたします。

邦画の「火口のふたり」は、荒井晴彦監督による、「R-18+」指定のメッチャヤラシー映画。

何が起ころうともセックスに興じる姿と、下ネタ会話の連続には、「愛のコリーダ」(1976年)も、唖然とさせるような映画だった。

菅田将暉と太賀が共演し、大森立嗣が監督した「タロウのバカ」。男たちの無軌道な行動ぶりが、青春のやるせなさを見せてゆく快作。

共に、公開直前の後日に分析いたします。

(選=映画分析評論家・宮城正樹)

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