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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年11月の記事

2016年11月30日 (水)

キネマ旬報年間ベストテンを予想する

●洋画

〇レヴェナント:蘇えりし者

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〇山河ノスタルジア

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〇ズートピア

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〇ハドソン川の奇跡

〇ヘイトフルエイト

〇ルーム

〇ディーパンの闘い

〇アイヒマン・ショー

〇灼熱

〇ダゲレオタイプの女

次点:〇スポットライト

●日本映画

〇淵に立つ

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〇この世界の片隅に

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〇リップヴァンウィンクルの花嫁

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〇オーバー・フェンス

〇団地

〇怒り

〇君の名は。

〇永い言い訳

〇海よりもまだ深く

〇湯をわかすほどの熱い愛

次点:〇家族はつらいよ

●12月16日公開の「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」などを除き、

マスコミ試写的には、ほぼ今年公開の映画の、試写が終わった段階です。

マイ年間ベストテンは別にして、キネマ旬報の2016年の年間ベストテンを、手前勝手に予想いたします。

写真付きはベストワン候補でして、以下は順不同のベストテンです。

毎年、自らのベストとは関係なく、1980年あたりから、キネ旬的なベストテンを予想しているのですが、

これまで、10本の作品が、選択した通りだったとゆうのは、過去に3回ほどあったのですが、

全て日本映画のベストテンでした。

今年は洋画を当てたい。

でもしか、関西試写のない、巨匠監督らの映画もあり、予断を許しません。

でも、今年は自信あり!です。

新聞発表もありますので、来年の1月上旬の、キネ旬ベストテン発表に注目してください。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

11月に見たマイ年間ベストテン級映画

早くも来年2017年分までピックアップした

今年の映画では「灼熱」

●灼熱(東京では公開中)

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●愛を歌う花(来年1月7日公開)

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●人魚姫(来年1月7日公開)

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●ドラゴン×マッハ!(来年1月7日公開)

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●全ての作品は後日分析いたします。

年初に公開される作品は、その年のベストテンからは、かなり外れるもんです。

つまり、その後傑作が、次々に出てきてしまう結果、

過去を振り返るに、最も遠い時に、公開されてしまった映画だからでしょうか。

メッチャなインパクトがない限りは、忘れてしまうわけです。

でもしか、今回選んだ1月7日公開分は、ディープインパクトありなんで、

1作くらいは、来年の年間ベストテンに残れる映画が、あるのではないかと、ボクは思います。

さて、各作品につき、一言コメントを申しますと…。

「灼熱」は、映画史上かつてない設定を施した1本。

韓国映画の音楽映画の新機軸を示した「愛を歌う花」。

チャウ・シンチー監督の、最大ヒット作「人魚姫」。

香港アクション映画の粋を示した「ドラゴン×マッハ!」。

後日の詳細分析を、お待ちくだされませ。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2016年11月29日 (火)

「RANMARU 神の舌を持つ男…(以下省略)」

6
「博士の異常な愛情…」を抜いて、世界一長い映画タイトル

パロディ・ユーモア・ミステリーな、テレビドラマの続編映画版

http://www.ranmaru-movie.jp

12月3日の土曜日から、松竹の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 RANMARUとゆかいな仲間たち

上記の本作の公式ホームページを、見てもらえば分かるかと思いますが、タイトルがメッチャ長い。

おそらく意図的です。

堤幸彦監督が、スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情…」(1963年製作・イギリス映画)や、

シドニー・ルメット監督の「質屋…」(1965年・アメリカ)なんかの長い映画タイトルを、

意識的確信犯的に超えようとして、作ろうとしたものだと想像するのですが、

いやはや本人は、もっともっと遊びゴコロな気分で、リラックスして、本作を作らはったんやないやろか。

4
遊ぶにしても、適度ちゅうもんがありますが、本作はとことん遊びに徹してはります。

テレビドラマの劇場版を、ケッコー作ってはる堤監督ですが、本作は「トリック」シリーズ(第1弾は2002年)に続く、

ユーモア・ミステリーなんやけど、アナグラム・トリックを多用して、トリックの妙味でも魅了した「トリック」に対し、

本作はもっとずっと意図的に、名探偵やらのパロディ性が、濃厚な作りになっとります。

1
主演の向井理が、ミステリー作家の巨星・横溝正史が造形した、金田一耕助探偵的な外装を示したり、

金田一探偵が多く関わった村での事件、

さらに、金田一主演の映画の中で、「分かった」と言っていながら、的外れだった警部的な役に、

コメディエンヌ役も珍しい、木村文乃ネーさんを配したりと、イロイロやってはります。

2
さらに、「トリック」にもあったけど、テレビの二時間ドラマをストレートに、パロディ・ミステリーにする作りどして、

温泉村をバックに、大いに笑わせてくれます。

本作は、堤監督のオリジナル作品でありまして、構想20年らしいですわ。

おそらく、「トリック」やらと同時期に、発案したものと思われ、

パロ・ミスにして明るいユーモア性は、それだけでオリジンある内容やと言えましょう。

ユーモア・ミステリーの巨匠・赤川次郎原作映画の、諸作品にも通じるものがありました。

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さてはて、舌を使って味覚で犯人像を特定してゆく、向井理演じる探偵像は、かなり個性的でかつてないもんやけど、

でもしか、あくまで遊びゴコロの中でのものなので、

こんな探偵が…なんて思う人が、いるかもしれませんが、スルーして見ることをおススめします。

木村文乃ネーの大げさで、時に笑いを外すコメディエンヌぶり。

ホームズな向井理に対し、ワトソン役となる佐藤二朗。

次回があるのかどうかは別にして、今回のゲスト陣にしても、

木村多江やら、財前直美と市原隼人の母息子役やらが、方言を駆使しながら、ユニークなコミカル演技を、披露してはります。

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映画の冒頭で、テレビ版のダイジェスト・シーンと、キャラクターやらの紹介がありますんで、テレビを見ていなくとも、よく分かるようになっています。

二時間ドラマが少なくなる昨今、そんなドラマへのオマージュも、カンジられる作品でした。

映画的にどうかは別にして、二時間ドラマ世代の家族と一緒に、見に行って楽しんでみましょう。

2016年11月26日 (土)

「君の名は。」大ヒット分析、再び!

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●公開前の予想を超えて、大ブレイクした「君の名は。」。

今年の8月19日付けで、弊ブログで分析した分を、再アップし、ヒットにつながったところを、関西弁から標準語に直して、再提示いたします。

ちなみに、今年は、ディズニーの「ズートピア」、ブラジルからの「父を探して」、さらにジャパニメーションからの「この世界の片隅に」など、

アニメの画期的な作品が、数多く公開された点も、付記しておきます。

21世紀のジャパニメーションの、マイ・ナンバーワンな傑作

ジャパニメーションの、トリッキーな新しさに満ちた感動作だ

http://kiminona.com/

8月26日の金曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016「君の名は。」製作委員会

いきなりですが、21世紀のジャパニメーションの、

マイ・ベスト・ファイブ(順位通り・監督名・1監督1作品に限定)を、披露させてもらいますと…。

①本作

②千と千尋の神隠し(2001年製作・宮崎駿)

③河童のクゥと夏休み(2007年・原恵一)

④サマーウォーズ(2009年・細田守)

⑤かぐや姫の物語(2013年・高畑勲・弊ブログ分析済み)

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●日本の古来のおとぎ話や伝承を、コンテンポラリー・アニメに応用した②③⑤は、

日本アニメの今後の方向性を示す傑作ですが、

これまでの日本映画やアニメを覆す、21世紀的にハットトリッキーな、本作や④は、

トンデモなく挑戦的で、刺激的な作品だと言えましょう。

中でも、本作は、ラブ・ストーリーとしての人間ドラマ性を、かつての日本映画の名作を、多様に応用しつつ、展開するとゆう大傑作になっています。

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まず前半は、男女が入れ替わる学園もの「転校生」(1982年)などを、東京と地方の、長距離的遠隔で披露。

しかも、お互いに見る夜の夢を、媒介ファクターにするとゆう、かつてない作り。

この前半のハットトリッキーが、実は、本作のタイトルにもなってる、

すれ違い恋愛映画の、松竹の古典的作品「君の名は」(1953年)の、新次元的な引用になってゆくのです。

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それでもって、同時代に入れ替わっていたのではないとゆう、後半のサプライズは、

時代を経て交信する、韓国映画「イルマーレ」(2000年)などや、

また、当然タイムスリップ系も、メイン・ポイントで加わって、「時をかける少女」(1983年)などの傑作からの、応用の片鱗も見受けられます。

11
彼女を探して、調べ回る主人公の高校生。

やがて、3年前の彗星落下事故で街が全壊・全滅し、死んでしまった少女と、夢を通して、つながっていたことが分かってまいります。

なぜ現代と、3年前なのか。

そのあたりをさらに探る中で、全滅そのものを回避し、彼女を助けようとするところへと向かうのです。

このあたりは、緊張と波乱。そして、サプライズと感動があります。

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過去改ざん系の、ドラマのようでありながら、

過去を変えるために、説得力ある、実際的な行動へも、主人公は踏み込んでまして、

このあたりの、ミステリー的な論理性も、SF映画ながらも、キチンとしているのに、メッチャ感動いたしました。

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冒頭の、彗星が地球に落ちるシーンの、ダイナミックなアニメ的描写から、まさに胸ワクワクのドキドキで、お話の中に入れます。

さらに、ところどころで映される、風景・街描写の、微細かつ美麗なシーンが、緊張緩和しているかと思います。

15
「トイレのピエタ」(2015年・弊ブログ分析済み)にも出て、好感演技を見せた、バンドのボーカルの野田洋次郎。

その今年の紅白出場も果たした、バンド「RADWIMPS」(ラッドウィンプス)の、

ノリノリの8ビート・ロックから、胸にクル美しきバラードまでが、映像に合わせて、ココロ揺さぶる作りになっています。

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さて、声優陣についてです。

主人公・立花瀧(たき)の声・神木隆之介の誠実・ナイーブ。

ヒロイン・宮水三葉(みやみずみつは)・声優・上白石萌音(かみしらいし・もね)の、ポジティブな地方弁。

声に魅了されるアニメが、あるのかどうかは別にして、

キャラに合わせた声質は、妙味があると申せましょう。

長澤まさみネーさんの、いかにも今風の、女子大生役などにも注目です。

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そして、ラストシーン。

チャップリンの名作「街の灯」(1931年・アメリカ)などにも通じる、2人がお互いを、愛を込めて認識し合うという、

感動的なシーンが、待っていますんで、本作に、大いに期待してくだされませ。

2016年11月25日 (金)

「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」

1
実話ベースの、同性愛ラブ・ストーリーの行方

ジュリアン・ムーアとエレン・ペイジの愛だ

http://www.handsoflove.jp

11月26日のサタデーから、松竹の配給で、全国順次ロードショー。

本作は2015年製作の、アメリカ映画103分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

2

ⓒ2015 Freeheld Movie, LLC. All Rights Reserved.

