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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年2月の記事

2019年2月28日 (木)

「九月の恋と出会うまで」⇒まだまだ日本映画3

2_2
高橋一生と川口春奈が、共演したSFラブストーリー

タイムスリップじゃなく、タイムパラドックスが決め手だ

http://www.kugatsunokoimovie.jp

3月1日の金曜日から、ワーナー・ブラザース映画の配給により、全国ロードショー。

ⓒ松尾由美/双葉社ⓒ2019 映画「九月の恋と出会うまで」製作委員会

1_4
タイムパラドックスが、大きなポイントとなった、SFラブストーリー。

タイムスリップや、タイムトラベラーものではなく、

過去と未来にいる2人が、やりとりをするタイプで、

過去にいるヒロイン(川口春奈)が未来へ行ったり、

未来にいる主人公(高橋一生)が、過去に戻ることはない。

3_2
「タイムマシーン」的な映画ではなく、

言うならば時を経た、ポストを介した、時空を超える手紙のやり取りで魅せた、

「イルマーレ」(2000年製作・韓国映画/2006年・アメリカ)のようなタイプだ。

ハム無線なんてのもあったけど、本作は、この種の映画のお約束でリアリティーはないけども、

特定の部屋で聞こえる、未来からの声となっている。

そんな2人がやり取りし、ラブストーリーへと紡いでゆく。

4_2
過去は果たして変えられるのか。

本作は、それが1つの大きなテーマになっている。

20世紀のタイムスリップ系映画には、過去改ざん系の映画は存在しなかった。

しかし、21世紀に入ると、

「デ・ジャヴ」(2006年・アメリカ)、「タイムマシンはドラム式」(2006年・日本)、

「orange」(2015年・日本・弊ブログ分析済み)など、

過去を変える系が、当たり前のように出てきている。

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過去を変えるには、それなりの理由とリアルと論理性が、必要になるだろう。

残念ながら、それらの過去改ざん系の、タイムスリップものは、映画評論家筋の評価が低く、

ボクが見ても、それなりの感動や、それなりの娯楽があっても、

決してココロに深くクルものではなかった。

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但し、本作はタイムパラドックスの、論理のつじつま合わせによって、

少なくとも前出の、過去改ざん系映画とは、違う様相を呈している。

彼女の過去を変えるために、パラドックスの整合性に必死に挑む主人公。

未来の死が見える、大ヒット中の「フォルトゥナの瞳」(2019年・2月15日付け弊ブログ分析済み)にも近い、

時を超えた、ドラマティックな愛を感じる映画だった。

10
アイドル映画ノリに、メッチャふさわしい川口春奈ちゃんの、素直な演技性に加え、

ミステリー性もある映画なだけに、高橋一生の、最初はぎこちなさを見せながらも、

最終的には、誠意あるエエとこを見せ、好感ある愛のヒーローになるねん。

ああ、うらやましい。やない。面白い。

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山本透監督の最新作。

音楽映画で家族映画でもあった「グッモーエビアン!」(2012年・ブログ分析済み)、

「猫なんかよんでもこない。」(2016年・ブログ分析済み)、

そして本作のアイドル性など、

近日に分析した、日本映画のヒット・トレンド方程式に、ハマる作品を撮り続けているのだ。

本作で、遂にブレイクか。期待したいところだ。

2019年2月27日 (水)

「デッドエンドの思い出」⇒まだまだ日本映画2

1_3

「少女時代」チェ・スヨンの魅力が光る、堂々のアイドル映画だ

桜シーン始め、名古屋ロケーションも美しい

http://www.dead-end-movie.com

3月1日の金曜日から、テアトル梅田ほか、全国順次のロードショー。

ⓒ2018 Memories of a Dead EndJ FILM Partners

3

外国人が来日して、いろんなことがあって、癒やされたりして祖国へ帰っていく映画。

ビジターの外国人が主演する、日本映画とゆうのは、

日本を舞台に、外国人が主演を張るアメリカ資本映画ほどには、

ハデやないけど、ケッコーある。

8

そうした映画は時に、アイドル映画として、機能する場合もある。

本作は韓国女優(アイドルK-POPグループ「少女時代」のチェ・スヨン)が、主演する日本映画だ。

韓国女優となれば、チェ・ジウが出演した、日本の連続テレビドラマや、

チョ・ジヒョンが主演した「ラスト・ブラッド」(2009年製作)などの前例がある。

9

外国人が主演する邦画の場合、妙にぎこちなさが目立つ場合があるが、

実を申せば、本作もその例に漏れない。

しかし、アイドルとしての魅力であったり、

強引なとこもあるけど、癒やされるためのキズナだったりで、

アクションものの「ラスト・ブラッド」などとは、間違いなく一線を画している。

4

映画の中心にいるのは、チェ・スヨン。

日本と韓国で、遠距離恋愛となっていた彼氏を訪ねて、

日本の名古屋に来た彼女が、彼氏の裏切りに遭い、名古屋をさまよううちに、

宿泊もできるゲストハウス兼カフェにたどり着き、

そこの常連やオーナー店長(名古屋の地元ロックバンド「ボイメン」の田中俊介)と出会って、

つまりは、癒やされるとゆう展開。

5

チェ・スヨンの、さほど落ち込んではいなさそうな、クールな魅力。

なぜ店の常連や店長と、溶け込めたのかの、細部の描写は稀薄だが、

しかし、彼女は飄々と我が道をゆく。

7

その不自然体とゆうか、ぎこちなさこそが、アイドル映画のアイドル映画たるところだろう。

安直なラブストーリーでないところも、良かったと思う。

バイオリンやピアノのサントラを駆使し、フォークな弾き語りの歌などで、癒やしを構築してゆく。

さらに、ドラマティックなオーケストラ・サウンドさえ使われている。

6

韓国の女性監督チェ・ヒョンヨンの、長編映画監督デビュー作だ。

日本映画だから、桜のシーンを入れとこかなんてゆう、いかにもな、外国人監督らしいとこはあるけれど、

これはこれでいいと思う。

映画化もされた「キッチン」の吉本ばななの、小説が原作なだけに、

ほどよい距離を保った、男女のラブやない、キズナ映画に着地している。

そのあたりのさじ加減も、ほどよい作品だった。

2019年2月26日 (火)

