無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »

2016年4月の記事

2016年4月30日 (土)

4月に見た年間マイ・ベストテン級作品⇒「64」始め4作

●日本映画

★「64 ロクヨン 前編/後編」(佐藤浩市主演/前編5月7日公開・後編6月11日公開)

Photohttp://www.64-movie.jp

★「ひそひそ星」(園子温監督・神楽坂恵主演・5月14日公開)

Photo_2http://www.hisohisoboshi.jp

●外国映画

★「シークレット・アイズ」(ジュリア・ロバーツ&ニコール・キッドマン共演/6月10日公開・アメリカ映画)

Photo_3http://www.secret-eyes.jp

★「レジェンド 狂気の美学」(トム・ハーディ主演/6月18日公開・イギリス&フランス合作)

Photo_4http://www.legend-movie.net

●今月は邦画2本・洋画2本を選びました(全作は全て、後日分析いたします)。

邦画では、まず「64」。

横山秀夫の原作ミステリーを、超えたとは申しませんが、原作では消化不良となっていたところを、映画ではキチンと描写。

骨太の大作になっています。

「ひそひそ星」は、商業作品の監督が続いた園子温監督が、

自分のヨメさん神楽坂恵を使って、おのが作家性を存分に発揮した作品。

モノクロがメインになってます。

ほかには、阪本順治監督・藤山直美主演の「団地」(6月4日公開・後日分析)なども良かったのですが、

監督・藤山の傑作「顔」(1999年製作)と比べると、ビミョーに厳しいとこがあり、残念ながら、はずしました。

洋画では、「シークレット・アイズ」。

ジュリア・ロバーツとニコール・キッドマンの共演。久々に大物女優が共演してるような、ハリウッド映画らしさに、胸がときめいた1作でした。

トム・ハーディが、実在したギャングの双子の兄弟を、1人2役で演じた「レジェンド」。

双子の演じ分けもさることながら、バイオレンス映画としても、「ゴッドファーザー」(1972年製作・アメリカ映画)のノリも感じました。

パレスチナ映画「オマールの壁」(東京は公開中・大阪は5月7日から・後日分析)や、

「木靴の樹」(1978年・フランス)で有名な、エルマンノ・オルミ監督の、戦争映画「緑はよみがえる」(東京は岩波ホールで公開中・大阪は5月21日から)も、渋くて良かったです。

(選=映画分析研究所 所長 宮城正樹)

2016年4月29日 (金)

「テラフォーマーズ」⇒伊藤英明・山下智久・武井咲らオールスター共演

1_4
火星のゴキブリ・モンスター群と、11人の人間が対決

コミック原作による、SFサバイバル映画の怪作品

http://www.terraformars-movie.jp

4月29日の本日「昭和の日」から、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、全国ロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

5_3
Ⓒ2016「テラフォーマーズ」製作委員会

人類の火星移住化計画としてでんな、火星を地球化すべく、コケとゴキブリを火星に送って、温度を上げようとした。

そんなん、無理やがな~。送った時点で、枯れて死んでるで。

ところがどっこい、送ってから500年後。

何とゴキブリどもは生き延びて、ゴキブリ人間として巨大化し、何万匹もが、群れを成して生活しとるがな。

つまり、火星は地球化しとるワケやけど、でもしか、このゴキブリ・モンスターたちを、駆逐・駆除せな、人類は住めまへんがな。

3_2
そこで、火星へ行ってゴキブリと戦う、11人のワケありの人間たちが、多額のギャラを提示されて集められたんどす。

しかも、各人を、虫同士の戦いやからやゆうて、いろんな虫の機能を入れた人間に、改造・手術してもうたちゅう設定。

ほんでもって、いざ、火星へ。

コミック原作らしく、マンガチックにして、いかにも頭の中だけで考えたような、妄想系の話に見えますけども、

実は、原作者は、ファーブル並みに虫のことを調べてはるし、火星のことも。

本編で、どんな虫になった戦士なのかが、説明されるんやけど、そこでも、原作者のハンパやない博学ぶりが披露され、

トンデモない妄想系のドラマに、リアリティーを大いに付加してはりますねん。

4_2
さてはて、ゴキブリ・モンスターの造形ぶりは、どないやねんもあるやろけど、

いろんな虫の能力ある、11人のキャラ・役者のユニークな面白さ・魅力が、アレマ~ちゅうくらい、楽しい仕上げになっとります。

「オーシャンズ11」(2001年製作・アメリカ映画)の11人を、意識してはるんやろか。

最後のサプライズに関わるキャラなんやけど、火星に来ていきなり殺されてまう武井咲チャン。

主人公となる伊藤英明。「海猿」シリーズ(2004年・2006年・2010年・2012年・一部弊ブログ分析済み)のヒロイズムを、今作でもカンジましたやろか

山下智久、山田孝之、ケイン・コスギ、菊地凜子に加え、仕掛け人となる小栗旬なども含め、

地上での過去の追想シーンなども入れつつ、ゴキブリとの戦いが、激戦モードで展開してまいります。

2_2
いわゆるSF系の、サバイバル映画やと、ボクは思います。

その種の映画の、マイ・ナンバーワンは「エイリアン」(1979年・アメリカ)でおますが、

パニックもの、例えば「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年・アメリカ)なんかも、サバイバル映画の傑作やと言えましょうか。

6_2
邦画に目を向けて見ると、どないやろか。

マイ・ベスト・スリーは、順不同で

「十三人の刺客」(2010年・弊ブログ分析済み)「バトル・ロワイアル」(2000年)「日本沈没」(1973年)なんやけど、

本作の監督・三池崇史監督としては、「十三人の刺客」がナンチューてもスゴイ。

そのノリと激しさを、本作にも思いっきし、ぶつけてきはりました。

7_2
火星に見立てた、日本映画初のアイスランド・ロケの雄大さ、

ラストロールで流れる、「三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE」による、キャッチーなナンバー「BREAK OF DAWN」の余韻感、

シリーズ化されそうな終わり方など、いろいろココロときめきまっせー。

ちゅうことで、ゴールデンウイークに、みんなと一緒に、ワイワイガヤガヤと、見に行ってくだされませ。

2016年4月28日 (木)

「ちはやふる 下の句」⇒広瀬すず主演作の後篇

1_3
ラブ・ストーリー部よりも、対決シーンがポイント

クライマックスは、広瀬すずバーサス松岡茉優

http://www.chihayafuru-movie.com

4月29日の「昭和の日」から、東宝の配給によりまして、全国一斉のロードショー。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

2
Ⓒ2016「ちはやふる」製作委員会 Ⓒ末次由紀/講談社

前篇「上の句」(弊ブログ3月18日付け分析済み)の展開から、

後篇は3人(広瀬すず・野村周平・真剣佑)の、三角関係チックなラブ・ストーリーに、なるんやないかと、

ボクは予想しとったんやけど、かなりと大きくハズしてしまいました。

まさに、真剣勝負の本格的な、部活対決もの。

ほんで、広瀬すずチャンも、「上の句」でも示した、アイドル映画のヒロインとしての、好感度の高さをキープしながら、

ギリギリのド根性ぶりを、見せてくれはります。

5
「上の句」の分析では、前篇だけなんで暫定的に、ラブ・ストーリー抜きの、邦画文化系部活映画の、マイ・カルトに入れとりましたが、

シメの後篇を見て、ベストに入れたくなってもうたんで、ベストへとスライドいたします。

ほんでもって、体育会系も入れた、高校限定の部活映画としては、どないやろか。

カルトも入ってるかもしれへんけど、その時々の思いつくままで、スンマヘンやけど、

マイ・ベスト・ファイブ(順不同)をば、披露いたしますと…。

6
①ちはやふる(2016年製作・広瀬すず)

②がんばっていきまっしょい(1998年・田中麗奈)

③スウィングガールズ(2004年・上野樹里)

④シュート!(1994年・SMAP)

⑤ウォーターボーイズ(2001年・妻夫木聡)

●高校野球映画にも、エエのがあるけど、今回は外しましたが、いずれも熱血度合いの、激しい作品ばかりでおます。

矢口史靖(やぐち・しのぶ)監督の③⑤などは、コミカルな余裕はあったけど、

SMAPが大マジにやった、サッカーもの④や、女子ボート部の熱い想いを描いた②。

この②の熱きセンスが、本作にもあったかと思います。

ちなみに、全作がアイドル的映画としても、捉えられなくはないんで、主演級役者を付記しとります。

7
写真上3枚目から最後までは、ほぼストーリー順に、写真を挿入いたしました。

3枚目は…。

3人の幼なじみやった、カルタ・プレイヤーやけど、実家の福井(最寄駅は芦原温泉駅)へ帰ってる真剣クンが、

もうカルタやめるてゆうたことから、えらい心配して東京から、すずチャンが、野村クンをお供にきたけど、

結局、師匠たるオジンが死んでしもて、傷心中の真剣クンの、ココロをひるがえすことはできずに、東京へ帰るシーンどす。

そんな真剣クンと、野村クンのやり取り(5枚目)。

真剣クンと、真剣クンと親しい松岡茉優の、カルタ練習シーン(4枚目)。

4
そして、クライマックスの近江神宮決戦を前にして、すずチャンと茉優との、すれ違いカット(6枚目)。

いざ決戦シーンの7・8枚目。

2人の決戦シーンへ向けて、巧妙に伏線シーンやらを設けて、

ハイライト・シーンを、盛り立てるちゅうような作りでおました。

3
すずチャンの熱血の必死さ、逆に常に冷静沈着な茉優。

この2人の激戦の行方は? 

