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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年10月27日 (木)

「うつろいの標本箱」⇒日本映画の今2

9
1人の男性の死を巡る、女性6人の群像劇

「桐島、部活やめるってよ」のノリがある、トリッキーな作品だ

http://www.hyohonbako.com

10月29日の土曜日から、タイムフライズの配給によりまして、ユーロスペースで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の日本映画95分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2
ⓒ2015 タイムフライズ

「日本映画の今」を見るシリーズ。

群像劇というのも、日本映画の今を、象徴する映画だと、ボクは思う。

例えば、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)などから登場した、21世紀日本の若い監督は、トリッキーな群像劇を、志向する向きもある。

内田けんじの「アフタースクール」(2008年製作)や、李相日の「怒り」(2016年・弊ブログ分析済み)などは、

騙しのミステリー映画としても機能していた。

3
そして、女性監督・鶴岡蕙子監督は、女性らしい群像劇を撮り上げてきた。

しかも、あまり出てこない、1人の男の死を巡って、女たち6人がシンクロナイズしていくドラマで、

男の死の謎に、迫っていくようなミステリー・タッチで、物語が展開していくのだ。

タイトルの桐島が全く出なかった「桐島、部活やめるってよ」(2012年・弊ブログ分析済み)のノリが、そこはかとなくあった。

4
女性ミュージシャンの黒木渚の、ファースト・アルバム「標本箱」にインスパイアーされて、鶴岡監督は本作を作ったらしい。

音楽に触発されて、映画にするというのは、ケッコーあるけれど、

本作は丸ごと1枚のアルバムを、映画化した点では、珍しいタイプだ。

彼女の歌を、出演者にアカペラで歌わせ、ラストロールでは、彼女のキャッチーなポップロックで締めるし、

また、彼女の歌詞の世界をポイントに、物語を作っていくスタイル。

5
彼女のアルバムのPRではない。

アルバムをベースにしつつも、鶴岡監督は、オリジナルなストーリーを構築している。

でもって、女優陣が、フツーっぽい自然体で、演技を披露。

ミステリー的逼迫度で、グイグイ引っ張るような映画とは違い、

もっとあっさり味の、ユルリとしたタッチで、ストーリーは進行していく。

6
アイドル・グループ「ゆるめるモ!」を卒業した、櫻木百の、アイドルに見合った、片想い演技。

美人女優もいてる、多彩な女優たちが、いろんな男たちとも絡みながら、

松島という死んだ1人の男を、狂言回しに、どうみんながつながっていくのか、

どうストーリーがつながっていくのか、興味津々で見ることができた。

7
アップは少なめで、ロングショットとミディアム・ショットを巧みに織り込んだ、映画的な作りに加え、

長回し撮影も、随時挿入している。

風吹くところで、女友達2人が立ち話をする長回しカットは、ボク的には特に印象的だった。

8
トリッキーなだけじゃない。

1人の男を巡る、愛とか恋とかじゃなく、ビミョーな女性心理を交錯させてゆく作りは、

ワンランク上の作術劇だと見ました。

心理の彩織りにも、注目して見よう。

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