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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年6月 9日 (金)

イラン映画「セールスマン」⇒アカデミー賞外国語映画賞受賞

Photo
イランのヒッチコックが示す、心理サスペンスの傑作

「めまい」にも似たミステリアスが…

http://www.thesalesman.jp

6月10日のサタデーから、スターサンズの配給によりまして、Bunkamura ル・シネマほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、フランスとの合作によるイラン映画124分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒMEMENT OFILMS PRODUCTIONS - ASGHAR FARHADI PRODUCTIONS - ARTE FRANCE CINEMA 2016

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イラン映画でサスペンス映画とゆうのは、かなりと珍しいのですが、

本作のアスガー・ファルハディ監督は、そんな傑作をいくつもものしています。

しかも、本作で、2度目のアカデミー賞外国語映画賞をゲット。

1955年から始まった、オスカー外国語映画賞で、かつて2回以上受賞した監督は、

4回のフェデリコ・フェリーニ(イタリア)、3回のイングマール・ベルイマン(スウェーデン)、2回のヴィットリオ・デ・シーカ(イタリア)と、

いずれも、映画史に残る巨匠監督です。

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それも1983年のベルイマン監督の受賞以来、おかわり受賞は出ていなかったのですが、

イランの監督が今年達成するとは、意外も意外。

しかし、作品を見ていただければ、納得できるハズです。

そして、ヨーロッパの巨匠監督の3人が、ある意味では、芸術映画としての括りができるのに対し、

本作は、娯楽映画としても機能するサスペンス。

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しかも、欧米のサスペンスとは、ひと味違うスタイルを構築しています。

アルフレッド・ヒッチコック監督的センスもあるのですが、ビミョーに違うかもしれません。

消えた女の行方を描いた「彼女が消えた浜辺」(2009年製作)が、ボクが初めて見た、ファルハディ監督作品ですが、

ミステリアス度を高めてゆく演出ぶりが、スリリングで興奮しました。

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そして、オスカーを受賞した「別離」(2011年・弊ブログ分析済み)と本作は、

イランの生活状況をバックに、夫婦を軸にして、身近にある問題や恐怖を、静かなサスペンスで捉えました。

ヒッチコックの、ヒロイン・サスペンス。

例えば「めまい」(1958年・アメリカ)とか、「レベッカ」(1940年・アメリカ)とか、サスペンス映画として、映画的設計で作り出された映画を、

より日常生活レベルの、フィルターを通して描いて、ヒッチコック作品へと通じる、作品にしているかと思います。

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冒頭から、3分くらいの長回し撮影で魅せる、マンション破壊のスッタモンダ。

住まいを追われた夫婦は、賃貸マンションへ引っ越します。

でもしか、その部屋には、娼婦だったらしい前住人の、持ち物が残されていた。

でもって、女がまだいると、勘違いした常連客がやって来て、妻を襲うのです。

そこで、ヒッチの「サイコ」(1960年・アメリカ)チックなシャワー・シーンが、あるかと思いきや、

そのあたりは謎めいたカンジの、含みある描き方。

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警察にはゆわずに、夫が犯人探しをやります。

一方、夫婦は共に役者として、地元の演劇に参加してまして、そのシークエンスが、逐一描かれてまいります。

その演劇は、1955年にアメリカで映画化もされた「セールスマンの死」です。

事件、犯人探し、演劇が、どのようにシンクロし、どのように決着するのか。

胸ワクワクドッキリの展開が、待っていますので、お楽しみください。

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5月31日付けでも書きましたように、今年の洋画の、マイ・ベストテン級映画です。

欧米型のサスペンスに、慣れ親しんだ方こそ、新しいサスペンスの面白さを、見出されることでありましょう。

ぜひ劇場へ⇒

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