「眠る村」⇒まだまだ日本映画1

1
ミステリー・タッチの、ドキュメンタリー・シリーズの最新作だ

仲代達矢のナレーションが、ココロ揺るがせる仕上がり

http://www.nemuru-mura.com

3月2日の土曜日から、第七藝術劇場、京都シネマほか、全国順次のロードショー。

ⓒ東海テレビ放送

2
1961年に発生した

「名張毒ぶどう酒事件」追及ドキュメンタリー・シリーズの1作。

冤罪か冤罪でないかといった映画は、ドラマ映画を始め、

これまでにも多数存在した。

3
本作シリーズは、ドラマ映画(正確にはドキュ・ドラマ半々)も製作されたが、

ほとんどのその種のドラマは、ドラマ映えしやすいこともあって、

冤罪系がポイントになっていた。

冤罪なら、真犯人を探すとゆうドラマ系は、さらにドラマティックになるだろう。

4
ドキュでもあり、残念ながら本作には、そうしたノリはない。

しかし、部分部分で、自然な流れながら、ある種のあおるような取材が、

時にドキッとさせる仕上がり具合だ。

そして、再審を要求する死刑囚が、死んだ場合はどうなるのか。

さらに、真実は遠のいてゆくだろう。

5
それでもなお、病死した死刑囚の妹が、再審を求めてゆく。

こうしたドキュには、最後の最後まで、撮り続けねばならない運命にある。

6
事件の検証が、毎度のごとく、モノクロ映像を含めて、反復披露される。

冤罪なら、真犯人は当然いる。

当時事件が起こった小さな村の、今も生きる老いた事件関係者たちに、

製作者側は、執拗にインタビューを繰り返してゆく。

7
しかし、煮え切らない発言が続き、タイトル通り、村は眠ったように静まり返っている。

この現実の描写こそが、本作のキモとなるところだ。

その余韻を見せるところが、重要なのだ。

そして、シリーズは続いてゆく。

8
シリーズをずっと担当している、仲代達矢のガラガラ声のナレーションが、メッチャな存在感を示している。

さらに、キモとなるところで、吹奏される本多俊之による、トランペット・サントラだ。

本作にビミョー、かつミステリアスな怪しの、雰囲気を醸し出していた。

10
本作シリーズのプロデューサーは、東海テレビの阿武野勝彦(あぶの・かつひこ)。

全く個人的なことで恐縮なんやけど、1959年生まれで、同志社大学文学部卒業やなんて、

全くもって、ボクの同級生やんか。

当時キャンパス内で、すれ違いは当然あったろうけど、

今こそぜひ会ってみたいと思った。

9
でもって、本作について、酒を酌み交わしながら語り合いたいな。

全く私的なことで申し訳ないけど、

でも、本作は次が見たい作品だった。

ドキュでなくてもいい、

真犯人探しのドラマ映画を、ぜひとも作ってほしい。

2019年2月22日 (金)

「あの日のオルガン」⇒ヒット・トレンドな日本映画分析3

1
7
戸田恵梨香と大原櫻子の、対比演技ぶりに魅せられる

松竹家族キズナ映画に、勝るとも劣らない快作だ

http://www.anohi-organ.com

2月22日の金曜日から、マンシーズエンターテインメントの配給により、

なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹ほかで、全国ロードショー。

2018「あの日のオルガン」製作委員会


シメの3回目のキー・ワードは、家族系キズナの派生型、

チーム・プレイとも取れる、家族映画以上のキズナを、示す映画である。

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松竹の家族映画のノリがあるけど、決してお涙ちょうだい系へとは流れない。

従来の松竹系とは、ビミョーに違うところが、本作にはある。

そこんところを、チョイ見てゆこう。

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戦時の疎開もの映画である。

さらに、戦時のコドモたちを捉えた映画でもある。

その種の映画の、マイ・ベストやカルトは、邦画・洋画限らず、弊ブログでは、何度も披露してきた。

ここでは、邦画の疎開もの、

もしくは戦時ものに、フォーカスしてみよう。

ベスト・スリーは

①二十四の瞳(1954年製作・モノクロ・弊ブログ分析済み)

②少年時代(1990年)

③美しい夏キリシマ(2002年)であり、

本作は入らない。

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しかし、ベスト作品を踏まえた上で、

果敢に戦時のキズナへと、アプローチしていくところが、好感を呼ぶ作りになった。

家族じゃない。

保育園そのものが、園児と共に疎開するとゆう発想が、実話として実際に行われた。

コドモたちと先生の交流部では、

ベスト①のようなキズナ・シーンが、何度となく描かれる。

12_2
②や③で描かれる、コドモたちの心情描写も、

深くはないけど、群像劇的に描かれてゆく。

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それよりは、保母たちの献身演技ぶりこそが、

大きな見どころとなっている。

6_2
上に意見してゆく戸田恵梨香の、「コードブルー」を思い出させる、攻撃的な演技、

しかし、弱者のコドモたちへは、どこまでも優しい演技ぶりを見せる。

8
対して、その攻撃性とは相反して、大原櫻子の、

のほほん天然系、でも、泣きの演技もはばからずに、見せてゆく演技。

戸田と大原2人の対比演技は、

本作をメッチャドラマ映えさせて、ドラマティックだった。

9_2
少年少女たちと、保母や親たちのつながりにおいて、

少し松竹系の短絡的なところも、見え隠れしているけど、

これはコレで、ストレートで、誰にでも分かりやすいものだと、解釈したい。

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山田洋次監督の「男はつらいよ」に続き、シリーズ化されつつある「家族はつらいよ」シリーズに、

レギュラーとして出演している、橋爪功(祖父役)と夏川結衣(長男のヨメ役)が、

エエ感じなところで、恵梨香ネーさんや櫻子ちゃんを、サポートしてくれている。

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とゆうことで、松竹家族映画キズナ映画の、良心が受け継がれている快作だ。

「僕の彼女は魔法使い」⇒ヒット・トレンドな日本映画分析2

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愛こそ全てな、ラブストーリーなアイドル映画だ

アイドルがいなきゃ、そう、ボクたちは生きられない!

http://bokukano-maho.jp

2月22日の金曜日から、日活の配給により、全国ロードショー。

ⓒ2019 IRH Press

1_2
日本映画の実写映画の、トレンドを探る第2弾は、アイドル映画にしてラブストーリーだ。

時代のトレンドを築いてきたのは、

古くは美空ひばり、石原裕次郎から、

21世紀のAKB48、そしてジャニーズまで、

アイドル道映画にあったのではと、ボクは手前勝手に思うのだ。

10
でもって、本作のアイドル・ヒロインは、千眼美子(前芸名・清水富美加)ちゃんである。

本作の1つ前に撮った「さらば青春、されど青春」(2018年製作)は、残念ながら未見なんだけど、

彼女の主演・出演作の、マイ・ベスト・スリーを、順不同で言いますと、

①本作

②ごっこ(2018年・弊ブログ分析済み)

③笑う招き猫(2018年・ブログ分析済み)

てなカンジですか。

②は昨年の邦画の、マイ年間ベストテンに入れました。

2
明るい前向きな演技に加え、潤いの感情演技も見せ、

アイドル演技ラインを、完璧に超えていた。

でもって、本作では、サイコな2面性演技でも魅せてくれる。

学園ドラマ編でのとんでも明るいのんと、

大人になっての、翳りある演技の2面だ。

3
本作は、タイトルにもあるように、ヒロインの美子ちゃんが、魔法使い役になります。

魔法ものと言えば、「ハリー・ポッター」なんかは別格として、

日本でも売れても、決しておかしくないジャンルではないかと。

実写にもなったけど、アニメには「魔女の宅急便」や、

これもアニメの実写化であった、

綾瀬はるかが主演した、「ひみつのアッコちゃん」(2014年・ブログ分析済み)なんかもあるしね。

4
記憶を2度にわたり喪失させられる、美子ちゃんのお相手役・梅崎快人クン。

この記憶消失は、「時をかける少女」(1983年)などに前例があるが、2度もはどないやろか。

さらに、ドラマ的都合もあって、2度とも思い出しちゃう展開なのだ。

なんやしらん、おもろいやん。

5
美子ちゃんが、自身が魔法使いであることを、運命のお相手に知らせて、

一緒にホウキに乗って、空を飛ぶなんて展開は、

魔法使い映画には、かつてなかったんやないかな。

9
神に仕える白の魔法使いと、黒魔術の魔法使いがいて、

戦いの結果、正義の白魔法使いは、実は美子ちゃんだけに、なってもうてる現状なんやけど、

そこんところは、冒頭で字幕で説明されるけど、

でも、その後の学園ラブストーリーな流れは、意表をつかせてくれた。

8
アイドル映画に重要なタッチを、そこかしこに散りばめつつも、

最終的には、美子ちゃんは、この悪の黒魔術な奴と、対決せないかんのですわ。

高杉亘が、そんな悪人・悪魔役をやってはります。

松田優作のような雰囲気があると、ボクがずっと思ってた高杉亘。ボクは、実は隠れファンだす。

「スターウォーズ」のダース・ベイダーみたいな、コスチュームプレイも、メッチャおもろかった。

6
ピンク、セピア、ブルーなど、CG使いに加え、

男女ポップスの2曲の、歌ものも心地よかった。

そして、何よりも愛についての映画である点が、良かったと思う。

こんなラブストーリーの在り方も、あるんだなと納得できる映画だった。

2019年2月21日 (木)

