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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年5月の記事

2019年5月30日 (木)

今年のマイ・ベストテン(令和5月31日時点の暫定)

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●町田くんの世界
(出演:細田佳央太・関水渚
/監督:石井裕也/6月7日公開)
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●泣くな赤鬼
(出演:堤真一・柳楽優弥
/監督:兼重淳/6月14日公開)
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●ハッピー・デス・デイ/ハッピー・デス・デイ2U
(出演:ジェシカ・ローズ
/監督:クリストファー・ランドン/6月28日・7月12日公開)
●日本映画
①長いお別れ
②町田くんの世界
③半世界
④愛がなんだ
⑤盆唄
⑥泣くな赤鬼
⑦チワワちゃん
⑧ワイルドツアー
⑨赤い雪
⑩夜明け
●外国映画
①バーニング 劇場版(韓国)
①女王陛下のお気にいり(イギリス)
①運び屋(アメリカ)
④ブラック・クランズマン(アメリカ)
⑤希望の灯り(ドイツ)
⑥ハッピー・デス・デイ/ハッピー・デス・デイ2U(アメリカ)
⑦パリ、嘘つきな恋(フランス)
 
⑧ホームステイ(原題)(タイ)
⑨ともしび(フランス)
 
⑩ガラスの城の約束(アメリカ)
 
●毎月月末か月初に披露している、その時点での暫定年間マイ・ベストテン。
この5月には、4作が新たにベストテンに入りました。
邦画2位の「町田くんの世界」。
学園ラブストーリーの、新たな次元へと入り込んだ作品。
悪意に満ちた現代の中で、キリストのように究極の善を示す、高校生町田くんの恋愛映画。
いやはや驚きの快作でした。後日分析いたします。
邦画6位の「泣くな赤鬼」。
高校野球ものの、これまた新次元を示した作品。
監督と選手の深きキズナを描いた作品。泣ける映画でもありました。
洋画6位の「ハッピー・デス・デイ」、その後編「ハッピー・デス・デイ2U」。
同じ日が何度も繰り返されるとゆう設定のもと、ホラー映画とSF映画の巧妙な融合を果たした、奇跡的な作品だった。
洋画10位の「ガラスの城の約束」(6月14日公開)は、アメリカン家族ドラマの滋味を伝える渋い作品。
新たにインした作品については、後日分析いたします。
(選=映画分析評論家・宮城正樹)

2019年5月29日 (水)

「パラレルワールド・ラブストーリー」

1_34
Kis-My-Ft2の玉森裕太・吉岡里帆・染谷将太の、不可思議な三角関係図だ
最後の最後まで騙されて見よう!
5月31日の金曜日から、全国ロードショー。
ⓒ2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会ⓒ東野圭吾/講談社
5_25
SFチックながらも、論理的な解決へと導かれる、ミステリー映画。
東野圭吾原作映画だ。
かつても披露したけど、東野圭吾原作映画のマイ・ベスト&カルト・スリーを、各順不同にて披露してみると…。
●ベスト⇒①秘密(1999年)②容疑者Xの献身(2008年)③ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年・弊ブログ分析済み)
●カルト⇒①本作②祈りの幕がおりる時(2017年・弊ブログ分析済み)③変身(2005年)
2_33
●本格ミステリーの巨匠・東野圭吾ながら、意外にも本格とは異能の、SFミステリーがケッコーある。
論理的には説明できない、ベスト①③、カルト③、そして本作。
しかし、あくまで設定ミステリーとしてのところであり、最後はその設定を踏まえた上での、論理性を示している。
中でも、本作はSFチックを最大限に引き出しながらも、アッと驚かせる論理性へと着地する、本格ミステリー映画だった。
小説をボクは読んでいたけど、長らく映像化不能と言われていただけに、この論理性は改めて凄いと思った。
4_26
2つの世界を、スライド・カットさせる作りを施している。
その2界は、ヒロイン(吉岡里帆)と主人公(Kis-My-Ft2の玉森裕太)が恋人か、恋人でないかという風に分離している。
この2界をどう論理的に説明でき、描写され得るのか、原作を読んでいても、メッチャトリッキーだった。
別次元では、ヒロインと恋人である染谷将太の存在が、物語をややこしいものにしている。
このあたりのトリックは、みなさん、推理しようなんてことはせずに、流れのままに見てほしい。
アッと驚くどんでん返しの妙。
そのサプライズの極みに、酔いしれてもらいたいがため。
3_31
玉森裕太や染谷将太、吉岡里帆らが、この謎を維持するために、あくまでとことん、ありのままの自然体で演技している。
ゆえに、騙され度合いは凄く高いのだが、何はともあれ、快く騙されてほしい。
特に、吉岡里帆の騙し方は、絶妙だったかと絶賛したい。
そして、ミスマッチなカンジで最後に流される、宇多田ヒカルの「嫉妬されるべき人生」。

 

 

 

https://utaten.com/writer/index/138

 

 

 

この曲によって、この映画の謎めきは、クライマックスを迎える。
まるで最初から意図されたようなこの作りに、ボクは魅せられた。
これは謎めきミステリーの新たな在り方だ。
いやはや、やられたね。

