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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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2019年1月の記事

2019年1月31日 (木)

2019年暫定年間マイ・ベストテン⇒邦画・洋画別・1月末時点

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●日本映画

「半世界」

(稲垣吾郎・長谷川博己・渋川清彦・池脇千鶴共演/監督:阪本順治/2月15日公開/後日分析)

http://hansekai.jp/

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●外国映画

「女王陛下のお気に入り」

(オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ共演/監督:ヨルゴス・ランティモス/2月15日公開/後日分析)

http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/

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「バーニング 劇場版」(弊ブログ1月29日付けで分析)

●毎月月末に披露していた、その月に見たマイ年間ベストテン級映画だけど、

今年からは、その時点でのマイ・ベストテンを、披露することにいたします。

基本的には、各ベストワンを画像入りで披露しますが、

新たにベストテンの上位に、入った作品につきましては、

そのつど画像付き・公式ホームページ・アドレス付きで披露いたします。

月を経るにつれ、下位のランク映画は、ベストテン外に消えてゆくとゆうシステムです。

●邦画⇒

①半世界

②チワワちゃん

③赤い雪

④夜明け

⑤マスカレード・ホテル

⑥洗骨

⑦七つの会議

⑧フォルトゥナの瞳

⑨LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て

⑩二階堂家物語

●洋画⇒

①バーニング 劇場版(韓国)

①女王陛下のお気に入り(イギリス)

③ヴィクトリア女王 最期の秘密(イギリス)

④ともしび(フランス)

⑤金子文子とパクヨル(韓国)

⑥山(モンテ)(イタリア)

⑦未来を乗り換えた男(ドイツ)

⑧ギルティ(デンマーク)

⑨迫り来る嵐(中国)

⑩ジュリアン(フランス)

●洋画は2作が甲乙つけがたく、同率1位となりましたが、

最終的には、どちらかを上位に決定。

余韻の深みや、時間を経たココロの残り具合で、感覚的に決定いたします。

(選=映画分析評論家・宮城正樹)

「ともしび」⇒革新的フランス映画2

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シャーロット・ランプリングの最高傑作だ

名作「ベニスの死す」の、前向き女版シニア映画

http://www.tomoshibi.ayapro.ne.jp

2月2日の土曜日から、彩プロの配給により、シネスイッチ銀座ほか、全国順次のロードショー。

関西では、2月8日からテアトル梅田ほかで上映。

本作は2017年製作のフランス映画93分。

2017 ⓒ Partner Media Investment - Left Field Ventures - Good Fortune Films

主演のシャーロット・ランプリングが、

世界三大映画祭のヴェネチア国際映画祭で、主演女優賞をゲットした1作。

かつても彼女の、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露したが、

今回はマイ・ベスト・スリーを、順位通りに披露します。

①本作

②まぼろし(2001年製作・フランス映画)

③愛の嵐(1973年・イタリア)

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若き頃にヌードを披露した③は、映画史に残る傑作となった

その後、ハリウッド映画界からオファーが殺到し、イロイロ出たけど、傑作には恵まれなかった。

そして、1983年から2002年まで休養。

映画復帰作の、夫を亡くした妻の悲しみを演じたベスト②で、

老年熟成の名演を披露して、③を遂に超えた。

でもって、シリーズ化されたわけじゃないけど、

②の系譜となる第3弾の本作で、至高で孤高の演技を示し、

モノゴッツーな高みへと昇華してみせた。

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本作はセリフ少なめの、説明はごくわずかで、映画らしく描写に徹した作品。

舞台はベルギー。

全編を見て分かるのは、夫は収監され、息子の家族とは断絶中とゆうこと。

どんな事件により夫は罪に問われたのか。息子家族と絶縁してるのは、その事件のせいなのかは、夫の一セリフ以外は、全く説明されない。そんなシャーロットの日常が淡々と映されてゆくのだ。

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例によって、無表情を中心に、彼女はマイペースで演技してゆく。

息子に孫と会うのを拒絶されて、公園のトイレで泣き崩れる以外、

感情をほとんど見せない演技ぶりには、ある種の狂気さえ見え隠れしていた。

だから、ラストの4分近い長回し撮影のカットでも、彼女は自殺するのではないかと思ったくらいだ。

無表情だからこそ見えてくる、人間としてのプライドや前向きな生き方。

そういう演技の最高レベル・ラインに、位置付けられると言えようか。

ダーク・ボガードが、退廃的老成演技を見せた名作「ベニスに死す」(1971年・イタリア)とは、

真逆の演技で魅せる、シニア映画となった。

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アート映画を目指したかのような、撮り方の妙味にも魅かれた。

窓や鏡を活かした、オーバーラップやトリッキーなカット、

長回し撮影の、計算された使い方など、

映画ファンには、まさに堪えられない、痺れるカット多数。

シャーロットだけじゃなく、イタリア出身のアンドレア・パラオロ監督にも注目あれ!

「マチルド、翼を広げ」⇒革新的フランス映画1

8
「ショコラ」「アリスの恋」とは違う、母娘のキズナ

感動的なラストシーンが待っている!

http://www.senlis.co.jp/mathilde-tsubasa

2月1日のフライデーから、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、フランス映画95分。

ⓒ2017 F Comme Film/Gaumont/France 2 Cinema

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母娘のキズナを描いた映画。

その種の映画は、これまでにも、多数のタイトル数がある。

しかし、娘の少女時代をメインに、

母娘2人の関係性に、集中した映画は、これまでにはあんましない。

名作をパッと思い出したところ、

「ショコラ」(2000年製作・アメリカ映画)や、「アリスの恋」(1974年・アメリカ)などは、

オカン・シングルマザーの、恋の行方を魅せる映画タイプだった。

コドモ娘は、あくまで脇に追いやられていたのである。

3
しかし、本作は違っていた。

しかも、意外な設定と展開が、待ち受けている。

オトンとオカンは別居中。

なんでかは、見ていけば徐々に分かってくる。

オカンはチョイ精神がおかしいみたいだ。それは冒頭からさっそく披露される。

そして、オカンの代わりに、娘に生き方指南をするのは、

オトンではなく、オカンが買ってきたとゆう、何とフクロウなのだ。

ええ~?なんて思うかもしれないが、

このフクロウの存在は、本作の大きなドラマ・ポイントを握っている。

9
フクロウは、ディズニーのアニメ映画のように擬人化され、娘に対してだけ人語で喋るのだ。

でもって、オカンと娘の関係性を、見守ってゆく存在となる。

狂言回しのように設定された、このフクロウの存在は、意表を衝かせる。

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オカンが見せる奇行の数々に、フクロウの助言の元、娘はどう対処していったのか。

しかし、あまりのオカンの変な行動ぶりに、遂にキレてしまい…。

この事件エピソードの、微妙な使い方などは、巧妙だったと思う。

そして、娘が大人になってから、オカンと再会した時の、奇跡にも近いような感動。

フクロウが見守る中で、ピアノを鳴らしての、雨中のダンス・シーンのサプライズ。堪まらない。

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母娘の何とも言えない深きキズナを、演出した監督は、女性監督のノエル・ルヴォウスキーだ。