同性愛映画です。いわゆる、男同士のゲイ、女同士のレズ。

ボク的には、これまでに、何やら避けてきたタイプの映画なのですが、

一方で、ゲイやレズの人がソロで出て、イロイロやってくれる映画は、ケッコー見てきました。

それが、愛が恋がどうちゃらになってまうと、個人的には、ウーンとなってまうとこがありました。

4
同性愛映画は「ゲイ&レズ映画祭」が、開催されるくらいやから、これまでにケッコーな数の、タイトル数があります。

そんな中でも、レズよりゲイを取り上げた作品の方が、多いように思えるんやけど、

でもしか、無謀にも、レズ系マイ・ベスト・スリー(各順不同)を、披露してみますと…。

ゲイ・レズ関わらずの、同性愛映画総合マイ・ベスト&カルトは、

後日分析予定の「ストーンウォール」(12月24日公開)のとこでやってみます。

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①本作②アデル、ブルーは熱い色(2013年製作・フランス映画・弊ブログ分析済み)③キャロル(2015年・アメリカ・ブログ分析済み)

●全て2010年代製作の、作品になってしまいましたが、

女の友情ものの名作は、それまでにあったものの、

レズものとなると、ボクの見逃しも、だいぶとあるかもしれへんけど、

最近になってチビチビ、出てきたような気もするんやけど…。

8
セックス・シーンが強烈やった②、レズの恋の駆け引きを、男を絡めて描いた③。

レズ系映画そのものを、ほとんど見ていないボク的には、良く言えば、全てが新鮮に見えてしまうんやけど、

本作のような実話をベースにして、レズの人間的権利まで踏み込んだ映画は、

まあ、かつてないもんやないやろか。と、思うんやけど…。

5
攻撃的な女刑事役の、ジュリアン・ムーアが、レズやったとゆう、おいおいなサプライズ設定が、本作の序盤にあります。

ほんで、エレン・ペイジと恋仲になって…。

ベッドシーンなんかもあるけども、むしろ淡泊な作りで、

でもって、2人の結婚までは、それなりにスムーズに進みまして…。

でもしか、ムーアが末期ガンになってしもて、

ムーアが死んだ時に、2人の愛の巣・自宅をどうするのかとなり…。

6
ムーアの相棒刑事のマイケル・シャノンや、同性愛運動家のスティーヴ・カレルなど、

男たちとの関わりもあって、ドラマはそれなりに面白味を増します。

そして、訴えのシーンでは、エイズ裁判を描いた、「フィラデルフィア」(1993年・アメリカ)級の、逼迫度も見せつつ、2人の愛は…。

3
バイオリンをメインに据えた、音楽監督の巨匠ハンス・ジマーのサントラや、

ラストロールで流れる、マイリー・サイラスのメロディアス・バラードなど、ドラマティックやその余韻ぶりは、メッチャ良かったです。

さてはて、同性愛映画でも、レズ愛映画は、ボクの急所やと思うけど、

病気などの定番のパターンが、少し気にはなりましたが、

最後まで緊張感をもって、見られた映画でした。

2016年11月24日 (木)

「五日物語-3つの王国と3人の女-」

1
ブラック・テイストの、グロテスク・ファンタジー

世界初のおとぎ話は、トンデモホラーな怪奇もの

http://www.itsuka-monogatari.jp

11月25日のフライデーから、東北新社の配給によりまして、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショー。

本作は、2015年製作の、イタリア・フランス合作映画で、本編133分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 ARCHIMEDE S.R.L.-LE PACTE SAS

17世紀初頭に発表された、イタリア発の世界初のおとぎ話を、映画化した作品です。

世界最古のおとぎ話と聞けば、さぞやコドモ向けの、良質な作品かと思いきや、

いやはや、コドモには語れないし、とても見せられない、トンデモナイ内容になっとります。

人間のエゴイズムが、グロテスクなスタイルで、むき出しになった問題作品です。

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物語は3話オムニバスなんやけど、設定において変なとこが頻出する、変てこな物語ばかり。

3話は順番に描かれずに、交互に描かれ、しかもシンクロナイズするのは、ラストシーンだけで、

それぞれの話の、グロテスクにして奇怪さが、クローズアップされる作りになっとります。

それぞれの話を、①②③で見ていきますと…。

5
①妊娠できない女王(サルマ・ハエック)が、モンスターの心臓を食えば、懐妊できるとゆう預言者の話を信用し、

王(ジョン・C・ライリー)に、鉄兜・鎧で武装さして(写真上から3枚目)、その水中モンスターに戦いを挑みます。

ほんで、共に戦って力尽き、王は死にます。

そして、モンスターの心臓を食べた(写真4枚目)女王は、男の子を妊娠。

その子が大人になって以降の、話も展開します。

グロテスクな食べるシーンは、ある意味ショッキングでした。

7
②酒池肉林を繰り返す王(ヴァンサン・カッセル・写真5枚目)やけど、

ある日、美声に魅せられて、ある姉妹の家の扉を叩きます。

で、真夜中に、その姉とベッドインするんやけど、その姉妹は醜い老女でありました。

朝起きて、老女を見て、王はビックラコン。窓から老女をホカします。

3
でもしか、その姉・老女は、女妖精のおかげで、若く美しく変身(写真6・7枚目)。

ほんで、皮肉にも、同じ王に見染められて結婚へ。

姉の変身ぶりに、触発された妹・老女が、どうすれば変身できるのかを、姉に聞き、

そのグロテスク極まりない方法を、無謀にも実行に移します。

カッセルの嫌らしい男のエゴ、片や、女のむき出しの、エゴイスティックな欲望。

ゾッとするような、ホラーイズム的奇怪さでおました。

8
③王女以上に、秘密裡に飼ってる、ノミ・モンスターを、愛玩する王(トビー・ジョーンズ)。

そんなノミが死んでもうて失意の中、王女の婿さん探しに、トンデモナイ方法を考案。

それを実行に移して、王女のお相手は、鬼になってまいました。

そんな鬼に王女はムリヤリ、鬼の棲み家に、連れられてゆきます(写真8枚目)。

4
巨大なノミの造形やらのグロテスク。

2人の仲は、「美女と野獣」(1946年製作・フランス映画)のような、ロマンテックな展開があるのかと、期待なんかしとりますと、ドッカーンと裏切られます。

さてはて、イタリアではほとんど、ロケのされなかったところを、マッテオ・ガローネ監督は、あえて選んで撮ってはります。

その意味では、今までにないような背景で、変型時代ものファンタジーを描こうとした、監督の熱意が伝わってまいりました。

9
本作は、マッテオ監督と同じくイタリア発の、巨匠監督ピエル・パオロ・パゾリーニの、

グロテスクな名作群に通じる、仕上げぶりを見せてはります。

とゆうことで、グロテスク・ファンタジーなる世界の、トンデモ妙味をお楽しみください。

2016年11月23日 (水)

映画本『大阪「映画」事始め』⇒武部好伸・著

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映画を日本で初めて、スクリーンに映したのは大阪だった

大阪の映画製作史・興行史を追った労作ノンフィクション

●大阪「映画」事始め/武部好伸・著/彩流社/定価(本体1800円+税)

文=映画分析研究所 所長  宮城正樹

みなさん、ドキュメンタリーならぬノンフィクションを、読んだことはあるでしょうか。

ノンフィクションとゆうのは、書きっぱなしは、一切ききません。

調べる時間の方が、書く時間よりはるかに時間が掛かるものです。

本書の最後に「参考文献」が列記されていますが、100冊以上の膨大な文献を、渉猟するとゆう読書量。

しかも、そういう本を探すとゆう調査する時間。

そうして、日本で初めて映画が、スクリーンに映された場所は、京都ではなく大阪であったという点を、まず立証してまいります。

つまり、スクリーンに限定すると、大阪が初めてなのです。

映画館での上映は、まだ時を待たねばなりませんが、興行としても、スクリーンに映して、日本で初めて映画を観客に見せたのも、大阪・難波の南地演舞場でした。

そして、その後の大阪と京都の、興行対決模様。

さらに、大阪での映画製作の変遷なども、ドラマティックに描き込まれています。

ノンフィクションは、事実の積み重ねも大事ですが、小説的なところも重要だと、ボクは思います。

それで、ボクが本書で、イチバン興味を魅かれたのは、人口も工業生産力も日本一であった、大正末期の大阪のことです。

江戸川乱歩が勤めていた、大阪毎日新聞の1923~1924年の頃。東京府では関東大震災が発生し、壊滅状態だった頃。

部数が100万部を超えていた大毎が、映画上映だけでなく、ニュース映画製作にも、力を注いでいたという話に、驚きを禁じ得ませんでした。

そのほかにも、サプライズなところが多かった。

大阪映画製作の嚆矢であった方が、ボクと同じく滋賀県出身であったとこなどにも、ココロ魅かれました。

みなさんも、読んでいて必ず、なんらかの驚きが発見できるはずです。

さて最後に、ノンフイクションが原作になった日本映画の、マイ・ベスト・スリーを言いますと…。

①復讐するは我にあり(1979年製作)②サンダカン八番娼館 望郷(1974年)③真昼の暗黒(1956年)

