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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析


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2018年9月 5日 (水)

韓国映画「1987、ある闘いの真実」

1987
韓国映画の今年のマイ・ナン

バーワンだ

「光州5.18」を超えた、反権力闘争群像劇

http://www.1987arutatakai-movie.com

9月8日の土曜日から、ツインの配給により、

シネマート新宿、シネマート心斎橋などで、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、韓国映画129分。

ⓒ2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED

19877
反政府へのデモ活動など、学生運動を始めとした、骨太の社会運動群像劇。

その種の映画の、マイ・ベスト・ファイブ(順不同・ドキュメンタリーは除く)を、披露すると…。

①アルジェの戦い(1966年製作・イタリア&アルジェリア合作・弊ブログ分析済み)

②ifもしも…(1968年・イギリス)

③灰とダイヤモンド(1958年・ポーランド)

④いちご白書(1970年・アメリカ)

⑤本作

19871
●反政府運動を描いた①③、学生運動の②④など、ほとんどが20世紀の作品で、

抵抗しなければならない必然性とか、学生運動が盛り上がっていた頃の、時代性とかを、反映したものだ。

だが、本作も20世紀の実話エピソードを、ベースにしているが、

軍事政権に対する民主化運動が、背景にあるとはいえ、

普通の人たちが、いやおうなしに、反権力闘争に巻き込まれてゆくタッチは、

同じく1980年代に、韓国で発生した事件を描いた「光州5.18」(2008年・韓国)と、同じようなカンジだ。

但し、本作は、「光州5.18」より、権力側と庶民側それぞれの、内情や心理に、

詳細に、かつ深く食い入って、傑作としている。

19872
そして、演技陣も、キャリア過去最高の演技で、応えて魅せるのだ。

まずは、警察の所長役キム・ユンソクと、対立する側の検事役ハ・ジョンウ。

この2人の対立演技といえば、

追う刑事と追われる犯人役で、共演した「チェイサー」(2008年・韓国)の再共演となる。

19874
犯人役だった「チェイサー」の、残虐・無情・非道ぶりは、モチ抑えたけど、

ぶっきら棒節やら、クールイズムやらを、飄々と演じ抜くハ・ジョンウ。

対して、キム・ユンソクは、ユンソク節とも言える、押し出しのゴリゴリ演技を披露。

2人の絶妙な対立演技から始まって、ドラマの中へと観客を巻き込んでゆく。

19873
ソウル大学生が、警察の尋問で拷問死し、それを隠ぺいしようとする警察側と、

真実にこだわる検事、マスコミ、学生たちが、対立してゆく構図。

拷問した刑事役の、パク・ヒスンの切迫感。

身を隠す、民主化運動家役のソル・ギョングのスリル。

彼に密書を届ける、ユ・ヘジンと、その姪の大学生役キム・テリ。

19875
特に、「お譲さん」(2016年・韓国・ブログ分析済み)で、

色に染まらない自然な、アイドルチック演技を披露した、キム・テリが、

今回も普通の女子大生を、自然体で演じて好感を呼ぶ。

学生運動にのめり込む、カン・ドンウォンとの関係性は、

本作の、感動ポイントの一つになっている。

19876
時間や登場人物の字幕を、タイトに入れて、時間の経過や人間関係を示し、徐々に盛り上げてゆく作り。

ややもすると、分かりにくくなりそうな、多数の登場人物による群像劇を、

分かりやすく整理してゆく流れは、この種の映画には、必須と言えるだろう。

ラストロールで流れる、合唱歌、スロー・フォークも、余韻を深め、

今のところ、今年イチバン感動した韓国映画だった。

今年のマイ洋画の、ベストテンにも入る作品だ。

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