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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年4月の記事

2019年4月30日 (火)

「ザ・フォーリナー/復讐者」

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 ジャッキー・チェンのシリアス・アクション映画

「狼よさらば」なリベンジ映画の快作

http://www.THE-FOREIGNER.JP

令和5月3日の憲法記念日から、ツインの配給により、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹ほかで、ロードショー。

本作は2018年製作の、イギリス&中国&アメリカ合作の、本編110分。

ⓒ2017 SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION STXFINANCING, LLC WANDA MEDIA CO., LTD. SPARKLE ROLL CULTURE & ENTERTAINMENT DEVELOPMENT LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

 

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ジャッキー・チェン主演映画最新作。
悲愴系シリアス系のジャッキー映画の快作。
かつても披露したけど、そんなジャッキーの、マイ・ベスト&カルト・スリーを、各順不同で披露すると…。
●ベスト⇒①プロジェクトA(1984年製作)②ジャッキー・チェンの酔拳(1978年)③ポリス・ストーリー 香港国際警察(1985年)
●カルト⇒①本作②ラッシュアワー(1998年)③80デイズ(2004年)
 
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●ベストは、キャリア初期の香港映画からチョイス。
カルトは、1995年にハリウッド映画デビューを果たして以降の、アメリカ映画の快作を選んだ。
ジャッキー・カンフー映画の最高傑作ベスト①、
ジャッキーのコミカル・アクションの原点作ベスト②、
香港刑事アクションの粋で魅せるベスト③。
第2弾も作られた、刑事相棒ものカルト②、
アカデミー作品賞受賞作「80日間世界一周」(1956年)を、コミカルにリメイクしたカルト③。
そして本作は、シリアス・ジャッキー映画で、
傑作「狼よさらば」(1974年・アメリカ)にも迫る、復讐者リベンジャー映画の妙味を見せてくれる。
 
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復讐に燃えるジャッキーに対峙するのは、北アイルランド副首相役の、ピアース・ブロスナンだ。
1分くらいの2人の向かい合うシーンなど、印象深いシークエンスがテンコ盛り。
007の正義の味方から、悪役・犯罪者役まで、飄々と演じてきたブロスナンだが、
本作でも、シックな落ち着いた演技を披露。
アクション・シーンの多い本作の中でも、静謐さを旨としているようだった。
 
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そのアクション・シーン。
車が衝突した直後、突然の大バクハツが起こり、ジャッキーの娘が爆死。
どうやらテロの巻き添えを食ったらしい。
ジャッキーは娘のリベンジで動き出し、
犯人の情報を知るらしい、ピアース・ブロスナンに行き着き、爆弾魔を装って近づくのであった。
そして、クライマックスの銃撃戦は、ハンパない作りとなっている。
薄ブルートーンで描かれる、ジャッキーの過去のシークエンスも、見事なフックとなった。
不穏なシンセサイザーやエレキ・ギターなど、サスペンスなサントラ使いも、ドラマ映えしていた。
さて、本作は、マーティン・キャンベル監督の久々の作品だ。
ヒーロー映画や、パニック映画に加え、007映画も撮ってきた監督だが、
本作もまたハリウッド映画らしさを醸す、痛快な1本となっている。

「名探偵ピカチュウ」

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日本のポケットモンスターが、実写ハリウッド映画になった
 
ディズニーとスピルバーグが、合体したようなエンターテインメントだ
令和5月3日の金曜日・憲法記念日のホリデーから、東宝の配給により、吹替版・字幕版の2タイプで日本先行公開。
本作は、2019年製作のアメリカ映画。
ⓒ2018 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved
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世界的に有名な日本のポケモンことピカチュウが、ハリウッド映画として初めて実写化された。
日本のゲームのハリウッド映画化としては、アニメの「ファイナルファンタジー」(2001年)や「ストリートファイター」(1994年)などがあるが、
また、テレビゲームのパックマンなどを、モンスター化した映画なんかもあったけど、
本作はゲームの主人公ピカチュウを、ヒロイズム系の探偵役ミステリーとして描いた、本家ポケモンとは違う作りを施した快作だ。
フツーのゲーム原作映画ではない。ピカチュウはアニメ以上に、ヒロイズムを発揮する、アメリカン・ヒーロー映画的な作りになっているのだ。
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ここで、日本映画のハリウッド映画リメイクの、マイ・ベスト・スリーを、順位通りに披露してみると…。
●ベスト⇒①荒野の七人(1960年)②本作③ザ・リング(2002年)
●ブランドものとも取れる、黒澤明①、ジャパニーズ・ホラー③と同じように、
本作も世界に誇るジャパニーズ・ブランドである。
日本でヒットし高評価を得た、ゴジラやハチ公や、シャルウィダンスとか黄色いハンカチとかもあるけど、
やはり日本を代表する映画ブランドものは強力だ。
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本作は、多彩なポケットモンスターが登場して、いわゆるポケモンたちのディズニー・アニメ的ノリを披露する。
善玉悪玉などイロイロだけど、ピカチュウと敵対する敵ミュウツー以外は、総じてディズニー的に、おとなしくて優しい仕上げ。
ディズニー・アニメ・ファンにも充分に通じる、ファミリー映画性がある。
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そして、主人公の少年・青年(ジャスティス・スミス/日本語版の声は竹内涼真)と、少女・女の子(キャスリン・ニュートン/日本語版の声は飯豊まりえ)のティーンエイジャーが、
事件に挑んで、コンビを組むとゆうスタイルを採っている。
スティーブン・スピルバーグ映画系の少年・少女のノリが、明らかに明示されていて、
いやはや、コレはディズニーとスピルバーグの、心地よい合体作品じゃないかと、ボクは思った。
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ピカチュウの声は、ハリウッド・スターのライアン・レイノルズが、声を柔らかコドモっぽくして担当。
主人公の父の死亡事件を担当する、刑事役・渡辺謙さんなどのサポート演技や、
事件の鍵を握る、ビル・ナイの妙演技ぶりなどにも、注目されたし。
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主人公の父の死の謎、嗅ぐと凶暴になるパープルな煙の謎など、謎を巡るミステリー色はもちろんのこと、
山がひっくり返るトンデモ・パニックがあったり、
ケモンたちのクライマックスの戦いアクションなど、
モチだけど、ハリウッド映画級の大作感が、十二分に味わえる仕上がりになっている。
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最後は父子のキズナに着地するなど、
従来のポケモン・アニメとは、ガラリと趣向を変えた仕上げぶりに、最後までサプライズの連続であった本作。
ポケモン・ファンだけじゃない。
娯楽映画ファンにも間違いなく、広く遡及する作品になっている。

