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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年9月の記事

2016年9月30日 (金)

「世界一キライなあなたに」

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ハリウッド産ラブ・ストーリーの、未来を占う映画だ

「映画の中にいるみたい」は、今やどう変化したのか?を問う!

http://www.sekakira.com

10月1日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画110分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016 Warner Bros. Entertainment Inc. and Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved

古来、ハリウッド映画のハリウッド映画らしさとは、アクション・スペクタクルとラブ・ストーリーに、あったかと思います。

さてはて、21世紀現在における、そんなハリウッド恋愛映画は、一体どないなっておましょうか。

はっきりゆうて、日本の興行面においては、厳しい状況にあるようだす。

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ボク的決断をゆうと、スペクタクルがメインにあったけど「タイタニック」(1997年製作・アメリカ映画)あたりが、

ハリウッド的ラブ・ストーリーの、いったんの区切りと、終焉やったんやないかと思います。

でもしか、21世紀に入って以降も、ラブ・ストーリーは何作も、ハリウッドから出てきとりますが…。

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夫婦愛あり、定番的な記憶喪失系の恋愛から、王道のラブ・ストーリーまで、

アカデミーの作品賞も、ゲットした作品などが、いちおう生まれてはいます。

でもしか、みなはん、これぞとゆう、21世紀のハリウッド恋愛映画は、何ですかと聞かれて、思い浮かぶ映画なんてありまっか。

ボクやったら、「君に読む物語」(2004年・アメリカ)あたりやろかて、答えるやろかと思うけど、

でも、決して傑作・名作やと、胸を張って主張できる映画やありまへん。

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かつて20世紀には、「映画の中にいるみたい」な恋愛がしたいと、

婦女子が憧れた、ハリウッド・ラブ・ストーリーやけど、その現在形はどないやろか。

その最新サンプルとして、本作を見てみると…。

売れるやろかとか、仕上がり具合とかは別にして、見ていきます。

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日本映画にはケッコー多い、男女のどちらかが、不治の病に罹ってる、スタイルの映画になっとります。

ハリウッド映画では、「ある愛の詩」(1970年)なんぞが有名どす。

カップルの1人が病になり、そんな相手を一方が看護したり、見守ったりする映画は、それなりにあるけど、

一歩間違えると、単なるお涙ちょうだい映画になりかねまへん。

けども、本作は、そのあたりは、ドライかつスムーズな流れ。

前半はそうやないけど、やがては対等の立場で展開します。

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あんまし有名やないちゅうか、日本では有名やない、若き男優・女優が共演してはるんで、

売れるかどうかは、ビミョーなんやけど、2人共、実に好感度の高い演技を示してはります。

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ヒロインが、介護する主人公のココロを捉えてゆく、さまざまなエピソードも好感あるもんどした。

ハリウッド映画をDVDで一緒に見たり、

字幕ものは見なかったとゆうヒロインが、「オール・アバウト・マイ・マザー」(1999年・スペイン)を見て感動したり、

モーツァルト演奏の室内コンサートに行ったり、

また、驚いたことに、主人公の元カノの結婚式にまで、一緒にゆかはります。

そんなアメリカン・ラブコメチックな展開がありつつも、決してコミカルなとこへは向かいまへんねん。

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ウットリできる、イギリスの美しき風景シーンの数々、

売れ線なバラードやスローを中心にした、歌ものサントラ使い、

原作はベストセラー小説であるとこなど、売れるためのフック的フレイバーは、多岐にあります。

パリでのラスト・シークエンスなど、「プリティ・ウーマン」(1990年・アメリカ)的な、サクセス的タッチもあって、魅せてくれはります。

いずれにしましても、ハリウッド恋愛映画の、未来を占う映画やと思います。

吉と出るか、凶と出るか、それは、みなはん次第なんどすえ~。

9月に見た、マイ年間ベストテン級候補映画

「ジェイソン・ボーン」から「永い言い訳」まで

●外国映画

◇「ジェイソン・ボーン」(10月7日公開/マット・デイモン主演/ポール・グリーングラス監督)

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◇「人間の値打ち」(10月8日公開/イタリア映画)

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◇「ハドソン川の奇跡」(公開中/トム・ハンクス主演/クリント・イーストウッド監督/弊ブログ9月21日付けで分析)

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●日本映画

◇「永い言い訳」(10月14日公開/本木雅弘主演/西川美和監督)

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■「ハドソン川の奇跡」以外は、直近の後日に分析いたします。

9月の試写室で見た、年間マイ・ベストテン級の候補映画は、

日本で売れなくなったキライがある、ハリウッド映画に、いいものがありました。

今やベストテンの常連と言える、

クリント・イーストウッド監督の新作「ハドソン川の奇跡」。

ボクはわざとのように、欠陥部を探そうとして見ていきましたが、見つからなかった。

ある意味で無難な作品とも言えるけど、ヒューマニズムな感動へと結び付ける作りは、いつもながらに素晴らしかったです。

「ボーン」シリーズの第4弾「ジェイソン・ボーン」は、原作にもない、次なる次元へ展開し、

モチ、シリーズは、ずっと続きそうなラストシーン。

次も楽しみな、21世紀のハリウッド映画シリーズのエンターテイメントです。

ユーロからは、ハットトリッキーなミステリー群像劇・オムニバス仕様の「人間の値打ち」。

そして、日本映画からは、「永い言い訳」を選択。

本木雅弘の鬼気迫る演技に、魅せられた映画でした。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2016年9月29日 (木)

「はじまりはヒップホップ」⇒音楽映画3

1
若者カルチャー「ヒップホップ」へ、シニアからのカウンターカルチャーや~

シニア群像ドキュメンタリーの、究極の元気印映画や~

http://hajimari-hiphop.jp

10月1日のサタデーから、ポニーキャニオンの配給によりまして、

シネマート心斎橋やらで、また、11月19日から京都シネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2014年製作のニュージーランド映画94分。

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ⓒ2014 Rise And Shine World Sales/

シニア映画の歴代ベスト&カルトなんてやれば、

定番的には「老人と海」(1958年製作・アメリカ映画)なんかが、ベストに必ず入り…ナンチューことになるやろし、

ボクのマイ・ベス・カルも、かつて弊ブログで披露したけども、

何はともあれ、今年はカルトの方で、トンデモないのんを、この数カ月の間に、2本も見られましたがな。

1本はドラマ映画の邦画「オケ老人!」(後日分析)。

でもって、もう1本が本作どす。

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本作のカルトのポイントは、老人らしからぬ、メッチャな行動に出はる点でおます。

それも予想を、はるかに超えたとこにあるんだす。

アメリカのブラック・ミュージックとして、誕生した若者音楽ヒップホップに、老人たちが挑むやなんて…。

まあ、考えられまへん。ロックなんかに挑むシニアはいたけども、このヒップホップは、完全に想定外でおました。

3
ダンス・ミュージックの一つに、数えられるヒップホップやけど、でもしか、そんなに派手なダンスをするわけでもなく、

聞き惚れるボーカルを披露するよりも、ラップ・ライムはツイート的やし、

いかにも老人に向いてる、音楽のようにも思われます。

ほんで、そんな思いを具現化した、というよりドキュメンタリーなんで、現実に実現した映画なんでおますよ。

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ニュージーランドのシニアたちの話どして、最年長は96歳。

元オペレッタの歌手から、障害者、障害を克服した方まで、後期高齢者らしいハンデを、背負いつつも、

ドキュメンタリーらしく、彼ら彼女らのインタビューを入れつつ、

練習風景シーン、それぞれの群像ドラマ的事情や物語が、展開してまいります。

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クライスト・チャーチの地震に被災したとゆう、老人好きの若き女性コーチの姿も、

老人たちを際立たせる、名サポーターぶりを示さはります。

でもって、アメリカ・ラスベガスで行われる、ヒップホップの世界最大の大会に、なんとまあ~出場しはるんでおます。

クライマックスはモチ、その模様どして、デッカイ感動が待ち受けとりますよ。

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ドキュメンタリーながら、サクセス・ストーリーとしての心地よさ。

また、音楽ドキュ映画としての意外性。

特に、音楽ドキュとしては、映画の出来は別にして、かつてない仕様でおましょうか。

いずれにしましても、素直に見て、素直に感動できる1本でした。

2016年9月28日 (水)

「イエスタデイ」⇒音楽映画2

1ビートルズ・キッズたちの青春映画っぽいけど

意外や意外!ノルウェー産ラブ・ストーリーの快作

http://yesterday-movie.com

10月1日のサタデーから、マクザムの配給によりまして、新宿シネマカリテやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2014年製作の、ノルウェー映画114分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2014 Storm Rosenberg. All rights reserved. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan Distributed by MAXAM INC.

ビートルズを描いた、ドラマ映画やドキュメンタリーは、それなりにありますし、話題の長尺ライヴ・ドキュも登場します。

でもしか、何を今さらビートルズなんて、思われる方もいてるかもしれへんけど、

ビートルズの歌を聴けば、納得するハズどす。

音楽史に残るアーティストとして、モーツァルトにも退けをとらないと、個人的には思とります。

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ただ、本作はビートルズを描くんやなく、ビートルズに憧れた若者たちの、青春を描く映画でおます。

音楽だけやなく、誰かに憧れて、その人を目指して、頑張る映画とゆうのは、ケッコーあります。

本作の主人公たちは、ビートルズチックなバンドを目指してはって、確かに練習するシークエンスは、映されとるけども…。

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ビートルズの、ポピュラー史に残る名作アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド」を、みんなが聴くシーン(写真上から2枚目)やら、

主人公がリード・ボーカルの、高校生バンドが歌う「イエスタデイ」の弱弱声のバージョンやら、

ビートルズのオリジナル・ナンバーを、3曲ほど流して、

ビートルズチックを、それなりに整えてはります。

5
でもしか、作品のポイントは、ラブ・ストーリーにありますねん。

ビートルズチックを目指す、バンドの話を媒介にしもって、主人公のラブ・ストーリーを、際立たせてゆく作りになっとります。

主人公はまず映画館で、男のヒューマン映画「その男ゾルバ」(1964年製作・アメリカ&ギリシャ)を、

隣り合って見た女の子と、1度だけの出会いとキスをしはります。

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でもって、その過去の記憶が忘れないままに、主人公は転校生の女の子と、恋に落ちるとゆう展開だす。

但し、過去は深くこだわるほどには、ネチネチしとりまへん。

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そやから、あくまで2人の恋物語が、メイン・ソースになっとりますねん。