なるほど。こまやかなところで女性らしい、繊細さが見え隠れしてる。

しかも、自らオカン役で主演した女優監督なだけに、まさに、彼女の独壇場とも言える仕上げになっている。

自らも監督歴がある、オトン役の名男優マチュー・アマルリックの、サポート演技も、彼女を光らせていた。

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薄ブルー・トーンによる幻想シーンの、映画作家的アーティスティックな編集に加え、

ギターに乗る、フィメール・フォーク・スロー・ナンバーの、的を射た使い方などにも、唸らさせられた。

2019年1月29日 (火)

韓国映画「バーニング 劇場版」

1
早くも今年の、ナンバーワン級作品の到来だ

三角関係謎めきドラマの、新たなスタイルを提示する

http://www.burning-movie.jp

2月1日の金曜日から、ツインの配給により、TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、ほか全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作の、韓国映画148分。

ⓒ2018 PinehouseFilm.Co.,Ltd.All Rights Reserved

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全くもって早い話になるけど、現時点で今年の洋画の、ナンバーワン候補となる作品だ。

では、どのあたりが、今年のナンバーワン級なのかを、検証してみよう。

本作は、村上春樹の小説原作となる映画である。

日本映画としては、大森一樹監督によるATG映画「風の歌を聴け」(1981年製作)以来、イロイロ作られてきたけど、

最大のヒットをかました「ノルウェイの森」(2010年・弊ブログ分析済み)ほか、

ボク的には、決して良い出来栄えの作品ではなかった。

洋画としては、本作は春樹原作映画の、2作目となる。

その第1弾「神の子どもたちはみな踊る」(2007年・アメリカ・ブログ分析済み)は、

春樹の世界観・作風を、それなりに追求はしていた。

しかし、映画的には、何かサムシングが足りなかった。

2
春樹の世界観を映画化しようとすると、まだ映画化されていない「1Q84」など、

文学的なところと、映画的なところの境目をどうクリアーし、

どう映画サイドの、映画作家的世界観へと、誘導してゆくのかが、大いなる課題となる。

しかし、本作は、異質なキャラクターたちを、春樹節に則って演出しながらも、

最後には、原作にはない、映画的オリジナルな方向性へと持っていき、

愛の三角関係の、新たな方向性とゆうか、

傑作「イージーライダー」(1969年・アメリカ映画)にも近い、突発的でドラマ的な傑出した昇華を示すのだ。

ここには、ボクはうなるしかなかった。

6
三角関係ドラマだ。

これまでに、どれだけ出てきたか、計り知れないのだが、

でも、本作は、フツーの愛の三角じゃない。

ありきたりな愛の三角関係ドラマなら、そのあたりにゴロゴロしている。

けども、本作はモチ、そんなのとは全然レベルが違うのだ。

いわば、新たな三角関係を構築した、トリュフォー監督の名作

「突然炎のごとく」(1961年・フランス・モノクロ)的な衝撃を感じた。

7
ユ・アイン(淡々とした、1人演技が渋い)と、スティーブン・ユァン(のちに怪し度を増すが)のフツーな自然体演技に、

フツーじゃないチョン・ジョンソが絡むことで、

物語は特殊な流れで、徐々に諤諤とゆれてゆく。

そのあたりが、ドラマティックで妙味があった。

凄みを形成するのは、チョン・ジョンソちゃんにある。

ワケの分からなさを、フツーのように喋り演技し、

今どきのダンスじゃない、風変わりなダンスを、夕景の中、衣服を脱ぎ捨て、上半身ハダカになって踊る。

メッチャ、印象深いシーンだ。

でもって、そんな彼女が蒸発する。

4
蒸発・失踪にまつわるミステリー映画は、これまでにも多数あった。

しかし、本作は特殊だ。

ミステリーでありながらも、ミステリーを破壊し、その向こうを捉えようとする、何とも言えない衝撃を有していた。

夕方の三角の三人の、スリー・ショットの妙味に加え、

映画的照明を入れないダーク感や、怪しのジャジーなサントラ使いなど、

ミステリアスをかもしつつも、愛の復讐劇へと、収斂してゆく作りが、鳥肌が立つくらいに凄かった。

5
イ・チャンドン監督作品。

愛の物語や男の物語でも、異彩を旨としてきた監督だと思うが、

その作りは、胸に深く突き刺さるところがある。

一等賞を得た、変形だけど、良質ではあった家族映画「万引き家族」を、

カンヌで脅かした作品とゆうのも頷けた。

本作は良質じゃないし、ねじまがってはいる。

でも、同じく男のねじまがりを描いた、カンヌ最高賞ゲット作

「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)にも通じる、傑作なのだ。

必見!

2019年1月27日 (日)

日曜邦画劇場「七つの会議」

3
大ヒットする予感に、あふれた企業映画だ

野村萬斎が「半沢直樹」的を、トリッキーに演じる

http://www.nanakai-movie.jp

2月1日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、日本映画119分。

ⓒ2019映画「七つの会議」製作委員会

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企業映画の醍醐味を、ミステリー・モードを入れながら展開する快作。

骨太感は、山崎豊子原作映画にも通じるし、

男たちがメインで演じる、熱気とゆう意味では、

「金融腐蝕列島・呪縛」(1999年製作)や「陽はまた昇る」(2002年)にも通じるが、

但し本作はミステリー入りなので、ストレートには表出されない。

そして、部署間の争いや派閥問題、出世のための駆け引き・丁々発止が、スリリングに展開してゆくのだ。

5

主人公役の野村萬斎が、裏のキー・マンとして、謎めきながらも、鍵を握る存在だ。

その役柄ぶりには、とんでもなく魅せられた。

親会社の取締役(鹿賀丈史)が、見守る中での営業会議で居眠ったり、

有給休暇届けが受理されず、上司(片岡愛之助)に破り捨てられて、頭に撒かれる(上下の写真)など、

万年係長のだらだら感を、序盤

で演技するものの、

実は、これは見せかけであり、

ある種のフェイクな、騙しの演技

なのだ。

4

野村萬斎に盾ついた連中が、次々に左遷配転させられる。

なんでやねん。

その謎を、営業課長役の及川光博と、その部下の朝倉あきが探るが、謎は深まるばかりだ。

しかし、分からないままだが、やがて、いつの間にかアレアレ、野村萬斎が、ヒロイズムな立場にいてる。

その変遷演技ぶりの妙味には、舌を巻くばかりだ。

「陰陽師」(2001年・2003年)なんかより、よっぽど変幻自在。

香川照之とのやり取りなどは、ミステリー的にも、ヒューマニズム的にも、見どころとなっている。

6

男たちの駆け引きがメインでありながら、朝倉あきを始め、女優たちも花を添える。

チョイ役ながら、吉田羊の癒やしや、土屋太鳳の誠実さなど。

でも、出番の多い朝倉あきは、調査側として、キリリとした演技を見せるし、好感度も高い。

「四月の永い夢」(2018年・弊ブログ分析済み)で、繊細なヒロインを演じてココロに残ったけど、

本作では、チョイ退けぎみながらも、凛凛としていた。

7

ドラマ「半沢直樹」がブレイクした、池井戸潤の原作映画。

「飛んだタイヤ」(2018年・弊ブログ分析済み)に続く、2度目の映画化だが、

どちらの映画にも共通している、キー・ワードとゆうか、ネタがある。

コレを採り上げた映画は、まあ、あんましないだろう。

そこへ至るまでの過程は、本作の方が、見どころがあると思う。

2

ラストロールでは、ボブ・ディランの、渋い愛のバラード「メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ」が、余韻を深める。

「半沢直樹」の「倍返し」的ドラマティックを尺度にすれば、

本作が大ヒットしても、決して不思議ではない。

とゆうことで、本作で「半沢直樹」的を演技する、野村萬斎に期待大だ。

2019年1月25日 (金)

イギリス映画「ヴィクトリア女王 最期の秘密」

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イギリスの女王陛下の、トンデル・ラブストーリーだ

女王恋愛「ローマの休日」の熟女版か

http://www.victoria-abdul.jp

1月25日の金曜日から、Bunkamura ル・シネマ、テアトル梅田ほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、イギリス・アメリカ合作の112分。

ⓒ2017 FOCUS FEATURES LLC.