2019年4月24日 (水)

中華映画「芳華(ほうか)-Youth-」

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中国の楽隊ダンス・チームの青春群像劇だ
「スウィングガールズ」と「フラガール」が、ドッキングしたような作り
アットエンタテインメントの配給により、
新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかでは公開中。
関西では、5月10日からテアトル梅田、5月11日か京都シネマほかで上映。
本作は、2017年製作の中国映画135分。
ⓒ2017 Zhejiang Dongyang Maylsa Media Co., Ltd Huayi Brothers Pictures Limited IQiyi Motion Pictures(Beijing) Co., Ltd Beijing Sparkle Roll Media Corporation Beijing Jingxi Culture&Tourism Co., Ltd All rights reserved
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1970年代文革後の、国家的楽隊ダンス・チーム、文芸工作団(文工団)の、活躍と青春模様を描いた作品。
京劇を描いたチェン・カイコー監督の「さらば、わが愛/覇王別姫」(1993年製作・香港映画)ほどの、伝統と厳しさはないけども、
群像劇タッチを手始めに、仲間たちの確執やコーチとの関係性などを、青春映画のノリで描いた爽快な作品だ。
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ヒロイン(ミャオ・ミャオ)が文工団に入り、いろんな恥ずかしいとこを見せながらも、
美人の歌い手(ヤン・ツァイユー)と先輩(ホアン・シュエン)との間で、三角関係に陥ったり、
イケズする女先輩との関係など、どこにでもあるような、団の内部の人間関係が、ゆるやかに切り取られてゆく。
 
2_15
そのノリはドロドロではなく、もっともっとフワッとしたもので、あくまでさわやかな青春系のノリを堅持。
それは最後の最後まで変わらない。
そして、ヒロインの淡い恋ゴコロが、最後の最後になって…が、
本作の大きな感動ポイントであり、見ごたえミソとなっている。
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中国の伝統楽器・胡弓などの、民族楽器的サントラがあったり、本格的なオーケストラ・サウンドが展開したりと、
サントラ使いも巧み。
香港の国民的歌手テレサ・テンや、
♪ふけゆく秋の夜 旅の空の♪の、日本の唱歌「旅愁」の使い方であったりとかに、ココロそそられた。
ラストロールで流れる、オーケストラをバックにした、ポップス・スロー・ナンバーも、壮大かつ抒情的であった。
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チェン・カイコーやチャン・イーモウらの、第三世代の中国の巨匠監督の、次世代となる監督、フォン・シャオガンによる作品。
これまでは、チャン・ツィイーを主演にした時代劇「女帝 エンペラー」(2006年・中国)とかの、アクション演出に加え、
実話パニック・ムービー「唐山大地震」(2010年・中国)など、いかにもハリウッド級活劇も撮ってきたけど、
本作のような「アメリカン・グラフィティ」(1973年・アメリカ)的な、甘酸っぱい青春群像劇でも、ウーンと唸らせてくれる。
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1979年の中国・ベトナム戦。
その戦争映画的演出にアッと驚いたところで、文工団解散後の1991年へと、時は移る。
でもって、しっとりとした癒やしのラストへと、向かう演出ぶりには舌を巻いた。
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個人的には、ヒロイン役のミャオ・ミャオちゃんが、アイドルチックかつ、おぼこくてよかったぞい。
「初恋のきた道」(2000年・アメリカ&中国)の頃の、チャン・ツィイーのような純朴さがあって胸が焦がれた。
メッチャいいねー。
とゆうことで、見出しにも書いたけど、日本映画的に本作をたとえるなら、
「スウィングガールズ」(2004年)と「フラガール」(2007年)が、ミキシングされたような快作だった。
 

2019年4月23日 (火)

