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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析


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2018年6月 6日 (水)

韓国映画「それから」

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モノクロで映画の第七芸術性を追求した!

トリッキーな長回し撮影に幻惑される作り

http://www.crest-inter.co.jp/sorekara

6月9日の土曜日から、クレストインターナショナルの配給により、シネ・リーブル梅田ほかで全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の、韓国映画91分モノクロ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED.

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21世紀になっても、モノクロ映画は毎年、何作か製作され公開されている。

かつて、21世紀のモノクロ映画の、マイ・ベスト&カルトなんかを披露したけど、

本作は、どちらかといえば、カルトに入るかもしれないな。

21世紀にモノクロで、映画を撮る意味とは何か。

言うまでもない。監督自らの映画作家性を、表現するためだ。

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小さな出版社の社長(クォン・ヘヒョ)が、妻と朝食を向かい合って食べている。

妻が夫の浮気を疑うシーンだ。

夫が不倫していた女社員(キム・セビョク)が辞めて、

代わりに新しい女(キム・ミニ)を、夫・社長が、相手と向かい合っての面接で採用する。

その採用日に、ランチで2人が向か

い合って食する。

さらに、マッコリを飲んでの、向か

い合ってのシーンへと続く。

しかし、その日に、妻が会社に

やって来て、新採用女を浮気相

手と勘違いして、暴言を吐き、平

手を食らわす。

ソファーで向かい合っての、夫

妻・女の話し合いが行われる。

やがて、愛人元社員が戻ってきて、

夫・社長との話し合い、新社員が

加わっての、セリフのやりとり、な

どへと続いてゆく。

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2人、3人が向かい合っての、2分から7分くらいまでの、長回し撮影が頻出する。

固定ではない。

カメラは人物に寄っていったり、パンしたりと、登場人物の息づかいのように動いてゆく。

これがネタを考えてみるに、メッチャトリッキーな撮り方であることに、

最後の最後のほうで、気づけるようになっとります。

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パク・チャヌク監督の「お嬢さん」(2016年製作・韓国映画・弊ブログ分析済み)では、

ヤラシー・ミステリアスな演技を披露した、キム・ミニが、

ここでは、メッチャな自然体を披露しやるねん。

フレキシブルで知的。いいね~。

顔や表情が分かりにくい、遠めの撮影が続くが、

後半部で、初めて彼女のアップ(写真トップ)が、3~4分の長回しにて披露される。

彼女の魅力を引き出すための、ホン・サンス監督の企みではないか。

キム・ミニが、松嶋菜々子に似てる、なんて声もある。

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愛の映画と言うより、夫の浮気、それに巻き込まれたキム・ミニ、

不倫映画を、ちょっと違った視点から、捉えてみたカンジの本作。

でもって、ラスト・シークエンスで7分くらいの、本作で最も長い長回しで披露される、

2人が向かい合ってのサプライズ・シーン。

この2人が誰々なのかは、みなさんの興味がそそられるように、内緒にしときます。

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ここ数年、韓国映画の日本での評価具合が、ボクの評価とは異なっていた。

どうしてなのかは分からないけど、本作は、間違いなく、マイ年間ベストテンだけじゃなく、

みんなが選ぶところの、洋画の年間ベストテン級の作品に、なったと思うのだが…。

韓流ドラマ「冬のソナタ」とか、日本での韓国映画の最大ヒットになった「私の頭の中の消しゴム」(2004年)にあったスパイスを、それとなく入れ込みつつも、

異彩ながら、独特な不倫映画を構築した本作は、

ボクはかなりあっぱれだと思った。

とゆうことで、ボク的にゆうと、

川島雄三の大傑作「しとやかな獣」(1962年・日本・弊ブログ分析済み)に、匹敵するような傑作だった。

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