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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年8月の記事

2017年8月17日 (木)

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

1
岩井俊二の快作が、アニメ映画になった

「君の名は。」に通じるラブが、素晴らしい仕上がりだ

http://www.uchiagehanabi.jp/

8月18日の金曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員

1993年に岩井俊二が演出した、同名のオムニバス・テレビドラマの1篇が、アニメ映画化された。

とゆうか、テレビ・オンエア後、映画化されて、1995年に公開された作品のアニメ映画化だ。

大人の恋愛ドラマがメインの、トレンディー・ドラマで、

一世風靡していた頃の、フジテレビのドラマなだけに、当然、恋愛がキーワードになる。

けども、その恋愛も学園ものでして、純愛をキーワードにしていた点、

さらに、よくある夏休みの設定の中で、特殊で異彩なポイントを入れたところが、新鮮かつオリジナリティーがあった。

2
アニメはモチ、岩井俊二にとっては、過去に短編の1編でCG使ったことはあるけど、基本的には門外漢。

そこで、大根仁が台本を書き、テレビアニメで有名な新房昭之が監督した。

アニメ映画化に当たり、いろんな過去の名作のエエとこを、応用・引用してみようとしたそうだ。

そこで、みんなの話の中で、上がっていたのは、学園恋愛もの「小さな恋のメロディ」(1970年製作・イギリス映画)とか、

近過去・未来タイムスリット系の学園もの「時をかける少女」(1983年・日本)とか、

死体をコドモたちで探しに行く「スタンド・バイ・ミー」(1986年・アメリカ)とか、

アニメ「銀河鉄道の夜」(1985年)とかだったらしい。

そして、本作は、それらの作品のタッチが、そこはかとなくカンジられる作りにはなっていました。

けども、それらはあくまで、そんな風にカンジるとこも、あるとゆうだけの、サブ・ソースでしかない。

4
本作は、間違いなく、昨年同時期に公開された「君の名は。」(弊ブログ分析済み)を、大いに意識した作品だ。

つまり、「君の名は。」と同じくらいの大ヒットを狙って、作られたものだ。

「君の名は。」と、何となく似ているところは、つまり、本作の方が先に、創出したとゆうことなのだ。

ただ、本作は、あくまでひと夏の、高校生ラブ・ストーリーのミラクルを、描いている点において、

ドラマティック・ポイントでは、上かもしれないが、「君の名は。」よりも、

もっとずっと純情カレンで、恋愛に徹していて、嗚呼、これが青春だなーと思えて、グッときたぞ。

5
特注項目を列記しますと…。

花火シーンのカラフル。

花火を横から見たら、どない見えるねん、ナンチュー発想のオモロサ。

花火のシャクヤク玉のミニが、過去リセットのポイントを握る点。

ピンク色か薄ムラサキかといった、夕景シーンの色合いを、フツーの場所にも、使っていたりの極味。

2人の三角関係的ラブ造形の、ハラドキもある、ラブ・ストーリーの醍醐味。

3
そして、ピアノをメインに、オーケストラ・サウンドも、取り入れたサントラ使い。

ラストロールでは、米津玄師・作詞・作曲・プロデュースの曲を、

フィメール・シンガーDAOKOが歌う「打上花火」の、

小室哲哉的ペンタトニックな、キャッチーなポップ・ナンバーの、カッコヨサとか…。

何はともあれ、いろんな見どころがあって、印象深い作品でありました。

たとえば、「君の名は。」をDVDで見返して、本作を映画館へ見に行ってみよう。

2作のシンクロナイズに、ある種の感動を、覚えるかもしれませんで。

2017年8月16日 (水)

「蠱毒(こどく) ミートボールマシン」

1
正義の特撮ヒーロー映画を覆す、トンデモパロディーな作りだ

寄生虫モンスターたちの、仁義なき戦いが展開

http://kodoku-mb.net

8月19日の土曜日から、アークエンタテインメントの配給により、新宿武蔵野館ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の日本映画100分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017 キングレコード

2
特撮ヒーロー映画は、日本だけでも東映などを中心に、多岐にわたって展開しています。

でもしか、当たり前のような、正義の味方的ヒロイズムであるとか、

仮面ライダーやスパイダーマンなど、人間じゃないキャラの活躍とか、ある意味で定番化しています。

本作は、それらを裏返して、アウトローではないけども、

しがないダメ男な主人公が、悪のモンスターになりかけて、一線で踏ん張り、人間に寄生する虫モンスターたちと、対決していく流れ。

いわば、「寄生獣」(2015年製作・弊ブログ分析済み)のようなタッチの、ヒロイズムだと申せましょうか。

ほんでもって、理屈抜きなハチャメチャ感が、トンデモなく素晴らしい

7
主人公役主演は、写真上の田中要次。

映画に限らず、おそらく初めての、主演起用やないやろか。

本編の前半で描かれる、そのダメ人間ぶりは、ある種ペーソスに満ちた、中年のサラリーマン悲話とかを思い出させる。

東京スカイツリーを映す、21世紀の東京が舞台。

いろんな取り立てを、1人でやってる主人公は、ヤクザまがいの脅しもせず、集金成果はさっぱりだった。

そこへもってきて、早くて1カ月・もって3カ月の、末期ガンになってまう。

アラマー、大げさやけど、黒澤明の「生きる」(1952年)のような展開かと、思いきや、

いやはや実際、「生きる」の特撮ヒーロー版みたいになってまうんだす。

ホンマかいな!?