「マローボーン家の掟」

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家族映画系スリラー映画の、ハラハラドッキリの怪作品だ

謎めく主人公に、感情移入してハマってみよう

http://www.okite-movie.jp

新宿バルト9、梅田ブルク7、T・ジョイ京都ほかで公開中。

本作は2017年製作の、スペイン&アメリカ合作による本編110分。

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スペイン発の、騙しのスリラー映画。

どおゆう騙され方をするのか、乞うご期待の作品なのだけど、

ブルース・ウィリスが主演した、あの大ヒットサスペンス映画とかに、かなり影響を受けた作品だ。

 

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1970年代を舞台に、母親が病死したあとの、兄弟姉妹4人のサバイバルを描いた家族映画。

何からのサバイバルなのか。

れは「何か」とゆうことになってるけど、

明確に言うと、何かは父親であり、つまりは父親との対決なのだ。

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しかし、この方向性には、明らかなる破綻が伴っている。

それはみなさんが見ていくうちに、そのカラクリに、気づかれる方もいるだろう、といったノリである。

 

3_14

率直に言うなら、ニコール・キッドマンが主演した「アザーズ」(2001年・アメリカ)の、スタイルとネタが継承されている。

但し、その作品と一線を画するのは、

一家の長兄たる主人公の存在である。

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主人公は、愛する彼女のサポートのもと、家族の難敵に挑んでゆくのであった。

騙しの映画とゆう、ジャンルになってはいないジャンルがある。

本作は、そんな映画の範疇に括られる映画だ。

つまりは、観客のみなさんを騙すために、いろいろと工夫が凝らされて作られているのだ。

 

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しかし、騙されるものかといった視点で見てしまうと、本作の面白さは半減するかと思う。

心地よく騙されたい。

ネタバレはある種厳禁なんだけど、公開中とのこともあり、見に行った友達の言葉を、仮に借りて言うなら、

主人公がこうありたかったとゆうカタチを、描いていると思えばいい。

つまり、本作は主人公が描いた、フィクションなのである。

 

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主人公が弟や妹たちと、結束と決意を固めるシーンとか、

父と主人公の対決シーンとか、

サポーターの恋する彼女とのやりとりとか、

ドラマティックを旨とした、作りがなされている。

 

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弦楽オーケストラ・サントラを小出しにしつつ、

最後には、スコアが巧緻な、本格的オーケストラ・スタイルのサントラを流してゆく。

サスペンス映画の巨匠である、アルフレッド・ヒッチコック監督がやった手法を、意識的に踏襲しているのだ。

このあたりも、ぜひ注目してもらいたいところ。

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ホラー・スリラー・サスペンス・ミステリー等。

全てのジャンルに呼応する映画だと思うが、

どんでん返しや騙しを、意識しないような作り方としては、

本作は観客と正々堂々と向き合いながら、真相とは何かを追求する、極上のエンターテイメントだった。

その種の映画の粋が、込められた快作である。

 

2019年4月18日 (木)

「アガサ・クリスティー ねじれた家」

2_13

一体誰が犯人なのかを推理する、

本格ミステリー映画の快作だ

 

http://nejire-movie.jp

4月19日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、シネ・リーブル梅田ほかで上映。

ⓒ2017 Crooked House Productions Ltd.

3_13

 

アガサ・クリスティー原作ミステリー映画。

そんな映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・ベストとカルトの違いはありません。ある意味で気分的なものです)を、いつものように披露してみよう。

●ベスト⇒①オリエント急行殺人事件(1974年製作・イギリス映画)②そして誰もいなくなった(1945年・アメリカ)③本作

●カルト⇒①オリエント急行殺人事件(2017年・アメリカ)②ナイル殺人事件(1978年・アメリカ&イギリス)③そして誰もいなくなった(1974年・イギリス)

 

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●ベスト①③のリメイクされた分が、カルトになったけど、別に逆であってもいいかと思う。
それよりも、クリスティー作品のあんまし有名やない作品に、アプローチした本作やカルト②に、映画的粋をボクは見るのだ。
エジプト・ロケを敢行して、観光的ミステリアスな雰囲気を打ち出したカルト②。
そして、本作は、犯人探しの面白さで魅せる快作となった。
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クリスティー印の、エルキュール・ポワロ探偵ものではない。
祖父の死の謎を解き明かしてほしいと、その孫娘
(ステファニー・マティーニ)が、元彼(マックス・アイアンズ)の私立探偵事務所を訪ねてくる。
そして、探偵は一家の中へと、捜査に入るのであった。
まさに、犯人探しの王道をゆくスタイルで、物語は進行していく。
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家を取り仕切るグレン・クローズや、昼間から飲んでる酔っ払いのジリアン・アンダーソンなど、
怪しい登場人物が次から次へと登場して、探偵は悩みに悩み抜く。
やがて、いつの間にか、一家の少女がホームズ役になり、探偵がワトソン役なんてカンジで、捜査が進んでゆくのだ。
ある種のミスリードなんだけど、ここに騙されてはいけないぞ。
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渋い刑事役のテレンス・スタンプに加え、「危険な情事」(1987年・アメリカ)のエキセントリックがいつ出るのかと、ハラハラドッキリなグレン・クローズなど、
ベテラン陣の演技が、巧妙にミステリアス度合いを高めてゆく。
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1957年とゆう時代背景の、シチュエーションも巧みだった。
エラリー・クイーンの名作推理小説「Yの悲劇」へのアンサーも見られる。
ピアノ・コンチェルトを流して、少女が踊るシーンと、グレン・クローズのカットをカットバックさ
せて、
クライマックス部のミステリアス度合いは、最高潮に達する仕掛けになっている。
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映画化されていないクリスティー・ミステリーは、いっぱいある。
初めて映画化された本作を、見ても明らかのように、メッチャオモロイ原作が、未開拓でゴロゴロしているわけなのだ。
次はぜひ、映像化不能と言われた「アクロイド殺人事件」を、映画化してもらいたい。

