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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年5月の記事

2017年5月31日 (水)

5月に見た年間マイ・ベストテン候補映画

★日本映画

●STAR SANDー星砂物語ー

(織田梨沙主演/吉岡里帆・三浦貴大・寺島しのぶ・渡辺真起子・石橋蓮司・緑魔子共演/ロジャー・パルバース監督/日本&オーストラリア合作/6月21日より沖縄・桜坂劇場で先行上映・8月4日より東京・ユーロライブほか、全国順次のロードショー)

http://www.star-sand.com

Star
☆外国映画

●ハクソー・リッジ

(アンドリュー・ガーフィールド主演/サム・ワーシントン共演/メル・ギブソン監督/アメリカ&オーストラリア合作/6月24日より全国ロードショー)

http://www.hacksawridge.jp

Photo
●セールスマン

(シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリドゥスティ共演/アスガー・ファルハディ監督/イラン&フランス合作/6月10日よりBunkamuraル・シネマほか、全国順次のロードショー)

http://www.thesalesman.jp

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●残像

(ボグスワフ・リンダ主演/アンジェイ・ワイダ監督/ポーランド映画/6月10日より岩波ホールほかで、全国順次のロードショー)

http://www.zanzou-movie.com

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●今月は、日本映画1本に、外国映画3本。

アメリカ、イラン、ポーランドと、世界各国から、選べたのが妙に嬉しかった。

全ての作品は、公開前に、分析批評する予定ですが、さわり程度といったカンジで、各作品についてゆうてみましょう。

太平洋戦争の沖縄戦を、時代背景にした2作。

日本映画「STAR SAND」と、アメリカ映画「ハクソー・リッジ」。

どちらも、これまでの沖縄戦映画だけでなく、戦争映画の新たな地平を築いた作品でした。

戦場から離れた沖縄の島での、静かなエピソードを捉えた「STAR SAND」は、

黒木和雄監督の戦争三部作の静謐さを、

現代からの視点を挿入しながら、その静けさをさらに倍加させて、反戦映画とした傑作。

その静なるに対して、

沖縄戦の隠れたエピソードを採り上げ、

「プライベート・ライアン」(1998年製作・アメリカ映画)的に、臨場感あふれる戦闘シーンの、動的ダイナミズムで描いた「ハクソー・リッジ」。

この静と動のコントラストもあって、2作共に、強烈な印象を残してくれました。

今年のアカデミー賞外国語映画賞を、監督・女優が出席しない中で受賞した、「セールスマン」。

「セールスマンの死」(1955年・アメリカ)へのオマージュを捧げつつも、

イラン発のヒッチコック的サスペンス映画な作りには、今さらながらに驚かせてくれました。

そして、アンジェイ・ワイダ監督の遺作「残像」。

体制への抵抗節を、最後の最後まで捉えていて、胸が熱くなってしまいました。

とゆうことで、後日のディープな分析をお待ちくだされませ。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

「ブラッド・ファーザー」⇒メル・ギブソン主演

1
「96時間」と双璧を成す、父娘アクションとキズナぶり

「マッドマックス」を思い出す、アクションにも注目だ!

http://www.B-FATHER.JP

6月3日のサタデーから、ポニーキャニオンの配給により、全国ロードショー。

本作は、2016年製作のフランス映画88分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒBlood Father LLC, 2015

2
まさに、メル・ギブソンのための、映画と言ってもいい内容です。

映画監督としての復活ぶりを示した、戦争映画「ハクソー・リッジ」(6月24日公開・後日分析予定)。

そして、本作では、役者としてのメル・ギブソン流儀を、

思いっきり披露した快作となりました。

6
画像のいくつかを見てもらえば、分かるように、

メル印の登録商標になってる、バイクに乗っての「マッドマックス」シリーズ(第1弾は1979年製作・オーストラリア映画)なんかを、

ストレートに思い出させるシーンがあったりします。 

8
アメリカを舞台にしたフランス映画とゆうのも、メルにとってはサプライズなカンジですが、

フランス映画・娘を救い出す父、といったキーワードでいけば、

リーアム・ニーソン主演の、ヒット・シリーズ「96時間」シリーズ(第1弾は2008年・フランス)を、思い出したりするわけであります。

7
「96時間」の場合は、娘が清純・父は元CIA。

対してこっちは、娘も父も粗野にして無謀。

スマートなアクションよりも、ワイルド感を強調した仕上げぶりを示します。

そのワイルド感は、個人的には、アメリカン・ニューシネマが有していたような、

スリリング・突発・衝動的を、感じるものでありました。

10
昔別れた父と娘。

そんな娘は犯罪集団に入り、そこから逃げて行方不明中。

父のメルは、トレーラーハウスで暮らすアル中野郎。

こんな設定からして、危ない、危ない。

ハードボイルドや犯罪映画の定番系を、

ニューシネマな、1970年代的シャープな感覚で、割って見せたような作品。

12
父と娘が、警察と犯罪集団から追われて、逃げもって応戦。

「マッドマックス」のような、チェイス・アクションも展開してまいります。

そして、クライマックスは西部劇のような、荒野の決闘やねん

4
無頼なメルはモチ、娘役のエリン・モリアーティも、メルに負けずの、ハチャハチャなヤンチャ娘を演じています。

彼女が関わった犯罪集団での、サプライズもあって、

最後の最後まで目が離せませんで。

11
付け加えまするに、西部劇で見られたような、荒野や空の、

アメリカ大陸的な自然描写の、壮大なカンジも、

作品に絶妙なアクセントを加えています。

5
写真の何枚かにありますように、青空・夕景・荒野など、

アメリカでしか見られないような風景に加え、

時おりのハッとさせる、ロングショットのキレなんぞが、ボクの胸を衝いてきよりました。

9
既にDVD化されている「96時間」のスマート・スタイリッシュとは違う、

本作の荒らくれ・ワイルド・ゴタゴタ感。

その対比ぶりは、見れば明らかですが、

何はともあれ、どちらもスリリングで、手に汗握る作りになっています。

3
とゆうことで、「96時間」に魅せられた方は、

全員集合で、劇場まで見に行ってくだされ。

2017年5月30日 (火)

日本映画「光」⇒カンヌでの結果は?

Photo
映画愛に満ちた、恋愛映画の傑作

「街の灯」に近い、感動のサプライズが強烈な作品だ

http://www.hikari-movie.com

5月27日の土曜日から、キノフィルムズの配給により、新宿バルト9、丸の内TOEI、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、神戸国際松竹ほかで、全国ロードショー。

本作は2017年製作の、フランス・ドイツとの合作による日本映画101分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017 “RADIANCE” FILM PARTNERS/KINOSHITA, COMME DES CINEMAS.KUMIE

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残念ながら、カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドールには届きませんでした。

けども、本作は映画への愛を、ラブ・ストーリーを通して、新たな視点と光を当てて描いた快作で、

日本映画の年間マイ・ベストテン級の作品です。

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素材の斬新さがスゴかった。

障害のある人、それも盲目の人が、映画を見るなんてゆう、一般的にはあり得ない世界へとゆき、

そして、障害者と健常者のラブ・ストーリーを描くとゆう、とんでもない領界へ入り込んだ作品。

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映画愛ある、盲目の人を採り上げた映画としては、

映画を盲目のコドモたちが、映画館で見て楽しんだ「ミルコのひかり」(2006年製作・イタリア映画)とかがあるし

また、「奇跡の人」(1962年・アメリカ)など、障害者の感動的な映画は多々あるし、

そして、盲目の人との恋愛ものでは、チャップリン監督・主演の「街の灯」(1931年・アメリカ)なんかを、ボクは思い出したりしました。

「街の灯」に近い、感動的サプライズが本作にもあるんですよ。

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撮影的なとこも見ておきましょう。

クローズアップ・アップに加え、時おりの映画的遠近構図の、ロングショットを絡めてゆきます。

手持ちカメラのグラグラ・カットも取り入れ、

ハイライト・シーンとなる、永瀬正敏と水崎綾女のキス・シーンでは、

太陽を見せずに、オレンジのシルエット風の2人で、魅せる斬新さを示します。

2_2
永瀬のぶっきら・憮然・不機嫌演技と、

綾女ちゃんの誠実演技のコンビネーションが、

例えば、永瀬に対して、いいカンジを持っていない綾女ちゃんが、

初めて永瀬の部屋を訪ねた時の、シークエンスなんかに、絶妙なカンジで発揮されます。

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何はともあれ、映画の音声ガイドを採り上げた映画は、映画史上初めてでありましょう。

そのあたりは、カンヌの審査委員にも、かなりと響いたはずだ、とは思いましたが…。

結果は結果。仕方ありません。

10
対象となる劇中映画では、藤竜也を主演にして、静岡ロケにより、老いらくの恋が描かれます。

その音声ガイドのシナリオが、本作の大きなポイントになっているのです。

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ピアノ・チェロ・ホーンなどを取り入れた、潤いあるサントラ使いも良かった。

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映画を聞いて、ラストにしっくりこないとゆう永瀬の苦情に、綾女ちゃんは最後の最後に、見事に感動的な言葉を加えます。

ラストシーンで披露されるその言葉は、ググッときました。

たぶん、そのあたりは、映画に国境はないところを示す、世界共通のものなんでありましょう。

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ラブ・ストーリーは、河瀬直美監督の、得意とするところではないけども、

恋愛映画のツボは、決して外してはいませんでした。

何ゆえに最高賞を受賞できなかったのか、分かりませんが、

映画館へ足を運んで、今一度確認してみたいとは思いますが、

たぶんセンチメンタルなとこ、感動的なとこが、アート性を重んじる、カンヌに合わなかったのかな。

みなさんもぜひとも、劇場で見てみてください。

2017年5月26日 (金)

「家族はつらいよ2」

1
「男はつらいよ」以上に続く、可能性を探った結果は…

永遠のプログラム・ピクチャーになる作品だ

http://www.kazoku-tsuraiyo.jp

5月27日の土曜日から、松竹の配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2017年製作の日本映画1時間53分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「家族はつらいよ2」製作委員会

