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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年2月の記事

2017年2月28日 (火)

「素晴らしきかな、人生」

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「素晴らしき哉、人生!」への、オマージュ的な作品

ウィル・スミスの、哀愁深き演技に魅了される

http://www.warnerbros.co.jp/subarashiki-movie/

2月25日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給で、全国ロードショー。

本作は2016年製作のアメリカ映画97分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

6ⓒ2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

「素晴らしき哉(や)、人生!」(1946年製作・アメリカ映画/ジェームズ・スチュワート主演/フランク・キャプラ監督)と、

シンクロナイズするだけでなく、オマージュも捧げられた快作が、本作だと分析します。

タイトルだけやありません。内容そのものが、ピッタリコン。

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冒頭の2枚目の写真では、主人公のウィル・スミスは好調企業の社長として、社員を前に前向きな弁舌を披露しますが、

幼い娘が死亡して、心神喪失し、今やドミノ倒しのドミノを、無機的に並べるだけの、無気力人間になってしまいました(写真3枚目)。

5

そんな主人公のココロを癒やし、元の前向きなココロを戻すべく、

幹部のエドワード・ノートンと、ケイト・ウィンスレットらが、何とかせんと、ココロ悩ませますが、

やがては、3人の舞台演技者を見つけて、主人公に接触させ、生きる気力を取り戻させる方向へ。

3

一体、どのような主人公と、3人のやり取りなのかは、見てのお楽しみなんですが、かなり変型設定の内容になっています。

そのリアリティーのなさあたりに、ウウームとうなる方がいるかもしれませんが、

むしろこれは、仮想ファンタジーを取り入れた、ドラマなのだとみれば、この設定も全く違和感なく受け入れられるのです。

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主人公をポジティブにさせる役には、ヘレン・ミレンやキーラ・ナイトレイらが扮していますが、

そのお手並みもまた、見てのお楽しみです。

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見どころは、やはり、主人公と3人の駆け引き、さらに、エドワードとケイトの関わりでしょうか。

主人公に敵対的な役柄は1人もいず、

とことん前向き系を強調していく流れは、キズナ系映画のお手本的な、作りと演出でありました。

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実は、はっきり言って、家族の問題でありまして、

それを、このような変節ぶりで展開されると、

邦画の家族ドラマやらに、慣れてしまった人には、戸惑う向きもいるかもしれません。

4

でもしか、ウィル・スミスが、その戸惑いを解消させるような、

柔軟な哀愁ぶりを示して、お見事な演技ぶりを示してくれます。

1

そして、今年のアカデミー賞の作品賞を、間違って受賞(!?)した「ムーンライト」(2016年・アメリカ・後日分析予定)の、

演技にも注目したい、ナオミ・ハリスの、好感度あふれる優しい演技ぶりは、

本作の、大いなるポイントになっています。とゆうか、大いなるネタであります。

2

「素晴らしき哉、人生」のジェームズ・スチュワートと、ダブルようなウィル・スミスの演技や、

天使とは違う、新たな設定の、人間天使たちの演技ぶりなどに、きっと魅了されるはずです。

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でもって、ナンチューても、さわやかなラスト・シーンに癒やされました。

決して批評家の、評価の高い作品ではないかもしれませんが、

観客は間違いなく感動するだろうし、ボクもその1人です。

前向きな人生を取り戻す映画として、多彩にあるその種の名作と比べても、決して退けのとらない傑作でした。

2017年2月27日 (月)

「クリミナル 2人の記憶を持つ男」⇒ケヴィン・コスナー主演作

1
ケヴィン・コスナー、久々の主演アクションで魅せる

CIAものと記憶転移ものを、合体させた快作だ

http://criminal-movie.jp

2月25日のサタデーから、KADOKAWAの配給によりまして、新宿バルト9やらで、全国ロードショー。

本作は2016年製作の、イギリス・アメリカ合作の113分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 CRIMINAL PRODUCTIONS, All Rights Reserved.

本作は、ケヴィン・コスナー主演映画。

そんなん、とっくの昔に終わっとるやん、なんて言えないくらいの、なかなかの大健闘やねん。

以前にもやりましたが、改めて彼の主演作の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①アンタッチャブル(1987年製作)②ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990年)③JFK(1991年)

●カルト⇒①本作②ワイルド・レンジ/最後の銃撃(2003年)③追いつめられて(1987年)

2
●アメリカン・ヒロイズムを、演技してきた男優の系譜で言えば、コスナーは当然、正統派の系譜で入ります。

1990年代を代表していました。

その前後や同時代のマイ系譜でゆうと、トム・クルーズ、ブラッド・ピット、ジョニー・デップなんかとシンクロ・比較されるのですが、

でもしか、演技力では、トム・ハンクスらと並んで、一等抜きん出ている存在だったように思います。

ベストもカルトも、観客の好感度の高い、カッコイイ・ヒロイズムを演じているとは思うのですが、

本作では、悪役経由の善玉・正義の味方役とゆう、彼のキャリアとしては初の悪役風味入り、

ほんでもって、サイコチックな役柄に挑みました。

3

CIAものに加え、記憶転移ものとゆうスタイルで、描かれるハラドキのアクションは、

ボク的には、2人の容姿が変わる「フェイス・オフ」(1997年)と、

「ボーン」シリーズ(第1弾は2002年)を、ミキシングしたような、ドラマ・テンションがあったかと思います。

殺されたCIAスパイ(ライアン・レイノルズ)の脳を、荒くれの囚人(ケビン・コスナー)に移植して行動させ、事件の真相に迫るとゆう内容なのですが、

昨年の日本映画「秘密 THE TOP SECRET」(弊ブログ分析済み)にも、記憶転移の映画はありましたが、

こちらは、ミステリー的興味よりも、主人公の心理とヒロイズムを、掘り下げたものになっています。

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極悪人ぶりを見せる前半と、そこから徐々にヒロイズム化していって、最後には…とゆう展開は、

善悪転移ヒーローものとしては、定番のようでありながらも、

最後まで、ハラハラドッキリな、手に汗握るスリリングで魅せてくれます。

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名優にして名バイ・プレーヤーの、ゲイリー・オールドマンや、

トミー・リー・ジョーンズらとの、関わりの中で、主人公のヒロイズムは開眼してゆき、

最後には、写真一番下にあるように…とゆう結末が待っています。

コスナー主演作の、久々の快作でした。

彼の過去の作品と、アクション部やラブ・ストーリー部が微妙にかぶり、そして、さわやかなラスト・シーンへと向かいます。

コスナー・ファンは今や、老年期を迎えているかもしれませんが、

彼ら彼女らはもちろん、若き映画ファンも、充分に楽しめる作品になっていると思います。

ボク的には、「フェイス・オフ」と、ぜひ比べて見ていただきたい。

本作の面白さが、より倍化するはずです。

とゆうことで、「フェイス・オフ」と、おんなじくらい、痛快に楽しめる快作でした。

2017年2月23日 (木)

「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」

1
異能の心理学者の人間ドラマ映画

ピーター・サースガードとウィノナ・ライダーが、夫婦役で魅せる

http://www.next-eichmann.com

2月25日のサタデーから、アット エンタテインメントの配給によりまして、新宿シネマカリテやらで、全国順グリのロードショー。

関西では、3月11日から、シネ・リーブル梅田やらで上映。

本作は、2015年製作の、アメリカ映画98分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2014 Experimenter Productions, LLC. All rights reserved.