最初は何ともなかったんが、主人公が彼女の危機を助けたことから、急接近し、やがては、彼女のために曲を披露しようとしはります。

まあ、ある種パターン化しとる、恋愛もののように見えつつも、

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ビートルズの、メロディアス・ピアノ・スローの名曲「レット・イット・ビー」を流しての、

2人の恋の行方を映す、クライマックスは、ドラマティックどした。

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レナード・コーエンの、ギターの弾き語りナンバー「スザンヌ」や、フェンダー・ギターの効果、ブルースなど、

シブミある音楽使い、サントラ使いが、フック的にじんわりと胸にきました。

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本作の原題は「ビートルズ」どして、そのストレートさが、逆に甘酸っぱさを呼び込みます。

「あの頃ペニー・レインと」(2000年・アメリカ)のような、恋の成就・破局は別にして、哀愁感ある作り込みになっとります。

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また、ビートルズ・テイストな映画が、ノルウェーとゆう、イギリス以外のユーロから出てきたのは、たぶん初めてなんやないやろか。

その意味でも、ボク的には、のめり込んで見られよった青春映画でありました。

2016年9月27日 (火)

パレスチナ映画「歌声にのった少年」⇒音楽映画1

1
「スラムドッグ$ミリオネア」と比較できる、サクセス・ストーリーの快作

音楽映画としても、感動ある作品だ

http://www.utagoe-shonen.com

9月24日の土曜日から、アルバトロス・フィルムの配給によりまして、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル梅田、なんばパークスシネマやらで全国順次の上映中だす。

本作は、2015年製作の、パレスチナ映画98分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 Idol Film Production Ltd/MBC FZ LLC/KeyFilm/September Film

第三世界なんちゅうたら、チョイ古いかもしれへんし、発展途上国なんちゅうても、もっと古いやろけど、

今風にゆうたら、紛争問題国家なんちゅうたら、エエんやろか。

そんな国のパレスチナから、コドモの時から「スターになって世界を変える」と夢見たことが、大人になって実現するとゆう、感動のサクセス・ストーリーが登場。

しかも、実話ベースどす。

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第三世界の映画ちゅうたら、例えば、コドモたちが主人公の場合なら、

どちらかとゆうたら、ナーバスな悲劇調、もしくは逆に素朴系ほのぼのな映画が、多いように思います。

本作と同じく、前向きなサクセス・ストーリーとなり、アカデミー作品賞をゲットした「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年製作・イギリス映画)は、

インドが舞台も、イギリス資本が入ってるので、純粋には、低予算の第三世界映画とは、格差とゆうか違いがあります。

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でもしか、本作の監督ハニ・アブ・アサド監督は、「スラムドッグ$ミリオネア」を、意識していたかどうかは分かりまへんが、

「クーリエ」(弊ブログ分析済み)など、インディーズながら、ハリウッドでの監督経験も活かして、

第三世界、特に紛争問題国からの映画としては、メッチャ珍しい、コドモ時代から描く、サクセス・ストーリーな映画となりました。

国家の問題点も描いた「オマールの壁」(弊ブログ分析済み)でも、ハリウッド・テイストが目立っとる作品でおました。

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さてはて、サクセスする主人公の、コドモ時代が本編の前半で描かれます。

共にバンド・スターを目指した、男オンナな元気系の姉が、腎不全で死亡する悲劇まで。

このところは唐突なカンジがしたけど、実話ベースなんで仕方ありまへん。

でもしか、この姉やんが印象深いどす。大人になった主人公にも、大きな影響を与えはるんだす。

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でもって中盤より、大人になった弟が、オーディション番組「アラブ・アイドル」を目指す艱難辛苦が、ある意味スリリングに描かれてまいります。

つまり、予選参加のために、パレスチナからのエジプトへの脱出作戦。ほんで、肝心の予選。本選はベイルートどす。

そのイロイロが、緊張感に満ちて描かれてゆくんだす。

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彼がやるのは、歌を歌うことでおます。

つまり、音楽映画としてのサクセスも、爽快に味わえる作品になっておます。

また、スムーズにサクセスするんやなく、いくつかのハードルを用意してんのも、実話やちゅうても、ドラマ的にも映えておました。

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カットバックを施した「スラムドッグ$ミリオネア」とは違い、時間通りに沿った作りでおまして、

そのストレートな分かりやすい作りが、むしろ逆に、新鮮やったです。

ラストへ向けて、主人公が国民的アイドルへとなっていく、盛り上げ演出ぶりは特筆どした。

個人的には、今一度、映画館で見たい映画でおました。

2016年9月25日 (日)

福山雅治主演「SCOOP!」⇒日曜邦画劇場

1

福山雅治初の汚れ役が、ディープ・インパクト

パパラッチ映画の、異彩を放つ1本

http://www.scoop-movie.jp

10月1日の土曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016映画「SCOOP!」製作委員会

本作は、いわゆるパパラッチ映画でおます。

カメラマンのその実態を、泥臭く描いた映画やけど、

ここで、マスコミのスクープ狙いやら、取材側・マスコミ側を描いた映画の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①大統領の陰謀(1976年製作・アメリカ映画)②クライマーズ・ハイ(2008年・日本)③スポットライト 世紀のスクープ(2015年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②ナイト・クローラー(2014年・アメリカ)③パパラッチ(1998年・フランス)

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●ベストは新聞社、新聞記者ものどす。

対して、カルトは写真・映像のスクープを狙う、フリー・カメラマンたちの、

あくなき執念を描いた映画を、ピック・アップいたしました。

かつてはスクープと言えば、新聞社の代名詞どした。でもって、週刊誌。

ところがどっこい、日本でゆうたら、写真週刊誌が出てきたあたりから、決定的瞬間を撮った、証拠写真入りスクープが、大ブレイク。

テレビ局も当然、視聴者からの投稿を含めて、ズーッとやってはります。

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そこで、フリー・カメラマンたちが、暗躍する状況が出てきました。

時に犯罪まがい・時に危険スレスレの、スクープ狙いのイロイロを、描いたんが本作でおます。

まあ、カルト③などは、オートバイで追いかけて…などで、緻密な作戦行動を、取っていないように見えるんやけど、実際は違うやろけど、

本作はその緻密さ・あざとさ・巧妙ぶりを、漏れなく披露しはります。

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また、誰よりもいち早く現場に駆けつけて、衝撃の映像を撮る、カメラマンを描いたカルト②は、

この業界・業種のエゲツナイとこを、ボクは初めて見た気がしたもんどすが、

それに輪を掛けたかのように、エグイわ~、汚いわ~、ベタやわ~と思たんが、本作でおます。

福山雅治初の汚れ役どす。

いきなり車内での、福山クンのセックス・シーンから始まるんで、もう最初からメッチャ、何やらヤバイカンジなんどすえ~。

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吉田羊編集長との、タイトなやり取り。

ほんで、新人編集部員・二階堂ふみと、コンビを組まされて、いくつものスクープをものしていく、その詳細を、トリッキーに見せていく流れ。

芸能スクープだけやありまへん。

大手新聞社の一面的・社会問題的なとこへも、スクープを取りにいかはります。

悪友リリー・フランキーのサポートがあったり、フランキーと2人で遊興で、夜の繁華街へと繰り出したり…。

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さてはて、本作は、テレビ放送用に作られたらしい映画「盗写1/250秒」(1985年・原田眞人監督)のリメイクになっとりますが、

DVD化されてへんし、未見なんで、比較はできまへんが、

おそらく、本作ほど危ない橋は、渡ってへんやろかと、予想いたします。

大根仁監督は、見てるんやろか。

いずれにしても、監督のディスコグラフィーでも、最もワイルドな仕上がりに、なってる作品やと思いますで。

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サントラも作品にマッチング。

冒頭から、太いベースとシンセによる、ファンキー・サウンドで盛り上げはります。

ラストロールで流れる、「TOKYO No.1 SOUL SET feat.福山雅治 on guitar」による「無情の海に」(9月28日発売の、本作映画サントラに収録)。

AORなアーバン・タッチが、映画の余韻を、気だるげに残す歌どした。

2016年9月24日 (土)

「泣き虫ピエロの結婚式」⇒週末日本映画劇場

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志田未来主演の、泣ける系純愛ラブ・ストーリー

あんましない、男がビョーキ系の純愛もの

http://www.nakimushi-pierrot.jp

9月24日の土曜日から、スールキートスの配給によりまして、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016映画『泣き虫ピエロの結婚式』製作委員会

本作は、ビョーキ系の泣ける、純愛ラブ・ストーリーだす。

その場合、男女のどっちがビョーキの方が、泣きやすいやろか。

振り返ってみますと、日本映画では、

「野菊の如き君なりき」(1955年製作)、「愛と死をみつめて」(1964年)、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)など、

女がビョーキの方が多うおます。

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ほな、男がビョーキやった場合は、泣けへんのかちゅうたら、本作を見るにつけ、そないなことはあらしまへん。

ちゅうか、この種の映画は、映画の出来は別にして、

アイドル映画性としての側面が、機能しとる場合がよく見受けられます。

さらに、主に若手の男優・女優がメインなんで、

ヒットさせるためには、よりアイドル性が求められると、言えるんやないやろか。

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女優の主演は、志田未来ちゃんや。

おそらく、初めての前向き・元気系の演技にして、

それでいて彼のビョーキを知って以降は、泣かせる系を、演じるんやから、

ある意味では、演技ハードルは高かったハズどす。

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まずは、ピエロ・クラウンを目指し、みんなの幸せは、自分の幸せと考えるヒロインを、好感ある演技で魅せはります。

付き合いを拒否する主人公(竜星涼)を、泣きながら追っていって、しがみつくシーンや、

主人公の死に泣くシーンなど、

観客の泣きを誘発するところでも、ポジティブとの対比というより、ポジティブのままに、演じてはるような気がしました。

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週に3日も通院して、透析を受けへんといかん、ビョーキの主人公役の竜星涼クン。

その苦悩ぶりを、単に笑わないとゆうだけやなく、

志田未来ちゃんとの付き合いの中で、ゆっくり見せてゆくのんが良かった。

前向きなセリフを言うよりも、暗いナーバスな演技の方が、うまいと思います。

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未来ちゃんの友達役の新木優子にも、柔和なアイドル性をカンジましたやろか。

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さてはて、最近はそうでもないんやけど、かつてはケッコーあった泣ける臨終シーン。

