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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年7月の記事

2017年7月28日 (金)

「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」⇒金曜日本映画劇場

1
ホラー映画じゃないぞ、純愛ラブ・ストーリーだぞ

「セカチュウ」世代の、胸にクル作品だ

http://www.kimisui.jp

7月28日の金曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

本作は、2017年製作の日本映画115分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会

ⓒ住野よる/双葉社

6_2
病系の純愛映画とゆうのは、

かつての日本映画では、お涙ちょうだい映画の1つとして量産され、

その何作かは今も、DVDそのほかで見られます。

ただ、それを21世紀になって、再認識させた映画と言えば、今さらながらですが、

「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)でしょう。

2_2
「セカチュウ」と略称されたこの映画以降、再び病系の純愛映画が、クローズアップされた。

映画の出来不出来は別にして、観客を呼べる映画ジャンルになったのです。

そして、本作もまた、「セカチュウ」を意識してるけども、

それでも、新味のいくつかを加えようと、工夫された1作でしょうか。

5_2
「セカチュウ」と同じく、主人公が就職している現代と、高校時代の過去を、描くとゆうスタイルは同じです。

でもしか、高校時代は新人クラスの、若手役者(浜辺美波・北村匠海)を起用し、

大人になってからは、小栗旬と、大人になったヒロイン役じゃないけど、北川景子が演じています。

3_2
ヒット中の「銀魂」(弊ブログ7月14日付けで分析)とは真逆の、小栗旬の誠実な演技も、心地よかったけど、

高校の純愛を演じる2人の、フレッシュなピュア感は、

これが病系とは思えないような、清新な爽快感がありました。

4_2
写真で泣くカットがありますが、泣くシーンの造形も、作られたような泣くシーンではなく、

ストーリーに合わせて、自然でベタじゃなく、見ていて納得のできるものだった。

10
何はともあれ、インパクトあるタイトル。

そのタイトルと学園純愛のピュアさが、合わないように見えながら、

前触れで語られる、ヒロインのセリフ、

そして、後半でそのセリフに、主人公のメールが対応して、感動を呼ぶ。

11
薄色配色の過去描写、陽光の部屋への取り込みなど、

撮影部にも工夫があった。

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「セカチュウ」と同じく、本作も地方ロケーションを敢行。

滋賀県ロケです。

実は、ボクは滋賀県出身なんだけど、滋賀ロケ映画は、それほど多くない。

でもしか、今後は「トリガール」(9月1日公開・弊ブログ後日分析)なんかも出てくるし、

時代劇なんかでは、本編の一部ロケ的には、ケッコーあるのですが…。

12
そんな滋賀ロケ映画のベスト・スリーは、順不同ながら、モチ本作。

あとは、「幻の湖」(1982年)か、「偉大なる、しゅららぽん」(2014年)か。

8_2
本作以外の2作や「トリガール」は、滋賀ロケやないと、あかんやろなとこがありましたが、

でもしか、本作は違っていた。

滋賀ロケで、学園もの病系ラブ・ストーリー。

東京ロケでもいけるような、王道恋愛ドラマの滋賀ロケ映画に、ボクは密かに痺れました。

9_2
しかも、Mr.Chirdrenが、主題歌「himawari」を提供するなんて…。

とゆうことで、ボク的には、少し驚きのあった、意外な作品でした。

2017年7月27日 (木)

「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」

1
マクドナルドを巨大産業にした、営業力のスゴサとは?

マイケル・キートンの、なり切り型熱血営業マンぶりが強烈!

http://thefounder.jp

7月29日のサタデーから、KADOKAWAの配給により、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹などで、全国ロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画115分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 Speedee Distribution, LLC. All Rights RESERVED

2
いわゆる、実話による、ビジネス界のサクセス・ストーリー。

そんなアメリカン映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)を、披露いたしますと…。

①本作②タッカー(1988年)③ソーシャル・ネットワーク(2010年)

●自動車産業の②、IT業界の③、でもって、本作はファーストフード業界。

中でも本作は、熱血ぶりでは、3作中イチバンだろうし、しかも、社長だけど、マクドナルドの創業者じゃない。

そこんところが、従来の創業者の、一代記なるものとは、一線を画しています。

6
シェイクミキサーの、一介の営業マンから始めた主人公(マイケル・キートン)は、

ある日、6台もの注文を受け、まさかそんな…と思いつつ、その店へ視察に行った。

それが、マクドナルド兄弟がやり始めた、ハンバーガー店だった。

みなさんもご存知の通りの、スピーディーに大量製造するスタイルに、主人公はアッと驚いた。

7
ほんでもって、主人公はこんな店をチェーン化し、いくつも造ろうと、創始者のマクドナルド兄弟に提案する。

そして、2人の了承を得て、いくつものハードルを乗り越えて、全米に店を広げてゆくのだ。

その営業力のモノスゴサは、営業マンのお手本になるような、カンジになっている。

たぶん、そういう仕事上ためになるような映画は、あんましありません。

つまり、営業マン必見の作品だけど、

でもしか、映画としても、スーパー営業マンの人間ドラマとして、強烈な印象を残すのです。

5
何はともあれ、アカデミー賞主演男優のマイケル・キートンの、

ネトネトした熱血ぶりが、とんでもなくココロをえぐってくる。

アップ・カットで、冒頭から喋る営業トークから、彼の術中に巻き込まれる。

「卵が先か、ニワトリが先か」なんてセリフは、営業トーク・マジックを示して、

本作が、主人公のキャラで魅せる映画なんだと、認識させるのです。

9
マクドナルド兄弟との相克もあり、彼らを煙に巻いていく、いくつかのシーンも痛快。

また、主人公の妻役(ローラ・ダーン)も、

熱血キートンの演技に、合わせたり合わせなかったりの、複雑な難しい演技を、好演しています。

3
1954年がキーとなる映画です。

車や徒歩で営業マンが、全米を駆け巡っていた時代であり、

映画でゆうなら、1950年代の営業マンの哀愁を捉えた「セールスマンの死」(1952年に日本公開)などの、

時代背景・時代事情と、シンクロナイズするでしょうか。

当時、アカデミー作品賞をゲットした「波止場」(1954年・アメリカ)を、主人公が見るシーンなど、

この年らしきとこを、いくつかのシーンで描いています。

4
サントラも、いい味出してます。

ピアノをメインに、バイオリン・チェロ、さらにオーケストラ・サウンドもあり、

ユニークな場面では、パーカッション・サウンドを取り込んだり…。

8
マイケル・キートンが、のちに妻となり、マック・シェイクを考案する人妻役(リンダ・カーデリーニ)と、

レストランで歌う、ピアノ・ナンバー「黄金の雨」なんか、

映画のテーマにも合っているようで、意味深で印象深かった。

とゆうことで、アメリカにはちょっと珍しい、ベタな人間ドラマ性に、驚かされた快作でした。

2017年7月26日 (水)

「ブレンダンとケルズの秘密」⇒アイルランド・アニメ映画

1_2
宮崎駿アニメに、大きな影響を受けた作品

スタジオジブリ・アニメ級の、面白さがある快作だ

http://secretofkells.com/

7月29日のサタデーから、チャイルドフィルムとミラクルヴォイスの配給により、YEBISU GARDEN CINEMA、シネ・リーブル梅田ほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2009年製作の、フランス&ベルギー&アイルランド合作の75分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒLes Amateurs, Vivi Film, Cartoon Saloon

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今はもうないんやけど、かつて毎年開催されていた「大阪ヨーロッパ映画祭」で、本作を見させてもらいました。

そして上映後、舞台あいさつに来た、トム・ムーア監督の話も聞いています。

その時のことは、かつて弊ブログで紹介しましたが、

ムーア監督といえば、最新作の「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」(弊ブログ分析済み)が昨年話題になり、

ほんでもって、本作のデビュー作が、本邦公開になります。

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ちなみに、「ソング・オブ・ザ・シー」も本作も共に、アカデミー賞の長編アニメ作品賞に、ノミネートされとります。