2019年4月17日 (水)

「愛がなんだ」⇒日本映画劇場

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今年の日本映画の、マイ・ベストスリーに入る傑作だ

「勝手にふるえてろ」に比肩する、女性の片想い映画だ

http://www.aigananda.com/

 

4月19日の金曜日から、エレファントハウスの配給により、

テアトル新宿、テアトル梅田、なんばパークスシネマほかで上映。

ⓒ2019「愛がなんだ」製作委員会

 

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男と女。どちらかの片想いラブ。

 

片想い映画イロイロあれど、女が片想いするやなんて、

 

男片想いが常識だった20世紀に青春時代を送ったボクなんか、

 

ちょいウーンとなってしまうけど、そんな稀少な映画が本作だ。

 

男の片想いなら、「男はつらいよ」の寅さんを出すまでもなく、サブ・メイン関わらず、

 

これまでにいっぱい映画では、取り上げられてきたんだけど、

 

それでも、女の片想い映画はそんなにない。

 

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ボク的の女の片想い映画としては、「勝手にふるえてろ」(2017年製作・弊ブログ分析済み)の松岡茉優が、
圧倒的な存在感を示していたのであるが、ココに本作の「岸井ゆきの」が出現したのだった。
まさに、怪物現るの凄みを感じた。こんなことゆうたら、ゆきのチャンにしてみたら、
あたしが怪物だなんて、メッチャ失礼! になるんだろうけど、怪物そのものやないんでおます。
つつましくも、ひたすらけなげに献身する。ナイチンゲールな世界ですよ。
このスタイルはものの見事で、その度合いの凄みちゅうのんが、モンスター級なのであったのでおます。
 
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繰り返しになりますが、勘違い系の女の片想い映画を、ビミョーな感じで体現するのは、岸井ゆきのチャン。
彼女のナレーションで、男(成田凌)との出会いから、別れまでが、ラブストーリーのセオリー通りに描かれるのだが、
モチ、片想い系なだけに、描き方はかなり練り込まれた内容となっている。
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当然、岸野チャンが主役だ。
「20代後半のラブはダラダラと始まる」なんちゅう迷言を吐きつつも、
彼女が会社を辞めて、1カ月も経たずに関係が、崩壊してゆく男女関係のカタチが披露されるのだ。
 
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結婚は今の時代には安定じゃないとかの、ありきたりの感想を入れつつも、
最後には、サプライズなとこへと着地する。
彼とのベッドでのツーショットやら、4人の食卓シーン、江口のりこと岸井の会話など、
2分近い長回し撮影で、微妙な心理を表現していく作りは、
往年のヌーヴェル・ヴァーグ映画にも、通じるものだったとボクは思う。
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特に、後半に向かうにつれ、岸井と成田の関係だけじゃなく、
元「乃木坂46」の深川麻衣と若葉竜也の関係とかが、ナイーブに歪んでゆき、
遂には岸井ゆきのチャンが、思い切った一大行動に出て、ドラマが揺れてグラグラきたりする。
 
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あ、そおゆうとこが、映画のツボには、なってはいるんだけどね。
ギター・サウンド、バイオリン、ピアノまで、サントラもシーンに合わせた流し方をしていた。
「危険な情事」(1987年・アメリカ)とかの激情系はないけども、それに近い緊張感もあり、
そして、ラブストーリー映画のフツーの結末とは、違うところへと着地する。
あたりきのハッピーエンド!? そんなことは決してありません。
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片想い映画の粋なんて、あるとは思えないけど、
そんな映画を見て、妙に心地いいキモチにさせてくれる稀な映画だった。
今のところ、今年の日本映画の、マイ・ベスト・スリーに入る映画です。
 

2019年4月12日 (金)

「マックイーン モードの反逆児」⇒ヒューマン・ドキュの快作

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モード・ドキュのヒューマン・ドキュメンタリー

 

リー・アレキサンダー・マックイーンの波乱の生涯

http://www.McQueen-Movie.JP

4月5日から、TOHOシネマズ日比谷ほか、全国ロードショー。

本作は、2018年製作の、イギリス映画・1時間51分のドキュメンタリー。

ⓒSalon Galahad Ltd 2018

 

自殺したモード界の異端児、リー・アレキサンダー・マックイーンを、さまざまな関係者の証言により捉えた、ヒューマン分析ドキュメンタリー。

 

モード・コレクション「獲物を狙う切り裂きジャック」(1992年開催)での、美とバイオレンスぶりなどから、モード界の彼の異端児ぶりを披露する。

 

でもって、イギリス生まれのマックイーンが、パリのジバンシィをディレクターとして引き継いで、名声を得る。

 

しかし、有名になって以降、コカインに走り、自らの身は破滅への道を、たどり始めるのであった。

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やがて、ジバンシィを離れてグッチへ移籍。

 