最後まで熱気に、乗せられる映画でおました。

近年マレに見る、部活熱血ド根性映画やったと思います。

8
YUI主演「タイヨウのうた」(2006年)や、音楽映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」(2013年・弊ブログ分析済み)など、

話題作を手掛けてきはった、小泉徳宏監督論も論じたいとこどすが、

いずれにしても、前向きに生きるヒロイン映画が、監督作のメインにあります。

本作は、アイドル映画の枠を超えて、老若男女の誰もが、元気がもらえる映画やと言えましょう。

日本映画「華魂 HANA-DAMA 幻影」⇒トンデモポルノ映画

1_2
映画愛を装いつつ、バクレツ・ポルノへと転換

ヤラシー映画の、進化型を示す問題作

http://www.hanadama-movie.com/

4月30日の土曜日から、渋谷プロダクションの配給によりまして、新宿ケイズシネマで、全国順次のロードショー。

本作は、2016年製作のニッポン映画で、「R-18+」指定映画83分。

Ⓒ「華魂」プロジェクト

本作は、DVD化され、全米での配給も決定しとる「華魂~誕生~」(2014年製作)の、第2弾として公開されます。

華魂(はなだま)ちゅうのは、本作のオリジナル用語でありまして、

女性の下半身のアソコを、華々しいの華にたとえ、ほんで、そこに魂が宿っているとゆうとこを、示してはります。

まあ、そんな局部をポイントに、局部にまつわる話をインサートしもって、

最後には、ヒロインの開放へと向かう物語だす。

ちゅうても、屁理屈は抜きにして、はっきりゆうて、いわゆるポルノチックな映画でおます。

2
かつての日活ロマンポルノの、かなりの作品にあった、濡れ場メインの、ヤリマクリ映画とは少し違って、

メッチャなトンデルポルノ映画に影響を受けて、遂には、観客のみんながしたくなってまうとゆう、

濡れ場ポイントなクライマックスが、きっちりとしたカンジの映画どす。

最初は、閉館する映画館で、ラスト上映するラブ・ストーリー「激愛」とゆう映画が、

今はない映画フィルム質感により、一部が映されます。

ポスターからも、「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ映画)を思わせるように、見せかけてはります。

でもしか、カットバック的に映されるその映画は、トンデモない、

男でさえも思わず、目をそむけたくなるような、究極のポルノ映画でおました。

3_2
そして、その映画が、ドラマ内で見てる観客たちの、ヤリタイゴコロを、洗脳チックに、くすぐる設定になっとりますねん。

一方で、この映画館の映写技師を、やってはる主人公(大西信満)の、エピソードがあります。

彼の前に突然のように、喋れない若い女(イオリ・写真上から3枚目)が現れよりますねん。

ちなみに、彼女はラスト・シーンやらで、オール・ヌードを披露しやるねん。

でもって、彼女は、かつて8ミリ小僧やった主人公の、忌まわしい記憶に刻まれておますところの、女やったんです。

5_2
女は男に暴行されて絞殺された。そこを主人公は8ミリで撮影しときながら、止めにいかずに、彼女を見殺しにしてしもた。

この過去の逸話が、主人公と幽霊・幻影と化した彼女の、束の間の付き合いの中で、ビミョーな影を落としてまいります。

彼女は彼に復讐したいのか、それとも…。

そのあたりが、閉館間際の映画館でのセックス騒動と、どう絡んでくるんか。

見る人によって、感触は違うかとは思いますが、

ボクは、ポルノ映画の破天荒とシリアスを、ミキシングしたような作品やと見ました。

4_2
ボク的には、川瀬陽太と愛奏が共演したちゅう、映画内映画「激愛」の、ディープ・インパクトに、ココロに激震が走りましたがな。

単にセックスするだけやないとこの、ハード・バイオレンス度合いは、

「愛のコリーダ」(1976年・日本&フランス)並みの、凄みを感じました。

いずれにしても、挑発的かつ刺激的な作品でおました。

みんなと一緒に、とはナンボ何でも薦められへんけど、

GWなんぞに、1人ひっそりと見に行って、お楽しみくだされませ。

2016年4月27日 (水)

「ノーマ、世界を変える料理」⇒イギリスのドキュメンタリー映画

1
北欧料理を捉えた食ドキュメンタリー

「エル・ブリの秘密」と、優るとも劣らない仕上げ

http://www.noma-movie.com

4月29日のホリデー「昭和の日」から、ロングライドの配給によりまして、新宿シネマカリテほかで、全国順次のロードショー。

本作は2015年製作の、イギリス映画99分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

3
Ⓒ2015 DOCUMENTREE FILMS LTD

これまでに、弊ブログでは、食ドキュメンタリーを数多く分析・紹介してまいりました。

ただ、ボクは食に関しては疎くて、

恥ずかしながら、いっつも恐る恐るのカンジで、書き込んできたように思います。

6
日本のテレビ番組では、「魔法のレストラン」とか「スマスマ」の「ビストロスマップ」コーナーなどの、人気番組に加え、

恒常的に作り方を、メインにしたお料理番組に、根強い人気があります。

そんな中で、映画の方ではどうなっているのかと、みなさんは思われることでしょう。

12
さてはて、ここ数年の、食ドキュのマイ・ベスト・スリー(順不同)を、思いつくままに、披露してみますと…。

①本作

②エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン(2011年製作・ドイツ映画・弊ブログ分析済み)

③二郎は鮨の夢を見る(2011年・アメリカ・弊ブログ分析済み)

●「ありあまるごちそう」(2005年・オーストリア・ブログ分析済み)など、

飽食の時代を批判的に捉えた作品などは、社会派ドキュとのことで外してます。

7
3作全作が、フランスのミシュランの星を獲得した、料理店を描いた映画になりました。

①の本作と②はレストラン。

③はアメリカ製作の日本の寿司店。本作はイギリス製作のデンマークの店。②はドイツ製作のフランスの店。

自国製作で描く店でない点は、客観的に冷静に見て撮れるということなんでしょうか。

いずれにしても、本作のように、デンマークのレストランなんて、描くにしても、かなりと意外性があります。

4
しかし、目の付けどころは、ミシュランではなく、「世界ベストレストラン50」という、世界的レストランアワードで、4度も年間ベストワンを獲得した点。

さらに、レストラン「ノーマ」オーナー・シェフのレネ・レゼピの、

生き方や料理哲学などに、かつての料理人にはない、オリジナリティーを感じたみたいです。

8
デンマーク北欧の地元の食材のみで、料理を作るというそのこだわり。

直感に従って、食材を選ぶというそのスタンス。

写真にも並べた通りに、そんな料理がベスト②のように、次々に作られてまいります。

ただ、作り方などは、企業秘密なとこもあってでしょうか、詳細には映されません。

9
本来なら、そういうとこを見せての、料理ものなんでしょうが、本作はあくまで映画。

ハウツーやノウハウは、いろんな料理DVDでも見られますんで、そちらを参考にしていただき、

ここでは、北欧の食材なんか、近所のスーパーにはないものですし、

完成品を観賞するだけで、湧き出る唾液を飲み込んで、ご覧くだされませ。

10
ただ、ボク的に言うと、料理の見栄えでは、メッチャおいしくは見えないんだよな~。

蟻を散らせた一品(写真上から3枚目)なんて、どおよ~。

蟻なんて、食わないよな~。

でもしか、このレストランは、マイ・ベスト②で描かれた、エル・ブリ並みに、大繁盛していたらしいです。

11
しかし、「ノーマ」でのノロ・ウィルス食中毒事件が、2013年に発生してしまいました。

オーナー・シェフはこの事態に、一体どうしたのでしょうか。

そして、事件を乗り越えて、再び世界レストラン・ランキングの1位に返り咲くまでが、

ドラマティック・モードを抜いて、さりげなく描かれます。

5
ラストロールで流れる、ピアノ・ポップ・ナンバーとスロー・ナンバーの、対照性なんかにも、グッときました。

ということで、料理人のヒューマニズムも描かれた、食ドキュの会心作だと、ボクは思います。

オランダ映画「孤独のススメ」

1
男の友情節を、新機軸で描いたオランダ映画

父子のキズナも、さりげなく描いた作品や

http://www.kodokunosusume.com

4月23日のサタデーから、アルバトロス・フィルムの配給によりまして、シネ・リーブル梅田、5月14日から、京都シネマ、シネ・リーブル神戸やらで、全国順次のロードショーだす。

本作は、2013年製作の、オランダ映画86分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2013, The Netherlands. Column Film B.V. All rights reserved.

オランダ映画やなんて、みなさん、見はったことはありますやろか。

日本上陸する作品もほとんどなく、ボクチン、これまでに、10本も見てへんのと違うやろか。

「ロボコップ」(1987年製作・アメリカ映画)でハリウッドで有名になった、オランダ出身の監督ポール・ヴァーホーヴェンの、オランダ製作作品とか、

ラブ・ストーリー「アムス→シベリア」(1998年)を見た程度だす。

2
そやから、オランダ映画色なんちゅうのは、全く分からへん中で、本作を鑑賞させてもらいました。

正直ゆうて、意外な作品やったです。

男の友情を描いてるんやけど、

これが友情ものとして、世界各国で作られとる作品群と比べると、かなりと異色で独特なもんがありました。

3
記憶喪失になった男とゆうたら、ヨーロッパ映画やったら、アキ・カウリスマキ監督の「過去のない男」(2002年・フィンランド)なんぞを思い出すんやけど、

そんな男を、1人で田舎で暮らす初老の男が、引き取って一緒に暮らし始め、ほんで、ゆっくりゆったりの癒やしのノリの中で、友情をはぐくんでゆくんであります。

4

また、男は喋れまへんねん。でもって、無表情。

でも、ヤギの鳴き声をマネて、コドモたちの人気になり、

主人公の初老の男は、相方の彼を使って、いろんな家庭で、ヤギ人間芸を見せて、小銭を稼いでゆかはります。

そして、ある日、彼の身元が判明し…。

7
映画にもよくある要素「記憶喪失」をキーにしながらも、

オランダの田舎の風景、厳格なキリスト教的質素な生活具合などが、独特な雰囲気を作っていってはります。

また、2人の馴れ初め描写もシンプルな設定で、ドラマティックな大仰さはありまへん。

そして、友情から男同士の恋愛へと発展してゆく、プロセス描写の、巧みのワザなどにも、注目しておくんなまし。

6
初めてアップ・シーンが使われる、相方をヨメとした、主人公の夢想シーン。

スロー・モーションが使われる、2人がマッターホルンへ行くラスト・シークエンス。

映画的に映える、印象深いシーンも多々ありますで。

5
さてはて、本編半ばで、主人公が家から追い出した息子が、アムステルダムのクラブで、人気歌手になっていて、

主人公オトンがそのショーを、見に行くシーンがあるんやけど、

このシーンは、謎めいたシーンとして見せられます。

そんな息子が最後には、見事な歌声を披露しはりまして、主人公・相方2人のキズナを、盛り上げる作りになっとるんだす。

父子のキズナを、ストレートに描く映画以上に、父子の愛も感じられた1作どした。

2016年4月26日 (火)