でもって、ムーア監督も言ってるんだけど、

スタジオジブリ作品、特に宮崎駿作品に、かなりとインスパイアーされとるらしい。

いやはや、見れば一目瞭然ですが、

けども、ボクはジブリとは、ビミョーに違うとこも、かなり発見できたんですわ。

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ネコ・オオカミ・虫など、動物・生き物の使い方は、ディズニーともリンクするけど、擬人化はしてない。

でもって、少女妖精も出るけど、ジブリの少女ヒロインに対し、本作は少年主人公もの。

そして、メイン・エピソードのオリジナリティー。

本作は、暗闇を光に変えた書物の存在、

そしてそこに文章を書くなんてことが、重要となる、かつてないもんなんでありますよ。

最初に見た時は、少し違和感はあった。

けども、今回改めて見させていただいて、

よくある島冒険ものではあるけども、自然との共存とゆう設定の中で、

文章を後世に伝えるとゆう試みを、

アニメにはまずあり得ない素材で作り込んだ、そのスタイルに驚かされたんであります

5_3
空白のページに、主人公少年が書き込むための、インクの素を、森の中へ探しに行き、

そこで、森の少女フェアリーと出会い、交流するなんちゅう展開は、ユニークやし、

クライマックスでは、重要なクリスタルを探す、

緑の怪物と主人公の対決含む、アクロバティックなシークエンスもあります。

9
さてはて、本作の時代背景を反映したかのような、薄色配色の手書きが心地いい。

但し、クライマックスの、バイキングの攻撃にさらされる、

血の赤の原色系使いは、雪の白さとの対比もあって、ドッキリとくるところでした。

少女フェアリーが歌う、癒やしのスロー・ナンバーから、

聖歌風、バイオリンなどの室内楽まで、

対して、攻撃的なサウンドも使って、サントラによる、シーンに合わせた使い方にも魅せられた。

10
少年の成長映画の進化系を、本作に見ました。

「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年製作・イタリア&フランス合作)のような、

オーソドックスや普遍性を、それとなくカンジながらも、

かつてはいっぱいあったけど、こおゆう少年ものは、

ジブリの少女ものくらいに、今、もっと作ってもらいたい素材でした。

アイスランド映画「ハートストーン」

1
ヌーヴェル・ヴァーグ映画を想起させる傑作

苦味と甘さが同居した青春映画だ

http://www.magichour.co.jp/heartstone/

7月29日のサタデーから、マジックアワーの配給により、テアトル梅田などで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、デンマークとの合作によるアイスランド映画129分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2_2
みなさん、アイスランド映画を、これまでに見たことはありますか。

弊ブログでは、中年兄弟の相克とキズナ「ひつじ村の兄弟」、

シャイな中年男のラブ・ストーリー「好きにならずにいられない」、

馬視点で描かれた人間群像劇「馬々と人間たち」などを、

紹介・分析いたしました。

そして、ここに、新たな1本の、本邦上陸です。

3_2
アイスランドの仕事にまつわる、牧羊とか馬との関わりとか、動物にまつわる映画とか、中年ラブなど、

これまではいかにも、パブリック・イメージな、これがアイスランドやといった、アイスランドらしさがあったけど、

本作はメッチャ大いに違っています。

いわゆる、アイスランド映画の、ヌーヴェル・ヴァーグとも言える、若者を捉えたシャープな映画になっているんです。

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2人の男と2人の女の、キャンピングWデート・シーンがあるように、

マットーな青春ラブ・ストーリー、かと思いきや、

実は、2人の男の子の、ナイーブでシャイなBL(ボーイズ・ラブ)が、

メイン・テーマにあるところが、本作のミソなんであります。

5_2
アメリカなどの大国が作る、ゲイ映画とは完璧に違い、

ゲイが認められていない国の、そのシャイとナイーブが、妙にココロにクル作品になっています。

「ハッシュ!」(2001年製作・日本映画)のように、ゲイの2人に、女1人が関わるのではなく、

フツーのWデートから、次第に男2人が意識し合い、そして、渋く泣けるエピソードへと至ります。

4_2
2人の男の子のそれぞれが、迷い悩む後半から、2人の再会シーンへとゆく流れは秀逸。

本作を、印象深い映画にしています。

7_2
近接撮影&アップと、ロングショットのバランスも良く、映画的作りを意識しつつ、

アイスランドの海辺や荒野、曇りがちの空模様など、風景描写の点綴もまた、絵画的でココロにきた!

ピアノやシンセの、サントラ使いも良かったと思う。

6_2
ヌーヴェル・ヴァーグの代表監督フランソワ・トリュフォーの、

「大人は判ってくれない」(1959年・フランス)や「突然炎のごとく」(1961年・フランス)などのセンスも感じられて、

ボクが見たアイスランド映画の、最高傑作になりました。

最後には、哀切・哀愁と感動がある傑作ですよ。

2017年7月25日 (火)

イタリア映画「甘き人生」

1
母の死の謎を追う、ミステリアス・ドラマだが、

母子のキズナに着地する傑作だ

http://www.amakijinsei.ayapro.ne.jp/

7月29日のサタデーから、彩プロの配給により、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、イタリア・フランス合作の130分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2
父娘のキズナを捉えた「君はひとりじゃない」に続きましては、母子・母息子のキズナを捉えた本作です。

母息子映画もケッコーあるけど、やっぱ、ユーロ映画となると、

一筋縄ではゆかない、複雑なココロを描いた作品になっとります。

父娘より、母息子は、ストレートよりも、ミステリアスが似合うのか、

本作は、母の死に関する、謎めきドラマを呈しています。

5
「オール・アバウト・マイ・マザー」(1999年製作・スペイン映画)のような、危ない、緊張感ある作りなんです。

ほんで、母が死んだ1960年代の、主人公のコドモ時代と、

1990年代の大人になり、ジャーナリスト・新聞記者となった主人公を、

カットバック的に、映画ドラマチックに、作り込んだ作品です。

4
1960年代は、母との想い出のシーンを中心に、

オーソドックスな少年もの映画の、スタイルを採りながらも、

母の謎めき行動などを伏線にして、ミステリアス度合いを高める作り。

対して、1990年代サイドは、

主人公がいろんな取材に行って、バリバリの記者ぶりが描かれる作り。

8
2つの時代を、対比的に描いているかと思いきや、

観客にとっては、いちおうトンデモない結末が、待っているなんて作りなんやけど、

でもしか、母の死の真相は、当時の新聞記事なんかを見れば、主人公には分かるので、

少年時代と大人時代の主人公の行動は、ミステリーの手法としての効果描写じゃない。

描きたいのは、あくまで主人公の行動心理でありましょう。

7
つまり、真相は主人公には分かっているんです。

それでいて、悩み深き主人公は、スクープ的事件から戦場取材まで、硬派な取材をこなしてゆくのでありました。

さらに、いろんな恋までやっちゃう。

主人公役ヴァレリオ・マスタンドレアの、

決して激することのない、クールイズムな骨太演技に、渋く痺れる作りになっとります。

6
テレビ・ドラマの悪人キャラ・モノクロの怪人ベルファゴールの、使い方が異彩を放っていた。

「ミツバチのささやき」(1973年・スペイン)や「パンズ・ラビリンス」(2007年・スペイン&メキシコ)などにも通じるような、

主人公の心理と、リンクする使い方はお見事。

イタリアン・ポップスから、ツイスト、オーケストラ・サントラの使い方も、ドラマティックでした。

3
マルコ・ベロッキオ監督の新作です。

エキセントリックなヒロイン映画「夜よ、こんにちは」(2003年・イタリア)が、これまでは監督の、マイ最高傑作だったけど、

本作では、複雑ビミョーな主人公を描いて、そのシブミに魅せられ、逆転した。

永くココロに、こびりつくよな傑作。

ポーランド映画「君はひとりじゃない」

1_2
ヨーロッパの新しいスタイルの、父娘キズナ映画だ

霊媒師セラピストの「ハア!」にドッキリ!

http://www.hitorijanai.jp

7月22日のサタデーから、シンカの配給により、シネマート新宿、シネマート心斎橋などで、全国順次のロードショー。

本作は2015年製作の、ポーランド映画93分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒNowhere sp. z o o., KinoSwiat sp.z o. o, D 35 S. A., Mazowiecki Fundusz Filmowy 2015 all rights reserved.