●犯罪者を描いた①、ジャパユキさんの生涯を描いた②、冤罪裁判もの③など、

事件ものや社会問題的なものが、映画映えするのかもしれませんが、

本書のような、映画業界の内幕ものも、映画にしたらきっと、面白いと思いますよ。東宝本社の企画課さん、ヨロシクね。

※以下は、今後開催される著者・武部好伸氏の、講演会などです。

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「フランコフォニア ルーヴルの記憶」

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「エルミタージュ幻想」に続く、美術館ドキュ・ミステリー

再現シーンは、ドラマ仕様で展開

http://www.francofonia.jp

11月26日のサタデーから、キノフィルムズの配給によりまして、テアトル梅田やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、フランス・ドイツ・オランダ合作の88分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 - Ideale Audience - Zero One Film - N279 Entertainment - Arte France Cinema - Musee du Louvre

アレクサンドル・ソクーロフ監督の新作。

祖国ロシアのエルミタージュ美術館を舞台に、

ロシアの近代史を、1時間半にわたる、ワンカット長回し撮影で撮り上げた「エルミタージュ幻想」(2002年製作・ロシア&ドイツ&日本合作)に続き、

今度はルーヴル美術館を、フランス近代史の流れと共に、ミステリアスに捉えた作品を、作ってきはりました。

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しかも、これまで監督が撮ってきはった、第二次世界大戦下の支配者映画などの、作品性も散りばめて、

幻想シーンやドラマでの再現シーンなど、「エルミタージュ幻想」の長回しの実験性とは違い、

より多彩に分かりやすく作り上げて、ドラマ的感興も味わえる作品になっとります。

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美術品入りコンテナを、船で運んでいるとゆう船長と、ソクーロフ監督との、時を経た交信から、本作は意外性をもって始まります。

そして、マリアンヌや若きナポレオンらの亡霊が現れて、ルーヴル美術館との関わりが、ミステリアスに描かれてまいります。

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でもって、1940年のナチスのパリ侵攻でおます。

ナチス占領下のパリの映像や、セピア色のルーヴルのカットと共に、

ルーヴルに初めて、ナチスが訪れた時の映像を、再現ドラマとして紡ぎます。

ここは、フィルムにキズやテカリを入れたような設定で、

シーンを光の帯で挟むとゆう、映画的に凝ったシークエンスになっとります。

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パリの俯瞰移動撮影、セーヌ川やポンヌフ橋から見るルーヴルの姿、

加えて、絵画で見るルーヴルなど、あくまで、美術館をメイン・ポイントにしたような作りに見えるけど、

しかし、そこはソクーロフ監督らしい、映画作家性・幻想的作りが、見え隠れしていきますで。

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エルミタージュ美術館との、対比描写も妙味あり。

まさに、本作は「エルミタージュ幻想」と、対をなす快作やと言えましょうか。

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語りは、ソクーロフ監督自身なのですが、

「私の話に飽きましたか。あと少しの辛抱です」などと、

茶目っ気も、時々入っとりまして、緊張緩和してはりますよ。

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サントラとしては、ピアノやバイオリンを挿入し、最後には、オーケストラ・サウンドが、壮大に高鳴ります。

とゆうことで、フツーの美術館ドキュを超えて、映画作家としての、ドキュの在り方を、示した作品でした。

2016年11月22日 (火)

演技派の共演「母の残像」

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死んだ母をポイントにした家族映画

家族のそれぞれの想いがシンクロナイズ

http://www.hahanozanzou.com

11月26日のサタデーから、ミッドシップの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、ノルウェー・フランス・デンマーク・アメリカ合作による、本編109分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒMOTLYS - MEMENTO FILMS PRODUCTION - NIMBUS FILMS - ARTE FRANCE CINEMA 2015 All Rights Reserved

家族の誰かを、クローズアップした映画でも、

母をポイントにした映画は、よりナイーブに、ボクらのココロを、哀愁に満たします。

しかも、母の死のナゾもあり、

また、母との想いを父・息子2人が、イロイロ思い出してゆくとゆう構成が、

より母への実像に迫り、母映画の複合型映画になっています。

死んだ母を含めて、各人のナレーションによる、物語的に語るとゆうスタイルも、

この種の映画の、新味でもあるでしょうか。

1
母もの映画の、マイ・ベスト・ナンバーワンは、抒情的な「青幻記 遠い日の母は美しく」(1973年製作・日本映画)なのですが、

本作は「青幻記」のように、センチメンタリズムにハマることなく、

ある程度の距離を置いた形で、母との関係性を各人が見つめていきます。

片や、その種のマイ・カルト・ナンバーワンは「オール・アバウト・マイ・マザー」(1999年・スペイン)です。

「オール・アバウト…」は特異とはいえ、母の姿をありのままストレートに描く、

あるいは想い出の中の、母の姿を描くとゆう意味では、本作と似通っていると申せましょうか。

ただ、“想い出の中”とゆうのが、本作ではメインになっていまして、

母の死の謎に迫る、ミステリアスな展開というよりは、古典的オーソドックス・オーディナリーな回想とゆうスタイルです。

2
加えて申しますと、父・息子たち各人の、母への回想をひらめかせつつも、

不倫を含めた、それぞれの恋愛模様も描かれて、複雑性を帯びてゆきます。

つまり、不倫とゆうサブ・テーマも、見逃せない作りなんです。

恋する女生徒が、教科書を読む授業中に、衝突の瞬間をスローにした、母の交通事故死を、想像回想する、弟・息子のシークエンスなど、

家族それぞれに合わせた、回想シーンのタペストリーが、本作の持ち味とゆうか、見どころではないでしょうか。

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元俳優の夫役ガブリエル・バーンの、熟成した落ち着き度合い。

兄・息子役ジェシー・アイゼンバーグの、自然体とも言える演技テイスト。

そして、戦場カメラマンの母役イザベル・ユペールの、仮面の無表情さで、ビミョーな感情表現をする、演技ぶり。

こうした演技の、アンサンブルやらミキシングやらが、フツーのようでフツーじゃない、家族ドラマを紡いでゆくのです。

アップ、クローズアップの使い方も、的を射ております。

特に、ラスト近くにある、イザベル・ユペールの、1分近い長回し撮影による、クローズアップ・シーンは、印象深かったです。

3
デンマークの巨匠監督ラース・フォン・トリアーの、甥っ子ヨアキム・トリアー監督の、本作は長編映画第3作目です。

デビュー作、2作目は残念ながら、ボクは未見なのですが、

ラース監督に見られた、変型ヒロイン映画のテイストが、それとなく仕込まれているように見ました。

複雑なヒロインのキモチを描く映画として、名女優ユペールの名演技を得て、

脅かすとゆうとこまでは、どうかとは思うけど、かなりのとこまで、叔父ラース作品に、迫ったのではないでしょうか。

そのあたりをぜひ、みなさんに見て頂きたい作品です。

2016年11月20日 (日)

21世紀版「古都」⇒日曜邦画劇場

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松雪泰子1人2役、その娘役・橋本愛と成海璃子の共演

京都ロケ・メインに、パリロケも敢行したゼイタク仕様

http://www.koto-movie.jp

11月26日の土曜日から、京都先行上映。12月3日の土曜日から全国公開。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ川端康成記念會/古都プロジェクト

ノーベル文学賞作家・川端康成の小説を、原作にした映画どす。

「古都」(1963年製作・中村登監督・岩下志麻主演)、「古都」(1980年・市川崑監督・山口百恵&三浦友和主演)に続く、

3度目の映画化ながら、21世紀的現代版に、換骨奪胎(かんこつだったい・いわばオリジナルをベースに、新作を作るスタイル)された作品になっとります。

と言うか、原作小説の続編とゆうカンジで、新たに映画オリジナルで、作られとりますんどすえ~。

小説の腹違いの姉妹(松雪泰子1人2役)が、結婚してそれぞれ娘を儲け、

その娘たち(橋本愛・成海璃子)が大人になって、親から独立していくという話を、展開してまいります。

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モチ、小説の舞台の京都ロケ映画なんやけど、

成海璃子ちゃんがパリへ、留学してるっちゅう設定なので、パリ・ロケ・シーンも随時、挿入されますねん。

京都ロケ映画は、かつての日本映画の宝庫どしたが、21世紀以降はさほど作られとりません。

けども、かつて弊ブログで、21世紀の京都ロケ映画の、マイ・ベスト&カルトなんぞを、披露しましたけども、

本作は個人的にも、メッチャ注目できる作品でおました。

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ボクは同志社大学出身なんやけど、

何と橋本愛ちゃんが、新卒就活中の、同志社大学生4回生の役をやらはり、

これが何と今どき、いてはるんやろかっちゅうくらい、古風で消極的でお淑やかな役でした。

古風やとカンジたのは、書道やみやこ踊りなんぞのお稽古ごとに、熱中してはる点です。

ボクが卒業してから、だいぶ経つけども、当時でもそういう女子大生キャラは、あんましいなかったんやないやろか。

その意味では、今は過去に温故知新してはる、女子大生が多いんかもしれへんな。

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でも、同志社大学正門の烏丸通りを挟んだ、向かいにある、

喫茶店「わびすけ」で、ロケーションしていたのには、ビックラコン。

当時、ボクたちが入り浸ってた、茶店(さてん)ならぬ、茶店(ちゃみせ)の呼称に、ふさわしい和風喫茶店が、今でも続いとることに驚いたし、感無量やったんどす。

そんな過去回帰な雰囲気があったためか、本作は、今風の京都というよりは、かなり古風とゆうか、古っぽいカンジがありました。

1968年を舞台にした、京都ロケ映画「パッチギ!」(2004年)なんかと比べてみても、その時代より古く感じたくらいどす。

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おそらく、原作小説の時代背景が、それとなく画面に、表現・反映されていたからでしょうか。

現代シーンでは薄色配色をメインにし、過去シーンでは、モノクロに近い脱色シーンも、取り入れてはるし、

また、北山杉から嵐山・渡月橋・桂川、定番の鴨川まで、今も昔も変わらない京都の自然描写も、

千年の都の歴史と重みをば、カンジさせてくれはります。

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一方、パリ・ロケ・シーンでは、観光名所を映したいとこを控えめに、撮ってはります。

