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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2016年6月の記事

2016年6月30日 (木)

「アリス・イン・ワンダーランド ~時間の旅~」⇒シリーズ第2弾

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アリス役ミア・ワシコウスカちゃんが、マッドハンター役ジョニー・デップのために

歴史を変えるための、タイムスリップの冒険へ

http://www.Disney.jp/Alice-Time

7月1日のフライデーから、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

(C)2016 Disney All Rights Reserved.

本作は、まぎれもないファンタジー映画でおます。

昨日分析した「ウォークラフト」でも、一部分析しましたファンタジー映画やけど、

そんな映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに披露いたしますと…。

●ベスト⇒①ロード・オブ・ザ・リング(2001年~2003年・アメリカ映画)②オズの魔法使い(1939年・アメリカ)③風の谷のナウシカ(1984年・日本)

●カルト⇒①本作②ハリー・ポッター・シリーズ(第1弾は2001年・アメリカ)③ネバーエンディング・ストーリー(1984年・西ドイツ)

2

●ミュージカル・オリジナルのベスト②、宮崎駿オリジナル・アニメのベスト③を除き、ファンタジー小説が映画の原作になっとります。

中でも、イギリスの作家の原作ものが、ケッコー多い。

「指輪物語」のベスト①、カルト②はモチ、本作もまた、イギリスのルイス・キャロルが書いた、アリス・シリーズが原作でおます。

映画化第1弾が「不思議の国のアリス」。

そして、本作シリーズ第2弾は、「鏡の国のアリス」をベースにしはりました。

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前作で異世界へ行ったヒロインの、異世界での人間関係図が、本作でも健在でおます。

でもって、本作では、ジョニー・デップのために、

家族愛を復活させようとするヒロイン、ミア・ワシコウスカちゃんが、

歴史を変えるための、タイムスリップへと、いざ出陣なんでおます。

ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイの姉妹役の確執部も、より深刻度合いを増して、展開してまいります。

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時間を管轄する役柄の、サシャ・バロン・コーエンも、歴史を変えるとゆう、あってはいけない改ざんに、

必死のパッチで、ミアちゃんを追いかけ、その無謀な行為を、取り締まろうとしはります。

ちゅうことで、タイムスリップ系のハラドキのドラマが、展開するっちゅうことと相なりまんねん。

姉妹部の確執部などは、「アナと雪の女王」(2014年・アメリカ・幣ブログ分析済み)などとは、

比較なんてできず、ドラスティックで強烈極まりないどす。

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その最大の一因は、ヘレナ・ボナムの、とんがったエキセントリック演技にあるでおましょうか。

「ビッグ・フィッシュ」(2003年・アメリカ)あたりから、麗しき悪役的演技を、見せ始めた彼女。

ジョニデの出世作にして、ファンタジーな「シザーハンズ」(1990年・アメリカ)と、同じ監督ティム・バートン作品でおます。

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ベスト&カルトに、ティム・バートン作品は、あまりにも趣味的になるかと思い、あえて外しましたが、彼の作品は映画的には傑作揃いだす。

本作以外は、あえてマイナー系の映画に出て、自らの演技力の可能性を、追求してやるミア・ワシコウスカちゃんにも、

そういう演技との格差に、なるほどそうかと、うなずかされます。

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そして、ありふれとるかもしれへんけど、CG使いの妙味。

本作の見どころだす。

次々にサビついて(土化して)ゆく、クライマックスの造形・描写は圧巻の一言どした。

ラストロールで聴ける、ピンクのポップ・ナンバーのキャッチーさなど、ノリノリでカッコヨク、余韻を深める作りも、メッチャOKや。

今夏、大ヒットが期待できる1本だす。

2016年6月29日 (水)

「ウォークラフト」⇒ゲーム原作ファンタジー

1

特殊設定の世界観による、ファンタジー・アドベンチャー

「ロード・オブ・ザ・リング」との、シンクロナイズは?

http://www.WARCRAFT-MOVIE.JP

7月1日のフライデーから、東宝東和の配給によりまして、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほかで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2
(c)2016 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS

小説やコミックやない、ゲーム原作映画でおます。

1990年代前半から始まった、ゲーム原作の実写映画やけど、

そんな映画のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露さしてもらいますと…。

●ベスト⇒①本作②ポケット・モンスター・シリーズ(第1弾は1998年製作)③バイオハザード(第1弾は2002年)

●カルト⇒①ストリートファイター(1994年)②ファイナルファンタジー(2001年)③トゥームレイダー(2001年)

5

●ゲーム原作とゆうのは、基本的には対決図式があります。

ゲームをする人が主人公になって、出てくる敵と次々に対決してゆくとゆう流れどす。

カルトはそういう定番系がメインどすが、

ベストはシリーズ化された②③を始め、ゲームを超えたとこで、どこまで話を広げ複雑化してゆくか。

そおゆうオリジナル性をポイントにしました。

本作は2派の対決を、これまでにあった多彩なファクターを盛り込んで、描き込んではります。

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ほんで、ゲームもののサブ・ポイントでもあった、ファンタジー性が、映画的に全面に出ております。

過去のファンタジー映画で言えば、全て小説原作やけど、

「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001年~2003年・全3作)的各お国領域設定、

「ハリー・ポッター」(第1弾は2001年)的マジカル性、

「ネバーエンディング・ストーリー」(1984年)的動物使いなど、イロイロ応用されとります。

7
キバが唇から出てる、野獣そのものの人種オークと、人間との対決がベースになっとるんやけども、それだけやったら、映画的にはオモロない。

怪鳥やらライオンまがいやらの、動物キャラの使い方、

「ハリー・ポッター」な魔術使いのキャラを、ネタやキモとなるとこで使ったり、

王とその部下の隊長、さらに、ゲーム原作映画に多い女戦士の参入など、

ツボをイロイロ押さえた、仕上げになっとります。

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薄グリーン、薄ブルーの魔術煙や空気の、タイトな挿入。

アップとスローを、巧みにシーンに合わせて流す、オーケストラ・サウンドの使い方の妙味。

細部にも、工夫が凝らされとります。

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オークの夫妻の描写から始まりまして、ヨメは妊娠中。

ほんで、生まれた赤ん坊が、次なるドラマへと続く、ストーリー展開として設定してはりまして、

いわゆるシリーズ化されることが、第1弾製作から決まっとる映画なんどす。

日本で売れても売れなくとも、この話は続いてまいります。

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オークと人間の対決が、どこまで波乱万丈を呼んでゆくかが、カギを握るやろかと、ボクは思うんやけど、

反逆者デュロタン(トビー・ケベル)、軍神ローサー(トラヴィス・フィメル)、人とオークの混血種女・ガローナ(ポーラ・パットン)ら、

日本ではほとんど無名に近い、スターたちの活躍ぶりに懸かっておます。

話そのものはオモロイんで、それがみんなのココロをつかむかどうか。

今後を見守りたいと思います。

2016年6月25日 (土)

黒木瞳監督作品「嫌な女」⇒週末日本映画劇場

1

吉田羊と木村佳乃の各ネーさんの、仁義なき戦いや~

黒木瞳ネーさんが、出演せずに監督に徹した、映画初監督作品どす

http://www.iyanaonna.jp

6月25日の土曜日から、松竹はんの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、日本映画1時間45分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

(C)2016「嫌な女」製作委員会

今やベテラン女優の黒木瞳ネーさんが、映画初監督した作品だす。

邦画の女優監督は、これまでにもイロイロ出てまいっとりますが、

本作は、往年の田中絹代やらが描いた作品に多かった、女たちを描くスタイルでいった作品でおます。

しかも、女同士のいがみ合いを、大いなるポイントにした作品。

岩下志麻と桃井かおりがやり合った、松本清張原作の「疑惑」(1982年製作)のような、

女同士の争いが、「疑惑」以上に、バトル・シーンも入れて、展開しよりまんねん。

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幼なじみとゆう設定の、女弁護士役の吉田羊ネーさんと、

遺産狙いのサギを、やり続けてはる木村佳乃ネーの、

トコトン突き詰められた腐れ縁が、ハットトリックなドラマを展開する、とんでもなくオモロイ作品になっとります。

そして、黒木瞳監督の、フレキシブルでコンテンポラリーな演出ぶりに、ボクは魅せられました。

木村佳乃シーンでは、エレクトロ・ポップ・ナンバーやタイトなドラム・ポイントのバンド・サウンドで、ダイナミズムを演出。

片や、クールで無表情な吉田羊ネー・サイドでは、そのへんを抑えて、シリアスな演出で徹底してはりました。

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いわゆる、吉田羊と木村佳乃を対比させて、2人の関係性を、ドラマティックかつドラスティックに描いてゆくんだす。

竹内まりやネーさんの「元気を出して」を、木村佳乃に、クライマックスを含めて2度、3度と歌わせたり、

でもって、竹内まりやの癒やしの新曲「いのちの歌」でシメたりと、映画作家性を遺憾なく発揮しはります。

また、長回し撮影にも妙味を見せはります。

病院での吉田羊と、名女優・永島暎子との2分強の固定長回しなどは、ボク的には魅せられたカットでした。

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テレビ・ドラマ版では、黒木瞳が主演してはりました。

そして、その時に感得したところから、自らが監督して、映画化しようと、思わはったんでおます。

ほんで、吉田羊と木村佳乃とゆう、的を射た妙キャスティングにより、

メッチャオモロイ、オンナ2人の対決構図と、友情とゆう映画を、作り上げはったんでおますよ。

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さてはて、女2人の友情やらを描いて、エエカンジの日本映画の、マイ・ベスト・ファイブ(順不同)を、思いつくままに披露しますと…。