3


やはや、ホンマですねん。

主人公を励ます、「生きる」の小田切みきは、百合沙ちゃんになり、

共に悪と戦うのでありました。

さてはて、本作のオリジナル・ポイントとして、蠱毒(こどく)があります。

この蠱毒の解説は、イントロダクションでなされますが、

いろんな虫たちを一緒クタにして、その弱肉強食の中から生まれる、ミートボールがパワーとなり、

人間に寄生・憑依して、モンスター化される、ナンチューお話。

6
ほんで、人間に攻撃的なモンスターが、人間を襲ってまう…。

宇宙から、囲われる透明なバリアー壁が、東京市の一部地区に降りてきた。

主人公たちは、その枠内に入ってまうワケでして、

そのバリアーの境界で、その時野外セックスしてた男女なんか、エライ目に遭うんだっせ。アソコがスパッと…。

4
そんな中で、写真上の百合沙ちゃん。

最初はおっとり弱々しく、おとなしかったけど、

バイカー・モンスターとの突っ走る、バイク上での対決シークエンスでは、

メッチャなエロ・アクションを、披露しやるねん。

上半身ハダカになって、必死のパッチのアクションを見せて、驚かしてくれましたがな、ホンマ!

5
悪側の女が妖しく歌う、アコーディオンに乗った、ラララなカチューシャな曲とか、

マカロニ・ウエスタンノリの、哀愁のギターに乗って、主人公ら4人が、スローモーションで登場するシーンなど、

いろんなとこで繰り出される、思わずニヤリなシーンが面白い。

西部劇の「OK牧場の決斗」(1957年・アメリカ)や、「ワイルドバンチ」(1969年・アメリカ)なんかを引用したら、

おいおいそんな…と言われそうやけど、

オモロく、クスッとさせる引用シーンこそ、この種の映画のポイントでもあります。

とゆうことで、特撮ヒーロー映画を、とことん裏返して、パロディー化した、異能の怪作です。

2017年8月15日 (火)

「ダイバージェントFINAL」

1
「ロード・オブ・ザ・リング」に迫る、3部作シリーズ

逃避行から攻撃へと転じる、アクション描写がお見事

http://www.divergent.jp

8月19日のサタデーから、シンカの配給により、角川シネマ新宿、角川シネマ有楽町、梅田ブルク7、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都などで、全国ロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画120分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

TM&ⓒ2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

3
3部作シリーズの最終章です。

3部作シリーズものは、これまでに多数出てきていますが、

本作ほど、ストーリーに合わせた展開は、そうそうありません。

1部から3部までが、起承転結的に続くのです。

だから、クライマックスが、第3弾になるわけで、

呪いのリングを捨てにゆく、「ロード・オブ・ザ・リング」3部作(2001年・2002年・2003年製作・アメリカ映画)に、

似たような展開を、有しているのです。

2
しかも、人類を何種類かに、分けた設定も似ている。

本作で初めて見る方は、モチ、前2作をDVDで見てから、映画館へを、おすすめします。

さてはて、第3弾の特徴は、フェンスの壁に囲まれたシカゴの街から、若者6人グループが脱出し、

新しき世界へのロードをする点でしょうか。

そして、再びシカゴへと、自由を求めた戦いのために、戻ってくるとゆう、ドラマティックな展開。

5
ヒロイン役のシャイリーン・ウッドリーと、

主人公役のテオ・ジェームズの、アクション男女コンビは、今回も絶好調。

銃撃戦を始め、カッチョイイ~アクションを、披露してはります。

10
名優脇役陣も強靭。

3作続けて出てるナオミ・ワッツの、柔軟な支配者役であったり、

今回初めて出た、ジェフ・ダニエルズの、渋く落ち着いた悪役ぶりだったり、

若者たちの活躍ぶりに、フレキシブルなイントネーションを付加しています。

4
まずはの面白さは、6人の脱出劇アクション。

壁を乗り越えるまでの、流麗とも言えるアクションは、

本作前半のハイライト。

8
そして、逃避行ロード。

ロードムービー的面白さで、中盤を魅せます。

フェンスの外の放射能汚染された、赤茶けた色合いをバックに、スリリングなロードが撮られとります。

6
そして、外の世界の人たちの、バックアップを得て、故郷シカゴを、元通りの街に戻そうと、

1人死んでもうた5人が、アクションを展開しまんねん。

シリーズのクライマックスへ向け、ハラハラドキドキが、止まらない仕上げなんです。

7
アクションに合わせて、攻撃的なシンセ・サントラが使われ、

一方では、余韻を深めるラストロールでは、スロー・ポップが流れてしっとり。

このサントラ的対比効果も、本作を楽しく見れる要素でありました。

9
背景が内外に分かれた作りは、「進撃の巨人」(2015年・日本・弊ブログ分析済み)なんかにも通じているでしょうか。

個人的には、ヒロインの、ちょっとハダカになってまうとこもあるけど、

お色気抜きの、スーパー・ヒロインぶりに、グッときました。

とゆうことで、夏休みの終盤に、ぜひとも味わってほしい1作です。

2017年8月11日 (金)

パニック・ムービー「海底47m」

1_2
海中の「ゼロ・グラビティ」が、展開するパニック映画だ

「この夏、あなたはもう海に潜れない。」

http://GAGA.NE.JP/47M

8月12日のサタデーから、ギャガ・プラスの配給により、シネマート新宿で、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ映画90分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ47 DOWN LTD 2016, ALL RIGHTS RESERVED