セーヌ川や、エッフェル塔が見える、ロングショットなんやけど、

でもしか、京都の鴨川やらと、対比的に描くような、さりげない意図も、あるように思われました。

パリへ行ったのは、演技陣では、松雪泰子ネーさん、橋本愛ちゃん、成海璃子ちゃんら、女優たちばかり。

愛ちゃんのオトン役の伊原剛志や、オジン役奥田瑛二ら男優陣は留守番や。

パリ旅行に行けるという嬉しさからか、女優陣が何やらイキイキしてはったどすやろか。

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本作の続編も作れそうな、最後の終わり方どした。

シリーズ化なんて、可能なんやろか。見守っときたいと思います。

2016年11月18日 (金)

韓国映画「造られた殺人」

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報道記者が主人公の、ハラドキのテレビ局サスペンス

「ネットワーク」に通じる、ブラック・ユーモアなテイストだ

http://www.satsujin-scoop.com

11月19日のサタデーから、クロックワークスの配給により、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の韓国映画125分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

高視聴率を狙うテレビ局絡みの、サスペンス・ミステリーです。

最近では、中井貴一主演「グッドモーニングショー」(2016年製作・日本・弊ブログ分析済み)や、

ジョージ・クルーニー主演「マネーモンスター」(2015年・アメリカ・ブログ分析済み)などがありますが、

それらはキャスターが主人公でした。

しかし、本作は報道記者(チョ・ジョンソク)が主人公です。

記者のスクープにまつわるものといえば、やはり新聞や出版社の雑誌が定番で、テレビ局とゆうのは、そうそうありません。

そして、描かれてる殺人ですが、7人もの連続カップル殺人事件の、無差別殺人とゆう、現代的な事件を採り上げています。

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さてはて、主人公は情報提供者によって、大スクープをものしはります。

でもしか、それが誤報だったことを知り、そのことをテレビ局や周囲に黙っていたんやけど、

高視聴率にご機嫌な、報道局の女上司から、続報取材を命じられ、

一方、警察からは、事件に関係しとるんやないかと疑われます。

そこで、主人公は誤報スクープを糊塗するため、テレビ局へ犯人からの手紙を、でっち上げて送りつけるんです。

そして、そこで書いたことが、現実に起こってしまい、さらにさらに主人公は、窮地に立たされてゆきます。

そうこうするうちに、真犯人が主人公に接触してきて…。

警察陣やテレビ局に、ややリアリティーのない、ブラック・ユーモアな展開ながらも、

力ワザとも言える強引さで、グイグイとハラドキのままで、最後まで魅せてくれはりました。

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この種の映画では、マイ・ナンバーワンの名作「ネットワーク」(1976年・アメリカ)なども、

ある意味では、シニカルでブラック・ユーモアなテイストが、大いなる見どころでもありました。

また、オンエア生中継を通して描く、テレビ局サスペンスが多い中において、

変節系ながらも、オリジナリティーを追求しようとする姿勢には、好感を覚えます。

とゆうことで、韓国映画サスペンスは、他国のサスペンス映画とは、ひと味違っとります。

そのあたりを、じっくり味わってみてください。

2016年11月16日 (水)

「ガール・オン・ザ・トレイン」

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ヒロイン・ミステリーの、上質の作品が登場

ヒッチコック、デ・パルマ作品に迫る仕上げぶりだ

http://www.girl-train-movie.jp/

11月18日のフライデーから、東宝東和の配給により、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ映画112分。

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ⓒUniversal Pictures

日本では、二時間テレビドラマとの呼称が、定番で幅を利かせているところの、ヒロイン・ミステリー・サスペンスです。

但し、テレビの二時間ドラマでは、決して味わえない、

映画的トリッキーで魅せる作品が、本作でおましょうか。

ちゅうことで、ここで、ヒロイン・ミステリー・サスペンスなアメリカ映画にして、セクシーな女優が出てくる映画の、

マイ・ベスト・スリー(順位通り)を、披露してみますと…。

①氷の微笑(1992年製作)②本作③ゴーンガール(2015年・弊ブログ分析済み)

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●夫妻のミステリアス駆け引きの③。

メッチャやらしかった、シャロン・ストーンに、すっかりヤラれてもうた①。

そして、本作は、ヒロイン(エミリー・ブラント)やなく、

ドラマのキーを握る、セクシーな人妻(ヘイリー・ベネット・写真上から4枚目)に、

男的には、グッとハマッてまう映画なんです。

一方でモチ、ヒロインの謎めきもまた、

本作の怪しい妖しい度合いを、高めてまいります。

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ヒロインが記憶喪失とゆうのは、ありきたりやけど、

それが、酔っぱらってる時とゆうのは、ありそうでなさそうな設定でおましょう。

女アル中映画では、「酒とバラの日々」(1962年)やら。

記憶喪失系としては、「エンゼル・ハート」(1987年)やらの、インパクトがある映画です。

それでいて、オーソドックスな動機づけが、なされた映画。

男の浮気、女の妊娠とゆうスパイスは、従来よりいくつも出てきた素因ですが、

それらを新たな視点によって、見直すとゆうところにこそ、本作のオリジンがあります。

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毎日電車に乗って、ニューヨークへ向かうヒロインが、

その沿線にある二つの家に、いつも目を奪われ、想像を巡らすとゆうイントロ。

ヒロインのナレーションから始まる、この冒頭部から、既に騙しの構図が始まっておます。

ヒロインのアップ・カットと、ヒロインの過去のフラッシュ映像を束ねて、

ミステリー・サスペンス的に、観客に不安感を植えつけ、あおっていきます。

ヒロインが理想と思う、愛する夫妻の2人。

その2人が住む家の近くに、ヒロインの前夫と後妻と赤ん坊が、住んでいるとゆう設定。

さらに、そこに、精神分析医が加わるとゆう、2人プラス2人プラス、ヒロインと精神分析医とゆう、6人のシンプルな群像劇調ながら、

ヒロインの想いによって、複雑怪奇な方向へと、物語は進んでゆくのでありました。

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ヒロイン・サスペンスとしては、ベースとしては、アルフレッド・ヒッチコック監督や、

その後継者の1人、ブライアン・デ・パルマ監督やらの、影響が濃厚な作品です。

ヒロインのエミリー・ブラントネーさんの謎。

セクシーなヘイリー・ベネットネーさんの謎。

でもって、3人の男たちの、エゴイズムな関わりの、ミステリアスな方向性。

日本の二時間ドラマなんぞでは、決して味わえない、謎めきと着地具合が、メッチャスリリングに展開してゆく映画です。

とゆうことで、「氷の微笑」に、勝るとも劣らないインパクトがある、傑作ミステリーでした。

「あたらしい野生の地 リワイルディング」

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生態系ネイチャー・ドキュメンタリーの、新しい可能性

かつてない多彩な生き物たちの、四季折々の姿

http://rewilding.mejirofilms.com/

11月12日のサタデーから、メジロフィルムズの配給により、大阪・淀川文化創造館・シアターセブンやらで、全国順次のロードショー。

本作は2013年製作のオランダ映画97分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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本作は、意図的に作られた自然保護区での、生き物たちの生態系を、

四季にわたって描く、確信犯的・生物・動物のネイチャー・ドキュメンタリーです。

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さてはて、そんな生物・動物ネイチャー・ドキユの、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、思いつくままの気ままに、風まかせな風吹くままに、言いますと…。

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●ベスト⇒①WATARIDORI(2001年製作・フランス映画)②ミクロコスモス(1996年・フランス)③キタキツネ物語(1978年・日本)

●カルト⇒①本作②アース(2010年・イギリス)③子猫物語(1986年・日本)

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●鳥類のベスト①、昆虫のベスト②など、自然にある生き物たちの、あるがままの姿を、映画的ダイナミズムで捉えた作品は、

この種のドキュの、完成度といい、臨場感といい、ピークを示す作品でありましょう。

日本でも、ベスト③やカルト③などの、そういう自然生態系を、ドラマティックに魅せる映画もあります。

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弱肉強食をポイントにした、自然の在り方を示す、BBCによる大作カルト②なども、

この種のドキュの、ファミリー・エンタの在り方を、追求した娯楽作品でした。

そして、本作は、前述しましたけども、そおゆう弱肉強食な動物たちの自然系を、

自然保護区とゆうカタチで、意図的に作り上げて、その生態系を撮り上げた作品です。

こおゆうタイプのネイチャー・ドキュは、映画史上初めてでおましょう。

しかも、映画キャメラに捉えられる、動物・生き物たちの多さでは、かつてない数ではないかと思います。

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さらに、映画製作開発途上国のオランダから、こおゆう映画が出てきたことは、ビックラコンでおました。

ですます調のナレーションはまあ、ありきたりやけど、

また、ハリウッド映画的に、壮大なオーケストラ・サウンドで映画を飾るちゅうのも、パターン化してるかもしれまへん。

けども、それでも、本作にボクが魅力をカンジるのは、

自然光に基づいた自然描写のもと、多彩な生き物たちが、生き抜いてゆく姿に、感動を覚えたからです。

全国的に日本公開された、ベスト③カルト②やBBCの「オーシャンズ」(2013年・イギリス)などと比べても、

決して遜色のない、仕上がりになっとります。

家族みんなで、見に行ける映画でもあります。

とゆうことで、ディズニー・アニメを見に行くキモチで、映画館へと、足をお運びくだされませ。

2016年11月15日 (火)

「世界の果てまでヒャッハー!」⇒おバカ映画の必笑作

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おバカなナンセンス映画の、最新快作だ

ホンマのホンマに、笑いが止まりまへんねんで~

http://www.hyahha-movie.net

11月19日のサタデーから、アルバトロス・フィルムの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作のフランス映画93分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒAXEL FILMS - MADAME FILMS - M6 FILMS - CINEFRANCE 1988

本作は、ナンセンス映画にして、おバカ映画です。

単なるコメディでは括れない映画として、

新しい名称がいくつかできたのですが、おバカ映画の呼称は一体、いつ頃からでしょうか。

ボク的推断では、「オースティン・パワーズ」(1997年製作・アメリカ映画)あたりからではないでしょうか。

一方、ナンセンス映画の呼び方は、1960年代の、日本の喜劇のプログラム・ピクチャーから、発生したものでしょう。

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さてはて、そんなカンジのカルティックな洋画で、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を選ぶのは、