①本作②下妻物語(2004年)③NANA(2005年)④バウンス ko GALS(1997年)⑤がんばっていきまっしょい(1998年)

●1990年代後半から今までの、作品がメインになりましたが、それ以前にも名作はあります。

でもしか、21世紀的現代性とゆう意味では、本作は特筆すべきもんがありました。

女たちの友情の今を、ビビッドにあからさまに描いた傑作です。

2016年6月24日 (金)

「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ」

遊びまくりなクドカン・宮藤官九郎監督の新作

長瀬智也らが奏でる、地獄のロック音楽映画

http://www.TooYoungToDie.jp

6月25日の土曜日から、東宝とアスミック・エースの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、日本映画125分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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(C)2016 Asmik Ace, Inc./TOHO CO., LTD/J Storm Inc./PARCO CO., LTD./AMUSE INC./Otonakeikaku Inc./KDDI CORPORATION/GAYO Corporation

天国はかなり多いけど、地獄を舞台・ポイントにした映画とゆうのは、そないありまへん。

無論、地獄イメージの悪さが、原因ではあるけども、コメディにしても、そのハードルの高さは否めまへん。

「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」(2011年製作・幣ブログ分析済み)なんぞもありましたが、

クドカン宮藤官九郎は、コメディ、しかもロック音楽映画の要素に加え、

輪廻転生やら、ラブ・ストーリーやら、天国描写まで、多彩な地獄映画の、オモロサを追求する、

映画オリジナル作品をば、果敢に作ってきはりました。

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遊びまくっとるで~とか、破天荒にして荒唐無稽なとこ、甚だしきとこも、あるにはあるんやけど、

これがトンデモなくバカバカしくも、オモロイ作品になっとります。

その新味・珍味について、分析してみよりますと…。

学園旅行の不慮の事故で、みんな死んでもうて、地獄か天国へ行くんやけど、

主人公の神木隆之介クンは、地獄へ堕ちました。

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このバス事故シーンが、何度もリフレインされ、それが現世と地獄の境目のなんたるかを示し、しかもミステリアスな側面も見せるんだす。

輪廻転生で、いろんな生き物になって、現世へ戻ってゆくとゆうとこも新しいわ。

インコ、カマキリ、柴犬、イルカやら。

ほんで、地獄界は、地獄と5、6年の時間違いがあってでんな、

憧れの娘(森川葵)との愛を願う、神木クンは、いろんな生き物になって、地上に戻り、

森川葵チャンの今の姿、宮沢りえネーさんに、生き物として迫らはりまんねん。オモロイやんか。

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森川葵ちゃんのアイドル性、尾野真千子ネーさんの元気系やらに加え、

地獄でエキセントリックに魅せる役者陣の、破天荒な演技ぶり。

ほんで、彼らがロックをプレイし、遂にはロック対決へと進んでまいります。

TOKIOの長瀬智也が、キレまくっとりまっせ。桐谷健太やらも、ブッ飛んどります。

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オジー・オズボーンなへヴィメタル、ニルヴァーナなグランジ・ロック、忌野清志郎な8ビートロック、

ガールズ・ポップ・ロック、ブルージーなスロー・ナンバーまで、多彩にロックンロールが展開してまいります。

森川葵ちゃんが吹くフルートも、キッチュやしな。

そんな中で、特筆もんは、「君がいると天国、君がいないと地獄」と歌う、長瀬が作曲したキャッチーなナンバー。

作品との絡みも含め、カッコよく響いてまいります。

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そして、天国シーンの造形のユニーク感。

神木と森川のラブ・ストーリー部の行方、その描き方。

新味・珍味なとこを、いくつもモンタージュしてはります。

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とにもかくにも、破天荒な面白さに、満ちた快作品です。

2016年6月23日 (木)

「ダーク・プレイス」⇒シャーリーズ・セロン主演作

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過去の一家惨殺事件を、改めて追うサスペンス・ミステリー

最後に明かされる真相は、ディープ・インパクトやで~

http://www.dark-movie.jp

6月24日のフライデーから、ファントム・フィルムの配給によりまして、TOHOシネマズ みゆき座、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショー。

本作は、2015年製作の、イギリス&フランス&アメリカ合作映画113分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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(C)2014 DAMSELFISH HOLDINGS,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

シャーリーズ・セロンのネーさんが、探偵役主演となった、サスペンス・ミステリーだす。

ここで、彼女のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露さしてもらいますと…。

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●ベスト⇒①マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作・以下の引用は全てアメリカ映画・幣ブログ分析済み)②本作③サイダーハウス・ルール(1999年)

●カルト⇒①モンスター(2003年)②スタンドアップ(2005年)③スノーホワイト(2012年)

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●ネーさんの演技性は、いずれの作品においてもワイルド。

ベスト③のヤワな女優演技性は、今や全くないと、言ってエエでおましょう。

ベスト①はそのワイルド性を、最も示さはった作品やと思いますが、カルト②も男勝り。

オスカー主演女優賞をゲットしたカルト①の、繊細なワイルド性も、素晴らしおます。

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けども、初の本格的ミステリー出演の、探偵役の本作は、

ミステリー・ヒロインの凄味を、見せる点において、

女刑事役ジョディ・フォスターの「羊たちの沈黙」(1990年)と勝るとも劣らへん、

ある意味彼女の、最高傑作になったんやないやろか。

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1985年に起こった一家惨殺事件で、生き残った幼い兄と妹。

兄が犯人として捕まり服役、妹は保険金や寄付金などで、生き続け、事件より28年後の2013年。

大人になった妹(シャーリーズ・セロン)は、兄が真犯人ではないと確信し、

事件の真相を探るべく、自ら調査を始めはるんだす。

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現代と過去が、カットバックされるとゆう、オーソドックスな作りながら、

それぞれのところの描写を、ビミョーに変えて、ある種渋い仕上げを見せてはります。

薄色トーンの過去サイドと、現代の明るい色彩の対比。

でもしか、現在と過去のダークな交錯で、トンデモない結末が待っておます。

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さてはて、本作は悪魔崇拝とゆうんが、1つのポイントになっとります。

黒魔術やらが取り込まれた「ミシシッピー・バーニング」(1988年)やら、

「エンゼル・ハート」(1987年)やらの、ベタな仕込みやないけども、

ミステリーとしては、見事な伏線を形成しとります。

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シャーリーズ・ネーさんが、兄との面会、兄の元恋人、そして、別れたオトンとの再会などを経て、トンデモない真相へと向かってゆく流れには、

テレビの2時間ドラマでは表現できない、映画的緻密さとゆうものがあります。

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「普通の暮らしが今、ようやく始まった」と、ナレーションする、シャーリーズ・ネーさんのラストシーンは、

暗い結末を、それなりに解消してはりますが、ディープ・インパクトな結末の衝撃は、どない考えても、モノゴッツー強烈だす。

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妖し怪しのヒロインが、ミステリアスを構築した「ゴーン・ガール」(2014年)の原作者、ギリアン・フリン作品の映画化でおます。

伏線もバチバチに描かれた、本格ミステリー映画の快作になっとります。

みなさん、真相を推理しもって、見ておくんなはれ。

2016年6月22日 (水)

「トリプル9-裏切りのコード-」

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群像劇犯罪ドラマの快作

スマートな「オーシャンズ11」とは、対極にある作品か

http://www.999-movie.jp

6月18日のサタデーから、プレシディオの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国ロードショー中。

本作は2015年製作の、アメリカ映画115分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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©2015 999 Holdings, LLC

メインに活躍する主人公やヒロインがいない、群像劇的ドラマちゅうのは、とんでもないサプライズが、しょっちゅうあります。

でもって、本作は、犯罪者側からまず描き、途中から警察側からの視点が入って、

犯罪者側・捜査側が、スクランブル描写されてゆく犯罪映画でおます。

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まずは、銀行強盗的集団犯罪が、タイトでリズミックなサントラに乗って描かれてまいります。

このシークエンスから、いきなりのハラドキが味わえよりまんねん。

ほんで、その犯罪グループに依頼する、ロシアン・マフィアのボスのヨメ(ケイト・ウィンスレット)が、次の依頼をし、

それが本作の、メイン・ポイントになる作品だす。

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犯罪グループには、現役の刑事たちや、元軍人もいてはります。

一方で、捜査側には、そんな刑事たちに加え、マットーな刑事たちもいて、

その2派の犯罪・捜査混合型のタッチで、物語は進んでまいります。

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犯罪が起こり警察が捜査するとゆう、フツーのストレート・スタイルが、ここではまるでなく、