サポーターだったイザベラの死に、トリビュート・ファッション・ショーを開いたりして、近しい者たちの死に、ココロ揺れ始め、遂には母親の死に、ココロの芯が折れてしまうのであった。

 

ホンポーな生き方から、やがて家族のキズナへと収束してゆく作りが、事実を吐露しているとはいえ、すごく良かった。

 

ラストロールの、オーケストラ・サウンドから、ピアノ・ソロへと転じて、静かに終わる作りも良かったし、

 

ボクの生涯ベストスリーに入る「2001年宇宙の旅」(1968年製作・アメリカ映画)を、意識したショーなどにも、ココロ魅かれた。

 

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とゆうことで、ここで、モード・ヒューマン・ドキュの、順不同でマイ・ベスト・スリーを披露すると…。

 

①本作②アルマーニ(2000年・イギリス&イタリア)③イヴ・サンローラン(2014年・フランス)

 

●いずれも、モード史に名を刻むアーティストたちだ。

 

中でも、本作のマックイーンの生き方は、最も波乱ある、ドラマティックな生き方だったと思う。

 

そんな波乱に満ちたところに、グッときた作品だった。

2019年4月11日 (木)

「君から目が離せない」⇒日本映画劇場

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普遍的な年上の女とのラブストーリーが展開
篠原哲雄監督と山崎まさよしの、ドラマティックなコラボレートだ
4月13日の土曜日から、大阪のシネ・ヌーヴォほかで上映。
本作は2018年製作の日本映画86分。
ⓒ2018 アトリエレオパード
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10歳も年齢の離れた年上の女(真田麻垂美)に、熱烈に恋する男(秋沢健太朗)の純情ラブストーリー。
男は下北沢の小劇団の役者で、女は男がティッシュ配りをしていた、そのティッシュの宣伝元・ヨガ教室のインストラクター。
こんな2人がティッシュの受け渡しで出会い、そして男が女にひと目惚れ、ヨガ教室にまで入会し、女を食事に誘う。
ナイーヴでおぼこい青年と、何やら謎がありそうだけど、それを感じさせない暗みのない美人ネーさん。
そんな2人の恋愛が、東京・下北沢を舞台に展開する。
 
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男が年下で女が年上の場合の恋愛は、どちらかと言うと、人妻との恋愛とかが多いように思う。
例えば「陽の当たる場所」(1951年製作・アメリカ映画・モノクロ)とか、「ジャイアンツ」(1956年・アメリカ)、「旅情」(1955年・アメリカ)などだが、
また、女教師と生徒の恋愛なんてのもあるし、それらは総じて、暗い作りの映画になりがちだが、本作は違っていた。
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本作はファンタジーな恋愛映画だった「月とキャベツ」(1996年)への、アンサー・シネマとなった作品だ。
そのヒロイン役だった真田麻垂美ネーさんが、年齢を重ねて本作に戻ってきたのだ。
昨年、北海道ロケとなった「心に吹く風」(弊ブログ分析済み)の、不倫人妻役で16年ぶりに映画復帰したけど、
その時の暗さのない演技ぶり、むしろさわやかともとれる役柄ぶりが、本作にも十二分に反映されていた。
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映画は、主人公が所属する演劇の練習風景から始まる。
本作の篠原哲雄監督が、小演劇の演出家役で出演し、「時計じかけのオレンジ」(1971年・イギリス)をもじった「時計仕掛けのオレン家」や、「ララランド」(2017年・アメリカ)など、監督の映画的趣味を入れながら、映画的作りにこだわりを見せた快作となった。
秋沢クンと麻垂美ネーさんが、一緒に歩く移動撮影の長回し撮影などで、徐々に2人の愛に焦点をしぼり、そして、キスシーンがあったり、
クライマックスの秋の秋田ロケでは、遠近感ある紅葉の並木道を、2人で歩くロングショットから、ドラマティックな別れのシーンへと演出するあたり、印象深いシーンが続いていく。
 
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2人が出演した剣戟時代劇「GOLDジパング」もまた、2人の恋愛部に刺激をもたらすものとなっていた。
麻垂美ネーさんの義母役になった根岸季衣など、ベテラン陣のサポート演技にも注目だ。
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そして、何をともあれ、一番スゴイとボクが思ったのは、
「月とキャベツ」で主演した山崎まさよしが、本作の音楽監督を務めていることだった。
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ボクは「洗濯機は俺にまかせろ」(1999年)で、篠原哲雄監督をインタビューしたことがあるけど、彼のマイ・ベストスリーをゆうと、
1位はヤッパ「洗濯機は俺にまかせろ」で、次が「はつ恋」(2000年)、
でもって、3位が「昭和歌謡全集」(2002年)もエエけど、「月とキャベツ」じゃなく、本作なんだよな~。
これは全くもって個人的なベストやけど、でも、本作は一般的評価としても、「月とキャベツ」と、間違いなく比肩する作品だと思う。
 

2019年4月10日 (水)

「セメントの記憶」⇒アート・ドキュメンタリー

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アート・ドキュの粋で魅せる傑作

 

高層の天空描写の映画的カットに魅せられる

http://www.sunny-film.com/cementkioku

4月13日のサタデーから、第七藝術劇場、4月20日から京都シネマほかで、全国順次のロードショー。

 

