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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年11月22日 (火)

演技派の共演「母の残像」

Photo
死んだ母をポイントにした家族映画

家族のそれぞれの想いがシンクロナイズ

http://www.hahanozanzou.com

11月26日のサタデーから、ミッドシップの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、ノルウェー・フランス・デンマーク・アメリカ合作による、本編109分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒMOTLYS - MEMENTO FILMS PRODUCTION - NIMBUS FILMS - ARTE FRANCE CINEMA 2015 All Rights Reserved

家族の誰かを、クローズアップした映画でも、

母をポイントにした映画は、よりナイーブに、ボクらのココロを、哀愁に満たします。

しかも、母の死のナゾもあり、

また、母との想いを父・息子2人が、イロイロ思い出してゆくとゆう構成が、

より母への実像に迫り、母映画の複合型映画になっています。

死んだ母を含めて、各人のナレーションによる、物語的に語るとゆうスタイルも、

この種の映画の、新味でもあるでしょうか。

1
母もの映画の、マイ・ベスト・ナンバーワンは、抒情的な「青幻記 遠い日の母は美しく」(1973年製作・日本映画)なのですが、

本作は「青幻記」のように、センチメンタリズムにハマることなく、

ある程度の距離を置いた形で、母との関係性を各人が見つめていきます。

片や、その種のマイ・カルト・ナンバーワンは「オール・アバウト・マイ・マザー」(1999年・スペイン)です。

「オール・アバウト…」は特異とはいえ、母の姿をありのままストレートに描く、

あるいは想い出の中の、母の姿を描くとゆう意味では、本作と似通っていると申せましょうか。

ただ、“想い出の中”とゆうのが、本作ではメインになっていまして、

母の死の謎に迫る、ミステリアスな展開というよりは、古典的オーソドックス・オーディナリーな回想とゆうスタイルです。

2
加えて申しますと、父・息子たち各人の、母への回想をひらめかせつつも、

不倫を含めた、それぞれの恋愛模様も描かれて、複雑性を帯びてゆきます。

つまり、不倫とゆうサブ・テーマも、見逃せない作りなんです。

恋する女生徒が、教科書を読む授業中に、衝突の瞬間をスローにした、母の交通事故死を、想像回想する、弟・息子のシークエンスなど、

家族それぞれに合わせた、回想シーンのタペストリーが、本作の持ち味とゆうか、見どころではないでしょうか。

4
元俳優の夫役ガブリエル・バーンの、熟成した落ち着き度合い。

兄・息子役ジェシー・アイゼンバーグの、自然体とも言える演技テイスト。

そして、戦場カメラマンの母役イザベル・ユペールの、仮面の無表情さで、ビミョーな感情表現をする、演技ぶり。

こうした演技の、アンサンブルやらミキシングやらが、フツーのようでフツーじゃない、家族ドラマを紡いでゆくのです。

アップ、クローズアップの使い方も、的を射ております。

特に、ラスト近くにある、イザベル・ユペールの、1分近い長回し撮影による、クローズアップ・シーンは、印象深かったです。

3
デンマークの巨匠監督ラース・フォン・トリアーの、甥っ子ヨアキム・トリアー監督の、本作は長編映画第3作目です。

デビュー作、2作目は残念ながら、ボクは未見なのですが、

ラース監督に見られた、変型ヒロイン映画のテイストが、それとなく仕込まれているように見ました。

複雑なヒロインのキモチを描く映画として、名女優ユペールの名演技を得て、

脅かすとゆうとこまでは、どうかとは思うけど、かなりのとこまで、叔父ラース作品に、迫ったのではないでしょうか。

そのあたりをぜひ、みなさんに見て頂きたい作品です。

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