4
学者・教授・博士・科学者・発明者らが、主演となった映画は、

何やら映画的には、異能で奇矯な、カルティックな怪作が、多いように思いますが、

そんな作品の、カルトだけに括らずに、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに、披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①博士の異常な愛情(1963年製作・イギリス映画)②ビューティフル・マインド(2001年・アメリカ)③ジキル博士とハイド氏(1932年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②ミューズ・アカデミー(弊ブログ分析済み)③フラバー(1997年・アメリカ)

●サイコな人間ドラマ性を、初めて示したベスト③、

博士の核への愛を、ブラックに示したベスト①など、

この種の映画は、博士がマトモじゃないところを示す作品に、評価の高い作品が、多いように思われます。

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一方で、発明者たちが変なものを発明して、ドラマを面白くするようなカルト③なども、

映画的娯楽面で、機能しているところもあります。

さて、そんな中において、本作やベスト②のように、実話系のドラマもあり、

また教授人間ドラマを、ユニークな視点で描き込まれた、本作やカルト②があります。

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本作は、特殊な「服従実験」で、人間心理を探る、実在の実験と実験者を描いています。

「アイヒマン・ショー」(ブログ分析済み)や、「ハンナ・アーレント」(分析済み)などで描かれた、

ユダヤ人を虐待した、ナチスの幹部が、なぜそんな行為に走ったのか。

それを、1960年代に、一般人に仮託して実験し、

その心理を分析するのが、本作で描かれる実験の実態です。

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その後の評価を見るにつけ、賛否両論かしましい実験だったのですが、

その実態が、おそらくリアルにそのままに、描かれているかと思います。

そんな実験を考案した、スタンレー・ミルグラム教授役に、ピーター・サースガードのアニキが扮しました。

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彼が出演した映画は、いくつか見ています。

そして、思うに、彼の持ち味は、無表情なクールで、分析するように、セリフを紡ぐところでしょうか。

いやはや、この非情とも言えなくはない、冷静沈着ぶりは、ウウーンとうなるような、演技ぶりでありましょう。

象徴的なゾウをバックにした、ナレーション・シーンや、

いろんな野外実験での様子など、説得力はあんましないけど、

思わず引き込まれるカットが、いくつかありました。

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そして、彼と出会ってすぐに恋に落ちて、結婚するウィノナ・ライダーのネーさんの、

怪演ぶりにも、異能インパクトがあります。

久々に見た彼女ですが、彼女にまつわる、いろんな悪い噂に見合うような演技なのです。

そこは開き直ったのか、それとも…なのですが、それでも、ボクは彼女の演技ぶりに、ココロ魅かれました。

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1960年代頃まで使われた、映像をバックした、夫妻の車内ツーショット・シーンなど、

時代感を示すシークエンスも、妙味がありました。

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この実話が、テレビドラマ化されたシークエンスもまた、雰囲気は1960年代でした。

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ミルグラム博士は、1984年に51歳で心臓病で、逝去するのですが、

映画化もされた、ジョージ・オーウェルのSF小説「1984」になぞらえられるのも、妙に一興でした。

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異能の心理学者の人間ドラマとして、注目すべき作品でしょう。

また、1960~1970年代の映画的タッチもあって、ボク的には、渋くココロにきた作品でした。

2017年2月22日 (水)

「きょうのキラ君」⇒飯豊まりえ・中川大志共演

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コミック原作の、学園ラブ・ストーリーな

ニュー・アイドル映画の誕生だ

http://www.kirakun.jp

2月25日の土曜日から、ショウゲートの配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「きょうのキラ君」製作委員会

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見出しには書かなかったのですが、本作はラブ・ストーリーではあるのですが、

男女のどちらかが、不治の病系のラブなんです。

ところが、実は、病系にありがちな、暗いトーンがほとんどないとゆうか、

むしろ逆に、さわやかな仕上がりになっている、不思議な映画なのです。

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「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作)のような、「助けてください」な逼迫感もなく、

吉永小百合主演の「愛と死をみつめて」(1964年)のような、とことんなお涙ちょうだい節もない、

ホンマ、不思議快感な作品になっているのです。

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ボクのカンジでは、末期ガンの主人公の恋愛映画「8月のクリスマス」(2005年)の静謐なたたずまいが、

明るいモードに変換した上で、さらにゴキゲンな、ラブ・ストーリーへと走ってゆくような、そんな映画なのです。

古い言い方ですんませんが、驚き桃の木な、

明朗快活な、病系学園ラブなのであります。

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さてはて、ラブ・ストーリーとして見た場合、本作は始まって47分くらいで、ラブが成就してしまいます。

その時点で、本編はまだ半分以上残っておりまして、

そしたら、その後は、2人の恋愛のイロイロや、別れなんかも、描くのかなと思いきや、実はチョイと違っておりました。

モチ、病系としてのドラマツルギーも、それなりに展開はするのですが、

そのあたりは、見てのお楽しみとゆうことで…。

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ニュー・アイドルたちが登場します。

主演男優は中川大志クン。

ジャニーズ所属じゃない男優アイドルは、この時代には稀有であります。

しかも、好感度の高い、さわやかな演技ぶりです。

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「暗黒女子」(4月1日公開)などの主演作も控える、飯豊まりえチャン。

癒やし系キャラが、メッチャたまりません。

飼ってる九官鳥を先生と呼び、

ほんで、今や天然記念物的とも言えなくはない、男に尽くすタイプな女の子。

こんな彼女がいたらエエな~と思える、そんな演技ぶりでした。

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「サクラダリセット」(前篇3月25日公開・後篇5月13日公開・弊ブログ後日分析)では、

キー・ポイントな役柄を演じる、平祐奈ちゃんなどの、脇役にも注目あれ!です。

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監督は、川村泰祐のアニキ。

「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」(2010年・ブログ分析済み)の上野樹里、

「映画 秘密のアッコちゃん」(2012年・分析済み)の綾瀬はるか、

「海月姫」(2014年・分析済み)の能年玲奈など、

ヒロイン・アイドルの演出ぶりに、才能を発揮する監督なだけに、

本作も絶好調なメガホンぶりを、発揮しています。

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冒頭。ロック・バンド・サウンドに乗って、校舎の屋上まで、飯豊まりえが駈けてゆくシーンや、

ピアノに乗って、中川大志が傷ついた小鳥を介抱し、飛び立たせるシーンなど、

サントラ使いも印象的でした。

[Alexandros](アレキサンドロス)の、キャッチー・ナンバー「今まで君が泣いた分取り戻そう」なんか、ググッときましたで~。

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不治の病入り学園恋愛映画でも、

「世界の中心で、愛をさけぶ」セカチュウの、

対極に位置するような映画です。

その摩訶不思議な、癒やしの世界へと、入ってみてください。

「バンコクナイツ」⇒3時間の快作日本映画

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外人ヒロインが主役の、海外舞台のユニーク日本映画

異国の地での日本人たちは、どう描かれるのか、注目!

http://www.bangkok-nites.asia

2月25日の土曜日から、空族の配給により、テアトル新宿やらで、全国順グリのロードショー。

本作は2016年製作の、フランス・タイ・ラオスとの合作による、日本映画182分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒBangkok Nites Partners 2016

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本作は、海外を舞台にした日本映画です。

さてはて、そんな邦画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに披露しますと…。

●ベスト⇒①僕らはみんな生きている(1993年製作)②化石(1975年)③戦場のメリークリスマス(1983年)

●カルト⇒①本作②カポネ大いに泣く(1985年・鈴木清順監督作品・合掌!)③モスクワわが愛(1974年)

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●日本人たちの海外での行動ぶりを描いた、戦時のベスト③、クーデター時のベスト②などが、

この種の映画の、名作になっているのですが、

日本人の海外での活躍を描くカルト②なども、

その種のヒロイズムな、群像劇的作品と言えるでしょうか。

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一方において、ラブ・ストーリーも、ケッコーあります。

バレエ・ダンサー男女の、病系恋愛のカルト③。

パリでの老いらくの恋を描くベスト②。

そして、本作は、アジアの第三世界国での、男女の恋愛を捉えた映画です。

しかも、今までのこの種の恋愛ものは、日本人側が主人公・ヒロインになっていましたが、

本作は、邦画では初めてとも思える、タイのホステス・娼婦がヒロインになっています。

さらに、日本人たちとの絡みの中で、

タイのヒロイン映画としての、オリジナルな存在感を示す作りなのです。

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ヒロインの生き方が、3時間とゆう長尺の中で、じっくりと描かれてまいります。

1970年代の、タイへの日本企業の進出で、日本人向けの歓楽街が、現地で作られました。

そこのホステスクラブで、働いているのがヒロインですが、ヒロイン以外のいろんな女たちも、描かれてゆきます。

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もちろん、メインは、ヒロインと日本人との、何やらフツーの恋愛とは異なる、変化球な恋愛なのですが、

そのあたりを、流れのままのように、巧妙に見せていきます。

ロングショットを中心に、写真にもあるように、タイの乗り物に乗っての2人の、ツーショットな長回し撮影など、

映画的撮り方を、全編に配して撮り上げています。

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また、タイの民族音楽や、ギター・サウンド、エレキギター、オールディーズな曲など、

ポップなサントラを随所に配して、ノリの良さを構築していく作り

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監督は、山梨の民族の吹きだまりを、衝撃的に捉えた「サウダーヂ」(2011年・弊ブログ分析済み)の傑作がある、富田克也。