それが、本作では、ストレートに描かれとります。

お涙ちょうだい映画の定番やんと、思われる方もいるやもしれませんが、

ボクはむしろそういうシーンを、見るのが久しぶりどして、妙に新鮮味をカンジた次第だす。

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ほんでもって、実話をベースにした映画でもあるんで、

説得力ある泣ける映画やと、ボクは思います。

2016年9月23日 (金)

「メカニック:ワールドミッション」

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ジェイソン・ステイサム主演のシリーズ第2弾

暗殺者のハットトリックな手並みで、魅せるアクション作品

http://www.mechanic-movie.com

9月24日のサタデーから、ショウゲートの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画99分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒME2 Productions, Inc. 2016

暗殺者・殺し屋映画ちゅうのんは、これまでにメッチャイロイロありました。

スパイ・ミッションとしての、側面ある映画も含めて、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままの、独断と偏見により披露しますと…。

●ベスト⇒①ジャッカルの日(1973年製作・アメリカ映画)②ボーン・シリーズ(第1弾2002年・アメリカ)③暗殺の森(1970年・イタリア&フランス&西ドイツ)

●カルト⇒①本作②ニキータ(1990年・フランス)③暗殺者のメロディ(1972年・アメリカ&イギリス&イタリア)

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●暗殺者映画と言えば、政治家・セレブに関わらず、1つの映画内で、1人のターゲットを狙うパターンこそ、王道やとは思います。

JFKやらの暗殺映画にも、ハラハラドキドキのサスペンス感・緊張感はあるんでおますが、

静謐に進行するベスト①や、暗殺者の心理に食い込んだベスト③カルト③、女暗殺者のカルト②などに、

ボクはより興味を覚えて、選択しとります。

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ほんでもって、暗殺者映画とスパイ映画が融合して、大ヒットしたベスト②こそ、

暗殺者エンタ・アクションの、ピークを示す映画やと思いますが、

本作は、あくまで暗殺者として、依頼に応じて何人もを、殺すのんを描いたエンタ映画でおます。

そのいくつもの手並みとアクションが、メインの見どころとなった、つまりはハリウッド・アクション映画どす。

9
本作は、1970年代にピークを迎えた、ハリウッド・スター、チャールズ・ブロンソンが主演した「メカニック」(1972年)のリメイクやった第1弾に続き、

本作にはできなかった、シリーズ化とゆうか、第2弾映画化を実現した1作。

暗殺請負人は、ブロンソンから、21世紀のアクション俳優ジェイソン・ステイサムに転換、キャスティングされとります。

2
ただ、容姿は別にして、クールで寡黙なスタイルでゆうたら、

ブロンソンとステイサムは、ほぼ相似形とも取れる、演技性・アクション性を示さはります。

ステイサムの進化したとこをゆうたら、ド派手かつミラクルになったことやら、

恋のお相手のジェシカ・アルバちゃんとの、セックス露出がチョイ上がったちゅう、とこらあたりやろか。

3
実生活では結婚しコドモまで産んでやる、ジェシカ・アルバちゃんやけど、

彼女を救うためのアクションが、今回のステイサムの、メイン・ソースなアクションになっとります。

また、ジェシカちゃんも、アクションも披露しやるけど、従来のアイドル性は、まあ、維持してはるやろか。

8
トミー・リー・ジョーンズや、ミシェル・ヨーらの、ステイサムを引き立てたりする、サポート演技にはシブミがあるし、

ブラジル・リオ・ロケちゅうのんも、今らしい舞台背景だす。

5
タイトなロックンロールや、リズミックなヒップホップやらの歌ものサントラで、

アクション・ドラマを盛り立てるんも、良かったどす。

4
アメリカ映画のアクション映画の元気さが、久々とは言いませんが、カンジられた1作でおました。

また、屋上プールを使った殺し方など、従来にないアイデアにも、注目しておくんなまし。

2016年9月22日 (木)

「将軍様、あなたのために映画を撮ります」

1
映画監督・映画女優ドキュメンタリーの、衝撃の1作

北朝鮮の現実を映す、社会派ドキュでも

http://www.shouguneiga.ayapro.ne.jp

9月24日のサタデーから、彩プロの配給によりまして、ユーロスペースやらで、全国順グリのロードショー。

関西やったら、10月29日から、第七藝術劇場やらで上映。

本作は、2016年製作のイギリス映画97分。

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ⓒ2016 Hellflower Film Ltd/the British Film Institute

本作は、映画監督or映画女優ドキュメンタリーどす。

が、その種のドキュ映画ちゅうのんは、監督、女優の生き方や作家性を映す、正攻法でマットーなもんが、これまではほとんどでおました。

ところがどっこい、本作は社会派ドキュとして、監督・女優ドキュを、おそらく映画史上初めて、採り上げたもんでおましょう。

3
なんせ今や、拉致問題をはじめ、核ミサイル実験など、ヤバイ国家として、クローズアップされとる北朝鮮の、

前将軍・金正日(キム・ジョンイル)の、映画熱から始まった、韓国映画監督・映画女優の、トンデモ拉致作戦が描かれとります。

拉致せんと、直接オファーすれば、エエもんなんやけど、韓国とは敵対しとる状況なだけに、

緻密な拉致作戦を敢行するしかなかったんやろな。

4
北朝鮮で、世界に負けない映画を撮りたいと、考えた金成日は、自国で監督・女優を発掘しようとはせず、他国からスカウトするしかないと考えよった。

ほんで、近場に、韓国の巨匠的監督シン・サンオクや、そのヨメの女優チェ・ウニがおる。

そこで、この2人を拉致してこようと考えよった。

しかも、韓国では無理なんで、香港へ2人が行ってる間に、自国のスパイを駆使して、実行しようとしはるんだす。

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2人を拉致した、その極秘作戦ぶりが、

監督は既に逝去してるけども、今も生きてはる、チェ・ウニ(写真上から4枚目)の証言や、

2人の息子や娘、関係者の証言、監督の当時の肉声テープなんぞを基に、明らかになってまいります。

ドキュでも、サスペンスフルなとこもあるんやけど、

この2人拉致のエピソードは、ハラドキの展開がありましたえ。

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別々に拉致された2人は、一時監視下に置かれ、やがて再会を果たしはります。

ほんで、金成日プロデューサーの元、2人は次々に、作品を発表していかはるんだす。

一方、2人の過去の実績も、映されてまいります。

つまり、金成日が、彼らを獲得したかった、その具体的な理由なとこでおます。

チェ・ウニがベルリン国際映画祭で、マリリン・モンローとのツーショット(写真上から5枚目)を披露したり…。

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そして、2人は北朝鮮でも、いくつもの傑作をものしはります。

ボクは未見やけど、チェコ国際映画祭で特別監督賞をゲットした「帰らざる密使」(1984年)やら、

モスクワ国際映画祭で、チェ・ウニが主演女優賞をもらわはった「塩」(1985年)など、

世界の映画祭で受賞してはるんでおます。

怪獣映画「プルガサリ 伝説の大怪獣」(1985年)は、1997年にボクも見ましたけども、

チャッチーやけど、何やらマニアックな特撮ぶりに、ウーンとうなった記憶があります。

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結局アメリカへ亡命し(その時の記者会見シーンが、写真上から8枚目)、その後韓国に帰ってきた2人やけど、2人のドキュでありつつも、

金成日のドキュにもなった本作。

北朝鮮を映すドキュとしても、歴史的で貴重な作品になっとります。

2016年9月21日 (水)

ブラピとアンジーが離婚! 「白い帽子の女」⇒ブラピとアンジーの共演映画

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実際の夫妻が共演した、ミステリー・サスペンスな夫妻映画

ヒッチコックを思い出させる、ヒリヒリピリピリする展開だ

http://www.shiroiboushi.jp

9月24日のサタデーから、ビターズ・エンドとパルコの配給により、シネスイッチ銀座、渋谷シネパレス、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作のアメリカ映画122分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 UNIVERSAL STUDIOS

コドモのいない、2人だけの夫妻映画で、洋画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、言いますと…。

但し、戦争で引き裂かれたり、どちらかが本編途中で死んだりせずに、ラストシーンまで、夫婦である映画を選択しとります。

●ベスト⇒①本作②アイズ ワイド シャット(1999年製作・アメリカ映画)③ビューティフル・マインド(2001年・アメリカ)

●カルト⇒①浮き雲(1996年・フィンランド)②イノセント(1975年・イタリア)③髪結いの亭主(1990年・フランス)

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●くしくも、ベストはアメリカ映画、カルトはヨーロッパ映画になってまいました。

ベスト・カルトの作品の出来の違いは、さほどなく、入れ替えてもエエくらいなんやけど、

ただ、その選択ポイントを言いますと、カルトは①失業②浮気③憧憬といったキー・ワードのもと、

いかにも現実的に、ありそうな展開の映画であるのに対し、

ベストは、ボクの好みやけども、どれもがミステリー・サスペンス調にして、謎めいた作りになっておます。

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さらに言いますと、実話がベースになったベスト③、実際の夫妻をキャスティングした、ベスト②と本作など、

フィクション的現実と、実際の想定が交錯し、より謎めきをはらんでゆく展開なんが、メッチャスゴイんどすえ~。

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本作は、作家と元ダンサーのアメリカの夫妻(ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー・ピット=今回は本名)が、フランスのリゾート地へ行って、

こで話を展開させるとゆう、シンプルな物語なんやけど、

なんでそこに来たのか、なんで2人は、ほとんどいつも別行動なんか、なんでセックスせえへんのか、なんぞの謎があり、

静かな展開から、やがてはヒリヒリする流れへと、進んでゆきよります。

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ほんでもって、隣室に泊まる、若い婚約中のカップル(メルヴィル・プポー、メラニー・ロラン)との交流から、話が妙な方向へねじれてまいります。

なんせ、夫妻2人で、見つけた節穴から、2人のセックスを、ピーピングするんやから。

そして、遂には…ナンチュー衝撃的なとこへと向かいます。

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ピット夫妻が製作し、アンジェリーナ・ジョリー・ピットが監督した作品だす。

男勝りの骨っぽい作品を、撮り続けてきたアンジーの、監督第3弾も、

決して女性監督らしさを、感じさせる作品やありまへん。

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女性監督としては、ジェームズ・キャメロン監督のヨメはん、キャスリン・ピグロー監督のようなセンスやし、

