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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析


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2018年5月16日 (水)

「29歳問題」⇒ヒロイン映画2

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コレが香港版「ワーキング・ガール」だ

泣ける映画がポジティブ映画になった理由とは?

http://www.29saimondai.com

5月19日のサタデーから、YEBISU GARDEN CINEMAほか、全国順次のロードショー。

関西では、5月26日から、シネ・リーブル梅田などで上映。

本作は、2017年製作の、香港映画111分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017 China 3D Digital Entertainment Limited

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三十路を目前にした、29歳のワーキング・ガールの、ヒューマン・ドラマ。

会社での人間関係などが、ポイントになることが多い、アメリカのOLヒロイン映画、

例えば「ワーキング・ガール」(1988年製作)などに対し、

こちらはヒロインの生き方に、モロ焦点を当てている。

アクション映画が幅を利かす、香港映画界においては、

異例の女性映画であり、香港で大ヒットしたらしい。

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しかも、香港では稀少の女性監督(キーレン・パン)による、女性映画なのだ。

彼女は女優でもあり、また、舞台女優にして、舞台演出家でもある。

そして、本作は、そんな彼女が戯曲を書き、演出した演劇が、原作の映画になっている。

演劇原作映画は、アメリカ映画のブロードウェイに加え、日本でもケッコーある。

しかし、香港映画で演劇原作なんて、ボクは初めてお目にかかった。

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女性映画で演劇原作。

初ものづくしの香港映画だが、女性監督なだけに、

女性心理の演出ぶりは、男の監督にはできない、ビミョーなところを出している。

まず、OLヒロイン(クリッシー・チャウ)が登場。

ヒロインのココロのツイートを、ナレーションにし、ダイジェスト的に、ヒロインの日常が綴られる。

観客へヒロインが、話しかけるシーンもある。

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会社では昇進して部長になり、バリバリ働くも、

彼氏とはケンカし、認知症の父との関係など、ドタバタが続き、

部屋も出ていかなければならなくなる。

でもって、居住者がパリ旅行の間だけ、一時的に借りた部屋で、

もう一人の29歳の女・その部屋の居住者(ジョイス・チェン)を、DVDを通して知ることになり、

それが、ヒロインの生き方を変えていくのだ。

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複数の女を相対的に描いてゆく手法は、目新しいものではないが、

2人の出会いを、よりビビッドでドラマティックにして、印象深いものにした。

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このドラマ。もし男の監督だったら、病系にあるような、泣けるドラマへと、シフトさせただろうが、

キーレン・パン監督は、あくまで女性の、ポジティブな生き方の、素晴らしさへと着地させる。

いいね~が、殺到しそうな描き方なのだ。

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男シンガーによる、香港スロー・ポップス、

フィメール・ピアノ・スロー・ナンバーなど、

しっとり聴かせる、歌ものサントラ使いも良かった。

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ラストロールでは、舞台版のダイジェスト・シーンが挿入され、

また、映画のメイキングも映されている。

女性監督による女性映画。

その説得力ある、フレキシブルな映画性をお楽しみください。

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