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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年8月の記事

2016年8月31日 (水)

8月に見た今年のマイ・ベストテン級映画

●日本映画

★「淵に立つ」(浅野忠信・筒井真理子・古館寛治主演/深田晃司監督作品/10月8日公開)

http://www.fuchi-movie.com

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★「オーバー・フェンス」(オダギリジョー・蒼井優主演/山下敦弘監督作品/9月17日公開)

http://www.overfence-movie.jp

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★「金メダル男」(内村光良・知念侑季主演/木村多江助演/土屋太鳳・長澤まさみ・大泉洋・笑福亭鶴瓶出演/内村光良監督作品/10月22日公開)

http://www.kinmedao.com

ⓒ「金メダル男」製作委員会

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●外国映画

★「弁護人」(ソン・ガンホ主演/韓国映画/11月12日公開)

http://www.bengonin.ayapro.ne.jp/

ⓒ2013 Next Entertainment World Inc. & Withus Film Co. Ltd. All Rights Reserved.

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●毎月月末に発表していますが、

その月にボクが、試写室で見た映画の中で、マイ年間ベストテン級候補作を、ピックアップする恒例(!?)の企画。

今月8月は、日本映画の傑作を、数作見ることができました。

洋画では、韓国映画の今年の、今のところ、マイ最高傑作を選んでいます。

全ての作品は、後日、公開直前に緻密な分析をいたしますが、

まずはそのさわりとして、1言2言で分析ポイントを、披露いたします。

今年のカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門審査員賞を、ゲットした「淵に立つ」。

これは従来の日本的家族映画の、破壊を試みた作品で、

欧米の作品では、ケッコー輩出されとりますが、家族のキズナへと着地するのが定番の、日本映画的には、稀有な作品です。

さらに、個人的には、今年のベストワン候補級の映画でした。

後日、作品分析とは別に、深田晃司監督のインタビューも掲載予定です。

「海炭市叙景」(2010年製作・弊ブログ分析済み)、「そこのみにて光輝く」(2014年・ブログ分析済み)と続いた、

佐藤泰志の純文学小説原作映画の、第3弾となる「オーバー・フェンス」。

共に演技派である、オダギリジョーと蒼井優の、微妙かつ複雑な恋愛演技の、稠密な演技性に魅せられました。

内村光良ウッチャンの、監督第3作「金メダル男」は、日本映画伝統の喜劇を、

「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994年・アメリカ映画)の、裏返し的バージョンで披露した、出色のコメディ。

評論家受けの高い作品ではないと思うけど、観客の支持を集めそうな、個人的にもダイスキな作品です。

さて、洋画は、韓国映画1本だけになってしまいましたが、今年上陸した韓国映画の中では、マイ最高傑作と言える作品です。

韓国映画界を牽引してきた、俳優ソン・ガンホの、キャリア史上ベスト・スリーに入る、充実の1本だと思います。

ということで、各作品の、後日の詳細分析に、ご期待ください。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

「カンパイ!世界が恋する日本酒」

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映画史上初の、日本酒ドキュメンタリー

ワインやウイスキーものに、どこまで迫ったか、注目や!

http://kampaimovie.com

9月3日の土曜日から、シンカの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで上映。

本作は、2015年製作の日米合作の95分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 WAGAMAMA MEDIA LLC.

アルコール・ドキュメンタリーは、モチ、食ドキュメンタリーの枠組みに入るんやろけど、

本作はかなりと特質な、感覚を持った映画どした。

アルコールものなら、ワインやウイスキーなど、ドラマ化もされたもんがありますが、

ビールならともかく、日本酒とゆうのんは、かなりの驚きを感じました。

まあ、個人的なことをゆうたら、ボクはビール1本槍なんで、日本酒に旨さを感じまへん。

でもしか、本作を見ると、いっぺん本格的に飲んでみようかとゆう思い(錯覚かもしれへんけど)に、とらわれよりました。

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しかも、特定のロケ地を、メインに展開することの多い、ワインやウイスキーものとは違って、

こちとらは、日本の岩手と京都、さらに東京、横須賀、鎌倉などとロケした上で、

ニューヨークからロンドンまで、カットバック的ワールドワイドに、展開する作りが異例でおました。

また、日本の「南部美人」の蔵元、久慈浩介の、世界をまたにかけた活躍ぶり。

京都の「木下酒造」に勤め、初の外国人杜氏(とうじ)になった、イギリス人のフィリップ・ハーパー。

そして、日本酒伝道師の肩書きを持つ、アメリカ人のジョン・ゴントナー。

彼らのインタビューや談話で、日本酒への熱い思いが語られて、ついついのめり込んで、ボクはこの映画を見てまいました。

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東日本大震災の時に、蔵元はどうしたかとかの、局面での打開策やら、海外での売り込み、全国日本酒フェアの様子など、

一面的には、日本酒のピーアール映画のように見えがちどすが、そんな熱血人間だけでなく、

イギリス・コーンウェルの、コドモ時代からの話を入れつつ、日本酒に魅せられて、杜氏にまでなったフィリップ・ハーパー。

さらに、日本酒の魅力を、冷静に分析していくジョン・ゴントナーら。

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日本酒にトリコになった、3者3様の人間ドキュとしての面白さは、ヒューマン・ドラマとしても機能しとります。

ワインやウイスキー・ドキュでは、あんまし見られなかったところと違うやろか。

サントラ使いも、この種のドキュでは異例の、ギター・サウンドやバンド・サウンドを、キーにしてはります。

和風や雅楽やありまへん。

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ほんでもって、酒好き映画でおます。

ただ、飲む側のいろんな人たちの、感想があんましない、発信側からのアプローチではあるけども、

その熱意は十二分に伝わってきよるし、「乾杯!」の連呼で終わる、シメ具合もよろしおました。

日本酒を飲んでもらいたいために、作られた映画やないんで、

そのあたりの映画的作り込みを、じっくりと見てほしい映画でもありました。

2016年8月30日 (火)

「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」

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戦時下の少年の、奇跡を描くアメリカン映画

「太陽の帝国」と、シンクロナイズする快作だ

http://www.littleboy-movie.jp

9月3日のサタデーから、東京テアトルと日活の配給によりまして、テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2014年製作のアメリカ映画106分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2014 Little Boy Production, LLC. All Rights Reserved.

太平洋戦争時のアメリカを舞台に、戦場へ行ったオトンの帰りを待つ一家の、少年の話をメインにした作品でおます。

戦時下、もしくは戦火の中の、少年・少女を描く映画が、これまで多数作られてきとりますが、

本作のような戦火のない場所で、少年の姿を描く映画は、稀少やと思うんやけど、

しかも、敵国・日本の日系人と、少年の交流も描いてはります。

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さらに、奇妙なキーワードがあり、ドラマ・サプライズを盛り上げます。

主人公の少年のあだ名は、背が低いので「リトル・ボーイ」と呼ばれ、コドモたちにいじめられとりました。

このあだ名は「広島原爆」の、アメリカ側の呼称でおまして、

クライマックスになるんやけど、この2つがシンクロナイズした時、

この映画の意味するところのモチーフが、ググーンと見えてきよります。

広島原爆や原爆ドームの、モノクロ・シーンなどを、アメリカ映画では珍しく導入し、

ドラマそのものの家族的サプライズに、大いなるアクセントを加えるんだす。

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アメリカ映画と、他国の戦時少年映画との違いも、見え隠れしとりました。

少年を象徴的に、戦争大河ドラマ的に取り入れた

「ブリキの太鼓」(1978年製作・西ドイツ&ポーランド&フランス合作)のような、アート映画的ノリは、まずありまへん。

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そして、スピルバーグ監督が撮った「太陽の帝国」(1987年・アメリカ)のように、

少年は戦争に対し、前向きもしくは後ろ向きでも、深い思いがあり、

それによって、戦争の悲惨さが、ある程度緩和されてゆくような、作りがあるようでおます。

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少年は兄の代わりに戦場へ行った、イチバンヤーの相棒オトン(マイケル・ラパポート)が、早く家に帰ってきてくれるように、

司祭(トム・ウィルキンソン)から課された課題を、実行してゆかはります。

そんな中で、みんなから嫌われる日系人(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)と交流し、

一方で、マジックにのめり込んで、偶然うまくいった念力ワザを使って、オトンを戻そうとするんだす。

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少年の周辺にいる大人たちの演技が、オカン役エミリー・ワトソンをはじめ、