個人的には、今作には、「めまい」(1958年・アメリカ)「断崖」(1941年・アメリカ)などの、

アルフレッド・ヒッチコック監督的なサスペンス性を感じました。

また、ダンナのブラピとの共演は、「Mr. & Mrs. スミス」(2005年・アメリカ)以来やけど、

そのコミカル・アクションぶりとは真逆の、シリアス・室内劇的緊張が、見どころとなった作品でおます。

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いずれにしても、なんで夫妻の仲が倦怠していったのか、

そのメインの謎の見せ方が秀逸。

みなはん、驚いてくだされませ。

●さてはて、本作公開前に、ブラピとアンジーの離婚報道がなされました。日本公開的にはでんな、メッチャな話題性となっておます。ちゅうことで、大ヒット間違いなし。

「ハドソン川の奇跡」⇒クリント・イーストウッド監督作品

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今年初めて、来年の「アカデミー賞最有力!」の、コピーが出た作品

単なるヒロイズムの、その向こうを捉えた快作

http://www.hudson-kiseki.jp

9月24日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画96分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2016 Warner Bros. All Rights Reserved

さてはて、唐突やけど、航空パニックor航空関連のヒューマン・ドラマの、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・全てアメリカ映画)を、思いつくままに披露いたしますと…。

●ベスト⇒①本作②大空港(1970年製作)③ユナイテッド93(2006年)

●カルト⇒①エアポート75(1974年)②フライト(2012年)③エアフォース・ワン(1997年)

●航空パニックと言えば、第1弾のベスト②やカルト①の、エアポート・シリーズが有名やけど、

それらはパニック・フライトの、出発から生還までを、群像劇タッチで描くものが多うおます。

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ほんで、本作もまた、パニック部や群像劇部もちゃんとあります。

でもしか、あくまで機長役トム・ハンクスの、ヒューマン映画にフォーカスした作りになっとります。

そういう意味では、デンゼル・ワシントンが主演したカルト②と、似てるかとは思います。

ただ、本作はベスト③と同じく、実話がベースになっとりまして、

さらに、そのヒューマニズム・ヒロイズムの在り方が、

カルト③の主演ハリソン・フォードの、ハリウッド映画的ヒーローイズムではなく、もっと地味で人間臭いものになっとります。

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さてはて、カルト②は、機長がアルコール依存症とゆう個人的なことが、問題化されとりましたが、

本作は機長としての、人間ドラマ性に肉迫してはります。

2009年の1月15日。離陸後、鳥の群れがエンジンに突入し、全エンジン機能停止。

飛行場までは戻れそうにない。そこでイチかバチかの、ハドソン川への着水とゆう、

機長そのものの判断は正しかったのか。

ともすると、乗客・乗員全員沈没死亡に、なりかねなかったんやけど、それを単に奇跡とゆうてええのんか。

大衆からはヒーロー視されるけど、

航空関係者からは、機長の判断を疑問視され、事情を検証・聴取する、公聴会まで開かれよります。

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冒頭では、NYの街へ墜落させてまう、トム・ハンクスの悪夢のシーンがありますが、

155人全員生還やと聞いても、こおゆう夢を見たり、

テレビ出演しながらも、副操縦士役のアーロン・エッカートやらと、悩み深く話し合ったりと、

トラウマやらのシーンも、きちんと描写されとります。

2人の娘は出まへんが、妻役ローラ・リニーとの電話のやり取り。

さらに、青年時代のオトンとのエピソードなどが、追想シーンとして時おり挿入されます。

多彩に機長としてのココロの綾を追求し、ヒロイズムの向こうにある心理を、

クリント・イーストウッド監督は、引き出そうとしてはります。

ピアノをメインにしたサントラ使いも、巧妙どした。

また、ラストロールで流れる、フィメール・ジャズ・スロー・ナンバーも、しっとりきます。

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クライマックスは、モチ、パニック・着水・救助シーンでおます。ほんでもって、シメはその後の公聴会どす。

素晴らしかったり、ユニークやったりの名言が、飛び出しますので、お楽しみくだされませ。

2016年9月17日 (土)

「レッドタートル ある島の物語」⇒スタジオジブリの新作

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日本のおとぎ話に、インスパイアーされた作品

「父を探して」と同じく、サイレント・アニメの新鮮味

http://www.red-turtle.jp

9月17日の土曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、日本・フランス・ベルギー合作81分。

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スタジオジブリが、フランスの製作会社「ワイルドバンチ」と製作し、監督はフランス人でいった作品。

製作年数8年とゆうタームで、ジブリの高畑勲と、フランス人監督(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット)のやり取りで、完成した作品どす。

今年5月開催のカンヌ国際映画祭で、「ある視点」部門で特別賞をゲット。

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宮崎駿もそうやけど、高畑勲監督と言えば、日本流のお話にこだわはる監督はんどして、

今作は、初の海外作品とは申せ、日本のおとぎ話のスパイスが、色濃く反映された作りになっとります。

「鶴の恩返し」とか、「浦島太郎」とか、「竹取物語」とか。「竹取物語」を除き、大たいが動物が、キーになっとります。

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ディズニー・アニメでもそうやけど、動物たちの擬人化が、頻出しよりますが、

但し、本作では動物・生き物たちは、人間語は喋りまへん。

喋らへん代わりに、キズナをポイントにした、人間的な動きをします。

蟹たちがそうやし、重要なポイントとなる海ガメもそう。

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そして、外国語の意味不明の会話や、セリフはあるけども、総体的に、サイレント映画のノリで、進行してまいります。

スタジオジブリに影響を受けたらしい、ブラジル・アニメ「父を探して」(弊ブログ分析済み)と、同じくサイレント。

サントラでサイレントを飾りたてた「父を探して」とは違い、本作はあくまで、静謐なストーリー展開で魅せる映画どす。

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ロビンソン・クルーソーもの的な、1人男の孤島漂流ものと思わせておいて、

やがて、家族ドラマへと発展してゆくとゆう、意表を突く展開で見せはります。

主人公のイカダでの脱出が、謎の動物の横やりで、ことごとくつぶされてまい、ほんで、そいつが赤い海ガメだと判明。

その海ガメを捕まえて、懲らしめに海辺で背中を下にしてもうたら、アラアレ、昇天してもうた。

でもしか、そのカメ本体部が人間の女に変身し、ほんで2人が恋して暮らして、コドモを設け…ナンチュー流れでおます。

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モノクロっぽい主人公の、海上の漂流シーンから、始まります。

ほんで、島に漂着し、イロイロやらはります。

特に、岩間の狭いとこに落ちてしもて、もぐり続け、狭い岩の間をくぐり抜けて、脱出するシークエンスは、面白い。

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ロングショット的カットの頻出が、これまでのジブリ映画とは、違いますやろか。

しかも、アート的構図が多いんで、まるで芸術映画的な威風さえ、カンジさせます。

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とは申せ、大津波のパニック・シーンなど、

波乱のシーンもあって、一筋縄ではありまへんで。

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ネタバレ部は、「鶴の恩返し」か、「浦島太郎」か。

いずれにしても、ジャパニメーションの、1つの起因とするところが、如実に示された作品だす。

ディズニー・アニメでは、決して味わえない、不可思議ハットトリックを、お楽しみくだされませ。

2016年9月16日 (金)

「怒り」⇒今年のマイ・ベストワン級日本映画

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日本のオールスター映画として描かれた、

新しいタイプの、犯人探しのミステリー映画

http://www.ikari-movie.com

9月17日の土曜日から、東宝の配給により、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2016映画「怒り」製作委員会

さてはて、本作は21世紀の芥川賞作家・吉田修一小説を、原作とした映画です。

そんな吉田映画化作品の、マイ・ベスト・スリー(順位通り)を申し上げますと…。

①本作②悪人(2010年製作・弊ブログ分析済み)③さよなら渓谷(2013年・ブログ分析済み)

●吉田修一作品の特質は、純文学にはあまりない、ミステリー・スパイスが、振り掛けられているところです。

日本の純文学で言えば、同じく芥川賞を受賞してる、安倍公房以来の、ミステリー性だと思います。

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しかも、コンテンポラリーな(現代的な)設定で、編み出されているのが特徴的です。

加害者・被害者設定の、男女の謎に迫った③。

出会い系サイトを通じて、知り合った2人の逃亡劇を、サスペンスフルに描いた②。

そして、顔を整形した逃亡犯は、一体誰なのかを、3話オムニバスで描いた本作。

3話の中の1つに、真犯人がいるのですが、ミス・リードや伏線の張り方などが、実にお見事でした。

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吉田修一が希望したらしいのですが、本作は、日本のオールスター・キャスティング映画になっています。

そして、それぞれの男優・女優が、キャリア最高とも言える演技を、示しているのです。

こういう日本映画は、10年に1度あるかないかといった、凄みを感じました。

さて、映画紹介においては、ストーリーを重視するところもありますが、

ボクはストーリーを出さずに、いかに映画を分析できるかに、こだわっておりまして、

ということで、各人の演技性を分析したいと思います。

ストーリーについては、上記の本作公式ホームページを、ご覧ください。

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ちなみに3話は、東京・千葉・沖縄舞台という風に、分かれています。

千葉編では、宮崎あおい、渡辺謙、松山ケンイチらが登場。

オールスター性の最も高いところですが、父役・渡辺謙の娘役・宮崎あおいを慮(おもんぱか)る、フツーのオヤジ節が、

「ラスト・サムライ」(2003年・アメリカ映画)など、エキセントリックな演技の多い渡辺節では、異彩を放っています。

宮崎あおいは、複雑多感な演技節を披露。こちらはキャリア最高の演技だと、ジャッジいたします。

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東京編では、妻夫木聡と綾野剛が、ゲイの恋人役で出演。

「ウォーターボーイズ」(2001年)が、悩み深き大人のゲイ役へと、進化したような妻夫木クン。

綾野剛の落ち着いた演技と共に、キャリア初の演技でしょう。

そして、沖縄編では、森山未來と、今をときめくアイドル女優・広瀬すずチャンらが登場。

「苦役列車」(2012年)に続く、ワイルドな役の森山未來。

米兵にレイプされるという、初の汚れ役となったすずチャン。

共に、キャリアにおいて、エポック・メイキングな演技になったのでは…。

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②に続き、吉田修一原作映画を監督した李相日(リ・サンイル)。

監督の大ヒット作「フラガール」(2006年)との、段差具合にも注目あれ。

何はともあれ、黒澤明の系譜を継ぐ、表現主義者的監督ぶりです。

スゴイとしか言いようがありません。

ということで、今のところ、今年の日本映画で、マイ・ベストワンの映画です。

2016年9月15日 (木)

オダギリジョー・蒼井優共演「オーバー・フェンス」

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フツーで自然体の、バツイチ無職のオダギリジョーと、

エキセントリックなキャラの、蒼井優のラブ・ストーリー

今年の日本映画マイ・ベストテン級の仕上げ

http://www.overfence-movie.jp

9月17日の土曜日から、東京テアトルの配給によりまして、テアトル新宿、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国公開。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016「オーバー・フェンス」製作委員会

1980年代に芥川賞候補になった作家、若くして自殺した作家・佐藤泰志の小説が、このところ映画化されとります。

同時期の芥川賞落選組としては、村上春樹や吉本ばななやらの方が、メッチャ有名やけど、

なぜか21世紀も10年も経って、映画界で再評価され、映画化が本作を含め、3作も続いておます。

しかも、どの作品もが、高い評価を得ております。なんでやろか?