ドラマの流れに常に、亜流・激流・波乱が付きまとってまいるのだす。

いやはや、面白い。

正義派がほとんどいない、このドラマ的流れは、最後には、とんでもないサプライズへと、つながってまいります。

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さてはて、ハリウッド映画が、一部のシリーズものを除き、

本邦公開においては、昨今は沈滞ぎみやけど、

本作なんぞを見ると、ハリウッド方程式映画に、少し変化が見られることに、気づくことでおましょう。

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アメリカでは有名やけど、日本ではあまり知られていない役者たちが、泥臭くて危険なドラマを作ってゆかはります。

ケイシー・アフレック、キウェテル・イジョフォー、アーロン・ポール、ノーマン・リーダス、クリフトン・コリンズJr.など、みんな、知っとるやろか。

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「アベンジャーズ」シリーズのレギュラーの一員、アンソニー・マッキーやら、

「タイタニック」(1997年製作・アメリカ映画)のケイト・ウィンスレットやら、

ワイルドな刑事役の、ウディ・ハレルソンやら、

ハリウッド映画界で、名声・名演を馳せる方々さえも、

この人だあれ~、みたいなカンジで作られとります。

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「オーシャンズ11」(2001年・アメリカ)のような、スター映画の犯罪群像劇ではないんやけども、

「オーシャンズ11」よりも、波乱の展開が待っておますし、

また、捜査側でも、黒人・白人コンビ刑事・相棒の「夜の大捜査線」(1967年・アメリカ)の、逆バージョン的(黒人の方が優位)なとこもあって、

ボク的には、ココロそそられました。

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刑事・警察官がヤラれた犯罪には、警察側は優先的に、その現場へ向かう、“トリプル・ナイン”とゆう、捜査側の方程式を利用しての強盗犯罪。

映画的設定としては、あんましないもんやけど、観客に対して、どこまで説得力があるかどうやろか。

でもしか、ドラマは最後まで、スリリングに展開しよります。

銀行強盗、銃撃戦、トリプル・ナインを使った、波乱に満ちたクライマックスなど、アクション・シーンも充実。

ハリウッド映画の、サスペンス・アクション・ドラマ的、奥の深さを示した、傑作・快作でおました。

2016年6月21日 (火)

タイ映画「すれ違いのダイアリーズ」⇒メッチャ爽快な1本

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香港映画「ラブソング」的な、心地いいラブ的ストーリーが展開

ラスト・シーンの「初めまして」に、グッとくる仕上がり

http://www.moviola.jp/diaries2016/

6月18日のサタデーから、ムヴィオラの配給で、シネマート心斎橋やらで上映中。その後、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターやらで、順次ロードショーだす。

本作は、2014年製作のタイ映画110分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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©2014 GMM Tai Hub Co.,Ltd.

タイ映画なんちゅうたら、どないやろ。

ボク的には、これまでに10本も、見てへんのと違うやろか。

ハリウッド・リメイクまでされたホラー映画とか、爆裂バトル・アクション映画など、娯楽作品を中心に見とったようやけども、

本作のような、ココロ温まるヒューマン映画は、おそらく初めて見たんやないやろか。

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単純なるラブ・ストーリーなら、テレビドラマを始め、各国で作られとるかと思うけど、

本作はラブ・ストーリー的でも、根本はラブ・ストーリーやありまへん。

生徒が数人しかいない水上学校の、先任女教師と後任男教師が、女教師が書いた日誌によって、男教師が影響を受け、

また、女教師が、男のアンサー的に書いた日誌によって、ココロ動かされ、

ほんで、会わずに2人のココロが、通い合うようなストーリーが展開してまいります。

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ほんでもって、最後は、この2人が出会うシーンで、ドラマティックにシメルとゆう映画どす。

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時を超えた感じで、タイムトラベルチックな2人の、交流があるイ・ジョンジェとチョン・ジヒョンの「イルマーレ」(2000年製作・韓国映画)とか、

通信でやり取りしていた2人の男女(内野聖陽・深津絵里)が、最後に初めて会う「ハル」(1995年・日本)とか、

2人の初対面を、キモにした映画の中でも、本作は特に、爽快度の高い作品どした。

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教師と生徒とのエピソードも、モチあり、

台風パニック・シーンとか、学校修復のダイジェスト・シーンなど、波乱万丈も描いて、

ココロの交流ぶりが、よりダイナミックな仕上げぶりを見せてゆきます。

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そして、日記や手紙など、手書きのものが、人のココロを動かすとゆう、オーソドックスなスタイルが、

デジタル万能の今だからこそ、ボクらのココロの琴線をば、そそってきよります。

ギターをポイントにした、軽快なサントラも、爽やかやし…。

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タイの国民的男優のスクリット・ウィセートケーオの、コミカルでもあるソフトリーな演技。

そして、美人女優チューマン・ブンヤサックの、好感ある優しい演技。

この2人が出会うまでの、ハラドキとドラマティックが、十二分に伝えるべくな、ある種のもどかしいカンジが、

本作の大きな見どころ・見ごたえと言えましょうか。

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どこにでもフツーに、いてそうな2人なだけに、最後の感動が、特に感情移入できて、デッカいインパクトに、なっとるとも申せましょう。

ドラマ的には、作りが甘いとこもある。

けども、見終わったあとの余韻から、ボク的ジャッジでは、年間ベストテン級の仕上がりに、なっとると思いました。

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甘さがむしろココロにクル、素因になっとるような映画どす。

レオン・ライとマギー・チャンの「ラヴソング」(1996年・香港)のように、

男女のハットトリックや運命や縁(えにし)に、グッと魅了される傑作です。

2016年6月17日 (金)

「ふきげんな過去」⇒小泉今日子・二階堂ふみ共演

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従来の母娘ものとは違う、異形・異彩な仕上がりやけど、

キョンキョンとフミフミの、演技対決こそが、デッカイ見どころやねん

http://www.fukigen.jp/

6月25日の土曜日から、東京テアトルの配給で、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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大人とコドモの、オカンと娘はんを描く映画は、これまでにメッチャあったし、

2人が大人になって、イロイロやってまう映画も、それなりにありました。

けども、本作は、本編のほぼ最後まで、実の母娘とは、分からへんような展開。

しかも、オカンと娘としての初対面も、全くドラマティックやないんだす。

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ちゅうか、本作は、小泉今日子キョンキョンと、

今や邦画ナンバーワンの若手映画女優、二階堂ふみ(キョンキョンに合わせて、フミフミとゆうてみるけど)チャンの、

演技対決をば、見せようとした映画やと、思うんでおます。

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若手とベテランの、2女優とか2男優、もしくは男・女優の映画とゆうのんは、

ある意味、ドラマティックでもあり、またスリルや感動を呼んできます。

ボク的には、母娘役やなかったけど、三田佳子と薬師丸ひろ子が、

やり合った「Wの悲劇」(1984年)と同様の、ハラハラドキドキを、本作にカンジました。

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冒頭から、キョンキョンが出てくるまでの前半部。

二階堂ふみチャン・フミフミの、いろんなおかしな挙動・言動が、映されてまいります。

ディズニー・ランドには、ホンマにいたけど、東京の運河に、ワニがいたとかゆう、

オバで既に死んだ、キョンキョンの嘘くさい言葉に、

ほとんど毎日のように、フミフミは運河へ確認に行ってまうんだす。

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フミフミが毎日のように行く、喫茶店での風景。

姉の娘はん・姪と、通じない会話のやり取りがあったり、

家族一同揃っての、何げな日常的な会話の、やり取りやらがあります。

なんにもなさそなフツーの風景。

松竹的家族ドラマを、少しくいじりもって、コミカルな話をチョイとユニークに、紡いでゆくんかいな、っちゅう流れの中で、

死んだと思われていたキョンキョンが、幽霊やなく、生きて帰ってきはったとこから、話はメッチャオモろうなってきよりまんねん。

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キョンキョンは、ヤクザの事務所をバクダンで爆破したちゅう、

いわゆる政治的テロリストやなく、正義派のエエかっこしいな人間やねん。

警察に追われてもうて、死んだことになっとったんやけど、実際に実家に、現れてしもたんどすえ。

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キョンキョンと関わる助演陣、高良健吾やら、

元恋人やったけど、キョンキョンの妹と結婚した、板尾創路やらの、

クールイズムに徹したような助演ぶりは、ある意味目立たんけど、印象的どしたやろか。

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でもしか、キョンキョンが出てきてからの展開は、少しくぎこちないとこも、あるとこはありましたやろか。

でも、ふみチャンとのケンカ・シーンや、

姪を連れて3人での、運河を船に乗っての、爆弾の素材探しなども、破天やけど、興味深いところではありました。

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1分・2分・3分などと、長回し撮影シーンが頻出しとります。

長回しにもいろんな意味が、あるとは思うんやけど、本作は妙味あるもんが多かった。

練り上げられ、時にわざとらしさもないとは言えない、セリフ回しのイロイロが、

長回しとリンクし、何とも言えない雰囲気を、醸し出してはるんだす。

「未来じゃなく、過去が見えてるだけ」と、ふみチャンに諭す、キョンキョンのセリフなども、グッとクルとこがありまっせ。

セリフの妙味・面白さも、楽しめる逸品どした。

2016年6月16日 (木)

イギリス映画「レジェンド 狂気の美学」

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トム・ハーディが双子の兄弟1人2役を、演じ抜いたギャング映画

「ゴッドファーザー」などと、シンクロナイズや

http://www.legend-movie.net

6月18日のサタデーから、アルバトロス・フィルムの配給によりまして、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、テアトル梅田、シネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショー。

本作は2015年製作の、イギリス&フランス合作の131分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 STUDIOCANEL S.A. ALL RIGHTS RESERVED.