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イギリスの女王陛下映画。

それほど多くはないけれど、

そんな映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・全てイギリス映画)を披露してみると…。

●ベスト⇒①エリザベス(1998年製作)②クィーン(2006年)③女王陛下のお気に入り(2018年・2月15日公開・後日分析)

●カルト⇒①本作②Queen Victoria 至上の恋(1997年)③ダイアナ(2013年・弊ブログ分析済み)

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●カルト③は別にして、女王陛下ものとゆうのは、歴史ものであるだけに、改ざんした作りはできず、

史実そのままだとゆうのが、定番だけど、

しかし、歴史に埋もれた、あるいは、これまで採り上げられなかったところに、食い入った作品は、

特にディープ・インパクトを醸すと言えるだろう。

本作や、今アカデミーで、最多ノミネートとなったベスト③である。

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恐れ多くも、18世紀初頭のアン女王の恥部を、トンデモないノリで暴露したベスト③は、傑出しているが、

本作もマイ・カルトにしたけど、決して負けてはいない。

ヴィクトリア女王の、歴史から消し去られようとした、知られざるラブストーリーに、

まさに挑戦的に、アプローチしてみせたのだ。

ツイッター的に言えば、いいね~。エエで~。

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いわゆる、ヴィクトリア女王(ジュディ・デンチ)の老いらくの恋が描かれる。

しかも、身分違いの恋だ。

インドから来た下働きのイケメンが、女王の目に止まり、

女王が惚れてしもて、インド語を教えてもらう先生、ほんで、息子格にまでなってゆく。

まず、あり得ない展開だ。

宮廷に勤める側近やら、職員やらがあわてて、

皇太子を巻き込んでの、絶対反対の姿勢を示すものの、女王は死ぬまで、決して屈することはない。

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カルト②に続き、ヴィクトリア女王を演じたジュディ・デンチ。

その時がオーディナリーとすれば、

本作はモチ変型であり、複雑な演技を要求される映画となった。

そして、その高いハードルを、

キャリアの全てを投入したような、自在かつフレキシブルさで演技。

女王恋愛映画の在り方を、「ローマの休日」(1953年・アメリカ・モノクロ)オードリー・ヘプバーンの、

熟成版とゆうカタチで披露して見せるのだ。コレはスゴイね。

ベスト②で、女王役ヘレン・ミレンを、オスカーの主演女優に導いた、スティーヴン・フリアーズ監督の、

本作はベスト②と双璧となる、イギリス女王陛下もの。

そのお手並みを、劇場でじっくり味わおう。

2019年1月24日 (木)

「ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ」

1

街ドキュ・群像ドキュの最新傑作だ

巨匠フレデリック・ワイズマン監督が魅せる

http://www.child-film.com/jackson

1月26日の土曜日から、第七藝術劇場ほかで、全国順次のロードショー。

本作は2015年製作の、アメリカ・フランス合作による189分。

ⓒ2015 Moulins Films LLC All Rights Reserved

アメリカのドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマンの、2015年発表の作品。

その後も、本邦未公開ながら、2作品を発表している監督。

巨匠監督の40数作の全てを、ボクは見ているわけではないけども、

そんな中で、マイ・ベスト・スリーを、順不同で述べますと…。

3

①本作②パリ・オペラ座のすべて(2009年製作)③クレイジー・ホース(2011年)

●監督の初期の作品は、ボクはほとんど見ていないので、

その頃の作品性が、どうだったかは分からないけど、

②③のような建物内のイロイロとか、演目を見せてゆくスタイルが、多く見られるようだ。

5
しかし、本作はそんな定番を覆した作品だった。

監督の20世紀作品では、作っていたかもしれないが、

街ドキュメンタリーにして、そこに住む人々の、群像ドキュメンタリーとゆう体裁を採った。

村と人々を描いた、日本のドキュでもあるスタイルを、何と3時間以上にわたり展開する。

6

とはいえ、監督の作品性は、今作でも健在。

劇中で演奏されるシーンは別にして、サントラはいっさい流さない。

いろんな人へのインタビューを、積み重ねてゆく。

本作では、自ら主張する人が多く採り上げられ、いつになく饒舌な作りになっている。

7
さらに、ドキュの使命でもある、脚色なしにそのままを、映してゆくとゆう姿勢。

加えて、建物ドキュでもあったように、建物の一部をちりばめていったように、

本作では、街のさりげない風景を、合間合間にタイトに映してゆく。

4

でもって、本作は、他国の建築物や人々を、描いてきた監督だが、

久々にアメリカに返り、アメリカン映画らしさを醸し出した。

採り上げるのは、人種のルツボの、アメリカらしいNYの、ジャクソンハイツとゆう街だ。

167カ国語が話される、再開発真っ只中のこの街の、

いろんな国の人たちの現状が、そのまま映されるだけでなく、

LGBTのコミュニティを始め、多彩なコミュニティを捉えてゆく。

そのボリューム感には、ある意味で圧倒された。

8

そんな中でも、印象的だったのは、鳥を殺して料理してゆくレストランの、生々しさを見せてゆくシーン。

それ以外にも、衝撃のシーンがあるかと思う。

そのまま映すドキュならではの、サプライズもある作品。

2019年1月23日 (水)

日本映画「二階堂家物語」

1
跡取りをポイントにした、3人家族の地方ロケ映画

父娘役・加藤雅也と石橋静河の、確執演技に注目!

http://www.ldhpictures.co.jp/movie/nikaido-ke-monogatari/

1月25日の金曜日から、HIGH BROW CINEMAの配給により、新宿ピカデリー、なんばパークスシネマほかで、全国順次のロードショー。

ⓒ2018“二階堂家物語”LDH JAPAN, Emperor Film Production Company Limited, Nara International Film Festival

5
本作は、外国人監督が撮り上げた日本映画で、しかも地方ロケーション映画だ。

かつて、その種の邦画の、マイ・ベスト&

カルト・スリーを披露したが、

日本が舞台のアメリカ映画は、当

然抜きにして、各順不同で改め

て披露してみると…。

2
●ベスト⇒①Keiko(1979年製作)②太陽(2005年)③ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年・弊ブログ分析済み)

●カルト⇒①本作②はりまや橋(2009年・ブログ分析済み)③珈琲時光(2003年)