4
山田洋次監督作品の新作を、論じるとなりますれば、

これまでの作品との比較であるとか、「男はつらいよ」とのシンクロナイズとかが、ポイントになりがちです。

ところが、本作は、これまでの監督の作品系列とは、

ビミョーに違うところがありました

2
と言いますか、老境を迎えている監督ですが、

これまでも自らを自分の作品に、投影したような映画もあったかもしれませんが、

あからさまにそれが見えてくるのは、本作シリーズからだったのではないでしょうか。

つまり、老境心理を投影するような映画であり、

松竹お家芸の家族映画テイストを借りながら、コミカルでありつつも、

自らの心境を、一家の長老・祖父役の橋爪功に仮託して、描いているように、ボクは見ました。

3
シリーズ第1弾では、熟年離婚の行方を、

本作第2弾では、老人の車運転やら突然死に加え、

橋爪の末っ子(妻夫木聡)のヨメ(蒼井優)の、オカンの認知症などを採り上げ、

今どきの老人問題に食い入る、家族ドラマ仕様の喜劇となりました。

7
妻夫木&蒼井を始め、長男夫婦の西村雅彦&夏川結衣、長女夫婦の中嶋朋子&林家正蔵、

そして、橋爪のヨメ役・吉行和子の、各エピソードも描かれるのですが、

前作と同様、主演と言ってもいい、橋爪功をポイントに、物語は展開してゆきます。

8
行きつけの飲み屋のママ(風吹ジュン)を、愛車に乗せて運転中に、事故ってまう橋爪はん。

ママの機転で何とかなったけど、老運転手問題をまずは、ストレートに出してまいります。

橋爪の免許返上を、緊急家族会議で話し合おうとしたりと、

この問題は、かなりの家族問題にはなるのですが、

ホントのメインは、橋爪と小林稔侍の再会から始まる問題です。

6
老人たちの同窓会とゆうのは、人生も晩年を迎えて、

スイも甘いもどうでもエエ、ただ語り合うだけで、渋く盛り上がるもんです。

長らく行方不明だった小林を、橋爪は同窓会に呼び、泥酔するまで飲み、家にまで連れてくるんです。

ほんでもって…エライことになり…。

5
いろんな重い老人問題を採り上げながらも、

コメディ・ノリをあくまで崩さず、

また、最後には、しみじみとした人情節を披露するとゆう、

これまでの山田洋次監督の、映画作家性は健在でした。

9
家族をテーマにした、喜劇としての、このシリーズは、日本の良質の、プログラム・ピクチャーの復活を、期待させてくれます。

今やアニメ・シリーズしかない現状において、

監督が代わり、主演が代わっても、この家族映画は、何世代にもわたって展開できますから、

「男はつらいよ」を越えて、永遠に続けられるシリーズだと申せましょう。

何はともあれ、家族一同でご覧ください。

2017年5月25日 (木)

香港アクション「おじいちゃんはデブゴン」

1
香港アクションの、粋で魅せる快作だ

サモ・ハンおじいちゃんが、ミラクル・格闘アクションを披露

http://www.sammohungisback.com

5月27日の土曜日から、ツインの配給により、新宿武蔵野館、シネマート心斎橋ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、中国・香港合作の99分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 Irresistible Alpha Limited, Edko Films Limited, Focus Films Limited, Good Friends Entertainment Sdn Bhd. All Rights Reserved.

3
ボクシングや柔道など、スポーツ系を抜きにすれば、

バトル系アクション映画は、映画史的には、香港映画がルーツになるのでは…。

そんな香港アクション映画について、

弊ブログでは、これまでにかなりのタイトル数を、分析してきましたし、

マイ・ベスト&カルトなんぞも、披瀝してきましたが、

本作は、香港アクション映画の、ディープなファンにとっては、とてつもなくスゴイ、ウルトラ級の作品なのであります。

7
とはいえ、香港アクションを、未だかつて見たことのない方、馴染みのない方々には、

イロイロ話しても、何が何やらチンプンカンプン、分からないかと思います。

でもしか、本作を見ていただければ、一目瞭然。

誰にでも分かりやすい、アクション映画だと認識できるハズです。

まあ、ブルース・リーやらジャッキー・チェンなど、人口に膾炙した方々を、引き合いに出して分析したり、

マニアック的に、製作会社・翔ブラザーズあたりから、香港アクション映画の系譜的に、小難しく分析もできるのですが、

ボクは本作は、そういう分析には、似合わない作品だと見ました。

4
香港映画界のレジェンド、サモ・ハンが、監督と主演を兼ねた作品だと言ったところで、

分からない人には、全く分からない。

だから、もっともっと分かりやすく言い直しますと、

理屈抜きに面白い、未だかつてない、モノゴッツーなおじいちゃんアクションなのです。

5
拳法の達人で、いわゆるシークレット・サービス的要人警護の仕事を、退役したサモ・ハンは、

ロシア国境近くの故郷で、1人隠遁生活を送ってはりました。

ロシア国境とゆう設定は、ロシアン・マフィアや中国マフィアがいがみ合っとるんやないかな、

そいつらが出てくるんやないかな、などの予感を誘発いたします。

6
まさにその通りで、クライマックスでは、サモ・ハンが、2派を相手に、ミラクル・アクションを披露します。

そのアクションの在り方は、正攻法やありません。

ナイフや剣の攻撃を避けて、関節・骨を折って相手を倒し、

キズ一つないような、いわゆる応戦タイプの、「柔よく剛を制す」なスタイル。

ブルース・リーやジャッキー・チェンにはなかったような、渋くてスリリングなタッチが、

間違いなくみなさんを、魅了するハズです。

2
隣家の父娘のために、敵と対決してゆくとゆう「正義の味方」的ヒーロー・スタンスも、心地よろしおます。

敵に殺されてまうんやけど、父役にはアンディ・ラウが扮してます。

父の死後、サモ・ハンと幼い娘は一緒に暮らし、キズナを深め、

そして、娘がマフィアに拘束されたことを知って、マフィアに挑んでゆくのです。

ヒロイズムとアクションが、見事に融合した娯楽作品でした。

ここから、香港アクションに、ハマッてみよう。

2017年5月24日 (水)

「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」

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ハリウッド映画業界の、裏方さんを採り上げたドキュメンタリーだ

多彩な映画の向こうに、夫婦のキズナが見える快作

http://www.harold-lillian.com

5月27日のサタデーから、ココロヲ・動かす・映画社の配給によりまして、YEBISU GARDEN CINEMAほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、カラー&モノクロのアメリカ映画94分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 ADAMA FILMS All Rights Reserved.

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ハリウッド映画業界の、縁の下の力持ちを捉えたドキュメンタリーです。

かつてはドラマ映画で、セット作りの建築家兄弟を捉えた

「グッドモーニング・バビロン!」(1987年製作・イタリア&フランス&アメリカ合作)などの、ドラマ映画の名作がありましたが、

本作はあくまでドキュです。

映画業界人を捉えたドキュとなれば、役者・監督がメインで、

「くたばれ!ハリウッド」(2002年・アメリカ)なんかで描かれた、プロデューサーくらいまでが、視野に入っていたのでしょうが、

本作はかなりと、稀有な内容になっています。

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絵コンテを書くデザイナーのダンナと、

参考文献を探し、映画の下地となるとこを、調査するリサーチャーのヨメはん。

共に、映画のスタッフ・クレジットには、表記されない立場の2人。

そんな2人が夫婦であり、夫婦映画としての面白さもあるんやけど、

ダンナは、この映画を撮っている時には、既に故人。

でもしか、ヨメへのインタビューを中心に、

2人の深きキズナが、そこはかとなく浮き上がってくるような、そんな仕上げになっています。

9
2人は多彩な映画に関わりました。

一部を抜粋いたしますと…。

ヨメが初めてリサーチャーとして関わった「ウエスト・サイド物語」(1961年・アメリカ)。

アルフレッド・ヒッチコック監督との深い関係。

「鳥」(1963年・アメリカ)の鳥の習性を調べたり、ダンナはディープに監督と関わり…。

「マーニー」(1964年・アメリカ)の絵コンテと、実際の映像の対比描写など、細部の描写も、リアリティーある作り。

「十戒」(1956年・アメリカ)の絵コンテを手始めに、

ダンナはんは傑作・名作・ヒット作に、引く手あまたとなってゆかはります。

8

ヒット作品としては、

「スタートレック」シリーズの、第1弾(1979年・アメリカ)の仕事とかが、みなさんにも分かりやすいやろか。

ヨメが持っていた、資料ライブラリーの行方なども、

メッチャ興味深い、波乱に満ちた内容になっています。

6
やがて、ダンナのハロルドはんは、酒浸りになり、やがては…。

でもしか、ヨメは前向きに…。

7
2人の、駆け落ちまでする恋愛模様は、あんまし詳細には描かれてはいませんが、

その愛の在り方は、しみじみじっくりと、伝わってまいります。

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手書きのモノクロ・マンガなどの、アナクロイズムなとこも嬉しいし、

ピアノ、ギター、ジャジー・サウンドなんかの、サントラ使いも、

時代感にマッチしていました。

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2人が関わった、かなりのタイトル数の映画が出てきますが、