「太陽」⇒神木隆之介&門脇麦共演

1
「さようなら」チックな、演劇原作によるSF映画

2派に分かれて、披露するスタイル

http://www.eiga-taiyo.jp

4月23日の土曜日から、KADOKAWAの配給によりまして、角川シネマ新宿、池袋シネマ・ロサ、ユーロスペースやらで、全国漸次のロードショー中どす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

2_2
Ⓒ2015「太陽」製作委員会

演劇原作映画どす。

ブロードウェイなミュージカルやらとは違い、大手やなく、日本に限らず、多様にある中小劇団による、不条理演劇が原作になっとります。

しかも、シチュエーションなSFものや。

吸血鬼みたいに、太陽を浴びれば死ぬ人間(ノクス)と、死なない人間(キュリオ)に分かれとりまして、

死なない人間たち・キュリオ側の方が、階級的には、ノクスに支配・管轄されとるとゆう設定でおます。

6_4
貧富の差的に、2派に分かれた世界を描く映画ちゅうたら、それなりにありますが、

娯楽に徹するんやなく、演劇的芸術性を押し出すと、クエスチョンが生じる場合もあります。

本作と同じく、SFシチュエーションものの近作でゆうと、「さようなら」(2015年製作・弊ブログ分析済み)なんぞがありました。

7_2
ただ、「さようなら」は、人工知能ナンチュー現代的なポイントを含め、背景も東日本大震災を想起させ、

ある意味で、ベタな社会性を、意識的に織り込んでいたのに対し、

本作は、ウイルス感染以外は、そおゆうのはほとんどなく、

あくまで、想像によるフィクションな世界を、展開してはるんは、映画的虚構の面白さとしては良かったどす。

8_2
2派の争い映画なら、いっぱいあるんやけど、

下の者が上の者になりたいと思うとこが、ドラマ・ポイントの一つになっておますんで、争いが見どころになるんやありまへん。

神木隆之介と門脇麦の2人が、その、いわゆる上になりたい人間として、役を演じはるんやけど、

その演技具合を、どない見せるのか、演出するのかが、本作にとって重要なとこだす。

9_2
キュリオのオトン(古舘寛治)と娘はん(門脇麦)を、ほかしてノクスになり、ノクスの鶴見辰吾のヨメになったオカン(森口瑶子)から、

それとなく誘われた門脇麦は、ノクス界をのぞきに行かはります。

一方、神木クンは元から、ノクスを目指してはりましたが、ノクスになれるかどうかの、その結果は…。

10_2
長回しが、重要シーンで出てまいります。

5分くらいの、門脇麦ちゃんへの暴行シーンやら、

クライマックスのスッタモンダでは、10分以上の、ロングショットな長回し撮影を、敢行してはります。

3_3
役者陣の表情が見えない、ロングショット演技は、映画作家的には、エエカンジかもしれへんけど、

神木クンや麦ちゃんにとっては、演技で魅せるには、チョイ難しいとこがあります。

けども、そこんとこを、セリフと動きで緻密に演じて、キモチが観客に、伝わるようになっとります。

5_2
監督は、入江悠のアニキや。

「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」(2012年・ブログ分析済み)の、印象深い長回しは、本作にも通じとります。

音楽映画「日々ロック」(2014年・分析済み)や、スパイ映画「ジョーカー・ゲーム」(2015年・分析済み)ほどには、エンタに徹してはりませんけども、

その代わり、監督の映画作家性を、大いに発揮してはります。

母娘や男同士のキズナ描写も、ベタやないとこが、むしろ逆に心地良かったどす。

ちゅうことで、監督のターニング・ポイントな1作とも言える、そんな作品になったと思います。

2016年4月22日 (金)

「アイアムアヒーロー」⇒大泉洋・有村架純・長澤まさみ共演

1_2
ゾンビに吸血鬼色をチョイ、取り込んだゾキュンが登場

大泉洋も有村架純も長澤まさみも、サバイバル・アクションを披露

http://www.iamahero-movie.com

4月23日の土曜日から、東宝の配給で、全国ロードショー。「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2016映画「アイアムアヒーロー」製作委員会

Ⓒ2009花沢健吾/小学館

2_4
今どきのコミック原作でおます。

冒頭部はマンガ家志望の、マンガ・アシスタント(大泉洋)の話から始まるんで、

ひょっとして、マンガ家たちを描いた「バクマン。」(2015年製作・弊ブログ分析済み)のような話なんかいなと思たら、

大泉洋の、同棲相手(片瀬那奈)が、

ゾキュン(ゾンビっぽいけど、スピーディーな動きもできるし、吸血鬼みたいに噛むことがゾキュン化のポイント)になってしもて、

エビ反りな「エクソシスト」(1973年・アメリカ映画)みたいなアクションを披露し、大泉と対決するとこらから、

突然変異的に、ゾンビに襲われ系な、サバイバルものへと転換いたします。

7_3
一番最初の感染者、感染源は分からへんけど、

とにかく、噛まれて次から次へと人々が、ゾキュン化してゆきよります。

大パニックやがな。

大泉洋のアニキは、女子高生役・有村架純ちゃんと逃げはります。

でもしか、架純ちゃんが、赤ん坊のゾキュンに噛まれたらしく、逃げる途中でゾキュンになってしもた。

でも、赤ん坊やからか、フツーのゾキュンやなく、敵対的でもないんで、一緒に逃亡を続け、

2人は富士山の麓のホテルに、たどり着きます。

8_3
そこでは、屋上へ逃れた人間たちと、ビルの壁面はのぼれない、地上のゾキュンたちに分かれて、

サバイバルが展開しておりました。

そんな人間たちの中に、長澤まさみネーさんがいてはります。

猟銃を所持してる大泉。

英雄とゆう名前から、架純ちゃんから「ヒーロー」と呼ばれ、その気になってしもて、引き気味のヒロイズムから、最後は大バクハツしはりまっせ。

9_3

さらに、長澤まさみネーさんが魅せる、アクション・シーン。

大泉、まさみネー共に、アクション映画には、あんまし似合わないとは思うけど、その必死さに手に汗握れるし、

一方、同じくアクション映えしない、有村架純ちゃん。

ゾキュンになって以降は、無表情でクールで大人しく、赤ん坊みたいに眠り続けたりしてはりますが、

ここぞとゆう時には、キレある瞬間アクションをば、披露しやるねん。

6_5
さてはて、かつてのハリウッド映画のアクション映画にあった、モチ今もあるやろけど、

何回死んでるか分からないような、幾つかのシーンやら、理屈に合わへん、アクション・シーンなどがあって面白い。

4_2
何回転も横転するタクシー車事故で、ほかの人は死んでるのに、ケガさえほとんどなかった、大泉と架純ちゃん。

ゾキュンたちを撃つ銃撃戦で、モノゴッツーな数を撃てるだけの銃弾は、ホンマにあったのか。

イロイロとツッコミ入れられるとここそ、こういう映画の楽しみの一つでもありましょう。

3_4
最後に、個人的なことを申しますと、

ボクと同志社大学の美学及び芸術学専攻で、いわゆる同窓・級友やった斎藤岩男が、本作の美術監督をやってはります。

にっかつロマンポルノの美術監督から、キャリアを始めた彼どすが、日活退社後、

「リング」(1998年)で注目を浴び、「呪怨」(2002年)のハリウッド・リメイク「THE JUON/呪怨」(2004年)では、遂にハリウッドへ進出や。

5_3
いろんな役者がゾキュンに変わる、そのユニークな造形ぶりに、ホラー映画で培われた、斎藤イズムのようなものがカンジられて、ボクは良かったです。

2016年4月21日 (木)

「アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち」

1_2
「ハンナ・アーレント」「顔のないヒトラーたち」など

戦後発覚ナチ摘発もの映画の問題作

http://eichmann-show.jp/

4月23日のサタデーから、ポニーキャニオンの配給によりまして、テアトル梅田、京都シネマやらで、全国順次のロードショー。

本作は2015年製作の、イギリス映画96分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2
ⒸFeelgood Films 2014 Ltd.

本作は戦後、ナチの残党がどっかに逃れて捕まってまい、

ほんで、裁判やらになった映画として、位置付けられるやろか。

ナチ関連映画は、戦争ものを含めると、そらモノゴッツーあるんやけど、

この種の映画は、実を申せば、さほど多くはありまへん。

3
多くはないんやけど、この限定種の、マイ・ベスト・フォー(順位通り)を、ゆうてみますと…。

①ハンナ・アーレント(弊ブログ分析済み)②本作③オデッサ・ファイル(1974年・イギリス)④顔のないヒトラーたち(分析済み)

7
●サスペンスなフィクションとして、描かれとった③は別にして、

それ以外はいちおう、実話をベースにしてはります。

ドイツ本国で問題になった④以外は、逃亡先のラテンアメリカで捕まった、ナチ残党ものやけど、

ヒロインのキモチをポイントにした①に対し、本作はストレートな裁判ものどして、

それを世界にテレビで撮って、オンエアするちゅう、テレビ界にとってエポックなとこを、打ち出した作品だす。

5
1960年に、ナチの司令塔・幹部であった、アイヒマンが捕まり、エルサレムで裁判になりました。

そこんとこを、テレビ局が、世界へ向けて、実況生中継な発信をして、映すことと相なります。

4
エルサレムに妻子共々在住の、テレビ・プロデューサーの主人公は、このナチ裁判を撮影しはります。

ほんでもって、いろんな障害をば、クリアーする必要がありました。

6
さらに、隠れナチ派の妨害もあります。

妻子が危機に遭う、爆破シーンもあるけども、そんないろんな障壁にもめげずに、

世界初のナチ裁判映像そのものに、こだわってゆくプロデューサー。

対して、アイヒマンの人間性を映そうと、プロデューサーの意向を無視して、

アイヒマンのビミョーな表情を、捉えようとする監督。

9
2人の対立部を含めて、裁判映像の執着ぶりとメイキング・シーンが、

ホンチャンの裁判シーン以上に、見ごたえあるシーンになっとります。

10
モノクロ・カットを束ねて、カラー部とのシンクロの妙味に加え、

ホロコーストのむごたらしい、ドキュメンタリー・モノクロ映像には、見ていても戦慄が走りました。

こんな映像を、一体誰が平然と撮っとったのか、全くもって、首をひねりましたがな。

8
正直言いますと、本作は、評論家受けの高かった、ベスト①「ハンナ・アーレント」と、

甲乙付けがたい仕上がりやと、ボク的には思いました。

また、裁判を映してゆく、ハラドキなサスペンス部も、テレビ撮影部の緊張感と共に、映されていって、見ごたえあり! どしたえ~。

ナチ関連とかやなく、ハラドキを楽しみたい人には、ピッタリな作品やもしれまへんな。

2016年4月20日 (水)