「ねことじいちゃん」⇒ヒット・トレンドな日本映画分析1

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1
人と生き物のキズナを描く映画

究極のネコ映画の、粋で魅せる快作

http://www.nekojii-movie.com

2月22日の金曜日から、猫の日ロードショー。

ⓒ2018「ねことじいちゃん」製作委員会

アニメを除いた、日本映画のヒット・トレンドを、3回にわたり検証・披露いたします。

第1回目は、人と生き物とのキズナを描く映画。

イヌものからネコものまで、この種の映画は、大ヒットの宝庫である。

2大ペットもの的には、イヌものがネコものを圧倒しているけど、

本作のネコものに、フォーカスしてみると…。

3
ネコ映画の邦画のマイ・ベスト&カルトは、

弊ブログでは、これまでに何度か披露してきたけど、改めてやってみますと…。

その時のキモチ次第で、順位が変わったりしますが、その点はご了承ください。

2
●ベスト⇒①グーグーだって猫である(2007年製作)

②子猫物語(1986年)

③公園通りの猫たち(1989年)

●カルト⇒①本作

②先生と迷い猫(2015年・弊ブログ分析済み)

③猫なんかよんでもこない。(2016年・ブログ分析済み)

4
ネコ映画の、これまでの最大のヒットになったベスト②に加え、

ベスト①など、女優(小泉今日子)が、ネコを愛するパターンこそ、猫映画では王道なんじゃないか。

でも、選んだのは、ベスト③を除いて、男がメインでネコと交流する映画に、どおゆうわけかなってしもた。

ネコ嫌いなのに、なぜか野良ネコが気になるカルト②とか、

野良ネコを飼う若者の姿を、描いたカルト③など。

採り上げなかったけど、「旅猫日記」なども、男がネコをかわいがっていた。

12
そして、本作は、イッセー尾形のカルト②に続く、

おじいちゃん(立川志の輔)が、ネコをネコかわいがる作品だ。

さらに、女優としても、柴崎コウのネーさんが、猫をかわいがるのだ。

過疎化が進み、高齢者が多く、ネコも多い島を造形しながら、物語は進んでゆく。

7
ネコ映画と島映画に加え、何とレシピ料理映画の、ミキシングが施された本作。

ネコが食卓にいる風景の多さなど、これまでのネコ映画にはなかった、チョイユニークなシーンも現出する。

6
高齢者たちだけじゃない。

島でカフェを経営する、東京からのビジターな柴崎コウも若いけど、10代の若者たちも島にはいる。

高校生カップルなんかも描かれるのだが、描写はかなりと不足気味だったけど、

ダンス・シーンなんかで、若者向きの作りも、それなりに施されている。

9
でも、主役はあくまで、ネコちゃんたちである。

ネコのアップの多さは、ネコ好きにはたまらんやろうな。

でもって、各役者陣のネコとの交流ぶりが、分かりやすく、また好感度も高く演出されてゆく。

猫嫌いの小林薫や、猫好きの田中裕子らの演技にも注目、です。

5
大ヒットしたイヌ映画の、「南極物語」(1983年)や「ハチ公物語」(1987年)ほどの、感動はないかもしれない。

しかし、本作はネコ映画で、できる限りのところにアプローチし、トライした映画だった。

ネコ映画の新鮮味ある映画なのだ。

オランダ映画「マルジェラと私たち」

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ファッション業界の、セレブ・ドキュメンタリーの1作

マルジェラの謎に、どこまで迫れたかに注目!

http://wemargiela.espace-sarou.com

2月15日からシネ・リーブル梅田、3月1日からシネ・リーブル神戸、3月2日から京都シネマ、ほかで全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、オランダ映画103分。

ⓒ2017 mint film office / AVROTROS

ファッション業界のセレブの、ドキュメンタリーと言えば、これまでにもいっぱい出てきとったよな。

そんな中で、マルタン・アンジェラやなんて、

ブランドあるセレブならまだしも、

そもそもファッション業界には、元から疎いボクにしてみれば、

一体誰やねんのクエスチョンがあり、

いやはや、知る人ぞ知る映画にしかならへんのと、違うのんと思たんやけど、

果たしてどないやろか。

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この種のドキュのセオリーである、いろんな人へのインタビューは、当たり前のように敢行されている。

彼は服飾デザイナーで、会社も立ち上げたわけだけど、

そのセンスや作品性への言及もあるけど、そこがモチ、メイン・ソースやない。

彼はなんで表舞台から姿を消したのか、

疎いボクでも、ここがポイントであるのはよく分かる。

しかし…。

2
彼の最盛期に関わった2人の女が登場し、彼のやり方やら、プロモーションぶりについて話をする。

知らない人の話が語られる場合、重要なのは、謎があり、リーダビリティーがあり、

そして、それがどう解消されて、着地するのかにあるかと思う。

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会社を辞めて何もしていない、マスコミ嫌いなマルジェラへの、単独インタビューが、果たして行われるのか。

本作にとって、重大なのは、そこにしかないと、ボクは断言したい。

そもそも右も左も、何が何やら分からない状況で、

この映画を見ているので、ご了承くだされ。

3_3
でもって、結末は? 

ネタバレになるので言わないけど、

でも、ミステリー・モードは最後まで、続いていたとだけは言っておきたい。

ネットやらで事前に彼のことを調べて、この映画を見に行くなんてことはしなくていい。

新聞王ハーストの謎を捉えた

「市民ケーン」(1941年製作・アメリカ映画・モノクロ)を、見に行くようなノリでええねん。

謎が謎を呼ぶのか、謎が解消されるのかは、見ているあなた次第やろね。

いずれにしても、ミステリアスなドキュメンタリーだった。

2019年2月20日 (水)

デンマークのサスペンス映画「THE GUILTY/ギルティ」

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映画史初の、電話だけで魅せるサスペンス

「十二人の怒れる男」を想起させる、室内劇サスペンスだ

http://www.guilty-movie.jp

2月22日のフライデーから、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマほか、全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作の、デンマーク映画88分。

ⓒ2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

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さてはて、みなさん、デンマーク映画を見たことがあるだろうか。