チェックして、DVDでチェックしてみるのも面白いかも。

何はともあれ、映画業界ドキュの、かつて取り上げられなかった素材だと、ボクは思います。

ハリウッド映画界の裏も、垣間見える作品でありました。

「ドント・ルック・バック」⇒ボブ・ディラン主演

1
若き頃のボブ・ディランを捉えた、音楽ドキュメンタリーだ

初のノーベル文学賞受賞ミュージシャンの、青雲の志が見える

http://dontlookback.onlyhearts.co.jp/

5月27日のサタデーから、アダンソニアとオンリー・ハーツの配給により、新宿K's cinemaほかで、全国順次のロードショー。

本作は、1967年製作の、アメリカ映画モノクロ96分の、デジタル・リマスター版。

文=映画・音楽分析評論家/宮城正樹

ⓒ2016 Pennebaker Hegedus films. Inc

音楽ドキュメンタリー映画とゆうのは、1960年代のアメリカ&イギリス映画が嚆矢となっています。

それは、ブレイク・ポイントを迎えた、ミュージシャンを捉えたり、コンサート模様を捉えたりと、イロイロですが、

ミュージシャンのドキュとなれば、イギリスのビートルズ・ドキュの方が早かったけど、

アメリカ映画のアーティスト・ドキュとしては、

本作のボブ・ディランを捉えた映画が、嚆矢的存在ではないでしょうか。

2
ビートルズやボブ・ディランよりも、先輩格に当たるエルヴィス・プレスリーなんかが、

いかにも彼らより以前に、音楽ドキュに主演してたように見えますが、

エルヴィスはあくまで、ドラマ映画の中で、自らの音楽性を披露していたので、音楽ドキュとは申せません。

そして、ロック史が示す通り、1960年代半ばに、イギリスのビートルズに対し、

アメリカのボブ・ディランとゆう、対抗図式的に、音楽ドキュが出てきたような経緯があるかと思います。

5
「ハード・デイズ・ナイト」(1964年製作・イギリス映画)などのビートルズもの、本作のディランもの。

どちらも甲乙付けがたい、仕上がりになっています。

映画ドラマ的な加工を、加えたビートルズものに対し、

本作は、ドキュメンタリーらしさを強調し、ディランの音楽的スタンスが、ビビッドに伝わってくる内容になっています。

1965年の25歳ディランの姿が、モノクロームで伝えられ、

そのシブミある中身に、ググッと魅せられました。

4
さてはて、印象深かったところを挙げてみましょう。

いろんなマスコミの、単独インタビューの模様。

「褒めちぎるだけの記事なんて要らない」とか、

タイム誌とのやり取りでは、インタビュアーに鋭く突っ込むとこもあり、

ミュージシャン・インタビューを、何度もしたことがあるボクには、恐れ入ってしまうようなとこがありました。

タイプライターで作詞しながら、当時のアイドル・ミュージシャンのジョーン・バエズと、

曲作りしてゆくところの創作術だったり、

ライブ・ツアーのいろんなトラブルに、どう対処したのかとかが、モノゴッツー興味をそそられました。

3
もちろん、ライブ模様が、大きな見どころになっています。

アドリブも入れつつ、ギターとハーモニカで語るように歌っていく、シンプルなスタイルこそ、

フォーク・ミュージックのルーツ的在り方だと、改めて認識。

と同時に、ノーベル文学賞までもらっただけに、

日本語字幕で示される、歌詞内容の詩的文学性も、

ぜひとも味わっていただきたい。

2017年5月23日 (火)

「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」

1
クールイズムなラブ・ストーリーで、時代を衝く傑作だ

こんな東京ラブが、あってもエエやん!

http://www.yozora-movie.com

5月27日の土曜日から、東京テアトルとリトルモアの配給により、全国ロードショー。

新宿ピカデリー、ユーロスペースでは、先行ロードショー中。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」製作委員会

2
東京を舞台にした、ラブ・ストーリーはいっぱいあります。

でもしか、本作のように、理屈っぽさ・クールさ・異質・ぎこちなさやらを、

恋する2人の会話や挙動をメインに、展開してゆく映画とゆうのは、

これまでの恋愛映画には、まずなかった作品。

本当に2人は愛し合っているのか、

それとも、不安を吐露し合うだけの、クールな関係なのか、

見ながらイロイロ、考えてしまう作りになっています。

9
詩を原作にした映画とゆうのは、かなりと珍しいし、作るのも難しいのですが、

その詩の世界観を、映画ドラマ的に、換骨奪胎させるとゆうのは、さらに至難のワザであり、

ハイテクな映画技術力が、要求されることでありましょう。

その高度なレベルに挑戦し、詩の世界観を、東京ラブ・ストーリーに転換した、ミラクルな作品が本作なのです。

10
詩の言葉がナレーションされたり、セリフに出てきたりしますが、

詩的言語とゆうのは、日常会話とは相反する、良く言えば文学性を、悪く言えば不自然を有しているもの。

でもしか、そこが、凡百の恋愛ものとは、一線を画するところなのです。

恋愛映画として本作を見た場合、ものすごい違和感があった。

実は、そこんところに、石井裕也監督の、緻密な演出意図があるようにボクは思いました。

うっとりの恋愛とか、日本映画的哀切の恋愛とか、そういうジャンル的目論見は一切排除されて、

どこまでもクールに徹し、そして、まずは言葉ありきのノリで紡がれます。

7
さらに言いますと、恋愛の中に、突然死や地震での大量死など、死に対するヒロインの、嫌な予感を詠み込んで、

いつなんどき壊れそうな世界の中で、ギリギリの心理的不安感ある、ラブ・ストーリーを構築しようとした。

狙いは、見事にヒットしてます。

だから、こんな恋愛映画、見たことない!なんて言いたくなる。

6
恋する主人公役は、池松壮亮。

恋するヒロイン役は、石橋静河。

共に、恋するとゆう言葉が似合わない、ストイックな演技に終始しています。

意味のない言葉を羅列・放出することで、自らの不安を払拭しようとする主人公。

対して、色気のないぶっきら棒を主に、じとじとじめじめと理屈をこねるヒロイン。

いやはや、この2人、未だかつてないラブ・ストーリーを演じるべく、

わが道を共に、ひたすらゆくのごとくでありました。

3
「東京、ガンバレー」と路上で歌う、ギター弾き語りの女ミュージシャンの、シークエンスをタイトに挿入し、

2人の恋の行方を暗示。

加えて、原作の詩にはなかったであろう、主人公の職場環境・人間関係なども、

ヒロインとの接点を含めて、巧妙に展開してゆきます。

5
今のところ、今年の日本映画の、マイ・ベストワンですね。

恋愛映画の、新たな作り方・スタイルを、映画的に鮮やかに披露した本作。

永くココロに残る傑作になったと、ボクは確信いたします。

「ポエトリーエンジェル」⇒日本映画劇場

1
和歌山ロケ映画の会心作だ

ポエトリー・リーディングが、バトルになる!

http://poetryangel.net/

5月20日の土曜日から、アークエンタテインメントの配給によりまして、ジストシネマ田辺で、5月27日から、シネ・リーブル梅田で、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の日本映画95分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017 田辺・弁慶映画祭 第10回記念映画プロジェクト

2
地方ロケの日本映画は、これまでにいっぱい出てきていますが、

本作のような、和歌山(田辺市)ロケは稀少であります。

近畿圏なら、圧倒的に京都ロケが一番多く、続いて大阪ロケとゆうカンジなのですが、

和歌山ロケ映画は、ボク的には「紀ノ川」(1966年製作)が最高傑作やろか。

最近では、「ちょき」(2016年・弊ブログ分析済み)とゆう映画もありました。

6
しかも、和歌山の風土や郷愁、観光ノリを、ほとんどカンジさせずに、映画としてのドラマ性に、徹した作りが良かった。

つまり、この映画の舞台が、東京であっても沖縄であっても、ドラマツルギーは変わらないとゆうこと。

つまりは、一般的に誰もが感情移入できる、普遍的なドラマになっているのです。

7
みんなで何かに熱中し、チーム・プレイでガンバろう!とゆう映画は、地方映画でもケッコー多いのですが、

「スウィングガールズ」(2004年)とか「チア☆ダン」(2017年・ブログ分析済み)とか、学園ものが主流の中において、

本作は、少々特異にして、オリジナリティーある設定になっています。

3
ポエトリー・リーディングとゆうのは、個人プレイであり、チーム・プレイとは違います。

また、その種の映画もありましたが、

本作は、それを団体戦にして魅せるとゆう、荒ワザを披露するのです。ビックリしました。

4
本作では、詩のボクシングと称していますが、

なりきり型の熱血入りで、アクショナブルにオリジナル詩を、詠み込んでゆくとゆうスタイル。

まあ、躍動感あるヒップホップ、みたいなカンジでしょうか。

9
そんな詩アクションを学ぶ教室に、主人公(岡山天音)らが参加し、

結局、主人公含む4人(下條アトム、山田真歩、芹澤興人)だけが残り、

でもって、先生(角田晃広)と共に、女子高生チームとの強化試合など、

団体戦に挑むとゆう展開で、ストーリーは進みます。

10
そして、祖父役の下條アトムが、病で倒れたために、代わりに孫娘(武田玲奈)が、参加するとゆう流れ。

岡山天音と武田玲奈の新鮮味と、

鶴見辰吾・下條アトム・美保純らの、シブミかつ自然体が絡み合って、

あと味のいい作品になっています。

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なりきりトレーニングや妄想トレなど、ユニークな特訓模様も面白かった。

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バンド・サウンドやピアノ・ソロなど、シーンに合わせたサントラ使いも上手い。

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妄想好きの岡山天音クンの、あっけらかんと熱血もエエけど、

個人的には、クールでピュアな武田玲奈ちゃんの、アイドル性に魅せられました。

地方映画の定番系のキャラを、共にはずしたようなとこも新鮮だった。

とゆうことで、さわやかな結末が待ってる作品です。

2017年5月21日 (日)

「ピーチガール」⇒日曜邦画劇場

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コミック原作ラブ・ストーリーに、終わりはない!