無謀とも言えるけど、いちおうやってみましょか。

ベストとカルトが入れ替わっても、エエカンジではありますが…。

とにかく、ナンセンス・おバカであっても、ボク的には、見ていて笑いが絶えない映画を選んでみました。

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●ベスト⇒

①ヤング・フランケンシュタイン(1975年・アメリカ)

②ハンキー・パンキー(1982年・アメリカ)

③ハングオーバー!消えた花婿と史上最悪の二日酔い(2009年・アメリカ)

●カルト⇒

①本作

②ジャッカス・ザ・ムービー(2007年・アメリカ)

③ビーン(1997年・イギリス)

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パロディで笑いを取るベスト①は、オーソドックスな作りですが、

一方で、バカバカしいことに、チャレンジするカルト②や、おかしな人間の面白さで魅せるカルト③など、ストレートなナンセンス・おバカがあります。

片や、謎やサスペンスを加えたタッチでいく映画も、

ロードムービーを含め、この種の映画の、大いなる笑いのポイントにもなります。

とゆうことで、間違えられた男の逃亡劇ベスト②や、

酔っぱらってる時に、何があったのかとゆうベスト③などと、シンクロナイズするのが本作でしょう。

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ツアーに出た集団が、行方不明になってしもた。

ブラジルの秘境ジャングル・ツアーで、一体何があったのか。

老婆を含む男女グループで、出かけた者たちと、その模様を撮影した映像を見る、ホテルに居残りの待機組。

徐々に明らかになってゆく、その珍道中ぶり。

ロードムービー部に入ってからは、とにもかくにも、笑いが止まりまへんで。

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洞窟探索、クモ・トリ・ナマケモノ・カメらとの触れ合い(!?)、人食い人種からの逃亡、ヒコーキ・パニック…。

登場人物たちのセリフにも出ますが、「インディ・ジョーンズ」ばりの冒険ぶりが、

波乱バンジョーの、ハチャメチャ・モードで披露されまんねん。

あらま、トンデモたまりません。

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アメリカ映画のおバカ映画を意識しつつも、

こういうタイプの映画が、フランスから出てきたのには、意外の感に打たれました。

「スターウォーズ」のヨーダのようなオバンの、トンデモなはちきれぶり、

セクシー快感な女優たちの艶演、

男たちの、ベスト③に勝るとも劣らない、エライコッチャぶり。

カメとのパラシュート・ダイブ・シーンなんかは、激笑ものだ。

これはもう笑って笑って、笑いまくるしかない映画です。

2016年11月11日 (金)

アニメ「この世界の片隅に」⇒週末日本映画劇場

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戦中国内舞台もの日本映画に、新たな傑作が加わった

日本のヒロイン映画としても高質度の作品

http://www.konosekai.jp/

11月12日の土曜日から、東京テアトルの配給により、全国順次ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒこうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

太平洋戦争末期の、日本国内を舞台にした戦時下映画は、

これまでに多数作られてきとりまして、日本映画の傑作の宝庫になっとります。

アニメにもありますが、そのマイ・ベスト・スリーを、順位通りに言いますと、

①火垂るの墓(1988年製作)②本作③はだしのゲン(1978年)でしょうか。

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戦中映画とくれば、広島、長崎、沖縄、大阪、東京などと、舞台はイロイロですが、

その中でも、イチバン多いのが、②と③の広島ものです。

但し、②はヒロインの実家・広島よりも、ヒロインの嫁ぎ先の呉を、メインに描いています。

広島原爆を、呉から不安げに見るとゆう流れは、

爆心地をストレートに描くよりも、観客の想像力を、掻き立てるようになっているかと思います。

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しかし、広島よりもホントは呉の方が、危なかったのではないかと、本作を見れば分かります。

なぜなら、呉は日本海軍最大の、軍港の街だったからです。

ここから、戦艦「大和」も出航しました。

米軍としては、この街を広島と同じくらい、壊滅させたかったはずです。

そやから、しょっちゅう、空襲警報が鳴り、人々は襲われていました。

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そんな危険な街の海軍文官に、18歳のヒロインは、広島から嫁ぎます。

黒木和雄監督作品とかにあったけど、ヒロイン映画としての、戦中映画は珍しく、しかもアニメならば、なおさらです。

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ヒロインのナレーションの、ココロの微細なところに加え、フツーにストレートやない感情表現など、

ある意味で文学的なセリフが、本作の特に、オリジナルあるところやないかな。

例えば、幼い頃の不思議な夢物語るシーンの、ファンタジックなとことか、

ヒロインが空襲で右手を失くし、兄嫁の娘を死なせてしまったことへの、慚愧のナレーションなど、鬼気迫るものがありました。

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呟き・弱々しさをベースに、そこにさらに強弱を付けて、繊細なヒロインの声を担当したのは、「のん」です。

上記ホームページで、彼女の写真を見ていただければ、一目瞭然なのですが、既に有名なあの女優さんです。

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ザ・フォーク・クルセダーズの名曲フォーク・ナンバー「悲しくてやりきれない」(1968年)を、

女性シンガー・ソングライターのコトリンゴが、ささやきのボーカルで歌うのんも、「のん」の声調に合っていました。

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広島の海を描くウサギ仕込みのタッチ、空襲シーンのダイジェスト・シーン、

兄嫁の娘が不発弾でやられた直後の、黒場と白い筋で表現する喪失感、

スタジオジブリや「君の名は。」(2016年・弊ブログ分析済み)の明るさとは違い、

本作の作品性に合わせて、全体的に薄色配色なとこなどが、良かったと思います。

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さてはて、本作の片渕須直監督やけど、

宮崎駿監督の「魔女の宅急便」(1989年)で助監督を務めたあと、

「アリーテ姫」(2001年)「マイマイ新子と千年の魔法」(2009年)と監督し、

本作が映画監督第3弾になります。

3作の全てが、アンダー20歳のヒロイン映画です。

それだけに、ヒロイン映画の仕上がりは、1作ごとにアップし、本作がピークに近い出来に、なってると言えましょう。

悲しかった「火垂るの墓」とは違って、ラストでは明るい陽が射す映画。

その意味では、「火垂るの墓」と、対をなす傑作です。

2016年11月10日 (木)

杏主演「オケ老人!」

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ヒロイン映画とシニア映画の、合体による人情喜劇だ

杏が「寅さん」になる、異彩ある音楽映画の爽快作品

http://www.oke-rojin.com

11月11日の金曜日から、ファントム・フィルムの配給により、TOHOシネマズ梅田ほかで、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016荒木源・小学館/「オケ老人!」製作委員会

邦画における、音楽映画の中でも、本作は異彩を放つ作品です。

さて、ここで、日本の音楽映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①スウィングガールズ(2004年製作)②ここに泉あり(1955年)③スワロウテイル(1996年)

●カルト⇒①本作(2016年)②のだめカンタービレ(2010年)③うた魂(2007年)

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日本の音楽映画には、ある程度のセオリーがあったかと思います。

ポップ音楽をドラマの中に、すり込んだベスト③などは、音楽ドラマ映画としての、オリジナル性を示してるけども、

そういう作品は、あんまし邦画ではなかったように思います。

バンド映画や実在の音楽家の映画。

学園ものとしての、音楽ムービーのベスト①カルト③。

多彩な交響楽・クラシックをポイントにした、ベスト②カルト②。

この3タイプが、主流だったのではないか。

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そして、本作はそんなクラシックを、ベースにした映画ながら、

従来の音楽映画に、新たな視点を加えることで、メッチャなエンターテイメント作品になった作品です。

従来よりいっぱいあった、ヒロイン映画とゆう視点を、ベースにしつつも、

そこに、シニア映画とゆう、ほぼ正反対のフレイバーを、ミキシングすることで、

映画的トンデモ化学反応を経て、家族一同が見られる、良質の映画になったのであります。

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ヒロインを演ずるのは、杏さん。

言わずと知れた、渡辺謙さんの娘さん。

ほんで、東出昌大と結婚し、コドモを儲けた。とても幸せな生活。

さらに、言いますと、21世紀の朝ドラヒロインを演じた女優は、その後不遇をかこつとゆう、ジンクスを超えて、本作に主演したのです。

いやはや、そういう好感度ある、国民的女優らしく、

本作でも、そのあたりを遺憾なく発揮しています。

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シニアばかりの交響楽団に、なってしまった楽団に、間違って入ってしまった杏さん。

ホンマはそれに気づいた時に、辞めてたはずなんだけど、

老人たちとのキズナの中で、この楽団でやってみようと決意します。

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そして、クライマックスで演じられる、杏さんがコンサートマスターとなった、交響楽団の見事な演奏ぶり。

そこにおいても、試練があるのですが、見事に乗り切っていくところが、素晴らしいのです。

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多彩なバイ・プレーヤーたちも、上記公式ホームページで、チェキを入れてください。

タイトルのオケと言えば、カラオケですが、それがオーケストラの略称になっているのも、サプライズある映画でした。

さらに、地方ロケ映画(栃木県足利市)としての、粋がある点も、強調材料であります。

何はともあれ、家族一同で、見にいってもらいたい娯楽作でした。

2016年11月 9日 (水)

韓国映画「弁護人」

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リーガル映画の熱血魂が、見えてくる映画です

弁護士役ソン・ガンホの、ヒューマニズムに酔う

http://www.bengonin.ayapro.ne.jp/

11月12日の土曜日から、彩プロの配給によりまして、新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2013年製作の、韓国映画127分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo
ⓒ2013 Next Entertainment World Inc. & Withus Film Co. Ltd. All Rights Reserved.