韓国映画「花、香る歌」

1
伝統芸能時代劇映画にして、ヒロイン映画の傑作

パンソリ音楽ムービーとしても、圧巻の仕上がり

http://www.hanauta-movie.jp

4月23日のサタデーから、CJ Entertainment Japanの配給によりまして、シネマート新宿、シネマート心斎橋など、全国順グリのロードショー。

また、今年3月に開催された「大阪アジアン映画祭」で、先行上映されとります。

本作は、2015年製作の、韓国映画109分。

2

Ⓒ2015 CJE&M CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

さっそくやけど、韓国映画の芸能・芸道映画の、マイ・ベスト・スリー・プラスワン(順不同)を言いますと…。

①本作②風の丘を越えて 西便制<ソピョンジェ>(1993年製作)③王の男(2005年)プラスワン「春香伝」(2000年)

●サーカス的芸を見せる③以外は、全てパンソリ芸人たちを描いておます。

親子3人の旅芸人ロードムービー・タッチで描いた②。

②と同じ監督によるプラスワン。

ほんで、本作は、それまでは男の世界やったパンソリ界やけど、

初めて女性がパフォームしたちゅう実話を、ベースにした作品どす。

3
それだけに、他のパンソリ韓国映画とは違い、ヒロイン映画の快作になっとります。

しかも、師弟関係や王との三角関係など、悩ましきラブ・ストーリー的タッチが仕込まれた1作。

男装してでも、女が初めてをヤル映画としては、アカデミー作品賞をゲットした「恋におちたシェイクスピア」(1998年・アメリカ)のノリがあったり、

ヒロインが必死のパッチで、語り歌でもあるパンソリの発声練習をし、

やがて王や大衆に認められてゆく、ストーリー展開は、ヒロイン・サクセス・ストーリーの、王道編やとも言えますやろか。

4
音楽映画としても、2度にわたるパンソリ披露シーンで、独特かつ感動的な、パフォーマンス・シーンを、クリエイトしてはります。

激しい踊りとかはないけども、伝統ある韓国芸能の、ミュージカル映画の醍醐味に、ボクは渋く魅せられました。

特に、船上で披露する、パンソリ演目シーンは、圧巻の仕上がりどした。

「乱れ髪」「春香伝」などの、パンソリ・オリジナル演目の妙味もあり、

日本の伝統芸(能・歌舞伎など)なんかと、比較して見られますで。

また、キモ・シーンでは、オーケストラ・サントラを、ハリウッド映画のように大仰ではなく、さりげなく使ってはります。

6_2
ヒロイン役は、スジちゃんどす。

「建築学概論」(2012年・韓国・弊ブログ分析済み)の、アイドル的なノリはそのままに、

韓国の女性アイドル・グループ「miss A」のリード・ボーカルなだけに、パンソリ特訓シーンを始め、

本気モードが全開しとりまして、ウーンと唸らせてくれはります。

ほんで、スジちゃんの師匠役をやらはる、リュ・スンリョンはん。

バイ・プレイヤーとして、実に落ち着いた、滋味ある演技ぶりを披露。

さらに、王役のキム・ナムギル。

「パイレーツ」(2014年・弊ブログ分析済み)の、ドギマギ・アクション演技とは違った、冷静でクールなとこを見せはります。

5
ラブ・ストーリー部は、あくまで控えめやけど、抑制されたその作りには、胸にじんわりときよります。

スジ&リュ・スンリョン&キム・ナムギルの恋の行方は?  なんてとこもあるけど、

でもしか、従来の韓国恋愛映画にはないとこも、じっくり味わってくだされ。

ちゅうことで、時代劇的には、ソン・ヘギョ主演「ファン・ジニ 映画版」(2007年)を超えたかもしれへん、ヒロイン映画の傑作です。

「風の波紋」⇒田舎暮らしドキュメンタリー

1
大震災後の田舎暮らしの、在り方を描いた作品

熊本大震災へも通じる、被災後の暮らしのヒントあり

http://www.kazenohamon.com

4月16日の土曜日から、東風の配給で、第七藝術劇場やらで、全国順次のロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2

本作は、都会人たちが田舎へ引っ込んでの、田舎生活を描いた作品だす。

田舎暮らしを描いたドキュメンタリーは、邦画ではかなりのタイトル数があるんやけど、

でもしか、単なる田舎暮らしを描くんやなく、社会問題や大震災などの大事件を、背景に置いた生活描写ものも、かなりとあります。

そんな邦画ドキュの、マイ・ベスト・フォー(順不同)をば、言いますと…。

3
①本作②阿賀に生きる(1992年製作)③水俣-患者さんとその世界-(1971年)④ニッポン国 古屋敷村(1982年)

●工業廃棄水が原因で、水俣病を蔓延させ社会問題になった、新潟の②。

今回の大震災と同じく、熊本県で起こった、水俣病問題の③。

冷害を背景にした東北地方の④。

同じ東北ものでも、東日本大震災後に、必死に生きる人たちの姿を、捉えたドキュも、いっぱいあるんやけど、

モノゴッツー数が多かったんで、1本に絞れまへんどした。

でもって、本作は東日本大震災と、ほぼ同時期に発生した、長野震災後の、田舎暮らしを描いてはります。

4
そんな震災により、建物が崩壊したりしてもうて、その後どないな風に、

日常の生活と共に、立て直してゆくんかを、詳細に捉えた映画が、本作なんどす。

長野震災は、東日本大震災ほど注目されまへんどしたが、

被害の違いはあれど、今回の熊本大震災と同じく、田舎暮らしを、メッチャ脅かすもんでありました。

5
その立て直しのキーは、みんなが密接に寄り添い、協力し合うとゆうことでありましょうか。

都会を離れ、トンネルを抜けると雪国になった、新潟の田舎暮らしを始めた夫婦が、

同じ有志たちと共に、共同生活的な生活を送ってはりました。

そこへ長野震災が襲ってきよった。さてはて、どないするんか。

6
雪解け後の緑ある風景、チョウチョが飛ぶ風景など、日本の田舎にしかない、美しき自然風景をバックに、

田植えや、ヤギの放牧や、山桜の染物・ハタ織りシーンなどが、ゆるやかな時間の中で描かれてゆきます。

さらに、娯楽も都会の、デジタル・ライフとの違いで魅せます。

カラオケなしの歌合戦、オバハン劇団が演じる青空野外演劇、酔っ払っての笛と歌、太鼓が響く秋の収穫祭など、

アナログ手作りの生活描写が、何とも言えない癒やしをば、運んでまいります。

大震災後の暮らしのヒントと共に、安らぎをカンジさせる作品やと思いました。

2016年4月19日 (火)

デンマーク映画「獣は月夜に夢を見る」

1_2

「美女と野獣」が一体になった時、何かが起こる!?

怜悧さが際立つ、北欧ミステリー・ホラーの怪作や~

http://www.kemono-yume.com

4月16日のサタデーから、クロックワークスの配給により、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸やらで上映中。

本作は、2014年製作の、デンマーク&フランス合作85分。「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

2_2
Ⓒ2014 Alphaville Pictures Copenhagen

いきなり北欧デンマークの、風雲急な黒雲と怜悧な空気感で、怪しい雰囲気を、醸し出してはる作品だす。

ハリウッドでもリメイクされた、少女吸血鬼と少年人間の淡い恋を描いた「ぼくのエリ 200歳の少女」(弊ブログ分析済み)の感覚がある、

との声もあるんやけど、こちらは、ミステリーとホラー・モードが、かなりと増した作りになっとります。

3_2
「美女と野獣」が一体化したナンチューと、いきなりネタバレかいな~となるかもしれへんけど、

吸血鬼人間(ドラキュラなど)、野獣人間(狼男など)、人造人間(フランケンシュタインなど)は、戦前のハリウッドでは、3大変種人間キャラクターでありました。

ほんでもって、ここでは、野獣(生き物含む)人間にフォーカス。

その種の映画の、マイ・カルト・スリー(順位通り)を、思いついたままに披露しますと…。

8
①ザ・フライ(1996年・アメリカ)②ウルフ(1994年・アメリカ)③本作

●数多い狼人間ものでは、ジャック・ニコルソンが扮しはった②を選択。

ハエの①は、グロテスクかつ衝撃的やったけど、

美少女が野獣化するという、本作の発想は、オリジナリティー度合いが、メッチャ高いと思います。

野獣の種類も特定してへんとこも、ホラーチックには不安感をば、大いにあおりますで。

4
一体、こいつは何モンやねんっちゅう、人間に取り憑いた死霊・生き霊や、エイリアンのような、怪しさみたいなんがござります。

但し、なんでそんな不特定の野獣に、変身するのかは不明どす。

このあたりが、頭の中だけで考えたような、妄想感があるんやけど、

むしろ、そこんとここそが、ミステリー度合いを増すとこやと、ゆうてもエエでおましょう。

6
美少女ヒロイン役は、本作が映画デビュー作となる、ソニア・ズー。

低血圧っぽい冷めたヒロインを、おそらくは自然体で演じてはります。

また、アルツハイマーみたいで、なおかつ喋れへん、ヒロインのビョーキのオカンも、

葬式シーンを含め、前半の不気味なミステリアス部の、ポイントとなっとります。

5
ヒロインが職場でいじめられて、結局はそれに対抗・抵抗するとこや、

ヒロインと恋仲になる青年の設定など、

「ぼくのエリ」的なとこや、ストーリー展開がよくあるようなカンジなど、

少し気になるとこはあるにはあるけど、

でもしか、伏線の張り方なんかで、ハラドキ感を作り、最後まで決して飽きさせまへんで。

7
ハリウッド・リメイクもされた「ミレニアム」(2011年・スウェーデン・弊ブログ分析済み)などの北欧ミステリー、

「ぼくのエリ」などの北欧ホラーの在り方を、本作は受け継いだ作品どす。

まずは、映画館でご覧くだされ。

ノルウェー映画「ハロルドが笑うその日まで」

1
北欧らしさある、ノルウェー映画の快作

ペーソスとユーモアある、誘拐・復讐もの

http://www.Harold.jp

4月16日のサタデーから、ミッドシップの配給により、YEBISU GARDEN CINEMAなどで、全国順次のロードショー中。

関西では、4月30日から、シネ・リーブル梅田やらで上映。

本作は、2014製作のノルウェー映画88分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2014 MER FILM AS All rights reserved