そして、アイドル映画も永遠だ!

http://www.peachgirl-movie.jp

5月20日の土曜日から、松竹の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「ピーチガール」製作委員会

コミック原作の学園ラブ・ストーリー、しかも、三角関係込みの日本映画となれば、

20世紀はさほど目立たなかったけど、

21世紀になっては、なぜかかなりと出てきてる、ジャンルもんになっておます。

そんな映画のマイ・ベスト&カルト・スリーなんかも、弊ブログでかつて、披露した覚えがありますが、

本作は、どちらかと言えば、カルトになるかと思うけど、

何はともあれ、分かりやすさと、今どきのティーンエイジャーたちが、メッチャ感情移入できるやろし、

リアリズムよりも、マンガチックなとこを重視して、

パッパラパーに弾けられる点が、メッチャ楽しいのであります。

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一方の、大いなる見どころとしては、アイドル映画としての愉悦や、ときめきです。

主演の山本美月と、「Hey! Say! JUMP」の伊野尾慧。

2人と絡む、真剣佑と永野芽郁。

ブレイク前の人が多いけど、嫌な役であれ、好感度ある役であれ、

応援したくなるアイドル性には、盲目になれるはずです。

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さてはて、本作は、最初はラブコメチックな展開やけど、

中盤・後半からは、シリアス・モードへと転換します。

最初から最後まで、ラブコメやシリアスで通す映画とは違い、

フレキシブルな演技性が、特に、主演クラスには、求められる映画でありましょう。

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山本美月のカメレオン演技は、特注でオモロかったな。

スマシとマジの、2面性を見せる伊野クン。

さわやかな真剣佑、小悪魔な永野芽郁。

ボク的には、「PARKS パークス」(4月21日付けで分析)でも魅せられてもうた、

芽郁ちゃんの、明るいキャラが良かったです。

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ほんでもって、ジャニーズ男優主演映画の系譜的にも、カルトやけれど、

伊野クンは、ユニークな足跡を残したかと思います。

さて、番外的な話をします。

かつても書きましたが、古来より、アイドル映画と言えば、“出来の良くない映画”のイメージがありましたが、

全くもって、そないなことはありまへん。

いや、むしろ、自分の好きなアイドルが、出ているような映画は、いつまでも自分のココロに残るもんです。

キムタクしかり、古くは郷ひろみ、薬師丸ひろ子、山口百恵しかり。

とゆうことで、そんな自分だけの、永遠のアイドルがいるはずの映画でもあります。

自分だけのアイドルを探しに、映画館へ行くのも悪くない。

と、ボクは思います。

2017年5月19日 (金)

「たたら侍」⇒週末日本映画劇場

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あのダンス・パフォーマンス集団・EXILEが作った日本の時代劇だ

世界的評価も得た、ニュー時代劇の中身とは?

http://www.tatara-samurai.jp

5月20日の土曜日から、LDH PICTURESの配給によりまして、梅田ブルク7、TOHOシネマズ梅田ほかで、全国ロードショー。

本作は、2017年製作の、日本映画120分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「たたら侍」製作委員会

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あの一大ダンス・ミュージック・ファミリーのEXILEが、

何と時代劇をプロデュースし、

劇団EXILEだけでなく、EXILEのメンバーからも、主演・出演。

故郷の島根の地方映画に、こだわり続けてきた錦織良成監督の起用で、

監督初の時代劇ながら、島根を舞台にした時代劇となりました。

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ダンス・ミュージックと地方映画なんてゆう、時代劇とはほど遠いコラボレートが、

日本時代劇の新たなウェイブをば、作り上げたんでおますよ。

ほんでもって、「おくりびと」(2009年・日本)ももらった、モントリオール国際映画祭で、

最高賞ではないものの、「最優秀芸術賞」をゲット。

古来より続く、日本時代劇への、外国での評価が、過去の名作と変わらないことを示しています。

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日本人と外国人が見る、時代劇のツボは、違うとは思いますが、

黒澤明監督の「七人の侍」(1954年製作)などの雄々しさと、

市川崑監督の「股旅」(1973年)などの弱々しさが、融合した作りになっとりました。

つまりは、強さと弱さです。

ともすると、時代劇には、カッコイイヒロイズムが要求されがちですが、

本作の主人公(青柳翔)は、決してそうではありません。

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無敵のサムライになろうと、出雲から京都へイザ出てみたけど、

戦場の悲惨さを体感し、さらに危ない目に遭ってしもて、

ほとんど命からがら、故郷の村へ逃げ帰ってきた青柳翔。

そんな主人公が、村に攻め来る奴らに対し、

村人全員で応戦し、村を守ろうとします。

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時代背景はモチ、戦国時代。本能寺の変(1582年)の頃らしい。

戦いシーン以外に、立ち合いの練習シーンや、

剣の鉄を作る工程(「たたら吹き」というらしい)シーン、

出雲の神楽踊りシーンなど、

フツーの日本の時代劇にはないシーンに、

海外の人は、魅かれたのかもしれません。

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錦織監督の、故郷への想いも伝わります。

空の様子、セピアの夕景、たゆたう川のほか、緑の深山をバックにしたりと、

風景描写も、メッチャ冴えていました。

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EXILEがメインに、関わっているだけに、サントラはどないやろか。

EXILEのATSUSHIが歌う、グッド・ソウル・バラード「天音(あまおと)」が、ラストロールで、余韻深く流れますが、

劇中では、オーケストラをメインにした、海外でも受けるサントラ使いで、いってはります。

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ボク的には、ラストの主人公のナレーションに、妙味を覚えました。

裏読みではありますが、ビートルズの「レット・イット・ビー」や、

テレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」の歌詞の世界観が、詠み込まれて、グッとくるところ。

と同時に、EXILEは、ダンス・メインやけど、本質は音楽の人たちなんだを、改めて認識できました。

何はともあれ、世界に認められた、日本の時代劇です。

キムタク主演で、壮絶やった「無限の住人」(4月25日付けで分析)とは、

また違う、癒やし感もある時代劇でした。

2017年5月18日 (木)

イタリア映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」

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ヒーロー映画の、かつてないスタイルを示す

今年のマイ・ベストテン級映画です

http://www.zaziefilms.com/jeegmovie/

5月20日のサタデーから、ザジフィルムズの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、イタリア映画119分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2015 GOON FILMS S.P.L. Licensed by RAI Com S.p.A. - Rome, Italy. All rights Reserved.

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ヒーロー映画と言えば、アメリカン・ヒーロー、特にアメコミのヒーローものが、人口に膾炙しています。

みなさんも、ヒーロー映画は、ある程度自らの考えで、これがヒーロー映画だと、こだわる方もいてはることでしょう。

そんなヒーロー映画に、もの申すような、あるいは異能な、あるいはアンチな映画が、時に、出てきたりします。

アメリカなら、ヒーローものの、パロディーなどがありますが、

日本はモチ、各国でも、ヒーロー映画は、さまざま多彩なスタイル、そしてキャラ付けで登場しています。

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逃亡中に海中に隠れ、放射能廃棄物みたいなんを、飲んでしもた主人公が、

えらい鋼鉄のパワーを得て、メッチャ無敵なくらいに強くなってまいます。

放射能とゆうたら、ゴジラなんかを思い出すけど、

ヒーローものとしては、「スパイダーマン」のクモなんかに、当たるんやろか。

ほんでもって、オトンを殺されてしもた、チョイといかれた娘のために、

代わりに主人公が、復讐していくちゅう筋書きでして、

キムタク主演の「無限の住人」なんかにも通じとるやろか。

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但し、その娘が日本のテレビアニメ「鋼鉄ジーグ」に、首ったけどして、

娘が主人公を「鋼鉄ジーグ」に、なぞらえてまうんでおます。

私のヒーローだと、大いに勘違いする娘。

そんなイカレタ彼女のために、いやおうことなしに敵と対決する羽目になり、

ほんでもって、同じく放射能を飲んで、無敵になった悪組織のボスと、壮絶な対決をするに及ぶんでおますよ。

この奇妙奇天烈・荒唐無稽な展開こそ、

まさにアメコミ・ヒーロー・ムービーへの、トンデモナイ・アンチなオマージュやと、ボクは見ました。

そんな映画は、初めて見た想いです。

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「ボーン」シリーズみたいな、走って逃げてのアクト、

いろんな格闘シーンなど、アクション・シーンも多彩に見せて、

アメコミ・ヒーローものとは違う、人間臭いヒロイズムも披露します。

特に、娘とのエピソードは、ハラハラドキドキ。

「レオン」(1994年製作・アメリカ映画)の、ハラドキなどを思い出したりしました。

主人公役・娘役とも、異彩の演技者ぶりを、見事なまでに、徹底して見せています。

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ラストロールで流れる、男性アーティストによる、イタリアン・ポップスなスロー・ナンバーなども、

余韻の深みをば、見せていたように思います。

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ヒーロー映画の定番系を、とんでもなく覆し、

それでいて、娘との関わりでは、グッと染みるとこがあり、

また、敵との対決では、主人公に、この上なく感情移入できた。

いやはや、こんな映画が、ヒーロー映画には似合わない、イタリア映画界から出てきたことに、ボクは驚きを禁じ得ませんでした。

今年の洋画のマイ・ベストテン級、いや、ベスト・スリー級かも。

ぜひ映画館でご体感ください。

パキスタン映画「娘よ」

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欧米エンタ・ノリの、逃亡系ロードムービーだ

母娘のキズナが胸を打つ!

http://www.musumeyo.com

5月20日のサタデーから、パンドラの配給により、テアトル梅田などで、全国順次のロードショー。

本作は、2014年製作の、パキスタン・アメリカ・ノルウェー合作による、パキスタン映画93分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2014-2016 Dukhtar Productions LLC.