実話をベースにした、イギリスのギャング映画だす。

ギャング映画ちゅうたら、アメリカが本場やと思うけど、

まずは、その種の映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露しますと…。

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●ベスト⇒①ゴッドファーザー(1972年製作・以下の引用は指定国以外はアメリカ映画)②ゴッドファーザーPARTⅡ(1974年)③暗黒街の顔役(1932年・モノクロ)

●カルト⇒①本作②ブラック・スキャンダル(2015年・弊ブログ分析済み)③デリンジャー(1973年)

●ギャング映画とゆうたら、ベスト①が出る以前は、ベスト③が長らく代名詞になっとりました。

そして、21世紀になると、カルト③のような実話ものの本作やカルト②などが、

ヒロイズム的カッコヨサと言うよりは、キャラクターの深堀りってな感じで、

ギャング的な、よりワイルドなワル感が、クローズド・アップされとります。

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しかも、大ブレイクしたベスト①②が公開された頃に、ギャングをやっとった人たちの、実話ちゅうのんが、

今年2作も、日本公開されとるんだす。

つまり、それがカルトに選んだ2作でおます。

ジョニー・デップが刑事とつるんで、敵対組織の組員を、殺し続けたカルト②。

そしてイギリスで、性格相反する兄弟が、静と動の呼吸で、相手を殺し続けたとゆう、本作・カルト①でおます。

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どちらも、ギャング主人公アウトローが、基本的に非情な残虐牲を発揮し、そこが大いなる見どころとなっておます。

つまり、主人公の演技性が、映画の出来を左右しとるんどす。

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今のところ、今年のマイ・ベストワン洋画「レヴェナント」(2015年・弊ブログ分析済み)で、

主演レオナルド・ディカプリオと、必死のパッチの対決をやらかさはった、トム・ハーディのアニキが、

双子のギャング兄弟を、1人2役で熱演。

しかも、静と動の2人を、ビミョーに演じ分け、1人2役演技の、雛形とも言える演技を見せてはります。

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アクション・シーンの残酷度合いは、ハンパやありまへんで。

個人的には、「ゴッドファーザー」の主人公アル・パチーノが、最初の銃撃殺人をする、あのトンデモドッキリ感が、

弟役ハーディが、裏切り者を片付けるシークエンスに、カンジました。

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一方で、アクション・シーンに対する、ラブ・ストーリー部も、波乱に満ちた展開が待っておます。

兄役ハーディと、エミリー・ブラウニングちゃんの恋愛映画部やけど、

何とか結婚までいき、ほんで、その後のゆき違いの、スリリングな展開は、

アンチ・ラブ・ストーリー的なとこもあって、モノゴッツー震えました。

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兄ハーディが経営するクラブでの、移動撮影の、4分近い長回し撮影による、初デート・シーンなんか、

実に緊張感に満ちた、印象深いシーンでおます。

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そして、サントラ部。

1960年代の歌もの、ジャズからモータウン、ソウル・ロックまで、多彩に流れてまいります。

ドラマの流れにピッタリやった、これらのサントラ使いが、本作をケッサクにした一因でもあります。

ちゅうことで、ギャング映画の、21世紀的快作でおました。

2016年6月15日 (水)

ドイツ映画「帰ってきたヒトラー」

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ヒトラーが生き返り、21世紀現代に現れたら…

「チャップリンの独裁者」と、比肩するシニカル度合い

http://gaga.ne.jp/hitlerisback

6月17日のフライデーから、ギャガはんの配給により、TOHOシネマズ シャンテやら、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は、2015年製作の、ドイツ映画116分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 Mythos Film Produktions GmbH & Co. KG Constantin Film Produktion GmbH Claussen & Wobke & Putz Filmproduktion GmbH

ヒトラーが生き返り、死んだ1945年の心理状況のまま、21世紀の現代ドイツに現れたとしたら、一体どないなるのか。

モノゴッツーなブラック・ユーモアと、シニカル度合いの高い映画なんやけど、

いずれにしても、かなりと挑戦的な映画どす。

まあ、これがドイツから出てきた、小説やそれを原作にした映画なだけに、ああ、オモロイやんと、単に見ることはできへんでおましょう。

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ヒトラーもの映画とゆうたら、これまでにも多数出てきました。

ヒトラー映画のマイ・ベスト&カルトなんぞも、ボクは披露してきましたが、

本作は21世紀も10年を過ぎて、ヒトラーの国ドイツから出てきた映画として、

単にパロディとかコメディとかでは、済まされない問題を、孕(はら)んどるんやないやろか。

ヒトラーをカリカチュアする点においては、チャップリンのかの名作「チャップリンの独裁者」(1940年製作・アメリカ映画)を思い出すかもしれませんが、

チャップリン作が、ヒトラー最盛期に、ヒトラーを批判して発表された映画であるのに対し、

本作は、ヒトラーの功罪が、悪魔のように確定してる現代に、

ヒトラーをあえて、もてあそぶように描いてるところに、賛否を醸すもんがあります。

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ヒトラーが現代に蘇ったとゆう設定で、物語を紡ぐ場合は、相当慎重な神経をば、遣わねばなりまへん。

また、プロットも緻密に、練り込まなければなりまへん。

ところが、本作は、ヒトラーの時代を超えた、カルチャー・ギャップものとして描き始め、

ヒトラーソックリさんな、モノマネタレントとして、テレビに出るとゆう、

ある意味、定番の流れで、ストーリーを展開してゆくんだす。

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ヒトラーが死ぬまでに発したセリフが、いくつも出てきます。

また、犬を銃殺したりと、ヒトラーの残虐性も浮き彫りにされ、

ヒトラーの被害に遭った家族の話など、ホンマモンのヒトラー的が、随所に描かれておます。

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犬の銃殺シーンのおかげで、テレビを干されたヒトラーやけど、

その後自叙伝がベストセラーになり、ヒトラーの映画も作られてゆきよります。

そして、再びヒトラーが、復活するのかどうかちゅう、トンデモない方向性が見え隠れし、ココロをグラグラさせてきよるんだす。

否定論が多いかもしれへんけど、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の賛否両論は、必至でおましょう。

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見たくなければ、見なければええ。見るなら、ココロして見んといかん。

所詮エンターテイメントやん、気軽な気持ちで見にいこやん、とは言えない問題作だす。

ドイツ映画陣が、シリアスに事実を捉えた「ヒトラー/最期の12日間」(2004年・ドイツ)と、おんなじくらいの衝撃がある作品どした。

ちゅうことで、今年イチバンの問題作やと思います。

2016年6月14日 (火)

「貞子VS伽椰子」

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世界に誇るジャパニーズ・ホラーの、2大呪いのヒロインがガチ対決や~

山本美月らが、怖がるヒロインを演技

http://www.sadakovskayako.jp

6月18日の土曜日から、KADOKAWAの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

「リング」(1998年製作)と「呪怨」(2002年)。

どちらもハリウッドで、リメイクされた日本映画でおます。

いつものように、ジャパニーズ・ホラー映画やら、ハリウッド・リメイク邦画やらの、マイ・ベスト&カルトを、やりたいところやけど、

ここではワン・パターンを避け、少し2作品の薀蓄めいたもんを、見ていってみよりますと…。

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「リング」は、鈴木光司によるホラー小説が原作。

1990年に、鈴木光司が「横溝正史賞」に応募し、最終選考で落選した応募作が原型にあります。

ミステリーとホラーの境界が、曖昧になっとった時代でありまして、「リング」が落ちた理由は、正統のミステリーやないとこにありました。

でもしか、その後、賞の主催社側の角川書店は、ミステリーと区分するために、「日本ホラー大賞」を新設し、一方で、「リング」を出版。

フジテレビでの、2時間ドラマ化もなされました。

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そうして、出版6年後に、東宝配給で映画化され、ハリウッドの目に止まり、ハリウッド・リメイクがなされたんです。

「リング」が「横溝正史賞」で落選していなければ、実はここまで有名にならへんかったと、ボクは分析しとります。

呪いがビデオに乗り移り、波紋を呼んでゆくスタイルは、今までのストレートな呪いものを、超えたオリジナリティーがありました。

片や、「呪怨」は、映画オリジナルとして輩出されました。

オーソドックスな家ホラーに、家族ホラーのオリジナル・スパイスを加えて、

「リング」に続いて、ハリウッドの注目を集め、リメイクまでへ。

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そして、2作品共に、呪ってる当事者とゆうたら、女・ヒロインでおます。

「お岩」あたりから始まった、日本的オリジナルの怪談が、十数年を経ても、女が呪ってるんやとゆう図式は、そない変わっておまへん。

「リング」は貞子、「呪怨」は伽椰子。

但し、本作のように、そんな2人を対決させようとする図式は、映画完全オリジナルとなります。

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いろんなヒーロー(ヒーローとゆうよりは、アウトローか)、ヒロインが対決する映画とゆうのは、イロイロあるけども、