ノルウェー映画のマイ最高傑作は、

ヴィンセント・ギャロが主演した、逃亡アクション映画「エッセンシャル・キリング」(2010年・弊ブログ分析済み)なんですが、

本作もまた、アクション・シーンもある、サスペンスある映画になっています。

ジャンル的に言えば、誘拐・復讐サスペンスになるかな。

ただ、ハラドキよりは、ペーソス感で魅せる映画でしょうか。

主人公の年齢からは、シニア映画になるけど、そんな老人のヒューマン・ドラマにも、なっているかもしれません。

ただ、北欧映画の巨匠イングマル・ベルイマンやら、ラース・フォン・トリアーらみたいに、アート映画系のノリよりも、

みなさんにより分かりやすいタッチと、ストーリー展開で描かれてまいります。

2
アルツハイマーの老妻を、老々介護してる老人・主人公。

でも、「あほんだら」の遺言を残して、妻が昏倒し死亡。

さらに、北欧らしい高級家具店を、経営してた主人公ですが、大型安売り家具店イケヤ・チェーンの進出で、経営破綻。

失意の主人公は、店に火を付けて、自らも焼身自殺しようとしたけど、失敗に終わります。

そして、息子一家のとこへ行き、さらに衝動的に、店を潰されたと、勝手に思ってるイケヤの創業者を、誘拐し復讐の拷問をやってやると、

創業者のいるスウェーデンへ、ノルウェーからマイ・カーを、ひた走らせるんであります。

途中で、母一人子一人と言う娘と出会い、彼女と共に、いざ誘拐へと作戦行動。

モチ、この誘拐部こそ、本作の目玉シーンに、なるにはなるのですが、

緻密というわけではなく、どちらかと言えば、ユーモアチックに展開してまいります。

ユーモア・ミステリー映画「大誘拐」(1991年・日本)なんかの、ノリがあるかもしれません。

3
ノルウェーらしい、薄ブルー、薄グリーン・トーンな空気感が、映画の雰囲気を作っています。

一方で、イケヤの英語文字が、黄色くなった電飾看板の異能さなども、映画に独特なフックを与えてます。

メイン・サントラも、北欧らしいサウンドを、ギター、バクパイプ、ジャグジーやらで披露。

それ以外でも、バイオリンの速弾きやらで、サスペンス感をあおり、

カーロード・シーンなどで、ロック・インストゥルメンタルを流したり、

仰々しいオーケストラ・サウンドに加え、雄々しいワーグナーの「ワルキューレの騎行」から、ユーロビートなポップ・ナンバーまで、まさに多彩。

ハードな「エッセンシャル・キリング」とは真逆の、ソフト・タッチで人情味もある作品でした。

2016年4月15日 (金)

「レヴェナント 蘇えりし者」⇒今年の洋画マイ・ナンバーワン(現時点)

6_3
「プライベート・ライアン」並みの臨場感描写から始まる、

サバイバル劇映画の、究極のスタイルがココに

http://www.foxmovies-jp.com/revenant/

4月22日から全国ロードショー。

2015年製作のアメリカ映画2時間37分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1Ⓒ2015 Twentieth Century Fox

本作はアカデミー賞作品賞的な一つの要素、大作ヒューマン・ドラマツルギーがあったんやけど、残念ながら受賞はできまへんどした。

代わりてゆうたら、なんやけど、主演のレオナルド・ディカプリオのアニキが、初めて主演男優賞をゲット。

「タイタニック」(1997年製作・アメリカ映画)以来の長い戦いに、1つの決着・ケジメを付けはりました。

3
大作(もしくは長尺)人間ドラマ映画の、これまでの作品賞を、ざっくばらんに並べてみますと…。

「風と共に去りぬ」「ベン・ハー」「アラビアのロレンス」「パットン大戦車軍団」「ゴッドファーザー」「ディア・ハンター」「ガンジー」「ラストエンペラー」「ダンス・ウィズ・ウルブズ」「シンドラーのリスト」「フォレスト・ガンプ」「タイタニック」など…。

4
そんな中でも、本作は大作ながら、多彩なスタイルを持った映画でおます。

サバイバル映画、ロードムービー、復讐劇、そして西部劇的ちゅうか、アンチな西部劇なノリ。

インディアンのネイティブ・サイド側から、描かれる映画でおまして、

白人ケビン・コスナーが、インディアンの中へ入っていった「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年・アメリカ)とは、また違った、

白人ヒーローな西部劇への、アンチぶりを見せてくれます。

2
セリフ少なめで、挙動を中心に見せ続ける、レオナルド・ディカプリオの演技は、圧巻どした。

これでオスカー獲れなかったら、絶対おかしい、100パーセント間違いなしの演技ぶり。

「タイタニック」のサバイバル度を、遥かに超えておます。

加えて、悪役演技として、観客の嫌悪感あふれる、トム・ハーディの演技にも注目だす。

5
アクション・シーンのビビッド感も、特筆もんどす。

マイ・ベスト・スリー・シークエンスは…。

冒頭。「プライベート・ライアン」(1998年・アメリカ)級の臨場感ある、インディアンの弓矢攻撃と、白人側の銃撃応戦の凄み。

カメラが動く、移動の長回し撮影もまた、強烈なインパクトがありました。

7
クリズリー、大熊に、レオが襲われるシークエンス。

CG・VFXとは思われない作りで、こちらもアッと驚く作りだす。

さらに、クライマックスのレオと、トム・ハーディの対決シークエンスや。

アクションに様式美なんかいらんでといった、リアル感ある動きに納得できました。

音楽監督・坂本龍一の、激しいシーンを抑制するような、静かなサントラ作りも良かったどす。

8
まだ3分の2くらいある、今年の現時点ではありますが、本作は今年の洋画の(邦画・洋画合わせても)マイ・ベストワンでおます。

アカデミー賞作品賞をゲットした、地味な「スポットライト 世紀のスクープ」(弊ブログ4月14日付けで分析)以上にヒット。

いや、今年の洋画の、大ヒットな1作になることは、間違いありまへん。

「グランドフィナーレ」⇒群像劇の新次元

Photo
「グランドホテル」形式の、変型バージョンによる群像劇

映画メイキング映画と音楽映画も、シンクロナイズやで~

http://gaga.ne.jp/grandfinale/

4月16日のサタデーから、ギャガの配給により、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸などで上映。

本作は2015年製作の、イタリア・フランス・スイス・イギリス合作による映画どして、「R-15+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

1_2
Ⓒ2015 INDIGO FILM, BARBARY FILMS

スイスの高級ホテルに集った、セレブたちをメインにした群像劇だす。

80歳のクラシック音楽家(マイケル・ケイン)、その音楽家と長年の友である映画監督(ハーヴェイ・カイテル)、

監督の息子と結婚したけど、息子が浮気して揉めてる音楽家の娘(レイチェル・ワイズ)。

彼女はオトンの世話をするためにも、逗留してはります。

4_2
この年老いた2人をメインに、「グランド・ホテル」(1932年製作・アメリカ映画・アカデミー作品賞)形式

(ホテルに宿泊してる、いろんな人たちを描くスタイルをルーツに、敷衍した群像劇の手法)で描かれた作品でおます。

5_2
でもしか、「グランド・ホテル」のように、何組かをカットバック的に、単に描くとゆうのとは違います。

2人をメインにと言いましたように、2人とその周囲にいる人たちを、

一部の人(ポール・ダノや、オールヌードを披露する、ミス・ユニバース設定の女など)を除いて、

サラリと描くタッチになっておます。

ほんでもって、2人へフォーカス。

6_2
2人のやり取りの妙味や、友情部もあるんやけど、

マイケル・ケインはんは、音楽家としての、余生的スタイル生活があり、

一方では、遺作となるかもしれへん映画を、脚本家たちと練る、ハーヴェイ・カイテルはんのサイドがありまして、

つまり、音楽的な映画タッチと、映画メイキング的映画タッチが、巧妙かつ微妙に交錯していくんだす。

7
音楽映画と、映画メイキング映画。

この2つのジャンル映画は、それぞれドラマティックな流れと共に、ドッキリな結末を迎えます。

映画メイク編では、ジェーン・フォンダ(写真上から7枚目)がサプライズ的に登場。

9_2
音楽映画としては、ラストの方で、ケインはんの指揮のもと、

韓国の世界的クラシック歌手スミ・ジョーが、

本年のアカデミー賞主題歌賞ノミネート曲の、スロー・ナンバー「シンプル・ソング」を、

絶妙のニュアンスと歌唱力で披露。いやはや、鳥肌もんのスゴサでおました。

3_2
マイケル・ケインはんの意識の中に入っての、イマジネーション的ロングショット・カット(写真上から8枚目)など、アート映画的カットも多数。

イタリアの監督(パオロ・ソレンティーノ)なだけに、

偉大なるフェデリコ・フェリーニ監督作品やらを、オマージュしたようなとこもあって、映画ファンを魅了しはります。

10_2
最後に字幕で出ますが、2015年に逝去した、イタリア・ナポリ出身の「フランチェスコ・ロージ監督に捧ぐ」の言葉が出てまいります。

実は、本作のパオロ監督とは、ナポリ出身までおんなじの名匠どす。

ギャング映画「コーザ・ノストラ」(1973年・イタリア)、カンヌで最高賞受賞「黒い砂漠」(1972年・イタリア)、刑事サスペンス「ローマに散る」(1975年・イタリア)など、