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パキスタン映画って、みなさん、見はったことはありますやろか。

ボクも思い返すに、かつて1度くらいやないかな。

その作品も、どんな内容だったかさえ思い出せまへん。

ことほどさように、パキスタンに、映画を作る余裕とゆうか、

映画作家が果たしているんかさえ、不明どしたな。

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そんなわけで、ボクがほぼ初めて見たといってもいい、パキスタン映画の本作。

まず驚いたのは、女性が虐げられる国家実情の中において、

何と女性監督(アフィア・ナサニエル)による作品であったこと。

そして、そんな女性差別に対し、

映画的作りの映画の本作で、抵抗を示した点であります。

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母娘のキズナを、逃亡系ロードムービーの、スリリング&サスペンス・タッチで捉えて、

アート系ではなく、あくまで欧米の、娯楽エンタ的な作りを、

意識してはるようなとこも、ボク的には新鮮で面白かった。

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さてはて、映画産業が盛んな、ハリウッド的ボリウッドの、インドは別にして、

隣国のイランやアフガニスタンで描かれた、例えば、本作と同じく、女性蔑視・虐げられる女の子映画と比べてみると…。

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「アフガン零年」(2003年・アフガニスタン&日本&アイルランド)や、

「亀も空を飛ぶ」(2004年・イラク&イラン)などと、本作の違いは明らか。

つまり、明るい未来を、提示したかしなかったかの、違いでおましょうか。

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ストーリーをゆうと、敵対する族の長とオトンの力関係から、

幼い娘を長と、結婚させられる羽目に、なってしもたんやけど、

オカンは娘はんを守るために、一緒に逃亡しはります。

その逃亡に、トラック運転手が関わり、逃亡を続けていくんやけど…。6_2

追いかけてくる敵側との、カーチェイスあり、

ホンマに逃げおおせるんやろかちゅう、手に汗するサスペンスありで、

逃亡ロードムービーの、ツボを押さえた作品どした。

監督はアメリカン・ニューシネマなんかが、好きなんやないやろかとも思えました。

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砂漠や大河や山や空模様など、自然描写含むシーンの、パキスタン的情景描写も巧み。

さらに、パキスタンの民族楽器を使った、コーラス・ポップスや、

ロードのダイジェスト・シーンに流れくる、インド・マサラ風のフィメール・ポップスなど、

パキスタン映画らしい、サントラ使いをしているのも、新鮮で良かったどす。

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さてはて、オカンが長らく会っていないオバンのとこへ、危険を冒して、娘と共に会いに行くシークエンスも、スリリングでした。

そして、このエピソードは、サプライズ・エンディングへもつながってまいります。

三世代にわたる、母娘のキズナを捉えた作品とも言えるでしょう。

何はともあれ、イロイロ驚きのあった、パキスタン映画でおました。

2017年5月17日 (水)

韓国映画「あの日、兄貴が灯した光」

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韓国映画らしい、感動と泣きがあるキズナ映画だ

EXOのD.O.と、チョ・ジョンソクと、パク・シネのアンサンブル

http://www.aniki-themovie.jp

5月19日の金曜日から、CJ Entertainment Japanの配給によりまして、TOHOシネマズ新宿ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の韓国映画110分

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 CJ E&M CORPORATION, CHOICE CUT PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

2
本作は、障害者を描いている映画です。

これまでにも多数の、障害者映画が出てきましたし、その描き方もイロイロありましたが、

本作のポイントは、盲目の主人公(グループEXO=エクソのD.O.)が、

そのハンデを乗り越えて、目標を達成するというパターンの映画です。

そこに、異母兄弟ですが、アニキ(チョ・ジョンソク)とのキズナをメイン・ソースに、

女コーチ(パク・シネ)との、恋愛抜きなつながりも描いてゆきます。

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韓国映画らしいフレイバーが、満開の映画です。

かつてトレンドだった泣ける純愛とか、現代の時代劇とかはありませんが、

兄弟のキズナしかり、また泣けるポイントを、しっかり取り込んだりと、

ベタではありますが、そこが韓国映画版お涙ちょうだい節の、在り方であり、ツボであり、

泣くものかと思いながらも、見てついつい泣いてしまうところなのです。

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柔道の試合で敗れ、ケガして失明してしまった主人公。

そんな身寄りのない、弟の面倒を診ることをダシにして、入獄していた兄が、1年間の仮釈放を得て出獄。

でもしか、弟の面倒を診るどころか、ほったらかしで、やりたい放題の自由気まま。

心配して弟の自宅にやって来る、女コーチともやり合う始末だ。

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でもしか、パラリンピックに出る方向性を、女コーチがススメて、

やがて、兄弟が一丸となって、金メダルを目指してゆくという風に、お話は転換していきます。

前半と後半のこの違いが、どう説得力をもって描かれてゆくのか、

ネタ部にも関わるので、詳しくは言えないのですが、

何はともあれ、注目して見てください。

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D.O.の盲目の弱々しき演技から、柔道に燃える演技まで、硬軟の使い分けの妙演。

チョ・ジョンソクの、ナイーブを内に秘めたワイルド感。

そんな2人の絡み合いは、本作の大きな見どころです。

加えて、女だてらに柔道のコーチをして、いつもの強気の演技でいく、パク・シネの、好感度ある演技ぶり。

ラストの方では、この3人の感情演技が、最高潮を迎え沸騰します。

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監督はクォン・スギョン。

障害者のマラソンランナーの息子と、母のキズナを描いた「裸足のギボン」(2006年製作)と、

本作のシンクロナイズは、メッチャ明らかの一目瞭然。

そして、「裸足のギボン」で魅せた、ベタな感動はそのままに、

より進化した、泣きのドラマを演出してゆきます。

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ダイジェスト・シーンなどに使われる、ラテンな歌に加え、

D.O.とジョンソクが歌う、歌唱力が要求されるところの、

グッド・バラード「心配しないでください、あなた」などにも酔えました。

とゆうことで、韓国映画の粋を、お楽しみください。

2017年5月16日 (火)

「パーソナル・ショッパー」⇒ヒロイン・サスペンスの傑作

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マイ年間ベストテン級映画となった傑作

ヒッチコック・サスペンスに匹敵する!

http://www.personalshopper-movie.com

5月12日のフライデーから、東北新社の配給により、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、などで上映中。

本作は2016年製作の、フランス映画1時間45分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 CG Cinema - VORTEX SUTRA - DET AILFILM - SIRENA FILM - ARTE France CINEMA - ARTE Deutschland / WDR

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思いがけずヌードも披露してもうた、クリステン・スチュワートを主演に、

本作でカンヌ国際映画祭の、監督賞をゲットした、

オリヴィエ・アサイヤス監督による、ヒロイン・サスペンス映画。

いやはや、スリリングで、手に汗握る作品になっとりました。

1
フランスのアサイヤス監督としては、コレが初のサスペンス映画やけど、

フランス古来のフィルム・ノワール・サスペンスとか、

サスペンス映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコック(略してヒッチ)監督作品とも、

ビミョーに違う作品をば、撮り上げてきはりましたがな。

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ヒッチには、事件に巻き込まれ型ヒロイン・サスペンスが、多数ありますが、

フツーの女性パターンが多い、ヒッチとは違い、

このヒロインのキャラ設定は、セレブをサポートする顔と、霊媒師として神ってる顔の、

二面性あるタイプで、メッチャミステリアスやねん。

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あえてヒッチ作品との相似形を模索するならば、

二面性における「サイコ」(1960年製作・アメリカ映画)であったり、

ミステリアス・ヒロイン系「めまい」(1958年・アメリカ)なんぞでありましょうか。

何はともあれ、ヒロインの異能ぶりに魅せられ、

現実と、神ってるところとの対比ぶりが、ディープ・インパクトな作りでありました。

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「トワイライト」シリーズ(2008年~2012年・全5作)で、ハリウッド女優の、年間最高ギャランティー女優にのぼりつめた、

クリステン・スチュワートですが、

アサイヤス監督とは、「アクトレス ~女たちの舞台~」(2014年・フランス・弊ブログ分析済み)に続き、

2度目の登板となります。

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映画業界のマネージャー役を、真摯に演じた「アクトレス」とは違い、

本作も芸能業界の裏方役やけど、ミステリアスとクール度合いが加わり、

サスペンス映画にふさわしい、ヒロイン役をこなしてはります。

「トワイライト」的ホラー系のノリも付加。

一方で、ウディ・アレン監督作「カフェ・ソサエティ」(弊ブログ5月4日付けで分析)とも違う、

演技力のレンジの広さをば、示してはりまっせ。

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死んだ双子の兄からの、霊界からのメッセージを待ってるクリステンに、

ある日、スマホに謎のメールが来て、イロイロあります。

一方、非現実的なそんなエピソードとは違い、

セレブの衣装係をする現実的なとこでは、セレブ女優の殺人事件に遭遇。

この2界の、謎めいた展開がバランスよく紡がれ、そして、衝撃のラスト・シークエンスへ。

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女優の衣装を着る際に、ヌードも披露。

大胆果敢なとこにも、注目してくだされ。

冒頭から示される、静謐なシーンの積み重ねから、徐々にサスペンス度合いを増してゆき、

ほんで、遂にはとゆう、サスペンス映画のセオリーはあるけれど、

でもしか、これまでのサスペンス映画とは、ビミョーに違うテイストを、そこはかとなく感じる作品。

そして、ラストのクリステンの、アップの長回し撮影。

ドッキリなこのラストシーンに、すっかりヤラレてしもた、ボクチンでありました。

とゆうことで、今年の洋画の、マイ・ベストテン級の映画です。

日本映画「グッバイエレジー」

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1本の映画が構想されるまでを、ドラマティックに描いた映画愛映画だ

主演・大杉漣の、渋演技が光る快作

http://www.goodbyeelegy.com

5月13日の土曜日から、マジックアワーの配給で、第七藝術劇場やらで上映中。

その後、京都みなみ会館やらで、全国順次のロードショー。

本作は2016年製作の日本映画118分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017「グッバイエレジー」製作委員会

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名脇役・大杉漣が久々に主演し、

オカンとのキズナや、友への深き友情を描いたり、

映画への愛を、捉えたりした作品。

母子愛・友情ものなど、本作を見て思い出せる邦画は、多岐に渡りますが、

それらを映画愛でくるんだ作品となると、

かなりと稀少価値があります。

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映画愛映画を標榜した邦画を、振り返りますれば、

映画業界を描いた「キネマの天地」(1986年製作)とか、

映画館をバックにした「カーテンコール」(2004年)などの傑作がありますが、

本作もまた、そうした映画愛映画に通じる作品です。

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洋画では、「映画に愛をこめて アメリカの夜」(1973年・フランス&イタリア合作)とか、

「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年・フランス&イタリア)やらでありましょうか。

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北九州が舞台です。

いわゆる地方ロケーション映画としての、味わいもありまして、

山口ロケの「カーテンコール」などとの、シンクロナイズも楽しめる作品になっています。

また、どちらの作品もそうなのですが、キズナに関して、過去を振り返る作品となっています。

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北九州の高校時代に、友情を結んだ旧友(吉田栄作)が殺されたことを、