本作では、「サウダーヂ」に勝るとも劣らない、吹きだまり状況を見せる会心作を、創り上げてきました。

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とゆうことで、ありきたりなヒロイン映画や恋愛映画とは、大いに違うテイストを、

3時間にわたり、みっちり味わってみてください。

2017年2月21日 (火)

「彼らが本気で編むときは、」⇒生田斗真&桐谷健太共演

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生田斗真と桐谷健太らが、メッチャ魅力的

共同生活映画の、新次元へいってみよう!

http://www.kareamu.com

2月25日の土曜日から、スールキートスの配給により、全国ロードショー。

本作は、2017年製作の、日本映画127分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

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本作は、生田斗真と桐谷健太の同棲生活のところに、

1人の幼い娘がやってきて、共同生活を始めるとゆうタイプの、あったかキズナ映画です。

シングルマザーの桐谷の姉(ミムラ)が、男の元へ去ったことにより、

1人ぼっちになってしまった娘が、叔父の桐谷を頼ってくる。

そこに、ジェンダーの生田斗真が、いたとゆう展開。

1
共同生活映画とゆうのは、家族映画の変格系として見られがちですが、

そのキズナぶりは、血族・他人関係なく、あくまでおんなじようなテイストがあり、感動させてくれます。

さてはて、ここで、共同生活もの日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー

(各順不同・思いつくままなんで、いくつもポロッと、ハズれとる名作もあるかとは思いますが、ご了承くだされ)

を、披露させてもらいますと…。

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●ベスト⇒①本作②キッチン(1989年製作)③ハッシュ!(2001年)

●カルト⇒①本作②パレード(2008年)③トキワ荘の青春(1996年)

●いわゆるアパートなどの、共同生活ものカルト②③などは、

他人同士の共同生活ものとして、あたりきに考えられるものではありますが、

いろんな人がいるということで、人間ドラマの幅は広がって面白みを増します。

一方で、特定系とゆうか、特にベスト②以来、ゲイの中に何人かが、入って暮らすタイプが、ケッコー出てきています。

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さらに特定すれば、3人系の核家族的他人系が、

人間ドラマの最小稠密系を、集中的に見せる点において、評価の高い作品になることが多いようです。

ゲイの2人に女が入るベスト③、

そして、本作のように、ゲイ2人にコドモが入るタイプ。

洋画の最新作で言えば、「チョコレート・ドーナツ」(2015年・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)の、

感動テイストを、盛り込んだ作品であると、ボクは見ました。

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何はともあれ、生田斗真と桐谷健太らが、好感度あふれる演技を見せています。

その演技は、好感度の高かった「チョコレート・ドーナツ」を、超えた好感度ぶりでして、

説得力に加え、思わず泣けるとこもありで、感動度の高い演技ぶりでした。

ジェンダー役の生田斗真は、役者キャリア過去最高の演技力を示し、

また桐谷健太も、誠実系でとことんいく、素晴らしい演技ぶりでした。

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女性監督・荻上直子監督の、これまでのマイ最高傑作「かもめ食堂」(2005年)を超えて、マイ・ナンバーワンになりました。

モチ、今のところ、人気ブログランキング・映画にも、書いていますように、

今年の邦画のマイ・ナンバーワンです。

女3人のキズナ「かもめ食堂」の、友情キズナも当然良かったのですが、

今作の男2人女の子1人のキズナは、あまりにもグッとき過ぎた、きらいさえありました。

設定によっては、共同生活ものには、感動作の宝庫のようにも見える本作の作りは、

意図的ながらも、でもしか、良質な日本映画の、一つの未来形を示しています。

とゆうことで、長らくココロに残る傑作に、なるハズの映画です。

2017年2月17日 (金)

「一週間フレンズ。」⇒週末日本映画劇場

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記憶喪失系の快作ラブ・ストーリーだ

学園ラブ・ストーリーとしても、爽快な仕上がり

http://www.ichifure.jp

2月18日の土曜日から、松竹の配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2017年製作の、日本映画120分。

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ⓒ2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ」製作委員会

記憶喪失系の映画とくれば、イロイロ出てきましたが、

一週間サイクルの、解離性記憶障害ナンチューのは、初めてでしょう。

短時間しか記憶が、持続しないサスペンス映画「メメント」(2000年製作・アメリカ映画)なんぞもありましたが、

単なる記憶喪失ではなく、いろんな記憶喪失バージョンを、

取り込んで、ドラマ設定化してゆくのは、映画の幅を広げるものでしょう。

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但し、映画的テーマや、ジャンルの基本ラインは、ほとんど変わりません。

「メメント」はサスペンスですが、サスペンスを際立たせるための、記憶喪失設定であり、

でもって、本作は、学園ラブ・ストーリーを、斬新に見せるべくの、ヒロインの記憶喪失設定なのです。

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つまり、何が言いたいのかとゆうと、

いろんな細かいとこで、いろんな異色な設定が、あったとしても、

ラブ・ストーリーとしての、基本ラインや流れは、これまでと同じで、

恋の成就にまつわる、もどかしさやハラドキの、展開が持続していくのです。

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不治の病気や記憶喪失や、そのほかのいろんな障害や拮抗を入れない、

2人の男女だけによる、ストレートなラブ・ストーリーは、

恋愛映画の王道ではありますが、

そんなんばかりじゃ、つまらないとゆう人も、当然いてはりまして、

つまりは、そんな変則ラブの、在り方の一つとして、本作があるわけであります。

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一方で、学園ラブとしては、アイドル映画としての、ポイントもあります。

ヒロインだけじゃありません、男の方にも当然あります。

女の子は川口春奈ちゃん。男は山崎賢人クン。

春奈ちゃんが記憶喪失で、そんな彼女に、アタックするのが賢人クン。

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この種のアイドル日本映画は、これまでに多数作られてきました。

時代時代によって、観客の嗜好は、違うとは思いますが、

女のかわいらしさと優しさ、男の積極性と勇気とゆう、

分かりやすい流れや関係性は、今も昔も変わっていないように思いました。

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しかし、だからこそ、その時代の若者を中心に、ココロをくすぐり、ときめかせるのでありましょう。

山崎賢人クンは誠実やし、川口春奈ちゃんは、とことんかわいいし。

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2人共、ボクはいろんな主演映画を見て、弊ブログで分析してきたけど、

年齢的なこともあってか、学園ものがメインになっていますが、

本作では、好感ある演技としては、2人共、最高の演技を示しているのではと思います。

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今やトレンドのコミック原作でもあり、

また、大ヒットした「君の名は。」(2016年・弊ブログ分析済み)と、

かなりとシンクロナイズするような、作りになっているところにも、注目してみてください。

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スキマスイッチの、メロデイアスな名曲「奏(かなで)」が、印象的なところで使われています。

いずれにしても、いろんなところにおいて、トレンドな作りになっている本作。

デート・ムービーに、ピッタリの快作でしょう。

2017年2月16日 (木)

「劇場版 ソードアート・オンライン-オーディナル・スケール-」

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ゲーム的アクション・アニメの最新版だ

主人公とヒロインが、大活躍する物語だ

http://www.sao-movie.net

2月18日の土曜日から、TOHOシネマズ梅田、梅田ブルク7ほか、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2016 川原磔/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

ゲーム原作の映画と言えば、実写版からアニメまで、多彩に作られてきましたが、

本作は、ゲーム原作ではなく、小説原作でして、

そういうのんは、今の時代には、ヒジョーに珍しいと思います。

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ゲーム原作のアニメの、嚆矢的な映画と言えば、

ボクの記憶では、「ファイナルファンタジー」(2001年製作・アメリカ映画)ではないかと思いますが、

本作は、そんなゲームのオリジナル・スタイルを、構築した上で、

ゲーム・アクション・ドラマを、展開するとゆう、斬新な作りになっています。

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最近の邦画アニメでゆうと、

本作は、「モンスターストライク」(2016年・弊ブログ分析済み)なんかと、

シンクロナイズするのではないでしょうか。

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命がけのゲームに挑む、主人公のキリトの活躍は、本作のメイン・ポイントですが、

彼はチームを組んでいて、女の子キャラを主体にしたチームを、率いている設定です。

そんな女の子に、キリトとおんなじくらい活躍する、ヒロインのアスナがいて、

そして、キリトとアスナを仮想父母とした、AIキャラのユナがいてます。

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この歌手にもなる、ユナの存在は、ゲームだけでなく、

主人公チームにおいても、キーパーソンともなる、キャラになっています。

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剣戟と銃撃をポイントにした、アクション・ゲームは、

ゲームなのに、実際の生死にまで、食い入ってくる内容なんです。

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このゲームをクリアーするための、キリト・アスナらの、必死のパッチの対決ぶりは、ある種感動的ですらありました。

