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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年12月13日 (火)

クロアチア映画「灼熱」

Photo
ラブ・ストーリーの新次元を示す傑作

2人の男女役者による3話オムニバス

http://www.magichour.co.jp/syakunetsu

12月17日の土曜日から、マジックアワーの配給により、第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、クロアチア・スロベニア・セルビア合作映画123分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1
ⓒKinorama, Gustav film, SEE Film Pro

民族紛争などを背景にした、ラブ・ストーリーとゆうのは、

ベースラインとしては、敵対するグループの、2人の愛とゆうのが、

「ロミオとジュリエット」(第1弾映画化は1936年製作・アメリカ映画)以来、定着しております。

そして、1990年代の旧ユーゴスラビアでの、バルカン民族紛争も、これまでに多彩なドラマが、作られてまいりましたが、

中でも本作は、紛争よりもラブ・ストーリーに集中し、愛の普遍性を追求した映画です。

2
戦争やら紛争やらでの愛の物語は、これまでにもモノゴッツー出てまいりましたが、

本作の新しさは、1991年・2001年・2011年の、10年単位の年代ごとに3話オムニバスで、展開すること。

さらに、その3話に出る、恋する主演男優・主演女優の3人が、

全て別人物なのに、同じ男優・女優によって、演じられている点でしょうか。

3
同じ俳優による、20年にわたる大河ドラマ的ラブの方が、大衆的受けとしては、分かりやすくていいのかもしれませんが、

こおゆうタイプも、オムニバスものとしてとらえたほうが、分かりやすいのかもしれません。

それぞれの時代に、敵対する側の2人が、どう愛を紡いでゆくのか。3パターンが披露されます。

7
エミール・クストリッツァ作品「ライフ・イズ・ミラクル」(2004年・フランス&セルビア)などで、描かれたテーマではあるのですが、

本作は、マジック・イマジネーションを多用し軽快な作りだった「ライフ・イズ・ミラクル」よりも、

シリアスかつ痛切に胸にクル、悲愁ある作りになっています。

5
まあ、重たいと言えば重たいし、悲恋もあるので、楽しいラブ・ストーリー展開は、期待はできないにしても、

ココロに粘りつくように残る、恋愛感情があります。

ロングショットと鏡を使った、濃厚なセックス・シーンや、

ディスコティークに踊っての、パーティー・シーンの「甘い生活」(1960年・イタリア&フランス)的な気だるい感。

近接撮影とロングショットを、モンタージュする緊張感描写、

ここぞとゆう時の、2人のツーショット・アップカットなど、

映画作家的にも、目を瞠るシーンが多かったです。

4
ヨーロピアンなフィメール・スロー・ポップスで、映画テンポを作るかと思えば、

サントラを使わずに、余韻あるラストシーンを作ったりと、

多様な作りのモンタージュぶりが、この映画を印象深いものにしているところでありましょう。

6
クロアチア映画というのは、ボクとしては、

紛争の悲劇を描いた「サラエボの花」(2007年・クロアチア&ボスニア&オーストリア&ドイツ)くらいしか見ていないのですが、

どちらも、ココロに深いサムシングを残す映画です。

重みと深みあるラブ・ストーリーとして、みなさんにおすすめしたい傑作。

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