かつてもデンマークに限らずに、北欧映画のマイ・ベストなんかを、弊ブログでやったことがあるけれど、

本作はデンマークのイメージとは、チョイ違う、サスペンス・ミステリー・ジャンルの映画である。

そのジャンルでは、スウェーデンやノルウェーには、ハリウッドでリメイクされた映画があったけど、

本作もハリウッドでのリメイクが、実は決定している。

但し本作は、他の2国の映画とは違い、北欧の匂いがほとんど感じられない映画だった。

アメリカのサンダンス映画祭で、観客賞を受賞するくらいだから、

普遍的なサスペンス映画の、王道編と捉えるべきだろう。

5
最初から最後まで、ほとんど1人芝居で通した、室内劇サスペンスである。

電話でのやり取りに終始し、カメラが室内から出ることがない。

陪審員の室内劇・群像劇だった、「十二人の怒れる男」(1957年製作・アメリカ映画・モノクロ)の、

1人バージョンとも取れる。

セリフのやり取りで魅せた、その作品とは違い、

本作は内勤勤務の1刑事の、姿の見えない相手との電話での応答、セリフのやり取り。

電話での応答映画と言えば、いくつかの先行作があるけれど、

アメリカ映画の「フォーン・ブース」(2007年)や「セルラー」(2006年)などは、

外へもひっきりなしにカメラが出るので、

室内シーンにのみ限定された本作は、それらと一線を画するものと見なされるべきだろう。

4_2
黒澤明の「天国と地獄」(1963年・モノクロ)などは、

室内を長く見せておいてから、突然のように新幹線外へと出る、カメラワークのスゴミが、インパクト深かったが、

本作の場合はどうだろうか。

室内に終始するだけでなく、音声だけで、どんでん返しまで見せてゆく大胆さが、いかにも挑戦的な作りだ。

電話のやり取りだけでの、サスペンス映画もまた、前例がない。

音なしの映画的間合いシーンがある。

そんな主人公が思案する、長回し撮影部も、効果的に使われていた。

6
誘拐拉致ミステリーのような展開が、後半ラスト10分でガラリと変転し、

そして、静かに狂気の淵を見せる。

背筋がゾクリとするような展開に驚いてください。

とゆうことで、製作国なんかは関係なしに、

映画史にはなかった、サスペンス映画の堂々の登場なのだ。

2019年2月19日 (火)

傑作音楽ドキュメンタリー「盆唄」

3
熱気あふれる音楽ドキュメンタリーの傑作

東日本大震災後の復興を描く、「フラガール」のドキュ版だ

http://www.bitters.co.jp/bon-uta/

2月22日の金曜日から、テアトル梅田ほかで、全国順次のロードショー。

ⓒ2018 テレコムスタッフ

1
映画ファンをうならせた、沖縄ラブ「ナビィの恋」(1999年製作)が、

各種の年間ベストテンに入った、中江裕司監督の、

ドキュメンタリー映画における、年間ベストテン級作品が本作である。

東日本大震災にまつわるドキュが、震災後モノゴッツー出た中で、

その哀悼を含みつつも、地元のポジティブな盆唄の熱気にフォーカスした、

強烈なインパクトある、音楽ムービーを創り上げた。

福島の震災復興の、いわゆる炭鉱廃絶からの町おこし「フラガール」(2006年製作)の震災版であり、

また、熱量的には、「ブエナ・ビスタ・

ソシアル・クラブ」(1999年・ドイツ

&フランス&アメリカ&キューバ)に

も匹敵する、

フクシマ音頭、フクシマダンス、フ

クシマ・双葉(町)音頭の、圧倒的

なパフォーマンスが繰り広げられ

るのだ。

4

冒頭は震災・原発事故

で、故郷に容易に立ち

入れなくなった人たち

の、悲哀が描かれる。

特に、盆唄に傾倒して

いた人たちの、その

後、

そして、今、再び盆唄を

パフォームするため

の、プロセスが緻密に

捉えられてゆく。

盆唄がハワイに伝えら

れた経緯があり、

ハワイへ福島の盆唄パ

フォーム一行が訪れ

て、

ハワイの人たちと交流

したりのエピソードは

ユニークだ。

8
福島盆唄の歴史を、手書きのモノクロ・アニメで、伝えるシークエンスは、

事実を伝えるとゆうドキュに、画期的で新鮮な効果をもたらした。

アニメ部の声優で参加した、余貴美子、柄本明、村上淳らの、声演技ぶりにも注目されたし。

9
ほんでもって、震災の後遺症やらを、完全無敵に超越した、圧巻の盆唄パフォーマンスの披露だ。

歌い手、タイコなど、各パート担当者の盆唄練習ぶりを、何気に挿入しつつ、

ゆっくりじっくり、クライマックスへと導いてゆく。

このあたりの編集ぶりは、ストレートなライブものより、よりドラマティックな効果をもたらしていた。

でもって、いよいよ始まる盆唄披露シーン。

演奏だけじゃない。福島・双葉町の風景をモンタージュしながら、盛り上げてゆくカット割りには、ググーンと魅せられた。

震災映画。もちろん、重要だ。

ボク的には、阪神大震災や北大阪地震の被災はしたけども、

しかし、震災を超えたところにある、前向きな熱気こそ、

むしろ地震を、第三者的に見ている我々を、

驚かせ感動させるものなのだとゆうことが、改めて知覚できた。

日本的音楽ムービーの最高傑作と、称してもいい傑作である。

2019年2月15日 (金)

「フォルトゥナの瞳」⇒週末日本映画劇場

5
神木隆之介・有村架純共演の、SFラブストーリーだ

スリリングかつドラマティックな、クライマックスが待っている

http://www.fortuna-movie.com

2月15日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

ⓒ2019「フォルトゥナの瞳」製作委員会

Photo

アメコミ・ヒーローほどの、ミラクル度合いの高さや、アクションバリバリはないけども、

特殊能力を持つ、主人公やヒロインが、活躍するドラマ映画。

タイムワープするタイプなら、みなさんにもお馴染みだろうが、

本作は五感に関わる特殊能力だ。

見えないものが見えたり、聞こえない声が聞こえたりするもの。

1

本作の主人公・神木隆之介の場合は、「死を目前にした人間が透けて見える」とゆう、かなり限定された能力だ。

飛行機墜落事故で生き残った、少年の頃の体験が、この能力を植え付けさせたらしい。

でもって、大人になり、ヒロイン・有村架純の手が、透明に見えたことから、

死が目前とは告げずに、彼女のいつもの行動範囲を外すために、喫茶店にむりやり誘って救うのだ。

2

しかし、いつも通りに、会社から自宅へ帰っていたら、

爆発現場に居合わせて、死んでた可能性があったことを知った架純ちゃんは、

神木クンを探し当てて、やがて付き合い始める。

名作「時をかける少女」(1983年製作)と同じく、

特殊設定を設けながらも、

これはつまりは、ラブストーリーなのである。

3

そして、架純ちゃんを救うための、神木クンの犠牲精神が、クライマックスで披露される。

人の運命を変えることは、自分の命を危なくすることらしい。

このあたりも、フィクションでありつつも、説得力を感じさせる。

8

神木クンが主人公の声を担当した、

大ヒット・アニメ「君の名は。」(弊ブログ分析済み)もまた、

ヒロインを救うための、大胆な行動ぶりだったわけだが、

今度は実写でまた、ドラマティックで好感度の高い、

ヒューマニズムを披露してみせた。

4

守られる側の架純ちゃんも、いつも通りに好感度は高かった。

ラブストーリーとしての、最後のサプライズにも関わり、

あっと言わせてくれたりもしている。いいね~。

6

骨太でリアリズムある小説が、多かった百田尚樹の、

映画タイトルにもなった、意外なSFラブストーリーが原作だ。

それを、21世紀のアイドル映画の名匠・三木孝浩監督がメガホンを執った。

そんなコラボレートに、神木クンと架純ちゃんは、見事にマッチしていたように思う。

7

架純ちゃんの出身地の、兵庫県・神戸ロケも敢行。

関西人にとっては、おおっと唸れる、親しみやすさもある。

でもって、ONE OK ROCK(ワンオクロック)のロック「In the Stars」が、

最後をカッコよく締める。

9

とゆうことで、デートムービーとして、打ってつけのおすすめ作品だ。

2019年2月14日 (木)