「ベン・イズ・バック」

1_33
マザーは強しを示す、ジュリア・ロバーツの会心作
息子との絆を含む、アメリカン家族映画
5月24日から、東和ピクチャーズの配給により、全国ロードショー。
本作は、2018年製作のアメリカ映画103分。
ⓒ2018-BBP WEST BIB, LLC
3_30
ジュリア・ロバーツがオカン役で活躍する、ママは強いを示す快作。
ということでここで、かつても弊ブログで披露したけど、
ジュリア・ロバーツの、マイ・ベスト&カルト・スリー(全てアメリカ映画)を、各順不同で披露してみると…。
●ベスト⇒①プリティ・ウーマン(1990年)②エリン・ブロコビッチ(2000年)③8月の家族たち(2013年)
●カルト⇒①本作②食べて、祈って、恋をして(2010年・弊ブログ分析済み)③ペリカン文書(1993年)
4_25
●決して映画的には、出来が素晴らしいとは言えないけど、彼女のエポックメイクな作品をベストに、
カルトはこれまでのイメージを、覆すような作品を選んだ。
彼女の最大ヒット作ベスト①、オスカー主演女優賞ゲットのベスト②、アメリカン家族映画の粋で魅せたベスト③。
そしてカルトは、意外性をポイントにした。
ヒロイン映画のフツーらしさを示した②、室内サスペンスの逼迫具合を示した③。
21世紀も10年代に入り、オカン役も演じるようになった彼女の、
ママ役の最高作が本作だ。家族映画としての絆でも魅せる。
2_32
2人のコドモがいる、シングルマザーのジュリアが、黒人男と再婚。
2人のコドモを儲けた。
そんなジュリアのコドモ・兄妹は、ハイティーン・エイジャーになっていた。
でもって、兄は薬物治療施設に入っていた。
そんな兄(ルーカス・ヘッジズ)が施設を抜け出して、クリスマス・イヴに自宅に帰ってきた。
そこで、ジュリア・オカンは、夫を説得し、数日くらい家族みんなで過ごそうとしたんだけど、
この兄には、過去の因縁でいろんな悪友がいて、問題が巻き起こってくるのだ。
 
5_24
でもって、息子は、悪い連中に拘束されてしまう。
ジュリア・オカンは、息子を救い出すべく、行動アクションするオカンになり、悪と戦うのであった。
オカンはオカンでも、娘を救うべくの「96時間」(2008年・フランス)のリーアム・ニーソンが演じたオトンばりに、やってまうのであった。
息子とのキズナも重要だが、ジュリアのそのお手並みこそが、本作の見どころとなっている。
ラストシーンとなる1分くらいの、アップによる長回しシーンは、余韻を深める印象深いシーンだった。
必見!

2019年5月24日 (金)

オールスター映画「空母いぶき」

2_30
和最初の日本映画大作だ
西島秀俊らが静かなるヒロイズムをカッコヨク披露する
5月24日の金曜日から、全国ロードショー。
ⓒかわぐちせいじ・惠谷治・小学館/「空母いぶき」フィルムパートナーズ
1_31
侵略を目的に、他国が日本を攻撃してくる、
いわゆる想定型戦争映画の大作。
オールスターとも言える、群像劇大作となった。
テロ映画や日本のクライシスに関わる日本映画の、
マイ・ベスト&カルト・スリーを、
各順不同で披露してみると…。
10_4
●ベスト⇒①男たちの大和/YAMATO(2005年)②日本沈没(1973年)③シンゴジラ(2016年)
●カルト⇒①本作②皇帝のいない八月(1978年)③亡国のイージス(2005年)
3_28
●実話となる過去の危機のベスト①、未来型の自然災害や、怪獣もののベスト②③など、
ベストはみなさんに、お馴染みのものを取り上げてみたが、
カルトは、未来型ながら、国内テロカルト②や、他国の侵略型カルト③や本作を選んだ。
そんな未来型の戦争を、リアル感に満ちて描いたのが本作であり、
江戸川乱歩賞作家の福井晴敏が、原作だったカルト③を、
さらに21世紀の現状に合わせて進化させてみせる。
福井晴敏が企画に関わっているのもいい。
5_22
そして、結果的には、ベスト①並みの、骨太感ある作品になった。
各男優陣がヒロイックに突き進んでゆくところに、アメリカン・ヒロイズム映画のようなスケールを感じさせる。
特に、西島秀俊の抑制されたヒロイック。
西島に絡む、佐々木蔵之介の静謐なやりとり。
友情節とかじゃない。これぞ男たちのキズナだ。
そこには、「八甲田山」(1977年)における、高倉健と北大路欣也的な、男たちの普遍的な感動節が感じられた。
6_17
もちろん、「空母いぶき」に乗る自衛隊の、乗組員たちのチーム・プレイや、心意気なんかも見どころとなっている。
一方で、助演陣たちにも注目したいところだ。
一時期オールスター・キャストのカナメだった、総理大臣役・佐藤浩市と、コンビニ店主役の中井貴一の、硬軟な助演ぶりの妙味とか、
空母に乗る記者役の本田翼の、スクープ精神あふれる男っぽさとか、
斉藤由貴の、原点回帰したような、のほほんなとこなど、
繊細なヤワな部分も入れつつ、魅せてゆく作りは、
日本映画らしい、ハリウッド映画にはないところだろう。
8_9
驚きもケッコーある。「ビッグコミック」からの、コミック原作だとゆう点も、その一つになるだろうか。
コミック原作映画のイメージを覆している。
最後には主題歌を流すのが、定番の邦画大作の流れの中で、
岩代太郎のピアノ協奏曲を、サントラにした点も、新鮮な驚きがあった。
4_23
サスペンス「ホワイトアウト」(2000年)、企業映画「沈まぬ太陽」(2009年)など、
大作系の映画を撮り続けてきた、若山節朗監督がメガホンを執った。
ということで、今年最高級のオールスター映画に、なっているのは言うまでもない。
7_13
令和最初の邦画大作を、ぜひみんなで見に行ってください。

