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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2017年1月23日 (月)

「皆さま、ごきげんよう」

1
シニア映画の、ニュー・スタイル映画とは?

突飛なエピソードにも、和みがある爽快作

http://www.bitters.co.jp/gokigenyou/

1月14日~テアトル梅田、1月28日~シネ・リーブル神戸、2月4日~京都シネマなど、ビターズ・エンドの配給により、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、フランス・ジョージア合作の121分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2
ⓒPastorale Productions - Studio 99

グルジア(現ジョージア)出身の監督、オタール・イオセリアーニ監督の、独特な映画作家性を示した会心作です。

その作家性を、分析してみましょう。

本作は、チャップリン映画的に、ピアノの軽快なサントラから始まります。

そして、セリフなしのサイレント映画的タッチを、ベースに展開していくのは、

明らかにサイレント映画への、現代的こだわりを示しています。

3
かつては1950年代に、フランスのジャック・タチ監督などが、

サイレントあるいは、パントマイムをポイントに、ユニークな主人公の造形に成功し、

役者の動作が、いかに映画に重要であるかを示しました。

でもって、本作も、その作家性を、如実に受け継いではります。

7
さらに、群像劇的とゆうか、多彩なエピソードを盛り込んで、

2人の老人のつながりへと、帰結していく展開は、この監督ならではオリジナリティーです。

群像劇の巨匠、ロバート・アルトマン監督ほど説明的でなく、

また、多彩なエピソードを、一つに集約するタイプの、オムニバス映画のようなタッチとは違い、

主人公たちの周辺で起こる、いろんなイザコザを含めて、主人公たちとのつながりを、無視して描き、

また、ブラック・ユーモアある、過去のギロチンや戦争のエピソードを、無造作に盛り込んだりと、

ざっくばらんアラカルトな作りが、何とも味のあるもんになっとりますねん。

4
おそらく、とゆうか、基本はシニア映画です。

2人の老人の、現在のパリでの行動ぶり。

過去の恋愛のことや、2人の、ベタな友情ものとは違う、今のあっさり淡泊な付き合いぶり。

とにかく、渋い。

5
老人ものシニア映画にありがちな、孤独映画でもなく、

ひょうひょうとした、あっけらかんとした作りが、

ある種の癒やしさえ、カンジさせる作りになってるんでおますよ。

8
ボクはイオセリアーニ監督の全作を、見ているわけではありませんが、

エピソードを流れるように紡いで、妙味を覚えた「素敵な歌と舟はゆく」(1999年製作・フランス&スイス&イタリア合作)や、

サラリーマンの、無断欠勤の月曜日の、ブラリ旅を描いた「月曜日に乾杯!」(2002年・フランス&イタリア)など、

そのほんわかゆったりな作家性に、ホワ~ンと癒やされたように思います。

6
本作もまた、上記2作と同様に、ホワ~ンがあります。

シニア映画でも珍しい、ユトリとスロー・ライフ感を、カンジさせる本作。

心地いい快作でした。

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