「半世界」⇒木曜邦画劇場

3
稲垣吾郎・長谷川博己・渋川清彦の、男の友情映画だ

現時点では、今年のマイ・ナンバーワンな日本映画だ

http://hansekai.jp/

2月15日の金曜日から、全国ロードショー。

ⓒ2018「半世界」FILM PARTNERS

Photo
阪本順治監督の新作。

彼の作品は、いわゆる年間ベストテン級作品と、ベストテン圏外作品が、

映画を見ただけで、はっきりするタイプの映画監督だと思う。

そして、何年かごとに、ベストテン級作品を撮ってくるタイプ。

黒澤明や今井正のように、常にベストテン級を、キープしてきた映画作家ではないけども、

本作は、ローテーション的にも、そろそろベストテン入り、

ひょっとしてナンバーワンも、狙えそうな位置にある作品なのだ。

1
地方ロケ映画だ。

阪本監督には、地元・大阪を起点にした映画が、高評価を得たキャリアがある。

今作は、三重県の海岸沿いの片田舎ロケ。

大昔から存在する、日本映画の地方ロケ映画だけど、

本作には、観光映画とか地方色を、ピーアールするようなとこは微塵もなく、

あくまで日本の地方の人間関係や、キズナを鮮やかに切り取った作品になっている。

林業・農業・漁業など、定番の地方人らしい職業ではなく、

本作の主人公(稲垣吾郎)は、製炭業を親から引き継いで、今に到っているとゆう、

これまでの地方イメージ職にはなかった設定。

しかも、炭作りの実際を、詳細・濃密に見せてゆく。

いわゆる地方の職人を描いた映画のノリだが、もちろんそれだけではない。

2
ワケありで8年ぶりに、故郷に帰ってきた、自衛隊に勤めていた長谷川博己。

オヤジ(石橋蓮司)と共に、中古車販売やってる渋川清彦。

稲垣とこの2人は、中学時代の同級生だ。

この3人の関係性が、紡がれてゆくのだが、

よくある感動的な友情節なノリではなく、あくまでクールに何気に描かれてゆく。

一方で、稲垣の家庭では、妻(池脇千鶴)との夫婦同士な、やりとりや絡みもあるが、

1人息子の学校でのいじめに、妻だけが悩み、稲垣と息子の間もうまくいかない。

稲垣の抑制した地味な演技性の妙味や、池脇のいつもながらの名脇役ぶりに加え、

長谷川博己が友のために、突発的にアクションを見せたりと、この3人の関係性に加え、

夫婦映画・家族映画としての粋も、いつの間にか、くっきりと見えてくるような映画だった。

4
今や珍しい、映画オリジナル脚本だ。

人間関係性の描写が、メッチャ良かった。

ネタばれしないようにゆうと、3人の関係はある種キズナ深くはないけど、自然体であり、

「映画みたい」なセリフもあるけど、決してドラマティックじゃない。

夫妻映画として見ても、池脇のサポートはあるけども、

また、息子がサプライズに関わるけども、決してサプライズめいてはいない。

しかし、ココロにクルのだ。

この不思議な余韻こそ、ベストテン的余韻と、言えるのかもしれない。

韓国映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」

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抵抗系韓国映画の、ピークを示す傑作

2人の主演男女優イ・ジェフンとチェ・ヒソが、アナーキーに快演!

http://www.fumiko-yeol.com

2月16日のサタデーから、シアター・イメージフォーラム、シネマート心斎橋、ほかで全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の韓国映画129分。

ⓒ2017, CINEWORLD & MEGABOX JOONGANG PLUS M, ALL RIGHTS RESERVED

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このところ、韓国映画では、反体制系・抵抗運動系の映画が、高い評価を得ている。

その種の韓国映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露してみると…。

●ベスト⇒①1987、ある闘いの真実②本作③タクシー運転手~約束は海を越えて~

●カルト⇒①光州5.18②密偵③暗殺

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21世紀製作・公開作品が並ぶ。

何も抵抗していないのに、市民が軍隊によって殺されるカルト①が、

日本公開分に限れば、この種の映画の、嚆矢と言えるだろうか。

その5.18事件を、ドラマティックな作りで、採り上げたベスト③。

そして、1987年にも起こった同様な事件を、採り上げたベスト①。

韓国内の抵抗運動系だった、それらの作品とは異にした、

日本とゆう支配国に抗する、朝鮮人たちの闘いを描く作品も、

2010年代頃から出てきた。

それは、カルト②③や本作である。

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日本人にとっては、気分が重たくなるかもしれないけど、

しかし、歴史は映画とゆう表現方法をもって、厳しくシビアに語るのである。

さてはて、太平洋戦争時の、密やかなる抵抗映画を描いたカルト②③とは違い、

本作は大正時代に、日本国内で抵抗する、朝鮮人アナーキストたちを捉えた、異色の作品となった。

しかも、実話がベースである。

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関東大震災の時の、日本人の在日朝鮮人たちへの非道・虐殺ぶりを背景に、アナーキストたちが逮捕される。

獄中に入っても続く、彼らの抵抗ぶりに、アッとうなってしまった。

天皇への非難も、ストレートにやってまうのだ。

おいおい。大丈夫か。即刻死刑もんだ

ぞ。

しかし、そうならないところが、本

作の実話ドラマとしての、面白いと

こかもしれない。

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2人のアナーキスト、金子文子(チェ・ヒソ)と朴烈(パクヨル=イ・ジェフン)の演技の妙味が、本作の大きな柱となった。

特に、朝鮮の運動家たちに加担する、日本人役のチェ・ヒソの演技が、圧巻だった。

6
日本人を演じた韓国人としては、「暗殺」のチョン・ジヒョンなどがいるが、日本語は流暢ではなかった。

だが、彼女は違う。

見事な日本語セリフを披露。

しかも、メリハリを利かせたタイトな使い方をして、ドラマをピリッとさせる。

アップが多いのも魅力的だ。

一時の中国女優コン・リーを、思い出させるような、抵抗演技にも魅了された。

7
監督は、芸人の時代劇「王の男」(2005年)で、ここ日本でも名声を得た、イ・ジュンイク監督。

弊ブログでも紹介した、現代劇の「ソウォン/願い」(2013年)も傑作だったが、

本作こそ、彼の最高傑作と言えるのではないか。

セピア配色による、時代感描写も決まっていて、監督として重要な、役者への演出ぶりも光る、素晴らしい作品だ。

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今年のマイ・ナンバーワン洋画は、今のところ「バーニング 劇場版」だけど、

本作も決してヒケは取らない仕上がり。

今年は韓国映画が久々に熱いぞ。

そんなキモチにさせてくれる映画だった。

2019年2月13日 (水)

「女王陛下のお気に入り」⇒今年のベストワン級だ

Photo
今年の洋画のベストワン級作品だ

3女優の演技アンサンブルが、メッチャスゴイで

http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/

2月15日のフライデーから、全国ロードショー。

本作は、2018年製作の、アイルランド、アメリカ、イギリス合作による2時間。

ⓒ2018 Twentieth Century Fox

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2月5日に発表されたアカデミー賞候補作で、最多の10ノミネートを、

メキシコ製作のネット公開作「ローマ」と、分け合った1作。

おそらく本作は、アメリカ作品が有力な作品賞には、最も近い作品と言えるだろうか。

女優の演技部門も、ハンパない演技ぶりなんで、女優演技部門も独占だろう。

さて、ここで、日本作品のノミニーについての余談。

チョイ予想を披露すると、「ローマ」は外国語映画賞にもノミネートされているので、

「万引き家族」にとっては、最大の敵となる。

ホンチャンの作品賞を逃した場合、イタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年)の時と同じように、

「ローマ」が外国語映画賞を、受賞する可能性はかなり高い。

むろん、ディズニー作品が、毎年受賞してる状況においては、

アニメ作品賞においても、

「未来のミライ」(弊ブログ分析済み)も、受賞するには、非常に厳しいものがある。

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さてはて、日本作品への受賞期待度は別にして、本作の作品評へと戻ろう。