今年日本上陸した、数多い韓国映画の中で、本作は、マイ・ナンバーワンと、ジャッジした映画です。

韓国映画俳優の、ナンバーワンな演技派・御大とも呼ぶべきソン・ガンホが、

最初は、司法書士と弁護士を、混濁させるとゆう、エエ加減なカンジやったんやけど、

やがては、個人的な関係から、政治社会問題に肉迫し、熱血弁護士役を披露。

弁護士ヒューマニズム映画の、真骨頂を示した傑作です。

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さて、ここで、弁護士映画をポイントにした、リーガル映画、法廷映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)を披露しますと、

①本作②評決(1982年製作・アメリカ映画)③事件(1978年・日本)です。

ポール・ニューマンが演じた、アル中弁護士役の②、

丹波哲郎が探偵役にふさわしい、論理的弁護士役を演じた③。

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本作は、1978年から始まり、1981年へ。

そして、その後1987年あたりまでを背景にした、法廷裁判ものの、実話をベースにした映画なのですが、

ベスト②③が発表された時期ともシンクロし、

弁護士キャラクターを、どう描いてゆくかに、演出的心血を注いだ、作品のようでもありました。

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ベスト②のアル中なマイナス・ポイントは、

前半の司法書士的で儲けようとし、それがある程度繁盛してしまうとゆう、前半のアイロニーへと通じ、

その後、転換して、熱血ぶりメインに、弁護士的論理性も駆使する、本作のハイライトぶりは、ベスト③の応用編のようにも見えました。

このあたりの既視感は、ある意味では、映画的面白みでもあるかと思います。

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さて、かつても披露しましたが、ソン・ガンホのベスト・カルトでも、順不同で、マイ・ベスト・ファイブを言いますと…。

①「シュリ」(1999年・韓国)②「JSA」(2000年・韓国)の、

南北ものの中で示す、誠実で一面的には、素朴とも言える演技性。

家族映画としても、③「大統領の理髪師」(2004年・韓国)では、のほほんを見せ、

ほんで、モンスターと家族の対決④「グエムル-漢江の怪物-」(2006年・韓国)でも、一部逼迫はあったけど、あくまで自然体の演技。

そこが、ミスター・コリアン映画俳優の、余裕でもありました。

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ベスト⑤は同率で、本作と⑤「殺人の追憶」(2003年・韓国)。

本作は弁護士役、同率⑤位は刑事役です。

2007年の「シークレット・サンシャイン」(2007年・韓国)も、ボクの好きなフツーのアニキ役で、それなりに好感がありましたが、

本作は、これまでの演技とは、間違いなく一線を画していました。

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前半は、いつもの調子のエエ感じ。

名バイプレーヤーのオ・ダルスとの相棒ぶりも、ユニークでクスッと笑える。

でもしか、かつて貧乏学生で、食い逃げしてしもた店のオカミ(キム・ヨンエ)との絡み、

ほんで、オカミの息子(イム・シワン)が、書物を読んで筆記したとゆう、それだけで逮捕され、囚人になってしまい、

それを助けるために、見込みのない弁護を、ソン・ガンホが引き受けて、

これがメッチャな熱血果敢ぶりを、示すとゆう展開になってまいるのです。

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これほど熱意あふれる演技は、ソン・ガンホにとっては初めてでしょう。

それだけに、グッとくるヒューマニズムと感動が、見られる映画であり、演技ぶりでした。

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久々に見た、韓国のヒューマニズム映画。感動の人間ドラマ映画。

イロイロなとこで披露される、洋画の年間ベストテン映画で、ベストテン入りする、久々の韓国映画になるハズです。

とゆうことで、ベストテン発表前には、ぜひとも見ておきたい作品でしょう。

2016年11月 8日 (火)

韓国映画「華麗なるリベンジ」

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冤罪ものとムショものを、合体させて

相棒映画の新タイプを、提示した快作だ

http://www.kareinaru-revenge.com

11月12日の土曜日から、ツインの配給で、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作の韓国映画126分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2016 SHOWBOX, MOONLIGHT FILM AND SANAI PICTURES CO., LTD ALL RIGHTS RESERVED.

ムショもの映画、そして、冤罪晴らすでー映画ちゅうのは、それぞれにイロイロありましたわな。

一方で、相棒映画、男の友情もの映画ちゅうのも、イロイロあった。

ムショものをポイントにして、それらのいくつかを、ミキシングさせた映画としては、

ボク的には、「カッコーの巣の上で」(1975年製作・アメリカ映画)と「ショーシャンクの空に」(1994年・アメリカ)が、双璧の仕上がりなんやけど、

そこに、冤罪ものを組み合わせるとなると、一体全体、どんな風になるんやろか。

それをやってもうたんが、本作でおます。

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フツーの冤罪やありません。

冤罪でムショ入りさせられるんは、過酷な聴取で容疑者を死なせてしまった検事(ファン・ジョンミン)だす。

刑事や検事が、ムショ入りさせられるケースはあんましなく、

しかも、冤罪検事が冤罪を、ムショにいながらにして、晴らすとゆうパターンも新しい。

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さらにゆうと、フツーは弁護士との連携で、冤罪を晴らすとゆうのが定番なんやけど、

本作の場合は、あとからムショ入りした仲間(カン・ドンウォン)との、組み合わせで展開しまんねん。

いやはや、ムショもの・冤罪ものも、より豪快に新味で束ねようとする、韓国映画パワーには、圧倒されましたがな。

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ファン・ジョンミンは、上の陰謀でハメられて、ムショ入りさせられ、

あとから入ってきた、カン・ドンウォンの話で、そのことを知るんやけど、

そこで、カン君を出所させて、カン君に代理でリベンジ、つまり冤罪を、晴らさせようとしはります。

いやはや、こういうストーリー展開は、邦画やアメリカ映画にはまあ、ありまへん。

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そういう変テコなタッチを、ジョンミンとカン君のワイルド感のミキシングにより、説得力ある流れで魅せてくれはるんだす。

粗野やけど、重大なとこでは、冷静になるジョンミン。

筆跡をまねるとゆう「太陽がいっぱい」(1980年・フランス&イタリア)の、アラン・ドロンのようなことをして、

ワイルドやけど、頭脳的な詐欺師ぶりも見せて、さらにイケメンぶりも発揮してまうカン君。

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塀の中のジョンミンと、塀を出て外で活躍するカン君。

打ち合わせは面会の時だけ。

この内外に離れた相棒ぶりの妙も、あんましない設定でおましょう。

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ほんでもって、ラストの方の、インパクトある裁判シーンまで、目が離せまへんで。

特に、ジョンミンの感情的な静と動の、心理演技ぶりは見事やったと思います。

大河ドラマ的に一家の柱を演じ抜いた、彼のマイ最高傑作「国際市場で逢いましょう」(2014年・韓国・ブログ分析済み)に迫る、複雑演技やないでしょうか。

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ファンキー・サウンドや、ヒップホップなダンス・ナンバーなど、

ファン・ジョンミンの実弟、ファン・サンジュンの、攻撃的ノリノリの、サントラ使いにも注目や。

とゆうことで、韓国映画の新鮮味を、お楽しみくだされ。

2016年11月 6日 (日)

小栗旬主演「ミュージアム」⇒日曜邦画劇場

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トンデモ動機な、猟奇ミステリーの怪作

刑事と犯人の、もの凄まじい対決が展開

http://www.MUSEUM-MOVIE.JP

11月12日の土曜日から、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ巴亮介/講談社 ⓒ2016映画「ミュージアム」製作委員会

今や旬のコミック原作なんですが、これほどエグイのは、かつてないかもしれません。

刑事と犯人・殺人鬼との対決の構図であり、

その犯人の猟奇殺人度合いを、エグ過ぎるくらいに、捉えた映画でもあります。

見ていて、実に危ない、オトロシイ映画。

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一見、無差別殺人のように見える、殺し方が異常な、連続殺人事件が発生します。

でもしか、無差別ではなく、犯人には、いちおうのエゴイズムな動機があります。

猟奇殺人や無差別殺人の映画とゆうのは、それなりにありますが、

ここまで猟奇を押し出した映画は、あんましないんやないかな。

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ワケの分からない動機とゆうたら、「セブン」(1995年製作・アメリカ映画)とか、

「羊たちの沈黙」(1991年・アメリカ)とかが有名ですが、

それらの名作に近いもんが、本作にはあります。

ほんで、刑事(小栗旬)の妻子(妻役は尾野真千子)が、犯人に拉致されてしもて、

小栗旬アニキが発奮、犯人を追い、犯人と対決します。

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刑事対犯人の対決の構図の映画は、映画的に映えるもんがあります。

けども、本作の場合は、敵が余りにも強靭にして、エキセントリックでして、

みんなことごとくヤラれてしまい、小栗のアニキもたじたじ。

とゆうか、勝てそうなとこが、ほとんどない。

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そんな中で、逼迫・大仰・わめきな演技が頻出します。

犯人はモチ、小栗旬も真千子ネーさんも、冷や汗じっとり、わめきまくりの逼迫演技を、思いっきり披露しています。

共に、役者キャリアにおいて、かつてないエライコッチャーな演技ぶり。

見ていて、その逼迫度合いに、オオーッときます。

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カエルの着ぐるみや、メーキャップもやってるけど、素顔に近いカンジも、見せていた犯人役。

まさかあの方が演じてるとは、意外も意外。

俳優名を知らされても、エー、オイオイなとこがありました。

誰が犯人役かは、上記の本作の、公式ホームページをご覧ください。

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さてはて、ボク的には、前半のスリリング・サスペンス・怪しい度合いの流れは秀逸で、

後半の刑事対犯人の対決を、盛り上げてまいります。

緊張感あるサントラ使いに加え、ラストロールで流れる、英語詞によるハードロック・ナンバーなど、

激しい対決の余韻を、ヘヴィーに濃くしてくれます。

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臨場感を出すための、近接撮影の多さや、雨の日の描写、過去シーンの使い方など、映画的仕掛けが、大胆ダイナミックに見えました。

「るろうに剣心」(2014年・前後編・弊ブログ分析済み)の、大友啓史監督のチカラワザが、そこかしこに反映された作りです。

「秘密 THE TOP SECRET」(2016年・ブログ分析済み)に続く、大友監督の今年第2弾。

共に、ミステリー映画としての、醍醐味ある作品です。

加えて、共に衝撃圧な作りが、五臓六腑を亀裂さす、血わき肉震える仕上がりなのだ。

2016年11月 4日 (金)

織田裕二主演「ボクの妻と結婚してください。」⇒金曜日本映画劇場

1
泣ける映画の新しい領域へ、果敢に挑戦した作品だ

泣けるか、泣けないかは、あなた次第かもしれない

http://www.bokutsuma-movie.com

11月5日の土曜日から、東宝の配給で全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016映画「ボクの妻と結婚してください。」製作委員会