「武蔵-むさし-」

1_32
宮本武蔵映画時代劇への、郷愁に満ちた快作品だ
 
クライマックスはモチ、巌流島での佐々木小次郎とのバーサスだ
5月25日の土曜日から、ロードショー。
ⓒ2019 三上康雄事務所
3_29
名作が居並ぶ宮本武蔵時代劇に、21世紀の今に、あえて挑戦した意欲作だ。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した、シリーズ化された稲垣浩監督の「宮本武蔵」(1954年製作)や、
内田吐夢監督による「宮本武蔵」シリーズ(第1弾は1961年)など、
そうそうたる傑作があるのだが、三上康雄監督は、その高いハードルに挑んでみせる。
2_31
1600年の天下分け目の、関ヶ原の大決戦直後の実話だ。
宮本武蔵(細田善彦)の剣戟が繰り返されてゆき、そして1612年。
佐々木小次郎(松平健)との、巌流島でのガチ対決をもちろん、クライマックスにしている。
5_23
オールド宮本武蔵映画ファンを、うならせられるかどうかはともかく、
今の若い人たちが本作を見たら、どんな感想を覚えるだろうか。
激しいアクションを期待するだろうが、
100人斬りとか、なで斬りにしていくコミック原作の「あずみ」(2003年)のような、ミラクルなとこもあるけど、
もっとずっとリアルに満ちている。
7_14
武蔵VS小次郎の対決は、ドラマティックになされるが、
しかし、時代考証によるものだが、皮肉なところもある。
実は、爽快ストレートで、豪快果敢な時代劇と、ゆうわけにはいかないのだ。
4_24
そのあたりのビミョーな演出ぶりは、三上監督の腕の見せどころだと言えるだろうか。
脱色したような薄色や、薄紅フィルター入りといったとこもありで、色使いにも気を配っているようだった。
サントラは三味線サウンドで通したところも、よかったと思う。
メジャー監督デビュー作「蠢動-しゅんどう-」(2013年・弊ブログ分析済み)でも見られたが、
剣士のやるせない心理に食い入った作りも、またよかった。
6_19
新人・細田善彦のまっすぐな演技、
それを受ける松平健の、落ち着いた柔軟な演技の対比。
目黒祐樹、若林豪ら、時代劇的に映える、ベテラン陣のシブミに加え、
水野真紀や遠藤久美子ら、女優陣のソフトリーな優しさも、2人の対決に見事なフックを加えていた。
テレビの大河ドラマはあったけど、21世紀初の宮本武蔵映画と言っていい本作は、
時代劇への郷愁を、込めたような哀愁にあふれている作品だった。

2019年5月23日 (木)

シリーズ最新作「貞子」

2_29
世界にとどろく「リング」シリーズの最新作だ
呪いの謎解きホラーに原点回帰した1作
5月24日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、全国ロードショー。
ⓒ2019「貞子」製作委員会
1_30
ハリウッド映画でのリメイク2作を含めた、「リング」シリーズ(第1弾は1998年製作)の第10弾。
このシリーズは実は、観客を怖がらせることをポイントにした、ホラー映画ではないと、ボクは分析する。
それについて、少々語ってみよう。
3_27
鈴木光司が書いた小説「リング」は、1991年にミステリーの公募新人賞「横溝正史賞」に応募されて、最終候補の3作に選ばれたが、受賞には到らなかった。
ホラー小説がまだ日本には定着していなかった時代であり、
ホラー要素のあるミステリーとして描かれた本作は、時代を先取りしていたがために、受賞できなかったのだ。
しかし、「リング」は上梓され、評判を呼び、二時間のテレビドラマ化された。
そして、ベストセラーとなり、映画化されたのだ。
つまり、「リング」はホラーよりも、ミステリーの要素が強いのである。
7_12
本作は鈴木光司が、角川ホラー文庫で書き下ろした「タイド」が原作。
「リング」で示したトリッキーなところを、SNS時代に合わせて、書き直したようなカンジだが、
今の時代に見合ったトリッキーを披露している。
怖さよりもトリッキー。
「リング」の原点に立ち返ったような作品だ。
6_16
井戸で死んだ貞子が、VHSに呪いを念写し、そのVHSを見た人が、ダビングしてほかの人に1週間以内に見せれば、難を免れるとゆう設定。
そして、それが効かなくなるとゆう、どんでん返しがある「リング」のトリックは、SF的超常的ではあるが、ボクは本格ミステリー的でもあると思うのだ。
でもって、本作もまた、撮った者が殺されるとゆう設定ながらも、
ホラー的怖さよりも、ゲーム的ながら謎解きミステリーに、こだわった作品になっている。
4_22
「リング」第1弾を監督し、ハリウッド・リメイクの1作も、監督した中田秀夫監督が、本作でもメガホンを執った。
貞子の造形ぶりなど、第1弾のノリは健在だ。
怖がるヒロイン役は池田エライザ。
怖がる演技はチョイ大げさだけど、エエ感じのヒューマニズムはにじみ出てる。
子役「姫嶋ひめか」も、みんなを怖がらせようと頑張った。
5_21
ともさかりえ、佐藤仁美らの、怖がらせる役とも見える、怪演技ぶりにも注目あれ。
また、塚本高史、池田エライザの弟役の清水尋也たちの、災難ぶりも、怖さよりも謎めきで魅せる。
洋画にはあまりない、人の呪いのホラーだが、さらにミステリー色を加えることで、
画期的なエンタをクリエイトした、このシリーズの、粋を魅せる最新作だ。

2019年5月21日 (火)