パニック・ムービーとなれば、そらモー、メッチャいっぱいあります。

戦前の、怪獣パニックの初代「キング・コング」(1933年製作・アメリカ映画・モノクロ)や、

ディザスター・ムービー「ハリケーン」(1937年・アメリカ・モノクロ)などから、それなりに始まり、

1970年代には、多彩なパニック・ムービーが開眼。

その後は、イロイロ作られて、ヒットしたりヒットしなかったりを、繰り返してきたワケであります。

2_2
でもって、本作はどおゆうタイプの、パニック映画なのか。

「ジョーズ」(1975年・アメリカ)のような、人間の血肉に飢えた、攻撃的なサメが出てくる。

「アビス」(1989年・アメリカ)なんかの、海中ものでもある。

でもしか、逼迫がある。

宇宙の逼迫系映画「ゼロ・グラビティ」(2013年・弊ブログ分析済み)に対する、

海上であれ海中であれ、海のサバイバル系逼迫ノリがある。

6_2
でも、従来のパニックと違うところは、

パニックに遭う本人たちが、進んでパニックな怖いとこへと、向かっていくとこでしょう。

悪との戦いとか、冒険とかじゃない。

その登場人物たちの、遊び半分のスタイルが、

みんなの感情移入度を増し、

臨場感あふれる、ハラハラドッキリの危うさが、体感できる作りなんです。

3_2
メキシコ湾岸の海中へと、ジョーズなサメやらを見るために、

上記写真の檻の中に人間が入って、見に行くとゆう遊びなんやけど、

そんなリゾート地の闇商売に、進んで入った大人の姉妹(クレア・ホルト、マンディ・ムーア)の2人が、

トンデモない災難に、見舞われるお話だす。

なんせ檻をつなぐ、ケージが切れてしもて、タイトルの表示のように、海中47メートルまで落ちてしまうのですわ。

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ほな、海上の船中にいてる男たちが、異変に気づいて、

テキパキと対処すれば、エエやんと思うけども、それがなかなか思うように、救出へと向かわない。

ここんとこがメッチャ、クエスチョンなんやけど、

海中で命の危険に遭う2人の、波乱に満ちたドラマは、そんなのとは関係なく、理屈抜きに続いてまいるのです。

海上との交信のために、檻を出て通信内へと、上がらなければならないとか、

その間にサメが襲ってきたり、酸素欠乏、水中迷い子なんかの危機に遭うワケでして、

いろんな危難が、最後の最後まで、襲いくる作品なんですわ

4_2
現実の時間通りに、流れるような展開やらで、リアリズムを構築し、

幻惑チックとも言えるハードロックなど、グラグラの不安感と緊張感作りに加え、

幻覚シーンなど、サプライズある結末に、アッと驚ける作品やったで。

本作のチラシのコピーにある、「この夏、あなたはもう海に潜れない。」。

ホンマにそう思わせる点において、コレぞ、今年一番の面白映画コピーや。

見たあとの、強烈なトラウマ感を示す、

パニック・ムービーの、パニック・ムービーたる、粋ある怪作品でした。

2017年8月10日 (木)

『ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦』

10
ナチ抵抗映画の、最高傑作かも

暗殺シーンと抵抗シーンなどが、ビビッドに展開

http://shoot-heydrich.com

8月12日のサタデーから、アンプラグドの配給により、新宿武蔵野館やらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2016年製作の、チェコ&イギリス&フランス合作の、本編120分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2016 Project Anth LLC All Rights Reserved.

1
昨日に続き、第二次大戦もの映画を分析いたします。

それらは、単に戦争映画だけではなく、多岐にわたって展開しております。

本作のように、ナチス当事者たちへの、抵抗・激戦・追及を描いた映画は、

そのスリリングかつ悲劇的展開が、アッと驚かせます。

3
戦後含め、ナチ・ヒトラーに対抗する、人々のドラマとしても機能する、

その種の映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①ヒトラー/最期の12日間(2004年・ドイツ)②ハンナ・アーレント(2013年・ドイツ&ルクセンブルク&フランス・弊ブログ分析済み)③本作

●カルト⇒①暁の7人(1975年・アメリカ)②死刑執行人もまた死す(1943年・アメリカ・モノクロ)③オデッサ・ファイル(1974年・イギリス)