そういうところは、ゲーム・アクション・アニメの、金字塔と言ってもいいくらいの、仕上げぶりを示しています。

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絵コンテ的手書き部と、カラー部がミキシングされ、交互に描かれてゆく点なども、

かつてないシブミを、クリエイトしていると言っても、過言ではありません。

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壮大なオーケストラ・サントラ、ユナらが本編内で歌う、アップ・ナンバーを始め、

アニメチックなアップ・ナンバーや、フィメール・スロー・ナンバーなど、

ノリノリを作ってゆく、サントラ使いは、特筆ものでした。

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また、声優のプロフェッショナルたちによる、吹き込みも、さすがプロといった作りでして、

「君の名は。」(2016年・弊ブログ分析済み)などの、プロじゃない声優ものも、エエんやけど、

改めてのように、プロの声優の素晴らしさが、認識できたように思います。

5
ゲーム的アニメの、真骨頂と新味を示す本作。

「君の名は。」などに酔いしれた、アニメ・ファンにも、

大いに訴求できる内容の、アニメ映画でした。

2017年2月15日 (水)

「天使のいる図書館」⇒爽快なヒロイン映画

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奈良ロケによる、ヒロイン映画の快作

「朝ドラ」チックなテイストが、メッチャさわやか

http://www.toshokan-movie.com/

2月18日の土曜日から、ユナイテッド・エンタテインメントの配給により、シネマート新宿、大阪ステーションシティシネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2017年製作の日本映画108分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2017「天使のいる図書館」製作委員会

ヒロイン映画は、古来より、映画の1ジャンルと言ってもいいくらい、メッチャ輩出されてきました。

日本映画でも、ものすごいタイトル数があります。

さて、そんな中で、地方ロケに限定した場合は、どないなるのか。

いや、それでも、モノゴッツーな数がある。

では、近畿地方に限定した場合はどうか。

いやはや、それでも多い。では、大阪と京都をはずしたら…。

ちゅうことで、そんな設定での、地方ヒロイン映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに、披露いたしますと…。

3
●ベスト⇒①紀ノ川(1966年)②もがりの森(2007年)③ハッピーアワー(2015年)

●カルト⇒①本作②幻の湖(1982年)③神戸在住(2015年・弊ブログ分析済み)

●3世代にわたるヒロインを、大河ドラマ的に描いたベスト①や、

神戸ロケの、コンテンポラリーなベスト③など、3時間前後の長尺映画に、ボク的には、つい魅せられてまいますし、

また、奈良ロケ映画を撮り続けた、河瀬直美監督の、ベスト②など、

世界の映画祭で受賞した作品も、確かに映画的には、仕上げは良好ではあります。

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でもしか、1960年代から脈々と続く、NHKの「朝ドラ」の、地方ロケ・ヒロイン・ドラマは、

映画やないけども、日本の女優主演ドラマの、国民的人気を得るものとして続き、

21世紀になってからは、さらにその威力を、強靭なものとしてきていますが、

その手法といえば、実は、映画の方が、ずーっと昔から、描いてきているのです。

滋賀ロケのカルト②は、ホンマにカルトにふさわしい怪作やけど、

カルト③と本作は、そういう朝ドラ調と、シンクロナイズする映画でありましょうか。

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ヒロイン役は、小芝風花ちゃん。

図書館司書役でして、図書館勤めでいえば、「海すずめ」(2016年・弊ブログ分析済み)の、武田梨奈ちゃんと同じやけど、

こちらはもっとずっと、個性的なキャラクター。

説明的に読むようなセリフを、意図的にやり、香川京子と交流し、徐々に観客みんなの、好感度を高めてゆく、ヒロイン役でありまして、

朝ドラのヒロインとしても見ても、全く遜色なき演技ぶりを、披露しています。

単に好感を呼ぶなら、マットーな役柄をストレートにやればいいのだけれど、彼女の場合は違っております。

本作は、そのあたりをじっくりとっくりと、見ていただきたい映画でありましょう。

6
香川京子の自然体、森本レオのナイーブなど、シブミな役者のサポートを得て、

風花ちゃんは、内省的から開放的までの演技を、変幻にじっくりと、披露してゆきます。

ギター・バンドなフォーク、ソウルチックなブラス入り、アップテンポ・ナンバーなどの、

歌ものサントラの、ノリの良さに加え、

劇中では「夜明けのうた」(1964年・オリジナル歌手は岸洋子)が、

ドラマ・ポイント的に、岸洋子と同時代に活躍した、映画女優・香川京子に歌われたり、サントラ的に使われたりしています。

7
何はともあれ、実写版「魔女の宅急便」(2014年)でキキ役主演し、

朝ドラでも、「あさが来た」で、波瑠の娘役をやった、小芝風花ちゃんの魅力に、グッときた作品でした。

2017年2月14日 (火)

「東京ウィンドオーケストラ」⇒楽しい音楽映画

1
地方ロケーションの、音楽ムービー最新版

松竹映画的な、和みあるライト・コメディだ

http://www.tokyowo.jp

2月18日の土曜日から、元町映画館、京都シネマやらで、2月25日からテアトル梅田やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の日本映画76分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ松竹ブロードキャスティング

本作は日本映画の、地方ロケ音楽ムービーです。

さてはて、以前にも何度か披露しましたが、ここで、いつものように思いつくままですが、

日本の地方ロケ音楽ドラマ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、申し述べますと…。

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●ベスト⇒①スウィングガールズ(2004年製作・矢口史靖監督・上野樹里主演)

②ここに泉あり(1955年・今井正監督・岸恵子主演)

③ジャズ大名(1986年・岡本喜八監督・弊ブログ分析済み)

●カルト⇒①本作

②オケ老人!(2016年・杏主演・ブログ分析済み)

③くちびるに歌を(2015年・新垣結衣主演・ブログ分析済み)

●ベストは、名監督の作品を、カルトは、21世紀最新作の中から選びました。

2
さらに、ベストは日本の音楽ムービーの、画期的な作品を選んでいますが、

シリアス系のベスト②に対し、コミカル系でいくスタイルは、時代劇と合体させた③、

そして、地方ロケ・学園ものと合体させた①の出現により、

現在の音楽ムービーの見せ方を、構築したと言っても、過言ではありません。

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コーラス歌ものは、どちらかといえば、カルト③のようにシリアス系が多いけど、

ベスト①のジャズ、さらに本作やカルト②の、オーケストラものは、

なぜかコミカル・モードが、似合っているようです。

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地方ロケで、コミカルで、音楽映画で、そして、この種の映画は、主演女優の存在感が、特長的であります。

ベスト①の上野樹里は、コメディエンヌとしての才能を、開花させましたが、

カルト②の杏や、本作の中西美帆は、

コメディエンヌというよりも、巻き込まれ型のシリアス・ヒロイン役です。

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でもって、この種の演技こそ、音楽ドラマ・ムービーだけではなく、

映画的設定として、かなりと妙味がある役柄であることが、分かるはずです。

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カルト②は、間違って別の楽団に、入ってしまったヒロインを描きましたが、

本作では、間違って一字違いの楽団を、招聘してしまった、町役場のスッタモンダを、コミカルに描いています。

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その間違いに、いち早く気づくのが、役場の平職員の中西美帆ネーさんです。

ほんで、のほほんなアマチュア・オーケストラ集団とつるんで、一緒にみんなを騙して、公演する方向へと、導いてゆきます。

このあたりのスリリング&コミカルが、本作の大いなる見どころです。

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クライマックスの演奏シーンを始め、その後の逃亡サプライズなど、目が離せませんが、

一方で、松竹映画的な和みやキズナが、ほんわかとカンジられる映画になっています。

また、パーカッションや弦楽などを駆使した、松竹映画的なサントラ使いも、そのあたりを促進していると思います。

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おそらく、邦画史上初めての、屋久島ロケ映画とゆうのにも、ボクは新鮮味を覚えました。

何はともあれ、楽しく見られる映画なので、家族一同で見に行ってくだされ。

2017年2月10日 (金)

「愚行録」

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記者役・妻夫木聡が、一家惨殺事件の真相を追うミステリー

嫌なことをやる人々が、続々登場する群像劇ミステリーだ

http://www.gukoroku.jp

2月18日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画とオフィス北野の配給により、全国ロードショー。