イギリスの女王もの映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーなるものを、

「ヴィクトリア女王 最期の秘密」(弊ブログ1月25日付けで分析済み)で披露したけど、

本作はその際の、マイ・ベスト作品である。

今後、「ふたりの女王」(後日分析予定)なる快作も、出てくるけど、

でも、本作の方が上の出来だとジャッジする。

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女優3人の演技が、ナニワともあれ、ディープ・インパクトに光っている。

アン女王役のオリヴィア・コールマン。

見てるだけで、鳥肌だつくらいスゴイで。

消極的、こわごわ生きてる、不安が常に付きまとう、

ブスを意識しながらも、政治もせないかんので、ぶっきらとながらやってる、ほんで、独身でレズ。

その何とも言えなさ、好感度悪しなところを、飄々と演技してゆくのだ。

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一方、アン女王の守り役の、レイチェル・ワイズ。

そして、その座を狙う、レイチェルとは親戚筋の、エマ・ストーン。

この2人の、女王に取り入る醜い争いこそが、本作のキモとなるところだ。

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戦時の話なのに、戦争シーンは一切なく、

この3人の女優アンサンブルに集中した、演出・演技で魅せる映画となっている。

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電気のない時代を反映した、セピア配色のダークな作り。

さらに、革新的な撮り方を、採用しているとこも注目ポイントだ。

遠近感あるショットながら、ボカシがないパン・フォーカスなどは、かなり革新的だったけど、

本作は、広角ショットによる、丸みのある180度アングル・カットを多用し、見事なフックにしている。

長回し撮影やスロー、オーバーラップの使い方なども巧妙だった。

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冒頭から、ハリウッド映画らしい、オーケストラ・サントラを披露するけども、

単調なチェロやピアノを入れての、スリリングなシークエンスの造形なども、

メッチャ印象深かった。

ラストロールで流れ来る、ポップ・ナンバーも、カッコよかった。

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ギリシャの監督ヨルゴス・ランティモスの作品。

弊ブログでは、「籠の中の乙女」を紹介・分析したけども、

女のビミョーな心理を掘り下げる点において、絶妙な才を見せる監督だ。

とゆうことで、女優演技アンサンブルの、

画期的かつ映画史的にも、記憶されるべくの傑作になった。

2019年2月12日 (火)

「トラさん~僕が猫になったワケ~」

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Kis-My-Ft2の北山宏光が、猫になって快演!

変格系コミカル家族映画の快作だ!

http://torasan-movie.jp

2月15日の金曜日から、ショウゲートの配給により、全国ロードショー。

ⓒ板羽皆/集英社・2019「トラさん」製作委員会


猫を擬人化した家族映画。

猫の擬人化映画と言えば、ディズニーものでは、意外にも少ないけど、

邦画では、これまでにはそれなりにあったかと思う。

演劇の「キャッツ」ほどの、大胆さはないけれど、

本作は、家族映画としてのキズナに集中した、心地よい作品となった。

猫の名前だけど、「トラさん」のタイトル付けも、

邦画の国民的名シリーズを意識した、

コミカルかつアットホームな仕上がりになっている。

漫画家の主人公(「Kis-My-Ft2」の北山宏光)は、

バク才(博打の才能)もあり、それは競輪(競馬やパチンコでないとこに注目)やった。

でもって、それで大儲けした時に、交通事故に遭って死亡。

ヨメ(多部未華子)と娘(平澤宏々路)は、思いがけない哀しみに遭うが、

このあとの展開は、それほど悲しくはなく、

涙を流すシーンもあるけれど、ヨメも娘も気丈にふるまう。

このあたりの展開は、ケッコー泣かせるかもね。

天国への出入り口には、裁判長(バカリズム)がいる設定は、

ハリウッドの名作や、人情喜劇節な邦画にもある設定ながら、

マンガ原作らしく、コミック・コミカルで魅せ、

主人公が猫として、期間限定で蘇える設定を、こしらえ上げる。

なんや知らんオモロイヤン。

でもって、ヨメと娘のとこへと、主人公は飼い猫として再生するのだ。

北山クンはこんな役を、朝飯前のホイホイ飄々とやってのけた。

また、北山クンと絡む、同じ立場の飯豊まりえの、哀愁深い演技にも魅せられた。

脇役陣もガンバってるで。要潤のアニキにも、注目されたし。

でもって、イチバンなところは、娘と主人公・オトン(猫でもある)の、マンガを通した、キズナ部の描き方だ。

これは見てもらって、うなってもらうしかないところだろうか。

いつも通りの、フツーの自然体を通す、多部未華子も素晴らしいが、

北山クンの自然体演技も、好感度はメッチャ高い。

3
Kis-My-Ft2の主題歌「君を大好きだ」が、ラストロールで流れる。

ジャニーズらしさなポジティブさが、いつもながらに光る快曲に、思わず胸が躍った。

北山クンの快演を、ストレートに盛り立てていた。

これぞ、ジャニーズ節、ジャニーズ映画の真骨頂だ。

ナニワともあれ、松竹系の、プログラムピクチャーな家族映画に比肩する、娯楽作品に仕上がっている。

2019年2月 9日 (土)

「洗骨」⇒週末日本映画劇場

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弔い映画の新たなスタイルを示す作品だ

名作「お葬式」と見比べてみよう!

http://www.senkotsu-movie.com

2月9日から、ファントム・フィルムの配給により、

丸の内TOEI、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都ほか、全国ロードショー。

ⓒ「洗骨」製作委員会

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本作は、一言で言うなら、お葬式映画である。

日本映画では、伊丹十三監督の「お葬式」(1984年製作)以来、イロイロ輩出されてきた弔いの映画だが、

本作はその弔いの新しさを、1つのポイントにしている点がユニークだった。

沖縄限定の特殊な弔いの儀式と

ゆうことで、当然ながら、沖縄ロ

ケを敢行している。

本作の監督の照屋年之(ガレッジ

セールのゴリ)だが、

長編デビュー作「南の島のフリム

ン」(2009年・弊ブログ分析済み

)でのロケ先を、今回でも採用。

1990年代後半からかしましくなっ

た、沖縄ロケ映画のケイフとして

は、

家族映画としての範疇に、入る

作品かと思われる。

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とはゆうものの、沖縄ロケ映画は、家族映画が主流だ。

日本映画の家族映画は、ジャンル的にも最も多いのだが、

本作は、その種の映画の鑑とも言える、松竹系の正統派家族映画とは違った、

変格系の家族ものを志したようだ。

だが、松竹系のプログラム・ピクチャーによくあった、コミカル系をところどころで挿入し、

重苦しくなるはずの弔い映画の、重々しさを解除している。

名作「お葬式」も、それなりに軽みはあったが、

笑えるような軽みではないので、本作の軽みとは相違するだろう。

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オカンにしてヨメ(筒井真理子)が死んで、

喪主となるオトン・ダンナ(奥田瑛

二)を始め、

東京から息子・長男・アニキ(筒

井道隆)、名古屋からの娘・妹(水

崎綾女)が、沖縄の離島の実家

に参集。

この3人は、それぞれが問題を抱

えていた。

まず、示されるのは、いつになく

弱々しさを見せる、オトン役の奥

田瑛二。

息子の筒井と言い争う、2分くら

いの長回しシーンでは、鬱屈ぶり

がバクハツする。

しかし、弱者演技をベースにして

いて、奥田演技の新味で魅せて

いるのがミソ。

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久々に見た筒井道隆の、これまでと変わらぬ演技ぶりや、

妊娠・出産演技を見せる、水崎綾女の大胆・奔放さも、

フツーの自然体な人だった「光」(2017年・弊ブログ分析済み)に比べて、かなりの進化が見られたかと思う。

ホラーなところが癒やしへと転換する、

洗骨シーンの爽快さも、不思議快感な作品だった。

2019年2月 8日 (金)