家族の誰か、あるいは夫妻のどちらか、または恋人同士の彼か彼女が、ビョーキになり、

末期度によっては、死んでしまうなんて映画とゆうのは、これまでにモノゴッツーな、タイトル数があります。

本作は、夫(織田裕二)が余命6カ月の、末期のすい臓になるという映画です。

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本作には、今までのその種の映画と違うところが、多々あります。

そのあたりを見ていくと…。

主人公・織田裕二は、テレビのバラエティー番組の放送作家なのですが、すい臓ガンを告知されたけど、

妻子には、ビョーキのことは内緒にしておいて、

自分が死んだあとに、残される妻(吉田羊)のために、何ができるかを、いきなりのナレーションで、必死に考えるのです。

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フツーは、ビョーキで死にゆく者のために、今、家族らが何ができるかを、ポイントにした映画が多いのですが、

まず、そこんとこが、逆パターンになっています。

そして、この種の映画には時にある、闘病系の映画にはならず、

織田裕二は、ピンピンしたまま冷静に、妻子のことを考え、

妻に別の男と結婚させて、自分が死んだあとの、苦労や寂しさがないようにしようとし、本気で実行に移します。

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そんなの、あり得ない。そう思う方は多いでしょう。

この変則な考え方を、大マジで描くというのが、今までとは完全に違っています。

そして、結婚相談所の女社長(高島礼子)とつるんで、

妻にふさわしい男を探して、原田泰造を見つけるのです。

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さて、そこで、織田は一体、どのようにして、妻・吉田羊と原田泰造を見合いさせて、結婚へと導こうとするのでしょうか。

このあたりの手法や手並みが、一つの見どころではあるのですが、

しかし、妻を別の男と、結婚させようという意図が、

イマイチ違和感がある上においては、どうしてもハラドキでは見れません。

そういう違和が、ある意味で、本作の新味でもあります。

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でもしか、吉田羊が、織田の意図と、末期ガンで余命数カ月を知った時に、大きな泣ける映画ポイントがやってきます。

こおゆう泣きの流れや展開は、オーソドックスに見えながらも、

先の違和感との対比効果で、より深く泣きを誘発するという、新味を見せているのです。

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それでも、織田の、妻を不幸にしたくないとゆう想いは強く、

原田泰造に必死に、妻と見合いしてほしいと、アタックします。

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その後の展開でも、違和感は続きます。

とゆうか、山田羊と原田泰造が付き合い始めて、ホンマに織田はうれしかったのでしょうか。

そう斜め見してみると、織田のアニキの表情ですが、頬がひくついたりしてるようにも見えます。

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ラストでは、サプライズとゆうか、ああ、そうだったのかあ、と納得できるシーンがあります。

死んでいった織田のキモチも含めて、泣けるか、泣けないかは、

結局、観客にゆだねるような、カンジになるのでしょうか。

つまりは、映画を見た、あなた次第というところでしょう。

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山田羊の、そんな夫・織田に対する演技ぶりは、自然体でも、

かなりの難役だと思いましたが、見事にこなしていたと思います。

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それにしても、ボクの妻と結婚してください、やなんて、

メッチャインパクトある、タイトルやん!

そんなインパクトに、見合った映画でした。

2016年11月 3日 (木)

「At the terrace テラスにて」⇒木曜日本映画劇場

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テラスだけで展開する、変型室内劇だ

「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」に通じる仕上がり

http://attheterrace.com

11月5日の土曜日から、11月11日の金曜日まで、新宿武蔵野館限定レイトショー。

本作は、2016年製作の日本映画95分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2016 GEEK PICTURES

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昨年の邦画で、マイ・ベストワンにした「友だちのパパが好き」(2015年製作・弊ブログ分析済み・11月12日~11月25日に下北沢トリウッドで上映)の、山内ケンジ監督の新作は、

岸田國士戯曲賞をゲットした、自らの戯曲による舞台劇を、映画化したものです。

演劇の映画化とゆうのは、シェークスピアからミュージカルまで、これまでにモノゴッツーな、タイトル数があります。

さて、ここで、演劇原作もしくは、演劇的に映える室内劇の、

日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに、披露してみますと…。

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●ベスト⇒①12人の優しい日本人(1991年)②紙屋悦子の青春(2006年)③父と暮せば(2004年)

●カルト⇒①本作②ウィークエンド・シャッフル(1982年)③さようなら(2015年・ブログ分析済み)

●演劇を映画にすると、ともすると、映画的にこだわり、

室内劇的を避けるように、過去の回想のカットバックを入れたり、戸外ロケを重視したりしますが、

ベスト②③やカルト②の、演劇原作ものに対して、本作は、

ベスト①と同じく、あくまで室内劇的に、徹底した作りになっています。

しかも、室内劇というより、世界初とも取れるテラス劇です。

終始テラスから、離れない作りなのです。

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さらに、作品性について言えば、

些細なことが、徐々にエスカレートし、遂にはエライことになる、スッタモンダな作りでして、カルト②と通底しています。

また、ブルジョワジーたちの、エッチな話という意味においては、

ルイス・ブニュエル監督の名作「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」(1972年・フランス映画)も、思い出したりしました。

さらに、映画時間の流れが、現実の時間と同じとゆう設定は、

西部劇「真昼の決闘」(1952年・アメリカ)などへも通じます。

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ということで、7人によるテラス劇です。

専務夫婦(石橋けい・岩谷健司)の豪邸に、いろんな人たちが招かれて、一段落した頃のテラス劇でして、

居残っているのは、専務に取り入ろうとする夫妻(平岩紙・古谷隆太)や、トヨタの若い独身社員(師岡広明)に、

ダイエットに成功したけど、体調が良くない、バツイチの中年男(岡部たかし)。

さらに、そこへ、途中参加で、専務夫婦のイケメン息子(橋本淳)が現れて…。

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平岩紙の腕の白さの、男たちの熱い視線に、嫉妬的に対抗する、巨乳の石橋けい。

この対立の構図が、やがて各人の不倫の徴候や、やらしさへと、密かに発展し、

でもって、最後には、トンデモないサプライズへ。

ホットな石橋けいネーさんと、クールな平岩紙ネーさんの対立ぶりが、

一体どうなるのんっていう、ハラドキを作ってまいります。

2人の演技は、とにかくうまい。

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適度な長回し撮影、ロングショットとミディアム・ショットのバランス感に、

時おりのハッとさせる、人物のアップ・カットの挿入。

間の使い方やら、イヌの鳴き声などの効果音まで、

室内劇的にこだわってはいるけど、演劇的ではなく、映画的を意識した作りが、ボク的には良かったです。

「ジュリエッタ」⇒ペドロ・アルモドバル監督の新作

1
母娘のキズナへと、着地する感動作品だ

アルモドバル監督の、大衆普及版とも言える仕上がり

http://www.julieta.jp

11月5日のサタデーから、ブロードメディア・スタジオの配給により、新宿ピカデリー、YEBISU GARDEN CINEMA、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作のスペイン映画99分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒEl Deseo

親子や家族のキズナを描いた映画は、感動作品の宝庫であります。

本作は、親子のキズナにフォーカスしました。

組み合わせをゆうと、父子・父娘・母子・母娘・両親と息子・両親と娘といったカンジですが、本作の場合は母娘です。

ところが、母娘ものは、ボクの記憶では、ほかの組み合わせ映画に比べて、名作と呼べるものが、あまりないように思います。

そこのところに、アート系映画監督の、ペドロ・アルモドバル監督が挑みました。

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親子のキズナものとしては、監督には、両親と息子の「オール・アバウト・マイ・マザー」(1999年製作・スペイン映画)や、

本作と同じく、母娘のキズナを描いた「ボルベール<帰郷>」(2006年・スペイン)などがあります。

でもしか、監督の最高傑作と言われる、性転換した父を取り入れた「オール・アバウト…」など、

少しくアート系的に、変型のスタイルでした。

むしろ「ボルベール」などは、本作と同じく、非常に分かりやすくて、感動できる仕上がりになっています。

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そして、本作は、さらにアート系作家性を離れて、いわゆる一般大衆普及版とも言える、母娘のキズナを描きました。

12年前に謎の失踪をした娘の消息を、思いがけず娘の友達と出会って知らされた母は、今の彼氏との新生活を拒み、

失踪前に娘と2人で生活していた部屋に戻り、

宛てなき娘へ手紙を書きながら、娘との思い出に浸るのです。

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母の過去がプレイバックされ、夫との出会いシーンから始まります。

列車の中で出会った男には、5年もこん睡状態に陥っているという妻がいる、

自身の監督作「トーク・トゥ・ハー」(2002年・スペイン)的な設定。

要するに、列車での不倫でした。

このあたりのシーン造形に、アルフレッド・ヒッチコック的な、サスペンス度を入れたらしいのですが、

確かに、何か怪しい雰囲気はカンジられました。

その時のセックスで、母は娘を身ごもるのです。

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やがて、不倫相手の妻が死に、母はその漁師である男のとこへ行きます。

妊娠中を告白。結婚し、娘が生まれ、母は両親の元へ里帰り。

しかし、母は夫が別の女と浮気していたことを知り、娘がキャンプで留守中に、夫婦ゲンカをし、衝動的に夫は、嵐の中を漁に出て、船が転覆して死亡。

物語は波乱の展開のまま、後半へと向かいます。

メッチャ分かりやすいのが、監督のファンにとっては、もの足りなく思うかもしれませんし、

展開も監督作品にしては、早いのですが、

でもしか、むしろたくさんの方に、見てもらうチャンスでもあるのですよ。

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若き日の母を演じた、アドリアーナ・ウガルテの、ピチピチのはつらつぶり。

現在の母を演じた、エマ・スアレスの、悩み深き複雑な演技性。

その対比ぶりも、強烈な印象を残します。

ピアノ、バイオリン、トランペットなど、ブルージー系のサントラ使いに加え、

「砂の女」(1964年・日本)のサントラを使ったり、

ラストロールでは、ギター抒情歌を流して、余韻も深い作りになっています。

何度も言いますが、監督の普及版です。

若い方は、この作品から監督の作品世界へ、入ってみるのも、エエかもしれません。

2016年11月 2日 (水)

香港映画「小さな園の大きな奇跡」⇒泣ける映画考察3

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先生と生徒たちの、ハートウォームなお話です

女のコドモたちのピュアさに、もはや泣くしかない!