本作は、2017年製作の、日本映画120分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2017「愚行録」製作委員会

刑事ではない人が、いろんな人に、事件の話を聞いていく、

あるいは、群像劇的タッチで展開していく、

そんなミステリーとゆうのは、いかがなもんでしょうか。

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昨年の日本映画の、マイ・ナンバーワン「怒り」も、この種のタイプのミステリーでした。

そこで、この種の邦画ミステリーの、マイ・ベスト&カルト・スリー(21世紀製作分に限定・各順不同)を、

思いつくままに、披露してみますと…。

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●ベスト⇒①怒り(2016年製作)②本作③理由(2004年)

●カルト⇒①悪人(2010年)②告白(2010年)③クライマーズ・ハイ(2008年)

●ベストとカルトの仕切りは曖昧でして、ベスト6にしてもいいのですが、気ままに区分いたしました。

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読んで嫌なあと味がある、イヤミス原作映画の、元祖とも言えるカルト②。

でもしか、本作では、そのイヤミス度が、かなりとアップ(!?)いたしました。

本作にも出てる、妻夫木聡と満島ひかりが、主演・出演したカルト①ですが、

本作では、その時の演技よりも、複雑な演技力が増しています。

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新聞記者のカルト③、フリーのルポ・ライターのベスト③、そして本作は、雑誌記者が主人公ですが、

スクープ狙いのカルト③ベスト③とは、ビミョーに違い、

本作はかなりの、変型なタッチになっている点に、ご注意ください。

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さてはて、チョイとストーリーを、追ってみましょうか。

写真上から2枚目から、ほぼ順番に、ストーリー順に画像を並べてみました。

予告編も、上記映画の公式ホームページへの、アクセスで見られますが、

画像だけで、予想してみるのも面白い。

けど、いちおうゆうてみます。

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父母娘の3人一家惨殺事件が、迷宮入りとなり、

雑誌記者の妻夫木のアニキは、事件関係者たちに、今なおしつこく聞き回ろうとするのですが、

しかし、本作は、そんな妻夫木の妹(満島ひかり)が、育児放棄で警察に逮捕され、

女弁護士(濱田マリ)と共に、面会に行って話し合うところが、冒頭にあります。

面会後に、妻夫木と弁護士が帰るシーンが、写真2枚目です。

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ほんでもって、次には、妻夫木が関係者に聞くシーンへ。

殺人現場へ行き(3枚目)、殺された旦那(小出恵介)の会社の同僚に聞き(4枚目)、

その同僚との、過去の逸話(5枚目)が映され…。

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でもって、お次は、殺されたヨメ(松本若菜)の、大学時代の友達(臼田あさ美・6枚目)の元へ。

そして、ヨメの大学時代の過去(7・8枚目)が、カットバックされてゆくとゆうような流れです。

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過去と現在をシンクロさせる、この手の映画のお手本的構成ながら、謎が謎を呼ぶ作りは見事でした。

愚行のタイトル通りに、嫌な気分の悪いことを、やる人たちが、次々に出てまいります。

しかも、よくありそうな例が出て、ひょっとして、ボクやみなさんも、既視感を覚えるかもしれません。

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そして、演技陣が気分の悪さを助長するような、見事に「カンジわるー」な演技を、披露し続けます。

カッコイイヒロイズムを、体現すべきな妻夫木さえにも、トンデモサプライズが待っているんです。

さらに、満島ひかりの鬼気迫る怪演技は、今年の助演女優賞確定級の演技振りでしょう。

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バスに乗る妻夫木の、横移動撮影の冒頭シーンとラスト・シーン。

見終わって考えるに、作品性を示すこの2シーンは、巧妙かつ印象的だったと思います。

長編映画デビュー作ですが、石川慶監督の才気が、いきなりあふれている快作です。

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とゆうことで、今年の日本映画の、マイ・ベストテン級の映画でした。

「変魚路」

1
シュールレアリスムな前衛的沖縄映画

異能を極める人々と、奇妙な小道具の数々に驚愕

http://www.cinematrix.jp/hengyoro/

2月11日の建国記念日から、シネマトリックスの配給により、シネ・ヌーヴォで、全国順次のロードショー。

シネ・ヌーヴォでは、本作の高嶺剛監督の作品も特集上映。

本作は、2016年製作の、日本映画81分。

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ⓒ「変魚路」製作委員会

本作は、沖縄在住ネイティブの、高嶺剛(たかみね・ごう)監督の、何と18年振りとなる作品です。

高嶺って誰やねん、と思われる方もいるでしょうが、

監督のボク的最高傑作の、小林薫を主演に迎えた「ウンタマギルー」(1989年製作)などが、

特集上映されますので、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。

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さてはて、本作は、高嶺作品としては、かつてない実験的・前衛的・シュールな作品になっていまして、

そういうワケの分からない作品は、これまでにもケッコーありましたけども、

ホンマにワケが分からへんワケやなくて、そんな作品群の中でも、それなりに分かりやすいかとは思います。

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主演の2人(平良進・北村三郎)が、

映画と演劇を複合させた「連鎖劇」とゆう、映画創生期の日本にあった劇を、映すシーンから始まります。

彼らは、どうやらこの「連鎖劇」で、有名だったらしい。

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でもしか、あらぬ嫌疑を掛けられて、住んでる村から逃げます。

ほんで、逃げる2人に、暗殺命令を受けた女3人が、くっついてくるとゆう変な展開。

いわば、ロードムービー的やけど、島を逃げまくるので、そんなに派手でも、ドラマティックでもありません。

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何はともあれ、シュールを旨としていますので、リアリティーとかは関係なし。

ホンマにあるんかないんか、分かりませんが、ユニークな言葉や品物が、頻出してまいります。

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トンボ偵察機、そのぷしゅーな音とか、整形映画研究所なる、整形する(?)ところとか、

メリケン粉に入れられた、ワケの分からない媚薬とか、飲んだらヘンになる汁粉とか、イロイロです。

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一方においては、三線の弾き語りなど、沖縄の歌も、劇中で披露されてまいります。

こちらは、どちらかといえば、リアリティー・サイドと言えましょうか。

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前衛映画にふさわしい、撮り方・カットも、よく出てまいります。

フィルムにキズがあるような、ボカシなカットとか、セピア色のグラデーション、二分割のゆらぎのカットなど。

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それらが混じり合って、沖縄ロケ映画としては、かつてない実験映画感を醸しています。

これを、監督の醸成と見るか、カオスと見るか、それとも…は、見る人によってそれぞれでしょう。

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沖縄映画・沖縄ロケ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリーを、かつて披露いたしましたが、

本作は、かなりと突出した、マイ・カルトなナンバーワンです。

本作をいきなり見に行くよりは、本作よりは分かりやすい、

監督の過去の作品の、特集上映を何本か、見てから行くのが、ベストではないかと思います。

監督が18年振りになぜ、この映画を撮ったのかが、

少しでも理解できることでしょう。

2017年2月 9日 (木)

「王様のためのホログラム」⇒トム・ハンクス主演映画

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トム・ハンクスのための映画だ

セールスマンのトンデモ営業ドラマが展開

http://www.hologram-movie.jp

2月10日のフライデーから、ポニーキャニオンの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ映画98分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2016 HOLOGRAM FOR THE KING LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

以前にもやりましたが、改めて、トム・ハンクス主演映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに、披露させてもらいますと…。

●ベスト⇒①プライベート・ライアン(1998年・以下の引用は、指定国以外は全てアメリカ映画)②フィラデルフィア(1993年)③ハドソン川の奇跡(2016年・弊ブログ分析済み)

●カルト⇒①本作②ターナー&フーチ すてきな相棒(1989年)③フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年)

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●ベストはシリアス演技を、カルトはユニークな演技を選びました。

シリアスは、ヒロイズムを示すベスト①③、壮絶なベスト②。

一方、カルトでは、警察犬とのコミカルな相棒演技②、映画史に残る個性的演技を示した③。

そして、漫才でゆうたらツッコミ系の、営業マン演技が、オオッとうならせる本作。

しかも、サウジアラビアの王への、3Dホログラム売り込みとゆう、トンデモない営業設定です。

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でもって、サウジ・ロケはロケでも、「アラビアのロレンス」(1962年・イギリス)などで頻出する、