忠告なんかはあるものの、あくまで温かく見守る演技に、徹してはるんが好感を呼びました。

特に、「ラストエンペラー」(1987年・イタリア&イギリス&中国)の、日系人俳優ヒロユキ・タガワの演技は、硬派を通して渋かったどす。

また、オトンの戦場シーンや、過去のシーンなども随時挿入し、ドラマ的重層性を、積み重ねてまいります。

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ラストのサプライズ、ほんでハッピー・エンドゆうたら、確かにアメリカ映画らしさやけども、

これまでに多くあった安直なハッピーとは、一線を画しとるように思いました。みなはん、そのあたりは劇場へ見に行って、ご確認くだされませ。

ラストロールでは、カッコイイキャッチーなナンバーも流れるので、お楽しみに。

2016年8月26日 (金)

「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」⇒アイルランド・アニメ映画

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今年のアカデミー・アニメ賞に、ノミネートされた作品

兄妹のキズナを中心とした、感動の家族ドラマ

http://www.songofthesea.jp

8月20日より、チャイルド・フィルムとミラクルヴォイスの配給によりまして、YEBISU GARDEN CINEMAやらで上映中。

関西では、8月27日のサタデーから、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、元町映画館やらで上映。

本作は、2014年製作の、アイルランド・ルクセンブルク・ベルギー・フランス・デンマーク合作による、アイルランド映画93分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒCartoon Saloon, Melusine Productions, The Big Farm, Superprod, Norlum

今年のアカデミー賞の長編アニメ賞部門は、メインの実写作品賞よりも、レベルが高かったんやないかなと思います。

いつものアカデミー・アニメ賞やったら、アメリカの作品を中心にノミネートし、

ほんで、ディズニーかドリームワークスが、受賞するちゅうパターンが、多かったんやけど、

今年は、確かに定番通り、ディズニーの「インサイド・ヘッド」(2015年製作・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)がもらいましたけども、

従来のアニメを進化させたような、各国の挑戦的斬新作が、かつてなくノミニーされとりました。

2
既に弊ブログで紹介した分では、手書きの可能性をとことん追求した「父を探して」(2015年・ブラジル)、

スタジオジブリ高畑勲監督の「かぐや姫の物語」(2014年・日本)、

ディズニーに対抗し、パントマイムな動物キャラで、話を展開したクレイ・アニメ「ひつじのショーン」(2015年・イギリス)などどすが、

ここにきて、アイルランド産の本作が、本邦に上陸してまいりました。

3
本作の監督トム・ムーアについては、

かつて、「大阪ヨーロッパ映画祭」で上映された「ブレンダンとケルズの秘密」(2009年・フランス&ベルギー&アイルランド合作・ブログ分析済み)の、

舞台挨拶のコメントを、弊ブログで掲載いたしました。

アイルランドの伝承・民話を、オリジナル的にアニメ化するとゆう、そのワザは、

本作で全開・開花しておます。

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ムーア監督は当時も、スタジオジブリに影響を受けたと、ゆうてはりましたが、

今作では、推察するに、「となりのトトロ」(1988年)や「火垂るの墓」(1988年)のジブリ・クラシックはモチ、21世紀作「崖の上のポニョ」(2007年)まで。

さらに、ディズニーへも、「リトル・マーメイド 人魚姫」(1989年)などにリスペクトして、物語を展開してはるように、ボクは見ました。

灯台守りの人間のオトンと、いわゆる、人魚姫的なオカンが結婚し、100パーセント人間の兄と、半魚人で人間語が喋れない妹が生まれた。

ほんで、ある日突然、オカンが海へと去りました。

そして、都会に住むオトンのオバンが、孫の兄妹を、オトンを1人灯台に残して、引き取らはります。

でもしか、兄妹はオバンの家を出て、灯台へと戻るロードへ旅立ち…。

5
イヌやアザラシ、フクロウなど、優しくて人懐っこい動物キャラはモチ、みなはんの好感を呼ぶハズどすが、

妖精キャラも、善玉から悪玉まで、多彩に登場しはります。

でもって、兄妹と彼らのやり取りと交流やらが、いろんなシチュエートで展開しよります。

ある意味、複雑化しそうになる物語を、兄の妹救出とゆう、シンプルさをポイントに、スムーズに話を転がしてゆかはります。実にうまい。

エメラルド・グリーン、薄グリーン、薄ブルー、空のセピアなど、原色系とは違う、薄色タッチの配色で描かれるのも、ストーリーに合っておました。

そして、ラストで流れる、エンヤのような癒やしの歌が、映画のハッピー・エンド感をいや増しました。

夢見るような、極上の、アイル・アニメでおました。

2016年8月25日 (木)

「後妻業の女」⇒大阪映画の最新ケッサクや~

1
大阪ベタ映画の、久々の大怪作の登場でおまっせ~

大竹しのぶ、豊川悦司、尾野真千子らが弾けまくりやがな

http://www.gosaigyo.com

8月27日の土曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2016「後妻業の女」製作委員会

本作は大阪を舞台にした、大阪らしいベタベタなコッテリ映画どす。

ちゅうことで、ここで、メッチャ多い、そんな大阪ベタ映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をゆうてみますと…。

●ベスト⇒①浪華悲歌(なにわえれじー・1936年製作)②夫婦善哉(1955年)③本作

●カルト⇒①ブラック・レイン(1989年・アメリカ)②極道の妻(おんな)たち(第1弾は1986年)③岸和田少年愚連隊(1996年)

2
●大阪映画は、ヤクザ映画などで、メイン化したように思われがちやけど、

戦前から、溝口健二監督のベスト①など、

また、日本映画黄金期の1950年代にも、ベスト②などの、家族・夫婦映画の傑作が生まれておます。

不良少年たちのカルト③や、シリーズ化されたヤクザものカルト②など、

大阪らしさをストレートに、打ち出した作品もよろしおま。

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ほんでもって、もっと、もっと、大阪ナニワ節に、こだわった作品たち。

中でも、本作は、最近稀に見る、忌憚なきナニワ節に、酔いしれた作品やったな。

しかも、犯罪映画なんやけど、大阪映画にもその種の映画はあるけど、

例えば「黄金を抱いて翔べ」(2013年・弊ブログ分析済み)なんかと比べたら、

緊張感よりも、犯罪映画らしくないような、軽みの美学みたいなもんが、カンジられよりました。そんなとこもまた、大阪らしさや。

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ゆうまでもなく、演技陣がキレまくってはります。

関西人やない大竹しのぶの、モロ遺産目当てに、老人を騙す結婚サギを、やり続ける演技性の、トンデモない感。

不快感を超えて、悪役女優の粋を示す、これらの演技は、もはや本人の意識まで、超えとるもんやないやろか。

関西出身のトヨエツの方が、たじたじになっとるようにも見える、ウルトラワザやも。

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大竹しのぶを使って、シニア向け結婚サギを続ける、トヨエツも、かなりと気分の悪さを、助長する役やったけど、

彼らにテッツイを、下すべき演技陣もまた、決して正義の味方やありまへん。

探偵役・永瀬正敏は、脅迫まがいもやらはります。

尾野真千子ネーさんは、遺産を巡って、大竹しのぶと居酒屋で大ゲンカや。

本作の見どころの一つだす。

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タンゴなギター・サウンドとか、ベット・ミドラーの癒やしの名バラードやら、大竹しのぶのつたない歌など、

緩みとミスマッチを意識した、サントラ使いの妙も、ケッコーオモロかったですわ。

9
後妻業の遺産狙いの、結婚サギ犯罪ものとしては、かつても保険金サギなども含めて、イロイロある素材なんやけど、

本作の、最後までユルリとしたカンジは、まあ、かつてのこの種の映画では、あれへん感覚やろかなと、マジ思います。

8
表向きは「極妻」シリーズのタッチが、あるように見えながら、ミステリー的面白みを、イロイロ設定し、最後まで飽きさせない仕上がりになっとります。

また、ドラマ「ナニワ金融道」やらと共振する、ナニワ節の渋み。

そして、「極妻」の主演・岩下志麻と、本作の大竹しのぶの対比。

どちらがスゴイか、見てみてくださるんも、一興かと思います。

2016年8月24日 (水)

「ゆずの葉ゆれて」⇒水曜邦画劇場

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松原智恵子ネーさんの、メモリアルな作品や~

夫婦映画の、渋きラブ・ストーリーに、魅せられて…

http://www.yuzunohayurete.com

8月27日の土曜日から、エレファントハウスの配給によりまして、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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ⓒ2016グループ風土舎みすみぷろ

