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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年10月26日 (水)

「函館珈琲」⇒日本映画の今1

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日本映画の地方ロケ映画は、まだまだ続くのです

愛とか恋とかじゃない、共同生活もの映画の爽快感あり

http://www.hakodatecoffee.com

10月29日の土曜日から、太秦の配給によりまして、シネ・リーブル梅田などで、全国順次のロードショー。

本作は2016年製作の日本映画90分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒHAKODATEproject2016

大手の映画会社の作品が、独占的にヒットしている中で、

単館系のインディーズな、マイナー系の良質の日本映画は、どうなっていくのか。

その在り方や行方を、見ていきたいと思います。

マイナー系の日本映画は、毎年いっぱい作られるのですが、

一方では、資金難による製作中断、完成してもお蔵入りの映画が、毎年いっぱいあります。

そんな現状の中で、単館系とはいえ、公開される映画は、売れる売れないは別にして、幸運と言わねばなりません。

そして、もちろん、作品の仕上がり具合もいいわけです。

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さて、そんな単館系の邦画には、いくつかの特徴があります。

本作の場合は、地方ロケ映画なのですが、

映画を活性化させようと、地方ではいろんな映画祭やコンテストなどが、いくつも開催されています。

「函館港イルミナシオン映画祭」という映画祭があり、その映画祭では公募の「シナリオ大賞」もやっています。

本作は、その賞を受賞した映画脚本が、映画化されたものです。

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これまでに、宮崎あおい主演の、変てこな少女もの「パコダテ人」(2001年製作)、

岸谷五朗主演の、酒と恋にまつわるお話「オー・ド・ヴィ」(2002年)、

夏帆主演の、音楽コーラスの学園映画「うた魂」(2007年)、

岡田准一主演の、隣人との交流もの「おと・な・り」(2009年)など、

単純なラブ・ストーリーなどの、ストレートな作品は一つもなく、考え抜かれた、ユニークなオリジンある作品が多い。

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そして、本作は共同生活ものにして、男女の友情をベースに、

ベタや押しつけではなく、人生やアーティストとしての在り方を、それとなく描いていく映画です。

多彩なアーティストたちが集う、函館の寮「翡翠(ひすい)館」。

多彩と言っても、4人くらいなんですが、

古本屋を目指す、デビュー作以降書けない、作家崩れの青年(黄川田将也)が、翡翠館にやってきて、

片岡礼子や、中島トニーや、Azumiらと関わります。

片岡礼子には、共同生活ものの傑作「ハッシュ!」(2001年)があり、

今作でもキー・ポイントとなる、みんなをリーディングするような役柄を演じています。

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黄川田の淹れるコーヒーが、これがまたメッチャおいしくて、みんなのココロを癒やしてゆきます。

単なるラブではなく、微妙な心理やココロの交流が、稠密に描かれて、

黄川田が言う「函館は時間の流れ方が違う」などが、ドラマに説得力を持たせていきます。

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ミュージシャンとして、「愛は愛とて、なんになる」と歌った「赤色エレジー」のインパクトが、あがた森魚の、ボクのイメージから抜けないんだけど、

ここでのあがたは、演技者として実に、落ち着いた熟成の演技ぶり。

そして、翡翠館のオーナー役の夏樹陽子。

久々に見たけど、この方も熟成してました。

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主人公が作家として、再びスタートを切る映画でもあるのですが、

「苦役列車」(2010年・弊ブログ分析済み)や、「秋の理由」(本作の次に弊ブログで分析)などへも通じる、テイストがあって面白い。

トランペットやブラバン、アコーディオンやパーカッションのサントラ使いも、シーンに合わせて、リズミックでノリが良く、

また、最後に流れる、ソロ・シンガーでもあるAzumiの、ギター・バンドサウンドによる、ポップロックが心地よかった。

いい映画を見たな~度は、ケッコー高い映画でありました。

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