4
●ヒトラーだけじゃない。

その部下となるハイドリヒや、ハンナ・アーレントのような、ナチ残党もの・ベスト②カルト③など、

ナチに抵抗し、そして、追いつめるとゆうタイプの映画は、ケッコーあります。

でもって、モロ・ストレートな、ヒトラーへのベスト①以外に、

本作やカルト①②のように、ハイドリヒ暗殺計画を描いた映画など、

ヒトラー以上に、繰り返し作られている素材があるのです。

5
実話となる、ハイドリヒ暗殺映画として、ボクが見たところでは、上記3作だけではあるのですが、

作られるたびに、映画的出来がアップしてゆくような、そんなカンジになっていると思いました。

モノクロなだけに、ダークな作りだったカルト②、

スリリングに魅せたカルト①。

そして、本作は、カルト①を、バージョン・アップさせたような作りで、

終始ハラハラドキドキで、見られた作品でした。

6
ネタバレというより、実話を映画化しているので、本質的にはネタバレはないかと思いますが、

それにしても、暗殺後に、みんなが悲劇へと、否応なく向かうところは、実に悲惨極まりない。

その悲惨さが、3作中で最も、ココロをえぐってくるのです。

9
暗殺シーンの、当初の計画とは違う、グラグラな映像作りは、

シミュレーション映像との絡みもあって、

本編前半のサスペンスフルな、ハイライト・シーンになっています。

7
「バットマン」シリーズの博士役が有名な、キリアン・マーフィの、

暗くかげりある演技が、本作では、渋い陰影演技を、醸し出しています。

セクシャル映画「フィフティ・シェイズ・ダーカー」(弊ブログ6月21日付けで分析)の、ヤラシー感をいっさい抜いて、

マジ演技に徹した、ジェイミー・ドーナンも、本作のシリアス度に、貢献していたでしょうか。

8
ハラドキの臨場感を作るための、アップと近接撮影。

セピア・フィルター使いに加え、

デジタルながら、1970年代映画的な、かすれぎみのフィルム感を、

取り入れているところなんか、メッチャゾクゾクきたぞ。

2
でもって、クライマックスの、多勢のナチ軍と、無勢の抵抗側との、悲劇的な対決。

その鮮烈さが、永くココロに残る傑作です。

2017年8月 9日 (水)

「少女ファニーと運命の旅」

7
収容所ものより、明るい未来が見える、ナチからの逃亡映画だ

終始サスペンスある展開が強烈!

http://www.shojo-fanny-movie.jp

8月11日のフライデーから、東北新社とSTAR CHANNEL MOVIESの配給により、大阪ステーションシティシネマほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、フランスとベルギーの合作による、本編96分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒORIGAMI FILMS / BEE FILMS / DAVIS FILMS / SCOPE PICTURES / FRANCE 2 CINEMA / CINEMA PHONE-ALPES / CE QUI ME MEUT-2015

1
先週も分析したけど、第二次世界大戦の、戦中・戦後もの映画は、

戦後72年の今も、次から次へと作られています。

本作は、この種の映画の、基本となる実話で、戦中もの。

そして、ナチからの逃亡映画なんです。

しかも、逃げる当初は大人もいたけど、

9人の子供たちだけで、フランスからスイスまで、逃げるのですよ。

ハラハラドキドキの、ロードムービーなんです。

3
こおゆう戦中の逃亡系映画は、捕捉されて送られる収容所もの映画より、圧倒的にタイトル数が少ないのですが、

つまり、ナチから逃げることが、いかに難しかったかを示しているのでしょう。

最終的には、子供たち9人全員が逃げ切ったわけだけど、

でも、大人たちのサポートがなければ、初期の最難関を、突破することはできなかった。

2
ユダヤ人のコドモたちを、支援する施設の女上長(セシル・ドゥ・フランス)の、

逃げるための、イロイロの指導がなければ、あり得なかっただろう。

セシルの毅然とした演技ぶりは、本作の大きなポイントになっています。

そのほか、コドモたちをサポートする役者陣の、いろんな行動ぶりにも、注目してもらいたい。

6
そして、もちろん、イチバンの見どころは、ヒロイン役少女(レオニー・スーショー)が、

その妹たち2人に、6人を、安全地帯へと導いてゆく、そのプロセスのイロイロです。

いやはや、事実は小説(フィクション)より奇なりとゆうか、波乱に満ちてるとゆうか、

苦難が次々に、コドモたちを襲います。

そのたびに、それを乗り越えてゆくのです。

5
一時は、ナチスにつかまってしまいます。

絶体絶命の大ピンチだ。

そんな時、彼らはどんな行動に出たか。

強烈なとこがあるんで、注目してください。

写真のイチバン下にある、スイス領土に走って入ってからも、危険は続くのです。

最後の最後まで、目が離せない作りなのですよ。

大人1人逃亡の「戦場のピアニスト」(2002年・ポーランド&フランス合作)との、違いも見えるような作品になっています。

4
ピアノ・バイオリンのほか、キモ的シーンでは、ドラマティックに、オーケストラ・サントラを流してゆくんです。

でもって、ラストロールでは、実話なだけに、実在の人物たちが映され、余韻深さを促進してゆきますし、

コドモたちによる合唱も、胸にクル仕上げでした。

とゆうことで、この次もまた、戦中ものとなる、「ハイドリヒを撃て!」を分析いたします。

2017年8月 7日 (月)

フィリピン映画「ローサは密告された」

Photo
みんな、フィリピン映画を、見たことあるかい?

オカンを愛する家族の絆は、ちょっとダイブ違いまっせ!

http://www.bitters.co.jp/rosa

8月12日のサタデーから、ビターズ・エンドの配給により、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、フィリピン映画110分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒSari-Sari Store 2016