本作は、これまでに多彩に出てきた夫婦日本映画の、新生面を見せた作品どす。

老夫婦の夫が逝去。

そんな夫や妻が現世に戻ってきて、波紋を起こす映画とゆうたら、みなはんにも、

それなりに思い出す映画が、いくつかあるかと思います。

但し、本作はチョイと、テイストが違っとります。

さらに、そんな夫婦の物語を、主人公の少年の視点・ナレーションによって、

不思議快感なファンタジーなとこから、描いてゆくところもまた、新味がありました。

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少年家族の近隣に住む、血のつながりのない老夫婦・オジン(津川雅彦)とオバン(松原智恵子)と、少年の交流がいくつか出てまいります。

血族での祖父・祖母と孫の交流映画が、絶対的多数を示す中において、こんな設定もまた、新しいとこやろかと思います。

ほんでもって、オジンの死後、少年の前に、ヘンなコドモ少年が現れます。

ほんで、2人で一緒に遊んでるうちに、やがてそのコドモ少年が主人公少年に、あることを託してゆきよります。

作りはストレートなんで、このコドモは一体、誰なのかは、一目瞭然なんやけど、

むしろそれ以上に、なぜこの関係性での、キズナなのかとゆうとこにこそ、本作のミソがあります。

3
夫婦映画の新味以外に、少年物語の新味も加えたこの作りこそ、新しいのに、

逆に邦画クラシカルな雰囲気を、そこはかとなく伝えてくるような気が、ボクにはしました。

色あせたシーンとして紡がれる、夫婦の若き頃の出会いと、ラブ・ストーリーなとこも渋かったどす。

さてはて、本作は松原智恵子はんの、芸歴55周年記念主演作と銘打たれとりますが、

確かに、日活のアイドル時代と変わらない、柔和で優しいキャラクターには、ホッコリと癒やされる作りになっとりました。

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でもって、本作は鹿児島ロケを敢行した、地方ロケ映画でおます。

地方映画らしい、美しき自然描写がモチ、光っておます。

冒頭の、美しい緑の風景を映す、俯瞰撮影シーン、

夕景のセピアな空に加え、トンビが飛ぶ青空、鹿児島の祭り、

そして、ゆずの木の象徴的な使い方など、作品性に合わせた撮り方がよろしおます。

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さらに、サントラ使いも巧妙。

アコースティック・ギター、ピアノ、バイオリンなど、ホッコリをキーワードにした流し方。

加えて、最後に流れる、元(はじめ)ちとせネーさんの、ミディアム・ポップの心地よさ。ゆうことありまへんな~。

朝ドラ「おしん」の女優、小林綾子ネーさんの出演も、胸にきましたがな。

ちゅうことで、日本の地方ロケ映画の、充実ぶりを示す快作でおました。

2016年8月23日 (火)

フランス映画2「太陽のめざめ」

1
不良少年の更生までの物語

カトリーヌ・ドヌーヴが、メッチャカッコエエで~

http://www.cetera.co.jp/taiyou

8月27日のサタデーから、アルバトロス・フィルムとセテラ・インターナショナルの配給によりまして、テアトル梅田やらで、全国順グリのロードショー。

本作は2015年製作の、フランス映画119分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 LES FILMS DU KIOSOUE - FRANCE 2 CINEMA - WILD BUNCH - RIONE ALPES CINEMA - PICTANOVO

「めぐりあう日」に続き、女性監督によるフランス映画を、分析いたします。

本作は、不良少年の、ドラマティックな話になっとります。

そこで、不良少年ドラマの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露いたしますと…。

●ベスト⇒①忘れられた人々(1950年製作・メキシコ映画)②理由なき反抗(1955年・アメリカ)③不良少年(1960年・日本)

●カルト⇒①本作②シティ・オブ・ゴッド(2002年・ブラジル)③SWEET SIXTEEN(2002年・イギリス&ドイツ&スペイン)

3
●ベストは20世紀から、カルトは21世紀からの、作品になってまいましたが、

不良少年を描くスタイルは、今も昔も変わっておりまへん。

不良少年たちの集団心理で、グイグイ魅せるベスト①カルト②。

少年の不良性を、人間ドラマとして追求したベスト②③。

そして、更生への道を模索するタイプの、本作とカルト③。

中でも本作は、不良少年の更生への道を、緻密なタッチで描き込んだ、快作となりました。

5
少年(ロッド・パラド)の不良ぶりを、示すだけやありまへん。

更生するために、誠実で真摯な大人たちの、導きが必要どす。

そんな役に、カトリーヌ・ドヌーヴはんが扮しはりました。

「負」の演技性が、映画史に残る演技をば、示さはったドヌーヴはんが、

本作では、前向きな「正」の演技を、披露してはります。

少年を更生させるために、冷静沈着にしてあったか~く見守るその演技ぶりは、

偉大なる名女優の、晩年キャリアの新境地。グッときましたえ。

4
さらに、ブノワ・マジメルの、誠実極まりない演技性。

エキセントリックな役柄の多かった、マジメル・アニキの、これまた心境地でおます。

最後の最後まで、好感ある演技ぶりどした。

7
加えて、少年と矯正施設の人たちとの交流ぶりも、しみじみとした感動が、にじんでまいります。

静と動のバランス感も、注目に値しました。

カー・アクション、少年の怒りのシーンなどに対して、少年の更生シーンの、静かな展開ぶり。

対比効果によって、感動をいや増す仕上げが、心憎かったどす。

6
動的シーンでは、ワイルドなヒップホップを流し、

静かなるとこでは、ピアノやバイオリンでしっとり魅せる、サントラ使いにも目がゆきました。

ラストロールでも、癒やしのコーラス・ナンバーと、ダンス・ポップなナンバーを、対比させてみせてくれてはります。

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ほんでもって、印象的なラストシーン。

赤ん坊を抱いて去ってゆく少年の姿に、ボクは、

志村喬が捨て子を抱いて歩み去る、黒澤明監督の「羅生門」(1950年・日本)と、シンクロナイズいたしました。

とゆうことで、少年更生ドラマ映画の、最新ケッサクどした。

フランス映画「めぐりあう日」

1
韓国出身の女性監督ウニー・ルコントが描く、母娘の物語

傑作「冬の小鳥」の、大人バージョンと言える仕上げ

http://www.crest-inter.co.jp/meguriauhi

8月20日のサタデーから、クレストインターナショナルの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、8月27日から、シネ・リーブル神戸やらで、全国順次のロードショー。

本作は、2015年製作の、フランス映画104分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2015 - GLORIA FILMS - PICTANOVO

主人公やヒロインが、実のオトンやオカンを探す映画とゆうのは、

これまでにケッコーなタイトル数があり、

ドラマティックな感動のある映画もあれば、一歩踏み込んで、再会から始まる物語であったり、

親子のキズナが、決してポイントにならない映画もあります。

いわゆる、ストレート系ではない点において、本作は、

今の家族に事実を隠したがる白人オカンと、そんなことはもの怖じもせずに、実母に接する黒人娘の、キズナを巧妙に描いた「秘密と嘘」(1996年製作・イギリス映画)のような、爽快感がある作品だす。

2
とゆうことで、本作のオリジナリティーは、どこにあるんか。

実のオカンを探すヒロインは、一児のオカンどして、仕事は理学療法士でおます。

匿名出産で生まれたらしい土地へ、パリから引っ越してきはって、オカンは今…を探らはります。

ロードムービーで、実母を探すタイプの映画もあるけど、本作は、ピンポイントで、オカンがいる可能性の高い街へ、ヒロインは移住しはるんだす。

そして、偶然とはいえ、その場所で住むことで、あり得る偶然ちゅうことで、

疑問なくスムーズに、ストーリーは展開してまいります。

3
療法士のヒロインのとこに、患者として、息子が通う学校で働く、実のオカンがクルんでおます。

ヒロインと息子の2人で、偶然があるわけやけど、さほど気にはなりまへんどした。

偶然がドラマに与える効果とゆうのは、賛否両論があるやもしれまへんが、

偶然がドラマを推進し、やがて感動へと導くとゆうんは、実はよくあるところでおます。

オカンのいそうな街へ、引っ越してきたとゆうとこも、偶然・偶然を、カンジさせへんとこでおましょう。

4
患者と医者として、身体的触れ合いもある中で、ゆっくり母娘としてではなく、人間としての交流を結んでゆく過程は、

この種の映画の、新鮮味と申せましょう。

2人が母娘として、向かい合う時以上に、この過程描写は、映画的滋味を見せはるんだす。

5
さてはて、本作の女性監督ウニー・ルコントは、韓国生まれやけど、フランスの一家に養子として引き取られ、ほんで今に到ってはりまして、

自己の体験が濃厚に、反映するような作品を撮ってはります。

韓国の孤児院での体験を、映画化した「冬の小鳥」(2009年製作・フランス映画)は、評価も高かったけど、

本作は監督の第2弾でおまして、やはり自らの体験を、ヒントにした作品になっております。

ピアノとホーンが絡む、静かなサントラ使いなどで、粛々と展開していく物語は、やはり静かなエンディングを迎えます。

泣ける大仰な感動だけが、この種の映画の基本やありまへん。

ちゅうことで、ボク的には、カンヌ国際映画祭の最高賞をゲットした、先述の「秘密と嘘」に、迫る傑作どした。

2016年8月18日 (木)