ホラー映画としては、「エルム街の悪夢」(第1弾は1984年・アメリカ)のフレディと「13日の金曜日」(第1弾は1980年・アメリカ)のジェイソンが、

対決する「フレディvsジェイソン」(2003年・アメリカ)の、ノリもあります。

また、こおゆうタイプの日本映画は、ゴジラやガメラ、座頭市や用心棒など、イロイロあったけど、

ジャパ・ホラーの面白さやケレン味を、海外に示す点において、大いなる効果があるやもしれまへん。

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怖がる側もヒロインの方が、男優より映えますし、ハラドキもなんでか高い。

怖がる女優は、ヒロインの山本美月を始め、玉城ティナ、佐津川愛美やらがいてはります。

怖がる側のディープ・インパクト度合いの、ランキングなんてないけども、

見ていてドキドキに感情移入し、一緒に怖がれるくらいには、各人、演技してはりまっせ。

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横溝正史原作の「犬神家の一族」(1976年)の製作・配給から始まった角川映画は、本作は40周年記念作品となる作品だす。

「リング」「呪怨」そのミキシング版は、これで、終わりやありまへんと思います。

貞子、伽椰子は、今後も活躍してくれることでおましょう。

2016年6月13日 (月)

「MARS(マース)~ただ、君を愛してる~」

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BL(ボーイズラブ)コミック原作の、学園三角ラブ・ストーリー

旬のコミック原作映画の中でも、異彩を放つ問題作

http://www.mars-love.jp

6月18日の土曜日から、ショウゲートの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ劇場版「MARS~ただ、君を愛してる~」製作委員会

アメコミ原作のハリウッド映画の、流れとは違うかもしれへんけど、

日本でも、ただ今コミック原作の映画が、ブームになっとります。

学園ラブとか、スポコンとかの、正統系を別にして、

自然主義やリアリズムとは少しく違う、コミックらしい異世界な、

妖しのカルティックなカンジで、展開しよる作品が、何やらボクチンのココロを、胸騒ぎさせます。

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最近ボクが見たのんでゆうと、

「黒崎くんの言いなりになんてならない」(2016年・弊ブログ分析済み)や

「オオカミ少女と黒王子」(2016年・分析済み)なんかの、男が女を支配するドS系。

ほんで、本作のような、少女コミックにこそ映えるBL(ボーイズラブ)もの。

BLコミック原作の映画化作品は、記憶をたどっても、ボク的には、初めて見たんやないやろか。

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男2人と女1人の、三角関係が描かれます。

主人公(ジャニーズ事務所のアイドル・グループ「Kis-My-Ft2」のメンバー、藤ヶ谷太輔)を巡り、

窪田正孝クンと飯豊まりえチャンが、争うんやけど、藤ヶ谷クンのココロは、完全にまりえチャンにあります。

でもしか、窪田クンは、モチ失恋覚悟の上で、まりえチャンを排除しようとしはります。

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よくある三角関係構図の映画でも、1人窪田クンが浮いている中で、

さてはて、一体どのような、ドラマティックやサスペンス・ハラドキを、作っていくのかなんやけど、

言うまでもなく、窪田クンに、そのイニシアチブがあると、言えるでおましょう。

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藤ヶ谷クンの、まりえチャンを守る姿勢や、カッコよさは、よくあるタイプやけど、

相手が男なだけに、そのあたりの見せ方や演技の柔軟性が、重要になってきます。

あくまで、これまでの三角関係学園ドラマ映画と、変わりはしないんやけど、

男を相手にしたビミョーさは、ある意味では、難役やったでしょうか。

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飯豊まりえチャンも、過去のトラウマを抱えた、フツーやないキャラクターなんやけど、

そのあたりの複雑な心理を、こなしきれたかは、ビミョーではあるけども、

男との三角関係の複雑系は、それなりに表現できたんやないかと思います。

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無論、窪田クンの、静かなるイケズ、ほんで、不気味なクールさ、ほんで、遂には、まりえチャンを…。

窪田クンの演技こそが、本作のキモでおましょうか。

さてはて、変型学園ラブ・ストーリーに、色彩をオーバーラップさせたり、

部屋内への陽光の使い方などが、アンニュイなイントネーションを加えてはりました。

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コミック原作ものに則り、大ヒットするかもな、なんて言いたいところやけど、BLものなだけに、そのあたりがどう出るやろか。

でも、ラブ・ストーリー・ドラマの方程式は、キチンとしているだけに、分かりやすいノリやし、普遍性もあるかと思います。

また、アイドル学園ものとしてもいけるやろか。

デート・ムービーとしても、ギリギリOK(!?)やろか。

まずは、1人で見に行って、ご判断くだされませ。

2016年6月11日 (土)

「クリーピー 偽りの隣人」⇒西島秀俊・竹内結子共演

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原作を超えた、ホラー・ミステリーとなった快作

黒沢清監督のオリジナル、と言ってもいいサイコ・サスペンス

http://www.creepy-movie.com

6月18日の土曜日から、松竹とアスミック・エースの共同配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016「クリーピー」製作委員会

「日本ミステリー文学大賞新人賞」受賞作が、初めて映画化された作品どす。

原作小説が出版された時に、ボクは読んだんやけど、

本作はその原作とは、かなり違うような感じに仕上がっておました。

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確かに、西島秀俊・竹内結子夫妻一家と、香川照之が主人の隣家との関係性、

それにまつわる過去の事件との関係性、犯人は誰かなどの、メイン・ソースなとこは、変わっておりまへんが、

キャラクター設定を始め、ストーリー展開、トリックなところの違い、モチ、どんでん返しや結末の、大いなる違いもあります。

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原作をそのまま映画化しても、良かったとは思うんやけど、

本作を撮った黒沢清監督には、サイコ・ホラー「CURE」(1997年製作)の傑作があるだけに、

これをまさに、自らの作品のようにしもって、換骨奪胎し、

サイコ・ホラーの新たな傑作を、生み出したちゅうても、過言ではありまへん。

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疑似家族もの映画とゆうのは、これまでに多数ありますが、

そのほとんどが前向き系で、互いにキズナを紡ぐものやったけど、本作は全く違っとります。

疑似家族系のミステリー映画では、宮部みゆき原作の「理由」(2004年)もありますが、

本作のトンデモない犯罪者役の、香川照之はでんな、

家族を支配し、脅迫し、マインド・コントロールし、“なりすまし”でオトンになる。

このあたりの方法論は、実は原作小説でも本作でも、明らかにはされとりません。

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原作小説では、犯罪心理学的な説明が曖昧にあり、

そこんとこを、本作では、支配するための、実際的物理的なとこが、あるにはあるけども、

ここんところが、小説と映画の違いでもあるやろか。

説明ではなく、描写でどう巧みに見せるのか。

映画は小説よりも、それがスムーズにできるとこがありまんねん。

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さてはて、隣家との関係性を描いた映画は、ケッコーあります。

サスペンス映画にもあるけど、本作はそんな映画の最新版やと、言えるでおましょう。

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主人公の西島秀俊は元刑事で、現在、犯罪学を大学で教えとる講師役。

原作にはない、刑事を辞める契機となった、サイコパスな犯罪者との悶着は、

本作のイントロ部として、興味深いものどした。

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ヨメの竹内結子と共に、一戸建ての家に、引っ越してきはりました。

ほんで、隣家の香川照之一家らとの、隣近所の関係が始まり、

そして、竹内結子ネーが、香川の疑似娘はん(「ソロモンの偽証」でデビューした、藤野涼子ちゃん)をダシにして、

香川にマインド・コントロールされてまうとゆう展開どす。

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香川の被害に遭ったらしい、家族一家の生き残った娘はん役の、川口春奈ちゃん、

その事件を追っていた刑事役の、東出昌大のアニキも、

事件の深刻度に合わせて、眉しかめのシリアスな演技で、対応してはります。

また、そこんとこも、ドラマのサスペンス度を、増していくようになっとるんです。

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いずれにしても、黒沢清監督のオリジナル、と言ってもいい作品だす。

原作を超えた作品に、また新たな1本が加わりました。

2016年6月 9日 (木)

「AUTOBAHN アウトバーン」⇒爆裂カー・アクション

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カー・アクション映画の、新次元を示す快作

どんでん返しもある、トリッキーな作品

http://autobahn.asmik-ace.co.jp/

6月10日のフライデーから、アスミック・エースの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作の、イギリス&ドイツ合作99分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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Ⓒ2015 IM GLOBAL FILM FUND, LLC ALL RIGHTS RESERVED

高速道路「アウトバーン」が有名な、ドイツを舞台に展開する、激烈カー・アクション映画でおます。

かつても披露しましたが、そんなカー・アクト映画(レースものを除く)の、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、再構築してみますと…。

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●ベスト⇒①フレンチ・コネクション(1971年製作・以下の引用は、指定以外はアメリカ映画)②ブリット(1968年)③ザ・ドライバー(1978年)

●カルト⇒①本作②ワイルド・スピード・シリーズ(第1弾は2001年)③TAXiシリーズ(第1弾は1997年・フランス)