「アクアマン」⇒ハリウッド大作

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海中の「スター・ウォーズ」な戦いが展開する

ハリウッド映画のオリジナル作品が、堂々の本邦上陸だ!

http://wwws.warnerbros.co.jp/aquaman/

2月8日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、全国ロードショー。

本作は、2018年製作の、アメリカ映画143分。

ⓒ2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ⓒDC Comics

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海中ものアクション映画。

これまでは、潜水艦ものや「アビス」(1989年製作・アメリカ映画)など、

フツーの人間が、船に乗って海底に入り、スリリングに展開する映画や、

マーメイドや擬人化した魚たちが、活躍するアニメ系などがあったけど、

本作は、水中でも生きられるとゆう、ミラクルな人間たちを造形。

むしろ逆にそういう人間が、地上で活動するには、

水が必要になるとゆう、ユニークな展開だ。

7
これが昨今トレンディーな、アメコミ原作かと思いきや、

アトランティス大陸の、水没消滅にヒントを得て、

本作のジェームズ・ワン監督らが、脚本チームを作り、作り上げたオリジナル作品なのである。

荒唐無稽な話と言われれば、それまでだが、

何はともあれ、ハリウッドの大作イズムに裏打ちされた、実に豪快なエンターテイメントとなっている。

「スター・ウォーズ」シリーズや、「エイリアン」シリーズなどと、リンクするような、

キャラクター設定やVFX・CG使いも、シリーズ化を狙ってのものなのだろう。

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コスチュームも当然、堂に入っている。

ニコール・キッドマンや、アンバー・ハードら女優陣の、

ボディー・ラインを強調したコスプレには、セクシー度メッチャ高し。

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そんな彼女たちの、アクションを含めたシーン・シークエンスの、ベスト・スリーを言いますと…。

①イタリアでの女王(アンバー・ハード)と主人公(ジェイソン・モモア)が、

海底王国の敵たちから、逃げながら応戦するシーン。

家を壊しながらの、チェイス・シーンは、

「ボーン」シリーズの、チェイス・アクションにも通じるもの。

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②モンスターに乗っての対決シーン。

③異父兄弟対決シーン。

どちらも、クライマックス的に、強烈な印象を残してくれる。

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フツーの人間と、海底王国から逃れてきた、元女王との間に生まれた、半海底人間・主人公が、

海底王国の覇権に関わるお話。

さらに、元女王・母と、主人公や人間の父・夫との、キズナも捉える、

ヒューマニズムな作りもしている。

海中アクション・エンタがモチ、メインだけど、

感動的な余韻も味わえる快作エンタだ。

ハリウッド大作の現代型を示す、必見の作品だと言える。

2019年2月 7日 (木)

「山<モンテ>」⇒革新的イタリア映画2

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イタリアン・ネオリアリスモを、寓話的神秘的に捉えた作品

リアリズムを超えたところに、衝撃がある芸術映画だ

http://www.monte-movie.com

2月9日のサタデーから、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次のロードショー。

作は2016年製作の、イタリア・アメリカ・フランス合作の107分。

ⓒ2016 Citrullo International, Zivago Mdia, Cineric, Cine-sud Promotion. Licensed by TVCO. All rights reserved.

イランの監督アミール・ナデリが、中世イタリアを舞台にして、イタリア・ロケーションにより撮り上げたイタリア映画。

中世なので、いわゆる時代劇として、撮るはずのものだが、かなり寓話的な作りになった。

史劇も多数作られてきた、イタリア舞台映画だが、

本作はこれまでになかった特異な作りで、歴史ものながら、

その意識下には、戦後のイタリアン・ネオレアリスモ(リアリズム・以下NRと表記)映画が入っていたように思われる。

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生活苦を描くポイントは、NRにも、「自転車泥棒」(1948年製作・モノクロ)みたいな名作などがあるが、

本作はリアリズムに徹しているわけではなく、

あくまで生活苦があっただろうとゆう想定の元、

家族はどう生き延びたかを描く作品である。

但し、時代考証はキチンとしているみたいだ。

電気のない時代感を反映して、夜のダーク感に加え、

山とゆうか絶壁に、陽光を遮られている昼間も、脱色系の配色具合で撮っている。

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娘が死んで、弔い埋葬するシーンから始まる。

そこの土地は、絶壁で陽が届かず、作物が育たない不毛の環境にあった。

人々は見切りをつけ、他の土地へと移住してゆき、残ったのは主人公・妻子の3人家族だけ。

でも、主人公は作物を作り、街へ売りに行くものの、作物の出来は悪くて売れず、

しかも下層民と罵られ、結局家族3人は孤立してゆくのだ。

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娘の墓があるから、その土地を離れられないのは、まあよしとしても、

原因の絶壁を崩そうとして、主人公がハンマー片手に、崩し続けるのは、

無駄な抵抗だと分かるのに、なぜ日夜やり続けるのか。

でもって、その間、食っていくのはどうしているのか。

リアルな詳細は描かれない。

ボクが寓話的、つまりファンタジー的だと言うのは、そのあたりのリアル感のなさにもある。

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でも、主人公の執念ぶりには、恐れ入ることしきり。

エロー・セピア・オレンジで描かれる太陽だが、

いっとき示される陽光の元の、明るいシーンの現出は、強烈なフックとなる。

そして、山のうなりの効果音、ロングショットが冴えるカット、

主人公の神への想いを伝える、長回し撮影シーン、サントラなしの作りなど、

映画作家性を示す第七芸術性は、特に高く感じられた。

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芸術ノリ映画とはいえ、着地にはサプライズが、待ち受けている。

原始的な自然との闘いを、クリエイトした上でのこの着地は、ある種衝撃的かもしれない。

いずれにしても、映画芸術の粋が味わえる逸品だ。

2019年2月 6日 (水)

「ナポリの隣人」⇒革新的イタリア映画1

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「家族の肖像」とは真逆の、シニア映画系家族映画だ

とんでもない大事件が、定番をひっくり返す作り

http://www.zaziefilms.com/napoli/

2月9日の土曜日から、ザジフィルムズの配給により、岩波ホールほか、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作のイタリア映画108分。

