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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年9月 1日 (金)

「禅と骨」⇒今年のマイ・ベスト・スリーの日本映画だ

1
久々に見た、人間ドキュメンタリーの大傑作だ

ドラマ部を取り入れて、より強烈なインパクトへと導く

http://www.transformer.co.jp/m/zenandbones/

9月2日の土曜日から、トランスフォーマーの配給により、

ポレポレ東中野、キネカ大森、横浜ニューテアトルやらで、全国順次のロードショー。

本作は2016年製作の、日本映画127分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ大丈夫・人人 FILMS

2
人間ドキュメンタリーと言えば、セレブや偉人を描く映画がケッコー多いけど、

あんまし有名じゃない人や、セレブでも異質な特殊人間を描く映画の方が、ディープ・インパクトに出会えます。

そんな人間たちを描く、邦画ドキュのマイ・ベスト・ファイブ(順位通り)を、披露いたします。

3
①ゆきゆきて、神軍(1987年)②ある映画監督の生涯 溝口健二の記録(1975年)③全身小説家(1994年)④本作⑤ヨコハマメリー(2006年)

●②の映画監督や③の小説家は、マニアック的には有名だけど、

その人間性を超越した、変格偏屈ぶりの描き方が強烈でした。

そして、あんまし有名じゃない人でも、モノホンエキセントリックな①だったり、

ドラマ映画の「サンダカン八番娼館 望郷」(1974年)に迫る、娼婦の人生の深掘り⑤だったり、

でもって、本作は、太平洋戦争によって、日本人かアメリカ人かの、

ハムレット的命題を、迫られた日系人の、破天荒な生き方を、描いた作品なのであります。

6
冒頭から異彩だった。

京都で禅宗の僧になった、日米ハーフのヘンリ・ミトワのお話なのに、

いきなり横浜の逸話から始まるのです。

“赤い靴履いてた女の子”から始まる、童謡「赤い靴の少女」が流れくるのです。

そして、世界遺産でもある、主人公が禅僧になった、天龍寺へと場面転換。

この冒頭の意表が、のちのちに母子のキズナに、妄執してゆく主人公のキモチへと、リンクしていくのです。

5
ドキュの中に、ドラマ部がかなり、挿入されています。

調べても分からないところを、ドラマで補うことは、時にありますが、

但し、本作は、演技のプロを使って、ホンマならば、

ドラマ映画化した方が、エエんとちゃうのんくらいに、本気な真剣モード。

しかも、そのドラマ部もきちんとしていて、ドラマティックでもあるのです。

7
ウエンツ瑛士が、ヘンリ・ミトワの若い頃を演じています。

好感ある誠実な演技でした。

一方で、ヘンリの母役・余貴美子も、この映画のキーを握るくらいの渋演技。

謎めいて思わせぶりなタッチの、ナレーションは仲村トオル。

そのほかにも、有名女優・男優が、そこかしこで顔を出しています。

ドラマ部をミキシングしたドキュ映画は、さほどありませんし、映画的巧拙も何とも計れませんが、

でもしか、本作は全く違和感なし。融和していたと思います。

さらに、実話部での、家族ドキュへも、波乱と感動を及ぼしているようでした。

8
サントラ部も、ドラマ部と勝るとも劣らずに、強烈で印象深かった。

渚ゆうこのカヨー曲「京都慕情」に、乗ったシーンの京都の時代感描写、

スウィングジャズ、バイオリン、三味線、ハーモニカなどを、シーンに合わせて駆使。

そして、ラストロールでは、クレイジーケンバンドの横山剣と、コモエスタ八重樫が、

ブルージーにムーディーに歌う「骨まで愛して」(1960年代に、城卓也なる歌手が歌って、ミリオンセラー以上を売った曲)が流れ来る。

ここで、ボクは、完全に、ヤラレてしもた。

4
何はともあれ、ドラマ部をスムーズに取り込み、異能のハーフの一生を、骨になるまで描き抜いた作品。

いやはや、目が点になってもうた。

驚きだけじゃない。

1人の男の、深掘りされた人間映画の妙味が、ココロに深くしがみついてくるような作品なのだ。

⑤と本作を撮った、中村高寛監督の、執念深さにも恐れ入った。

文句なしの年間ベストテン級映画であります。

ボク的には、今のところ、ベスト・スリーです。

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