●おそらく、カーチェイスを取り込んだ映画の第1弾は、ベスト②ではないか。

1970年代にわたる、そんなカー・アクト創生期の作品を、敬意を表してベストにしましたが、

実はカルトの方が、カー・アクトの多彩なバリエーションと、進化型を示してはります。

また、カルト②③はシリーズ化され、大ヒットしとるのは、みなはんの方がご存知でおましょう。

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そして、本作だす。

大ヒット請負人プロデューサーの、ジョエル・シルバーが製作しはりました。

アクション映画のプロデューサーとして有名どすが、単なるアクション映画やなく、映画の評価も非常に高い作品を作り続けてはります。

そんなシルバーはん製作作品の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露してみますと…。

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●ベスト⇒①ダイ・ハード(1988年)②マトリックス(1999年)③ストリート・オブ・ファイヤー(1984年)

●カルト⇒①本作②リーサル・ウェポン(1987年)③シャーロック・ホームズ(2010年・弊ブログ分析済み)

●ベスト③と本作を除き、全てシリーズ化され、記録的なヒットを生んでおます。

それだけに、本作もまた、シリーズ化が期待できるやもしれまへん。

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「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015年・弊ブログ分析済み)で、

エキセントリックなアクションぶりを見せた、若手俳優のニコラス・ホルトが、

恋人(フェリシティ・ジョーンズ)の病気を治す大金を稼ぐために、

アンソニー・ホプキンスが闇商売してる、大量のコカインを運ぶトラックを、

ベン・キングズレーの依頼の元、盗み出そうとしはります。

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でもしか、ホプキンス側に拘束され、でも、ホルト君、隙を突いて、車を奪って逃走。

カー・チェイス・アクションが、街中とアウトバーンで、ハデハデに展開してまいります。

「マトリックス」シリーズの、カー・アクトを思い出すハデさに加え、

クライマックスでは、凄まじい銃撃アクションが、ドカーンとバクレツいたします。

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ともするとパターン化しやすい、アクション・シークエンスを、

往年のハリウッド・アクト的ミラクルを維持しながら、大胆に強引に切り込んでゆく姿勢は、

まさに、ジョエル・シルバー節やと言えましょう。

ラストの方では、ミステリー的なハットトリックまで、披露するので、言うことありまへんで。

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個人的には、大ベテランで、共にアカデミー賞主演男優賞を獲得してはる、

アンソニー・ホプキンスとベン・キングズレーの、各演技ぶりにグッときました。

キングズレーは、映画の引用が面白く、

主人公を「脱出」(1972年)のバート・レイノルズに、主人公の相棒を、「グリース」(1978年)のジョン・トラボルタになぞらえるとこなんか、笑ってしもた。

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ホプキンスはんは、何やら薀蓄(うんちく)ある警句を、主人公に対して、常に言い続けはります。

この2人の妙味が、スカッとするアクション映画に、絶妙なイントネーションを、加えてはりました。

ちゅうことで、結論は、デート・ムービーとして、最適なアクション映画でおます。

2016年6月 8日 (水)

「マネーモンスター」⇒ジュリア・ロバーツ主演作2

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ジョディ・フォスター監督と、ジョージ・クルーニーとの共演

ハラハラドキドキで見られる、テレビ局実況サスペンス

http://www.MoneyMonster.jp

6月10日のフライデーから、ソニー・ピクチャーズの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2016年製作のアメリカ映画1時間39分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

昨日分析の「シークレット・アイズ」に続き、ジュリア・ロバーツ主演作どす。

ニコール・キッドマンとの、初共演に続きましては、

ジョディ・フォスターとの初共演ならぬ、ジョディ監督・ジュリア主演としての、初コラボレートでおます。

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しかも、「シークレット・アイズ」の女刑事役に続いて、テレビ局ディレクターとゆう、キャリア初の役柄どす。

テレビ局を背景にした、実況生中継なサスペンス映画でおますが、

かつてもやりましたが、そんなタイプの映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、思いつくままに披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①ネットワーク(1976年製作・以下の引用は、指定以外は全てアメリカ映画)②トゥルーマン・ショー(1998年)③クイズ・ショウ(1994年)

●カルト⇒①本作②テロ・ライブ(2013年・韓国・弊ブログ分析済み)③エドtv(1999年)

●ベスト②などは、最後まで主人公のジム・キャリーが、テレビ中継されとるとは分からず、それがネタになっとりますが、

テレビものの基本は、最近分析した「アイヒマン・ショー」(ブログ分析済み)のように、

何をオンエアするかを、ポイントにした映画が、オーソドックスやと言えましょうか。

ベスト①③カルト③などがそれどして、番組での問題なども、切り口として面白いもんがあります。

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片や、本作やカルト②みたいに、犯人が実況生中継中の、キャスターやメイン・パーソナリティーを、人質に取って、

番組そのものを、事件化サスペンス化する映画とゆうのは、よくありそうで、なさそうなもんでありま。

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ウォール街での売買をポイントにした、財テク番組「マネーモンスター」の推奨で、えらい目に遭った男(ジャック・オコンネル)が、

テレビ局に出入りする業者を装って、生中継中の番組撮影現場に潜入し、爆弾と銃を武器に、

メイン・キャスターのジョージ・クルーニーを、人質に取って、損失額を要求するちゅうお話でおます。

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ある意味でシンプルな話なんやけど、テレビ局側、推奨した株の会社側、警察、犯人などの、駆け引きやら心理戦が、

「真昼の決闘」(1952年)のように、実際の時間と同じ、時間の流れで展開してまいります。

こおゆう流れが、よりサスペンス度を増す、仕上げになっとるんだす。

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ジュリア・ロバーツと、ジョージ・クルーニーの共演は、

「オーシャンズ11」(2001年)「オーシャンズ12」(2004年)以来、3度目となりますが、今回の方がより濃厚な絡み具合。

サスペンス映画のハラドキに、ピッタリのコンビぶりを示さはります。

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その絶妙さを演出した、ジョディ・フォスター監督。

映画監督作は、今作で4本目となりますが、女性監督らしいヒロイン映画やら、大人のラブ・ストーリーやらを撮ってきはりましたが、

本作のような、エンタなサスペンスこそ、監督に似合ってると思いました。

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彼女の代表主演出演作「タクシードライバー」(1976年)「告発の行方」(1988年)「羊たちの沈黙」(1991年)やらは、

ほとんどがスリリングな、サスペンスもんでおましたゆえに。

ちゅうことで、ジョディ監督作4作の中では、ボク的には、本作が最も面白い作品でおました。

2016年6月 7日 (火)

「シークレット・アイズ」⇒ジュリア・ロバーツ主演作1

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刑事役ジュリア・ロバーツと、検事役ニコール・キッドマン

大女優共演による、ミステリー・サスペンスの快作

http://www.secret-eyes.jp

6月10日のフライデーから、キノフィルムズの配給によりまして、TOHOシネマズ シャンテ、大阪ステーションシティシネマやらで、全国ロードショー。

本作は、2015年製作のアメリカ映画111分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 STX Productions, LLC. All rights reserved.

共に、アカデミー賞の主演女優賞を、既にゲット。

しかも、同年齢・同世代の、共にハリウッドを代表する女優、

ジュリア・ロバーツとニコール・キッドマンが、初共演しはったで~。

さらに、2人共に、キャリア初とも言える役柄どす。

ジュリア・ネーさんは刑事役で、ニコール・ネーさんは検事役。

共に司法関係の役にして、しかも、ミステリーかつサスペンスなハラドキの、スリリングな作品になっとります。

加えて、こんな2人に絡むのは、ジュリア・ネーさんの元相棒刑事役の、主人公役キウェテル・イジョフォー。

アカデミー作品賞をゲットした「それでも夜は明ける」(2013年製作・アメリカ映画・弊ブログ分析済み)では、

虐待される黒人役を、単なる奴隷やない、巻き込まれ型の演技で、魅せてくれはりました。

そして、今作では、迷宮入りの事件を追う、ストイックかつヒロイックな演技を、渋く披露しはります。

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ジュリアとニコールとの、絡み具合も絶妙どして、主人公とニコールとの間では、ほのかなラブもあるかもな~、なカンジどした。

9.11テロが発生した時に、ジュリアの娘が、レイプで殺されてしまいます。

被害者が近親者やったために、ジュリアは捜査から外され、主人公が代わりに、犯人を追いかけるちゅうことになったんやけど、

結局、迷宮入りの憂き目に遭います。

そして、2015年の現在。

刑事を辞めて、私立探偵になっていた主人公は、遂に犯人の目星を付け、

現役刑事のジュリアや、検事のニコールと共に、真犯人を追ってゆくとゆう展開でおます。

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現在と過去の捜査が、映画的にはカットバック的に、同時進行してまいります。

その対比の妙味が、サスペンス度合いを、増してゆく作りになっとります。

さてはて、本作は、アカデミー賞外国語映画賞をゲットした、アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」(2010年・弊ブログ分析済み)の、

ハリウッド・リメイク作品になっておます。

かつても披露しとりますが、その種の映画の、マイ・ベスト・スリー(順不同)を、思いつくままに言いますと…。

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●ベスト⇒①ディパーテッド(2008年)②荒野の七人(1960年)③本作

