無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析


« 「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE-2人の英雄(ヒーロー)-」 | トップページ | 「オーシャンズ8(エイト)」 »

2018年8月 7日 (火)

グルジア映画「祈り」

8
第七芸術・映画芸術の粋で魅せる名作

本邦初上陸のグルジア映画だ

http://www.zaziefilms.com/inori3busaku/

8月4日から、岩波ホールほか、全国順次のロードショー。

本作は、1967年製作のグルジア(ジョージア)映画、モノクロ78分。

ⓒ“Georgia Film”Studio, 1968

ⓒRUSCICO,2000

1
映画が第七芸術と、言われたのはいつ頃だったろうか。

娯楽としての映画の方が、売れ線であり、庶民に定着してるんだけど、

映画は娯楽よりも、芸術としての認識の方が早かった。

だが、芸術としての映画は、何やら先細りし、

今や映画マニアしか、関心を示していない情勢にある。

3
しかし、芸術的映画は単館系の上映とはいえ、今も脈々と作られ続けている。

但し、本作は、日本公開初となる、1967年に製作された作品である。

しかも、グルジア映画。しかも、モノクロ。

芸術的がモノクロではないけども、モノクロの方が、なぜか芸術の名にふさわしく思える。

2
芸術は前衛とか実験とかにも、シンクロするが、

ワケの分からない短編「アンダルシアの犬」(1928年製作・フランス映画)などへも、本作は通じているし、

1950~1960年代のフランス・ヌーヴェルバーグや、

スウェーデンのイングマル・ベルイマン監督作品など、

映画芸術の宝庫、ユーロ映画の系譜に、刻印されるべくの映画であろう。

4
キリスト教とイスラム教の対立構図を、おそらく映画史上初めて、取り込んだ映画だと思う。

宗教と人間関連の芸術映画は、結構多いが、

本作は中でもベルイマン監督作の、例えば「沈黙」(1963年・スウェーデン)とか、「処女の泉」(1960年・スウェーデン)などに、

濃い影響を、受けているように思われる。

7
意味深なナレーション、復讐劇的なドラマ、善悪の対比など、

ストレートな対立構図も見せながら、寓話的芸術性へと着地する作りは、

まさに映画芸術の粋と、言えるかもしれない。

6
祈りのシーンの荘厳、オーケストラ・サントラの使い方、遠近法を駆使したロングショットなども、

芸術性を付加してゆく。

5
今は亡き、グルジアのテンギス・アブラゼ監督の、「祈り三部作」の第1弾。

カラー作品となった、第2弾「希望の樹」(1976年)、第3弾「懺悔(ざんげ)」(1984年)と続くわけだが、

本作が最も芸術度が高いと思う。

3作共に同時公開なので、全て鑑賞して、比較してみてください。

« 「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE-2人の英雄(ヒーロー)-」 | トップページ | 「オーシャンズ8(エイト)」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1308338/73989322

この記事へのトラックバック一覧です: グルジア映画「祈り」:

« 「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE-2人の英雄(ヒーロー)-」 | トップページ | 「オーシャンズ8(エイト)」 »