パブリック・イメージな、砂漠シーンなんかは、出てきません。

イロイロ意外なとこを取り込んだ、ある種イージーな作品なんです。

王と会うまでの経過も、いわゆる、ドラマ的リフレインを取るとゆう流れ。

主人公トム・ハンクスは、毎日バスに乗り遅れて、タクシーの運ちゃんを雇って、

営業相手先の会社の近くに設けられた、自社のスタッフがいる仮事務所へと通います。

このタクシードライバーとの、変なやり取りに加え、

営業先の女職員との、ディスコやらでの火遊びやら、

背中にコブができたり、パニック障害に陥ったりと、

営業とは何の関係もない、トラブルが起こります。

で、そんなこんなの積み重ねが、見どころとなっているんです。

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そして、コブの切除や診療のため、ハンクスは、サウジでは珍しい女医と、出会うとゆう展開へと、続いてゆきます。

いわゆる、トム・ハンクス的には、「めぐり逢えたら」(1993年)なんかの名作もあるけど、

あんまし似合わない、ラブ・ストーリーが、本編の後半に、突然のように湧き起こる、展開が待っているんです。

いやはや、ヒロイズム演技と同様に、数奇な生き方を演じさせても、ハンクスは、ピッタリとはまる演技を見せてくれます。

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サウジとアメリカの、カルチャー・ギャップなんかも面白い。

サウジでは酒が飲めない。でもしか、そこを、ハンクスらは、どうユニークに、クリアーするのか。

タクシー内で掛けてる音楽が、アメリカン・ミュージックを、ポイントにしてるとこなども、客向きを考えてのものかもしれないけど、意外だった。

さてはて、本作は大ベストセラー小説の映画化らしいです。

しかし、そんなカンジがあんまししない。

むしろ逆に、映画オリジナルじゃないかとカンジました。

売り込みドラマのように見せかけて、中身はラブ・ストーリーだったとゆう作りにも、映画的仕掛けをカンジたんです。

トム・ハンクスのための映画かもしれないけど、何はともあれ、映画的ハットトリックに、酔いしれた映画でした。

「マザーズ・デイ」⇒ジュリア・ロバーツ主演映画

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ジュリア・ロバーツ、ジェニファー・アニストン、ケイト・ハドソンら

華麗なる女優共演による、「母の日」の群像劇

http://aoyama-theater.jp/feature/mitaiken2017

2月11日・2月13日・2月15日・2月16日・2月19日・2月22日・2月23日に、ツインの配給により、シネ・リーブル梅田で上映。

本作は、2016年製作の、アメリカ映画118分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2016 Mothers Movie LLC

ジュリア・ロバーツが、彼女の出世作「プリティ・ウーマン」(1990年製作・以下の引用は、全てアメリカ映画です)の、

故ゲイリー・マーシャル監督(昨年逝去)と組んで、主演した群像劇です。

3
群像劇と言っても、イロイロありますが、本作は、女たちをメインにした群像劇で、

しかも、特別な日を、ポイントにしたものです。

クリスマスなんかが一般的ですが、本作はタイトル通り「母の日」を、背景にしています。

ゆえに、4家族の、いろんな母親像が、描かれるだけでなく、母への想いなどへも、クローズアップされた仕上がり。

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この種の女優劇とシンクロするのは、

ボク的には「9時から5時まで」(1980年)とか、「ワーキング・ガール」(1988年)などのOLものや、

「永遠(とわ)に美しく…」(1992年)などの、女優共演作を思い出しました。

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メインの女優陣を見ていきましょう。

みなさん、ジュリア・ロバーツは、よく知ってはるでしょうが、近作についてはいかがでしょうか。

女刑事役「シークレット・アイズ」(2016年・アメリカ・弊ブログ分析済み)があり、

女社長役の本作があるのですが、特に、タイトルのマザー役に、あえてのように出演しています。

しかもワケありのマザー役でして、シリアスと穏和を、演じ分けるカンジで、この2作を演じています。

まさに、円熟の演技ぶりだと言えましょう。

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全米テレビドラマ「フレンズ」の役柄で、国民的女優になった、ジェニファー・アニストン。

人生うまくいかないけど、でも、イロイロやって、頑張ろうなんてゆう演技が、メッチャ似合う女優さんです。

そういうところが、アメリカ国民の好感を呼んでいるのでしょう。

本作では、夫と別れ、2人のコドモと暮らすシングル・マザー役を、ドジだらけの演技で快演しています。

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そして、ケイト・ハドソン。

監督のゲイリー・マーシャルとは、「プリティ・ヘレン」(2004年)で、タッグを組んでいます。

「永遠に美しく…」にも出ていた、ゴールディ・ホーンは、彼女のオカンですが、

ハリウッド映画歴代最高のコメディエンヌと、勝手にボクが見ているオカンとは違い、

彼女は日常生活密着系の、フツーの演技が、ケッコーエエカンジ。

また、出世作「あの頃ペニー・レインと」(2000年)の繊細さも、本作でも微妙にカンジさせてくれます。

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ゲイリー・マーシャル監督の、軽快な演出ぶりもまた、

アンサンブル演技とドラマを、映画的リズミックに、魅せてゆきます。

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でもって、監督の「プリティ・ウーマン」にもあった、歌ものサントラの、ノリのいい使い方。

ポップ・ミュージックから、ジャジーなミディアム・ナンバーまで、サントラが映画を弾ませています。

監督の作品性にピッタリの、明るい遺作です。

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そして、モチ、明るいハッピー・エンドで、シメられますんで、

安心してみんなで、見に行ける映画ですよ。

2017年2月 8日 (水)

「マリアンヌ」⇒ブラピ主演最新作

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往年のハリウッド的ラブ・ストーリーと、スパイ映画の合体

「カサブランカ」と「マタ・ハリ」の、心地いいハーモニー

http://www.Marianne-movie.jp

2月10日のフライデーから、東和ピクチャーズの配給により、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ・イギリス合作の本編124分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

「カサブランカ」(1942年製作・モノクロ・以下の引用は、指定国以外は、全てアメリカ映画です)「風と共に去りぬ」(1939年)など、

映画の中にいるみたいな、往年のハリウッド恋愛映画のノリと、

女スパイ映画「マタ・ハリ」(1931年・モノクロ)「間諜X27」(1931年・モノクロ)などの、妖しさを、

見事にブレンドされて、心地いいハーモニーを、奏でる映画です。

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男女スパイ同士の恋愛・結婚ですが、男はブラッド・ピット、

女はアカデミー賞主演女優賞ゲットの、フランス女優、マリオン・コティヤール。

この2人のキャスティングの、妙味にも酔いしれました。

まさに、往年のハリウッド・ラブストーリー映画に、ピッタリはまる役柄なんですよ。

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クラーク・ゲーブル、ハンフリー・ボカートなどの、名男優たちのダンディズムを、体現するブラピ。

そして、「マタ・ハリ」のグレタ・ガルボ、「モロッコ」(1930年・モノクロ)「間諜X27」などのマレーネ・ディートリッヒ、

さらに、「カサブランカ」などの、イングリッド・バーグマンらと比べても、決して遜色のない、

映画史に残る的、名女優ぶりを示す、マリオン・コティヤール。

例示した女優たちが、全員ユーロ発の女優である点も、何やら意味深いものをカンジました。

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ストーリーを申し述べましょう。

ブラピとマリオンは、戦時にスパイ活動に従事していました。

で、銃撃戦・爆撃戦などで、アクショナブルに鮮やかに、2人はミッションをこなし、

その凱旋的に祖国イギリスへと、意気揚々と戻ってきます。

そして、2人は結婚へ。コドモまで儲けます。

4
でもしか、マリオンに二重スパイの容疑が生じ、

その疑惑を晴らすために、夫ブラピが、フランスまで行って、調査に奔走いたします。しかし…。

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ブラピ的には、元ヨメのアンジーこと、アンジェリーナ・ジョリーとの「Mr.&Mrs. スミス」(2005年)などの、男女夫妻2人によるスパイ映画があるし、

アンジーにも、「ソルト」(2010年・弊ブログ分析済み)とゆう、アメリカでのロシア女スパイを、演じた作品がありますが、

本作は、そのどちらとも、違うタイプの作品になっています。

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さてはて、本作のロバート・ゼメキス監督ですが、最後に、監督のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたします。

●ベスト⇒①フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年)②バック・トゥ・ザ・フューチャー(第1弾は1985年)3部作③本作

●カルト⇒①永遠(とわ)に美しく…(1992年)②コンタクト(1997年)③ロマンシング・ストーン 秘宝の谷(1984年)