「コンフィデンスマンJP」

1_27
心地よく騙されるコンゲーム映画の粋
果たしてコレは正当か、みんなでリピートしよう!
5月17日の金曜日から全国ロードショー。
ⓒ2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会
2_26
フジテレビの連続ドラマの劇場版。
テレビの劇場版といえば、これまでに数多く作られてきたけど、本作のようなコンゲーム・ノリのドラマの映画化は珍しい。
悪い奴らを騙すとゆう、快感あるこの種のドラマ映画は、
映画では「スティング」(1973年製作・アメリカ映画)あたりから、本格的に出てきたものだろうか。
4_20
本作はそんなコンゲームでも、かなり進化したものをみせてくれる。
つまり、フツーのコンではなく、コンのさらにコンとゆうか、二重のトランプが用意された、トンデモゲームなのだ。
テレビ・ドラマでも見たと思うけど、本作はコンゲーム・トリオ(長澤まさみ、東出昌広、小日向文世)が、
香港にまで出っ張って、香港マフィアの女帝(竹内結子)の持ち物を、狙うとゆう構図のコンなのだが、
そこに、テレビ・ドラマの方でやられた江口洋介が、トリオへのリベンジで関わってくることで、複雑怪奇な様相を示してくる。
3_25
しかし、複雑というよりは、トリオ対女帝の構図で、ストレートに展開し流れてゆくので、メッチャ分かりやすい流れとなっている。
この分かりやすさが、騙しのツボになっているのが、本作のミソなのだ。
かつてあったコンゲームものの、裏返し・ドンデン返しをゆくのだ。
でもって、実は、そのミソは、最後の最後まで、分からないような、作りになっている。
9_3
モチ、全国拡大公開中なので、既に見た人は、分かってるというかもしれないけど、
でも、その伏線を含め、リピートして騙しのテクニックの妙味を、再確認するのも、エエんやないやろかー。
10_3
現在、テレビドラマは再放送されているが、トリオの3人の魅力に、まず目がゆく。
コメディエンヌとしての長澤まさみの魅力が、最大限に発揮された。
そして、彼女と幼なじみの、東出昌広の鷹揚たる演技に加え、
小日向文世のおとぼけぶり。
さらに、映画版では、騙しに情熱燃やす、織田梨沙が参入。
8_8
竹内結子を狙う、長澤まさみの元カレ・三浦春馬も絡んできて、
元カレの誘いに長澤まさみが乗って、仲間を裏切るなんて展開もある。
6_15
何といってもスゴイのは、竹内結子の存在だろう。
騙される竹内の反撃ぶり。
トリオの蒼白ぶり・あわてぶり。
そこに絡んでくる江口の、容赦ないストレートな攻撃。
とんでもない展開が、クライマックスで待ち受けている。
7_11
しかし、「スティング」の向こうをいくのは、ココからだ。
さてはて、コレは、観客に向けた正当な騙しぶり、コンゲームぶりなのか、
みんなで考えよう。
爽快だったとは、とりあえずボクは思う。
でも、しかし、もある。
そのあたりはリピートして、みんなで考えよう!

2019年5月20日 (月)

「アメリカン・アニマルズ」

1_28
ドキュメンタリー・ドラマで魅せる、高級品強奪犯罪映画
「オーシャンズ」シリーズ並みのハラハラドキドキが…
5月17日から、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋ほかで上映中。
本作は、2018年製作のアメリカ&イギリス合作映画116分。
ⓒAl Film LLC/Channel Four Television Corporation/American Animal Pictures Limited 2018
4_21
高級品強奪犯罪映画の最新作。
実話がベースとなっていて、実際の犯罪者たちへのインタビューとフィクション部が交錯する、いわゆるドキュ・ドラマとして作られた作品だ。
金塊奪取の「オーシャンズ11」(2001年製作・アメリカ映画)とか、銀行強盗ものなどの系譜となる犯罪映画だが、ドキュ部を採り入れたりと新味がある。
昨年公開された、タイの受験生たちによるカンニング犯罪の「バッド・ジーニアス」(2017年・タイ・弊ブログ分析済み)などの、新種タイプの犯罪ものだけど、
大学生たちによる、図書館所蔵の高級本を強奪し売って、大金を得るとゆうスタイルは、ある意味においては、オーソドックスな強奪ものと言えるだろう。
 
5_20
高級高額図書を閲覧した主人公が、友人に盗みを持ち掛けて、いろいろと相談。
故買屋に会いに行って、値を確認した上で、さらに2人の大学生に話を持ち掛けて、4人で奪取計画を練る。
その過程で、過去の名作犯罪映画が、セリフの中に出てくる。
隠し場所をポイントにした「ショーシャンクの空に」(1994年・アメリカ)とか、宝石強奪の「華麗なる賭け」(1968年・アメリカ)とか、仲間割れになる「レザボア・ドッグス」(1991年・アメリカ)とかだが、
それらの失敗談を検討し、計画をシミュレーションしていくシーンは魅せる。
映画を参考にするとこなんかも、映画へのオマージュも感じられてよかった。
 
2_27
歌ものサントラを流して、リズミックによどみなくシーンが流れていくが、
老人に化けて4人が犯罪に走る1度目は、失敗に終わってしまう。
そういう失敗も詳細に描いてるところに、実話ベースのリアリティーがある。
そして、2度目のチャレンジで…とゆう展開なのだが…。
彼らへのインタビューが最初から出てくるので、ああ、彼らは捕まったんだなとゆうことが分かる。
いわゆる、犯罪映画のネタバレとしては、最初からあえて、掟破りのスタイルを採っているのだ。
3_26
つまり、犯罪の成否のハラドキや、スリリング・サスペンスで魅せる映画ではないように見えるが、
コレが、犯罪後の各人の様子を、ベースにした「レザボア・ドッグス」並みに、面白く見せる映画になっていた。
どんな風に強奪をやり、どんな風に各人が逮捕されてゆくのか。
そこんところのハラドキに集約されてゆくのだ。
結末が分かっている、ドキュ・ドラマとしてのスリリングを、どのように見せてゆくか。
そのあたりのツボとミソを、心得た映画だった。
 

2019年5月16日 (木)

松坂桃李主演「居眠り磐音(いわね)」

2_25
松坂桃李初の時代劇で、硬軟両用を好演技
20世紀にはなかった、時代劇フレイバーに満ちて…
5月17日の金曜日から、松竹の配給により、全国ロードショー。
ⓒ2019 映画「居眠り磐音」製作委員会
1_26
松坂桃李が主演して、初めて時代劇映画に挑んだ作品。
1950年代の日本映画黄金時代には、時代劇はメイン・ソースともいえるものだったが、
最近は年間製作されるのは、10作にも満たなくなっている。
それでも、21世紀になっても毎年、黄金時代を髣髴、あるいはそれを超えるような快作・傑作が登場している。
ということで、21世紀製作の邦画時代劇(殺陣入り映画に限定)の、
マイ・ベスト&カルト・スリーを、各順位不同にて披露してみると…。
 
