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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年8月 2日 (水)

「STAR SAND 星砂物語」

Star
太平洋戦争を描く日本映画の、歴代ベストテン級だ

「戦場のメリークリスマス」に迫る傑作

http://www.star-sand.com

8月4日の土曜日から、東京・ユーロライブやらで、全国順次のロードショー。

本作は2017年製作の、日本&オーストラリア合作による本編110分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017 The STAR SAND Team

2
洋画の太平洋戦争映画の、マイ・ベスト&カルトについては、

「ハクソー・リッジ」(弊ブログ6月23日付けで分析)の項で、紹介・分析したが、

日本映画についてはどうか。

ベスト&カルトの括りより、ストレートに、マイ・ベストテン(順位通り・アニメ除く)を披露する。

①戦場のメリー・クリスマス(1983年製作)

②黒い雨(1989年)

③TOMORROW 明日(1988年)

④ひめゆりの塔(1952年)

⑤父と暮せば(2004年)

⑥紙屋悦子の青春(2006年)

⑦少年時代(1990年)

⑧日本のいちばん長い日(1967年)

⑨本作

⑩さくら隊散る(1988年)

⑩夕凪の街 桜の国(2007年)

6
日本映画としては、やはり、広島・長崎原爆もの、「ハクソー・リッジ」でも描かれた沖縄戦などが、

メイン・ポインツになってるけど、東京・大阪空襲なども、アニメなどで描かれている。

そのほかでは、収容所もの①、出兵もの⑥、疎開もの⑦、敗戦前後もの⑧。

でもって、ここでは、2大メインについて、考察してみよう。

原爆関連は、②③⑤⑩2本の5作。

沖縄戦は、④と本作。マイ・ベストテンの同率含む11作の、実に7作を占めている。

戦争映画となれば、ハリウッド映画では、ビビッドな戦場アクションがメインだけど、

邦画としては、製作資金的に、そんな大仰なアクションはクリエイトできない。

それだけに、室内劇・日常劇的を、メインに撮られてゆく。

3
でもしか、それだけに、戦争に巻き込まれる人間の、心理と人間ドラマに、食い込んだ傑作が、多数誕生したのだ。

本作でいくと、戦火の中、日本に帰ってきた、日系ハーフ娘(織田梨沙)の心理やら、

日本軍からの脱走兵(満島真之介)、米軍からの脱走兵(ブランドン・マクレランド)、除隊兵(三浦貴大)、

大阪空襲で娘を亡くした母(寺島しのぶ)、クールに生きる女(渡辺真起子)らの、各人の心理。

でもって、本作のオリジナル性は、現代からの視点を採り入れたところだ。

大学教授(石橋蓮司)、卒論のため、沖縄戦を調べようとする女子大生(吉岡里帆)。

さらに、調査のあとに、サプライズとして登場する老婆(緑魔子)。

4
さてはて、この9人の演技分析をしてみよう。

ヒロイン役の織田梨沙。

いやはや、驚いた。

デビュー作の、サスペンス・ミステリー「秘密 THE TOP SECRET」(弊ブログ分析済み)では、トンデモ・エキセントリックな犯人役を演じたけど、

本作では、その真逆とも言える、おしとやかなアイドル的演技を披露。

その段差が凄かった。

一方、現代編の若手女優、吉岡里帆。

「明烏 あけがらす」(弊ブログ分析済み)のコミカルな演技に対し、

本作では、実に誠実な女子大生役を披露。

それぞれの女優の2作を、見比べてみれば、

一目瞭然の、演技幅のスゴサを見せている。

8
そのほかの役者も、凄みあり。

「無限の住人」(ブログ分析済み)、「忍びの国」(分析済み)、「散歩する侵略者」(後日分析予定)などで、

エキセントな役者ぶりを演じた、満島真之介が、そんな演技とは違う、落ち着いた、無念無想の演技で魅せる。

そんな満島の兄役を、演じた三浦貴大。

彼の主演・出演映画は、弊ブログでは、多岐にわたって分析してるけど、

中でも本作は、母・山口百恵や父・三浦友和とも、ビミョーに違う、

三浦貴大オリジナルとも言える、変幻自在な演技を見せる。

5
そして、大御所とも言える女優陣。

スタジオジブリ・アニメ「火垂るの墓」(1988年)などで描かれた、大阪空襲を、

室内劇による、身ぶり手ぶりの長ゼリフで、演じた寺島しのぶのシブミ。

渡辺真起子のぶっきら棒節も、インパクトあり。

オールド邦画ファンを魅了する、緑魔子の鬼気迫る演技にも注目だ。

でもって、大御所の男優陣からは、石橋蓮司。

かつてはエキセントな悪役が多かったけど、最近は「今度は愛妻家」(ブログ分析済み)などから、丸くなり、

今作では、実に落ち着いた、教授役を披露。ヤッパ、渋かった。

7
①で大島渚の助監督を務めた、ロジャー・パルバースが、本作の原作と監督だ。

とゆうことで、ここで外人監督が撮った日本映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)を披露すると…。

①本作②Keiko(1979年)③老人と海(1990年)

●ドキュの③、OL物語の②。

でもって、本作は、外国人が撮った初の、日本映画の戦争映画。

クリント・イーストウッドの「硫黄島からの手紙」(2006年・アメリカ映画)ほどの、大作感はないけど、

胸にクル仕上がりは、テーマ的には同じものだと思う。

10
戦場とはかけ離れた、沖縄の島における、戦時下の話とゆうスタイルは、

はっきり言って、アクションバリバリの、動の戦争映画に対する、静の戦争映画だ。

そして、本作には、ミステリー映画としての面白さもある。

ヒロインの謎に迫ってゆく作りは、キネ旬の年間ベストワンになった「サンダカン八番娼館 望郷」(1974年)などへと通じるし、

少人数による、日米軍人の争いとしては、「太平洋の地獄」(1968年・日米合作)なんかを想起させる。

9
最後に、サントラについて語ろう。

①でも音楽監督だった、坂本龍一によるサントラ。

①と同じく、シンセサイザーをベースにした作りだが、

ピアノ・バイオリンのほか、沖縄の弦楽器・三線(さんしん)も取り入れて、

本作の背景描写に合わせた作りに、妙味があった。

とゆうことで、戦後72周年を前に、本作をじっくりと味わってほしい。

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