社会派映画の監督どして、本作の内容とはあんましシンクロせえへんけど、パオロ監督の想いは、十二分に伝わってきました。

2_2
それはともかく、本作は群像劇の新次元に、入り込んだ傑作です。

単なる群像劇の、その向こうを捉えた作品として、

後世に伝えられるべくの作品やと、ボクは確信いたします。

2016年4月14日 (木)

「スポットライト 世紀のスクープ」⇒本年度アカデミー作品賞

1
日本では有名じゃない、ハリウッド俳優たちによる、チーム・プレイぶり

新聞記者たちが、メッチャ活躍する映画の傑作だ

http://www.spotlight-scoop.com

4月15日のフライデーから、ロングライドの配給によりまして、全国ロードショー。

本作は、2015年製作のアメリカ映画2時間8分です。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo by Kerry Hayes Ⓒ 2015 SPOTLIGHT FILM LLC

2

本年度のアカデミー賞で、作品賞と脚本賞をゲットした作品です。

前評判では、主演男優賞を初めてゲットした、レオナルド・ディカプリオ主演の「レヴェナント」(2015年・後日分析)が、最多ノミネートでもあり、有力視されていましたが、

土壇場でかどうかは分かりませんが、こちらに軍配が上がりました。

3
「レヴェナント」がもらえば、同じ監督(アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督)による連続作品賞ゲットとなり、

しかも、彼はアメリカの監督じゃなく、メキシコの監督です。

ある意味、前代未聞とのことで、アカデミー会員たちは、それを避けようとしたんでしょうか。

アメリカ出身の監督による、アメリカ映画に作品賞を上げようと、

作品賞ノミネート作の中でも、チョイ地味な作品に、票が集まったようなとこも、あるかもしれません。

9
なぜ「レヴェナント」がもらえなかったのか。

みなさんの何人かの方は、思われることでしょう。

既にみなさんが見ていて、「アバター」(2009年)がもらえるはずだと確信していたのに、

別の作品に作品賞が、いってしまったような、2010年の例に近いと言えましょうか。

こおゆう最多ノミネートの大本命や、作品賞間違いなしの傑作が、作品賞を逃した場合とゆうのは、

実はケッコーござりますが、そのあたりは、またのちほど論じることとします。

8
それでも、本作には、作品賞をもらっても、おかしくないセンスがありました。

本作は、「レヴェナント」などの、大作感ある人間ドラマだったり、

バリバリのアクションのある、ハリウッド映画方程式とは真逆の、

室内劇・会話劇がポイントになってる、いわゆる、若い人に言わせれば、

おとなしめの、ある種退屈な地味な作品に、見えるかもしれません。

4
そして、日本の観客には、あんまし有名ではない、アクター・アクトレスが出てきます。

昨年作品賞をゲットした「バードマン」(2015年・弊ブログ分析済み)で、主演したマイケル・キートン。

ラブ・ストーリー「きみに読む物語」(2004年)の、レイチェル・マクアダムス。

いろんな映画に、名バイ・プレーヤーとして出てる、マーク・ラファロやリーヴ・シュレイバー。

5
スター映画こそ、ハリウッド映画の醍醐味だと言う人は、今もモチロン、いるかもしれませんが、

でもしか、新しい人の演技を見てみて、その魅力に魅せられるというのは、よくあるし、

本作では、それが隠しきれない実話を描いてることもあり、ヒロイズムという正攻法が、実現されているかと思います。

11
さて、ここで、新聞記者が活躍する、アメリカ映画の、

モノゴッツーありますが、マイ・ベスト・ファイブ(順位通り)を言いますと、

①ローマの休日(1953年)②大統領の陰謀(1976年)③本作④或る夜の出来事(1934年)⑤ゾディアック(2008年)

6
●1人ないし2人の新聞記者ものが多いけど、本作だけは、チーム・プレイに徹してはりました。

取材を妨害する、圧力団体がほとんどないのが、摘発するのが教会側なだけに、納得できますが、

もっとアクション・シーンや激闘シーンが、あってもいいとは思いました。

しかし、「アンタッチャブル」(1987年)などの時代とは、隔世していますんで、これが21世紀の在り方なのかもしれません。

12
注目してもらいたいのは、日本人撮影監督マサノブ・タカヤナギ。

「世界にひとつのプレイブック」(2012年・ブログ分析済み)や「ブラック・スキャンダル」(2015年・ブログ分析済み)で、頭角を現しています。

本作では、アップ・シーンや、ワンカットのロングショットなどに、美麗を感じました。

10
ピアノを主体にした、しっとりしたサントラ使いにも、癒やしを感じて、いいカンジで進行します。

そして、ラストシーンの心地良さにも、浸ってみてください。

2016年4月13日 (水)

「ミラクル・ニール!」⇒ブリティッシュ・コメディや~

1_2
おバカおバカな超絶ナンセンス・コメディやねん!

「ビーン」「オースティン・パワーズ」などにも通じる、愉快な1本どす

http://www.miracle-neil.jp

4月9日のサタデーから、シンカの配給によりまして、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都やらで、上映中。神戸国際松竹は5月14日から。

本作は2015年製作の、イギリス映画85分だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2015 Anything Absolutely Ltd All Rights Reserved

英語圏のコメディ映画には、

アホらしかったり、バカバカしかったり、ナンセンスやったりのコメディが、

ソラモー、シッチャかメッチャか、モノゴッツーござります。

それらをイロイロ、ジャンル分け(例えば、下ネタもの、珍道中もの、学園ものなど)しても、

ソラモー、魑魅魍魎(ちみもうりょう)チックで、エライことになったりするんやけど、

ここでは、UKのコメディ映画へフォーカス。

微調整として、マイ三大おバカ映画をば、ゆうてみますと…。

3_3
①本作②ビーン(1997年製作)③オースティン・パワーズ(1997年)

●おバカ映画なる言葉が生まれたんは、たぶん③が出た頃と違うやろか。

③はイギリス舞台やけど、アメリカ製作なんで、純粋にはイギリス映画とは言えへんけど、

いずれにしても、シリーズ化もされた②③のナン・センスぶりが、思う存分に発揮されたんが、本作でおます。

2_3
シチュエーション・コメディはモチ、選ばれた主人公・ヒロインのコメディちゅうのは、それなりにあるんやけど、

手を振るだけで何でもできて、何でも叶うナンチュー能力を、

どこかの宇宙人たちが、無作為に選んだ人類の1人(サイモン・ペッグ)に与えて、

そいつが何をするかを見て、その中身の次第によって、地球を滅亡させるかどうかを、決めようかっちゅう設定やねん。

4_3
おいおい、何じゃソラーな設定やけど、そのハチャハチャさに乗るようにでんな、

サイモンのアニキは、実はショーもないことばかりを、願わはりまんねん。

自分の好きな人に、自分を好きになってもらうやとか、大統領になりたいとかはアタリキやけど、

愛犬が喋るようになるんは、異色ですわな。ほんで、それが大きなネックにもなりますねんで。

そんな犬の声を、故ロビン・ウィリアムズはんが発します。

スタンダップ・コメディアンから、キャリアを始めたロビンはんの、その面白さが、ただの犬の声に、遺憾なく発揮されとりますで。

5_2
ラストロールでは、そんなロビンはんのアフレコ(アフター・レコーディング)ぶりを、披露してくれてはります。

そして、スリム・イズ・ビューティーな、ケイト・ベッキンセールのネーさん。

ハリウッドでアクション女優もやってたけど、ヤッパ、セクシー系のコメディエンヌぶりが、メッチャエエわ~。

6_2
さらに、宇宙人たちの声優として、本作のテリー・ジョーンズ監督や、テリー・ギリアム監督を含む「モンティ・パイソン」の、メンバーたちが参加してはります。

イギリスのコメディ界の、大御所である彼らが出てるだけで、本作は大きな意義のある作品やと言えましょう。

モンティ・パイソンやロビン・ウィリアムズが活躍した頃の、映画フィルム的色調が強調された作りにも、魅せられた作品どした。

笑って弾けて、それでいて、シブミさえも、感じさせてくれるコメディどす。

「ふたりの死刑囚」⇒テレビ局製作の社会派ドキュメンタリー

1
実在の2人の死刑囚を、対比的に描く

仲代達矢のナビゲーションが、メッチャ力強いで~

http://www.futarinoshikeisyu.jp

4月9日の土曜日から、東海テレビ放送の配給により、第七藝術劇場やらで、全国順次の上映中。関西ではほかに、4月23日から、神戸アートビレッジセンターなどで上映だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ東海テレビ放送

再審を請求してる、2人の死刑囚の、現在形をメインに、交錯・対比的に描いたドキュメンタリーだす。

さて、ここで、ドラマ映画も入れた、死刑囚・冤罪系日本映画の、マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、手前勝手に言いますと…。

●ベスト⇒①帝銀事件 死刑囚(1964年製作)②真昼の暗黒(1956年・弊ブログ分析済み)③絞死刑(1968年)

●カルト⇒①本作②約束 名張毒ぶどう酒事件(2013年・ブログ分析済み)③BOX 袴田事件(2010年・ブログ分析済み)