5_2
7月に見た、洋画のマイ年間ベストテン級作品に、選んだ1作です(弊ブログ8月1日付け)。

家族映画なんてなれば、映画の中にいるみたいな、恋愛映画と同じくらい、

多いジャンル映画なんだけど、

本作は、家族のキズナを描く、正統派の家族映画ながらも、

従来の家族ものと比べると、異能の展開と結末が待っておりました。

4_2
いわゆる、松竹系を始めとした、日本の家族ドラマ映画の、定番的キズナとかとは、ビミョーに違っとりまして、

キズナの種類は同じでも、異能ぶりを発揮してるのです。

3_2
思い返せば、異能家族ドラマで、ボク的に印象的なのは、

日本では「おくりびと」(2009年製作)で有名な、滝田洋二郎監督の「木村家の人びと」(1988年)、

アメリカ映画なら、「ホテル・ニューハンプシャー」(1984年)などでしょうか。

でもしか、本作のように、フィリピンとゆう第三世界の国の中でも、

貧民家族を捉えた映画は、かなりと稀少価値がありまして、

しかも、日本人の常識を次々に覆す展開に、唖然呆然とする、ストーリー的流れなんですわ。

6_2
フィリピンの首都マニラのスラム街で、麻薬売りをやってる、オカンとオトン。

無論、ボロ儲けしてるワケやない。

それを、家族ぐるみでやってると見た警察が、オカンとオトンを摘発し、逮捕・拘束した。

2_2
でもって、日本なら悪徳まがいに見えるマニラ警察は、釈放するために、当たり前のように、金を要求するんだす。

政府も認めてるらしいコレは、日本の保釈金制度とは違い、

かなり特殊で独善的なものになっとります。

8
でもしか、コドモたち3人は、必死のパッチで、保釈金のための金を作ろうとするんだす。

まあ、親戚にお願いするのはいいとして、体を売るなんてこともあって、しかも男が…。

泣かせる逸話やけど、泣かせられないようなとこもあって、異質ぶりは加速するのであります。

7
そして、オカンの態度と行動。

これまでに多様多岐にわたり、描かれてきた、マザーことオカンですが、

本作で描かれる母親像は、人を食ったとこがあり、かなりとサプライズチックでした。

フィリピンだからというワケじゃない。

ほとんど表情を変えない、終始自然体に見える、

オカン・ヒロイン(ジャクリン・ホセ)に、寄り添って見れば、メッチャ分かりやすい。

1
カンヌ国際映画祭で、主演女優賞をゲットした、ジャクリン・ホセの、

不安げながらも、何げな普通の演技こそ、本作のキモになるところでありましょう。

“母は強い”のイメージとは違う、何とかなるやろな~な、ホンダラ感こそが、

ラスト・シーンを含めて、エエ感じの映画でありました。

マザー映画のユニークな、新味を加えた快作品です。

2017年8月 6日 (日)

「ろくでなし」⇒日曜邦画劇場

1
男たちの泥臭い、ヤクザチックなドラマだ

大西信満と渋川清彦の、ドライでクールな関係性がグー

http://www.rokudenashi.site

8月12日の土曜日から、第七藝術劇場、元町映画館、京都みなみ会館やらで、全国順次のロードショー。

8月12日には、各劇場で、本作主演の大西信満、渋川清彦の、各アニキの舞台挨拶あり。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒContinetal Circus Pictures

2
都会に生きる男たちの、泥臭い人間ドラマ。

ヤクザ映画とか、ワケありの人たちに加え、

職種的には、ブルーカラーからホストまで、こおゆう映画は、ベタで粘っこく、

そして、時に唐突な男のキズナがあり、

ほんで、不幸系のヒロインたちも、ドラマに欠かせない因子となります。

3
とゆうか、女優陣たちの演技が、こおゆうドラマ映画の出来を、左右すると言っても、過言ではないのです。

基本は男のドラマやけど、

でもしか、女がいないと、ドラマに強弱・硬軟・癒やしが付けられない。

野郎だけの汗臭・骨太もエエんやけど、

女優抜きやったら、全然オモロナイちゅう人も、いてはりまんので。

5
とゆうことで、まずは女優たちを見てみましょう。

根なし草系の演技を見せる大西信満アニキと、肉体含む恋愛関係になる遠藤祐美。

肉体を使う夜の仕事を、やってるわけやないけど、まあ、ゆうてみたら、底辺的仕事についてる女役なんやけど、

ヤクザまがいの社長(大和田獏)からの、パワハラ・セクハラにも耐え抜き、生き抜いてゆく雑草系の演技は、

「にっぽん昆虫記」(1963年)の名女優・左幸子や、「嫌われ松子の一生」(2005年)の中谷美紀にも通じる演技性。

そんな遠藤祐美ネーさんの、妹役の女子高生役で、バツイチの渋川清彦と、ヤッテる上原実矩ちゃんも、

ぶっきら棒なクールな感じやけど、存在感を示しはります。

4
でもって、ナンチューても重要なんは、男たち役者陣でありんす。

大和田獏ちゃんの、用心棒をやってる大西信満。

「キャタピラー」(2010年)の、壮絶な手足なき元軍人役、「さよなら渓谷」(2013年)の、複雑ビミョーな夫役。

常に、難役に挑んできた彼は、今作では、冷徹とシャイさの二重性を披露。

遠藤由祐との絡みでは、実にユニークなキャラぶりを造形してる。

6
大西と同じ社長の元で、取り立て屋やらの汚れ仕事をしてる役の、渋川清彦のアニキ。

インディーズ系の日本映画では、欠かせない存在の彼。

今作でも、大西信満と仕方なく相棒になって、社長の犯罪に加担する役柄を演技。

クライマックスの演技を含めて、印象深い演技性を示している。

7
でもって、大和田獏ちゃん初の悪役ぶりに、

ドッカーンと、すっかり、ヤラれてまいましたがな。

8
昔々の話やけど、NHKの「連想ゲーム」やらで、国民の好感度が高いハズの、あの獏ちゃんが、

人を平気で殺して、クライマックスでは、やりたい放題なんであります。

こんな獏ちゃん、メッチャ、あり得へんで!

