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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析


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2018年5月15日 (火)

「四月の永い夢」⇒ヒロイン映画1

2
自然体ヒロイン映画の、お手本的な快作

朝ドラ的に、ヒロインを応援したくなる作品だ

http://tokyonewcinema.com/works/summer-blooms/

5月12日の土曜日から、ギャガ・プラスの配給により、新宿武蔵野館ほか、全国順次のロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒWIT STUDIO/Tokyo New Cinema

1
これまで弊ブログでは、世界各国の女性映画ことヒロイン映画を、イロイロ分析してきましたが、

ここで改めて、その最新バージョンを、アメリカ映画を除いて、3作続けて分析してみます。

まずは、日本映画の本作から。

3
トラウマあるヒロインを描いた日本映画は、星の数ほどあるんだけど、

えてしてジトジトした、暗いもんになりがちなんだけど、

本作はチョイ違ってたな。

明るくはないんだけど、平常心な自然体モードなんだ、コレが。

ボク的には、男の外国人監督(クロード・ガニオン)が撮った、

フツーのOL映画「Keiko」(1979年製作)のようなノリがあったように思う。

9_2
桜舞う、菜の花畑なところに立って、ヒロイン(朝倉あき)の、

ココロの呟きナレーション・シーン(写真上から1枚目)から、映画はスタート。

そして、彼氏が死んで、教職を辞し、うどん・そば屋で働くヒロインの姿が、淡々と映される。

でも、その食堂が店をたたみ、一方で、かつての女生徒との再会で、ヒロインの日常は一変する。

8
さらに、食堂に客として来ていた、手ぬぐいデザイナー(三浦貴大)との、ささやかな恋もどきがあり、

でもって、死んだ元カレの、富山の家族との絡みもあって、

ヒロインの心理は、ドラマティックに流転する。

しかし、そのココロの動揺ぶりを、あくまで見せようとしない、静かな演出・演技ぶりには、

じわりと胸にクルものがあった。

7
東京・国立ロケーションだ。

後半では、元カレの実家の富山ロケもあるが、

国立の、東京を感じさせない、地方の街的なロケーションも、

全国各地の人には、身近なカンジもあるようで、親近感があっていいと思う。

また、ヒロインへの、感情移入もしやすいだろう。

4
ヒロインが映画館で見る「カサブランカ」(1942年・アメリカ)とか、

ゴリゴリの映画ファンへの、サービス・カットもあるし、

ロングショットのキレとか、歌を聴きながら、ヒロインが歩くシーンとか、

映画的な撮り方の妙味も、イロイロある。

5
寺山修司の原作・監督の「書を捨てよ町へ出よう」(1971年)に、インスパイアーされたような、

ミュージシャン・ユニット「赤い靴」の、

ポジティブ・ソング「書を持ち僕は旅に出る」も、映画の余韻を深める。

6
監督は、平成生まれの若き中川龍太郎。

本作で、モスクワ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞ほか、2部門で受賞した。

同賞でグランプリを受賞した、熊切和嘉監督の「私の男」(2014年)にも、作品性は通じるかもしれない。

そんな映画作家性を意識しながらも、

分かりやすいヒロイン描写に、朝ドラのような好感もあった本作。

今後の監督作が、待ち遠しくなるような快作だった。

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