●東京を舞台にした、ベスト①②③カルト③などが多い中において、

地方ロケを敢行した、本作やカル

ト②などは、

地方ロケ映画に改めて、スポット

が当たった、21世紀初頭の空気

感を、継承するようなところがあった。

4
外国人のビジター系主人公映画となった、カルト②に対して、

本作は、日本人キャストがメインによる、筋金入りの地方映画を標榜する。

2020東京五輪の、ドキュメンタリー監督に決まったとはいえ、

何しろ奈良映画の名手、河瀬直美監督が、エグゼクティブ・プロデューサーなのだから。

しかも、彼女が関わる「なら国際映画祭」で発掘した、イランの女性監督アイダ・パナハンデが監督をした作品。

アイダは河瀬監督が審査員になった、カンヌ国際映画祭でも部門賞を受賞している。

6
そんな2人の強力タッグにより、日本の地方映画らしさ満開の映画が作られた。

奈良を舞台にするといっても、河瀬直美がかつて採り上げなかった、天理市にロケーション。

天理と言えばイメージ的には、あの宗教を思い出すが、

しかし、本作はそんなパブリックイメージを、心地よく覆してくれた。

9
跡取りを作るとゆう、日本古来からあるテーマを設定しつつも、

それにまつわる、オトンと娘はん(加藤雅也・石橋静河)の確執だったり、

オバン(白川和子)のこだわりだったりが、物語の主軸を形成する。

3
そんな中で、オトンの三角関係となる、跡取り作りのための恋模様や、

いつも冷静誠実な娘はんの、サプライズあるラブが、静かに紡がれてゆく。

7
加藤雅也、石橋静河共に、真面目で好感ある演技ぶりだったと思う。

「団地妻」でエロかった白川和子オバンも、今やすっかり丸くなり、

日本の伝統風景・設定の中に溶け込んでいた。

隔世の感ある驚きも、ある作品だった。

8
でもって、本作は、松竹系の正統系日本の家族映画とは、少し逸れた視点で紡がれる。

変形ではあるけれど、「万引き家族」(2018年)のようなインパクトはないにしても、

滋味のある家族ドラマだった。

フランス映画「ジュリアン」

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襲われサスペンスに、新たな1ページが加わる

静かで不気味な展開で、最後はドッカーン!

http://www.julien-movie.com

1月25日のフライデーから、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田ほかにて、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、フランス映画93分。

ⓒ2016-KG Production-France 3 Cinema

離婚訴訟・コドモの親権を争う映画や、家庭内暴力ドメスティック・バイオレンスなどを描いた映画に加え、

家族崩壊を捉えた映画は、これまでにもイロイロあった。

本作は、まず親権問題について、元夫婦と各弁護士への、裁判所での聞き取りシーンから始まる。

この冒頭は室内劇に終始するが、家族の問題がコンパクトにまとめられていた。

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導入部としては静かな始まりだが、

本作はどちらかといえばクライマックスまで、アクション・シーンがない、

静かで不気味なトーンが、持続する映画だ。

劇中での登場人物たちの、歌披露はあるものの、

ビミョーな緊張感を強調するためか、サントラは流れない。

夫の暴力で離婚したにも関わらず、その暴力シーンは描かれず、

コドモと会えることを許された元夫・父が、徐々に本性を露わにしてゆく過程を、緻密に積み重ね、

最後には、大バクハツとゆうタイプの映画だ。

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夫のイビツな性格を、

息子少年(トーマス・ジオリア)や元妻(レア・ドリュッケール)との、やり取りの中で、

ゆっくりじっくり見せてゆく。

無表情を最後までキープしながら、冷酷さを浮き彫りにしてゆく、ドゥニ・メノーシュの、怪しい演技ぶりが秀逸だった。

対して、息子は自然体、さらに、元妻役レアも、冷静な対応ぶりの演技を示す。

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しかし、18歳の娘の誕生パーティーを分岐点に、元夫妻が争い、

そして、一気にクライマックスへと突入する。

3~4分くらいの長回し撮影が何度か、緊張感を増すところで採用されている。

娘のパーティー会場での、移動撮影シーンや、クライマックス・シーンでは、

サスペンス度合いが、メッチャ高まる仕掛けだ。

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悪魔に取り憑かれた夫が、妻子を襲う

「シャイニング」(1980年製作・アメ

リカ映画)を、

グザヴィエ・ルグラン監督は意識

したと言うが、

本作は「シャイニング」のホラー・

モードより、サスペンス・モードに

比重が置かれた。

また、「クレイマー、クレイマー」

(1979年・アメリカ)も挙げている

が、

その名作よりも、ココロに重たく

突き刺さる仕上げだった。

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フランスでは珍しい、サイコスリラーの快作。

シンプルな作りも、ヒジョーに分かりやすい。

襲われサスペンスの系列に、新たな作品が付加された。

とゆうことで、ゆっくりハラハラしもって見よう。

2019年1月18日 (金)

「マスカレード・ホテル」⇒キムタク・長澤まさみ共演

1
木村拓哉ホームズと、長澤まさみワトソンが強力タッグ

「グランド・ホテル」形式な、群像劇ミステリーだ

http://www.masquerade-hotel.jp/

1月18日の金曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、日本映画2時間13分。

ⓒ2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会

ⓒ東野圭吾/集英社

Photo

ホテルを舞台にした映画は、

「グランド・ホテル」(1932年製作・アメリカ映画・モノクロ)をルーツとして、イロイロ輩出されてきた。

そのココロは、「グランド・ホテル」形式なる、

群像劇のスタイルを核として、作られてきたものがほとんどだ。

ホテルもののマイ・ベスト&カルトなども、

かつては弊ブログで披露したけど、本作は本格ミステリーである。

2

しかし、ホテルものには、意外にもミステリーは稀少だ。

しかも、群像劇的に展開するところが、容疑者がいっぱいのノリで、展開していくわけだから、

むしろホテルとゆう場は、犯人探しのミステリーには、打ってつけの舞台設定ではないだろうか。

8

ホテルの従業員として潜入する、捜査側の刑事たちに対し、

ホテル側、そして、多数多彩に訪れる宿泊客たち。

捜査側は、アンフェアーになると思うので、別にして、

一体誰が犯人なのか、推理しながら見られる点もいい。

誰が犯人なのか、当てて下さいと、観客に懸賞金付きで挑戦しても、面白いのではなかろうか。

連続殺人に符合する、符牒を見つけた刑事(木村拓哉)。

そのイントロの、暗号解読の在り方からして、

本格ミステリーの巨匠アガサ・クリスティやら

エラリー・クイーンらが繰り出した、

まさに本格モードの、ミステリー仕様を披露する。

3

そんなキムタクは、文句なしに、ホームズ的位置づけとなるだろう。

となれば、キムタクを、ホテルのフロントマンに化けさせる、長澤まさみは、

さしづめワトソン役となるのかな。

いろんな客たちのイロイロを、ホームズばりに見破るキムタク。

対して、キムタクに対し、素人っぽいけど、ヒントを与える長澤まさみ。

単なるワトソン的な、助手の位置にはいない。

4

でもって、何度も繰り広げられる、キムタクと長澤まさみのやり取りは、

映画の1つの見どころとなっている。

1分くらいの長回し撮影、正面や背後からのツーショットなども、何度も繰り出される。

6

被疑者たちの多彩な演技にも、惑わされずに注目していただきたい。

濱田岳、生瀬勝久、田口浩正、高嶋政宏、菜々緒、松たか子らのクセモノ演技を始め、

犯人とはとても思われない、前田敦子&勝地涼や橋本マナミなども、要チェック!