10
本作を作った「シネマ☆インパクト」を主宰する、山本政志プロデューサーに、

かつてボクは、監督作「リムジンドライブ」(2001年)関西公開前に、インタビューしましたが、

その時に話された、映画インディーズ魂は、今もボクの脳裏に残っております。

9
監督は奥田庸介。

デビュー作「東京プレイボーイクラブ」(2011年)を、

よりアウトロー化し、よりアクション化した作りに、ボクは魅せられた。

そして、驚きの、サプライズ・エンディングに、

みなさん、ぜひ、魅せられてください。

2017年8月 3日 (木)

「夜明けの祈り」⇒戦後問題を捉えたフランス映画

1
美人女優ルー・ドゥ・ラージュに、魅せられる!

ヒロイン・ヒューマニズムの、粋を見せる傑作だ

http://www.yoake-inori.com

8月5日のサタデーから、ロングライドの配給により、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、フランス&ポーランド合作による、フランス映画で本編115分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 MANDARIN CINEMA AFROPIAN FILM MARS FILM FRANCE 2 CINEMA SCOPE PICTURES

本作は、本作の前に分析した「STAR SAND」と同じく、第二次世界大戦映画に、まつわる映画であります。

「STAR SAND」の太平洋戦争ではなく、ヨーロッパ戦線です。

ヨーロッパ戦線ものは、圧倒的に戦場臨場映画や、戦中ものが多いのですが、

本作は、戦後の事件を捉えた、戦後後遺症ものであります。

太平洋戦争の、長崎・広島原爆トラウマものと同じく、悲痛で悲惨な状況が待っているのですが、

でもしか、最後には、明るい未来が待ってる映画です。

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本作は実話です。

事件の概要を述べますと…。

敗戦したドイツ・ナチの、支配下から逃れたポーランドに、ソ連軍が侵攻・戦後処理に来た。

でもしか、弱者に対する支配度は、ナチとおんなじでして、修道院のシスターたちを、軍人たちが強姦を繰り返した。

そして、シスターたちが次々に、妊娠してしまう事態となったのです。

そんな時に、ポーランドに出っ張ってる赤十字に、あるシスターが助けを求めてきた。

懐妊・出産を、お願いしたいとゆうことであります。

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シスターに密かに頼まれたけど、イロイロ決まりがあって、

いったんは断った、女医者ヒロイン(ルー・ドゥ・ラージュ)。

でもしか、夜明け前に、一心の祈りを捧げるシスターに、ココロ打たれて、女医者は、その問題の修道院へと出向きます。

そこで感得した悲劇に、ヒロインはその後ずーっと、赤十字の規律に反して、修道院へ出産に、おもむくのでありました。

いわゆる、ヒロインのヒューマニズムに、メッチャ感動する作品なんです。

しかも、その描き方・演出ぶりは、終始、静かなる展開で進みます。

美人女優ヒロイン役のルーちゃんに、グッとクル仕上げにもなってました。

「世界にひとつの金メダル」(弊ブログ6月28日付けで分析)では、

アイドルチックな女厩務員役だったけど、本作では一変。

どこまでも冷静な医者役を披露。

男医者との、刹那なラブ・ストーリー部もあるけど、

でもしか、そんな男医者が、ヒロインに協力してゆくヒューマニズムにも、静かな感動があり、

本作を傑作にしている、サブ・ポイントでもありました。

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さてはて、修道女映画となれば、

オードリー・ヘプバーンが主演した「尼僧物語」(1959年製作・アメリカ映画)とか、

ポーランドの「尼僧ヨアンナ」(1961年・ポーランド)とかを思い出すけど、

本作もその種の名作群に、決してヒケを取っていない作品です。

むしろ、最後には、明るい兆しが射すとゆう点では、2作よりもポジティブな作品になっています。

監督は、女性監督のアンヌ・フォンテーヌ。

女性のキモチに則した、いわゆる女性映画なだけに、アンヌ監督の独壇場。

かつて撮った女性映画ものに、新たなアイコンを付加。

加えて、さらに先鋭化した、女性心理を描いています。

戦争映画を超えたところにある、女性のサガに魅せられた作品でした。

2017年8月 2日 (水)

「STAR SAND 星砂物語」

Star
太平洋戦争を描く日本映画の、歴代ベストテン級だ

「戦場のメリークリスマス」に迫る傑作

http://www.star-sand.com

8月4日の土曜日から、東京・ユーロライブやらで、全国順次のロードショー。

本作は2017年製作の、日本&オーストラリア合作による本編110分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017 The STAR SAND Team

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洋画の太平洋戦争映画の、マイ・ベスト&カルトについては、

「ハクソー・リッジ」(弊ブログ6月23日付けで分析)の項で、紹介・分析したが、

日本映画についてはどうか。

ベスト&カルトの括りより、ストレートに、マイ・ベストテン(順位通り・アニメ除く)を披露する。

①戦場のメリー・クリスマス(1983年製作)

②黒い雨(1989年)

③TOMORROW 明日(1988年)

④ひめゆりの塔(1952年)

⑤父と暮せば(2004年)

⑥紙屋悦子の青春(2006年)

⑦少年時代(1990年)

⑧日本のいちばん長い日(1967年)

⑨本作

⑩さくら隊散る(1988年)