新聞で知った映画監督(大杉漣)は、

友への想いを辿るべく、何年振りかで、帰省いたします。

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そして、そこで、同じく同級生である、映画館を経営する女支配人(藤吉久美子)や、

旧友のヨメはん(石野真子)に加え、

自分のオカン(佐々木すみ江)らと、キズナを再認識してゆくのであります。

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過去を脱色で示す、過去と現在の、カットバック手法に加え、

親子のキズナを見せる、5分近い長回し撮影など、

映画的作りが、随所に見える作品です。

そして、1970年代映画的薄色配色が、

個人的にはたまらんかったですね。

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映画愛において、本作の大きなサブ・ポイントになっている、

北九州を舞台にした「花と龍」(1962年・1965年)や、

「霧笛が俺を呼んでいる」(1960年)などに主演した、赤木圭一郎へのオマージュなど、

日本映画のオールド・ファンへ、渋く渋~く遡及するシーンもありで、ムッチャ胸が熱く焦がれましたがな。

「フィルムは嘘をつかない」とか、「映画の力を信じてる」などのセリフもちりばめ、

1本の映画が構想されるまでの、いわゆるメイキング映画になっている点も、渋かったです。

とゆうことで、映画ファンにこそ、見てもらいたい作品でした。

2017年5月13日 (土)

「サクラダリセット 後篇」⇒週末日本映画劇場

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特殊設定の、近郊都市型学園アイドル・ミステリー映画や~

野村周平と及川光博の、心理駆け引きが、ケッコーオモロイんやで~

http://www.sagrada-movie.jp

5月13日の土曜日から、ショウゲートの配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「サクラダリセット」製作委員会

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前篇(3月24日付け)でも分析したように、本作は、学園ものアイドルものミステリーです。

ほんでもって、主人公始め、各キャラクターに、特殊設定を施した、

いわゆるゲーム世代やらにピッタリの、若向きの作品になっとります。

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でもしか、やっぱ、どう見ても、アイドル映画的視点が、一番の見どころになるんやないやろか。

毅然とした野村周平、同じく凛とした黒島結菜や、謎めく平祐奈。

この3人のアンサンブルがメインやけど、

AKB48ファミリーのように、脇キャラにも注目してください。

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敵対する大人側では、後篇のキーパーソンは、ミッチーこと及川光博のアニキですねん。

いやはや、ミッチー、「相棒」なんかのヒロイックとは全然違う、イケズな悪役寄りぎみの演技。

ミッチーは、こっちの悪玉の方が、似合ってそうやな~。

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タイムスリップとゆうか、本作ではリセットやけど、

過去改ざん系を、当たり前のようにやるスタイルは、

20世紀の映画ではまず、ありませんでした。

そこんとこを、進化と見るか、破綻と見るかは、人それぞれでありましょう。

妄想系のヒロイズムは、ボクは大好きなので、ボク的にはOKでありました。

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でもしか、例えば、「時をかける少女」(1983年製作)なんかと比べると、

ある意味では、進化したと見れるでおましょうか。

タイムスリップの掟を、心地よく破壊したこのスタイルは、痛快でもあります。

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また、特撮ヒーローもののポテンシャルとも、

相通じるところが、あるかと思います。

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でもって、コドモも楽しめる映画かどうか。

ミステリー部のややこしいとこは、分かるかどうかはビミョーやけど、

大人が分かりやすく、解説してやることでOK。

とゆうことで、ファミリー一同で見に行けるような、映画になっているかと思います。

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特殊能力の高校生たち、特に野村周平とミッチーの駆け引きと対決ぶりは、本作のメイン・ソースです。

ミッチーはどないな風にヤラレてまうんか、「相棒」ファンも目が離せない!? なんてネ。

そして、アイドル映画も得意としている、深川栄洋監督の、

洗練された清々しい映画作りは、いつもながらにキモチがよろしおましたえ。

何はともあれ、楽しめる作品です。

2017年5月12日 (金)

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

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ケイシー・アフレック演じる、トラウマ男の人間ドラマ映画

脚本の巧みさが光る傑作だ

http://www.manchesterbythesea.jp

5月13日のサタデーから、ビターズ・エンドの配給によりまして、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、テアトル梅田、なんばパークスシネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ映画137分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.

トラウマ男の人間ドラマながら、

そのトラウマとは何かを、本編の後半のネタ部まで、

ギリギリ見せない構成で紡がれる映画だ。

いやはや、この種のタイプの映画は、ネタ部が最も重要ですが、

そこへもっていくまでの流れであったり、

主演する男優への演出・演技性が、モノゴッツー問われるものとなるでありましょう。

2
結果論になりますが、

本作は、今年のアカデミー賞で、脚本賞と主演男優賞(ケイシー・アフレック)を得て、

つまりは、上記したところが、際立っていたとゆうことになります。

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でもしか、そういう受賞部を意識せずに見る方が、本作を楽しめるようになっているかと思います。

1人で住む孤独な便利屋の男。

日常生活が淡々と描かれ、そこへ、兄が危篤状態であることを知らされ、病院へ向かうけど、兄の臨終には間に合わなかった。

その兄の息子・甥の後見人に、弁護士を通じて、兄から指名された主人公。

戸惑いながらも、甥との生活を模索してゆくのでありますが…。

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淡々とした静かな流れで、ストーリーは展開します。

主人公のトラウマとは一体、何なのか。

それを隠すように内包しもって、主人公の過去の回想シーンを、カットバック的にというより、

現代と同時進行的に、流れてゆくような展開。

そして、ドーンとトラウマ問題シーンを見せて、観客の胸を衝く作りなんです。

これはまさに、台本の巧みさ、上手さでありましょう。

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トラウマある主人公を演じた、ケイシー・アフレック。

過去に自殺したくなるほどの、あれほどの悔恨を負った主人公の、キモチを抑制しつつ、

最後の最後まで、エキセントリックになることもなく、演じ抜いた点は、

ある意味で、ココロ壮絶で鬼気迫るものがありました。

4
アメリカン映画では、戦争トラウマものがケッコーありますが、

ボク的には、その種のトラウマ主人公ものでは、

ベトナム戦争の後遺症ある主人公の、現在形を捉えた「タクシードライバー」(1976年製作・アメリカ映画)が、

マイ・ナンバーワンなのですが、

本作のケイシー・アフレックは、「タクシードライバー」のロバート・デ・ニーロに、

比するような演技をしていると見ました。

6
主人公の元妻役のミシェル・ウィリアムズも、記憶に残る演技ぶりでありまして、

本編の後半で披露される、ケイシー・アフレックとの再会シーンは、

映画史に残るような、インパクトあるシーンになっています。

5
バイオリン、ピアノ、コーラスなど、作品性に合わせた、内省的なサントラ使いも、

静かな展開と共に、胸にジワリときますよ。

7
本作の監督は、ケネス・ロナーガン。

本作を含めて3作の映画を撮っていますが、本作が初めて本邦公開となる作品みたいです。

過去の未公開の2作品も、ぜひ見てみたいと、強く思いました。

とゆうことで、マイ年間ベストテン級の傑作です。

2017年5月11日 (木)

「破裏拳ポリマー」(はりけんぽりまー)⇒溝端淳平主演アクション映画

1
アニメ原作の、ヒーロー映画の実写版だ

カンフー映画にインスパイアーされた、特撮ヒーローもの

http://www.polimar.jp

5月13日の土曜日から、KADOKAWAの配給によりまして、ロードショー。

=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017「破裏拳ポリマー」製作委員会

10
本作のように、アニメの実写版となれば、

今大ヒット中の「美女と野獣」なんかの、洋画を含めますれば、

モノゴッツーなタイトル数が存在します。

ちなみに、「美女と野獣」は、フランス実写版を経て、ディズニー・アニメ版、実写版ときてまして、

アニメ⇒実写とは、ビミョーに違いはありますものの、

日本は、世界有数のアニメ⇒実写化の宝庫国であることを、改めて認識できました。

2
それも、アニメ映画の実写映画化だけでなく、

テレビ・アニメからの映画実写化も、メッチャ盛んです。

本作を製作したタツノコプロは、1970年代において、日本のテレビアニメ界で、大きな足跡を残しました。

そして、今年、タツノコプロ55周年を迎えて、

タツノコが1970年代に、アニメ化した作品の中でも、かなりと渋い快作を、実写映画化してまいったのであります。

3
特殊スーツを着れば、善悪関わらず、ミラクル・パワーを発揮する、なんて…

アメコミ「バットマン」「スパイダーマン」「スーパーマン」からの

変型応用が見られます。

7
加えて、1970年代に「燃えよドラゴン」(1973年製作・香港&アメリカ合作)シンドロームなどで、

一斉風靡したカンフー・アクションへの、

同時期の日本アニメからのアプローチが、顕著に見られる本作。

そのあたりの作りが、今の時代に異彩を放つような、特撮作品になっている点も見逃せません。

4
さらに、申し上げますれば、女アクションも、すこぶる盛り込んだ作品でした。

朗らか和やかに、アクトを披露する柳ゆり菜ちゃんや、

クールイズムな原幹恵の、サプライズ・アクトなど、

ある意味では、女アクションの、てんこ盛りだと言えましょう。

8
モチ、男アクト・男ヒロイズムは、メイン・ソースであります。

主人公役の溝端淳平しかり、その相棒役となる、山田裕貴しかり。

5
ちゅうことで、「仮面ライダー」チックなヒロイズムもあるし、

「燃えよドラゴン」ブルース・リーチックもあり、

CG特撮で魅せるアクションもありと、

正義の味方ヒーローものの、ツボを押さえた作品でありました。

6
一方においては、コミカル・モードがある点も強調したい。

ジャッキー・チェンものは、キレあるアクションがありながらも、ユーモラスでもありました。

そんなセンスが、本作にもありますので、楽しんでください。

9
スロー・モーションや、斜めカットの多用、

VHS的映像、ハードロックなサントラなど、

1970年代的をポイントにした、映画作りにも魅了されました。

とゆうことで、「仮面ライダー」にも決して負けない、

特撮ヒーローものの会心作です。

2017年5月 9日 (火)