「11 MINUTES イレブン・ミニッツ」⇒トリッキーな群像劇

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ポーランドのイエジー・スコリモフスキ監督の最新傑作

11分間のドラマを、トリッキーに着地させるパニック映画

http://mermaidfilms.co.jp/11minutes

8月20日の土曜日から、コピアポア・フィルムの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショー。

本作は、2015年製作の、ポーランド・アイルランド合作映画81分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2015 SKOPIA FILM, ELEMENT PICTURES, HBO, ORANGE POLSKASA., TVPSA., TUMULT

室内拘束劇の新味「アンナと過ごした4日間」(2008年製作・ポーランド映画)、

とことんな逃亡劇「エッセンシャル・キリング」(2010年・ポーランド)など、

ハリウッド映画的を、よりドラスティックに描いて、ココロに深く突き刺さる作品を輩出し続ける、

ポーランドの監督、イエジー・スコリモフスキの新作。

今作は、群像劇の傑作となりました。

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さて、ここで、群像劇の、洋画マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同・1監督1作としておます)を、披露さしてもらいますと…。

●ベスト⇒①ショート・カッツ(1993年・アメリカ)②バードマン(2014年・アメリカ)③アメリカン・グラフィティ(1973年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②戦火のかなた(1946年・イタリア)③パニック・イン・スタジアム(1976年・アメリカ)

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●群像劇の巨匠ロバート・アルトマンのベスト①や、

その群像劇を、より挑発的に描く、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ監督のベスト②。

そして、「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカスが描いた、青春群像劇の、ルーツ的名作のベスト③。

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ベストは、アメリカ映画ばかりになってまいましたが、

カルトは、群像劇をジャンル映画の中で、見事に映画的、あるいは映画エンタ的に、昇華した傑作揃いだす。

戦時下の人々を描くカルト②。

群像劇的を、パニック・ムービーにした作品の中からは、現代を予告するかのような、ライフル無差別殺人を描いたカルト②を選択。

そして、本作は、多彩な人たちの話を、トリッキーにスリリングに、収束してゆく語り口に、唖然とさせられた作品どした。

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多様なエピソードや、オムニバス的各話を、最後に一つの結末へと、着地させる映画とゆうのは、なかなか難しいもんがあります。

タランティーノ監督の「パルプ・フィクション」(1994年・アメリカ)などは、

いわゆる、各話をバラバラ、もしくは並行的に描いて、最後の最後でつなげてゆくわけやけど、

そのつながり具合や着地具合に、ハットトリッキーやディープ・サプライズが、あるのかどうか。

ボクはそのあたりを、評価のポイントにしとります。

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いずれにせよ、パニック・ムービーへと着地させる、本作のサプライズは衝撃的どした。

映画監督と女優、その女優の夫。

その三角関係図に、ホットドッグ売りや、バイクを走らせる若者たちなどが、どのようにリンクしてゆくのか。

並行的かつ謎めいたスタイルで、11分間の各人の話を、じっくりみっちりと、描いてゆかはります。

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教会の鐘・救急車・街の音などの、効果音の使い方。

街を俯瞰で映したり、航空機やシャボン玉などを、映画的構図の謎めきカットで挿入したり、

いろんなスカイプや、イヌ視点カットなど、迷彩度合いを増すカットの連続に、

一体、これから何が起こるんやろうかとゆう、ハラドキや緊張感を、いや増してゆくんだす。

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いくつもの話が最後には、一つになってゆく話の中でも、本作は、かなりの衝撃度合いがありました。

このインパクトを超える同種の映画が、ボクには思いつけまへんどした。

とにかく、今年のベストテン級ともいえる傑作です。

2016年8月16日 (火)

「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」⇒学園ものフランス映画

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オーソドックスなスタイルで、紡がれる学園もの

生徒の成長ぶりを、ポイントにした作品

http://www.kisekinokyoshitsu.jp

8月13日のお盆のサタデーから、シンカの配給によりまして、テアトル梅田、京都シネマ、元町映画館やらで、全国順次のロードショー。

本作は2014年製作の、フランス映画105分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ4 LOMA NASHA FILMS - VENDREDI FILM - TF1 DROITS AUDIOVISUELS - UGC IMAGES ANCE 2 CINEMA - ORANGE STUDIO

教師と生徒たちの、関係やキズナを、描くドラマとゆうのは、ドラマ映えしやすいとこがあります。

映画だけでなく、テレビドラマなども入れれば、みなさんもお気に入りの作品が、必ずあるハズのジャンルだす。

さて、ここで、洋画に限定して、その種の映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①蝶の舌(1999年製作・スペイン映画)②陽のあたる教室(1995年・アメリカ)③グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち(1997年・アメリカ)

●カルト⇒①本作②スクール・オブ・ロック(2003年・アメリカ)③暴力教室(1955年・アメリカ)

●ベストは、正統系のキズナものを、カルトはユニークかつ、ひとひねりしたもんを選びました。

偽教師と小学生たちの、ロックを通しての交流カルト②。

先生と生徒の対決カルト③。

そして、本作は、スポーツや部活ものやない、ありきたりやないものに、

教師と生徒たちが一丸となって、目指すとゆう作品になっとります。

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それは、フツーのコンテストやなく、ナチスが行ったアウシュヴィッツの虐殺を検証する、その内容の密度を競い合うもの。

反戦映画としての、ポイントもありながらも、この種のテーマは、学園ものとしては、特殊かつ異彩を放っとります。

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主人公の生徒役アハメッド・ドゥラメ君が、自らの体験を基にした実話系の話を、女性監督のマリー=カスティーユ・マンシオン=シャールと共に、脚本化したもんでおます。

そして、女教師役アリアンヌ・アスカリッドの、押しつけがましくない自然体の演技。

落ちこぼれ組を、コンテスト受賞へと導く、よくあるパターンのドラマやけど、

特殊テーマ性や、彼女の演技などによって、ドラマティックは抑制されつつも、静かな感動を呼ぶ作品になっとります。

8
また、主人公以外にも、生徒たちの群像劇ドラマとしても、映画は機能しとります。

喋らない男子生徒やら、非行少女なナイス・バディーな女生徒など、生徒たちのキャラも、ユニークで面白い。

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学園ドラマとして、授業シーンの多さにも目がいきました。

昨今の学園ものには、授業シーンがポイントになる映画は、まずありまへん。

教師が出てこない学園ものなども、頻出しとります。

でも、本作はあくまで学校の授業に、こだわった作りでいって、これまでにない度合いな、新鮮度は高いでおます。

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アウシュヴィッツを調べてゆく、生徒たちのダイジェスト・シーンなどの、リズミックな作りもエエし、

ギターやバイオリンもあるものの、ヒップホップをキーにした、サントラ使いもコンテンポラリー。

とゆうことで、教師と生徒たちの、学園ドラマ映画の最新傑作です。

2016年8月15日 (月)

「青空エール」⇒土屋太鳳主演作品

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「スウィングガールズ」と、野球青春映画がミキシング

「タッチ」の影響が、見え隠れする快作品

http://www.aozorayell-movie.jp

8月20日の土曜日から、東宝の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2016「青空エール」製作委員会 ⓒ河原和音/集英社