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映画評論家受けがかなり高かった、低予算のATG映画ちゅうのんが、かつてありました。

アメリカでのアメリカン・ニューシネマか、フランスでのヌーヴェル・バーグか、ナンチューノリやろか。

ATGで描かれるラブ・ストーリーとゆうのは、

それまでの日本映画の正統系ラブとは違い、

複雑かつ微妙な男女の心理を、ある種純文学的に、描き込むもんが多かったどす。

ほんで、そんなATG的ラブが、佐藤泰志原作作品に、通底しておます。

「海炭市叙景」(2010年製作・弊ブログ分析済み)の、多様で複雑系なラブがあり、

「そこのみにて光輝く」(2014年・ブログ分析済み)の、やるせない愛があり、

そして本作では、男女心理を巧妙に、描き出したラブがあります。

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ロケ先の函館を舞台に、嫁はん(優香)と別れ、職業訓練所に通う無職のオダギリジョー。

片や、夜はホステスをやり、誰とでも寝ると噂され、昼間は動物園兼遊園地で働く蒼井優。

ATG的日本映画の、恋愛映画を引き出すにおいて、ナンチューてもこの2人の演技は、複雑・巧緻にして、見事でおました。

モチ、ATG的傑作をいくつも撮ってはる、山下敦弘監督の演出力・監督力もあるやろけど、

何はともあれ、2人の演技力には、目を見張らせはります。

特に2人が初めて寝た時と、遊園・動物園でのエピソードやらが、ココロに残りました。

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どこまでも自然体で、決して激することのない(蒼井優との絡みで1回あるけど)、

いかにもなバツイチ無職のオッサンを、フツーのように見えるように、演じてゆくオダギリジョー。

実は、こおゆう演技こそ、役者にとっては、イチバン難しいんやないやろか。

対して、蒼井優は、激しやすいエキセントリックな演技。

鳥のマネや踊ったり、おとなしく述懐したり話すシーンもありましてな、

それらとの対比としての“激”が、大いにココロ揺さぶるんでおます。

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ここで、蒼井優のマイ・ベスト・スリー演技(順位通り)を、披露いたしますと…。

①本作②百万円と苦虫女(2008年)③フラガール(2006年)

●③の頃のカワイサが、国民的には好感度が高いやろけど、

②の逃げる女の、哀愁ペーソス・コミカルな演技、

そして、本作では、演技幅の自在性を演じて、

彼女のキャリア最高の演技やと、ボクはジャッジいたします。

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松田翔太、優香の自然体演技もOK。

2分くらいの長回し撮影を、いくつか使って、ドラマ的フックを入れ、

また、職業訓練所の、群像ドラマ的テイストも加味し、

2人の恋愛ドラマを渋く、サポートする作りになっとります。

着地具合も、大仰やなく、渋くて地味・滋味。

でもしか、ココがこの映画の、素晴らしいとこだす。

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余韻を持たせる作り、あるいは観客に、その後を予感させるようなラストシーンは、

説明的やったり、衝撃的やったりのエンドとは違い、ボクはイチバン映画的な、終わり方やと思います。

ちゅうことで、久々に見た、日本映画の恋愛映画の傑作でした。

2016年9月14日 (水)

「BFGビッグ・フレンドリー・ジャイアント」

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ディズニー初の、スピルバーグ監督作品

「E.T.」的な、スピルバーグ的キズナ映画が展開

http://www.Disney.jp/BFG

9月17日のサタデーから、ディズニーの配給によりまして、字幕スーパー版・日本語吹替え版同時公開で、全国各地イッセーのロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画118分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

スティーブン・スピルバーグ監督の新作。

スピルバーグが、ディズニー製作で撮ったのは、初めてでおます。

ちゅうことで、ここで、傑作の多い監督やけど、監督のマイ・カルト・ファイブ(順不同)を、披露さしてもらいます。

ちなみに、カルトについての質問メールやらが、ケッコーあるんやけど、

カルトとは、自己流でOKな解釈。

ベストやったら、出来になるけど、カルトはもっと自由だす。

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①本作②1941(1979年製作)③フック(1991年)④続・激突!/カージャック(1974年)⑤ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997年)

●スピルバーグのファンタジー作品は多くないし、SF作品ほど評価は高くないけど、

それでも、本作や③は、ケッコー魅せてくれはります。

実はこの2作は、ファンタジー小説の宝庫とも言える、イギリスものを原作としておます。

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チョイ思い返してみておくんなまし。

大ヒットした「ハリー・ポッター」(第1弾は2001年)。

「指輪物語」が原作の「ロード・オブ・ザ・リング」(2001年~2003年)。

ほかに、「ナルニア国物語」(第1弾は2005年)や、本作と同じく、ドナルド・ダール原作の「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)、

③の原作「ピーターパン」も、全部イギリスの作品が原作だす。

戦争映画でも、「プライベート・ライアン」(1998年)とは、真逆のノリでいった②、

シリーズものの第2弾④⑤で魅せる、第1弾とは違うノリや作り。

スピルバーグ作品の本道をそれたものにこそ、

なぜかリラックスして、楽しく見れる作品が多うおます。

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さてはて、ファンタジーでも、大人とコドモの交流ある映画ちゅうのは、スピルバーグとしては、珍しいんやないかな。

たとえその大人が、巨人であったとしても。

そして、少女が夢を探して、コレクションするとゆう、ユニークなとこもあり、

スピルバーグ流ファンタジー性が、イロイロ盛り込まれておます。

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ところで、少女を守る主人公の巨人が、屋内に住んでんのに、主人公をいじめる巨人たちが、なぜ雨露をしのげない野外に住んでんのか。

主人公の棲み家を、なんで奪おうとせえへんのか。

「進撃の巨人」(2015年・弊ブログ分析済み)的に、主人公をはじめ巨人たちが、人間を食べようとするのは、なんでなのか。

本作では、少女ヒロインが、その対象となります。

そのあたりの謎が、謎とも思われないままに、見過ごされとるのは、原作通りを通したからやろか。

でもしか、大した瑕瑾にはなっとりまへん。

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グリーン、ブルー、セピアなど、多彩な配色による夢シーンの造形ぶり。

次々に繰り出されるCG、VFX使い。

クライマックスのビビッド感。

ほんでもって、いつも通りに、ジョン・ウィリアムズの、クラシック並みに、工夫を凝らしたスコアによる、オーケストラ・サントラ。

うまくいってるとこも、うまくいってないとこも、妙に愛しくなってくる、そんなスピルバーグ節が、ボクはスキやねん。

ちゅうことで、ボク的ジャッジでは、久々に家族一同で楽しめる、スピルバーグ映画どした。

2016年9月13日 (火)

「ソング・オブ・ラホール」⇒音楽ドキュメンタリー

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「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」に迫る

ワールド・ミュージック・ドキュの、渾身の1作

http://www.senlis.co.jp/song-of-lahore/

9月17日の土曜日から、サンリスとユーロスペースの配給によりまして、第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作のアメリカ映画82分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 Ravi Films, LLC

音楽ドキュメンタリーはイロイロあるけども、

ジャンル的に言って、ワールド・ミュージック・ドキュは、あんましありまへん。

ボクが見たのでは、キューバ音楽の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(1999年製作・ドイツ&アメリカ&フランス&キューバ)やらがあるけど、

本作と比べてみますと、

音楽の熱気と情熱を、ライヴを通じて伝えるスタイルゆうのんは、あくまで一緒でおます

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ただ、ストレートに熱さを伝える「ブエナ…」に対し、

こちらのパキスタン民族音楽ドキュは、政治的状況(タリバン政権)や国の抑圧で破壊され、

音楽家たちが転職を、余儀なくされる中で、一体どのようにして、音楽の自由と表現を、取り戻していったのかとゆう、

ドラマ映えするようなテーマがあり、

音楽ドキュの出来としては、ボクとしては「ブエナ…」に軍配を上げるけども、

社会派ドキュの側面としては、一般的には、本作の方が評価が高いやもしれまへん。

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「ロリウッド」と呼ばれるパキスタン映画の、サウンドトラックをメインに、活動していたミュージシャンたち。

でもしか、表現の自由は、全世界共通の合い言葉ではありまへんねん。

第三世界では、表現を抑圧され、ひどいとこでは、全くやってはダメなんちゅう国もあります。

ほんで、パキスタンはそんな稀な1国どした。

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1970年代後半の、イスラーム化の波に遭い、映画上映禁止、製作禁止されてもうて、

1977年から3、4年、家でじっとしていたり、

ウェイターや、リクシャの運転手、いわゆるタクシードライバーやらに、転職したミュージシャンが続々…。

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映画や音楽が禁止される状況とゆうのは、どおゆうことなんか、ボクはよう分かりませんが、

いずれにしても、そんなミュージシャンたちが復活し、

モダン・ジャズを、民族音楽の視点から演奏するとゆう、かつてないワザに挑戦しはります。

クライマックスはモチ、ホール・コンサートの模様だす。

「テイク・ファイブ」から「おお、恋人よ」まで、見事に民族音楽的にオリジナル化。

魅せてくれはります。

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江戸時代の日本の士農工商みたいに、人々の身分の高低を規定するカースト制度が、