本作は、2017年製作の、ドイツ&レバノン&シリア&アラブ首長国連邦&カタール合作の、ドキュメンタリー88分。

シリアの内戦が続く中、シリアの若者がベイルートへ出稼ぎに出て、その日々の詳細を映したドキュメンタリー。

 

主人公の記憶的には、父や死にかけた過去をフラッシュバックやカットバックで映すけど、メインは、高層ビル建設の現場の実態を、淡々と映していく映画である。

 

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社会派というかそういうノリよりも、むしろ主人公の心理に則した、心理の流れを抑えた上での、文学的・映画芸術的ノリに徹した作りとなっている。

 

映画創生期にもあった、いわゆる第七芸術としての映画芸術の、粋とは何かを追求した作品だ。

 

だから、シリア内戦でどんな問題が発生しているのかは、脇に押しやられ、主人公の日々の働き具合を撮ることで、逆にその問題の深刻度合いを、見せてゆくタイプの映画になった。

 

フツーのドキュじゃない。高層ビル建設のノウハウを見せるような作りで、主人公の働きぶりが捉えられてゆく。

 

 

空撮、狭い地下の居住場所から見る高層ビル、画面を360度回す長回し撮影、街・海・空を背景に置いたロングショットな作業描写、

 

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かと思えば、目のクローズアップが撮られたり、夕景や月などの自然描写の粋、

 

そして、サントラなしでラストロールは、波の効果音を入れて、余韻深く静かに終わったりと、アート映画らしいドキュの在り方を、とことん追求している。

 

今までに見たことがないようなカットが、突然現出したりして、映画ファンには刺激度も高いはず。アート・ドキュの傑作だ。

2019年4月 5日 (金)

「JK☆ROCK ジェイケイ★ロック」

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女子高生バンドの、
音楽への情熱を示す快作映画だ
「リンダ リンダ リンダ」以上の
熱血ぶりが示される作り
2019年4月6日から、ファントム・フィルムの配給により、梅田ブルク7ほか全国ロードショー。
ⓒ2019「JK☆ROCK」ビジネスパートナーズ
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アマチュアの高校生バンドや、プロ・セミプロのバンドたちによる、音楽青春ムービーの快作。
この種の日本映画のマイ・ベスト&カルト・スリーを、各項目順不同にて披露してみると…。
●ベスト⇒①ロックよ、静かに流れよ(1988年)②リンダ リンダ リンダ(2005年)③青春デンデケデケデケ(1992年)
●カルト⇒①本作②アイデン&ティティ(2003年)③カノジョは嘘を愛しすぎてる(2013年・弊ブログ分析済み)
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●高校生バンドたちが、音楽に情熱を傾ける映画こそ、演技の上手下手とかは別にして、なぜか胸が熱くなるんだよな、コレが。
ベンチャーズに憧れてエレキにのめりこむベスト③、ブルーハーツの名曲を、女子高生たちが文化祭で披露するベスト②、そして本作などがメッチャいい。
1980年代末のバンド・ブームを反映したカルト②とか、プロを意識したカルト③、
高校生アマチュア・バンドたちのヒューマンドラマの傑作ベスト①も、日本映画史に刻まれる作品ではある。
 
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男たちのバンドがいたけど、イロイロあって解散してしまった。
2人のリード・ボーカルがいたからだが、その1人は海外へ行き、今1人の福山翔大のアニキは、いわゆるくすぶっていた。
けども、音楽スタジオもあるカフェのオーナー(西村まさ彦)のセッティングにより、
女子高生バンド3人を指導する立場で、福山翔大をスカウトし、了承させるのである。
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実際メジャー・デビューしている現役女子高生バンド「DROP DOLL」の3人(チヒロ・ユイナ・ユキノ)が、出演し演技しプレイしている。
演技は素人なので、時おりぎこちなかったり、たどたどしい演技はあるけども、
ちょっと売れれば映画に出ていた、昔のアイドル映画のつたない演技ぶりに比べれば、あくまで許容範囲とゆうか、立派な演技ぶりだと思う。
特に、本編ではボーカル担当のチヒロの、攻撃的な弾ける系演技が、粗削りながらもココロに突き刺さる何かがあった。
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ギターで曲作りしてゆくダイジェスト・シーンとか、3人組ガールズ・バンドの練習具合とか、
音楽作りのメイキング描写は、さすがに音楽映画だけに、キチッと見せていたと思う。
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本編でトリオ女子高生バンドが、ライブで歌う歌は、8ビートロックの、激唱ぶりで魅せるナンバーだった。
歌われる歌によって、映画の出来が左右されるわけではないけれど、本作は素人っぽかったベスト②と比べても、映画的感動を外さないような出来にあったかと思う。
アップ・カットも多かった、ヒロイン役チヒロの元気系演技に、身を退いたり同調したりとゆうカンジ。
いくらかの素人感はあったにしても、音楽へのあふれる情熱が、こちらにビビッドにクルような、そんな映画であったことは間違いない。
 