⑩夕凪の街 桜の国(2007年)

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日本映画としては、やはり、広島・長崎原爆もの、「ハクソー・リッジ」でも描かれた沖縄戦などが、

メイン・ポインツになってるけど、東京・大阪空襲なども、アニメなどで描かれている。

そのほかでは、収容所もの①、出兵もの⑥、疎開もの⑦、敗戦前後もの⑧。

でもって、ここでは、2大メインについて、考察してみよう。

原爆関連は、②③⑤⑩2本の5作。

沖縄戦は、④と本作。マイ・ベストテンの同率含む11作の、実に7作を占めている。

戦争映画となれば、ハリウッド映画では、ビビッドな戦場アクションがメインだけど、

邦画としては、製作資金的に、そんな大仰なアクションはクリエイトできない。

それだけに、室内劇・日常劇的を、メインに撮られてゆく。

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でもしか、それだけに、戦争に巻き込まれる人間の、心理と人間ドラマに、食い込んだ傑作が、多数誕生したのだ。

本作でいくと、戦火の中、日本に帰ってきた、日系ハーフ娘(織田梨沙)の心理やら、

日本軍からの脱走兵(満島真之介)、米軍からの脱走兵(ブランドン・マクレランド)、除隊兵(三浦貴大)、

大阪空襲で娘を亡くした母(寺島しのぶ)、クールに生きる女(渡辺真起子)らの、各人の心理。

でもって、本作のオリジナル性は、現代からの視点を採り入れたところだ。

大学教授(石橋蓮司)、卒論のため、沖縄戦を調べようとする女子大生(吉岡里帆)。

さらに、調査のあとに、サプライズとして登場する老婆(緑魔子)。

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さてはて、この9人の演技分析をしてみよう。

ヒロイン役の織田梨沙。

いやはや、驚いた。

デビュー作の、サスペンス・ミステリー「秘密 THE TOP SECRET」(弊ブログ分析済み)では、トンデモ・エキセントリックな犯人役を演じたけど、

本作では、その真逆とも言える、おしとやかなアイドル的演技を披露。

その段差が凄かった。

一方、現代編の若手女優、吉岡里帆。

「明烏 あけがらす」(弊ブログ分析済み)のコミカルな演技に対し、

本作では、実に誠実な女子大生役を披露。

それぞれの女優の2作を、見比べてみれば、

一目瞭然の、演技幅のスゴサを見せている。

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そのほかの役者も、凄みあり。

「無限の住人」(ブログ分析済み)、「忍びの国」(分析済み)、「散歩する侵略者」(後日分析予定)などで、

エキセントな役者ぶりを演じた、満島真之介が、そんな演技とは違う、落ち着いた、無念無想の演技で魅せる。

そんな満島の兄役を、演じた三浦貴大。

彼の主演・出演映画は、弊ブログでは、多岐にわたって分析してるけど、

中でも本作は、母・山口百恵や父・三浦友和とも、ビミョーに違う、

三浦貴大オリジナルとも言える、変幻自在な演技を見せる。

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そして、大御所とも言える女優陣。

スタジオジブリ・アニメ「火垂るの墓」(1988年)などで描かれた、大阪空襲を、

室内劇による、身ぶり手ぶりの長ゼリフで、演じた寺島しのぶのシブミ。

渡辺真起子のぶっきら棒節も、インパクトあり。

オールド邦画ファンを魅了する、緑魔子の鬼気迫る演技にも注目だ。

でもって、大御所の男優陣からは、石橋蓮司。

かつてはエキセントな悪役が多かったけど、最近は「今度は愛妻家」(ブログ分析済み)などから、丸くなり、

今作では、実に落ち着いた、教授役を披露。ヤッパ、渋かった。

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①で大島渚の助監督を務めた、ロジャー・パルバースが、本作の原作と監督だ。

とゆうことで、ここで外人監督が撮った日本映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)を披露すると…。

①本作②Keiko(1979年)③老人と海(1990年)

●ドキュの③、OL物語の②。

でもって、本作は、外国人が撮った初の、日本映画の戦争映画。

クリント・イーストウッドの「硫黄島からの手紙」(2006年・アメリカ映画)ほどの、大作感はないけど、

胸にクル仕上がりは、テーマ的には同じものだと思う。

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戦場とはかけ離れた、沖縄の島における、戦時下の話とゆうスタイルは、

はっきり言って、アクションバリバリの、動の戦争映画に対する、静の戦争映画だ。

そして、本作には、ミステリー映画としての面白さもある。

ヒロインの謎に迫ってゆく作りは、キネ旬の年間ベストワンになった「サンダカン八番娼館 望郷」(1974年)などへと通じるし、

少人数による、日米軍人の争いとしては、「太平洋の地獄」(1968年・日米合作)なんかを想起させる。

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最後に、サントラについて語ろう。

①でも音楽監督だった、坂本龍一によるサントラ。

①と同じく、シンセサイザーをベースにした作りだが、

ピアノ・バイオリンのほか、沖縄の弦楽器・三線(さんしん)も取り入れて、

本作の背景描写に合わせた作りに、妙味があった。

とゆうことで、戦後72周年を前に、本作をじっくりと味わってほしい。

2017年8月 1日 (火)