7_10
●ベスト⇒①たそがれ清兵衛(2002年製作)②十三人の刺客(2011年・弊ブログ分析済み)③座頭市(2003年)
●カルト⇒①本作②るろうに剣心(2013年・ブログ分析済み)③散り椿(2018年・ブログ分析済み)
●20世紀には映画化されなかったかと思うが、藤沢周平原作映画のベスト①など、21世紀的に初めて映画化される作家(佐伯泰英)の作品が本作だ。
「関ヶ原」(2017年・ブログ分析済み)や武蔵(5月25日公開・後日分析予定)などもいいんだけど、
結局それらは20世紀にも、何度も映画化された素材だった。
20世紀のモノクロ時代劇の快作を、カラーでリメイクしたベスト②③を、ベストにはしたけど、
20世紀には劇画原作などがあったが、コミック原作でシリーズになり、大ヒットしたカルト②など、殺陣カットの妙味を見せる作品や、
主演の岡田准一が考案した、自己流の殺陣シーンの新味を見せるカルト③など、
20世紀の時代劇にはなかった作品が、ケッコー出てきているのだ。そして、
そんな1作になるのが本作だと思う。
4_19
殺陣シーンのアクションはもちろん、
藤沢周平原作もので山田洋次監督が切り拓いた、
時代劇においては稀な、ラブストーリー性ある「隠し剣 鬼の爪」(2004年)や、夫婦愛の「武士の一分」(2006年)を、進化させるような作りになっている。
しかも、コレが何やら見ていて、もどかしい作りになっているのだ。
脱藩以来、離れ離れになってる、松坂桃李の妻を認じる芳根京子。
芳根京子との悩ましき恋に、松坂にサジェスチョンする木村文乃との間も、何だか恋模様に発展しそうだ。
5_19
もちろん、そんな恋模様も重要だけど、松坂桃李のヒロイズムにこそ、本作の妙味があることは言うまでもない。
やるせない幼なじみの親友との対決、
両替商の用心棒になって、2人の武士と対決する、
1対1の剣戟バーサス・シークエンスは、3シーンほどある。
8_7
敵と向かい合い立ち合う時、剣を下におろして構えないスタンスから、
居眠っている猫かいなと、道場の師範役、佐々木蔵之介から言われるけども、
自らもヤラレながらも、最後は斬ってみせる立ち合いシーンの連続には、ゾクゾクさせられた。
10_2
サプライズもある芳根京子の繊細さ、
木村文乃のアネさん系演技。
ピエール瀧の代役となった、奥田瑛二のワルぶりも良かった。
6_14
山田洋次監督を継ぐような、本木克英監督の渾身の、監督・演出ぶりにも注目だ。
「釣りバカ日誌」シリーズの何作かの監督もやったけど、
殺陣のない時代劇だった「超高速!参勤交代」(2014年・ブログ分析済み)、青春格闘映画「鴨川ホルモー」(2009年)、企業ミステリー「空飛ぶタイヤ」(2018年・ブログ分析済み)などに、
メッチャ魅せられてきたボクだけど、
本作が、監督の最高傑作じゃないかと思う。
コレはぜひとも、シリーズ化してもらいたい時代劇だ。

2019年5月14日 (火)

「僕たちは希望という名の列車に乗った」

1_25
実話ベースの共産圏の、学生たちの抵抗のドラマ映画
学園ドラマをひっくり返す作りに、唖然と感動が…
5月17日のフライデーから、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル梅田ほか、全国順次のロードショー。
本作は、2018年製作のドイツ映画111分。
ⓒStudiocanal GmbH Julia Terjung
2_24
東西冷戦の時代のお話だ。
東ベルリンの高校生たちの、ハンガリー動乱とゆう、他国の体制への抵抗運動に、賛意を示したことから、
政府筋から睨まれ、粛清されてゆくお話。
実話がベースになっている。
東ドイツのそうしたお話に関するドラマ映画の、マイ・ベスト・スリーを、順位通りにて披露してみると…。
①善き人のためのソナタ(2009年製作・ドイツ映画)
②本作
③東ベルリンから来た女(2013年・ドイツ・弊ブログ分析済み)
 
5_18
●ベスト①は、ベルリンの壁崩壊の1980年代が舞台。
そして、本作②と③は、1950年代のお話。
東ドイツの庶民・学生への、過酷さを示す意味においては、本作は③以上にシビアを示した作品になった。
ハンパじゃない。
大臣とその腹心の女が、究極のいじめのカタチで、高校生たちを追いつめてゆく。
そのやり方のエゲツナサには、目が点になってもうたで。
3_24
モチ、フツーの学園ドラマなんて、レベルを覆すような作りに、なっているのは言うまでもない。
誰が首謀者なのかを、特定していくプロセスには、これまたエゲツナサがある。
おいおい、こんな映画、最後まで耐えられて見えるのかよ、なんて観客への配慮も示したくなるくらいだ。
ソ連支配下の東ドイツだけに、学生たちの親たちは、ソルホーズ・コルホーズに強制的に入っているのであって、
製鉄・発電所などの労働者階級のもとの、学生が主人公であるけど、
彼の仲間たちとのキズナを深く描いた、キズナ映画の傑作にもなっているのが感動的だ。
 
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そして、サントラにも注目したい。
アメリカン・ニューシネマの「真夜中のカーボーイ」(1969年・アメリカ)のタイトなサントラ使いが、ドラマを際立たせていた。
サントラがドラマを映えさせる、格好の映画だった。
そしてそして、何といっても、結末の爽快さだ。
高校生たちが見せる、前向きなスタイル。
本作はそれがなければ、台無しになってしまうような映画でもあった。
そこがキチンと作られているのは、素晴らしい。
何はともあれ、みなさんに、胸を張っておすすめできる作品です。
 

2019年5月10日 (金)

アメリカン・ホラー「ラ・ヨローナ~泣く女~」

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「エクソシスト」公開の
時代が背景だ
怖がらせる系を旨とした
悪霊ホラーだ
5月10日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、全国ロードショー。
本作は、2019年製作のアメリカ映画93分。
ⓒ2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
 