依然としてあるパキスタンでは、ミュージシャンは低カーストに見られとります。

でも、試行錯誤を繰り返す、レコーディング模様やらや、

「僕たちの神は、音楽の中にいる」と話すミュージシャンなど、音楽へのひたむきさが、胸を打ちます。

ほんで、シタールやタブラの民族楽器を駆使した、パキスタンの伝統音楽と、

アドリブをはじめとした多彩なジャズとの、ミキシング調和ぶりが、大いなる感動を呼び込みます。

ちゅうことで、全く新しい、ワールド・ミュージック・ドキュの、風に吹かれてくだされ。

「みかんの丘」「とうもろこしの島」⇒グルジア映画

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戦下・紛争下の人間ドラマ映画が、2本本邦上陸

静かなる流れで進む、アンチ戦争映画

http://www.mikan-toumorokoshi.info/

ハークの配給によりまして、9月17日サタデーから、岩波ホールやらで、全国順次のロードショー。関西では、10月8日から、テアトル梅田で上映。

「みかんの丘」⇒2013年製作の、エストニア&ジョージア合作の87分。

「とうもろこしの島」⇒2014年製作の、ジョージア&ドイツ&フランス&チェコ&カザフスタン&ハンガリー合作の100分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒAlamdary Film

●「みかんの丘」⇒ソ連解体後の元ソ連の国々や、東ヨーロッパの諸国間で、1990年代以降に、多くの民族間紛争が勃発いたしました。

ほんでもって、本作2作は、そういう紛争を背景にした、ジョージア(グルジア)映画どす。

共に静かに展開する、戦争・紛争映画というか、戦争下の人間ドラマ映画だす。

低予算なので、アメリカの戦争映画とは、大いに違っておますが、

紛争が起こっても、それがどないやねんと、淡々といつも通りの生活をする人たちに、焦点を当てておます。

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こちらは室内劇・セリフ劇をメインにしながらも、

後半やクライマックスに、大爆破シーンや銃撃戦もあって、

「とうもろこしの島」よりは随分、戦争映画っぽさがあります。

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また、敵同士が友情を結ぶシーンなどの、感動の逸話もあり、

アカデミー外国語映画賞の5本の1本に、ノミネートされたことも、うなずける仕上げになっとります。

「アンダーグラウンド」(1995年製作・フランス&ドイツ&ハンガリー合作)などの、エミール・クストリッツァ監督的なペーソスも、感じさせてくれはりますで。

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ラストシーンでは俯瞰撮影になり、ラストロールでは、グッとくる男性歌手のスロー・ナンバーが流れて、胸にきよりました。

旧ソ連の戦下人間ドラマの名作、例えば「僕の村は戦場だった」(1962年)とか、「誓いの休暇」(1959年)とも、シンクロする作品だす。

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●「とうもろこしの島」⇒老人とその孫娘が、川辺に掘っ建て小屋を建てて、そこに住んで、

黙々ととうもろこし栽培をするとゆう、寡黙な農耕映画。

どこに、戦争や紛争をカンジさせるんやとゆう、戦争映画好きの方から、声が聞こえてきそうやけど、

この近隣で紛争が続いておりまして、そのあたりも実は、静かに提示してはります。

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ほんでもって、2人の間に会話はなく、2人が川辺に横たわるツーショットや、農作業の連続シーンやらで、

2人のキズナを、そこはかとなくカンジさせます。

ほんで、大雨による洪水パニック・シーンもあり、波乱的エンタ性もあります。

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影の使い方、少女のアップ、川辺のローアングル、どおゆう舞台かを見せるロングショット、自然風景の見せ方など、

常に映画的撮り方を、意識した作りにも、ボクは好感を覚えました。

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サントラも、美しき弦楽オーケストラが、たおやかなるスコアを奏でます。

戦争映画ちゅうより、まるで癒やしの映画のように見えるけど、

農業映画、例えば、新藤兼人監督の「裸の島」(1960年・日本)とか、

ジャン・ルノワール監督の「南部の人」(1945年・アメリカ)とかの、ノリと似ているようで、どこか違っとります。

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そのビミョーさは感覚的なものなんで、

すんまへん、言葉では説明できまへんが、

みなはん、それぞれ映画館へと、足を運ばはって、カンジてくだされませ。

2016年9月 9日 (金)

常盤貴子主演「だれかの木琴」

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東陽一監督の、ヒロイン映画の最新傑作

常盤貴子が池松壮亮と、心理的に絡む

http://www.darekanomokkin.com

9月10日の土曜日から、キノフィルムズの配給によりまして、有楽町スバル座、シネマート新宿、大阪ステーションシティシネマ、シネマート心斎橋、京都シネマやらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2016年「だれかの木琴」製作委員会

いきなりやけど、東陽一監督作品の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露いたしますと…。

●ベスト⇒①サード(1978年製作)②もう頬づえはつかない(1979年)③四季・奈津子(1980年)

●カルト⇒①本作②酔いがさめたら、うちに帰ろう(2010年)③ザ・レイプ(1982年)

●東監督の作品性は、ザックリ言いますと、

本作始め、ベスト②③カルト③のヒロイン映画と、

ベスト①カルト②の男・主人公映画の、2パターンがあるかと思います。

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主人公映画はある意味で、なるほどそやなーっちゅうカンジで、ストレートで分かりやすいもんになっとりますが、

ヒロイン映画は、ミステリアスやったり、アンニュイやったり、社会問題やらに帰趨して、

かなりとレンジの幅広い作品を、撮り続けてはります。

ほんでもって、本作は、ヒロインの心理的ミステリアスに、食い入った作品どす。

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さて、そんなヒロインに扮しはる常盤貴子ネーさん。

次に、彼女のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)も、チョイ披露してみまひょか。

●ベスト⇒①本作②ゲロッパ!(2003年)③アフタースクール(2007年)

●カルト⇒①赤い月(2003年)②もういちど逢いたくて・星月童話(1999年)③向日葵の丘・1983年夏(2015年・弊ブログ分析済み)

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●常盤貴子ネーさんの持ち味は、

ラブ・ストーリーのカルト②や、たくましきオカン映画カルト①や、映画への愛を描く、カルト③とかのように、

ある意味で、観客の好感度の高い演技の、ように見える作品に、あるように見えるけど、

ボク的には、騙しのミステリーベスト③や、少しくコメディエンヌなベスト②、

そして、メッチャミステリアスな本作ベスト①など、

ストレートさよりも、自然体にして変化球系の演技にこそ、魅了されるとこが、あるように思います。

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美容師役・池松壮亮に対し、メールを手始めに、遂には彼の住まいまで訪ねる、

ストーカー的主婦役が、常盤貴子ネーさんどす。

池松君には、彼女・佐津川愛美ちゃんがいてはります。

そんな2人がいてるとこへ行ってしもて、さらに、その後も、愛美ちゃんの職場へ行って、イロイロやらはりまんねん。

どない見ても、完全なるストーカーぶりを、ヤラはるんやけど、

実は、貴子ネーさんが、セックス的妄想にふけるシーンでは、常にダンナ(勝村政信)の姿があります。

いやはや、これは…。

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ビミョーかつ複雑系やけど、

でもしか、決して貴子ネーのキモチが、分からへんとゆうものではありまへん。

けども、彼女の過去のエピソードが2度出て、より謎めき度合いを増します。

ほんで、最終的には…。

ヒロイン・ドラマのSNS時代の新味があり、

一方で、意表を突いた、家族ドラマ的新生面もあるとゆう、

なかなかの、練り込まれた作りでおます。

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そんでもって、サントラ使い。

冒頭の、1分くらいの池松壮亮の、長回し撮影で、ドラム・ベース・ピアノの、タイトなリズミック・ナンバーで、ノリ良くドラマの中に入れたり、

また、ラストロールでは、井上陽水の隠れた、渋い名曲「最後のニュース」が、流れてまいります。

癒やしと複雑なキモチを、ミキシングしたこの曲の効果は、本作の作品性に、メッチャ合っています。

ボク的には、今年の邦画ベストテン級の作品。

劇場へ見に行って、ご確認くだされませ。

川口春奈主演「にがくてあまい」

1
コミック原作映画は、アイドル映画に似合う

「植物図鑑」とシンクロする、料理映画でも

http://nigakuteamai.com/

9月10日の土曜日から、エレファントハウスの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016「にがくてあまい」製作委員会 ⓒ小林ユミヲ/マックガーデン

アイドル映画の、お手本的な作品だす。

ポイント的には、川口春奈チャンの、女性アイドル映画。

けども、春奈チャンのお相手役、林遣都クン側からしてみても、

男性アイドル映画としても、見られるやもしれまへん。

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ほな、ラブ・ストーリーとして、機能しているかと申せば、そうではありまへん。

なぜなら、遣都クンは、男の方がスキやからどして、ちゃんとそのお相手がいてはります。

でもしか、この2人がなんとまあー、

春奈チャンからのアプローチで、同棲ならぬ共同生活へと、発展してまいります。

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本作は、今どきの日本映画のトレンドになっとります、コミック原作の実写映画でおます。

総じて、日本のコミック原作ものは、アイドル映画に通じてるんやないかと、ボクは思とります。

特に21世紀になると、それが顕著になってまいりました。

学園ラブ・ストーリーをメインに、次々に出てきておます。

そんな中で、フツーのテイストやないもの、つまり、

本作のような、ゲイとヒロインの間柄を描く映画なんぞは、特殊でオリジナルな設定やと申せましょう。

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共同生活ものもケッコー、アイドル・ノリになるケースもありますが、

本作は、あくまで春奈チャンのカワイサに、フォーカスしてはりまして、

つまりは、春奈チャンのファンに、なってしまうような作りどす。

ラブ・ストーリーでアイドル性を、示す昨今において、かなりと特異な、

ほんでもって、面白いコミカルな作りにもなっとります。

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そして、ボク的には、今や国民的アイドル女優の、高畑充希主演作「植物図鑑」(2016年・弊ブログ分析済み)と、

本作のシンクロ具合に、ビビビッときよりました。

「植物図鑑」では、野草を中心に、癒やしの自然料理を、ヒロインに調理する主人公がいましたが、

本作では、遣都クンが、野菜だけで食を作る手並みが、見事なフックになっとりました。

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春奈チャンが関わる、野菜・ゴーヤーのCM作りなどで、彼女の仕事への情熱ぶりやらが、見えてまいります。

そこで、遣都クンの料理とのつながりが出てきたりと、イロイロ、ドラマ的に関連してまいります。

春奈チャンがCM出演を依頼する、桜田ひよりチャンとのやり取りも、ドラマ的フックがあるやろか。

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家族ドラマとしての側面も、チャンとあります。

春奈チャンのオトン・オカン役の、中野英雄・石野真子の実家へ、遣都クンと一緒に、帰ってゆくシークエンス。

通常のキズナを紡ぐ、家族映画のテイストとは、ビミョーに違うかもしれまへんが、

家族間のあったかさは、確実に存在しとりました。

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春奈チャンから遣都クンに、テーブルで抱きつく、1分くらいの長回し撮影、

スロー・モーションに加え、ココという時のアップ・カットの使い方など、

ココロくすぐる映画的な作りはモチ、心掛けた撮り方をしてはりまっせ。

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サントラ的には、バンド・サウンドに加え、バンジョーやサックスなどに加え、

ラストロールでは、エレクトロ入りのダンサブルな、ポップロックが流れてきて、余韻を深めます。

アイドル映画の、少し違った作り方を、見せられた快作どした。

2016年9月 8日 (木)

「スーサイド・スクワッド」

1
アメコミの悪人・アウトローたちが、全員集合!