●アカデミー賞作品賞ゲットのベスト①のように、ヒューマン・ドラマの傑作があり、

一方で、タイムスリップSFのベスト②のように、映画史に残る娯楽作品も、輩出しています。

カルト作品は、多彩なエンターテイメント作品を、取りあげました。全てDVD化されていますので、ご確認ください。

そんな中でも、本作は、久々にゼメキス監督の凄みを、カンジた作品でした。

みなさん、ぜひ、映画館へと、足を運んでください。

2017年2月 7日 (火)

「ホームレス ニューヨークと寝た男」

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特異なキャラの、ヒューマン・ドキュメンタリー

ニューヨークの表裏サイコな、二面性を見せる

http://www.homme-less.jp

2月4日のサタデーから、ミモザフィルムズの配給により、シネ・リーブル梅田、京都シネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2014年製作の、オーストリア&アメリカ合作の83分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2014 Schatzi Productions/Filmhaus Films. All rights reserved

本作は、ヒューマン・ドキュメンタリーの、傑作・怪作です。

さてはて、ここで、ヒューマン・ドキュの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに、披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①ゆきゆきて、神軍(1987年製作・日本映画)②ハーヴェイ・ミルク(1984年・アメリカ)③全身小説家(1994年・日本)

●カルト⇒①本作②マン・オン・ワイヤー(2008年・イギリス)③ルック・オブ・サイレンス(2015年・デンマークほか・弊ブログ分析済み)

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●人間ドキュメンタリーでは、スポーツ選手や、映画監督・女優・男優らの、セレブを捉えた映画より、

ボクはなぜか、実在する特異なキャラクターを、衝撃的なタッチで捉えた映画に、魅了されてしまいます。

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元兵士を捉えたベスト①、セレブとも言えなくはないけど、小説家を捉えたベスト③は、原一男監督の大傑作。

ゲイの嚆矢を捉えたベスト②、綱渡り師のトンデモ冒険を捉えたカルト②、弾圧側からではなく、弾圧された側の、悲哀を捉えたカルト③。

そして、本作は、ニューヨークの表裏を、

セレブとも取れなくはない、華やかなファッション・カメラマンの、実情を媒介に捉えた、かなりとディープ・インパクトな作品でした。

4
ニューヨークを描いた映画としても、ボクの歴代洋画マイ・ナンバーワンである、ドラマ映画「タクシードライバー」(1976年・アメリカ・弊ブログ分析済み)的タッチさえあります。

しかも、冒頭から、「タクシードライバー」でも、意図的に使われた、ジャジーなサウンドトラックから始まるので、いきなり胸ワクになりました。

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女性モデルを路上撮影から、華やかなファッション誌の仕事まで、多彩に繰り広げるカメラマン。

誰がどう見ても、こんな主人公が、ニューヨークのホームレスだなんて、想像さえできません。

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でもしか、彼がビルの屋上で、ホームレスしているだなんて、

本編の前半に明らかにされる、その衝撃ぶりが、最後まで付きまとう映画でした。

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しかも、カメラマンだけでは、生活できないとゆうことで、

「メン・イン・ブラック3」などの、ニューヨーク・ロケのハリウッド映画の、エキストラをやったり、

12
クリスマス・サンタのコドモ向けの、着ぐるみの仕事など、

彼の実情が、詳細なところまで、披露されてまいります。

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そして、ラストでは、屋上から主人公が見る、NYの花火シーン。

表裏一体、コントラストを、意図的に作り上げた、ヒューマン・ドキュの在り方に、ボクは唖然といたしました。

9
ナイト・ムーディーなクロスオーバー、スピードフルなジャズ・インスト、ジャジーな歌ものスローまで、

印象的なサントラ使いにも、ノレる映画でした。

ヒューマン・ドキュの最新型傑作。

今年公開のドキュでは、今のところ、マイ・ナンバーワンです。

2017年2月 3日 (金)

「サバイバルファミリー」→矢口史靖監督の新作

1
家族がサバイバルを目指す、ロードムービー映画だ

小日向文世と深津絵里らが、トンデモサバイバルをヤル

http://www.survivalfamily.jp

2月11日の建国記念の日から、東宝の配給により、建国サバイバル全国ロードショー。

本作は、2017年製作の、日本映画1時間57分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

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ロードムービーとしては、かつても何度か披露しましたが、

今回は、家族(全員から父子・母子・兄弟・姉妹・姉弟・兄妹の2人まで)映画の、ロードムービーの、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままの気ままに、披露してみますと…。

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●ベスト⇒①家族(1970年製作・日本映画)②砂の器(1974年・日本)③レインマン(1988年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②リトル・ミス・サンシャイン(2008年・アメリカ)③パリ、テキサス(1984年・フランス&西ドイツ)

●思いつくまま気ままなので、重要作がポロッと、こぼれたりしますが、ご容赦くだされ。

感動的な父子のベスト②、アカデミー賞作品賞ゲットの、兄弟のベスト③、父子で母を探しに行くカルト③など、

2人組の、この種のロードムービーには、圧倒的なタイトル数があります。

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一方で、家族一同がロードする映画ですが、それほどには、ボクは思い出せませんでした。

でもしか、長崎から北海道までロードするベスト①は、シリアス家族ロードとしては、映画史に刻印されるべくな傑作。

一方、コミカル調を加えた、カルト②や本作は、むしろ笑えるだけに、

家族みんなで見られる、家族ファミリー映画として、最適なものでありましょうか。

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しかも、サバイバル・ロードであります。

最近なら「マッドマックス 怒りのデスロード」(2015年・アメリカ)のような、アクショナブルなんもエエんやけど、

本作のようなコメディは、面白おかしく見られて、

ほんで、最終的には、みなさんを、ほんわか癒やしてくれるような、仕上がりになっとります。

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さてはて、本作のストーリーを解説いたしましょう。

写真上から2枚目から下へ向けて、ほぼ順番にストーリー的流れで並べてみました。

写真を見て、想像していただいてもエエんやけど、いちおう、解説させていただきます。

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何年続くか分からへんような、とんでもない停電が起こりました。

でもしか、東京に住む家族4人は、一時的なもんやろと思って、ローソクだけの火で、晩餐を楽しみます(写真2枚目)。

しかし、停電は何カ月も続き、遂に家族は、食料があるはずの、

妻・母(深津絵里)の鹿児島の実家・農家を目指して、チャリンコで旅立ちます。

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そして、その途上で、思わず笑うしかない、トンデモナイ椿事の連続に、見舞われるとゆう展開です。

大阪以西は、電気が消えていないとゆう噂に、大阪まで何が何でも行こうとする展開から、

大阪に着いてから以降の、波瀾万丈など、トンデモたまらない、作りと流れになっておます。

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但し、政府はどんな対策を、講じていたのかのところが、スルーされてまして、

どうなっているのかと、思われがちなカンジやけど、最後にそのあたりは、何とか説明されますんで、

まずは、この家族のサバイバル・ストーリーに、乗って見ていただきたい。

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矢口史靖(やぐち・しのぶ)監督の新作。

代表傑作の学園もの「ウォーターボーイズ」(2001年)や、「スウィングガールズ」(2004年)を出すまでもなく、

家族ドラマであれ、それまでの定番系なドラマを、ひっくり返すような、コミカル性かつハットトリックに、常に驚かされます。

とゆうことで、本作もまた、期待を裏切らない会心作でした。

イギリス映画「僕と世界の方程式」

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トラウマある主人公の、成長物語だ

ピュアなラブ・ストーリーも展開する

http://www.bokutosekai.com

1月28日から、レスペの配給により、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都やらで、全国順次の上映中。

本作は、2014年製作の、イギリス映画111分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒORIGIN PICTURES(X&Y PROD)LIMITED/THE BRITISH FILM INSTITUTE/BRITISH BRODOCASTING CORPORATION 2014

幼い頃に、トラウマやいわくのある少年が、成長するにつれて、

そんなトラウマや精神病を克服し、人間性を取り戻してゆくとゆう映画です。

そおゆう映画は、みなさんも、イロイロ思い出すでありましょうが、

本作はそこに、キモチのいい純なラブ・ストーリー部を付加し、

さらに、母子のキズナへも食い入った、快作となりました。

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冒頭。

父子の乗った車が、衝撃的な交通事故を起こし、運転手の父(レイフ・スポール)は死んでしまいます。

その衝撃もあって、主人公・息子(エイサ・バターフィールド)は、自閉症スペクトラムとゆう精神病を、患ってしまいます。

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でもしか、息子には、なぜかしら数学の、天才的才能がありました。