ただ今旬の、オリンピックや高校野球などのスポーツ選手と、

彼ら彼女らを応援するサポーターたちの、キズナを描いた、邦画学園青春映画どす。

ほんでもって、恋もあるとゆう内容。

ゆうならば、スポ根映画とサポーター映画の、混声二部合唱。

体育会系映画と、文化系部活映画のミキシングだす。

4
男であれ女であれ、体育会系であれ文化系であれ、部活動の生徒たちが活躍する、学園青春映画は、これまでに多数のタイトル数があるけど、

一方、彼らを応援する側も等しく、あるいはメインに近い感じで描く映画は、さほどありまへん。

サポーター側としては大いに際立つ、「嗚呼!!花の応援団」シリーズ(1976年~1977年製作・全4作)が、破天荒でオモロかったけど、

「スウィングガールズ」(2004年)やらのブラスバンド部が、自分たちの演奏ぶりを披露するだけやなく、

高校野球の応援演奏にも、積極的に参加するとこにこそ、このタイプの映画の新味・妙味があります。

5
男子スポーツ選手と、女子サポーターのキズナ、あるいは文化系、もしくは淡い恋を描く映画でおまして、

その種の学園映画は、21世紀になって以降、東宝映画が圧倒的なチカラワザを見せてはります。

「ウォーターボーイズ」(2001年)などを皮切りに、チョー活性化。

今やノリノリの、活況を呈しておます。

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ほんでもって、アイドル映画系のノリどす。1本の映画で、男女アイドルを、同等に描く映画もあるけど、本作は女性アイドルの方がメインや。

前田敦子主演「もしドラ」(2010年)やら、今年では広瀬すず主演の「ちはやふる」など、ケッコー出てきとります。

モチ、東宝系でゆうたら、長澤まさみネーさん主演の、学園映画も、その種の映画に当たるでおましょう。

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本作は土屋太鳳ちゃんが、活躍しはります。

国民的女優になるための、現代のキーワード・朝ドラを経て、映画に帰ってきただけに、そのアイドル性は強靭。

朝ドラ的演技の好感度を意識した演技は、当然今回も健在どした。

甲子園を目指す同級生の野球選手(竹内涼真)を、ひたむきにトランペットで応援しようとする姿には、新鮮な魅力を覚えました。

また、彼へのコクリも、こっちからどす。積極果敢・前向きな女の子。

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さらに、東宝系では「スウィングガールズ」の代表傑作がある、上野樹里ネーさんが、

本作では、教師・吹奏楽部顧問役として出演しはります。

コメディエンヌな「スウィングガールズ」より、メッチャマジ演技。ネーさんの新生面を見せてくれてはります。

加えて、志田未来ちゃんなんかも、好感ある演技ぶりで、魅せてくれはりました。

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さてはて、本作はコミック原作どす。

「タッチ」(2005年)などに、影響を受けてるやろかと、ボクは見ました。

高校野球としては、定番かもしれへんけど、夏の甲子園を目指すとゆうスタイルや、

それをブラバンで、応援するとゆうところは、かつてありそうでなかった展開の、青春ものやないでしょうか。

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三木孝浩監督作品だす。

彼のアイドル映画的作品性については、「アオハライド」「ホットロード」(共に2014年)などで弊ブログで分析しとりますが、

特に、女優の好感あふれる演技の引き出しぶりは、メッチャうまい。

そして、本作は、学園アイドル映画のお手本とも言える、快作となった1本でおました。

2016年8月12日 (金)

桃井かおり監督・主演「火 Hee」

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桃井かおりの、アンニュイなけだるい感が戻ってきたで

ヒロインの犯罪心理を、メッチャ緻密に表現や

http://www.hee-movie.com

8月20日の土曜日から、KATSU-doの配給によりまして、東京・シアター・イメージフォーラムやらで、9月10日から大阪・第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショーだす。

本作は、2016年製作の日本映画72分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⓒ吉本興業/チームオクヤマ

桃井かおりネーさんの、独壇場とも言える作品でおます。

ちゅうことで、そんなネーさんの、女優としての、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露させてもらいますと…。

●ベスト⇒①青春の蹉跌(1974年製作)②木村家の人びと(1988年)③われに撃つ用意あり(1990年)

●カルト⇒①本作②もう頬づえはつかない(1979年)③赤い鳥逃げた?(1973年)

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●女優・桃井かおりとしては、1970年代がマイ・ベストだす。

マジな演技「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)とか、「神様のくれた赤ん坊」(1979年)があるかと思えば、

ベスト①カルト②③に代表されるような、アンニュイでけだるい演技が、

メッチャ・オリジナリティーがあり、ネーさんにしかできない演技性どした。

その演技の段差に加え、1980年代以降は、岩下志麻と渡り合った悪女役「疑惑」(1982年)、

原田芳雄と共に、団塊の世代(全共闘世代)の心意気を、示したベスト③など、

作品性に合わせた、思わずうなる演技を、披露し続けてきはりました。

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そして、ネーさんは今や、映画監督にも挑んではります。

監督第1作「無花果(いちじく)の顔」(2006年)では、アンチ家族映画を撮り、ベルリン国際映画祭で賞をゲット。

そして、本作の監督第2弾では、女性犯罪者に自らが扮し、その心理のビミョーなイロイロを、演じ抜かはった作品だす。

犯罪ヒロイン映画は、アクション映画を含め、多彩なバージョンがありますが、

本作では、ヒロインのアップを多めに、長ゼリフを多投し、精神科医と対峙するとゆう、シーンが頻出しておます。

ヒロインの心理の謎に、迫る映画ちゅう、ミステリアスなカンジやろか。

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ボク的には、日本未公開の「香港コンフィデンシャル」(2010年・香港・弊ブログ分析済み)以来、桃井ネーさんの主演・出演作品を見ましたが、

彼女は常に新味ある演技を、見せてくれてはります。

でもしか、本作では、かつての持ち味・けだる感が、戻ってきたようなとこも、見え隠れしておました。

芥川賞作家の中村文則の、小説を原作にしてるけど、

あくまで本作は、犯罪心理を、桃井かおりの独特の解釈と、独壇場で描いたカンジでおましょうか。

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男性精神科医とヒロインの、セラピー・シーンや、その2人の絡みシーンの謎めきなとこらが、不可思議を増す作品であると共に、

ヒロインの複雑怪奇な心理を、桃井ネーさんの緻密な演技によって魅せてゆかはります。

ヒロインの心理は、最後までファジーではあるけど、

癒やしのギター・サントラなどの、ミスマッチ感で、妖しの雰囲気は最後まで持続します。

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原作小説はヒロイン・女主人公が、喋り続ける話なんやけど、その作りや作品性は、本作でもカンジられました。

放火を犯して、精神鑑定中の身。

そして、過去の数奇な運命を語るとゆう、物語るスタイルは、監督・女優・桃井かおりによって、演出され演技されとります。

それでも、彼女のワンマンなカンジはしまへんどした。

桃井かおりの、映画作家性をさらに、追求しようとするところが、如実に反映されとる作品やったと思います。

2016年8月11日 (木)

カンボジア映画「シアター・プノンペン」

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映画メイキング映画の、新たな地平とは?

紛失したフィルムを、新たに撮り直すとゆう試みは、果たして?

http://www.t-phnompenh.com/

8月13日のお盆のサタデーから、パンドラの配給によりまして、シネ・リーブル梅田やらで、9月3日から神戸・元町映画館、9月10日から京都みなみ会館で、全国順次のロードショー。

本作は、2014年製作の、カンボジア映画105分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ⓒ2014 HANUMAN CO. LTD

カンボジアは、1975年から1979年にかけて、ポル・ポト政権下で、人々を惨殺する暗黒時代があった。

「クメール・ルージュ」とゆう組織がやったんやけど、

そんな時代を振り返ったドキュメンタリーが、2作作られました。

そして、ドラマ映画として作られたんが、本作でおます。

当時、傑作が数多く作られてきた映画界も、悲劇に見舞われました。

映画フィルムが大量に没収、廃棄されたんでおます。表現の自由なんてありまへん。

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そんな時代に作られた映画の今・運命を、本作は描きます。

「長い家路」とゆう、王子と仮面の男と村娘の、三角関係を描くラブ・ストーリーだす。

映画館主は、その映画を、誰も観客がいないのに、映画館でかけてはります。

ヒロインが映画館に紛れ込んで、その映画のことを知り、そして、フィルムの結末部が、紛失しているのを知らはります。

しかも、映画のヒロインは、ヒロインの若き頃のオカンでおました。

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ほんでもって、映画館主が映画監督になって、その紛失部を、ヒロインとその彼氏を、新たにキャスティングして、撮り直そうとしはるんだす。

いわゆる、映画メイキング映画のノリでおます。

でもしか、そんな中で、この「長い家路」の、当時の製作時にまつわる、映画監督・主演男優・主演女優に絡む、

三角関係の謎が、メイキングと共に、徐々に明らかになってゆくとゆう展開どす。

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映画メイキング映画はザラにありますが、

そこに、製作・俳優陣にまつわるラブ・ストーリーを、時代を背景に仕込むとゆうのは、2重に2倍にオモロイ、とゆうところがあるように思えます。

でもしか、過去の恋愛と、メイキング映画の内容を重ね合わせるとゆう手法は、かなりと難しい、高等ワザやないかと、ボクは思うんだす。

えてして、わざとらしさや、あざとさが見え隠れしてまいます。

ヒロインが過去のシーンを見るシーンなども、そのままやん、ちゅうとこがありましたやろか。

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でも、本作は、カンボジアの過去の膿も同時に描くので、作家性よりも、社会性の方が、色濃く反映されとるんで、