ⓒ2016 Pepito Produzioni

1
シニア映画は元来は、孤独を旨としていた。

しかし、今作は違う。

家族映画と疑似家族映画を交錯させて、

疑似父娘と実の父娘の関係性が、オーバーラップしてゆくとゆう、

従来のシニア映画にはなかった、領域に分け入っている。

老人主人公が、広い家に1人で住んでいる。

妻に先立たれ、娘と息子は既に、1人立ちしている。

そんな老人だが、「野いちご」(1957年

製作・スウェーデン映画・モノク

ロ)の老人のように、過去を振り

返ることもなく、

「ベニスに死す」(1971年・イタリ

ア)のように、手前勝手な幻想に

浸ることもない。

2
隣家の奥さんと積極的に交流し、その後ダンナや幼いコドモたちとも付き合う。

疑似家族をするのだが、一方で、実の家族とは崩壊状態で、娘と息子との間には確執がある。

実の孫とは娘に内緒で、放課後に連れ出したりする。

定番の孤独な老人映画とは、かなり作りが違っているのだ。

内向的だった「家族の肖像」(1974年・イタリア&フランス)の、外交的バージョンとでも言えばいいだろうか。

6
さてはて、このまま大した事件もなく、疑似家族のキズナからスライドさせつつ、

家族のキズナの復活へと、収斂していくのかなと思いきや、

とんでもないエゲツナイ事件が発生するのだ。

隣のダンナが妻子を殺して、自ら拳銃自殺して死ぬのだ。

おお、何たる恐るべき、悲劇的カタストロフィーだ。

だが、妻は重体ながらも生きていた。

この突然変異な一家心中事件は、本作の仕様をガラリと一変させる。

4
父娘のキズナへと至る道筋において、この事件は異彩を放つ斬新さを有している。

こおゆう作りは、かつてあんましなかったのではないか。

また、ナポリの街を舞台にした映画は多いが、マイナス・イメージで描かれる点も、新しいかもしれない。

21世紀の、イタリアン・ネオ・リアリスモとゆう評価もある。

戦下の「無防備都市」(1945年・モノクロ)とか、

戦後の混乱期の「自転車泥棒」(1948年・モノクロ)とかの、時代とは違うとはいえ、

本作は移民問題にも触れており、現代の家族を映した点においても、決して誇張されたものではない。

5
冒頭で流れる、イタリアンな哀愁のギター・バラードに加え、

アコーディオン、笛、パーカッションを駆使した、サントラ使いにも妙味があった。

とゆうことで、シニア映画のイメージを変える、画期的な1本だ。

2019年2月 1日 (金)

「雪の華」⇒登坂広臣・中条あやみ共演

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病系ラブストーリーと、期間限定ラブストーリーが合体

今年最後の雪の華が、フィンランドで開花

http://www.yukinohana-movie.jp

2月1日の金曜日から、ワーナー・ブラザース映画の配給により、大阪ステーションシティシネマほか、全国ロードショー。

ⓒ2019映画「雪の華」製作委員会

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中島美嘉の同名曲に、インスパイアーされて作られたラブストーリー。

さてはて、ここで、ヒット曲の世界観を映画で撮り、その曲名をタイトルにした日本映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリーを、各順不同で披露してみると…。

●ベスト⇒①帰らざる日々(1978年製作)②リンダ リンダ リンダ(2005年)③なごり雪(2002年)

●カルト⇒①本作②涙そうそう(2006年)③昭和枯れすすき(1975年)

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シンガーソングライティング曲をベストに、

カルトは③の演歌を始め、シンガー・歌手への提供曲となったけど、

かぐや姫「赤ちょうちん」(1974年)、Greeenの「キセキ」(2017年)、

提供曲系では、一青窈の「ハナミズキ」(2010年・弊ブログ分析済み)なども、面白いかと思う。

名曲へのトリビュートが多いけど、

かつては、流行歌に便乗するような映画だったり、

歌と映画が同時進行となった、

日活系の「嵐を呼ぶ男」(1957年)

とか、「東京流れ者」(1966年)と

かがヒットした。

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ちなみに、外国映画はどうだろうか。

その種のマイ・ベスト・スリーを挙げると、

①ボヘミアン・ラプソディ(2018年・ブログ分析済み)②スタンド・バイ・ミー(1986年)③プリティ・ウーマン(1990年)となるだろうか。

全てアメリカ映画だけど、日本のようにヒット便乗タイプはまずない。

クイーンを描くのに、彼らの曲をタイトルにするのは自然だし、

②や③も、まずは作品ありきで、あとで主題歌にして、タイトル付けしたに過ぎない。

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では、本作はどうだろうか。

タイトル曲は、ミリオンヒットした。

ベスト&カルトに選んだ中では、ミリオン突破した曲は、本作とカルト②だけだ。

大ヒットした時から、10年以上の時(正確には15年)が経過しているが、

「雪の華」は、カラオケなどもあって、今に歌い継がれている。

単にヒットしただけじゃない。

名曲として位置づけられ、その作品世界を、ラブストーリーとして紡ぐのは、決して便乗とは言えないだろう。

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何の病気かは明示されないが、

これまで泣ける映画の代名詞であった、ヒロイン(中条あやみ)が病系のラブストーリー。

さらに、「スウィート・ノベンバー」(2001年・アメリカ)などで披露された、

ヒロインから相手(登坂広臣)へのモーションによる、謎めいた期間限定のラブ。

フィンランド・ロケーションまで敢行し、オーロラを見ることに固執するヒロイン。

全てを知った登坂が、彼女を追いかける。

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売れ線の日本映画的ラブストーリー路線を、踏襲した仕上がりだが、決して踏襲だけじゃない。

前向きなラストシーンが、それを示しているかと思う。

名曲「雪の華」の世界観に、どこまで迫れたかは分からないけど、

ラブストーリーとしては、合格点だろう。

何より、あやみチャンと登坂アニキの、アイドル映画として見る方が、

メッチャこの映画には、合っているかもしれない。

個人的には、新垣結衣と生田斗真が共演した「ハナミズキ」と、見比べてもらいたい作品だ。

「赤い雪 Red Snow」

1
未解決事件を追うミステリー心理劇だ

加害者家族と被害者家族の壮絶な対決!

https://akaiyuki.jp

2月1日の金曜日から、テアトル梅田で全国順次のロードショー。

ⓒ2019「赤い雪」製作委員会

2
「64-ロクヨン-」(2017年・弊ブログ分析済み)のように、

未解決事件にアプローチした、ミステリー仕様の人間ドラマ。

しかし、「64」のように、大がかりな警察捜査があったり、大量のマスコミが注目するような、そんな大事件ではない。

未解決のまま、30年が経過した小さな事件である。

事件を追う記者(井浦新)が、加害者(夏川結衣)家族の娘(菜葉菜)を見つけるところから、物語は始まる。

5
彼女が事件の真相を握ると見た記者は、

幼い頃にその事件で弟を殺され、その後両親が自殺した、大人になってる兄(永瀬正敏)に、

一緒に彼女を追求しようと申し出て…。

30年の時を経た、加害者家族と

被害者家族の対峙。

加害者家族の保護をポイントにし

た、「誰も守ってくれない」(2007

年)に、ボクは斬新さを感じたけ

ど、

2者を会わせた映画もケッコーあ

るけど、本作は本格的だし、

ホンマの被害者側・加害者側で

はなく、変型的ではあったが、

黒澤明の「天国と地獄」(1963年・

モノクロ)の、ラストシーンのような

緊張感があふれていて、

本作もまた衝撃的だった。

3
但し、本作はミステリー的な、謎解きがポイントではないし、

ミステリーミステリーしたドラマではない。

誰が犯人なのかは分かっている。

それよりも、2者の対峙以外に、それぞれの心理の闇を垣間見せる映画となっている。

だから、溝口健二監督のある作品を意識したかのような、

2者が呉越同舟する幻想的なカット(写真上)が、意味深と余韻を深めるのだ。

Photo
謎めいて暗くてぶっきら棒な、菜葉菜の存在感は、圧倒的だった。

彼女のヒモ的役をやる、佐藤浩市の自堕落演技は、「64」とは完全に真逆でスゴイ。

井浦新と永瀬正敏の、翳りあるヒロイズムにもグッときた。

そして、夏川結衣の、キャリア初となる自堕落演技。

断片的にしか披露しないけど、強烈な悪女ぶりを見せる。

4
このお話。10年に1本と言われた、映画オリジナル脚本らしい。

書いたのは、何と本作で長編監督デビュー前の、女性監督・甲斐さやか。

その映画作家性は、本作で遺憾なく発揮されたのではないだろうか。

7
「おくりびと」(2009年)や「たそがれ清兵衛」(2002年)など、21世紀のトレンド・山形ロケーションを選択。

過去のカットをスライドさせる作りや、人物の心理に合わせた不穏なサントラ使いなど、

演出以外に、細部に気を配った作りが良かった。

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