ドイツ映画「希望の灯り」

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名作へのリスペクトがなされた
渋いヨーロッパ映画だ
「2001年宇宙の旅」から
「タクシードライバー」まで
4月5日のフライデーから、彩プロの配給により、Bunkamuraル・シネマほかにて全国順次のロードショー。
関西では、4月26日からシネ・リーブル梅田ほかで上映。
本作は、2018年製作のドイツ映画125分。
ⓒ2018 Summerhaus Filmproduktion GmbH
ボクの個人的にダイスキな映画の、スパイスがちりばめられた快作だった。
まず、主舞台となる、巨大スーパー内でフォークリフトが動く、冒頭のシーンでは、ボクの生涯ベストスリーに入る「2001年宇宙の旅」(1968年製作・アメリカ映画)で流れた「美しき青きドナウ」が流れ来る。
さらに、孤独な主人公の歩く姿や、職場での憧れの女との逸話などでは、同じくベストスリーに入る「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)の主演ロバート・デ・ニーロとも妙にかぶった。
もうそれだけでも、マイ絶好の映画の作りであるはずだが、そこに、アキ・カウリスマキ監督作品にあった、沈黙・無表情・クールを根幹とした、役者たちの挙動が加算されることで、
孤独や侘しさのワビ・サビが、ココロを衝いてくる仕上げになっていたのだ。
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今年のマイだけじゃないよ、一般的ベストテン級の作品だとジャッジしたい。
ベルリンの壁がなくなり、東西ドイツが統一された、旧東ドイツのスーパーで働く人々の姿が、主人公、その上司、その恋する人妻などを中心に、静かに展開してゆく。
その流れは、ホンマゆったりしている。主人公の孤独をメインに、渋くてゆるりとした展開を見せる。
そんな中でバッハの「G線上のアリア」や、哀愁のナンバー、単調でリズミックなサウンドなどが流され、スーパー内の仕事ぶりを見せてゆく。
パッと見るなら、主人公の孤独と寡黙が目立つが、根底はスーパーのお仕事映画としてのスタイル、
そして、主人公と人妻との淡い恋模様などが、さりげなく描かれてゆくのだ。
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ドイツ映画の新味に、魅せられた映画だった。
従来のドイツ映画の現代ものとなれば、東西冷戦をポイントにした映画で、スリリングかつ悲愁あふれる映画が多かったように思うが、
本作はベルリンの壁崩壊後の、新しいドイツ、しかも旧東ドイツの労働者たちの実態を捉えた映画である。
第二次世界大戦後を捉えて、映画史に刻まれているイタリアン・ネオリアリズムの世界観と、相通じるところがあった。
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「タクシードライバー」と同じく、主人公視点を貫いたところも良かった。
主人公のココロの呟きをナレーションにして、職場を中心とした薄い関係の人妻との、やがては家に忍び込むところまでゆくところとか、
上司との関係性で、孤独とは何かを感じさせる事件に遭ったりと、静かな孤独節ながらも、そこには波乱を含んだ内容となっている。
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ドラマティックだったり、今どきの泣ける系だったりの要素は、そんなにない。
もっと淡泊。もっと地味。
しかし、なぜかココロにじわじわ渋くクルんだよな。
そのあたりの妙味を、ぜひとも劇場でご体感あれ!

2019年4月 3日 (水)

アメリカの政治映画「バイス」

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「バットマン」クリスチャン・ベールが、怪演技ぶりを披露
ソックリさん演技のトレンドに乗った快作だ
4月5日の金曜日から、ロングライドの配給により、TOHOシネマズ日比谷、ほか全国ロードショー。
本作は、2018年製作のアメリカ映画132分。
ⓒ2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC.All rights reserved.
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本作もそうだけど、アカデミー賞では21世紀以降、実在の人物を演技した、アクター・アクトレスが演技賞をゲットしたり健闘している。
今年度も、「ボヘミアン・ラプソディ」(2018年製作・アメリカ映画・2018年11月6日付けで弊ブログ分析済み)で、フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックが、本作のクリスチャン・ベールを抑えたが、
そんな作品群から、本作を入れてマイ・ベスト&カルト・スリーを、各順不同にて披露してみよう。
●ベスト⇒①英国王のスピーチ(2011年・弊ブログ分析済み)②クィーン(2007年)③めぐりあう時間たち(2003年)
●カルト⇒①Ray/レイ(2005年)②リンカーン(2013年・弊ブログ分析済み)③本作
●王室の男版・女版ベスト①②に加え、イギリスの女流作家を捉えたベスト③など、イギリスものに特化したベスト版。
対して、カルトでは、アメリカ版を取り上げました。
有名ミュージシャンを取り上げた①、大統領を描いた②、
そして本作は、ニクソンのあとに大統領になった副大統領を捉えた作品とは違い、副大統領をメインに、映画史上初めて取り上げた作品となりました。
謎のナレーターによる物語進行で、チェイニー副大統領を描いています。
9.11での対応ぶりに加え、いったん政界を引退し、悠々自適の生活ぶりを、ラストロールへと流れるカットを挿入。かつてない作りを施した、怪作とも取れる作品となっています。
でもって、その後のブッシュ大統領とのやり取りの妙味。9.11への対応ぶりへの、見事なイントロぶり。
そんなチェイニー役に、「バットマン」役で有名になったクリスチャン・ベールが扮した。
そのクセものぶりを、うなるくらいのモノマネぶりで演技し、ものの見事ななり切りぶりでした。
対するブッシュ大統領役になったサム・ロックウェル。昨年は「スリー・ビルボード」(弊ブログ分析済み)のワイルド警察官役の汚れ役で、助演男優賞をゲットしたけど、今回は全てがソックリの代表型として、飄々とした表出で魅せ、スゴミさえ感じました。
さらに、チェイニーの妻役のエイミー・アダムスの、ハンパやない賢妻なサポートぶり。狂的でさえありました。
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オーケストラ・サントラに加え、ミュージカル・ナンバーも流し、アメリカ万歳をうたっていきます。
ややブラック・コメディなノリもあり、最後には、本作の出来についての質問があったり、実写のニュース映像を挿入、
現代のトランプ大統領へのアンチな視点を入れたりして、ドラマ的歪みを形成していくのです。
このあたりの作りも含めて、フツーじゃないかつてないような、政治映画になっていました。