「スプリット」⇒アメリカン・サスペンス映画の快作

1
「シックス・センス」の驚きにも近い、「サイコ」サスペンスだ

ヒッチコック監督を継承する、シャマラン監督節最新版

http://split-movie.jp/

5月12日のフライデーから、東宝東和の配給により、全国ロードショー。

本作は2017年製作の、アメリカ映画1時間57分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2017 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

「シックス・センス」(1999年製作・アメリカ映画)が、映画史に残るであろう、M.ナイト・シャマラン監督の最新作です。

かつて弊ブログで、シャマラン監督のマイ・ベスト&カルト・スリーなるものを、披露いたしましたが、

彼は、ブライアン・デ・パルマ監督と同様に、サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック(略称ヒッチ)監督に、

多大なる影響を、受けてはる監督さんであります。

でもって、本作などは、二重人格者を描いたヒッチの「サイコ」(1960年製作・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)を

24人格者とゆう、トンデモナイ犯人像で、応用した作品なのであります。

2
その犯人は解離性人格障害者でありまして、

その種の精神病者を描いた、ミステリー・サスペンスも、それなりに出てきていますが、

ボクはそんな中でも、そんな犯人が、女子高生3人を拉致して、隔離するなんてゆうことになって、

拉致拘束系ドラマとしても、機能してると思いまして、その種の映画の、マイ・ベスト・スリーを、考えてみました。

①コレクター(1965年・アメリカ)②ルーム(2016年・アメリカ・ブログ分析済み)③本作。

いちおう、順不同です。

3
孤独な犯人が1人で、弱者の女性たちを、拉致監禁してゆくパターンは、

この種の映画では、ベスト①以来、ある意味で定番的にはなっておりますが、

問題となるのは、その犯人像、そして、監禁される女たちのキャラ付け、並びに、

犯人からの逃亡ぶり、対抗ぶりでありましょうか。

一方的に、監禁されるパターンが、これまでは通例でありましたが、

でもしか、21世紀も10年を過ぎると、子連れ女1人な②とか、女子高生1人が対抗する本作など、

ヒロインが、拉致監禁する敵と、対決・逃亡するパターンが、出てきております。

4
対抗する相手は違いますが、「エイリアン」(1979年・アメリカ)のシガニー・ウィーヴァーなどの、

ヒロイン・ヒロイズムな抗戦ぶりは、本作でも十二分に見られます。

でもしか、本作の場合は、多重人格を当たり前のようにこなす、

ジェームズ・マカヴォイの存在感が、圧倒的な作りの作品となっておりました。

5
「サイコ」の多重人格系犯人像の在り方に加え、

被害者側のヒロイン視点としても、「サイコ」のシャワー・シーンが有名な、被害者役ジャネット・リーに対して、

本作のアニヤ・テイラー=ジョイは、まさにシガニー・ウィーヴァーやらと勝るとも劣らない、抗戦ぶりをば、演技してやるんどすえ~。

シャマラン監督の新たな挑戦やと、ボクは見ました。

ぜひとも、劇場で体感してくだされ。

2017年5月 5日 (金)

「追憶」⇒ゴールデンウイークのシメはコレだ

7
「駅 STATION」を思い出す、ヒューマン・ミステリー

岡田准一・小栗旬・柄本佑のアンサンブル演技に注目!

http://www.tsuioku.jp

5月6日の土曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

本作は2017年製作の、日本映画99分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017映画「追憶」製作委員会

幼なじみの3人が、大人になって、刑事(岡田准一)・容疑者(小栗旬)・被害者(柄本佑)として、

3人が一時に再会することはないけど、それぞれ2人同士の組み合わせで再会し、

過去と現在の事件が、ビミョーに絡みながら、展開してゆくドラマです。

1
さて、いきなりやけど、番外な話をいたします。

幼なじみの立場違いの、再会ぶりの設定で思い出すのは、

クリント・イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」(2003年製作・アメリカ映画)でありましょう。

幼い頃に事件に遭った3人が、大人になって、殺人事件を契機に、刑事・被害者の父・容疑者として再会。

そこで、じっくり本作を見てみると、主要キャストの何人かは、

「ミスティック・リバー」の演技陣(ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンら)の演技を、参考にしているようなとこが見受けられました。

いや、これはモチ、隠し味かもしれないけど、なかなか面白かったですね。

3
いつもながらに、ヒロイズムを意識した岡田准一、

冷静沈着な演技で魅せる小栗旬、

素朴な演技性でいく柄本佑。

この3人が同じシークエンスで、一緒に演技することはありませんが、

そのアンサンブルは、過去の事件や人間関係が、

現在形のキズナへと、つながる最後の方で、胸に染みてまいります。

4
女優さんらも、演技力を要求される、快演技を見せます。

岡田准一の妻役の、長澤まさみの、クールな繊細さ。

小栗旬の妻役の、木村文乃の、ボク的には初めて見た、彼女の柔和演技。

そして、過去と現在をつなぐ、2面性を演技する、演技派・安藤サクラ。

2
さてはて、本作は、高倉健作品で有名な、降旗康男監督作品です。

過去の監督作でゆうと、本作は、

「駅 STATION」(1981年)のタッチやテイストが、ある作品でありましょうか。

サスペンスやミステリーなとこもありますが、

イチバン重要なのは、ヒューマン・ドラマとしての、仕上がりぶりです。

6
でもって、富山ロケ映画。

富山と言えば、富山のいろんな街から見られる、立山連峰は外せません。

自ら監督した「劔岳 点の記」(2009年)でも、立山連峰そのものに、ロケを敢行しはりましたけども、

ちゅうことで、本作の撮影監督は、木村大作です。

ボク的には、「八甲田山」(1977年)の、過酷な雪山撮影シーンが、いまだに忘れられません。

本作でも、記憶に残る自然撮影シーンが、挿入されていますので、お楽しみに。

5
ほんでもって、過去シーンの色褪せた色合いも、渋いトーンがありました。

バイオリン、チェロの、美しき弦楽の音色のほか、

女性コーラスとフル・オーケストラで、感動的を作り出すサントラ使いも良かった。

とゆうわけで、感動のヒューマン・ミステリーに、思う存分に酔ってくだされ。

イラン映画「人生タクシー」

1
映画メイキング手法で、ドラマを作るニュー・スタイル

国家から規制されつつも、映画作家性はハズさない

http://www.jinsei-taxi.jp

5月6日のサタデーから、シンカの配給により、テアトル梅田やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作のイラン映画82分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 Jafar Panahi Productions

2
イラン映画やなんて、みなさん、見はったことは、ありますやろか。

拡大系映画しか見る機会がない、地方の方々などは、

おそらく、映画館で鑑賞する機会も、ほとんどないでおましょう。

でもしか、DVDだけやなく、正規のダウンロードもある現在、

イラン映画がラインナップに、入っているかどうか未確認ではありますが、

見られるだろうことを信じて、イラン映画の、マイ・ベストテン(順不同・合作含む)を披露いたします。

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①別離(2011年製作・弊ブログ分析済み)②本作③セールスマン(2016年・6月10日公開・後日分析)

④亀も空を飛ぶ(2004年)⑤友だちのうちはどこ?(1987年)⑥運動靴と赤い金魚(1997年)

⑦桜桃の味(1997年)⑧サイの季節(2014年・ブログ分析済み)⑨オフサイド・ガールズ(2006年)⑩酔っぱらった馬の時間(2000年)

●イランでは、映画製作においても、表現の自由がなく、規制されています。

そんな中でも、故アッバス・キアロスタミ監督の⑤⑦、バフマン・ゴバディ監督の④⑧⑩、少年系の⑤⑥など、

現実のリアルを重視した、アート系映画を主軸にした作品など、

映画ファンを刺激する作品も、ケッコーありますが、

最近では、もっと娯楽性にシフトした作品が登場しております。

7
しかも今、アカデミー賞を始め、世界の3大国際映画祭(カンヌ・ヴェネチア・ベルリン)で、イラン映画の受賞が相次いでおります。

古くは、カンヌで最高賞のパルムドールを受賞した⑦などもありますが、特に最近は、世界が大注目しておりますで。

アカデミー外国語映画賞を獲得した、アスガー・ファルハディ監督の①③。

そして、本作は、ベルリンで最高賞の金熊賞を、ゲットしてはります。

8
サスペンスチックに、ハラドキを演出する①③。

対して本作も、いろんな事件や社会問題性を、

ジャファル・パナヒ監督自らが、タクシードライバー役になって、

スリルに紡いでゆくスタイルです

アドリブ的な要素がありながら、緊張に満ちた乗客の、群像劇ドラマが展開してまいります。

その意味では、同じ監督による⑨も、スリリングかつ波乱に満ちた群像劇でした。

3

緊張に満ちた「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)と、

運転手・乗客群像劇オムニバスの「ナイト・オン・ザ・プラネット」(1991年・アメリカ)を、ミキシングして、

社会批評性を持たせたような作りは、やはり独特な味わいがあります。

9
8分近い長回し撮影からスタートし、

乗り合わせた2人の、男女の口論がまず描かれ、

交通事故に遭った夫妻、黒澤明映画などを売るビデオ宅配屋、命に関わるらしい、女2人のタイムリミット、

加えて、文句タラタラの運転手の姪の、キレのある演技ぶり…と、

次から次へと、ハラドキの展開が待っているねんで。

4
姪が文化祭披露用の映画を、撮ろうとしてやるんやけど、

その一方で、メインとしては、タクシードライバーを主人公にした、映画メイキング映画を、撮っているとゆう、構造の映画でして、

しかも、運転手を通して、体制へのアイロニーを伝える、なんてゆう作りの映画なんでおますよ。

5
アカデミー賞で話題になった③と、甲乙つけがたい仕上がりでおますんで、

ぜひ劇場体感してくだされ。

2017年5月 4日 (木)