窪田正孝主演「東京喰種 トーキョーグール」

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アンチ・ヒロイズムの、新たなスタイルが展開

コレは攻撃型とは違う、守備型の日本製「スパイダーマン」だ

http://www.tokyoghoul.jp

7月29日の土曜日から、松竹の配給により、全国ロードショー中。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「東京喰種」製作委員会 ⓒ石田スイ/集英社

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吸血鬼ヴァンパイアやゾンビなどとくれば、

いわゆる人間が襲われれば、人間がそっちになって、ワルになるちゅうことなんやけど、

マットーなシャイな人間だった、大学生主人公(窪田正孝)も、

クモに噛まれる前の、スパイダーマンみたいだったのです。

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モンスターの種類は、人間を食べるグール。

結局、主人公は、女グール(蒼井優)に襲われ、

いろいろあって、人間を食うことでしか、生存できないモンスターになってまうんやけど、

でもしか、その試練に耐えつつ、怪物の仲間たちと共に、

生きる術を探ってゆく物語なんであります。

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いやはや、冒頭部からいきなりでおました。

清純な女子大生から、怪物に変貌する蒼井優ネーさんの、

ディープ・インパクトに、ヤラレてしもた。

おいおい、優ネー、マジかよ。

何かの間違いであってほしいと思った矢先、

優ネーのモンスター的に、なってもうた窪田クンが、

自らのアイデンティティーを保ちつつ、飲むや食わず(人間の死体は別)の生活を強いられつつ、

何とか生きてゆく姿を、感動的に(!?)描くのでありました。

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でもしか、孤独じゃなく、仲間たち(村井國夫、清水富美加、佐々木希ら)がいる。

実は、グールたちはコーヒーだけが、人間の食い物・飲み物で、吐かずに飲めるらしく、

村井國夫はんが営業する喫茶店が、彼らのアジトになるんです。

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アンチ・ヒーロー系ながら、いわゆるアウトロー系じゃないし、

「ゴジラ」や「羊たちの沈黙」(1990年・アメリカ)のハンニバルみたいに、シリアス系でもない。

つまりは、仲間たちが助け合って、ひっそり末永く生きようとしているワケなんです

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ところがどっこい、優ネーみたいに、人間の姿をしたグールが、人間の中に紛れ込んで、人食い事件を起こすので、

彼らを退治すべくの、人間のアクション捜査官たち(大泉洋がリーダー役)がおるんだす。

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とゆうことで、捜査官たちとの、仁義なき戦いが、展開するワケであり、

また、そこんとこが、大いなる見どころに、なっているのであります。

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「笑う招き猫」(弊ブログ4月28日付けで分析)の撮影時とは、激ヤセした清水富美加ちゃん。

この映画のための、演技特訓がもしかして…(!?)。

とことんシビアな演技ぶりが、緊張感をあおっていた。

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大泉洋、その部下役の鈴木伸之らもまた、どこまでもマジだし、

窪田クンもビビリながらも、後半では、決死の覚悟の応戦ぶり。

コミカルはほとんどなく、マジ・モードで、最後まで一貫。

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最新のVFX・CGなどが満載なので、特撮アクション映画としての魅力も、横溢しとります。

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さてはて、ここ数年、コミック原作映画が多数作られておりますが、

今はそれほどないけど、かつてあったコミック原作らしさが、あふれた本作でして、

最近では「寄生獣」(弊ブログ分析済み)などと、リンクする作品でしょうか。

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そして、相田翔子・桜田ひよりの、母娘グールにまつわる、窪田クンの戦いなど、まさに正義的戦いでして、

善悪が転倒・転換するドラマとして、印象深いドラマツルギー的エピソードをかもしています。

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シリーズ化されてもおかしくないので、今後も注目しときたい作品でした。

7月のマイ年間ベストテン候補映画

邦画「散歩する侵略者」ほか4本

☆日本映画

●散歩する侵略者(長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己共演/黒沢清監督/9月9日公開)

http://sanpo-movie.jp

Photo
●禅と骨(ドキュメンタリー/ドラマ部:ウエンツ瑛士、余貴美子出演/中村高寛監督/9月2日順次公開)

http://www.transformer.co.jp/m/zenandbones/

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☆外国映画

●オン・ザ・ミルキー・ロード(モニカ・ベルッチ、エミール・クストリッツァ共演/エミール・クストリッツァ監督/セルビア&イギリス&アメリカ合作/9月15日順次公開)

http://www.onthemilkyroad.jp

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●ローサは密告された(ジャクリン・ホセ主演/ブリランテ・メンドーサ監督/フィリピン映画/関西8月12日順次公開)

http://www.bitters.co.jp/rosa

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●7月に見たマイ・ベストテン級は、邦画2本洋画2本。

全ての作品は、後日分析いたしますが、軽く触り的に言うときますと…。

「散歩する侵略者」は、「CURE」(1997年製作)や「回路」(2001年)などで示した不条理感を、より本格化させた黒沢清の最新作。

これまで以上に、設定を説明し、分かりやすく伝わってくる仕上げに、好感がありました。

ドラマ部を採り入れた、人間ドキュメンタリーの「禅と骨」。

「ゆきゆきて、神軍」(1987年)のように、意表を衝いた作りに、意外性があった。

クストリッツァ監督の集大成的な傑作「オン・ザ・ミルキー・ロード」。

誇張表現が、より先鋭化していて圧倒された。

フィリピンのスラム家族の実態を描いた「ローサは密告された」。

今回、衝撃度が最も高かった作品です。

とゆうことで、後日の分析をお楽しみください。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

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