2019年4月 2日 (火)

年間暫定邦画洋画マイ・ベストテン(4月2日時点)

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●日本映画
①半世界(写真)
②愛がなんだ
③ワイルドツアー
④チワワちゃん
⑤盆唄
⑥赤い雪
⑦夜明け
⑧マスカレード・ホテル
⑨こどもしょくどう
⑩洗骨
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①バーニング 劇場版(韓国)
①女王陛下のお気に入り(イギリス)
①運び屋(アメリカ)
④ホームステイ(仮題)(タイ)
④希望の灯り(ドイツ)
⑥ブラック・クランズマン(アメリカ)
⑦ともしび(フランス)
⑧金子文子とパクヨル(韓国)
⑨ヴィクトリア女王 最期の秘密(イギリス)
⑩バイス(アメリカ)
●順位が多少入れ替わりましたが、洋画の同率1位の3作は変わりません。
3月の試写で新たにランクインしたのは、「きみの鳥はうたえる」が昨年高評価を得た、三宅唱監督による「ワイルドツアー」と、
タイ映画の「ホームステイ」、そして、近日に分析する「バイス」の3作です。
とゆうことで、この4月の素晴らしい映画との出会いが楽しみです。
(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

「こどもしょくどう」

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少年少女が主人公の、感動のキズナドラマ
常盤貴子・吉岡秀隆らの、名サポートぶりにも注目!
4月5日の金曜日から、テアトル梅田ほかにて、全国順次ロードショー。
本作は2018年製作の日本映画93分です。
ⓒ2018「こどもしょくどう」製作委員会
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少年少女が主人公・ヒロインで、大人の役者がワキになった、大人が見るべきコドモ・
ムービーがコレだ。洋画でも多数あるジャンル映画だが、その種の日本映画のマイ・ベス
ト&カルト・スリーを、アニメ映画を外して、各順不同にて披露してみますと…。
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●ベスト⇒①泥の河(1981年製作・モノクロ)②夏の庭(1994年)③生れてはみたけれど(1932年・モノクロ)
●カルト⇒①本作②次郎物語(1937年)③奇跡(2011年)
●フランス映画「禁じられた遊び」(1952年・フランス・モノクロ)に、チョー感動を覚えたボクには、
戦中映画のコドモたちを描いた「少年時代」(1990年)を始めとした映画には、グッとくるのですが、マイ・ベスト&カルトには、なんでか外してしまいました。
モノクロのベスト①③カルト②など、コドモたちの純
朴さが、ストレートに出た作品がまず、ボクの頭の中に浮かんだ。
本作もそのラインを維持しています。
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さらに、「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)みたいに、コドモたちだけで、何かをやってみるという点においては、
是枝裕和監督のカルト③に通じるし、
大人たちとの距離感を計りながらも、
コドモたちが大人と交流してゆく姿勢は、
老人とコドモたちのベスト②にも通じるのです。
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貧しいコドモたちにボランティアで、食を提供する「こどもしょくどう」なるものが、
戦後の貧しい時期の現代やないのに、なぜか作られております。
ほんでもって、本作はそんな設定を舞台に、貧しいコドモたちと、フツーのコドモたちの交流が、描かれてゆくのであります。
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こおゆう場合、「禁じられた遊び」を出すまでもなく、
女の子たちが貧しくかわいそうで、男の子たちが助ける側に回る方が、感動やらを増します。
本作はそんなセオリーに乗っていますが、決してベタじゃない。
男の子と女の子の間で、適宜な距離感を保ちつつ、愛とか恋とかにはいかないけど、
大人にも通じるやるせなさやもどかしさを、絶妙に表現しています。
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本作の監督・日向寺太郎は、スタジオジブリの名作「火垂るの墓」(2008年)を実写化しましたが、
その作品のノリが、ビミョーに本作に反映しています。
「いじめ」とゆうキーワードも盛り込まれ、戦中の「火垂るの墓」とは違う側面も、描いているのも見逃せません。
戦中・戦後も21世紀の今も、コドモたちの心理的には、そう変わらないような視点が見え隠れしています。
それを良しとするかしないかは、見る人次第でしょうが、
ボク的には、コドモたちの情を描く点においては、映画は今も昔も変わることはないと思いました。
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そんなコドモたちの、コドモたちだけの密やかな世界に、大人たちが大人ぶって関わると、
物語は破たんをきたすけど、映画的には効を奏する場合もあります。
しかし、本作の大人たちはあくまで、脇役のサポートぶりに徹していて、それが妙に心地よい。
食堂を経営する夫婦役になった、常盤貴子と吉岡秀隆の演技ぶりは、コドモたちのキモチを重視する演技ぶりで、メッチャ良かった。

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