ストーリーに緩みや甘さがあったにしても、ある程度は許されるんやないやろか。

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本作は、映画メイキング映画の、マイ・ベスト&カルトでゆうたら、カルトに入る作品やろけど、

ヒロインのマー・リネットちゃんには、アイドル的にも魅了されました。

映画が完成し、映画が上映される前に、舞台挨拶するヒロインのトークは、この流れの中においては、ある種感動的どした。

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カンボジアの女性ポップス、男性歌手の哀愁に満ちた歌など、歌ものサントラ使いもドラマティック。

映画に未来があるとゆう本作の視点は、何よりも良かったと思います。

2016年8月10日 (水)

「ラサへの歩き方 祈りの2400km」⇒中国映画

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真摯な巡礼の集団ロードムービー

祈りへの思いが、しみじみとココロにクル作品

http://moviola.jp/lhasa

8月13日のお盆のサタデーから、ムヴィオラの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショーだす。

本作は、2015年製作の、中国映画115分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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チベットの宗教の聖地ラサへの、親戚一同ファミリーの、巡礼のロードを描いた作品でおます。

かつてのイタリアの、ネオ・レアリスム映画のように、演技素人をキャスティングし、

実際に巡礼をする人々の姿のように、素のままに捉えた、

ドキュメンタリー的手法による、ドラマ映画だす。

ドキュとして見ても、エエ映画どした。

3
さてはて、本作の監督の名前を見て、ボクはオッときました。

監督で作品を見るとゆう鑑賞法は、マニアックな映画ファンの間では常套化しとりますが、

本作のチャン・ヤン監督は、これまでの作風を、変えたようなスタイルでいってはるように見えつつも、

作品性はあくまでも、過去の作品群と通底しとりました。

4
オムニバス仕様で、ココロほのぼのになる「スパイシー・ラブスープ」(1997年)、

親子のキズナを描く「こころの湯」(1999年)、

癒やしのシニア映画「胡同(フートン)のひまわり」(2005年)など。

全ての映画に通じる、キー・ワードは「癒やし」やと思います。

そして、本作では、巡礼へと向かう人々のひたむきさ、神への思い、祈りへの思いが、

押しつけがましくなく描かれて、胸にきよりました。

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全員が、歩いて、手に入れた石を叩いて、地に伏して、祈っての連続動作を繰り返して、前へ前へと進んでゆきます。

最初は違和感のあった動作やったけど、それがとことん最後まで繰り返されるんで、

これがロードムービーの、リズムなるもんを形成してまいります。

ロードムービーの傑作は多々あれど、こおゆうのんは初めてや。

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この動作の反復こそ、祈りとは何かを、しみじみと考え、巡らせるファクターになっとります。

ロングショットで捉えられる、美しい自然風景、山河名水、空の様子なども、

目に優しく、しみじみとフックを加えはります。

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みんながラサにたどり着き、さらにその向こうの山へと向かっていき、

祈りへの思いは、さらにさらにと、深まりを見せてゆきよりますが、

おじさんが死亡したりとゆうトラブルもあり、波乱あるストーリー的流れにもなっとります。

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山に入ると、薄ブルー・トーンになったり、

長回し撮影の使い方、遠近感ある構図・ロングショットの映画的ショットの数々など、

映画的作りにも、こだわった映画でありました。

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チベットの人たちの宗教観が、反映された作品のように見えながら、なぜか癖になりそうな、不思議な作品でおました。

お経的ラストロールのサントラなども、不可思議さを増してゆきました。

いわゆる、祈りの不思議、奥ゆかしさ、

で、そんなカタチのないものへと、思いを馳せる人々の念に、

ココロが静かに揺さぶられる作品。

何とも言えない、癒やしの作品。

そうとしか言えない、爽快作です。

2016年8月 9日 (火)

「ジャングル・ブック」⇒ディズニーのアニメ実写映画

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ディズニー・オリジナル・アニメの、初めての実写作品

松本幸四郎、宮沢りえ、西田敏行ら声優陣も豪華

http://Disney.jp/JUNGLEBOOK

8月11日の「山の日」から、ディズニーの配給により、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⓒ2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

野生の中で、動物に育てられて成長した、人間の少年の物語だす。

実話では、あんましないし、いかにもフィクションでこそ映える素材どして、

これまでには、「ターザン」(第1弾は1918年製作・アメリカ映画)とかがあるものの、

アニメやらでこそ、野獣と少年・少女のキズナが、描かれるもんやったけど、

CG・VFXの技術革新で、合成映像がスムーズに、描かれることと相なりました。

そやから、ウォルト・ディズニーの遺作となった、本作の元ネタのアニメやけど、

主人公の少年だけを実写にして、動物たちとの絡みが、違和感なく紡がれることになっとります。

2
忌憚なく言いますと、コドモ向きの映画でおましょう。

黒ヒョウ(声=松本幸四郎)が人間の赤ん坊を、オオカミたちに託して育て上げはります。

オオカミの仮のオカン(宮沢りえ)は、ホンマのオカンとして、人間コドモを育てた。

ほんで、人間に敵対を示すトラ(伊勢谷友介)がいて、そのコドモを妖しく殺そうとする、大蛇なんかもいて、

彼をギブ&テイクで、助けようとする大熊(西田敏行)がいてる。

動物にメッチャ親しみを覚えるコドモはんらが、感情移入して見られる映画ではあるんやけど…。

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その内実は、やはり、弱肉強食でシビアなドラマ、とゆうとこらがあります。

人間の少年1人と、野獣たちのキズナとゆうカタチで、物語を紡ぎ、ハッピー・エンドでシメるためには、

コドモたちの誤解を、招かないようにせんといけまへん。

あくまで、これはウソの話だす、ちゅうカンジで紡ぐ必要があります。

そのあたりは、オトン・オカンに任せるとして、

でもしか、本作は、人間のコドモが、動物界をリーディングするとゆう意味では、

コドモたちに影響を与える、ヒーロー・ドラマであります。

3
大人の鑑賞ぶりから言いますと、日本吹き替え版やけど、松本幸四郎、宮沢りえ、西田敏行など、

動物声優を演じる女優・俳優たちの、柔軟な声の演技に魅せられつつ、

主人公の運命を、ハラドキで見られる映画でおました。

コドモ向けとゆうか、ファミリー向けの映画であります。

家族一同で見に行って、楽しんでくだされ。

但し、コドモたちには決して、誤解なきように願います。

主人公のマネなんか、動物園などで絶対したらアカンで~。

4
そういう大人の杞憂を抜きにして、本作は、ボク的にはノリノリで楽しめました。

サントラもよかった。

ビッグバンドな歌ものが、ノリノリを助長してはりますし、ラストロールのアンニュイな、スロー・ナンバーも渋くキテます。

ディズニーの勢いを示す、娯楽作品どした。

2016年8月 6日 (土)

「ルドルフとイッパイアッテナ」⇒アニメ邦画劇場

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かつてない擬人化ネコ・アニメの会心作

ネコが言葉を、覚えるとゆう新しさは絶品

http://www.rudolf-ippaiattena.com

8月6日の土曜日から、3D/2D同時公開で、東宝の配給により、全国イッセーのロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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(C)2016「ルドルフとイッパイアッテナ」製作委員会

ネコ映画は、これまでに、イロイロ出てきました。

実写映画を抜きにして(VFX映画メインの実写はOK)、本作のようなアニメ映画で、マイ・ベスト・スリーを、順不同で言いますと…。

①本作②猫の恩返し(2002年製作・日本映画)③キャッツ&ドッグス(2001年・アメリカ)