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「エクソシスト」(1973年製作・アメリカ映画)とゆう映画史に残る、大ヒットホラー映画を輩出した映画会社が贈る、最新ホラー映画がコレだ。
「エクソシスト」以降、人に取り憑く悪魔が定番となった、アメリカン・ホラーだが、
本作は、人が悪霊となった系列のホラーであり、
人の呪いや幽霊系がポイントとなった、ジャパニーズ・ホラーのテイストを、取り込んだ作品となった。
とゆうか、ハリウッド映画にも当然、人の呪い系はあったのだが、
「リング」(1998年・日本)以降、その種の映画が、アメリカより突出していたのが、ジャパンだったのである。
だから、本作は、メキシコ起源の逸話を採り入れながらも、
ジャパンを意識したホラーだと、ボクはジャッジした。
 
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本作はくしくも「エクソシスト」が作られ、世界的大ヒットとなった1973年を舞台にしている。
製作者たちの意識下に、1973年がインプットされていたことは、疑いないだろう。
地上波の小型テレビで、アニメを見てる女の子や、白いドレスを着た幽霊を見た男の子などの、子役の因子をイントロにしつつの、
1970年代的少年少女ホラーチックを前触れにしつつ、家族ホラーへと持っていくスタイル。
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家の部屋内をタイトに見せてゆく、第2部のイントロダクションから、
いよいよ本格的悪夢のホラー・モードへと転換してゆく。
ゆっくりな人物の背後からの移動撮影、ハラドキながら恐ろしくも静かに展開しつつ、
時にビクッとさせるショッカーを入れつつ、観客を怖がらせようとする。
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エクソシストは、元神父の呪術師になる。
オカンが神父の進言のもと、彼に依頼し、でもって、いよいよ波瀾万丈の、家族ともどもの女悪霊との対決となる。
1対1対決ではないところが、まあ、新味といえば新味とも言えるかな。
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悪霊・幽霊は定番通り、最初は一瞬カットが中心で、なかなか全身像な姿を見せない。
モンスター映画にも似たこの手法は、ホラー映画にも当然機能する。
その姿を見た時のインパクト度合いこそ、ホラー映画の出来を、左右すると言ってもいいだろう。
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本作はどうだったか。
「死霊館」シリーズのジェームズ・ワン監督作品だけに、ご期待くだされ。
アッと驚くか驚かないか、失神するくらいか、笑っちゃうくらいか、
それはあなた次第でおます。とゆうことで…。

フランス映画「パパは奮闘中!」

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「クレイマー、クレイマー」に迫る、
オトンがガンバル映画だ
5月10日の金曜日から、シネ・リーブル梅田ほかで全国順次のロードショー。
本作は、2018年製作のベルギーとの合作による、フランス映画99分。
ⓒ2018 Iota Production / LFP - Les Films Pelleas / RTBF / Auvergne - Rhone - Alpes Cinema
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オカンが家出してしもて、オトンが2人のコドモたちの面倒を見る映画。
この種の映画のルーツ作といえば、アカデミー作品賞を受賞した「クレイマー、クレイマー」(1979年製作・アメリカ映画)だと思うが、
本作は、父性オヤジの意地を見せる快作となった。
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「パパは出張中!」(1985年・ユーゴスラビア)とか、「父、帰る」(2003年・ロシア)とか、
オトンの存在感を、全面に押し出した作品である。
家族映画は多々あれど、オトンがガンバッテルとゆう映画は、メッチャ好感がある。
監督もやり名声を馳せてる、ロマン・デュリスがオトン役になった。
仕事もやり、2人の息子を育ててゆく、
タイトル通り、その奮闘ぶりこそが、本作のキモだ。
 
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妹やコドモたちのやり取りにも、妙味を感じた、ロマン・デュリスの演技ぶり。
監督業としてのロマンもエエけど、あくまで彼は俳優なのだ。
俳優としての威厳に満ちた、渾身の演技ぶり。
そのことが、ボクを感動させた。
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「クレイマー、クレイマー」のダスティン・ホフマンに、勝るとも劣らない演技ぶりには、
何はともあれ、拍手を送りたい。
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冒頭、そしてラストに披露される、シンセでテクノでエレクトリックな、ピコピコ・サウンドのサントラ使いも、
作品にノれるスパイスだったと思う。
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ロマンは職場のリストラ担当になったけど、労働組合を始め、
それでも職場での人間関係描写も、渋く感動できる作りになっていた。
家族映画としても、自然体のようでいて、新次元な雰囲気もある本作。
映画としての出来とかは無視して、
ボクはメッチャ、この映画が好きになった。

2019年5月 8日 (水)

スケボ映画「スケート・キッチン」

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 スケートボード女子たちの青春映画

メガネ女子ヒロインが青春を懸ける!

 

http://www.skatekitchen.jp

 

5月10日のフライデーから、パルコの配給により、渋谷シネクイント、大阪ステーションシティシネマほかで、全国順次のロードショー。

本作は2018年製作のアメリカ映画106分。

ⓒ2017 Skate Girl Film LLC.