「カフェ・ソサエティ」⇒ウディ・アレン監督の新作

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アレン節三角関係ラブ・ストーリーの快作品だ

ハリウッドとニューヨークを結ぶ、恋の行方はいかに?

http://www.movie-cafesociety.com

5月5日の「こどもの日」から、TOHOシネマズみゆき座、大阪ステーションシティシネマほか、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ映画96分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

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ウディ・アレン監督らしさに満ちた、三角関係ラブ・ストーリーの快作。

アレン作品のベスト&カルトは、かつても披露しましたが、

今回はラブ・ストーリーに特化した、アレン監督の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたします。

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●ベスト⇒①マンハッタン(1979年)②アニー・ホール(1977年)③ミッドナイト・イン・パリ(2011年)

●カルト⇒①本作②カイロの紫のバラ(1985年)③世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年)

●ベスト①ベスト②の、NYラブ・ストーリーから始まり、

イタリア・ヴェニスに出っ張って、一部ラブも披露したカルト③以降、

21世紀には、ヨーロピアン・ラブを披露。

その最高傑作が、ベスト③でありましょうか。

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その一方で、映画に根ざした、ラブ・ストーリーも、時おり披露してはります。

共に1930年代を背景に、観客側の映画への、感情移入による夢想的ラブのカルト②、

対して、本作カルト①は、映画製作側からのアプローチです。

ユーロものを、撮り上げ続けてきたアレン監督が、再びNYものへと回帰するスタイルを、

ハリウッド映画界を経由にして描いた、いわゆる、

アレン監督の、集大成的三角ラブに、着地するような作品でありましょうか。

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まずは、ハリウッド映画業界での、三角関係が描かれます。

業界の名エージェントとなってる叔父(スティーヴ・カレル)を頼って、

NYから青年(ジェシー・アイゼンバーグ)がやって来ます。

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でもって、青年は叔父の秘書(クリステン・スチュワート)と知り合い、仲を深めてゆくんやけど、

やがて彼女は、自分には恋人がいると告白します。

ちゅうことで、その恋人との、いわゆる三角関係が描かれるんやけど、その恋人と申せば…。

ネタバレになるかどうかは、ビミョーですが、まあ、大たい予想できるんやないかな。

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でもって、失恋した青年は、NYに戻り、兄が経営していたナイトクラブを引き継いで、大繁盛へと導きます。

美女(ブレイク・ライブリー)とも結婚して、コドモまで儲けて…。

でもしか、その後、恋の波乱万丈てヤツが、待ち受けておりましたがな。

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ユニークにも、とことん三角関係、そして、恋の行く末・結末にこだわる、ウディ・アレン節が、徹底された作品でありました。

好みは無論、分かれるかもしれませんが、

これはもはや、アレン監督の専売特許としか、言えない作りになっとります。

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ジェシー・アイゼンバーグの、いつもながらの、クセのないフツーの青年ぶり、

対して、悲喜こもごもを、明るさを主調に、絶妙に演技するクリステン・スチュワート。

アレン作品のアクトレス・ディーヴァ性に、メッチャマッチした演技ぶりでありました。

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タイトに繰り出される、ナレーションのリズムに加え、

ジャジーなサントラ使いなども、見事なフックになった快作です。

2017年5月 3日 (水)

「草原の河」⇒チベット舞台の中国映画

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「こどもの日」に、ピッタリの作品が上映中だ

いわゆる「アルプスの少女ハイジ」の、チベット版やで~

http://www.moviola.jp/kawa/

4月29日の「昭和の日」から、ムヴィオラの配給により、岩波ホールやらで上映中。

関西やったら、5月6日から、第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、中国映画98分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

映画の出来とか、仕上がり具合とかに関係なしに、

コドモがメッチャかわいい映画って、みなさんもイロイロ、見はったことがあるでおましょう。

そのかわいさに加え、ああ、かわいそうやん、なんかも含めまして、

かつても弊ブログで、少年・少女コドモ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露しましたが、

本作も加えまして改めて、少女に限定して、かわいさ・かわいそうをキーに、思いつくままに、披露してみますと…。

各順位通り。映画の出来・不出来は、全く関係なし、でおます。

2
●ベスト⇒①火垂るの墓(1988年製作・日本映画・アニメ)②禁じられた遊び(1952年・フランス・モノクロ)③ペーパー・ムーン(1973年・アメリカ・モノクロ)

●カルト⇒①本作②おしん(2013年・日本)③亀も空を飛ぶ(2004年・イラク&イラン)

●この種の映画は、日欧米の定番系と、映画後進国のコドモ主演映画とに、ボク的には、クッキリと分かれてしまうようなカンジになってしまいますね

映画作術的に、意図的に作り込んだベスト②③と、

素朴な、流れのままに撮った、本作・カルト③の違いは、

明らかに、自然体かそうでないかの、違いでありましょう。

5
また、お涙ちょうだい系を、意図的に作り上げようとした、ベスト①カルト②の日本映画も、

あくまで映画的ドラマ性を、意図したものでした。

本作は、そういう意図性はほとんどなく、

さらに、ベスト①を始めとした、スタジオジブリ・アニメや、

「アルプスの少女ハイジ」なんかの、テレビ・アニメで描かれる、

ドラマ的に作られた少女とも、大いにその描き方を、異にしています。

でもしか、アニメ世代の人や、耐えるコドモ「おしん」世代の中高年世代にも、通じるリアルがあるのが、

本作であると、ボクは断言いたします。

4
元気系の「アルプスの少女ハイジ」に対して、素朴系の本作ですが、

作品の中に内包されたもの、その質度は同じものでありましょう。

少女のクローズアップの頻出。

対して、背景描写として、空と草原、風吹く荒野などのロングショットのキレ、

効果音・チェロや詠唱のサントラ使いなど、

演技は自然体で通しながらも、映画的作りに徹した仕上がりぶりは、

コレが初めて日本公開される、チベット人監督の作品だとは、とても思えない、

映画芸術的に、質の高い作品になっています。

3
オトンとオカン、オジンとの関わりはモチ、放牧の羊とのキズナぶりなど、

少女ヒロインの全ての「動作」を、最初から最後まで見つめ続けて、

ウーン、かわいいやん!と、思わずうなれる作品でした。

とゆうことで、少女ヒロインの、自然体を極めた傑作です。

2017年5月 2日 (火)

「八重子のハミング」⇒GW火曜日本映画劇場

1
アルツハイマー映画なのに、メッチャあったかい

佐々部清監督の良心が見える、好感度の高い快作だ

http://yaeko-humming.jp

5月6日の土曜日から、アークエンタテインメントの配給によりまして、有楽町スバル座、新宿武蔵野館、横浜ニューテアトルなどで、全国順次のロードショー。

関西は、5月13日からシネ・リーブル梅田やらで上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒTeam「八重子のハミング」

5
アルツハイマー映画、加えて老老介護なんてなれば、みなさんのイメージは、どないなもんでしょうか。

元来、その種の映画は、暗く重く沈んだ映画が多かったように思います。

日本映画なら、定番の老人ボケな「恍惚の人」(1974年製作)とか、

本作と同じく、若年性アルツハイマーの「明日の記憶」(2006年)なんか。

洋画では、老老介護で、悲惨な結末を迎える「愛、アムール」(2012年・フランス&ドイツ&オーストリア合作・弊ブログ分析済み)など、

映画的評価は高いけど、鑑賞後感は決して、明るくはない映画があったりします。

2
そんな予備的知識の中で、本作を見ると、

これが日本映画的に、お涙ちょうだい的な人情節に流れつつも、

安直なハッピーエンドではないけども、アルツハイマー映画でも、明るさを見せている映画でありました。

夫妻映画には、イロイロ傑作がありますが、特に、夫妻のどちらかが、病気になっている夫妻映画は、これまでにも相当数のタイトル数がありますが、

本作の良さは、その過程の描写に加え、どこまでも優しく献身的な在り方に、ある意味で、恐れ入る作品になっているところでしょうか。

4
癌になったダンナ(升毅・ますたけし)。

その看病で、徐々に若年性アルツハイマーになるヨメ(高橋洋子)。

ダンナが癌を何とか克服しても、今度はヨメがえらいことになってしもた。

実話ながら、こおゆう流れのアルツ病は、非常に珍しい。

しかも、老老介護を、緻密に見せる仕上げとゆうのも、かなりと珍しい作品であると言えましよう。

3
本作は、佐々部清監督作品です。

かつて弊ブログで地方ロケ映画の、ベスト&カルトもやりましたが、

出身地の山口ロケ映画を、次々に繰り出す佐々部清作品は、

尾道3部作の傑作がある、大林宣彦監督作品と、まさに甲乙つけがたしな仕上がりぶり。

でもって、本作も山口ロケながら、観光地的映画作りを一切排し、

ドラマに徹した作りは、今さらながらにスゴイと思います。

7
主人公の講演会と、過去をカットバックさせる、映画らしい作りなんかもいいし、

主人公のナレーションと、その時々に詠んだ短歌を字幕で示す、心境描写も特長的。

夫妻映画としてだけではなく、家族映画の中における、夫婦映画とゆう視点も、

日本映画らしい、キズナの在り方を示しています。

6
個人的には、高橋洋子の、28年ぶりの映画出演(しかも主演)の、サプライズに驚きました。

オーディションで、秋吉久美子に勝って主演した映画「旅の重さ」(1972年)、

オールヌードを披露した「サンダカン八番娼館 望郷」(1974年)などで、

ボク的には、すっかりトリコになってしもたんやけど、

小説家の方へ行ってしもて、なんでやねんと、残念がってより、30数年。

あの頃のアイドル的初々しさのまま、老年を迎えたような演技ぶりを感じてしもて、胸にきよりました。

そして、ラストロールで、フル・バージョンで流れ来る、

谷村新司チンペイの、ウットリ渋~い「いい日旅立ち」や。

いやはや、こりゃ、トンデモたまりまへんでしたえ~。

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