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●実写のネコ映画を作るのは、メッチャ難しいやろな。

けども、アニメやったら、なんとかなるやろかと思われつつも、

普遍的なものを作るのは、難易度は高いと、ボクは思います。

別にネコが気まぐれやとか、そういうのではありまへん。

ネコをヒューマニズムに描いた点において、②はディズニーにでもできなかった快作。

ネコ対イヌでやったVFX実写版③も、ハリウッド・エンタ的には、オモロイ仕上がりぶり。

8
でもしか、本作はディズニー的擬人化は、当然やけど、

ヒューマニズム性がとびっきりに増した、仕上がりになっとりました。

つまり、ネコたちは、もはや人間と一緒なんでおます。

しかもでんな、人間の言葉まで覚える、ボス・ネコの習性が、

トンデモナイ次元にまで発展した、ネコ映画どす。

4
ネコが人間語を知るやなんて、そのあたりを、できるだけリアリティーあるカンジで、見せるとこやらを見るに、

ネコ擬人化映画の、かつてない知性と大胆さを、兼ねた映画やと申せましょうか。

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家から出て、長距離トラックの荷台に乗ってしまい、地方から東京へ出てしまった、黒猫のルドルフ。

街のボス・ネコと出会います。

いろんなエサをもらう人から、いろんな名前で呼ばれるんで、

ルドルフから名前を聞かれて「イッパイアッテナ」と答えはります。

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ボス・ネコは、ルドルフをイロイロ面倒みはります。

2匹でいろんな人から、食い物をもらいにゆく、軽快なダイジェスト・シーンは、本作をリズミックにしはります。

でもって、ネコ3匹とメスネコ、ほんで、敵対するブルドッグイヌ。

彼らのキズナ・ドラマが、2匹をメインに、展開してゆく作りだす。

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友情部やらは、コドモにも分かりやすく、モノゴッツーシンプルな作りでおます。

「ポケット・モンスター」や「妖怪ウォッチ」などの、キズナぶりと比べても遜色なし。

いや、むしろ人が介在しないだけに、より感動的やも。

その意味では、ディズニーの最新作「ファインディング・ドリー」(2016年・アメリカ・弊ブログ分析済み)にも似た、感動があるやもしれまへん。

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ネコと人間やったらまだしも、ネコ同士のキズナ映画とゆうのは、ほとんどないとゆうてもエエでしょう。

それが、ボス・ネコとルドルフの間で、ディープに描かれてまいります。

また、そのほかのネコ、そして敵対するイヌとの間にも、キズナが広がってゆきよります。

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ルドルフの声は、井上真央のネーさん。ウーン、かわいいし和みもある。

ほんで、ワイルドな鈴木亮平、変幻の八嶋智人など、ネコの性格に合わせた、絶妙な声使いでいってはります。

特に、八嶋智人の声は、オモロクて、ココロにネバネバしてきよるわ~。

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ラストロールでは、back numberのポップ・ナンバー「黒い猫の歌」が流れます。メッチャマジを、カンジました。

ファミリー映画やし、コドモにも通じるんやけど、大人へも、前向きに生きてゆくことを伝えてでんな、

ありきたりな表現でスンマヘンが、ホンマ、元気がもらえる映画どしたえ~。

2016年8月 5日 (金)

「いしぶみ」⇒綾瀬はるか主演・是枝裕和監督作品

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戦争ドキュメンタリーの、画期的な1作だ

綾瀬はるかの淡々とした朗読が、ココロに深々と突き刺さる!

http://www.ishibumi.jp

8月6日の土曜日から、広島テレビの配給によりまして、大阪・第七藝術劇場で、8月13日から、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらで、全国順グリのロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

(C)広島テレビ

戦争ドラマ映画は多数あるし、また戦争ドキュメンタリー映画も、これまでに数多く作られてまいりました。

但し、広島原爆ものドキュとゆうのは、

ドラマ的作りで衝撃を、ある程度緩和した上で、後世に伝えるべくとするのが、よしなのか分かりませんが、

あまりないように、ボクは思うんだす。

でもしか、映画に限定せずとも、テレビやらで、いくつも広島原爆ドキュは作られてきました。

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そして、本作は、1969年に広島テレビでオンエアされた、ドキュメンタリー「碑」(いしぶみ)のリメイクでおます。

残念ながら、ボクはそのドキュを見てへんねんけど、

今作の綾瀬はるかネーさんが、朗読で語るところを、

演技派の名女優・杉村春子が担当し、ほんで、かなりとココロにクル作品やったらしいです。

でもしか、本作もまた、かなりとキマっせな、仕上がりになっとります。

綾瀬はるかネーが、原爆で死んだいろんなコドモたちの、死亡にいたるまでの様子を、淡々と語ります。

彼女は涙を一切見せずに、淡々と朗読してはるだけに、

観客はむしろ逆に、泣けてまうような作りなんでおます。

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こおゆう泣ける反戦映画とゆうのは、ドラマ映画でこそ伝えられるもんやと、思とったボクには、ある種衝撃的でもありました。

死んだ彼らの言葉を、ただ読むだけなんどす。

はるかネーの横では、映画スタッフが、死んだ生徒の写真を掲げて映すために、動いてはる様子も捉えてはります。

また、池上彰はんが、当時を生き延びたり、知る人たちへ、インタビューも敢行しはります。

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八ミリなモノクロ映像の多様、弦楽オーケストラでのサントラ的ドラマティックなど、

女優・綾瀬はるかの心理的演技と、映画的に揺さぶるファクターが、巧妙に静謐にシンクロナイズしてゆきます。

うーん、この映画的空間は、渋くて泣けます。

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監督は是枝裕和はん。

ドラマ映画で名声を馳せてはりますが、実は是枝監督は、もともとはドキュメンタリー畑の監督どして、

快作をいくつも、ものにしてきはった監督はんでおます。

「海街ダイアリー」(2015年製作・弊ブログ分析済み)での縁で、綾瀬はるかとのコラボレートに、なったんかもしれへんけども、

本作は、「海街ダイアリー」と勝るとも劣らない、感動作になっております。

監督の、今年公開された新作「海よりもまだ深く」(2016年・ブログ分析済み)よりも、深みありどすえ~。

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地方テレビ局が製作するドキュメンタリー映画が、このところ頻出しとりますが、

その種の映画のベスト・カルト・スリーやらも、そろそろ披露したいところどすが、

披露するまでもなく、はっきり言いまして、本作はかなりと断トツの、マイ・ベストワンでおます。

戦争ドキュとしても、これ以上の作品は、今後出てこないんやないかとも、思えるような出来でおました。

みなはん、ぜひ見てみなはれ。間違いなく、ココロに残る傑作です。

2016年8月 4日 (木)

「西遊記 孫悟空VS白骨夫人」「モンスター・ハント」「ドラゴン・クロニクル 妖魔塔の伝説」

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中国映画の最新エンターテインメント作品が、3作品も上陸しまっせ

中国のハリウッド映画的を示す、快作揃いやで~!

http://asian-selection-movie.com

特集上映「2016夏の香港・中国エンターテイメントまつり」として、8月6日の土曜日から、ツインの配給によりまして、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで、全国順次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

(C)2016 FILMIKO FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

(C)2015 EDKO FILMS LIMITED. DREAM SKY PICTURES CO. LTD, SHENZHEN TENCENT VIDEO CULTURE COMMUNICATION LTD, TEYI PICTURES CO,. LIMITED. BEJING UNION PICTURES CO., LTD, ZHEJANG STAR RIVER ARTSTE MANAGEMENT COMPANY LIMITED. SANLE FILMS LIMITED. ZHEJANG FILMS & TV (GROUP) CO. LTD,.EDKO(BEJING) FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

(C)2016 CHINA FILM CO., LTD. DREAM AUTIOR PICTURES(BEJING) CO., LTD. LE VISION PICTURES(BEJING) CO. LTD. All rights reserved

●「西遊記 孫悟空VS白骨夫人」(写真上から4・5枚目)

西遊記映画は、これまでに、多彩に描かれてまいりました。

でもしか、総じて、原作に縛られたカタチで、描かれる映画が、多かったように思いますが、

本作は、白骨夫人(コン・リー)とゆう存在に注目し、

孫悟空(アーロン・クォック)と、白骨夫人や巨人骨モンスターを、対決させるのんを、クライマックスにして展開する、

ハイパーなCG・VFXアクションになっとります。

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トラやドラゴンから、三蔵法師を助ける、孫悟空のシーンから始まります。

孫悟空役は、1990年代に言われた「香港四天王」の1人、アーロン・クォックのアニキどす。

カッコイイ・アクションを、いくつも披露してきはりましたが、モチ本作でも健在やけど、

いやはやむしろ、正統系を外すようなアクトを、面白おかしく披露。

中国エンタメ・アクションは、初出演とも言える、コン・リーのネーさんとのバーサスは、

ダークな色使いとも相まって、ハリウッド映画並みの、ハットトリックで魅せてくれはります。

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●「モンスター・ハント」(写真上から6・7枚目)