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スケボやダンスをスポーツと見るなら、本作はスポ根映画の快作だろう。

とゆうことで、女子がスポ根する映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーを、各順不同で披露してみると…。

●ベスト⇒①プリティ・リーグ(1992年製作・アメリカ映画)②フラッシュダンス(1983年・アメリカ)③がんばっていきまっしょい(1998年・日本)

●カルト⇒①本作②ベッカムに恋して(2002年・イギリス)③チア☆ダン(2017年・日本)

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●スケボならチーム・ワークじゃない。単独系だ。

その意味合いでは、個人ダンスのベスト②や、サッカーでも個人の想いに帰結するカルト②などと、リンクするように見えるが、実はそうじゃない。

本作を見てもらえば分かるのだが、チーム・ワークやチームのキズナが、ちゃんとあるのだ。

女子野球のベスト①、女子ボートのベスト③、ダンス・ワークのカルト③などの、あらかじめ決められたようなチーム・ワークじゃない。

そのあたりの妙味や面白さが、本作を見れば、何となく分かるようになっている。

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メガネ女子がヒロイン。

パパとママは離婚し、ヒロインはパパと一緒に住んで、スケボーに青春を懸けてる。

ヒロインのアップの多さも心地よく、

また、スケボー女子仲間たちとの、ダンス・ナンバーに乗っての、スケボー・パフォーマンスぶりも、リズミカルでカッコよく、思わず見入ってしまう。

どう滑っているのかとゆうところも、ロングショットのシーンで、緻密に見せてゆく。

大雑把になりがちなこの種の映画で、キチンとプレイを見せるとこは、素晴らしいとボクは思った。

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男グループとのいがみ合いだったり、恋に落ちるいろんなシーンとか、ヒロインのラブストーリー部とか、

スケボーとは違うヒューマンなところも、見どころは満載だ。

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キャッチーなダンス・ナンバーが、スケボー・シーンを盛り上げる。

この種の映画では、サントラ使いが重要なポイントだが、終始ノリノリで見られたのは、凄く良かったと思う。

「フラッシュダンス」なノリも感じられた。

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スケボー映画なんて、なんぼのもんやねんと思ってたけど、

ヒロインを始めとした、いろんな女子たちの、セクシー度合いなんかも含めた、パフォームのつややかさだったりに、魅せられてしまった。

とゆうことで、エエカンジの快作になっとります。

カーレース中国映画「ペガサス 飛馳人生(ひちじんせい)」

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中国映画界初のカーレース映画
ハリウッドに負けない渾身の作り
5月3日から、TOHOシネマズ日比谷ほか、全国順次のロードショー。
本作は、2019年製作の中国映画98分。
ⓒShanghai Tingdong Film Co., Ltd.
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中国映画では、おそらく初めてであろう、カーレース映画。
このジャンルは、これまではアメリカ映画が主流だったし、日本でも作られたことはあるが、
本格系となると、どうしても製作資金がたっぷりあるアメリカが本場。
それでも、中国はCGなどを駆使し、ハリウッド映画にも負けないような、レーシング・シーンをクリエイトした。
中国国内のレースで、ずっとチャンピオンだったチャン・チー(シェン・トン)が、
「ワイルド・スピード」(第1弾は2001年製作・アメリカ映画)のような、公式外の私的レースをして、5年間ラリー出場停止の憂き目に遭う。
 
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チャン・チーが出場できない5年間に、チャンピオンになったリン・ジェントン(ホアン・ジンユー)だが、彼が戻ってくると、対決姿勢を示す。
CGが使われるバーサス姿勢シーンは、コミカルだけど、アニメチックでもあって面白い。
でも、チャン・チーにはスポンサーがいず、協賛金集めに四苦八苦、リンとの対決が叶わなくなりそうに。
でも、リンがチャンをサポートするのだ。
さらにチャンは、カーに同乗するナビゲーターの相棒や、リペアマンたちと再会し、チームのキズナを深め、対決に向けて熱く盛り上がっていくのであった。
このあたりの描写は、凄く好感を呼ぶ作りになっている。
 
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資金集めの苦労から、カーの準備作業まで、専門用語豊富にスリリングに展開。
レース前日にカーがペシャンコになるも、リペアマンのミラクルなワザで修復。
こうしたところは、男性歌手の歌もの、バラード・スロー・ナンバーなサントラを流して、タイトなダイジェスト・シーンにて描かれていく。
男たちの戦いに向けた、熱いシーンが次々にやってくるのだ。
 
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そして、クライマックスはモチ、2人のスピード対決だ。
スロー・モーション、分割カットを駆使しつつ、エンジンの状態を見せるCGカットなど、
カーレース定番のフツーの描写を、敢えてのように避けて、新味を出そうとするところが、ボクは良かったと思う。
かつてカーレース映画に出た、トム・クルーズやシルベスター・スタローンみたいな、カッコよさはないけど、
チャン役シェン・トンの、のほほんとしたとこが、妙にココロにくる。
アメリカン・ニューシネマの「バニシング・ポイント」(1971年・アメリカ)のような、ラストの帰結ぶりも、ココロ震える仕上げぶりだった。
 

2019年5月 3日 (金)

「ドント・ウォーリー」

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ホアキン・フェニックスの、初の障害者演技の妙味
ガス・ヴァン・サント監督の、相棒映画の粋がココにある
令和5月3日の憲法記念日から、東京テアトルの配給により、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマほかで公開。
本作は2018年製作の、アメリカ映画113分。
ⓒ2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
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故ロビン・ウィリアムズが映画化しようとしていた、実在の車椅子の男の物語である。
「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(1997年製作・アメリカ映画)でタッグを組んだ、
友情映画とゆうか相棒映画の名手、ガス・ヴァン・サント監督にあとを託された。
車椅子生活男(ホアキン・フェニックス)のポジティブな生き方と、
その彼女(ルーニー・マーラ)や、彼にアドバイスする男(ジョナ・ヒル)らとのキズナが描かれる。
とゆうことで、ここで、車椅子男を捉えた洋画の、マイ・ベスト&カルト・スリーなんてのを、各順不同で披露してみよう。
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●ベスト⇒①帰郷(1978年・アメリカ)②海を飛ぶ夢(2004年・スペイン&フランス)③パリ、嘘つきな恋(2018年・フランス・弊ブログ後日分析)
●カルト⇒①本作②博士と彼女のセオリー(2014年・アメリカ・弊ブログ分析済み)③ブレス しあわせの呼吸(2017年・イギリス)
●ベトナム戦争帰りの、アメリカン・ヒロイズムな主人公のベスト①は、ボクにとって、車椅子主人公映画のバイブルだ。
最近見て唸ったベスト③は、彼女に合わせて、主人公が車椅子生活を装う、嘘から始まるラブストーリー。
そして、ベスト②は、安楽死とゆう、ネガティブなところが採り上げられた。
車椅子な人たちを、悲喜こもごものフィクションで描いたベストに対し、カルトは実話仕様のドラマから選んでみた。
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本作も実話ものだが、実話では家族や夫妻の支えやキズナものが多い中でも、珍しい独身男の主人公ものである。
だから、キズナを描くにしても、仲間たちとのキズナがキーとなる。
悪友(ジャック・ブラック)と飲みまくって、悪友の飲酒運転で事故り、主人公は下半身不随になり、
介護してくれる未来の彼女・ルーニー・マーラとも出会うが、
その後酒浸りのアル中になり、そこから逃れるために断酒会に参加して、ジョナ・ヒルらと出会うのだ。
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片や、主人公はマンガを書いて、評判を呼ぶ。
マンガ作りのイロイロも、面白く見せてゆく作りにもなっている。
ルーニー・マーラとの、相棒とも取れる、穏やかな男女関係の描写に加え、
「グッド・ウィル・ハンティング」のベン・アフレックとマット・デイモンの関係とカブル、主人公とジョナ・ヒルとの関係性など、グッときた。
ボク的には、エキセントリックな演技が目に焼き付いてる、ホアキン・フェニックスの、
どちらかとゆうと、穏やかで冷静な演技性に、驚きがあった。
そんな彼のヒューマン・ドラマに浸りたい作品だ。