ウィル・スミスから、マーゴット・ロビーまで、強烈な印象を残す

http://www.suicidesquad.jp

9月10日のサタデーから、ワーナー・ブラザース映画の配給で、2Dと3D同時全国ロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画、本編123分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC - DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

アメコミ「バットマン」や「スーパーマン」などで、

主人公ヒーローたちと対決して、捕捉されムショ入りした悪役たち・アウトローたちが、

人類の危機に対し、テロリストやなく、悪魔とそのモンスターたちと対決する、

メッチャ荒唐無稽・破天荒な映画が、コレやねん。

ムショ入りしとるヤツらを、一時的に出所させ、正義のために、任務を行うとゆうスタイル映画は、

これまでに、刑事サスペンスの「48時間」(1982年製作・アメリカ映画)や、

島刑務所テロ対抗アクション「ザ・ロック」(1996年・アメリカ)なんぞがありました。

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でもしか、本作はそれらの作品と比べて、スケールが違っておます。

なんせ10人もの悪党たちを、政府筋・司法省・軍事筋が、一時出所させはって、

彼ら以上に超常的な、ミラクル・ワルと対決させはりまんねん。トンデモありまへん。

「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)とか、「黄金の七人」(1965年・イタリア)とかの、集団犯罪もののセンスはモチ、

「七人の侍」(1954年・日本)やら「十三人の刺客」(1963年・2011年・日本)やらの、アクション対決の醍醐味が、

ドッカーンと、サクレツしよるんでおます。

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アメコミ原作映画は、これまでに多数出てきておますが、

その初のスピン・オフ企画としては、かなりと壮絶な仕上がりになっとります。

また、シリーズ化されても、全然オッケーやし、

本作はラストシーンで、シリーズ化されそうな終わり方で、シメてはります。

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ほんでもって、10人のキャラクターが、これまたエキセントリックにして多彩どす。

娘とのキズナが急所の、100パーセント・スナイパーのウィル・スミス。

彼の銃撃・暗殺ぶりのイロイロは、目を見張ります。

むしろ、悪よりはヒーロー・サイドなキャラ作りは、10人の中では異彩を放っとります。

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ほんで、元々はセラピストやった、女性博士ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)が、

患者ジョーカー(ジャレッド・レト)との、ハットトリッキーな馴れ初めで、

トンデモない悪役に変身してまうとこの、ディープ・インパクトだす。

2人でのハチャメチャな、犯罪の連続アクト。

ほんでもって、遂に捕まることになってしもた経緯。

本作の任務中にも、ジョーカーとの犯罪コンビ復活を策す“悪カワ(カワイイ)”な、このマーゴットちゃんの演技こそ、

本作のメイン・ポイントとなるとこでもおまっせ。

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さらに、日本人女優の福原かれんチャンも、半仮面を付けた刀剣士として登場。

彼女はムショには入っとりまへんが、殺された彼氏へのリベンジに燃えた、

「キル・ビル」(2003年・アメリカ)の、ユマ・サーマンのような、印象深い役柄を演じてはります。

ちゅうことで、コミック映えするキャラクターの魅力と、チーム・ワークぶりに、ググーンと魅せられる映画でおました。

「アベンジャーズ」シリーズの対極として、今後も大いに期待したい作品です。

2016年9月 7日 (水)

「ジャニス リトル・ガール・ブルー」

1
ジャニス・ジョプリンを描く音楽ドキュメンタリー

ジャニスの人間性に迫った、極上のヒューマン・ドキュ

http://www.janis-movie.com

9月10日のサタデーから、ザジフィルムズの配給によりまして、シアター・イメージ・フォーラムやらで、9月24日から、第七藝術劇場やらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2015年製作の、アメリカ映画103分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 by JANIS PRODUCTIONS LLC & THIRTEEN PRODUCTIONS LLC. All rights reserved.

27歳で逝去した、フィメール(女性)・ロッカー、ジャニス・ジョプリンの人生を描いた、音楽ドキュメンタリーどす。

ちゅうことで、ここで、音楽ドキュの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露さしてもらいますと…。

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●ベスト⇒①ラスト・ワルツ(1978年製作・アメリカ映画)②ウッドストック 愛と平和と音楽の三日間(1970年・アメリカ)③ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年・ドイツ&アメリカ&フランス&キューバ)

●カルト⇒①本作②ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!(1964年・イギリス)③ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター(1971年・アメリカ)

4
●音楽ドキュと一口に言っても、多彩な作りが展開できよると、ボクは思います。

ベストは、実際のコンサートの模様を伝える、ライヴ・ドキュメンタリーとしての側面の、音楽ドキュに注目いたしました。

一方、カルトでは、実際に遭った事件をポイントに、ポピュラー音楽史上、エポック・メイキングなとこを、映し出したフィルムを選んでおます。

カルト②は、ビートルズの歴史的来日コンサートの、楽屋裏話を、

カルト③は、ローリング・ストーンズのコンサートで、殺人事件が発生、その模様をビビッドに捉えておました。

5
そして、本作は、ドラマ映画「ローズ」(1979年・アメリカ)でも採り上げられた、夭逝の女ロック・シンガー、ジャニス・ジョプリンの、

波乱に満ちた生涯を、描いたドキュでおます。

謎めいた夭逝のミュージシャンを、描いたもんはケッコーありますけども、

本作は、そんなジャニスのヒューマニズム、人間性に食い入った、傑作になっとります。

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先頃公開された、ジャニスと同じく27歳で死んだ、最近の夭逝ミュージシャン、エイミー・ワインハウスを描いた

「AMY」(2015年・アメリカ・アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞をゲット)の作りの、

同じ頃に作られながらも、先見的・先行的に描かれた作品でおます。

ヤクチュウで若死にするパターン。

でもしか、そこをメイン・ポイントにせず、あくまで、ミュージシャンの生き方に、焦点を当てた作りなど、メッチャ似通っておます。

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前へ前への、線路をゆく電車運転手カットを、タイトに挿入し、

ジャニスのツアーの経緯を、ロードムービー的リズムで、ドラマティックに描き込んでまいります。

そして、ライヴ・シーンはモチ、彼女のボーカル・スタイルの、シャウトの在り方とか、彼女の境遇を反映した歌詞内容の分析など、

彼女のアーティストとしての、魅力に迫ってまいります。

加えて、多彩な関係者へのインタビューも、盛り込んではります。

特に、ラストロールで披露される、ジョン・レノンとオノ・ヨーコのコメントは、深々とココロに、刻まれるもんになっとります。

ちゅうことで、ミュージシャン・ドキュの、最高級に仕上げられた傑作です。

2016年9月 6日 (火)

「ティエリー・トグルドーの憂鬱」⇒フツーこそ素晴らしい

1
カンヌ国際映画祭でヴァンサン・ランドンが、主演男優賞をゲット

現代のフツーの男を、フツーに演技して…

http://www.measure-of-man.jp

9月10日のサタデーから、熱帯美術館の配給によりまして、シネ・リーブル梅田、10月1日からシネ・リーブル神戸など、全国順グリのロードショー。

本作は、2015年製作のフランス映画92分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 NORD OUEST FILMS - ARTE FRANCE CINEMA

小細工はありまへん。

女房と障害児の息子の3人家族の、フツーのオトン・主人公が、リストラされてもうて、1年半もの間、就活して、

スーパーマーケットの警備員の職を得たけど、職場内の問題に悩まされて…ナンチューお話どして、

アレマー、よくあるフツーの話やん、ちゅうお話でおます。

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フランス映画としても、こおゆうタイプは珍しおす。

フツーなんで、地味に見えます。

事件も起こるけど、自殺とかもあるけど、大した激震はないし、主人公がトンデモナイ危機に、陥るわけでもありまへん。

そやけど、見てると、フツーな主人公なだけに、実にスムーズに、感情移入できる仕掛けになっとります。

つまり、庶民派の映画やと申せましょうか。

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スーパー・ヒーロー映画ファンで、映画にカッコヨサや爽快さを求める方々が、一般的には大半でおましょうが、

こおゆう映画を、何かの間違いで見たとしたら、きっと映画に対する考え方や見方が変わってくると、ボクは思うんだす。

冴えない男のドラマ、そして家計に苦しんでる、家族映画としての側面。

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映画で夢を見せましょうとゆうドラマとは、真逆なんやけど、

就職難・生活苦・コドモの問題・仕事の問題など、どこにでもあるフツーの問題が、

深刻化することもなく、決着とゆうより、それなりに流されてゆく。

消化不良を感じさせるはずが、そうやない。

なぜかボクらの、個人的な問題のように、じんわり胸にきよります。

6
ヴァンサン・ランドンの、エキセントリックでも、静々でもない、全くもってフツーの、オッサン演技が、映画を見たあとで効いてきよります。

渋いとか自然体とかやありまへん。あくまで、演技をしてはるんだす。

隣のフツーのオジサンを、演技してみてやと言われて、例えば演技素人のボクがやった場合、

やれそうでやれへんところを、彼は細かく見せてくれはります。

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そのあたりは、意識せずに自然に見ても、何となく分かるハズでおます。

こんなフツーの演技なのに、なんでカンヌ国際映画祭で、主演男優賞をもらわはったんか、見たあとに納得できますで。

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2分くらいの3人家族の食卓シーン、5分くらいのスカイプ面接、4分くらいの2人のダンス練習シーンなど、淡々とした長回し撮影シーンがあるけども、これらもフツーの生活シーンとして見せてはります。

また、ロングショットを少なくして、近接撮影や、主人公の背後からのカットなど、小細工なしの分かりやすさを、キーにした撮り方どす。

とゆうことで、感情移入して見られる映画として、おすすめしたい1本です。

2016年9月 4日 (日)

