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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析


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2018年5月 9日 (水)

「マルクス・エンゲルス」

2
教科書よりも分かりやすい、経済理論ヒューマン映画だ

マルクスもエンゲルスも、ヒロイズムを体現する!

http://www.hark3.com/marx/

5月12日の土曜日から、シネ・リーブル梅田などで順次公開。

東京では、岩波ホールなどで上映中。

本作は、2017年製作の、フランス・ドイツ・ベルギー合作の118分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒAGAT FILMS & CIE - VELVET FILM - ROTFILM - ARTEMIS PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINEMA - JOUROR - 2016

1
本作は、教科書に出てくる実在の偉人たちの、いわゆるドラマ映画のジャンルに入る。

そんな偉人も、理論をメインに展開する学者系の方。

いわゆる、映画のアクションにおいては、全く機能しないような人を、採り上げた映画なのである。

作家や哲学者たちだけども、

サルトルやボーヴォワールとかの、チョイラブ・ストーリーっぽさで魅せることもない。

3
しかし、男2人の、いわゆる友情だ。

カール・マルクスの妻や、エンゲルスの妻も、男たちの論理でつながる友情に入り込んでくる。

友情映画はいろいろあった。

けども、本作はかなり異質だ。

経済学者たちの論理が、プロレタリアートVSブルジョワジーの構図の中で、展開するのだが、

論理によって結ばれる、キズナとゆうものが、

ナンチューか、初めて映像化されたのではないだろうか。

4
マルクスとエンゲルスの共著「共産党宣言」とか、

マルクスの「資本論」とか、

その理論の実際が、実は、分かりやすく開陳されている点にも好感を覚えた。

主に、集会での演説とか論戦とかだが、

実話を捉えてるにしても、説得力と共に、論理のダイナミズムもあり、

それが映画的アクションになりうる点も、ある意味では、ユニークだった。

5
基本は、歴史に残る2人の経済学者の、ヒューマン・ドラマである。

論理をいろいろ駆使しながらも、2人共に人間臭さも披露。

マルクスと妻と、コドモたちの逸話。

夫マルクスを支える妻の論理的献身。

ブルジョワ社長の父親と、エンゲルスの確執。

何はともあれ、マルクスとエンゲルスの運命的な再会と、その後のドラマティックな展開。

本作のキモだろう。

7
ブルジョワジーや権力者に、対抗するような評論家の中でも、論理上の争いがあり、

マルクスらは、批判的批判を批判したり、

人類皆兄弟ではないと、その逆論理の正統性を展開したり、

論理に見られるハットトリックが、イロイロあって楽しめた。

6
「汚れたダイヤモンド」(弊ブログ分析済み)で、巻き込まれ型ヒロイズムを披露した、

ドイツ俳優アウグスト・ディールが、カール・マルクスを毅然として演技してみせる。

そのアクションなきヒロイズムぶりは、エンゲルス役シュテファン・コナルスケと共に、

じわじわと胸にきて、ウーンと唸れるシブミがあった。

9
2人のそれぞれの恋愛ぶりも、モチ、披露される。

ロマンティックではないかもしれないけど、なるほどな~と納得させられる。

海岸での自然描写の中で、

2人の夫妻がイロイロ交流してゆくシーンなども、見ごたえがあったように思う。

8
ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」の、胸にクル使い方も、ココロにクル仕上がり。

ドキュメンタリーだが、アメリカの黒人差別問題を、1950~1960年代に立ち返り、再検証した問題作

「私はあなたのニグロではない」(5月12日より、全国順次公開)の、ラウル・ペック監督が撮ったドラマ映画。

歴史を映画にしたいとゆう執念が、どちらにもカンジられて凄かった。

“歴史は映画で作られる”。

そんな作風が、見え隠れする作品だ。

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