2019年5月 2日 (木)

「イメージの本」

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ジャン=リュック・ゴダール監督の最新作
アート映画の極致を示す、ワケの分からん映画だ
公開中。
本作は2018年製作の、スイス・フランス合作の本編84分。
ⓒCasa Azul Films - Ecran Noir productions
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映画史に残り続けるであろう、ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、ジャン=リュック・ゴダール監督の、最新作が公開中だ。
2018年のカンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドールを受賞した、是枝裕和監督の「万引き家族」(2018年製作)より、
上の賞「スペシャル・パルムドール」をゲットして、映画ファンを驚かせた。
アート映画の殿堂とも言えるカンヌで、プレミア最高賞を受賞しただけに、
そのトンデモナイ究極のアート映画のノリには、
もはや誰もがワケが分からずとも、ひれ伏すしかない仕上がりになった。
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そんなゴダール監督の、マイ・ベスト&カルト・スリーを、各順不同で披露してみると…。
●ベスト⇒①勝手にしやがれ(1959年・モノクロ)②気狂いピエロ(1965年)③ウイークエンド(1967年)
●カルト⇒①本作②愛の世紀(2001年)③ヒア&ゼア こことよそ(1975年)
●ヌーヴェル・ヴァーグ最盛期の作品を、当然ベストに選んだけど、
片やカルトは、ワケの分からないアート映画系を選んだ。
ヌーヴェル・ヴァーグも確かに、アート映画ジャンルに括られるであろうけど、
それ以上にアート系に集中し、ストーリー性を無視したところが、妙にクセになる作品群である。
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過去の映画を、意味のないカンジでモンタージュし、
濁声のナレーター男の、意味深なセリフが響き、
プッツンと途切れることが多い、弦楽オーケストラ、ピアノ、ギターなどのサントラが流れる。
フェデリコ・フェリーニ監督の「道」(1954年・イタリア・モノクロ)や、
溝口健二監督の「雨月物語」(1953年・日本・モノクロ)などの、ワンシーンが引用されるが、
それらは混濁した本作の流れの中で、その乱れ引用の1本として使われている。
こういう引用の手法は、かつてなかったであろう。
 
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イエロー・トーン、明るい原色トーン、自然光によるカラーなどと、モノクロ・シーンがミキシングされていく。
映画的色彩の在り方を、俯瞰するような作りが、鳥肌が立つくらいに凄かったと思う。
ロシアから、ドーヴァの湾岸、中東の話へと収斂してゆくが、
結局、結論的に語られるのは、希望は生き続けるということか。
アート映画、前衛映画、実験的映画としては、
映画の教科書には必ず登場する、ルイス・ブニュエル監督の短編「アンダルシアの犬」(1928年・フランス・モノクロ)を、超えた仕上がりだと、ボクは確信した。

2019年5月 1日 (水)

今年のマイ・ベストテン(令和5月1日時点の暫定)

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●長いお別れ
(出演:蒼井優・竹内結子・
山崎努・松原智恵子
/監督:中野量太/5月31日公開)
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●パリ、嘘つきな恋(フランス映画/5月24日公開)
●日本映画
①長いお別れ
②半世界
③愛がなんだ
④盆唄
⑤チワワちゃん
⑥ワイルドツアー
⑦赤い雪
⑧夜明け
⑨マスカレード・ホテル
⑩ザ・ファブル
●外国映画
①バーニング 劇場版(韓国)
①女王陛下のお気にいり(イギリス)
①運び屋(アメリカ)
④ブラック・クランズマン(アメリカ)
⑤希望の灯り(ドイツ)
⑥パリ、嘘つきな恋(フランス)
 
⑦ホームステイ(原題)(タイ)
⑧ともしび(フランス)
⑨金子文子とパクヨル(韓国)
⑩芳華(中国)
 
●毎月月末か月初に披露している、その時点での暫定年間マイ・ベストテン。
この4月には、4作が新たにベストテンに入りました。
洋画6位の「パリ、嘘つきな恋」、既に分析した洋画10位の「芳華」、岡田准一主演の邦画10位の「ザ・ファブル」。
そして、何といっても強烈だったのは、3月までの1位だった「半世界」を、抜いて1位になった「長いお別れ」です。
「万引き家族」とはまた違ったテイストの、新しい日本の家族映画の粋で魅せる作品。
アルツハイマー系家族のいる映画の究極型を示しています。
新たにインした作品については、後日分析いたします。
(選=映画分析評論家・宮城正樹)

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