で、父の死以来、息子と交流できなくなった母(サリー・ホーキンス)ですが、

この息子の才能を、伸ばしてやりたいと考え、多発性硬化症に罹ってるけど、優秀な数学教師に、個人教授してもらうのです。

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そして、その数学教師の教育の成果もあって、

エイサ君は、国際数学オリンピックの、イギリス代表チームの、選抜候補になります。

で、台湾のトレーニング合宿に、参加するのです。

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台湾チームとイギリス・チームの交流合宿。

そこで、エイサ君は、台湾チームの美少女(ジョー・ヤン)と、パートナーを組みます。

言うまでもなく、ラブ・ストーリー部は、

この2人の間で、見ていて心地よいカンジで、展開してゆきます。しかし…。

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父との想い出を、時おり挿入して、主人公の微妙な心理を巧妙に描き、

やがて、自閉を超えて、愛に目覚めるまでが、説得力をもって描かれてまいります。

いわば、成長ストーリー。

そして、クライマックスで見せる、主人公の決断には、心地よいサプライズもあります。

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さらに、数学への愛も描かれます。

音楽と数学との関連性なんかも、興味深い内容でした。

車窓から見える虹のシーンなど、美しき風景描写もまた、

ドラマに、さわやかなイントネーションを加えていました。

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共にスリリングかつ、キレのある主演演技で魅せた、

マーティン・スコセッシ監督の「ヒューゴの不思議な発明」(2011年製作・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)や、

ティム・バートン監督「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」(2017年・アメリカ・弊ブログ1月27日付けで分析済み)の、エイサ君。

今作では、ナイーブかつ複雑な演技力が、試される役柄を、ものの見事に、こなしていると思います。

とゆうことで、成長ストーリーとして、さわやかな鑑賞後感のある映画でした。

2017年2月 2日 (木)

「エゴン・シーレ 死と乙女」

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画家の実話映画でも、最もスキャンダラスな作品だ

男のエゴイズムも、むき出しになる問題作と見た

http://www.egonschiele-movie.com

1月28日のサタデーから、アルバトロス・フィルムの配給により、テアトル梅田、京都シネマやらで、上映中。2月4日からシネ・リーブル神戸など、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の、オーストリア・ルクセンブルク作品109分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒNovotny & Novotny Filmproduktion GmbH

実在の画家、エゴン・シーレの、短い生涯を描いた映画です。

とゆうことで、かつても披露しましたが、リセットして改めて、

画家の実話映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、

思いつくままに、披露してみますと…。

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●ベスト⇒①ピロスマニ(1969年製作・ソ連映画・弊ブログ分析済み)

②ミステリアス ピカソ・天才の秘密(1956年・フランス)

③写楽(1994年・日本)

●カルト⇒①本作

②夢二(1991年・日本)

③葡萄酒色の人生 ロートレック(1998年・フランス&スペイン)

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●画家の新作作りに、密着したドキュ②など、作品作りのメイキングを捉えた映画は、実は意外にも少ない。

むしろ、画家の人間ドラマ映画として、打ち出される作品が圧倒的です。

やはり、画家の人間性をどう描いていくのか。

そこにこそ、映画的魅力があるのでしょう。

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フツーの人のように生きたベスト①、

写楽の謎にも迫ったベスト③、

竹久夢二のデカダンを示したカルト②、

ロートレックのラブ・ストーリーを、メインにしたカルト③など、

それぞれに、芸術映画的インパクトを凝らしていますが、

でもしか、本作ほどスキャンダラスで破滅的、

そして、男のエゴむき出し、とゆうのは、ちょっとないんやないやろか。

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もちろん、エゴン・シーレの人生を、当然実話に基づいて描いているので、ほぼそのままって、ことなんでしょうが…。

但し、ボク的には、彼の人生には、感情移入できなかったし、こんな男には、絶対なりたくないとは思いました。

でも、彼の人生映画です。ボクとは何の関係もありまへん。

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最初は絵のモデルは、妹だったらしいけど、裸のモデルを描き、そんなモデルと肉体関係を結び、

で、1人の女と恋人兼仕事のパートナー関係になり、

幼児性愛裁判も乗り越えたんやけど、第一次世界大戦に、兵役することになってしもて…。

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ネタバレになるので、詳しくは言いませんが、それまでも感情移入は、できてへんかったのですが、

この従軍のあたりから、さらに、なんちゅうヤツやねん、なんて思いが募り…。

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さてはて、個人的感想はともかく、

映画の冒頭は、妹が部屋で死んでいるエゴン・シーレを、発見するシーンから始まるのですが、

その死の謎が、徐々に明らかになってゆく構成ぶりは、見事やったと思います。

その意味では、好き嫌いは別にして、エゴン・シーレの人間性の、描き方や演技性もまた、見事だったと言えましょう。

こいつ嫌な奴だと思うのも、描き方がうまいからですよね。

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若死にした、画家に限らない、アーティスト映画としては、モーツァルトや太宰治などにも、通じるところ大でしょう。

男のエゴイズムが、玉にキズですが、

イケメン主人公でもあるので、女性にはきっと、イケル映画やと思いますよ。

2017年2月 1日 (水)

「君と100回目の恋」

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過去をやり直せるレコードがあったとさ

ラブ・ストーリーの新機軸を示す快作だ

http://kimi100.com/

2月4日の土曜日から、アスミック・エースの配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2017「君と100回目の恋」製作委員会

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音楽映画にして純愛映画。

そして、「君の名は。」(2016年製作・弊ブログ分析済み)へも通じる、

タイムスリップ系の、過去は、果たして変えられるかとゆう映画です。

ボク的には、現役のミュージシャンが、主演する映画の系譜の中でも、

特筆すべき作品に、なったかと思います。

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さてはて、ここで、ミュージシャン主演(実話系も含む)の日本映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに、申し述べますと…。

●ベスト⇒①ロックよ、静かに流れよ(1988年)②パッチギ!(2004年)③不確かなメロディー(2000年)

●カルト⇒①本作②ラストソング(1994年)③タイヨウのうた(2006年)

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●ベストを解説いたしましょう。

男闘呼組のベスト①、フォーク・クルセイダーズを、ドラマ的に組み込んだベスト②、

そして、忌野清志郎のライブ・ドキュのベスト③。

さてはて、カルトは、女性アーティストmiwaの①・YUI③に加え、

元シブがき隊・本木雅弘モックンの②を加えました。

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そんなマイ6作の中でも、本作は純愛映画の粋を、極めたような作りになっています。

とゆうことで、ここで、かつても披露いたしましたが、

純愛日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、申し述べますと…。

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●ベスト⇒①あの夏、いちばん静かな海。(1991年)②野菊の如き君なりき(1955年)③世界の中心で、愛をさけぶ(2004年)

●カルト⇒①本作②君の名は。③愛と死をみつめて(1964年)

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●病系の純愛ものベスト②ベスト③、カルト③などが、従来の純愛映画の、花形ではありました。

でもしか、本作やベスト①、カルト②のように、

2人の純愛に集中した作品こそ、本来は純愛映画の、あるべき姿でありましょう。

そして、本作はカルト②のように、

タイムスリップ系を駆使して、大ヒットしそうな予感に満ちあふれています。

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本作は、ミュージシャンmiwaちゃんと、坂口健太郎クンの純愛です。

坂口クンの謎めきと、miwaちゃんの、ストレートな素のままの元気印。

この2人の恋愛が、絶妙なドラマツルギーを、編んでゆきます。

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聴けば、過去をやり直せるレコードとゆう、特殊な設定の中で、

2人の純愛、でもって音楽映画としての、ドラマティックが紡がれてまいります。

2人で作った、ミスチルことMr.Childrenっぽい、ミディアム・ナンバーをポイントに、

2人のイロイロなキズナが、描かれてゆきます。

音楽をかけての、過去やり直しのダイジェスト・シーンなど、印象深いシーンが、頻出いたします。

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ミスチルのリーダー&ボーカルの桜井和寿に、何やら似てる坂口クンの、キャラの妙味。

miwaちゃんの、しっとりのギター・スロー・ナンバーなど、

ウ~ンとうなる、音楽的シーンの連続もまた、過去改ざんを目指す、2人のキズナを深めてまいります。

とゆうことで、「君の名は。」と比べもって、ぜひ見ていただきたい、快作品でした。

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