父娘のキズナを、描いた映画は余りにも多い。

ベタにストレートに描くと、これまでとおんなじ無難な作りじゃないかと、言われたりする。

ただ、最近は、少し異能なカンジの作品が出てきているぞ

例えば、父娘の生き方の違いを捉えた

「ありがとう、トニ・エルドマン」(2016年製作・ドイツ&オーストリア合作・弊ブログ6月28日付けで分析)などは、その好例だろうか。

そして、本作もまた、父娘の反目を捉えつつも、ユニークなキズナ着地となる作品になった。

3_2
しかも、「死者は生者を助けたがる」とゆうセリフに基づき、

霊媒・交霊が、キズナのキーとなる作品になっている。

とゆうか、それもチョイ違ったカンジの決着なのだ。

そこが、本作のオリジナル・ポイントとなっているだろうか。

2_2
警察の鑑識課・監察医の父。

母の死後、落ち込んでる娘は、集団セラピーに通っている。

その女セラピストは、我が子を亡くした過去があり、

今は大型犬をペットに、ベッドを共に一緒に暮らしてる。

こんな3人が、絡み合って展開してゆくドラマ。

6_2
娘は父を嫌ってる。

父は娘を持て余してる。

娘が入院し、女セラピストはある提案をする。

家族セラピーとして、死んだ母との交霊会を、やってみようと言うのだ。

意外な展開だった。

交霊がポイントとなるのは、ホラー映画などがほとんどで、

こういうキズナ・ドラマに、出てくることは珍しい。

5_2
「ありがとぅ、トニ…」もそうだが、ヨーロッパ映画から出てくる、家族ドラマには、異彩な作品がケッコーあるが、

ちなみに、本作はベルリン国際映画祭で、銀熊賞・監督賞をゲットしている。

しかも、女性監督マウゴシュカ・シュモフスカによる作品だ。

彼女の監督作品は、本邦初上陸らしいけども、

フツーの父娘のキズナ映画として見ると、かなりココロ覆される作品だろう。

こういうのんが、女性らしさなのかと、考えさせられるとこもあった。

4_2
セラピスト役の女優が、大マジの好演。

セラピーの教室やらでは、「ハア!」と大声を発して気合を入れ、

霊媒への信頼も異様で、でもしか、誠実さが通底しているけども…。

最後に見せる姿は、ウーン…、オモロ過ぎる。

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そして、オールド・アメリカン・ポップスが、癒やしと共に、強烈な印象を残す。

音楽が作品に、大きな効果をもたらす、好例の作品だと思う。

7_2

総じて、暗い映画が多かったポーランド映画の、意外なとこも見られて良かった。

ホッコリ感のある、ラストに魅せられてください。

2017年7月21日 (金)

「心が叫びたがってるんだ。」⇒週末日本映画劇場

1
「Sexy Zone」中島健人と、朝ドラ「べっぴんさん」女優・芳根京子の共演

邦画では珍しい、学園青春ミュージカル

http://www.kokosake-movie.jp

7月22日の土曜日から、アニプレックスの配給により、TOHOシネマズ梅田ほか、全国ロードショー。

本作は2017年製作の、日本映画119分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 ⓒ超平和バスターズ

9
高校学園もの青春映画で、日本映画となれば、これまでに、モノゴッツーなタイトル数があります。

また、弊ブログでも繰り返し、系譜やらベスト&カルトやらを、披露してきましたが、

何はともあれ、イチバン多いテーマは、ラブ・ストーリーよりも、

みんなで何かをやってみよう!、というタイプの映画でしょうか。

本作もそういうタイプでして、ラブ部やキズナ部も描きつつも

チーム・プレイの素晴らしさへと着地する、快作品となりました。

2
そして、日本の学園ものには、一部アイドル映画としてのノリもありまして、本作もそのスタイルでいっています。

しかも、旬なアイドルをキャスティング。

ジャニーズ・グループ「Sexy Zone」の中島健人クン。

朝ドラ「べっぴんさん」主演で、大ブレイクした芳根京子ちゃん。

EXILEグループの女性版「E-girls」の石井杏奈ちゃん。

加えて、新人のフレッシュな寛一郎。新人アイドルもこういう作品には、重要な存在となります。

3
4人が先頭になって、クラスの一般向けミュージカル公演を、企画しやってまうとゆうお話なのですが、

この4人が最初は、チグハグで、全くもってやる気なし。

芳根ちゃんは、幼い頃に両親を離婚に追い込んだ失言で、

以来、喋れなくなるビョーキに、さいなまれてるなんて設定やし、

マトモなのは、中島健人クンくらいなんです。

加えて、中島・芳根・石井の間で、恋の三角関係的なとこがあり、何ともぎこちない。

4
そんな中で、最も演技力を求められるのは、芳根京子ちゃんでしょうか。

しかし、攻撃的だった「ロクヨン」(2016年製作・弊ブログ分析済み)とは違い、

消極的演技を続けながらも、時に鋭いとこを見せて、グッときた。

5
喋れないのに、高校の普通科に行けるのかどうかとか、

ミュージカルの練習シーンに、歌うシーンがなかったり、

芳根ちゃんのビョーキなんてあるの?とか、

恋の三角関係の説得力のなさなど、

突っ込めるところは、いくつかあるけども、

ボク的には、ミュージカル・シーンの、「ムーラン・ルージュ」(2001年・アメリカ)的な、

ドラマティックな造形に、グッと魅かれて、マイナス部はすっかり消失しました。

6
また、見る前にメンツから予想して、ヒップホップなダンス・ミュージカルかと思いきや、

オーソドックスながら、本格的なミュージカル志向だったのが、意外だった。

ミュージカルやないけど、当時アカデミー作品賞をゲットした「80日間世界一周」(1956年・アメリカ)のテーマ曲への、

芳根ちゃんの、傾倒ぶりを前触れに、

「オズの魔法使」(1939年・アメリカ)の主題歌「オーバー・ザ・レインボー」と、

ベートーヴェンの「悲愴」をミキシングした、

中島クンが作る、ミュージカル・テーマ曲が、

まさに本作の、テーマにもなっているのが、スゴイところだ。

8
でもって、学園ものでも、今どき流行のコミック原作ではなく、

アニメ原作とゆうのが、ヒジョーに珍しい。

同名のアニメは、DVD化されているので、

本作を見る予復習として、チェックしてみてください。

7
手書きで示される、上演ミュージカルのアニメ部、

UP少なめ&ロングショットのキレの映画的作り、

埼玉県秩父市ロケの、地方ロケ映画らしさなど、

今どきの学園ものに、ふさわしい作りが、心地いい作品です。

2017年7月20日 (木)

「STOP」⇒キム・ギドク監督作品

St1
東日本大震災の福島原発事故に、衝撃的に食い込んだ!