「超高速!参勤交代リターンズ」⇒日曜邦画劇場

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ユニーク時代劇の快作でおます

シリーズ化されそうな勢いやで~

http://www.cho-sankin.jp

9月10日の土曜日から、松竹の配給で、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ2016「超高速!参勤交代 リターンズ」製作委員会

見出しに書きました「ユニーク時代劇」。

時代劇と申しますれば、従来の観点からは、殺陣のある剣戟が、メインにあります。

でもしか、それがメインにない、コミカル、もしくは人情節な映画があります。

でもって、そんな日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、手前勝手に披露いたしますと…。

●ベスト⇒①超高速!参勤交代(2014年製作・弊ブログ分析済み)②幕末太陽傳(1957年・ブログ分析済み)③清須会議(2013年・ブログ分析済み)

●カルト⇒①本作②股旅(1973年)③七変化狸御殿(1954年)

●室内劇メインに展開するベスト②③、ミュージカルのカルト③に対し、

ロードムービーとしての、時代劇を追求したんが、タイトル通りの股旅ものカルト②であり、

ほんで、ベスト①カルト①の、本作シリーズもんであります。

そして、本作シリーズは、参勤交代ロードムービーを、日本の時代劇史上初めて、取り上げたもんなんでおます。

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股旅もんとか、東海道中もんとかとは違い、この参勤交代は、メッチャシビアで、厳格なるもんどす。

藩の行く末・存亡を懸けたもんなんでおますよ。

それを題材に、オモロイ・トンデモな話を、作り込むセンスは、本作は一等のものやと言えましょう。

さてはて、本作は、松竹が主催する、映画脚本公募「城戸賞」を受賞した作品の、シリーズ化が見えつつある第2弾でおます。

城戸賞てゆうたら、ボクチンも学生時代に、1度応募したことがありましたけども、さっぱりワヤでおました。

そんな栄光の、城戸賞受賞作の、映画化作品の、マイ・ベスト&カルト・スリーなんてのを、やってみよりますと…。

●ベスト⇒①超高速!参勤交代②帰らざる日々(1978年)③誘拐(1997年)

●カルト⇒①オレンジロード急行(1978年)②のぼうの城(2013年)③連弾(2000年)

●いやはや、幅広い。

青春友情ものベスト②、サスペンス・ベスト③、群像コメディのカルト①、変形家族映画カルト③、などと多彩。

時代劇としては、本作の第1弾ベスト①と、カルト②。

共に、時代考証をキチンとした上で、今までにないようなもんをと、作ってきはったもんでおます。

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第1弾は江戸へのロードどしたが、今回はその帰りのロードなんやけど、

深田恭子と主人公・佐々木蔵之介の、結婚披露宴が冒頭部であり、ロードの途中でこんなんがとゆう、サプライズはあったにしても、

その後の展開が、過酷にしてシビアどす。

ほんで、その過酷さを映すシーンが、本作のメインになっとります。

福島へ帰ってからの、多勢に無勢の「十三人の刺客」(1963年・2011年)ばりの設定があります。

そこで、対決するシーンでは、深キョンの、愛を迫る、おいおいなとこがあったりして、

緊張度合いに、コミカル度合いを、まぶすような作りだす。

1000人対7人の対決とゆう構図は、「十三人の刺客」そのものやんなんて、思うかもしれへんけど、

こちらはあんまし逼迫はしとりまへんどして、お茶の子さいさいとはゆかんけども、スイスイなとこはあったやろか。

「たそがれ清兵衛」(2002年)と同様に、山形・庄内映画村ロケとゆう時代劇。

加えて、斉藤和義の8ビートロック「行き先は未来」が、ラストロールで流れ…。

いろんな意味で、時代劇の新味を、こしらえようとする意欲が、見え隠れしとります。

ボク的結論としては、チャンバラ時代劇に魅せられた人にこそ、見てほしい快作どした。

2016年9月 2日 (金)

「エミアビのはじまりとはじまり」⇒週末日本映画劇場

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漫才師たちの、ヒューマン・ドラマだす

黒木華や新井浩文のサポートを得て、2人がガンバル

http://www.bitters.co.jp/emiabi

9月3日の土曜日から、ビターズ・エンドの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会

漫才師たちを描く映画とゆうのは、これまでに、漫才師映画監督などによって、多数作られてまいりました。

漫才と対をなす落語映画も、映画評論家受けの高い作品を輩出しとりますが、

本作で、漫才映画も、バカにはでけへんで~、みたいなとこを示さはりました。

さて、そんな漫才映画・日本映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)を、手前勝手に披露いたします。

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①本作②キッズ・リターン(1996年製作)③ボクたちの交換日記(2013年)③大阪物語(1999年)

●②は、漫才師映画ではないけども、

北野武監督が、漫才師を目指そうとした、青春の1ページが刻まれとりまして、あえて入れました。

無論、現・漫才師監督が作り上げた映画は、ケッコーありますが、

その想いが空回りするようなカンジが、多かったように思います。

むしろ故・市川準監督が取り上げた、同率③位の「大阪物語」の、沢田研二・田中裕子が演じた、現・夫婦の漫才の方が、人情味ある、漫才師ヒューマン映画らしかったでおます。

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ほんでもって、内村光良ウッチャンが撮った③は、相方との友情を基本に、メッチャ泣ける映画どした。

そして、本作。

渡辺謙作監督は、漫才師やないんやけど、

漫才映画で、これまでにはなかった、漫才師たちの周りに横たわる、人間関係を中心に、

漫才をヒューマニズムチックに描くことに、成功してはります。

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過去の名作からは、「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年・アメリカ映画)などの、前向き果敢なゴーストものや、

モノゴッツーある相棒映画の中からは、

アメリカン・ニューシネマ「真夜中のカーボーイ」(1969年・アメリカ)のような、テイストがあったように思います。

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森岡龍と前野朋哉が、漫才コンビを組みます。

攻撃的な森岡・のほほんな前野とゆう演技ぶりは、

ボケとツッコミのキレが、要求される漫才師演技としては、極上のもんでおました。

そして、彼らをサポートする助演陣。

中でも、マネージャー役の黒木華。

彼女にとっては、初のネイティブな関西弁を自在に駆使して、最も自然体で、やりやすい演技やったんやないやろか。

その演技は、映画全体のトーンにも、影響を与えてやるで。

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さらに、新井浩文の、不貞腐れたような、いつもの新井節。

相方・前野朋哉が死んでもうて、森岡龍は先輩・新井に、新コンビ結成を持ち掛けはります。

このあたりの微妙な展開の中で、新井は渋くてコクある演技を、披露しはります。

野外の1人芸においても、ユニークなとこを示してはるねん。エエわ~。

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森岡・新井の漫才を、幽霊になって見守る、前野と、山地まりチャン。

前野の穏やかと、まりチャンの優しさが、ミキシング。

ハートウォームな、シークエンスになっとります。

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俳優ロバート・デ・ニーロが開発した、

演技する人間の職業に、実際に就いて、リアリティーを追求する「デ・ニーロ・アプローチ」などの、映画業界専門用語の使い方とか、

2分から4分くらいの、長回し撮影を多用。

映画的作りなとこにも、注目してくだされませ。

2016年9月 1日 (木)

「グランドイリュージョン 見破られたトリック」

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トンデモ・ハットトリックが、止まらないシリーズ第2弾

これまでの常識を打ち破る、イリュージョンの連続に、目がホンマに、点になってもうた!

http://grandillusion.jp/

9月1日の木曜日から、KADOKAWAの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、アメリカ映画130分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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TM & ⓒ2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

トリッキーなマジックで、ハットトリックを見せ、

日本でスマッシュ・ヒットした「グランド・イリュージョン」(2013年製作・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)の第2弾どす。

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マジシャン映画は、本作が出るまでは、1人ソロものか、1対1対決ものやったかと思いますが、

本作の新味は「オーシャンズ11」(2001年製作・アメリカ映画)の、団体犯罪系の映画のノリを、

マジシャンの世界に導入したところでおます。

それによって、マニアックでミステリアスなマジックの世界が、

より大衆的エンタで、ドラマティックな、映画的ミステリー・アクションになったんやないやろか。

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本作シリーズの第1弾を見た時の、ボクの印象は、スピードフルでスリリング。

マジックで魅せてまうスリリングが、軽快果敢に見せられ、

しかも、ミステリー・サスペンス映画としても、極上感がありました。

でもって、本作第2弾では、そのスリリングあるいは、ミステリアスなマジックが、次々に披露されて、

ホンマ、目が点になってしまいましたがな。一体、どないしてくれんねん!

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まあ、それは冗談やけど、

とにかく、挑発的・挑戦的な映画やったと思います。

そんなマジカル・アクションの、数々を見ていきますと…。

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冒頭から、さっそくマジックが披露されます。

新ケータイ発表の場を混乱させ、ほんでダクトから逃れて、とんでもないとこへ行ってまうシーン。

本作のイントロとしては、意外性ある冒頭。

重大なトランプ的チップを、メンバーたちが、チーム・プレイで奪うシーンの見せ方。

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マジシャン側と、マジシャン組に対抗するグループと、刑事側の、

3つ巴のアクション対決は、後半にドドッと、展開しよります。

バー内での室内的ミニマムな対決から、

クライマックスとなる、ロンドンとゆう大都会での、マキシマムな対決まで、目が離せまへん。

ヒコーキ内での室内劇的から、大サプライズへと向かうシーンは、

騙し映画の中でも、歴代ベスト・スリーに入る出来やないやろか。

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線は細いけど、クールなリーダー役の、ジェシー・アイゼンバーグ。

骨太のウディ・ハレルソン。

FBI捜査官と二重の、いわゆる逆潜入・スパイチックなマーク・ラファロ。

マジシャン側に味方する、マジック商人・台湾のジェイ・チョウ。

敵役としては、「ハリー・ポッター」を逸脱すべく、悪役をやるダニエル・ラドクリフ、

そのオトンで富豪役のマイケル・ケイン、

第1弾のリベンジに燃える、モーガン・フリーマンなど、敵対関係の構図にも、注目しておくんなはれ。

9
そして、マジシャン側に新たに加わった、若きピチピチのメンバーたち。

男優デイヴ・フランコと、女優リジー・キャプラン。

共に、アイドル的・演技的にも、胸騒ぎの演技をば、見せはりまっせ。

8

「オズの魔法使」(1939年・アメリカ)などへの、

名作へのリスペクト・シークエンスやセリフにも、魅せられた作品でおました。

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