5
●大島渚監督のベスト③は、冤罪系やないけども、死刑に失敗してもうた韓国人青年の、その後をブラックなテイストで描いてはります。

ほんで、ベストのドラマ映画も、本作ドキュ含む、カルトの3作も、全てが実際にあった事件が、ベースになっとります。

つまり、死刑囚のドラマ映画は、頭の中で考えたようなフィクションでは、描き切れない複雑・魑魅魍魎があるんでおましょうか。

6
さてはて、全てが21世紀発表作品となった、カルト3作を見ておくんなはれ。

本作で捉えられた2人の死刑囚の、ドラマ映画として、カルト②(奥西勝)③(袴田巌)として選択しとりますねん。

②③は共に、東海地方で起こった事件であります。

ほんで、再審を請求していた、死刑囚の問題として、ベスト①の死刑囚を一部、例に挙げてはります。

それは再審請求し続けたけど、その途上で、死刑囚のまま死んでしもたとゆう、最も過酷な運命でおます。

3_2
みなさんは、テレビの事件報道や新聞やらで、知ってはるかと思うけど、

奥西死刑囚は、医療刑務所で寝たきりとなり、昨年逝去。

袴田死刑囚は、再審を獲得し釈放された。

そして、姉との2人暮らしを始めたけど、現在もなお再審は始まっとりまへん。

再審請求を却下され続けてる、刑務所内にいる奥西死刑囚。

対して、袴田死刑囚は釈放されたけど、刑務所内でのトラウマを、しばらく抱えて、引きこもり生活をしていたけど、

次第に心中を語るようになり、趣味にも興じ、依頼されて講演にも、初めて乗る航空機やらで、出かけるようにならはります。

さらに、各家族の姿も捉えられてまいります。

4_2
カルト②で奥西死刑囚役で主演した仲代達矢はんが、力強くてドラマティックなナレーションを、披露しはります。

また、魂に訴えかけるような、本多俊之による、トランペット・サントラも、ココロのツボにくるで~。

2_2
2つの事件は、モチ、ダイジェスト的に紹介され、検証も行われよります。

でもしか、実はどちらも、裏付けの頼りない、単純な証拠によって、逮捕・裁判・死刑判決になっとりまして、

そんな中で、検察の(都合のエエ)最良証拠主義なるもんが、問題視されてゆきよりまんねん。

そのあたりの流れには、謎解き的な面白さも、垣間見える作りでおます。

ちゅうことで、本作は社会派ドキュとして、鋭い視点にウーンとうなれる、そんな問題作やと言えましょう。

2016年4月12日 (火)

藤原紀香の声優主演作「更年奇的な彼女」

1
幸せハッピー藤原紀香ネーさんのヒロイン声が、みんなを元気にしてくれる

「猟奇的な彼女」並みの、サプライズ・エンディング!

http://www.kounenki-girl.jp

4月8日から、全国順次のロードショー中。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸNew Classic Media Corporation

チョン・ジヒョン&チャ・テヒョン共演「猟奇的な彼女」(2001年製作・韓国映画)、

続くチョン・ジヒョンが、彼女ヒロイン役の「僕の彼女を紹介します」(2004年・韓国)、

綾瀬はるか主演の「僕の彼女はサイボーグ」(2008年・日本&韓国)って、

みなさん、見たことありますか。

そんな3作を監督した、韓国のクァク・ジェヨン監督が、中国を舞台にして、撮り上げた最新作が本作です。

タイトルにある「彼女」をとって、「彼女」シリーズ第4弾とも言われてますが、全作は全てラブコメながらも、フツーのラブコメとは趣を異にしています。

例えば、アメリカン・ラブコメなどとは、三角関係図的やらで、設定的には似てるけど、

あり得ないとこをいくつも設定し、とことんフツーのラブコメには絶対しないというところが、随所に出ておりまして、

さらに、サプライズ・エンディングを持ってきて、強烈な鑑賞後感を、常に意識しているような作りなんです。

3
27歳で若年性更年期障害になった、ヒロイン役のジョウ・シュン(日本語吹替え版の声は藤原紀香)。

彼女は中国4大美人女優の1人です。

病系の映画は、総じてシリアス系ドラマが多いけど、本作はあくまでラブコメ。

しかも、ラブコメに映えるような病気です。

冒頭から、バスの席をコドモから「おばさん」と声を掛けられて、譲ってもらうシーンから、その世界観へ入れます。

彼女が卒業式に、ウェディングドレス姿で出席し、彼氏に逆プロポーズして断られる、なんてゆうとこから、

おいおい、そんなのありかよーがあり、結婚式での花嫁交代劇とか、トンデモ大雨設定とか、

フツーではアリエネーとこが、大仰なラブコメ感の背景として、展開してまいります。

2
さらにさらに、例えば、「猟奇的な彼女」と比較すると…。

ヒロインの大仰なヨッパライ演技、大きな木の下の2人のロマンティック、ノホホンなチャ・テヒョンとトン・ダーウェイの相似形、

そして、トリッキーなサプライズ・エンディングなど、似通っています。

そんなヒロインの声優をやった、藤原紀香ネーさん。

幸せいっぱいの今だからこその、前向きポジティブなトーンが、ナレーションを含めて表現されています。

ダイジェスト・シーンを含む、ヒロインの暗いシーンでさえ、

歌ものポップスを流しての効果もあるけれど、

決して暗くは見えないところが、目立たないけども、イイカンヂ。

4
ロングショットのキレ、ツーショットな2人を中心に、カメラをゆっくり回していく撮り方、フック的なスロー・モーションなど、映画的撮り方を、全編を通して意識。

ピアノ・ソロから、バイオリンを加え、やがて、オーケストラチックに展開していく、サントラの流れに加えて、

中華フィメール・ポップスやバラードなどの、歌ものが随所で、効果的に使われています。

韓国、日本、中国と、舞台設定を変えてきたこのシリーズ。

次は一体どこが舞台になるのか、とても楽しみになってきました。

「ボーダーライン」⇒麻薬捜査サスペンス映画

1_3
麻薬犯罪摘発を描く、壮絶なサスペンス映画

「トラフィック」以上に、非情な描き込みだ

http://border-line.jp

4月9日のサタデーから、KADOKAWAの配給によりまして、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹やらで上映中。

本作は2015年製作の、アメリカ映画121分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2
Motion Picture Artwork Ⓒ 2015 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

麻薬捜査サスペンス映画なんて言うと、みなさんもそれなりに、思い出される映画があることでしょう。

そんな映画で、ボクがイの一番で思い出したのは、

アカデミー賞で監督賞(スティーヴン・ソダーバーグ)と助演男優賞(本作にも出てるベニチオ・デル・トロ)をゲットした

「トラフィック」(2000年製作・アメリカ映画)です。

9
麻薬捜査では、日本であれ欧米であれ、その他の国であれ、

警察側の潜入捜査チックなものが、オーソドックスではないでしょうか。

そんな中で、アメリカへ流出する、メキシコからの麻薬シンジケートは、世界でも最も険悪に満ちたものらしいです。

10
「トラフィック」も本作も、そんなルート犯罪を摘発するスタイルは、おんなじなのですが、

但し、その摘発の方法論が全く違っております。

本作は、おとなしめだった「トラフィック」とは大いに違い、

非情で激烈、しかも、潜入捜査とは違った手法で、組織に迫ってまいります。

4
その手法が、果たして実際に、使われているのかは別にして、

そいつは、FBI麻薬捜査女刑事役のエミリー・ブラントのネーさんを、アッと驚かせてしまう、トンデモないものでありました。

そのへんは本ネタ部でもあるんで、詳しくは言えませんが、

キーを握るのは、捜査側にいる、謎めいたベニチオ・デル・トロです。

3
ベニチオさんは、「トラフィック」では、麻薬捜査する熱血刑事役を演じ、

「エスコバル」(弊ブログ分析済み)では、冷酷非情な麻薬王を演じて、麻薬絡みものでは、善悪役全てを体現。

そして、本作では、「トラフィック」と「エスコバル」を、足して2で割ったような役柄です。

5
一方で、本作は非情でエグイ麻薬捜査に、駆り出されたFBI刑事ヒロインの、アクション・ドラマでもあります。

でもしか、そんな役を演ったエミリー・ブラントですが、

「エイリアン」シリーズ(1979年・1986年・1992年・1997年・アメリカ)のシガニー・ウィーヴァーや、

「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年・アメリカ)のジェシカ・チャスティンみたいに、男勝りを見せはしません。

7
線の細いエミリーが、骨太な上司ジョシュ・ブローリンや、クセ者ベニチオと、どう絡むのか。

ソフト対ハードの絡み具合を鑑みれば、本作のエミリー・ネーさんは、ベストなキャスティングだったと言えましょう。

8
非情極まりないクライマックス。

そして、賛否をかもすエンディングは、ショッキングですが、こういうことは、現実にもあるのかもしれません。

その意味では、背筋の凍る映画でもありました。

6
ドラミングをポイントに、リズミックでサスペンス感あるサントラ、

多投される俯瞰映像の不安感、

暗視ゴーグルのザラついたモノクロ映像など、

ハラハラドキドキをあおるサブ・ポイントも、サスペンス度合いを、大いに増していました。

2016年4月 9日 (土)

「ノーザン・リミット・ライン 南北海戦」「西部戦線1953」⇒韓国の戦争映画

1
朝鮮戦争を描く「西部戦線1953」

現代の南北戦を描く「ノーザン・リミット・ライン」

http://www.cinemart.co.jp

4月9日の土曜日から、ツインの配給により、特集上映「韓国映画セレクション 2016SPRING」の映画として、シネマート新宿、シネマート心斎橋やらで上映。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

7
Ⓒ2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD All Rights Reserved

Ⓒ2015 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved

北朝鮮と韓国・南朝鮮を分岐する、38度線を作ることになった、朝鮮戦争もの韓国映画の最新作として、

「西部戦線1953」(写真上から1枚目から5枚目)が登場してまいります。

ちゅうことで、ここで、朝鮮戦争を描く韓国映画の、マイ・ベスト・フォー(順不同)を言いますと…。

2
●ベスト⇒①トンマッコルへようこそ(2005年製作)②ブラザーフッド(2004年)③西部戦線1953④高地戦(2010年・弊ブログ分析済み)