あまりのストレートさに、慄然とする問題作だ

http://www.allen-ai.com

7月22日の土曜日から、大阪・第七藝術劇場で、全国順次のロードショー。

第七藝術劇場では、公開初日の7月22日に、出演者による舞台挨拶あり。

文=映画分析評論家・宮城正樹

St2
東日本大震災・福島原発事故を採り上げた映画ながら、

それをメインテーマに初めて、外国人監督(韓国のキム・ギドク)が撮った、ドラマ映画作品が本作だ。

震災を捉えた日本映画は、ドラマ映画、ドキュ映画合わせて、50作以上を越えてるかと思いますが、

海外監督による本作は、これまでの震災ドラマ映画とは、

かなりと一線を画している、あるいは超えてるとも言える映画でありました。

St5
どこが一線越えなのか。

原発事故で想定されるところを、ホンマにストレートに、描いた映画とゆうのは、

これまでの日本映画には、なかったように思います。

そして、そこんとこが、忌憚なく描かれているところに、ディープ・インパクトがあったのです。

何しろ、最初から、妊婦の、生まれるコドモへの原発の影響を、とことん追及する作りでありまして、

それが本編の最後まで、テーマであり、キー・ポイントを握っているのであります。

St6
福島原発事故に遭い、妊婦の妻と写真家の夫が、福島から東京に逃れた。

ところが、原発に遭って奇形児が、生まれることを危惧した、ある団体が妻に、コドモをおろすのが、賢明だと言ってきた。

政府をかたっていたけど、現実的にはそういうことはなかった。

けども、キム・ギドク監督は、リアルを超えて、イロイロやってはります。

しかし、そのハミ出し具合が、ナンチューても本作の、大きな見どころに、なっているのです。

St4
夫妻2人の行動ぶりが、狂気と波乱に満ちて、展開するのであります。

写真家として、福島の変わらぬ姿を、写そうとする夫。

対して、最初は堕ろそうとしたけど、結局産む決心をした妻。

2人のぎこちないやり取りが、チグハグ・ミスマッチな緊張感を呼んでゆく。

怖い瞬間が、いくつもある。

一方で、頭の中だけで考えた、震災影響ドラマもある。

いずれにしても、ストレートな打ち出し方だ。

でも、そこが潔くてスゴイところだと、ボクは思った。

St3
原発からクル電気が、問題だと見た夫が、東京の電気を消そうと、躍起になるシーンと、

妻がコドモを産むシーンが、カットバックされるクライマックスは、予想外極まる展開だった。

そして、震災7年後を描いた、ラスト・シークエンス。

一体、その時、夫妻や世界はどうなっているのか? 

衝撃か衝撃的ではないのか、そのあたりの判断は、映画を見た観客にゆだねるところやろけど、

決してハッピーな、ラストが待ってるわけやない。

それでも、ボクは本作に、かすかな希望を見ました。

キム・ギドク監督が撮りたかったものとは、一体何だったのか。

衝動的で逼迫した、その作り方の中に見られた、

監督の密やかなる良心に、ココロ魅かれる作品でした。

ホラー映画「ウィッチ」

1

古典的ホラーに回帰した作品だ

「スプリット」の、アニヤ・テイラー=ジョイちゃんに注目!

http://www.interfilm.co.jp/thewitch/

7月22日のサタデーから、インターフィルムの配給により、東京・新宿武蔵野館、横浜・シネマ ジャック&ペティなどで、全国順次のロードショー。

その後、8月5日から、大阪・シネ・リーブル梅田、名古屋・シネマスコーレなどで上映。

本作は2015年製作の、アメリカ映画93分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 Witch Movie.LLC All Rights Reserved.

2

ホラー映画は、戦前のユニバーサル映画の、

狼・吸血鬼・フランケンシュタインの3大が、嚆矢となっているかと思います。

が、戦後で言えば、「吸血鬼ドラキュラ」(1958年製作・イギリス映画)や、

「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年・アメリカ)「エクソシスト」(1973年・アメリカ)などのエポックがあり、

今や日本でも、Jホラーとしての、一大ジャンルがありで、

多彩で一筋縄ではいかない、状況になっているのでは…。

3

ホラー映画の系譜やらについては、弊ブログで何度か披露してきましたが、

本作は、1630年のニューイングランドを、舞台にしていて、

ホラー・テイストを、過去に求めているだけに、

ホラーの古典的なスタイルを、踏襲していると申せましょう。

6

では、歴史ものホラーとしての、よくある要素は何か。

それは、ストレートに言えば、黒魔術であり、魔女の存在などでありましょうか。

どちらも、リアリティーのない不穏で不確かなもの。

でもしか、そういうところが、怪しさや怖さを増す要素として、

ホラー的には、定番的に使えるものだったのです。

4

では、本作はどうか。

魔女じゃないのに、魔女と言われた女のお話。

こおゆう設定も、古典ホラーにはケッコーありました。

でもしか、そんな映画は、ヒロインの造形・演出によって、映画的仕上げが変わってきます。

「メアリと魔女の花」(弊ブログ7月7日付けで分析)の前向きな魔女よりも、

もっと自己否定的、けども、流れに任せて、巻き込まれ的にいってまうヒロインには、

この種の映画では、あんましありません。

5

「ローズマリーの赤ちゃん」の、妊婦役ヒロインのミア・ファローのように、

本作のヒロインは、いつの間にか、エライ目に遭ってまうんであります。

ホラー映画に欠かせないのは、怖がる・怖がらせるヒロインでしょう。

女が男よりも、よっぽど映えるのは、ホラー映画の系譜を見れば、明らかになっとりますが、

そんなヒロイン役の、アニヤ・テイラー=ジョイは、

ベスト・キャスティングやったと、ボクは見ました。

9

「スプリット」(2016年・アメリカ・弊ブログ分析済み)では、

アニヤちゃん、犯罪者に拘束されて、ビビリでピリピリな演技やったけど、

でも、本作でも、そのタッチは、おんなじやったんやないかな。

彼女に怖さはなかった。でも、ママを刺したりの応戦ぶりでは、非情なアクトを披露。

静かな展開から、やがてピリリな緊張感に、巻き込まれてしまうヒロインを、

「スプリット」以上の、抑制系の演技で披露して、見事やったで。

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電気のない時代を反映した、薄色・ダークな作りが、リアル感を増してました。

また、バイオリンを始めとした、弦楽のサントラに加え、

ラストロールでは、子守唄も囁かれて、意味深な余韻は深くなっとります。

いずれにしても、「エクソシスト」のベタとは違う、ヒロインの静かなホラー描写に、うなれる作品。

ロングショットと、バストアップの対比効果。

最後はハダカになる、ヒロインの衝撃に、撃たれてくだされ。

2017年7月19日 (水)

「パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち」

1
バレエ・ドキュメンタリーに、新たなアイコンが登場

リハーサル・練習風景がメインだが…

http://www.backstage-movie.jp

7月22日のサタデーから、ショウゲートの配給により、Bunkamuraル・シネマ、シネ・リーブル梅田などで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作のフランス映画86分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒDelangeProduction 2016

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バレエ・ドキュ&ドラマ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、まずは披露いたします。

●ベスト⇒①リトル・ダンサー(2000年製作・イギリス映画)

②パリ・オペラ座のすべて(2009年・アメリカ)

③赤い靴(1948年・イギリス)

●カルト⇒①本作

②エトワール(2000年・フランス)

③ダンサー、セルゲイ・ポルーニン(弊ブログ7月13日付けで分析済み)

4

●みなさん、バレエに興味はありますか。

バレエをポイントにした映画は、演目の披露や、ベスト①③カルト③のように、

バレエ人間ドラマとしてのスタイリッシュが、メイン・ポインツでありました。

でもしか、ドキュを見ると、バレエ界を描くにも、

演目がメインでなくとも、多彩な切り口があることに、気づかされます。

5
ドキュの巨匠フレデリック・ワイズマンが描いた、パリ・オペラ座の建物を、ポイントにしたベスト②。

バレエ界の競争原理を描くカルト②。

でもって、本作は、リハーサル・練習風景をメインにした、

いわゆる、バレエのメイキングを描いた作品なのですよ。

ひょっとして、映画史上初の、バレエ・メイキング映画(!?)かも。

2
後輩を指導する元エトワールの、指導の在り方や談話。

そして、現男性エトワールの、演目を披露したり、

その過酷な練習風景を、忌憚なく捉えたりと、

これまでのバレエ映画とは、一線を画する作りに、グッときました。

3
観客を前にしての上演シーンは、2シークエンスほどですが、

それでも、リハーサルとはいえ、作品のダイナミズムを、十分にカンジさせる作りが、

ドキュとはいえ、ドラマティックでもありました。

とゆうことで、美しきバレエ映画の、ウットリ感に浸ってください。

「ローラ」「天使の入江」

ジャック・ドゥミ監督の、隠れた名作がリバイバル!

