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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年11月23日 (水)

「フランコフォニア ルーヴルの記憶」

1
「エルミタージュ幻想」に続く、美術館ドキュ・ミステリー

再現シーンは、ドラマ仕様で展開

http://www.francofonia.jp

11月26日のサタデーから、キノフィルムズの配給によりまして、テアトル梅田やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、フランス・ドイツ・オランダ合作の88分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

10
ⓒ2015 - Ideale Audience - Zero One Film - N279 Entertainment - Arte France Cinema - Musee du Louvre

アレクサンドル・ソクーロフ監督の新作。

祖国ロシアのエルミタージュ美術館を舞台に、

ロシアの近代史を、1時間半にわたる、ワンカット長回し撮影で撮り上げた「エルミタージュ幻想」(2002年製作・ロシア&ドイツ&日本合作)に続き、

今度はルーヴル美術館を、フランス近代史の流れと共に、ミステリアスに捉えた作品を、作ってきはりました。

2
しかも、これまで監督が撮ってきはった、第二次世界大戦下の支配者映画などの、作品性も散りばめて、

幻想シーンやドラマでの再現シーンなど、「エルミタージュ幻想」の長回しの実験性とは違い、

より多彩に分かりやすく作り上げて、ドラマ的感興も味わえる作品になっとります。

3
美術品入りコンテナを、船で運んでいるとゆう船長と、ソクーロフ監督との、時を経た交信から、本作は意外性をもって始まります。

そして、マリアンヌや若きナポレオンらの亡霊が現れて、ルーヴル美術館との関わりが、ミステリアスに描かれてまいります。

7
でもって、1940年のナチスのパリ侵攻でおます。

ナチス占領下のパリの映像や、セピア色のルーヴルのカットと共に、

ルーヴルに初めて、ナチスが訪れた時の映像を、再現ドラマとして紡ぎます。

ここは、フィルムにキズやテカリを入れたような設定で、

シーンを光の帯で挟むとゆう、映画的に凝ったシークエンスになっとります。

4
パリの俯瞰移動撮影、セーヌ川やポンヌフ橋から見るルーヴルの姿、

加えて、絵画で見るルーヴルなど、あくまで、美術館をメイン・ポイントにしたような作りに見えるけど、

しかし、そこはソクーロフ監督らしい、映画作家性・幻想的作りが、見え隠れしていきますで。

9
エルミタージュ美術館との、対比描写も妙味あり。

まさに、本作は「エルミタージュ幻想」と、対をなす快作やと言えましょうか。

5
語りは、ソクーロフ監督自身なのですが、

「私の話に飽きましたか。あと少しの辛抱です」などと、

茶目っ気も、時々入っとりまして、緊張緩和してはりますよ。

6
サントラとしては、ピアノやバイオリンを挿入し、最後には、オーケストラ・サウンドが、壮大に高鳴ります。

とゆうことで、フツーの美術館ドキュを超えて、映画作家としての、ドキュの在り方を、示した作品でした。

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