伏線はきっちり張られているので、その点もお見逃しなく。

5

さてはて、本作は、東野圭吾原作ミステリーとなる。

ボク的ジャッジでは、いずれも東宝配給作品だけど、

「秘密」(1999年)「容疑者Xの献身」(2007年)に、本作が、順不同の、マイ・ベスト・スリーだ。

中でも本作は、意外な犯人とゆう意味では、イチバンの出来だろうか。

7

昨年の12月1日付けの、弊ブログでも披露したように、

たとえひいき目であったとしても、年間マイ・ベストテン級に挙げたい1作。

2時間ドラマとは、レベルも出来も大きく違うので、テレビ・オンエアを待つのではなく、

ぜひ劇場で体感し、犯人を当ててみてください。

「夜明け」⇒是枝裕和ファミリーの1作

2
仮想親子を描く、変型家族ドラマ映画だ

柳楽優弥と小林薫の対比演技で魅せる

http://www.yoake-movie.com

1月18日の金曜日から、マジックアワーの配給により、

シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都、MOVIXあまがさき、ほかにて公開。

ⓒ2019「夜明け」製作委員会

是枝裕和監督ファミリーから、西川美和監督に続き、

女性監督としてデビューを飾った、広瀬奈々子監督作品が本作だ。

松竹系などの正統的家族ドラマとは、ビミョーに違う、

「万引き家族」(2018年製作)などのように、

是枝流変型家族ドラマ・スタイルが、遺憾なく発揮された作品となった。

とゆうことで、ここで、是枝監督や西川監督の、ドラマ映画デビュー作と比較しつつ、本作を分析してみよう。

1
☆①幻の光(1995年)是枝監督②蛇イチゴ(2002年)西川監督(以下①②で略記)

●①は家族を亡くした妻が再婚し、それでもなお死の恐怖に、不安を覚える話だが、喪失と再生を描いている。

②は祖父の葬式で家族が揃うが、家族のキズナは戻らない。

家族が一つにならないところは、松竹系の「東京物語」(1953年・モノクロ)などへも通じるかもしれない。

しかし、あくまで変型だ。

そして、本作

仮想親子・仮想家族とゆう、

是枝ファミリー作品でも、「誰も知らない」(2004年)くらいしか思い出せない、

珍しいユニークな素材に、アプローチしている。

しかも、オリジナル脚本である点も、特筆事項だろう。

3
妻子を亡くした、木工所の社長(小林薫)が、

川べりで倒れていた、見知らぬ若者(柳楽優弥)を助けて、

面倒を見、木工所でも働かせて、やがて彼を、我が息子で後継者のように思い始める。

だが、若者には、謎めいたところ

があり、実際に大きな秘密を抱え

ていた。

4
何を考えているのか、分からない若者を、柳楽優弥が巧みに演技する。

「誰も知らない」でも感じた、寡黙な無表情演技の機微を、進化型として演じている。

アキ・カウリスマキ監督作品のキャラにも、通じそうな妙味だ。

一方、小林薫は、松竹系にも似合いそうな、人情節を披露してゆく。

その対比演技こそが、本作の大いなる見どころと言えそうだ。

5
長回し撮影部もあるけど、

むしろ映画的「間」(ま)を駆使した作りが、

映画作家としての、広瀬監督の持ち味のように、ボクは思った。

暗がりトーンの撮影や、自然光の使い方、欅や檜の自然描写の、さりげない挿入など、

細部の描写も、決して怠らない。

フツーの家族映画に、慣れた観客にこそ、おすすめしたい作品だ。

2019年1月17日 (木)

「LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て」

2
三上博史が映画界に帰ってきた!

トンデモ・トリッキーな室内劇ミステリーだ

http://www.love-hate-movie.jp

1月18日の金曜日から、テアトル新宿、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋ほかで、全国順次のロードショー。

本作は「R-15+」指定映画。

ⓒ2018 SOULAGE

9
三上博史の、14年ぶりとなる映画主演作は、トンデモ・トリッキーな作品となった。

ラブホを舞台に、室内劇ミステリーが展開するのだが、

「十二人の怒れる男」(1957年製作・アメリカ映画・モノクロ)のような、

結末に向かって、ブラッシュアップされた、ストレートな作りではなく、

転調を繰り返しながら、最後にアッと言わせるような、そんな映画になった。

アッとなるのは、人それぞれだが、

アッとなるためには、目を凝らして、一部始終を見ておかなければならない作品だろう。

3
斬新さが目につく。

主人公の視点で描く、POV視点とゆうのが、これまでに何作かあったが、

本作は、ラブホの部屋に仕込まれた、隠しカメラ視点で撮られ、

しかも、その撮り方を最後の最後まで貫いた、

ある意味で実験的・前衛的作品となっている。

限られた視点にも関わらず、決して退屈させるような仕上げではない。

1
ラブホ舞台なだけに、エロイズムもケッコーあって、ムズムズ(!?)なってまう。

最初にある、三上博史とデリヘリ嬢(三浦萌)との、当然長回し撮影の、ヤラシー・ガチ濡れ場を始め、

三上博史の妻で婦警役の、酒井若菜ネーさんが、オッパイ揉み揉みされてまうシーンなど、

男ゴコロをくすぐってくれる。

10
ストーリーをゆうと…。

刑事役の三上博史が、仕事中に、ラブホでデリヘル嬢とやってるとこへ、

妻の婦警・酒井若菜がやってきて、三上を非難したところ、

三上はトチ狂って、デリヘル嬢を銃殺。

その死体の処理を、三上と知り合いの、裏稼業の男に頼んだ。

そいつも来たけど、デリヘル嬢のマネージャーも現れて、

事の顛末は、一体どないなるのかと、行く末が見えない展開となり…。

7
室内劇でミステリーを紡ぐ場合は、かなり練り込まれた台本が、まずは必要となる。

どこまで緻密だったかは、本編を見たあとに、検証するわけだが、

いくつかのとこでは、齟齬があるように思える。

それを出すとネタバレになるので、ここには書かないけれど、

その齟齬・急所も、決して致命的なところではない。

6
当然ながら、騙し騙しのドラマが、チビチビ繰り出され、

そして、最後にどんどんどんでん返しがある。

それらの流れを許容し納得できるかは、人それぞれだと思う。

8
しかし、何はともあれ、驚きはある。

その驚きをじっくり振り返るために、リピートしてもいいだろう。

但し、こおゆう挑戦的で実験的な作品は、このところの邦画界ではマレだった。

そこんところが、ボクはスキだ。

個人的には、年間ベストテン級だと思うけど、果たしてどうなるかな。

5
ギターとリズムボックス、エレキやピアノなど、ツボを押さえたサントラ使いも良かったし、

何よりも、役者監督の宅間孝行と、三上博史の企みに、

すっかり騙された、極上のミステリー映画だった。

4
相米慎二監督の名作「ラブホテル」(1985年)とも、シンクロナイズする作品だろうか。

室内劇ミステリーに、一石を投じる、画期的な1作だ。

2019年1月16日 (水)