ジャンヌ・モロー、アヌーク・エーメの演技に注目!

http://www.zaziefilms.com/demy-varda/

7月22日の土曜日から、シアター・イメージフォーラムほかで、全国順次のロードショー。

関西やったら、8月26日から、シネ・リーブル梅田で上映。

●「ローラ」⇒1961年製作の、フランス映画モノクロ88分。

●「天使の入江」⇒1963年製作の、フランス映画モノクロ85分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒmathieu demy 2000ⓒcine tamaris 1994

Photo
ミュージカル「シェルブールの雨傘」(1964年製作・フランス映画)でブレイクした、ジャック・ドゥミ監督作品が、

妻アニエス・ヴァルダの作品と共に、リバイバル特集上映される。

「ローラ」は、ヌーヴェル・ヴァーグな作りで、ミュージカルやラブ・ストーリーを描いた逸品。

ドゥミ監督作品に特徴的な、監督の故郷南仏ナントを舞台にしている。

キャバレーのダンサー役の、シングルマザーのローラ(アヌーク・エーメ)と、

思わず会社をクビになったけど、ダイヤの密輸に関わる、ヤバイ仕事をヤル主人公との、

初恋以来の再会で、再びラブに火がつくお話。

ゴダールの「勝手にしやがれ」(1959年・フランス)や、

トリュフォーの「突然炎のごとく」(1961年・フランス)などと、リンクするような傑作だ。

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続きまして、「天使の入江」は、ギャンブル映画の真骨頂を示す快作。

当時のギャンブル映画としては、「シンシナティ・キッド」(1965年・アメリカ)などとリンクするけど、

孤独な戦いだった「シンシナティ…」とは違い、こちらは男女2人で、ギャンブルにハマり込む作品だ。

「ローラ」もそうだけど、ミシェル・ルグランのピアノ・ナンバーが、ウットリな展開を作る作品。

そして、ジャンヌ・モローの、タバコを吸ってルーレット賭けをする、アンニュイな演技性に、

「死刑台のエレベーター」(1957年・フランス)などと、相通じるところがあった。

トランペットやギターの、サントラ使いにも妙味あり。

「賭けは宗教と同じ」とゆう、モローのセリフなど、ギャンブルの本質を衝くような傑作だ。

安直なラブ・ストーリーでなかった点も評価できる。

それでいて、ハッピー・エンドとなるところも良かった。

2017年7月18日 (火)

香港映画「十年」

1
犯罪映画からペーソスある映画まで、多彩な5話オムニバス

香港映画の、アート映画性を示す快作だ

http://www.tenyears-movie.com

7月22日のサタデーから、スノーフレイクの配給により、新宿K's cinemaほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の香港映画108分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒPhotographed by Andy Wong, provided by Ten Years Studio Limited

2
日本では大阪アジアン映画祭で上映され、

その後、香港のアカデミー賞「香港電影金像奨」で、最優秀作品賞をゲットした、低予算の5話オムニバス映画。

短編集とも言えるオムニバス映画は、これまでに多数の作品が輩出されています。

しかも、ほとんどが、1つのテーマに沿って、作品集としています。

3
本作は香港映画としては、非常に珍しいオムニバスで、

2015年から10年後の香港の未来をテーマに、5人の映画作家=映画監督が、撮り上げた作品集です。

低予算ですから、ハリウッドの近未来SFチックなエンターテインメントは、とても望めませんが、

各監督が芸術映画としての、SF映画を追求。

各人の個性が浮き彫りになった、5人の映画作家的才能を競い合うような、

それぞれピリピリヒリヒリ、緊張感あふれる作品となっています。

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第1話「エキストラ」(写真上から2枚目)は、モノクロで描かれた暗殺者映画。

フランスのモノクロ・ノワール映画を、かなり意識した作りながら、

暗殺者の心理に、食い込む作りが渋い。

低音で重たいベースとギター、チェロが、緊張感をあおっていた。

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第2話「冬のセミ」(写真上から3枚目)は、

「ザ・フライ」(1986年製作・アメリカ映画)の、グロテスク・イズムに迫る作品。

人を標本にするとゆう内容が、メッチャ面白い。

薄色配色が、モノクロ並みに渋かった。もっと長めに見てみたい作品だったかな。

第3話「方言」(上から4枚目)。

香港の地方弁が忌避される未来を、タクシードライバーに託して描かれる、ブラック・ユーモアな怪作。

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第4話「焼身自殺者」(5、6枚目)。

政府当局への抵抗運動に、悲劇的に使われる焼身自殺行為の、10年後の在り方を描く。

内容はともかく、美麗な香港の全景とか、優しいハープとストリングスのサントラとか、

暗みとのミスマッチ感が、妙にココロくすぐられた。

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第5話の最終話「地元産の卵」(7、8枚目)。

子供たちまで、スパイ活動する未来において、大人が穏やかに子供を諭す物語。

異能な展開ながら、なるほどと頷かせて爽快。

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とゆうことで、アートでユニークな作品ばかり。

見た人それぞれにモチ、順位付けもできてまうオムニバス。

ボク的には、第2話がマイ・ナンバーワンだったかな。

何はともあれ、ウォン・カーウァイ監督的香港映画の、芸術映画性を追求した快作品集でした。

5人の多彩な映画作家性を、お楽しみください。

2017年7月14日 (金)

「銀魂」⇒週末日本映画劇場

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もしエイリアンに、江戸時代の日本が支配されていたら…

「るろうに剣心」と同じくコミック原作の、コミカルSF時代劇だ

http://www.Gintama-film.com

7月14日のフライデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給により、全国ロードショー。

本作は2017年製作の、日本映画131分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ空知英秋/集英社ⓒ2017 映画「銀魂」製作委員会

2
本作の外装を言いますと、アニメ経由の実写映画化作品で、

しかも、コミック原作の時代劇、とゆうことになっとります。

どちらの場合も、かつて弊ブログで、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露したけど、

本作は、どちらかと申せば、カルトに入るでしょうか。

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なぜなら時代劇ではあるんだけど、

SF映画ノリだけでなく、思いっきしコメディ・ノリで、時代考証を完全に無視。

まさにコミック原作でしかできないような、

ハチャメチャでメチャメチャで自由奔放、トンデモない映画になりましたがな。

実在した人物も、姓名の一部を変えて、

実在キャラ性を維持しながらも、定型にハマらない、弾けた人物像をクリエイト。

5
何はともあれ、各アクター・アクトレスのコメディアン・コメディエンヌぶりの、

笑えたりハズしたりの、トンでる演技ぶりが、たまらない仕上がりになっとります。

正義の味方と悪との対決、とゆう構図ですが、それも一筋縄やありませんねん。

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いちおう、正義の味方側では、強い小栗旬、強くない菅田将暉、不死身の橋本環奈。

多彩にいてるキャラやけど、ボク的には、長澤まさみのコメディエンヌぶりが一番笑えたかな。

中立となる、新撰組をばくした真選組の3人(中村勘九郎・柳楽優弥・吉沢亮)や、

敵の堂本剛は、最後までマジやけど、

ヤンキーな菜々緒や、ボケまくりの佐藤二朗など、しらけるくらいにおかしすぎる。

8
江戸がエイリアンに支配されるとゆう、フィクションを背景にして、

それでも江戸時代の、いろんな人物関係や事件を押さえた上で、

幼い頃に同志だった、3人の生き方の違いを描くとゆう、荒唐無稽・破天荒な展開だが、

「るろうに剣心」の裏バージョンなノリがあって、

剣心のこだわりと変わらない、主人公・坂田銀時の熱血に、ハマれる(!?)作りになっているハズ。

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監督は、例えば、女チームの特撮ヒーローもの「女子ーズ」(2014年・弊ブログ分析済み)でも、楽しませてくれた福田雄一。

彼の作品は、「コドモ警察」(2013年)「明烏」(2015年)なども、弊ブログで分析しとります。

「女子ーズ」よりも、何倍もの大作となった本作だけど、

2作品のココロは、おんなじもんがあるように思います。

10
チャッチーやったり、え?そんなアホなやったり、ハズシが妙に気になったり、

でもしか最後は、キチッと着地させて…。

11
映画よりも、いろんなコミックやアニメを劇中で引用したり、

時には「オバケのQ太郎」なんか、「エリザベス」の名で、カブリものキャラで登場させたりして、

コミックへのオマージュが、これまでのコミック原作映画にはなかったゆえに、ある意味では新鮮でした。

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テレビの音楽チャート番組「カウントダウンTV」の、パロディから始まる遊びシーンから、

