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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年3月29日 (水)

日本映画「話す犬を、放す」

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母娘のキズナを、ユニークな視点で描くほっこり作品

愛犬を媒介とした、家族映画の快作だ

http://hanasuinu.com/

3月25日の土曜日から、アティカスの配給によりまして、テアトル梅田ほかで上映中。

本作は、2016年製作の、日本映画84分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ

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本作の前に分析した、フランス映画「モン・ロワ」に続き、女性監督(熊谷まどか)による作品。

日本映画界は各国と比べても、女性映画監督は、世界で最も多いのではないでしょうか。

女性監督の宝庫であり、激戦国と言ってもいいくらい。

そんな中で、新たな才能の誕生であります。

個人的にも、ボクと同じく同志社大学の後輩なだけに、熊谷まどかには、メッチャな熱視線を傾注いたしました。

結論から申し上げますと、女性監督らしい柔和な視線と作りが、総体的に心地よかった。

描かれるのは、母娘のお話です。

アルツハイマーな母(田島令子)、小演劇を主宰する、女優・演出家の娘(つみきみほ)。

こんな2人のやり取りやキズナが、死んだ愛犬への想いを媒介にして、紡がれてまいります。

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ペットへの想いを紡ぐ映画なら、みなさんも、いっぱい見ておられるかもしれませんが、

本作は、少し違った取り込み方をしております。

生き物をフィルターにして、人間や人間のキズナを描く映画としては、

ボクが一番大好きな邦画は、「さよなら、クロ」(2003年製作)なのですが、

本作はイヌへの想いは、さほど熱くなく、

また、母が見る愛犬の幻影という格好で、どちらかと言えば、クールなカンジで展開いたします。

つまり、イヌ映画にある、ある種の感動は稀薄ながら、

その向こうに見え隠れする、母娘の想いを、じんわり伝えて、

鑑賞後に、ほんわかになれる、癒やしの渋い作品になっているのです。

さらに、そのテイストをベースに、アルツハイマーもの映画や、

娘が出演するとゆう映画の、映画メイキング映画のタッチも付加されて、

インディーズ映画ながら、練り上げられた作品になっております。

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娘役主演は、久々の映画主演となる、つみきみほネーさん。

「ちはやふる 下の句」(2016年・弊ブログ分析済み)で、ちょっと見たけど、それもかなり久々とゆうカンジでした。

「櫻の園」(1990年)から、その後のテレビのトレンディー・ドラマ出演やらで、とんがった強気な女を、演じ続けてきた彼女。

熊谷監督と同じ女性監督・西川美和監督「蛇イチゴ」(2002年)では、

本作と同じく、家族ドラマの中でも、印象深い妹役を演じていました。

そして、「蛇イチゴ」より、14年を経た本作でも娘役。

でもしか、本作では、「蛇イチゴ」の時よりも、だいぶと丸くなっています。

昔の彼女のイメージもあることはあるけども、まるで初めて見るような新鮮味がありました。

ぼんやりとボケまくる、母役・田島令子との掛け合いも、自然体のノリで、スムーズに見られました。

セピア・フィルター入りの母娘の過去描写、ピアノ・ソロ・サントラの使い方など、女性監督らしい細部の、繊細な作りにも魅せられた快作品。

ほんでもって、イヌ映画としての新しい試みにも、ぜひ注目していただきたい作品です。

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