「MILE 22」

2

マーク・ウォールバーグ主演の、スパイ・アクションだ

「MIB」や「ボーン」シリーズに、果敢に挑む

http://mile22.jp

1月18日のフライデーから、クロックワークスの配給により、全国ロードショー。

本作は2018年製作の、アメリカ映画95分。

ⓒ2018 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

1アメリカン・スパイ・アクション映画の最新版。

シリーズ化されたお馴染みのヒット作、

「ミッション・インポッシブル(MIB)」や「ボーン」シリーズと比べて、

製作費がかもす大作度は、低いかもしれないが、

そのハラドキ度合いは、決してヒケを取らない快作となった。

むしろ、緻密に伏線を張り巡らしたあたりは、

ド派手のアクションで魅せる「MIB」や、本作のチームワークより、シンプルで孤独な逃走アクションな「ボーン」よりも、

ミステリー・サスペンス度合いは、高いと言えるのではなかろうか。

5

まず最初に、ソ連・ロシアの旧KGBを倒す、

アメリカでの作戦行動が、

実行部隊(マーク・ウォールバー

グら)と、司令室(ジョン・マルコ

ヴィッチら)のやりとりで、スリリン

グに示される。

そして、本作メインの作戦行動へ

と移行。

4

核爆弾の素材セシウムが盗まれ、

その行方を知る人物(イコ・ウワイス)を、インドで捕縛し、

アメリカへと、ミッション・チームが護送する。

それを阻止しようとする一団との、迎撃・応戦が、大きな見どころとなる。

7

一方で、ロシア側の動きも、適宜に挿入される。

これがどう、この護送ロード・アクションに関わってくるのか、最後の最後まで分からない。

暗号コードのオンパレードで、ミッションのミステリアス度を高め、

短カットの連続モンタージュなどで、スピードフルに編集。

後半の銃撃戦の連続シュートや、爆破シーンなどで、話は大いに盛り上がってゆく。

3

チーム・リーダー役のマーク・ウォールバーグは、「MIB」のトム・クルーズより、より人間らしく、

そして、「ボーン」のマット・デイモンより、よりスマートなアクションで魅せる。

このさじ加減には、好き好みがあるかもしれないが、ボクは悪くないと思う。

6

「ザ・レイド」(2011年・インドネシア・弊ブログ分析済み)で魅せた、格闘アクションも披露するイコ・ウワイス。

実行部隊に配役された女優2人。

格闘家のロンダ・ラウジーの男まさりもいいけど、

ローレン・コーハンの、女らしい危ういアクションも、対比的に映されて面白い。

8

ピーター・バーグ監督の新作。

マーク・ウォールバーグとは4度目のタッグになるけど、

戦争もの、パニックもの、テロものに続き、本作ではスパイものだ。

毎回、趣向を変えた、いろんなハリウッド映画ジャンルへのアプローチに、魅せられ続けた。

とゆうことで、トンデモ・サプライズが待ち構える、

シリーズ化も期待されそうな、その最新型に酔ってください。

2019年1月11日 (金)

「チワワちゃん」⇒年間ベストテン級!

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2019年日本映画の、ベストテン級作品が、早くも登場だ!

普遍的な青春の痛みを捉えた傑作

http://chiwawa-movie.jp

1月18日の土曜日から、KADOKAWAの配給により、

新宿バルト9、梅田ブルク7ほかで、全国順次のロードショー。

ⓒ2019「チワワちゃん」製作委員会

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見出しに書いた通りで、今年の邦画の年間ベストテン級映画。