銀時・小栗旬のヘタッピー・ムード歌謡へ、連なる冒頭シーンから、銀魂ワールドにハマりますで。

でもしか、ラストロールでは、UVERworldの16ビートのハードロック「DECIDED」が流れて、

ホンマのマジで、ビシッとシメてくれまっせ~。

2017年7月13日 (木)

「アリーキャット」⇒窪塚洋介・降谷健志共演

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クールイズムなバディ・ムービーの快作

2人が市川由衣を命がけで守る!

http://www.alleycat-movie.com

7月15日の土曜日から、アークエンタテインメントの配給によりまして、テアトル新宿ほかで全国順次の上映。

関西では、7月22日から、シネ・リーブル梅田などで公開。

本作は、2017年製作の日本映画129分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「アリーキャット」製作委員会

本作は、率直に言って、バディ・ムービーです。

いわゆる相棒映画やけど、このスタイルは、映画が出来た頃からずーっとありまして、

何本も傑作・名作が誕生いたしました。

ボク的ベストをゆうたら、ほとんどがアメリカン・ニューシネマになってしまうんで、披露はやめときますけど、

相棒の基本は男と男で、かつては「男の友情」とゆうのが、感動的ソースとしてありました。

でも、近年においては、相棒のニュアンスは、少しく違ってきておりますようで…。

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刑事としての相棒を、標榜した邦画シリーズ「相棒」が、

イメージ的にも一般に定着したせいか、

相棒同士には必ずしも、友情・キズナはいらない傾向が出てきました。

但し、それはフェイクです。

ドラマティックにするためには、キズナは絶対に欠かせない。

例えば、「夜の大捜査線」(1967年製作・アメリカ映画)のように、

白人刑事と黒人刑事の相克を乗り越えて、相棒2人で協力して事件を解決し、

そして、2人に何となくなキズナが、生まれるような映画。

けども、このキズナも決してベタやない。さりげなくて粗野でクールで…。

こおゆうタイプの映画が、ボク的にはメッチャ好みなんやけど、

また、そおゆう映画は、どおゆうわけか評論家にも映画ファンにも評価も高い…ちゅうことで、

本作はつまるところ、そおゆう映画なんであります。

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窪塚洋介と降谷健志の初共演とゆうか、降谷がそもそも映画初出演。

この両人と言えば、映画界と音楽界で、ほぼ同時期にブレイクを果たした2人だ。

「GO」(2001年)のインパクトが忘れがたい窪塚。

対して、ヒップホップ・バンドとしてブレイクした「Dragon Ash」の、フロントマンにしてラッパーの降谷。

こんな何やらとんがった2人が、共演するんだから、ドラマも一筋縄ではいきません。

しかも、2人が守ることになる、シングルマザー市川由衣との、男2人女1人のコラボレーションなので、

より複雑な演技が、求められるわけであります。

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守るのは、市川由衣が別れた元夫(品川祐)から、だけやありませんねん。

市川の元パトロン(三浦誠己)やら、政治家(高川裕也)やら、彼らの命を受けた警備員やら、イロイロおります。

かつての東映系のヤクザ映画にあった、ベタで武骨で泥臭いカンジが、映画全体に通底しております。

三浦の大仰な怪演ぶりとか、火野正平の粘り気など、

降谷が言う「闇社会観光ツアーだ」の、セリフに見合った、

東京アングラ・ワールドが、こびりついたような作りが、ネバネバなネットリ感を増してゆくんだす。

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車のフロントからの長回し撮影シーンが、本作のリズムを構築しています。

運転する降谷と、助手席の窪塚のツーショット、

市川由衣を加えた、スリー・ショットなど、

俳優でもある、榊英雄監督の、映画的センスにも注目したい。

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さらに、ギター、ドラム、チェロやらを、シーンに合わせて配し、

ラストロールで掛かる、榊いずみが歌うスロー・ナンバー「Pussy Cat」も印象的だった。

事件後のその後の3人は、一体どうなるのか。

何はともあれ、ネコをポイントに、波乱と静けさに満ちた、冒頭とラストのつながりに、グッときた作品でもありました。

「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」

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天才ダンサーの、異能のドキュメンタリーだ

「リトル・ダンサー」的か「ブラック・スワン」的か

http://www.uplink.co.jp/dancer/

7月15日のサタデーから、アップリンクとパルコの配給で、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、イギリス&アメリカ合作の85分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒBritish Broadcasting Corporation and Polunin Ltd. / 2016

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ドラマ映画ももちろん、それなりにありますが、

バレエ団やバレエ・ダンサーを捉えた、ドキュメンタリー映画は、

それなりよりも、ケッコーありまして、本作もそんな1本です。

でもしか、ストレートに描くのでは面白くない。

これまでとは違う、異能・異質・異端な作りのドキュこそ、ボクのココロを刺激してくれます。

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とゆうことで、そんなバレエ・ドキュの、マイ・ベスト・スリー(順不同)を申し上げますと…。

①パリ・オペラ座のすべて(2009年製作・アメリカ映画)②本作③パリ・オペラ座~夢を継ぐ者たち~(2016年・フランス・7月22日公開・後日分析予定)

●ドキュの巨匠フレデリック・ワイズマンによる、バレエ会場を描いた映画①、

リハーサル・練習風景をメインにした③など、

ありそでなさそなスタイルやけど、本作は、1人のダンサーにフォーカスした作品。

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それもいかにもありそやけど、描き方はあくまで、オーソドックスなダンサーの、マニュアルチックな生き方になりがち。

一方で本作は、異端の天才ダンサー、セルゲイ・ポルーニンを採り上げています。

監督のスティーヴン・カンターは、有名人であれ、「異」なとこのある方を採り上げる方。

しかも、その「異」をメイン・ソースにして、衝撃を呼び込みます。

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19歳でイギリス・ロイヤル・バレエ団の、プリンシプルになったセルゲイ・ポルーニンやけど、

絶頂期にバレエ団をやめてフリーに。

ロシアなどでも公演したけど、その後は…。

彼の公演時の様子や、彼のオカン・オトン・オバン・同期へのインタビューやら、

幼少期の映像のプレイバックなどで、

彼の異能ぶりが、どのようにして作られていったのかが、検証されてゆきます。

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そして、ユーチューブでの、突然の復活。

本人は復活なんてキモチは、あんましなかったみたいやけど、

ロック・ナンバーに乗る、彼の躍動感あふれるバレエ・ダンスティークは、ディープ・インパクトをもたらした。

その作品に臨む、上から2枚目の写真シーンから、このダンサーの実話は始まります。

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その意表を衝いた始まり方を始め、

劇中バレエの演目披露に、ロック・ナンバー・サントラを流したりと、

監督は意識的に斬新さを、随所に魅せようとしています。

異能に異能をかぶせる手法は、なかなか面白かった。

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ちなみに、バレエのドラマ映画のマイ・ベスト・スリーは

①リトル・ダンサー(2000年・イギリス)②ブラック・スワン(2011年・アメリカ・弊ブログ分析済み)③赤い靴(1948年・イギリス)

なんやけど、本作は男やから、①のテイストかと思いきや、

②のミステリー・タッチもある作品です。

そやから、ハラハラドキドキしながら、見られる作品でもありました。

2017年7月12日 (水)

「ヒトラーへの285枚の葉書」

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ナチズムに抵抗した人たちの、実話映画に終わりはない

新たなエピソードが、また一つ!

http://www.hitler-hagaki-movie.com/

7月8日から、アルバトロス・フィルムの配給により、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田などで、全国順次の上映中。

本作は、2016年製作のドイツ映画103分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒX Filme Creative Pool GmbH / Master Movie / Alone in Berlin Ltd / Pathe Production / Buffalo Films 2016