http://little-big-movie.com

11月5日のサタデーから、武蔵野エンタテインメントの配給により、新宿武蔵野館、テアトル梅田などで、全国順次のロードショー。

本作は2015年製作の香港・中国合作映画112分。

ⓒ2015 Universe Entertainment Limited All Rights Reserved

文=映画分析評論家・宮城正樹

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本作は、幼稚園が舞台です。

いわゆる、先生と生徒のキズナを描いて、泣かせるタイプの映画は、これまでに、世界各国に多数存在しております。

また、それが一般的には、良質な映画と思われることが多く、

さらに文部科学省推薦なんてなれば、おいおいと言って、ボクなんかは、つい身を退いたりする方なのですが、

本作は推薦はないものの、まさにそんなタイプの、真っ向ストレートな映画で、

泣いてもらわないことには、どうにもならない映画であります。

2
そんな映画が、中国との合作とはいえ、アクション映画のイメージが強い、香港映画から出てきたのは、メッチャ珍しいことです。

しかも、実話です。

しかも、その年の香港で、最も売れた映画らしい。驚きました。

香港映画としての、定番的な設営はあります。

例えば、男性シンガーの香港ポップスを流したり、香港の全景をタイトに挿入したりして、

これは間違いなく、香港映画なんだぞー、を強調するんでありんす。

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しかも、園長と園児の関係だけでなく、親子の関係、園長と親、園長夫婦の関係、

加えて、病系の泣きもちょろっと入れたりして、実話とは申せ、かなりイロイロ入れ込んでます。

加えて、メッチャ分かりやすく、メッチャシンプル。

あんましややこしいとこがないんで、おいおい、なんて思たりしましたが、

何はともあれ、日本映画には今や稀少な、「お涙ちょうだい」映画の基本とツボが、しっかりと押さえられた作品です。

香港での大ヒットは別にして、むしろ日本でこそ、ヒットすべき作品ではないでしょうか。

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有名幼稚園の園長を辞めた妻。博物館員の夫。

定年後に、夫妻で世界一周の旅に出るはずが、

5名に満たなければ閉園となる、香港の貧困層地区にある、薄給の幼稚園の園長の募集を見て、

胸につまされ、いたたまらなくなった妻は、4カ月の期間限定で、募集に応募し採用されます。

そして、女の子だけの5名の園児と交流いたします。

さらに、園児の親たちとも交流し、閉園にならないために、四苦八苦の、八面六臂の活躍をするのです。

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女園長役のミリアム・ヨンが、どこまでもコドモたちに寄り添った演技ぶりを見せ、好感を呼びます。

家庭訪問をするシーンも、定番ながらも、一つ一つにプチ泣きがあるし、

ピュアで素直なコドモたちの姿にも、ココロ洗われますし、

親たちを含めた、地域の人たちとのつながりも、エエカンジです。

園長がビョーキになったりなどの、「負」の描写もあるけども、おおむねスイスイと、流れに乗って、見られるようになっています。

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園児たちに課した、親の夢を聞く宿題では、各親のなり切り型のバラエティ・シーンがあったり、

ダイジェスト・シーンのリズミックさなど、ノレるシークエンスもケッコー入れて、泣ける映画を盛り立てます。

卒園する少女園児の泣ける挨拶まで、涙腺はゆるみっぱなしかも。ハンカチは必携です。

とゆうことで、3回にわたった、「泣ける映画」コドモ編をシメます。

☆本作の泣ける度合い⇒90パーセント

韓国映画「でんげい」⇒泣ける映画考察2

Main
高校生たちが泣かせる、韓国ドキュメンタリー映画

大阪の韓国人学校高校生たちの、感動の物語だ

11月5日の土曜日から、キノ・キネマの配給により、シネ・ヌーヴォで順次のロードショー。2017年には、元町映画館、京都みなみ会館でも上映。

本作は、2015年製作の韓国映画97分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒBusan Munhwa Broadcasting All Rights Reserved.

20世紀末頃を皮切りに、韓国ドラマや韓国映画が多数、日本に流入してきた21世紀初頭。

日本映画でも、邦画史上初めてとも言える、

在日朝鮮人高校生と、日本人高校生の交流や対決を描いた「パッチギ!」(2004年製作)や「GO!」(2001年)などの傑作が輩出されたが、

一方で、地方の高校生たちが、文化系・体育会系の部活やらで活躍する

「がんばっていきまっしょい」(1998年)「チルソクの夏」(2003年)「スウィングガールズ」(2004年)などの邦画も活性化した。

そして、あの頃から10年くらいが経ち、そんな二界を合体させたような作品が、本作のドキュメンタリーです。

ドラマ映画ではなく、ドキュとしてこういう映画が作られたのには、ある種の驚きをもって、ボクは見ました。

Sub1
さて、3作にわたり、泣ける映画を考察する、その第2弾なのですが、

今回は3作共に、コドモたちが泣かせる映画を見ております。

さらに先生と生徒の関係性も、チェックしています。

但し、本作はコドモというよりは、ハイティーン・エイジャーの高校生です。

泣ける映画のポイントとしては、かわいそうなコドモたちのイメージではなく、

みんながチーム・ワーク・プレイで、高みを目指し、厳しい特訓を乗り超えて、目標を達成していくとゆう、

いわゆる感動系のノリで、落涙を誘発してまいります。

加えて、ドキュなだけに、フィクション的装飾・脚色がなされていない分、

ダイレクトかつストレートに、胸に迫る仕上がりとなっております。

Photo
茨城県で開催される、伝統芸能の甲子園に、大阪代表として、韓国人高校の建国高校が、10年連続で参加するのですが、

日本での大会ながら、演目は日本の伝統芸能(でんげい)や地方芸能ではなく、韓国のでんげいで挑むのであります。

大会までの練習シーンが、心地よいギターK-POPをバックにした、ダイジェスト・シーンを含めて、積み重ねられていくのですが、

何といっても、関西弁でメチャメチャな言葉を連発する、ビッグマザーなおばはんコーチの、インパクトがあまりにも強烈。

しかも、大会の3日前まで、何度も繰り返されます。

でもしか、それだけに本番1日前に、初めてその先生が、生徒たちをほめるシーンが、グッとくるようになっています。

そして、決戦の日へ。

本来ならば、クライマックスは、伝統芸能を披露するシーンであるはずなのですが、また、それが定番だけど、本作はちょっと違っています。

淀川の河川敷で、9人の生徒が夏休みに何をやるかとゆう話をしてる、夕暮れのセピア配色シーンへとスライドさせ、

さらに、意外性あるラストへと、なだれ込んでいくあたり、

ドラマティックを心掛けたドキュの作り方に、ハッとさせられました。

とゆうことで、感動した上での、泣きがある作品です。

☆本作の泣ける度合い⇒75パーセント

2016年11月 1日 (火)

「戦場のメロディ」⇒泣ける映画考察1

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コドモたちが泣かせてくれる映画です

韓国版「火垂るの墓」か、「禁じられた遊び」か

http://www.senjo-melody.info

10月29日の土曜日から、ハークの配給により、シネマート新宿で上映中。関西では、11月5日からシネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の韓国映画124分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD. All Rights Reserved.

「泣ける映画」という呼称は、いつ頃から出てきたものでしょうか。

思い返すに、「泣ける映画」の前は、「お涙ちょうだい」映画と呼ばれていました。

そういう映画は、かつての日本映画の、おハコでありました。

ただ、「お涙ちょうだい」とゆうと、ちょっと古臭いイメージであったりとか、

映画的出来が、そんなによくないようなイメージが、どことなく漂ってきたりします。

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しかし、そのお涙ちょうだいが、21世紀になると、「泣ける映画」に、いつの間にかなっておりました。

一説では、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作・日本映画)あたりから、チェンジしたのではとかがありますが、

ボク的分析では、韓国ドラマの日本への流入あたりから、“泣ける”とゆう形容が生まれ、

それが映画へ、転換されたのではないかと見ております。

4
ハリウッド映画やヨーロッパ映画が、日本にしょっちゅう上陸している頃にはなかった、「泣ける映画」の呼称は、

本作のような、韓国映画にふさわしいのでは…。

さてはて、泣けるフレイバーやポイントには、いろんなものがあります。

最も多いのが、不治の病で死んでまう系。

次に、親子や家族の絆。加えて、コドモたちのかわいそうだったり、感動したりするお話。

そして、今回はこのコドモたちの“泣ける”に、焦点を絞って、3作にわたり分析いたします。

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本作は、戦争孤児、戦争遺児、戦争に限らず、親が死んでコドモたちだけに、なってしもた設定の映画です。

ボク的には、「禁じられた遊び」(1952年・フランス映画)が、その種の映画のマイ・ベストなんですが、

いずれにしても、親が死んだあと、コドモたちはどう生きていくのかが、大きなポイントであり、

さらに大人たちとの関係の中で、どう変わっていくのかが、重要でありましょうか。

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本作は朝鮮戦争が、背景になっています。

韓国の朝鮮戦争背景映画は、ケッコー出てきてるけど、コドモたちの生き方を、クローズアップした映画は珍しい。

親が死んだ兄と妹とゆう設定は、スタジオジブリのアニメ「火垂るの墓」(1988年・日本)と似ていますが、

映画そのものは、決して泣きを誘発するような方向性で、描かれているわけではありません。

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戦場の兵士たちを癒やすために、コドモ合唱団が結成され、そこに、兄妹が入るというカンジ。

父が殺された理由として、自分が歌ったことにあると思っている妹と、そんな妹を立ち直らせたいと思う兄。

そんな兄妹を真摯に導く、先生役のイム・シワン。

アイドル・グループ「ZE:A」のボーカルでイケメンで、カッコイイし、

コドモたちを指導していく、好感ある演技ぶりは、後日分析する「弁護人」(2013年・韓国・11月12日公開・後日分析)と同様、スクリーン映えします。

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「グエムル-漢江の怪物-」(2006年・韓国)で、怪獣にさらわれた少女を演じたコ・アソンが、

今度はコドモたちを癒やす、優しい演技で魅せてくれます。

さらに、合唱映画の妙味に加え、感動的なオーケストラ・サントラが、映画を包み込みます。

ということで、泣ける度の高い(ボク的泣ける度合い採点は80点)映画でした。

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