●いっぱいあるんやけど、「インファナル・アフェア」(2002年・香港)のリメイクで、アカデミー作品賞受賞の①。

黒澤明の最高傑作「七人の侍」(1954年・日本)の、西部劇的リメイク②。

そして、本作。①と同じく、いわゆる刑事ものサスペンスのタッチやけど、本作の方が、サプライズ度合いは、強烈至極でおます。

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元ネタ作を見た方は、モチ、その結末は、分かってるとは思うけど、

それでも、各人の演技の妙もあり、ビックラこいたで~度は、かなりのもんでおましたえ。

さて、ニコールとジュリア。どっちの演技が上やったやろか。

見る人によって違うやろけど、ボク的には、キー・パーソンともなるジュリアに、軍配を上げたいと思います。

演技対決こそ面白い、2大女優共演映画でおました。

2016年6月 5日 (日)

有村架純主演「夏美のホタル」⇒日曜邦画劇場

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有村架純のアイドル性に、ググッと魅せられる1本

吉行和子・小林薫らと、堂々と渡り合うのだー

http://www.natsumi-hotaru.com

6月11日の土曜日から、イオンエンターテイメントの配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016「夏美のホタル」製作委員会

有村架純(ありむら・かすみ)。みんな、知っとるかー。モチ、知っとるわな。

若い世代はもちろんやけど、おじさん・おじん世代でも、

現在JRA(日本中央競馬会)のキャラクターを、鶴瓶・瑛太と共にやってやるんで、老若男女みんな知っとるねん。

昨日分析した、高畑充希もそうなんやけど、彼女もNHKの朝ドラが、ブレイクのきっかけとなった女優だす。

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但し、彼女は主演やなかった。

けども、「あまちゃん」の新人クラス女優の中では、主演の能年玲奈、助演の橋本愛と比べて、

今や最も売れてしもた、女優ちゅうことになっとります。

芸能界の不思議やら、魑魅魍魎はあるとは思うけど、彼女が一頭抜けたのは、

演技でもなく、美貌ぶりでもなく、好感度の良さでもないと、ボクは分析いたします。

ほな、なんやねん、なんやけど…。

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おそらくこれは、流れ・展開・運とかのもんが、作用してるんやないやろか。

彼女はあくまで、クセのない演技を見せはります。

喜怒哀楽を、エキセントリックに見せることもなく、ボクが見た範囲では、

代表ヒット作「ビリギャル」(2015年)でさえ、定番をはずさない、大人しい演技やったと思うんです。

はっきり言いますとでんな、彼女はアイドルなんです。

しかも、演技がどうのこうのは、ほとんど関係のない、

昔ながらのアイドルチックが、グーンと香ってはる女優なんです。

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クールな演技も、チョイ熱の演技も、演技の仕方はおんなじようなテイスト。

「あまちゃん」同期の橋本愛ちゃんにも、そのあたりのセンスは、カンジますが、

架純ちゃんの場合は、もっとクールで無表情だす。

能年玲奈の方が、感情の起伏演技では、突出したものを見せはりますが、

いずれにしても、喜怒哀楽を、タイトにキレ良く見せない架純ちゃんは、

ある意味で、21世紀的なクール女優なんかもしれまへん。

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彼女はホタルを撮ろうとする、写真学校の学生役で、

死んだオトンとの、思い出の地へ行ったら、ワケありの親子と出会い、家族のキズナへと、想いを馳せることとなり、そして…。

親子のキズナを、3世代にまたがり、描くとゆう映画は、いっぱいあるけど、

本作は、その種の定番的描き方を、外した作りをしてはります。

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さてはて、本作は、最近作では、「オオカミ少女と黒王子」(5月22日付けで分析)の監督、廣木隆一監督作品でおます。

監督のスキな、長回し撮影も頻出します。

冒頭の、架純ちゃんが、彼氏とベッド・インするシーンとか、

病院でのゆっくりの、半回転撮りとか、

ツーショットからヒロインへと、回り込むようなカット、ロングショットの長回しなど、イロイロあります。

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ロングショットと、ヒロインをメインにしたアップの、バランス感も秀逸やったし、

風や蝉の鳴き声の、効果音の使い方、

さわやかスロー・ポップスや、ピアノ・バラードなどの、ドラマティックな使い方にも、魅せられました。

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有村架純ちゃんの、アイドル映画チックなノリやけども、

吉行和子、小林薫、光石研らの大御所・演技派・名バイプレーヤーたちとの、絡みもあり、

最後までドラマ・テンションは持続し、癒やしのラストシーンへと、つながってまいります。

ラブ・ストーリーとしても、家族映画としても、楽しめる作品どした。

2016年6月 3日 (金)

「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」⇒高畑充希ととネー主演

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高畑充希と岩田剛典の、純愛・純潔ラブ・ストーリー

雑草・野草が恋を促進する、新タイプの恋愛映画だ

http://www.shokubutsu.jp

6月4日の土曜日から、松竹の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒ2016「植物図鑑」製作委員会

朝ドラ「とと姉ちゃん」主演で、今や国民的人気女優を邁進中の、高畑充希(たかはた・みつき)ちゃん。

ミュージカル「ピーターパン」で、元気印を遺憾なく発揮した彼女が、

その性格役者ぶりを、その後も果敢に開眼・進化してゆかはりました。

さて、ここで、彼女の映画作品における、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順位通り・全作は本作とカルト②を除き、弊ブログ分析済みどす)を、披露いたしますと…。

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●ベスト⇒①本作②バンクーバーの朝日(2014年製作)③書道ガールズ!!わたしたちの甲子園(2010年)

●カルト⇒①女子ーズ(2014年)②ドルフィンブルーフジ、もういちど宙(そら)へ(2007年・彼女の映画デビュー作)③アオハライド(2014年)

●ベスト③やカルト②の元気印こそ、「とと姉ちゃん」の原点的演技やと思います。

また、戦隊ものの元気印にも、魅せられたカルト①も、そうでおましょうか。

ベスト②の家族の中の、妹としての複雑な演技も、演技派ぶりの一端を、示してはりました。

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でもしか、最もハラドキを、観客に示してくれはる、彼女の演技となれば、

カルト③や本作のような、ラブ・ストーリーにおいてやないやろか。

三角関係構図の中での、ハラドキがあるカルト③。

そして、本作は、1対1の男女関係の中で、その恋愛の行方が、もどかしくてワクワクできるような、そんな作品になっとります。

彼女主演による、初の本格的ラブ・ストーリーでおまして、

はっきりゆうて、彼女の映画における、最高傑作とも言える仕上がりを、示してはります。

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さてはて、本作について、さらに分析いたしますと…。

純愛・純潔映画とゆうのは、これまでに多数、出回っておますけども、

そんな中でも、ラブ・ストーリーとしての新機軸が仕込まれた作品でおます。

「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)みたいな、よくある病系でもなく、

テレビのトレンディードラマみたいに、わざとらしい設定による、恋愛映画の流れでもありまへん。

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1人暮らしで、フツーのOLやってはる充希ちゃんが、ある日、

道端で倒れとったイケメンの男(「三代目J Soul Brothers」の岩田剛典)を、彼からの願いで、拾わはるんでおます。

アパートの部屋に持ち帰って、一宿一飯を施さはった。

彼の料理のうまさにもホレて、ずっといていいよと言ったところ、

彼はほな、半年だけ置いてくださいとゆう。

さらに、コンビニのバイトもやって、彼女の金銭的な負担も、軽減しはります。

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そして、本作の最もキモとなるところ。

彼が彼女を連れて、川辺や公園などを散策し、はえてる雑草を食材にしてゆくプロセスの中で、

2人のキズナが深まってゆくとゆう、ストーリー的展開の妙味でおましょう。

いやはや、新鮮味にして、斬新極まりない。

こんな恋愛映画は、かつてありまへんやろ。

キモでは、バイオリンを主にした弦楽オーケストラを流し、

Flowerの、キャッチーなナンバー「やさしさで溢れるように」でシメる。

映画を見て久々に、爽快なキモチになれた作品どした。

2016年6月 2日 (木)

「冬冬の夏休み」「恋恋風塵」⇒デジタル・リマスターバージョン

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台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督の、傑作2作がリバイバル

少年・少女映画の快作と、淡いラブ・ストーリーの傑作

http://www.tontonrenren.jp

6月4日のサタデーから、熱帯美術館の配給によりまして、大阪・テアトル梅田で、6月11日から、東京・新宿K's cinemaやらで、全国順次のロードショー。

「冬冬(トントン)の夏休み」(写真下1~3枚目)は、1984年製作の台湾映画98分。

「恋恋風塵(れんれんふうじん)」(写真下4~6枚目)は、1987年製作の台湾映画110分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸA MARBLE ROAD PRODUCTION 1984

ⒸCENTRAL MOTION PICTURE CORPORATION 1987

台湾の監督ホウ・シャオシェンの、初期傑作2本が、デジタルリマスターを施されて、リバイバル上映されます。

ちゅうことで、監督のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順位通り)を、披露いたしますと…。

●ベスト⇒①恋恋風塵②悲情城市(1989年)③黒衣の刺客(2015年・台湾&中国&香港&フランス・弊ブログ分析済み)

●カルト⇒①冬冬の夏休み②珈琲時光(2003年・日本)③フラワーズ・オブ・シャンハイ(1998年・台湾&日本)