ナチス絡みの映画は、これまでに多数のタイトル数があります。

第二次世界大戦ものなら、戦争映画から収容所もの・逃亡ものまで、

また、ヒトラーそのものが出てくる映画など、イロイロあるけど、

本作は、切り口がこれまでとは違う。

しかも、かつて映画で取り上げられなかった実話素材に、フォーカスしています。

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そんなナチ絡みの、新味となる映画の、マイ・ベスト・スリー(順位通り)を言いますと…。

①ハンナ・アーレント(2012年製作・ドイツ&ルクセンブルク&フランス合作)②白バラの祈り ゾフィー・ジョル、最期の日々(2005年・ドイツ)③本作

●ナチ残党もの映画の、新局面を描いた①。

ドイツ一般市民の、ナチへの抵抗を描いた②と本作。

②は学生の抵抗運動でしたが、本作はチョイ違います。

2
息子が戦死した、労働者階級の夫妻(ブレンダン・グリーソン、エマ・トンプソン)が、

ヒトラーへの抗議文を、ポストカードに書いて、それを、いろんなとこに置く、という行為を続けるんであります。

そして、ナチ当局は犯人を捜すべく、警部(ダニエル・ブリュール)が動くとゆう展開。

6
シックで目立たないけど、渋い2人の夫婦役に対し、

ナチ親衛隊の長から殴られて、逼迫していく、ダニエル・ブリュールの対比が、

サスペンス度合いを増してゆきます。

3
この種の映画に多い、悲劇的な結末は仕方ありませんが、

何はともあれ、初めて映画で示される実話に、目を瞠る作りになっています。

しかも、時代に合わせた薄色配色が、時代の重たい空気を想起させます。

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監督は、俳優監督のヴァンサン・ペレーズ。

1990年代のフランス映画で、アラン・ドロンに迫る、イケメン俳優をやってはりましたが、

21世紀になると、映画監督もやり始めはった。

本作は、監督の両親が、戦渦に見舞われ、ナチから逃れた体験もあり、その想いを映画に込めています。

監督のデビュー作の恋愛映画「天使の肌」(2002年・フランス)などとは違った、

シリアスでヒリヒリした作り。

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でもしか、ある程度の距離を置いて、客観的に撮っているのは分かる。

けども、むごいリンチ・シーンなどは、寒々としたカンジになっています。

ベスト②以上に、凄惨で冷徹ではありますが、決して目をそらさないでください。

さて、ナチ関連映画は今も、毎年何作も作られていまして、今後も永遠に、作られ続けることでしょう。

近作では、ナチからの逃亡もの「少女ファニーと運命の旅」(8月11日公開・後日分析予定)が公開待機中なので、チェックしてください。

2017年7月11日 (火)

「ハローグッバイ」

1

「花とアリス」に迫る、女子高生同士の友情映画だ

その媒介役「もたいまさこ」の、渋い演技にも注目!

http://www.hello-goodbye.jp

7月15日の土曜日から、アンプラグドの配給により、渋谷ユーロスペースほか、全国順次のロードショー。

本作は2016年製作の日本映画80分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 Sony Music Artists Inc.

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女同士の友情映画は、これまでにイロイロ出てまいりましたが、

ほな、女子高校生たちの友情、キズナもの、ほんで日本映画となれば、どんなもんでしょうか。

とゆうことで、女子高生キズナもの邦画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに披露してみますと…。

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●ベスト⇒①女の園(1954年製作)②櫻の園(1990年)③リンダ リンダ リンダ(2005年)

●カルト⇒①本作②花とアリス(2004年)③バウンスkoGALS(1997年)

●スポーツなどの団体ものは、基本的に外しましたが、音楽のギャルバンものベスト③は、いちおう入れました。

ボクの記憶による6作を、ザッと見渡してみますと、

そのキズナぶりは、あんましベタやなく、サラリとしてるとこが特徴的でした。

4
思い返せば、女子高生同士は、あんまし思い当たらんけど、

洋画も、肉体関係を持つ女同士は別にして、ベタなんはそうそうない。

松竹系の木下恵介監督のベスト①は、ベタなとこもあったけど、

女の友情とゆうのは、ある程度の距離を持った方が、胸に響くのではないかと分析します。

3
ベスト②③、カルト③など、ドライ&クールな中に、女のキズナを示す映画は、見たあと、しみじみと胸にきたりします。

そして、女2人のストレートなキズナ映画の、本作とカルト②。

適度の距離感と、お互いの相手への想いを、口にしない点において、

間(ま)と表情演技によって魅せる、友情ものやと言えましょうか。

8
でもって、本作は、2人のキズナを促進する存在として、ボケ老女役(もたいまさこ)を、配しているとこが面白い。

男を取り合うとか、スポーツや音楽やないとこが、さりげない斬新さを示します。

老人を媒介にしたスタイルとしては、

少年たちの話だったけど、相米慎二監督の傑作「夏の庭」(1994年)にも、通じるとこがありますやろか。

6
高校生として、それぞれによくある問題を抱えた、同じクラスの女の子2人が、

徘徊老女と関わることで、老女の過去の恋の想いとリンクしながら、

2人のキモチが通っていくとゆう展開。

2人が老女の想いを、叶えてあげるとゆう流れは、ドラマティックでもありました。

9
女子高生役の2人が、初々しくて良かった。

「昼顔」(弊ブログ6月9日付けで分析)のトンガリ系を示しつつ、やがて丸くなってく、萩原みのり(写真上から4枚目)。

まさに女子高生の雛形的を、演技する久保田紗友(写真上から3枚目)。

いかにも好対照な2人やけど、お互いに夢に向かったカルト②の、鈴木杏と蒼井優のテイストもあって、

心地いいラストシーンと共に、印象的な演技ぶりでした。

7
本作のネタ・ポイントであり、キー・パーソンとなる人物役で、ミュージシャンの、渡辺シュンスケが出演しています。

メロディアスなピアノ・ナンバーの主題歌も、流れて爽快です。

でもって、映画監督デビュー作「ディアーディアー」(2015年・弊ブログ分析済み)に続く、菊地健雄監督の第2弾。

本作と甲乙つけがたい仕上げですが、

でもしか、誰にでも分かりやすく感情移入しやすい点において、本作の方がヒットしそうな気がします。

とゆうことで、カルト②に魅せられた方は、ぜひ映画館へ、足をお運びください。

2017年7月 7日 (金)

「メアリと魔女の花」

1
「赤毛のアン」が「魔女の宅急便」をするの巻!?

スタジオジブリを継承する、少女ヒロイン・アニメの快作だ

http://www.maryflower.jp

7月8日の土曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「メアリと魔女の花」製作委員会

元スタジオジブリの、西村義明プロデューサーが設立した、

アニメーション・スタジオ「スタジオポノック」による、初の長編アニメ映画です。

exジブリのクリエイターたちが多数参加し、まるでジブリの新作だと言っても、過言ではない作品になっています。

本作の脚本・監督は、ジブリ作品「想い出のマーニー」(2014年製作・弊ブログ分析済み)が、アカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされた米林宏昌。