アニメ「妖怪ウォッチ」(2012年製作・日本映画)以上に面白いわ~な、実写特撮妖怪ものだす。

妖怪バーサス人間を、ポイントにしつつも、人間と妖怪のキズナも描くとゆう、仕上げでおます。

妖怪女から託されて、人間男の主人公(ジン・ボーラン)が妖怪を産み、女妖怪ハンター(バイ・バイホー)と共に、

その妖怪コドモを、妖怪たちから守る戦いの中へ。

実力派女優タン・ウェイも出てはります。

ほんで、「シュレック」(2001年・アメリカ)やらのイメージもある、

妖怪キャラのイロイロにも、魅了される作品になっとります。

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最後には、中国的による、妖怪ミュージカルまで披露。

これまでの中国映画イメージにはなかった、トンデモ・エンタなカンジが、ディープ・インパクトどした。

中国本国で、歴代興行成績のナンバーワンを樹立しただけに、

ファミリー・エンタとしても、極上の仕上がりやと言えましょう。

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●「ドラゴン・クロニクル  妖魔塔の伝説」(写真上から8・9枚目)

今回の3作の中で、ボク的には、イチバンオモロかったんが、本作でおました。

洞窟調査隊の洞窟探索で、人を燃やすコウモリの群れに続いて、なだれパニックに遭い、

そして、恐るべきドラゴン・モンスターに遭遇。

ヒロイン(ヤオ・チェン)が、ドラゴンにさらわれてしまいます。

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それから3年後。生きてるヒロインが、発掘された古箱から見つかります。

彼女は昔のままの彼女なのか。当初は分かりまへん。

でもしか、主人公(マーク・チャオ)が、昔のままの彼女だと察知。

ドラゴンたちとの最終対決へ、2人を含むチームを組んで、砂漠の廃村・石油村へと向かうんだす。

砂嵐パニックをはじめ、モンスターたちとの一大決戦が、ものすさまじいカンジで、繰り広げられます。

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ハリウッド映画的中国映画の、最高傑作やないやろか。

1人パニック・ムービーの傑作「ココシリ」(2004年・中国)の監督、ルー・チューアンの新作。

「ココシリ」が、大作になって帰ってきたかのような凄みに、

圧倒されまくりの作品でおましたえ。

2016年8月 3日 (水)

「フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク」

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ニューヨークの写真家アーティストを描いたドキュメンタリー

モノクロ・メインの人物像写真のオン・パレード

http://akarifilms.co

8月6日のサタデーから、Akari Filmsの配給によりまして、シアター・イメージフォーラムやらで、全国順次のロードショー。

本作は、2013年製作のアメリカ映画83分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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(C)2013 Aldayeveryday

さてはて、アーティストを描いたドキュメンタリーの、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①ある映画監督の生涯 溝口健二の記録(1975年製作・日本映画)②掘る、棟方志功の世界(1975年・日本)③歌舞伎役者 片岡仁左衛門(1992年・日本)

●カルト⇒①本作②イヴ・サンローラン(2010年・フランス・弊ブログ分析済み)③パリ・オペラ座のすべて(2009年・アメリカ)

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●この種の映画では、日本が各国をリーディングしとると、ボクは思います。

世界的な日本の映画監督のベスト①、盲目の画家のベスト②、カブキを突き詰めたベスト③など、

ドキュとして、深堀りした内容が強烈どした。

一方、洋画ドキュは、どちらかとゆうと、ファッショナブルなセンスで、魅せてくれはります。

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ファッション界の偉人を描くカルト②、バレエの殿堂を、絶妙に描いたカルト③、

そして、ニューヨークのイロンナ人物を捉えた、イロンナストリート写真家の、創作の秘密を捉えた本作。

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モノクロを中心とした、多彩な人物写真の妙に、ココロ魅かれましたえ。

しかも、街に出て写真を撮ってゆくだけに、意外性のある写真が、いくつも作られたんでおます。

その創作の極意を、多様に紹介してまいります。

ジャズのアドリブと同じ感覚とか、地下鉄に魅せられて、乗客を捉えたりしはります。

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セレブを捉えたもんもありまっせ。

バスキアやウォーホルやら、ヒップホップの祖・ランDMCやら。

さらに、「人間活動の交差点」だとゆう、イロンナ街の人々だけやなく、

ありし日のツイン・タワーなども捉えて、哀愁を誘うカットもあります。

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日常の異常性を追求した、ダイアン・アーバスの撮影術などの分析もあり、

ハンパやない写真家の実像も、披露されてゆきます。

いやはや、まさに、深掘り分析での、写真家と作品へのアプローチ。メッチャ感心いたしましたえ。

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サントラ使いの多彩さにも、魅了されましたんどすえ。

ノリノリのファンキーなナンバー、ギター・ロック・バンド・サウンド、

エレクトーン・キーボード・ピアノなどの、柔和なメロディック・サウンド、エレクトリックなリズミック・ナンバー…。

ホンマ、メッチャノリが良かったどすえ~。

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ニューヨークの街を描いた映画としても、ドラマ映画以上に、ビビッドにクル作りになっとりました。

大げさかもしれへんけど、ある意味、NYの現状をバックにした、歴史的傑作「タクシードライバー」(1976年・アメリカ)にも、

迫りくるような作りやったと、言えましょうか。

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ニューヨーク・ドキュメンタリーの、画期的な1作。

渋通映画ファンに、おすすめの1作でおました。

2016年8月 2日 (火)

「ラスト・タンゴ」⇒ドキュメンタリー

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タンゴ・ペア・ダンサーの真実の物語

ドラマ的にも展開するスタイルで

http://last-tango-movie.com/

7月30日からテアトル梅田やらでロードショー中。

本作は2015年製作の、ドイツ&アルゼンチン合作の85分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2(C)WDR/Lailaps Pictures/Schubert International Film/German Kral Filmproduktion

実在の一世風靡した、男女ペア・タンゴ・ダンサーを、描いたドキュメンタリー映画どす。

共に引退してもうた現代から、過去を振り返るカタチで展開。

若い頃の2人を、別の男優・女優が演じて、ドキュやない、ドラマ部的も静かに展開します。

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その意味では、ドキュ的作りよりも、ドラマ的な部分に、どないしても目がいってまう。

但し、マリアとフアンの男女ペアのストーリーは、現代の2人の談話やインタビューをポイントにしもって、

過去を振り返るとゆう構成どして、ドラマ・ドキュに関わらず、

ある意味、オーソドックスな作りといえば、そういう作りではありまんねん。

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ただ、ヒロイン・マリアが、過去を振り返るシーンは、

ドキュ的作りなのに、ドラマティックなとこが、いくつかありました。

何しろ、マリアのコメントには、イロイロなドラマがあり、

対して、男側のフアン・カルロスは、現代の地味な発言があり、過去もそないダイナミックやありまへん。

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でもしか、2人のパートナー・シップや、ダンスへの想いは、話が展開する中で、しみじみとココロに、クルもんがありました。

過去のモノクロ写真やら、ザラついた映像。

若い時分のドラマ部は、セピア照明をメインにシブミを出し、多彩に過去を描出。

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ドキュ的には、発言だけに終わりそうなとこを、できるだけドラマティックを意識しながら、作られとるような映画でおました。

マリアの発言は、フアンの発言以上に、濃密で具体的、ビビッドどした。

そして、過去の映像と共に、驚きや感動があります。

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クイック・モーションと、スロー・モーションの使い方の妙味。

ゆったりのエレキ・ギターなんかを使いつつも、タンゴ・サウンドにこだわったサントラ的作りも、

なるほどな~と、納得させてくれはります。

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1948年から1950年の、マリアのアトランタでの記憶描出。

ブエノスアイレスの古今の風景。

呪いながら踊っとったとゆうマリア。

最後の日本公演。ほんで、公演後のマリアの、最初で最後のスピーチ。

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眉をしかめるフアンに対し、「私は私なの」とゆうマリア。

2人の再会シーンは、果たしてあるんかどうかも、ハラドキで見てくだされ。

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マリアが少なくとも、5回は見たとゆう「雨に唄えば」(1952年製作・アメリカ映画)など、映画的引用もあり、

ダンス・シーンは、メインにはないけども、オモロイ・ダンス・シーンは随所にあります。

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タンゴ・ダンサーの話は、ドキュでもドラマ映画でもありますが、

本作は、ダンサーの心理に食い込んだ、ヒロイックなドキュ映画になったかと思います。

愛とか恋とかやない、ペア・ダンサーの、ビミョーな心理を描いた快作品どした。

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