昨年の12月30日付けの、弊ブログでも触れています。

でも、1月に公開なので、12月までに出てくる、多彩な作品を蹴散らして、残ってくるかは、未知数だけど、

今どきの若者の生態を、描いてる映画とはいえ、

青春の痛みや、痛みを超えたキズナ(本作では哀悼)を描いていて、

永くココロに残りそうな感触なので、まずはダイジョウブだろうかと思う。

6
2つ目の見出しにある、「普遍的な青春の痛み」。

コレを描いた映画には、古来より名作が多いんです。

振り返ってみてください。

その痛みが人と人のつながりや、付き合いの中で発生する点や、恋愛絡みも含めて、

みなさんにも、ココロに残る1作が、必ずあるはずです。

本作は、そんな1本になり得る可能性を、秘めた作品。

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でもって、本作は、今や流行のコミック原作。

しかし、学園ラブとかロボものSFものとかじゃない。

コミックにも、現実に根ざしたシリアス・ドラマが多数ある。

R指定だから、コドモには見せられないとこもある。

つまりは、大人な映画だ。

岡崎京子の原作。

そういえば、昨年の年頭で、彼女の原作映画「リバーズ・エッジ」(弊ブログ分析済み)もまた、

ベストテン級と推薦したけど、今年の本作は、どうなる運命だろうか。

楽しみにしておきたい。

7
毎夜、クラブやディスコで遊びまくる男女グループ

(門脇麦・成田凌・寛一郎・吉田志織・玉城ティナ・村上虹郎ら)が、かつていた。

そんなグループと遊んでた、チワ

ワちゃん(吉田志織)が、

その数年後、バラバラ殺人の被

害者として発見される。

ニュースや門脇麦のナレーション

で伝えられる、この衝撃から、本

作は始まる。

さらに、チワワと遊び合っていた

門脇麦が、

某雑誌のインタビュアー(栗山千

明)から、チワワのことを聞かれる

シーンが、

かつての彼らの遊びシーンやら

と、カットバック的に配置される。

そして、門脇麦も、かつての遊び

仲間たちに、チワワのことを聞き

回るとゆう設定も加えられた

10
構成を含め、夜の原色的照明を配した、短カットの畳み掛けを、中心にした撮り方が斬新だった。

600万を盗んで、それが不正資金と分かって、彼らの物となり、何と3日間で使い果たすとゆう流れを、

洋楽のポップ・ロックを流して、短カットとスローを織り交ぜた、ダイジェスト・シーンで示す、

アナーキーでスピードフルなカット割りは、21世紀的な映画作家性を示して痛快だった。

9
ヒロイン・チワワの謎を、探るミステリーとしても魅せてくれる。

チワワと関わる、浅野忠信の、大人ワルぶりな、存在感ある演技にも注目したい。

とはいえ特筆は、何といっても、門脇麦の自然体な探偵演技ぶりだろう。

悪役っぽい役の、成田凌との絡みにも動ぜず、ひたすらチワワを追い、追悼してゆく姿勢には、ココロ打たれた。

彼女の最高傑作「止められるか、俺たちを」(2018年・ブログ分析済み)に、匹敵する演技ぶりだった。

「津軽のカマリ」

1
高橋竹山を描く人間ドキュメンタリー

津軽三味線の響きに魅せられる快作

http://www.tsugaru-kamari.com

1月11日の金曜日から、太秦の配給により、シネ・リーブル梅田ほかで、全国順次のロードショー。

ⓒ2018 Koichi Onishi

2

津軽三味線の巨匠であり、盲目のプレイヤーであった、故・初代・高橋竹山の、ヒューマン・ドキュメンタリー。

さてはて、そんな高橋竹山のドラマ映画といえば、

故・新藤兼人監督が撮り上げた「竹山ひとり旅」(1977年製作)がある。

当時、京都でビンボー学生をしてたボクは、

京一会館の400円3本立てで、その作品を見て、

その放浪のロードムービー仕様に、

「ウディ・ガスリーわが心のふるさと」(1976年・アメリカ映画)を照らし合わせて、

胸にじんわりときたのを、

本作を見て、しみじみと思い出した。

5

さらに、盲目の三味線弾きの、悲しみのドラマ映画として、

「竹山ひとり旅」より、公開年は前

後するが、

「津軽じょんがら節」(1973年)とか

「はなれ瞽女(ごぜ)おりん」(1977

年)などの名作を鑑賞して、

津軽三味線の響きが、いかに心

の琴線にクルかがよく分かった。

しかし、本作の竹山は、陰より陽

のイメージに、比重を置いている

ように見えた。

竹山の在りし日のモノクロの

ライブ模様

ら、本作は始まる。

自然体でリラックスし、語りも軽

快でチョイ明るい。

一方、ライブに合わせて、彼の過

去の逸話や、後継者の話など

が、カットバックされてゆく。

4

竹山のラスト・ライブの模様も、ココロにクルが、

ドキュの後半では、初代・竹山よりも、女性後継者の二代目・高橋竹山に、スライドしてゆく。

彼女の、竹山を辿る沖縄への旅とか、

竹山節を伝えるべくの、ライブとかが印象深い。

特に、本編の終わり近くに演奏される、

彼女の演奏ライブは、竹山を引き継ぐような、ココロに深く残る快演ぶりだった。

3

ボク的には、津軽三味線の哀愁イメージが、転換するような映画だったと思う。

とゆうことで、アーティストを描いた人間ドキュメンタリーの、最新傑作だ。

2019年1月10日 (木)

「未来を乗り換えた男」

2
ひと言で言えば、愛のサスペンス映画だ

名作「第三の男」と、比較してみると…

http://www.transit-movie.com

1月12日のサタデーから、アルバトロス・フィルムの配給により、

ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、テアトル梅田、京都シネマほか、全国順次のロードショー。

本作は、2018年製作の、ドイツ・フランス合作102分。

ⓒ2018 SCHRAMM FILM/NEON/ZDF/ARTE/ARTE FRANCE CINEMA

1
第二次世界大戦中に、ナチスの迫害やらから、逃れるタイプの映画の1本。

逃れられずに、悲劇に遭った分を含めて、

かつてその種の映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーなんぞも披露したけど、

本作は、そんな中でも、かなりと異色な作品となった。

不法滞在者とゆうか、ユダヤ人だけやなく、それ以外の人でも、ナチから緻密にエグク、マークされていた当時を反映。

その上で、愛にまつわる見ごたえある、三角関係ドラマにもなっている。

5
終戦数年後を背景にした名作「第三の男」(1949年製作・イギリス映画・モノクロ)ほどの、

ミステリー謎めき度合いは、さほど高くはないけど、

それを感じさせるような作りを施している。

みんなが逃れの船出を待つ、マルセイユが舞台。

自殺した男になり代わった主人公が、その男の妻に出会う。

一方、その妻には、別の男がいてるとゆう設定。

でも、妻は夫を探してる、ナンチューカンジ。

3
ボク的には、夫・主人公・別の男の、3人もの男の間で、ココロ揺れる女の、

気の多さとゆうか、だらんだらんとした感覚に、

「第三の男」のオーソン・ウェルズ一筋の、アリダ・ヴァリとは、

大いにインパクトが、違うとは思ったけど、

でも、こおゆう人の方が、時代の鏡に合わせれば、

リアリティーある存在なのかもしれない。

6
コーラスから始まる、トーキング・ヘッズの、タイトなフォービート・ロック「ROAD TO NOWHERE」が、

ラストロールでキャッチーに流れる。

映画の作品性と、合っているかどうかは別にして、ボクは乗れた。

ミスマッチな音楽・サントラ使いというのも、時にインパクトをもたらす。

本作は、そういう作品なのかもしれない。

4
地元のベルリン国際映画祭などで、受賞経験のある、ドイツの監督クリスティアン・ペッツォルト監督の新作。

ベルリンの次点賞・銀熊賞を受賞した

「東ベルリンから来た女」(2012

年・ドイツ・弊ブログ分析済み)な

どで魅せた、

謎めきヒロインを、ポイントにし

た、

サスペンスチックなスリリングが、

本作でも機能していると思う。

そして、女だけでなく、もちろんタ

イトル通りで、

別の人物になって、未来を乗り換

えた男の、哀愁やらにも食い入っ

た作品となった。

さらに、変格三角関係ラブ・サス

ペンスの、妙味ある快作にもなっ

ている。

2019年1月 9日 (水)

「クリード 炎の宿敵」

1
「ロッキー」新シリーズの第2弾が登場!

因縁の息子同士の、凄まじい対決が展開!