少女ヒロイン・アニメを踏襲しつつも、

今までとは違う、ミステリアスやサプライズで魅せてきましたが、

本作でも、そのスタイルは、それなりに健在でした。

2
それなりにと言いましたが、これまでのジブリを思い出すところは、大いにあり!ではあります。

そもそも「魔女」のタイトルから、想起されますように、「魔女の宅急便」(1989年製作)的スパイスは濃厚。

但し、違いはかなりあり、です。

ヒロイン・メアリは、キキみたいにホンマの魔女じゃない。素人です。

それがどういうワケか、魔女になってしまう。

ジブリには「猫の恩返し」(2002年)なんて、渋い作品もありましたが、

ヒロインが魔女化するのに、このネコの使い方が、「猫の恩返し」並みに、ミラクルな作りになっているんです。

5
また、空飛ぶホウキのビビッドな設定は、「魔女の宅急便」にもなかったところ。

ホウキ、ネコやらに導かれて、メアリは異界へ行くのですが、

そこは何と魔法大学だった。

ヒロインが異界へ行く運命なのは、「千と千尋の神隠し」(2001年)を始め、ジブリにもあるけど、

この流れは、「ハリーポッター」そのものやん!と思う方は、ケッコーおられることでしょう。

でもしか、学校へ行ってからの流れや展開が、全然違うのですよ。

メアリは学校側と、対立関係になるのです。

そして、そこに、善悪のドラマが生まれ、アクショナブルな展開が待っているのです。

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映画の大きなポイントになるのが花です。

ディズニー・アニメ始め、植物よりも当然、動物が重要ファクターになるけど、

この花とゆうのは、新しい目の付けどころじゃないでしょうか。

「夜間飛行」なる名前の、オリジナル・キャラとなる謎めいた花でして、これが本作の、大いなるネタにもなっています。

ちなみに、「夜間飛行」と言えば、「星の王子様」で有名な作家、サン・テグジュペリの、傑作文学小説のタイトルにもあり、

その小説の内容と、本作が妙にシンクロナイズするように、ボクは思いましたが、これはあくまで裏の隠し味でしょうか。

3
控えめと強気を交差させる、ヒロイン・メアリの声は杉咲花。

「君の名は。」(2016年)で、声でブレイクした神木隆之介。

天海祐希、小日向文世、満島ひかり、など、各役者の個性に合わせた、アニメ・キャラ・キャスティングにも、注目です。

声とキャラがマッチしたアニメの、お手本的作りにもなっているんですよ。

とゆうことで、「魔女の宅急便」の、進化したアニメにご期待ください。

2017年7月 6日 (木)

「ボンジュール、アン」

1
ダイアン・レイン過去最高の、ソフィースケイト演技だ

癒やしと和みの、ホッとなれる作りがグッとくる

http://www.bonjour-anne.jp

7月7日のフライデーから、東北新社の配給により、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、ほかで全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ映画92分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒAmerican Zoetrope,2016

映画史に残る監督、フランシス・フォード・コッポラ監督の、

ヨメはん、80歳エレノア・コッポラが、初めて映画監督に挑んだ作品。

女性監督の世界最年長デビューなる作品で、ギネス申請をすれば、間違いなく認定されるハズ。

本人の記憶に残る実話体験を、映画化したものですが、

それが何と映画作家性とゆうよりも、私的グルメ・観光のロードムービーなんてゆうタッチで撮られた、

ある意味で、メッチャプライベート・ライフな作りなのです。

2
カンヌ国際映画祭に、夫と共に参加した妻エレノア(ダイアン・レイン)ですが、

パリへ行く用事があり、夫と別れて、パリへ向かいます。

その際、夫の仕事仲間の、フランスのプロデューサーと、クルマでゆっくり向かうことになり、その間のロードをメインにした映画なのです。

グルメを味わい、観光スポットを巡るようなそのロードは、

ロードムービーとしては、ゆったりの観光映画ノリで、

三角関係のラブ・ストーリー部よりも、メッチャ際立っているのであります。

5
ドラマとしての波乱の展開を、期待したいところなのですが、

実はとことんユルユルの、癒やし系和やかな展開で終始します。

おいおい、なんやけど、でもしか、そこんところが、本作の良さなのです。

映画業界の裏話やらも控えめ。

不倫ラブへとつながるのか、とゆうドキドキ感も、あんましない。

それでも、このロードムービーは、フランスの観光ノリを、映画史上初めてわざとのように採り上げ、

そして、そこに臆するところがない。

これほど潔い観光映画は、まずないでしょう。

4
かつてイタリア映画で、グルメ取材旅行のロードを描いた「イタリアは呼んでいる」(弊ブログ分析済み)と同様に、

いろんな食やアルコール、そして観光スポットの薀蓄ぶりに、素直に浸ってみたい作品なのです。

ダイアン・レインの演技も、これまでとは大いに違う。

逼迫系演技で、ボクらを刺激し続けてくれたダイアンやけど、本作では、トンデモなく丸くて優しくて柔和やねん。

こんなダイアンでもええのん? ナンチュー心配もしてまうような…。

でも、最後には、チョイ波乱もあるんやけど…。

3
コッポラ・ファミリーのレンジの広さに、改めて驚いた作品でしょうか。

コッポラはモチ、彼の娘たちも斬新に、時代を切り取る作品を撮り続けている。

そんな中で、母・妻のエレノアが撮り上げた本作は、コッポラ・ファミリー作品の中でも、最も優しい癒やし系の映画だと見ました。

猛暑に、涼やかに癒やされたい作品なのです。

2017年7月 4日 (火)

イタリア映画「歓びのトスカーナ」

1
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキを、みんな知っとるか?

みんな、最近イタリア映画を、見たことありまっか?

http://yorokobino.com

7月8日のサタデーから、ミッドシップの配給によりまして、シネスイッチ銀座ほか全国順次のロードショー。

関西やったら、7月15日からシネ・リーブル梅田で上映。

本作は、2016年製作の、フランスとの合作によるイタリア映画116分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

COPYRIGHTⓒLOTUS 2015

2
イタリア映画と聞いて、みなさんのイメージはいかがでしょうか。

とゆうか、最近、DVDでもいいのですが、イタリア映画を見られたことはあるでしょうか。ウーン…ですよね。

全国一斉公開の、イタリア映画なんて、今やまずない。

ボクの記憶では、ディズニーで有名な某アメリカの映画会社が配給した、20世紀末の某映画を最後に、イタリア映画の全国公開はなくなり、

作品の知名度においても、アカデミー賞で受賞した20世紀末の某作品を最後に、大衆に浸透していない。

某作品はネット検索で、すぐに出てきますから、ここでは何も申しません。

4
イタリア映画祭なるものも、21世紀になって毎年東阪で開催されているけれど、

あくまでマニアックな映画ファンに対してのもので、ブレイクには途轍(とてつ)もなくほど遠い。

いやはや、この状況はイタリア映画だけでなく、かつては日本を震わせた作品を輩出した、各国の映画でも、同じような状況にあることでしょう。

そんな状況下において、このイタリア映画は現在、日本で大ヒットしてる「美女と野獣」と比べても、

その大衆的訴求力において、決して退けを取らない傑作なのであります。

5
でもしか、あんましよく知らない演技陣が主演。

そこは「美女と野獣」でも、おんなじやないかなとは思うねんけど、

単館系映画でよく見かける女優の、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(写真上から3・6枚目)が主演。

この方が一番有名どころやろけど、みなさん、知ってはりますか? 

かつて弊ブログでは、彼女の魅力について語りましたが、

イタリア女優としては、かつてのソフィア・ローレン以上に演技力は上だと、ボクは断じます。

しかも、ナイス・バディーを決して武器にせずに、変幻自在の演技力で魅了する。

今回は、饒舌な精神患者を、悲しみを一切見せずに、どこまでもポジティブに見せます。

お喋り演技はいくらでもある。けども、そのキャラが精神を病んでいるとゆう設定は、まずない。

3
女性限定の精神療養施設に、入ってるテデスキは、

新入り患者(本作の監督パオロ・ヴィルズィの、ヨメはんのミカエラ・ラマッツォッティ)と、なりゆきで施設から逃亡し、

共に自らの過去と対峙して、どないするかとゆうお話。

映画的には、精神病院もの、ロードムービーもの、ほんで、女の友情もの、母子のキズナものなんかと、いちおうシンクロナイズするわけですが、

それぞれに有名で代表的な映画とは、少しく趣きを、異にしているようなカンジでした。

まくいったかどうかは別にして、

いろいろなテイストを織り込みながら、独自のスタイルを築くとゆうのは、傑作作りの基本でありましょう。

6
最後にかかる、オーケストラに乗った、ドラマティックなポップス・ナンバーが、本作をいつまでもココロに残る傑作にしていると思いました。

いわゆる、歌と共に、映画が傑作となる作りでありましょうか。

でもしか、多数の方に見てもらわなければ、傑作にはなり得ない。これは名作になるべくの基本です。

必ずDVD化されるなんてこともないので、ぜひとも映画館で、本作をご鑑賞ください。

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