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●4字熟語やないけど、そんなタイトルが多いけど、素朴かつシンプルかつ、静けさの中で展開する物語の数々。

そして、全てにおいて、普遍性のあるものだす。

アクション・シーンもある、女暗殺者を描いたベスト③などでさえ、静謐なる間(ま)が、絶妙に配された作品どした。

さて、今回、リバイバルされる2作やけど、ベストとカルトの、マイ・ナンバーワンにした2作を見てみますと…。

まずは、ベストから。

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いきなりのネタバレで、スンマセンやけど、失恋・破局の結末となってまう、ラブ・ストーリー「恋恋風塵」。

失恋映画はこれまでに多々あれど、この作品のテイストやタッチは、

その種の映画を見てきた方の感覚を、たぶん覆すような作りに、なっとるかもしれまへん。

2人の恋の行方とゆうか、その流れは、決してラブ・ストーリー的定番やありまへん。

2人に幼なじみ的なとこは、あるかもしれへんけど、ラブラブちゅうのんは、全くないんどす。

それでいて、切なさ感が長く、ココロに残る作品。

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主人公のオジンが、発し続けるたわ言の面白さが、「恋恋…」の、今一つのキーになっとると思うんやけど、

ラスト・シーンでは、それがキョーレツに胸にきました。

ちゅうか、メッチャ余韻深いんどすえ。

「サツマイモは、薬用ニンジンより(育てるのが)大変さ」ナンチューセリフに、グッときてまうんだす。

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そして、「冬冬…」。

冬と夏が対比されとるような、タイトルは別にして、そんな冬冬が妹と共に、夏休みにオカンの実家に帰って、

いろんな体験をする、少年少女コドモ映画の、原点的作りになった作品どす。

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「赤とんぼ」のフエによる、インストゥルメンタルの郷愁感を始め、

クラシックを流しての、田園風景の美。

緑の風景から、スズメたちのさえずりまで、視聴覚を潤す、自然風景シーンの数々に、魅せられました。

また、両作共に、映画的ロングショットの多投や、長回し撮影部にも、グッときましたえ。

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「黒衣の刺客」に、魅せられた方はモチ、監督の作品を未だ見ていない方も、この2作を見れば、文句なしだす。

素朴シンプルの向こうに見える、純粋なキモチに、ココロ癒やされることでおましょう。

2016年6月 1日 (水)

「シリア・モナムール」⇒衝撃の戦争ドキュメンタリー

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混乱の1001の映像が、容赦なく展開していく

動画通信が見せる、ディープ・インパクトな映像の数々

http://www.syria-movie.com

6月18日のサタデーから、「テレザとサニー」の配給によりまして、全国順次のロードショー。

関西やったら、7月中旬から、第七藝術劇場やらで上映どす。

本作は、2014年製作の、シリア&フランス合作映画・本編96分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 LES FILMS DTCI-PROACTION FILM

はっきりゆうてみます。

本作は、映画史に残る、ディープ・インパクトなドキュメンタリー映画どす。

ちゅうことで、かつてもやったけど、ドキュ映画のマイ・ベスト、

今回は歴代マイ・ベストテン(いちおう順不同)を、思いつくままやけども、披露さしてもらいます。

①ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年製作・カナダ映画)②ゆきゆきて、神軍(1987年・日本)③東京オリンピック(1965年・日本)

④ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年・ドイツ&アメリカ&フランス&キューバ)⑤東京裁判(1983年・日本)⑥ウッドストック 愛と平和と音楽の三日間(1970年・アメリカ)

⑦本作⑧ある映画監督の生涯 溝口健二の記録(1975年・日本)⑨民族の祭典(1938年・ドイツ)⑩華氏911(2004年・アメリカ)

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●突撃社会派ドキュの①②⑩、オリンピックを捉えた③⑨、音楽ドキュの④⑥、歴史的記録の⑤や、ヒューマン・ドキュ⑧など、多彩に選んでみたけども、

そんな中でも、戦争・内乱・テロ・ドキュなんぞに特化して、思い出してみると、これまでに戦争ドキュはいっぱいあるし、

21世紀以降も、9.11以降のドキュが、かなりのタイトル数で出てまいりました。

今回は挙げてまへんが、東日本大震災など、自然災害な重大事件ものも、頻出しとります。

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但し、戦争ドキュとゆうのは、これまでは生々しいとこを回避した上で、展開するドキュが大がいでおました。

しかも、ナチものアウシュヴィッツものでも、かつての映像を見せるだけで、新たに撮り下ろされたとこは、皆無やったんやないかと思います。

ところがどっこい、本作は、現在進行形の今の話を採り上げ、そして、殺戮シーンを含めて、情け容赦なく、とらえ上げた作品でおます。

フツーは、こおゆう映画は、R指定やら制約があり、全世界的に幅広く劇場公開できるような映画には、とてもなりまへん。

でも、日本未公開になりかねない、この種の映画がでんな、東京を皮切りに公開されまんねん。

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とにかく、衝撃的な映像の連続です。

監督が撮った分以外に、シリア祖国を逃れパリにいてる監督が、

現地でサバイバルしてる、父母を亡くした女性との、映像・動画のやり取り分、

さらに、いろんな人が撮った分の、全1001にわたる、トンデモナイ・エグイ映像が、編集されとります。

次々にくる斬殺、死体の山・山・山には、かのアウシュヴィッツの映像以上の、インパクトがありました。

また、サバイバルするコドモたちや猫たちの、素朴で純真な姿にも、胸を打たれます。

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カメラが揺れまくり、音声の途絶えがちの、ざらついた混乱の映像ぶり。

パソコンのクリック音が絶えずしていたり、一方で、美しい自然風景やらを挿入し、

さらに、監督と女性の周辺描写で、詩的で抒情的なとこがあったりと、

戦火のムゴタラシサとの対比、あるいは「静と動」の描写の、バランス感がスゴイ。

ストレートに描く、この種の戦争ドキュでは、かつてなかった映画的作りどした。

「二十四時間の情事」(原題・ヒロシマ・モナムール/1959年・フランス&日本)やら、「誓いの休暇」(1959年・ソ連)やらの名作が、

斬殺シーンやらの中で引用されて、痛々しさを増してゆきよりました。

とゆうことで、戦争ドキュメンタリーの、21世紀の最高傑作です。

「バット・オンリー・ラヴ」⇒ポルノ映画の会心作

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ポルノグラフィー版夫妻映画や~

単にヤラシーやない、心理的セックス・シーンが展開するんやで~

http://www.but-only-love.com

5月28日の土曜日から、東風の配給によりまして、第七藝術劇場やらで、全国順グリのロードショーだす。

本作は、2015年製作の、日本映画89分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ「But only love…」製作運動体

ポルノグラフィーな日本映画は今、どないなっとるんか。

いやはや、恒常的に作られ続けてはおますけども、なかなか一般の映画館で、見られる機会は、少なくなっとります。

日活ロマンポルノもない今、そんなポルノ映画は、どんな方向へ向かってゆくのか。

ある意味では、本作がそのイニシアチブを握るような、快作になったんやないかと、ボクは思います。

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21世紀に見た、ポルノチック邦画の、マイ・ベスト・スリーをば言いますと…。

①本作②華魂(2016年・弊ブログ分析済み)③花と蛇(2010年・ブログ分析済み)

●緊縛系を始め変態系セックスが、テンコ盛りの③などのように、ポルノ映画の粋を、盛り込む作品が多い中でも、

②のように、ポルノチックと映画への愛を、ミキシングした作品とか、

夫婦・夫妻映画とポルノ映画を合体させ、ひいては、シニア映画としての苛立ちやらを、

往年の谷崎潤一郎原作映画のように、披露するナンチュー、本作のような映画は、

ヤラシーポルノ性に、人間ドラマとしての映画性を付加して、

映画としての、この種のジャンル映画の、未来の方向性を示してるんやないかと、ボクは思いました。

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声帯を壊し喋れなくなった、ダンナが主人公でおます。

主人公とヨメの、セックス・シーンから始まるんやけど、そんなヨメとのセックスを、思い出したりしながら、

主人公はイロンなことを、ヤラはります。

昔の愛人の愚痴を聞いたり、ホンマに自分のコドモかちゅう、娘はんとの確執部、

さらに、娘にヤラレル、近親相姦な妄想シーン、

温泉へ行っての、夫婦交換セックス・シーンなどが、続いてまいります。

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喋れない主人公が、ヨメに向けて、何を言っているんか分からないシーンやけど、その熱意ぶりに、ウーンとうなったり、

娘はんと主人公の、心理を見せる長回し撮影部、

ギターとピアノとドラムのサントラ使い、

歪みカットのセックス・シーンと、主人公の逃亡シーンを束ねたりと、

映画的に意図的に、作られたシークエンスにも、モチ魅せられる映画でおました。

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消えたヨメを探して、旅をする主人公の姿を、映すラスト・エピソードこそ、本作のキモとなるとこでおましょうか。

ポルノ映画チックを、フィルターにしながら、夫妻映画の粋を見せる作品。

近作なら、阪本順治監督の新作の、夫婦映画「団地」(5月28日付けで分析)などと、見比べてもらいたい作品どした。

多彩にある夫婦映画の中で、異彩を放つ1本です。

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