http://www.creedmovie.jp

1月11日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、全国ロードショー。

本作は、2017年製作のアメリカ映画130分。

ⓒ2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

7
「ロッキー」の新シリーズ第2弾(2017年製作の第1弾は、弊ブログ分析済み)。

「ロッキー」シリーズ(全6作)を、見ないことには、よく分からない新作だろう。

かつても披露したけど、ボクシング映画の、マイ・ベスト&カルト。

アメリカ映画に限定すればどうか。

「レイジング・ブル」(1980年・モノクロ)や「シンデレラマン」(2005年)「アリ」(2001年)など、

実話をベースにした、ボクサー映画に傑作が多いけど、

本作シリーズはフィクションだ。

4
フィクションものボクサー映画の系譜としては、

「チャンプ」(1931年・モノクロ/1979年)や「チャンピオン」(1949年・モノクロ)などがあるが、

アメリカン・ドリームを体現するような、ボクサー・ヒーロー映画は、「ロッキー」(1978年)が嚆矢だったと思う。

さて、その第1弾は、アカデミー作品賞を受賞し、

脚本も書いた、主演シルベスター・スタローンの、ブレイク作でもあった。

「ロッキー」が活躍する前シリーズに対し、新シリーズでは、

引退した「ロッキー」が、トレーナーに回り、

第1弾で対決して引き分けた「アポロ」の、息子クリード(マイケル・B・ジョーダン)が、闘うとゆう図式になっている。

3
そして、この新シリーズの第2弾では、

前シリーズの「ロッキー4/炎の友情」(1985年)のエピソードが、大きなポイントになっている。

少なくともこの「ロッキー4」を見ず

しては、本作を鑑賞はできない

と、はっきり言っておこう。

だから、劇場へ行く前には、レン

タルDVDなどで、ぜひともチェック

していただきたい。

6_2
世界ヘビー級のチャンピオンになったクリード。

しかし、かつて父をリングで殺したロシアのドラゴ(ドルフ・ラングレン)の、息子が挑戦を表明し、

ロッキーの反対もあったが、クリードはこの挑戦を受ける。

当時父のセコンドに着いていたロッキーは、

殴られまくりの父に、タオルを投げずに死なせてしまったが、

その後、代理リターン・マッチで、ドラゴと対決して勝っていた。

そのドラゴが、さらなる代理マッチを胸に、息子を鍛え上げて、クリードに挑むとゆうわけ。

つまり、「ロッキー4」の因縁の2人の、息子同士の対決とゆう、ドラマティックな設定なのだ。

5

対決シーンは2度あるのだが、いずれも凄まじいものとなる。

この第1戦と第2戦の、臨場感あふれる対決造形は、かつてのボクシング映画にはなかったものだ。

強烈なインパクトを残すシーンだが、特に第2戦のアクションは、映画史に永く残る作りとなった。

あの有名な「ロッキーのテーマ」も、印象的に流れるのでお楽しみに。

2
一方で、家族のキズナ・シーンも見逃せない。

個人的には、ロッキーことスタローンの、丸くなって穏やかになった演技ぶりに、演技的熟成を感じた。

ラストにある、キズナなサプライズにも、大いに貢献している。

剛と柔。そのバランス感にも、グッとくる作品だった。

2019年1月 4日 (金)

「輪違屋糸里 京女たちの幕末」

3
新選組と花街のミキシングによるヒロイン映画だ

藤野涼子と松井玲奈が、先輩男優たちを食う快演技ぶり

http://wachigaiya.com/

1月11日の金曜日から、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹ほかで、全国順次のロードショー。

東京では、有楽町スバル座などで、上映中。

ⓒ2018 銀幕維新の会/「輪違屋糸里」製作委員会

1
幕末もの時代劇と言えば、これまでに多数のタイトル数があるが、

そんな中でも、新選組が登場する日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露してみると…。

●ベスト⇒①御法度(1999年製作)②新選組始末記(1963年)③壬生義士伝(2002年)

●カルト⇒①本作②幕末純情伝(1991年)③新選組(1999年)

●新選組の主要メンバーが主人公の映画は、あえて避けるような感じになった。

たぶん、コレはボクの趣味の世界かもしれない。

あまり有名やない義士をメインにした、ベスト②③に加え、

個性ある変型バージョンが並んだ。

浪士たちのボーイズ・ラブを描く、故・大島渚監督のベスト①。

沖田総司が女だったらとゆう、コメディのカルト②。

故・市川崑監督がアニメで、新選組を採り上げたカルト③。

そして、本作は、浪士と恋に落ちた芸妓たちの、プライドを描いた快作だ。

2
近藤勇と両局長をしていた芹澤鴨(塚本高史)が、

京都の花街・島原で、芸妓のスター太夫(新妻聖子)を斬り殺してしまう。

この衝撃の冒頭から、ググッとドラマの中へ。

その騒動を収めた土方歳三(溝端淳平)と、太夫を慕っていた糸里(藤野涼子)。

糸里と友達の芸妓・吉栄(松井玲奈)と、芹澤の手下の平山五郎(佐藤隆太)。

芹澤とお梅(田畑智子)。

それぞれが恋模様を展開し、やがて新選組内の抗争に、3人の女が、巻き込まれてゆくとゆう流れ。

4
中でも、宮部みゆきミステリー「ソロモンの偽証」(2014年・弊ブログ分析済み)で、主演を張った藤野涼子は、

今回も毅然とした、プライドある演技を見せていた。

大げさかもしれないが、「鬼龍院花子の生涯」(1982年)の夏目雅子を思い出したりもした。

妊娠しコドモを産む松井玲奈も、アイドル演技から脱皮していたかと思う。

5
多彩に繰り出される、京都弁の人情チック、

しんみりのピアノやバイオリンのサントラ使い、

アップとロングショットのバランス感、

そして、水中からのゆらぎカットなど、時おり挿入されるハッとさせるカットなど、

細部にも工夫がなされていた。

浅田次郎原作映画となれば、「壬生義士伝」とリンクするみたいだが、

むしろ花街ものの、新味がある映画ではないか。

新選組と花街の組み合わせなどは、初めての試みだろう。

そのあたりに、けれん味を感じた作品だった。

2019年1月 3日 (木)

華流ミステリー「迫り来る嵐」

1
今年の第1弾は、アジアン・ミステリー映画だ

不穏でダークな作りが、サスペンス度を増す

http://www.semarikuru.com

1月5日のサタデーから、アット エンタテインメントの配給により、

新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、京都シネマほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、中国映画119分。

ⓒ2017 Century Fortune Pictures Corporation Limited

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本作は、捜査側から描いたミステリー映画だ。

とゆうことで、ここで、日本映画を除く、アジアン・ミステリー映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに、披露してみると…。

3
●ベスト⇒①バーニング 劇場版(2018年製作・韓国映画・2月1日公開・後日分析予定)

②クーリンチェ少年殺人事件(1991年・台湾)

③殺人の追憶(2003年・韓国)

●カルト⇒①本作

②スカーレットレター(2004年・韓国)

③薄氷の殺人(2014年・香港&中国)

●韓国映画のミステリーが、ボク的には、

香港・中国・台湾その他の国々に比べて、

インパクトある仕上がりを、見せているかと思うが、

大国・中国も黙ってはいない。

9
大傑作のベスト①を除き、

犯人側から描くベスト②もいいのだが、オーソドックスとはいえ、

捜査側から描くミステリーが、分かりやすくて、サスペンス感やミステリー度合いが、高いのではないか。

それだけではない。

捜査する人間の、ヒューマン映画としても、機能している映画を、意識して選んでみた。

さらに、未解決事件、迷宮入り事件に固執する、

捜査側の人間を描いた、本作やベスト③カルト③は、特に渋い。

7
ベスト③カルト③は刑事だが、

本作は刑事ではないし、私立探偵でもない。警備員とゆう設定だ。

警備会社の警備員とか、シークレットサービスチックな要人警護な警備員ではない。

工場に1労働者として、雇われる警備員とゆう設定だ。

工場の近くで、連続女性猟奇殺人事件が発生し、地元の警察が動くけど、

彼もまた、工場労働者の相棒を連れて、捜査するわけ。

5
でも、その相棒は、容疑者を追う中で、事故死してしまう。

そして、事件は続き…

老刑事との、酒を酌み交わしてのやりとり、

工場からの解雇、

恋人の彼女との絡みなどが、淡々と続く。

やがて、主人公は、彼女に事件解決の、ヒントを見出して…。

10
主人公が出所する2008年から始まるけど、

すぐに、イギリスから中国への、香港返還の年1997年へと、プレイバックされる。

この大胆な切り返しから、謎めいたドラマの中へ。

ロングショットとミディアム・ショットを、中心に据えた映画的撮り方に加え、

曇天と雨天続きの、薄色のダークな配色に、

本作の謎めきが、怪しく見え隠れしてゆく作り。

8
カルト②のように、事件の謎と、プライベート部のラブな謎を、リンクさせた作りだけども、

こちらの方は、その2つがより伏線的に、密着した仕上げになっている。

でもって、どちらもだが、ミステリーを通して、男のやるせなさを描いていて、胸に哀切深くきた。

どんでん返しも、お楽しみに。

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