●いろんな戦争映画でも、④のように、アクションでドーンといく映画もあれば、

戦場・戦地でキズナを描く映画①②③なども、ケッコーあります。

戦地の中の癒やしの地を、舞台にした①は特例として、肉親・友達系の②。

そして、最も映えるのが、③のように、お互いが敵同士のつながりであります。

5
実は、この③のような作品こそが、戦争映画としては、ボクは最もドラマティック映えするもんやと思います。

そんな2人を、韓国側ソル・ギョング、北朝鮮側ヨ・ジングが、

奇妙奇天烈なロードムービーの中で、喜怒哀楽を散りばめつつ演じてまいります。

共に必死の熱演ぶりで、イロイロコミカルで、ちぐはぐなやり取りがありつつも、

「ブラザーフッド」並みの、泣ける感動シーンへとつないでゆかはります。取りあえずは、泣いてみましょう。

6
さて、特集上映としては、「西部戦線1953」と同時に、

「ノーザン・リミット・ライン南北海戦」(写真上から6枚目から10枚目)も上映されます。

1_2
こちらは、戦争ものでも、21世紀現代における、南北の対立を描いた映画どす。

韓国映画はラブ・ストーリー、ラブコメがメインにあると思われがちどすが、

実は、南北拮抗もの映画は、韓国映画としては、大きな柱になってるように思われます。

5_2
さてはて、現代南北確執・対立ものの、韓国映画歴代マイ・ベスト・スリーは、

①シュリ(1999年)②JSA(2000年)③シルミド(2003年)…と当たり前なカンジなんやけど、

でも、この「ノーザン…」は、21世紀の実話をベースにしながら、現代の南北の対立具合を、海洋銃撃戦をポイントに容赦なく描いて、

ボクらにアッと驚かせてくれるインパクトをば、与えてくれよったがな。

2_2
2002年サッカー・ワールド・カップで、韓国チームの快進撃に湧く韓国で、

北朝鮮側の韓国への攻撃から始まる、映画では30分にわたる軍艦同士の銃撃戦が、凄まじいカンジで展開しますねん。

7_2
でもしか、それまでは、事件がなかなか起こらず、1観客としては、一体いつ爆発してくれるねんと、シビレを切らすようなカンジやったんやけど、

突発して、ドドドドドーカッンやから、衝撃度は強烈。

援護に向かった戦闘機やら、2つあったもう1つの軍艦やらは、一体どないなったのか、

ナンチュー疑問なんか、いっぺんに吹き飛んでしまうような、スゴサがありました。

4
ドキュメンタリー的に見せる、軍人たちの葬送シーンや、実際の写真カットなども、リアリティーある激戦の、深みある余韻にしてはりました。

ちゅうことで、古今を舞台にした、韓国の戦争映画2作を、比較して見るのも、面白いかもしれません。

2016年4月 8日 (金)

タイ映画「光りの墓」

1
ボランティアおばさんと、眠る男の交流を、不可思議モードで描く

死者の魂と交信できる、女も絡んで物語は展開

http://www.moviola.jp/api2016

4月9日のサタデーから、ムヴィオラの配給で、テアトル梅田やらで、全国順次のロードショー。

本作は2015年製作の、イギリス、フランス、ドイツ、マレーシアとの合作による、タイ映画122分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2_2
ⒸKick The Machine Films/illuminations Films(Past Lives)/Anna Sanders Films/GelBendorfer Film-und Fernsehproduktion/Match Factory Productions/Astro Shaw(2015)

「ブンミおじさんの森」(2010年製作・弊ブログ分析済み)で、カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールをゲットした、

タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の新作。

いやはや、今回も実験的で難解だ。

それだけに、何を描こうとしているのか、じっくり検証しながら見てみたい作品で、

1度見て分からなければ、2度でも3度でも、リピートしてみたい作品になった。

5
小栗康平監督作品に、ベルリン国際映画祭で賞をもらった傑作「眠る男」(1996年・日本)があったけど、

そちらは事故で意識不明になったという、現実的な経緯があった。

対して、こちらは、謎の眠り病にかかった兵士たちが、タイ東北部の仮設病院で、治療されているという設定。

しかも、その治療には、グリーン、ピンク、オレンジ、レッドなどと、色を変える光を使った、謎めいた治療法やらが行われている。

6
そして、ボランティアのおばさんヒロインが現れて、見舞いのいない1人の兵士の世話をする。

で、病院には、予知ではなく、その人の前世や過去が見え、死者や眠り人の魂と交信できるという、特殊能力ある、

これまた謎めいた若い女がいて、ヒロインと関わっていく。

7
やがて、ヒロインが診ていた兵士が目覚めて、一緒に街へ食事に行ったりして、交流することに。

でも、また眠りの中へ入るけど、時々起きて交流は続くのだった。

けど、目覚めている時の兵士の魂が、特殊能力の女に憑依して、

ヒロインと共に、病院の近くにある、過去の王たちの墓を辿る、探索が始まっていく。

3
眠り病の原因を探るスタイルならば、よりミステリーチックな作りになるはずだけども、

本作はあえてそういう、エンターテイメントなハラドキ部を排し、

時間の悠久性と魂の在り方を、アート的に捉えた作品だと、ボクは思う。

2分、3分、時には5分以上の、固定の長回し撮影を、ゆったりした時間の流れを感じさせつつ、多投しているのは、

もちろん、そういう作品性に、合わせたものだろう。

8
映像に集中してもらうためだろうか、サントラは基本的には流れないけども、

みんなが体操するシーンにかぶせて、エレクトーン、サックスやらを使った、コンテンポラリーな音楽に乗って、

哲学的かつ詩的なナレーションが流れてきたりする。

4
ということで、実験的・芸術的作品ではあるけど、でも、見てすぐには分からなくても、

そのゆったりした癒やしの映像世界に、ハマって癖になってもらいたい作品だろうか。

映画でも見ようかという、軽ーいキモチで、映画館へ見に行くのが、正解かもしれない。

2016年4月 7日 (木)

イギリス映画「さざなみ」⇒シャーロット・ランプリングの最高傑作

Photo_2
シャーロット・ランプリングの、熟成の1作

傑作「まぼろし」と、対をなす作品

http://www.sazanami.ayapro.ne.jp/

4月9日のサタデーから、彩プロの配給で、シネスイッチ銀座やらで全国順次ロードショー。関西では、4月16日から、テアトル梅田、シネマート心斎橋などで上映。

本作は2015年製作の、イギリス映画95分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸThe Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014

イギリス女優、シャーロット・ランプリングはんを、みんな、知っとるかー?

知っとっても知らんでも、彼女のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を、披露いたしますと…。

1_2
●ベスト⇒①本作②まぼろし(2001年製作・フランス映画)③愛の嵐(1973年・イタリア)

●カルト⇒①オルカ(1977年・アメリカ)②スイミング・プール(2003年・フランス)③さらば愛しき女よ(1975年・アメリカ)

2_3
●カルトでは、ハリウッド進出してヒロインを演じた、パニックもの①、ハードボイルド③に加え、

サスペンス映画のヒロイン②など、エンターテインメント作を選択。

ベストはモチ、彼女の演技性の真骨頂で、魅せる作品ばかりどす。

ヌードも辞さずに、倒錯のエロイを演じた③。

でもしか、そこにはビミョーな愛の心理があった。

そして、結婚して子供を儲けての、長いブランクを経て、

そんな愛の演技の、熟成を示す①②が、輩出されたんでおます。

3_3
このベスト①②は製作国の違いはあれども、夫妻映画の粋を示す意味においても、対をなす、彼女の2大傑作やと言えましょうや。

②では、蒸発したか死んだか分からんけど、ダンナを探していく、鬼気迫るダンナへの愛に、打ちのめされました。

片や、ベスト①本作においては、老夫妻の現状に加え、

ダンナがかつて愛した、元恋人とゆう“まぼろし”との三角関係を描き、強烈な印象を胸に、刻んでくれはります。

4_3
さてはて、まず構成が巧みのワザどす。

コドモのいない老夫婦の、月曜から土曜までを、時間順に描かはります。

何日かとゆう期日を設ける場合は、タイムリミット系とかに多いけど、

本作は夫妻2人の心理の移ろいを、見せてゆく映画でおまして、

特にシャーロットはんの心理演技は、本作のキモとなるとこでおましょう。

6_2
月曜に、ダンナの元恋人の死体が、何十年ぶりかに、氷河の中で見つかったとゆうことが分かります。

ほんで、ダンナはその確認のために、現地へ行くか行かないかが、1つの問題となり、

シャーロットはんも、その恋人の写真やらスライドを屋根裏で見つけて、1人で見て、ダンナのココロを見てみようとしはります。

5_3
6日間の毎日、犬の散歩シーンの、ロングショットから始まり、

元恋人を巡る2人のキモチが、粛々と静かに展開してまいります。

ほんで、土曜日には、2人の結婚四十何周年を記念するパーティーが、催されるとゆうストーリー的流れだす。

いかにもな老夫婦のセックス・シーン、風などの効果音、

フルで流れる、プラターズのオールディーズ・ナンバー「煙が目にしみる」などが、

2人のビミョーな心の亀裂を、示唆してまいります。

7_2
クライマックスはモチ、パーティー・シーンでおます。

ダンナは一体、どないなスピーチをするんか。

それに対し、シャーロットはんの対応は?

そして、2人はどないなるのか。

いやはや、熟成の夫婦映画どす。

それでいて、アンチな夫婦映画なとこも、カンジられる作品。

ちゅうことで、シャーロットはんの、マイ最高傑作ゆうことにしときましょか。

2016年4月 6日 (水)

「ROOM」⇒アカデミー賞主演女優賞ゲット

Photo

試練のオカンを描いた、ヒロイン映画の問題作

息子とのキズナは、どこまで観客に届くやろか?

http://GAGA.NE.JP/ROOM

4月8日のフライデーから、ギャガの配給によりまして、TOHOシネマズ梅田やらで、全国ロードショー。

本作は2015年製作の、アイルランド&カナダ合作の118分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸElementPictures/RoomProductionsInc

/ChannelFourTelevisionCorporation2015

全くもって複雑極まりない、かつてないオカン像を披露。

しかも、息子との間のキズナを、ビミョーな関係性で魅せる。

賛否両論ある、本作のこの演技で、ブリー・ラーソンが、今年のアカデミー賞で、主演女優賞をゲットしはりました。

オカン・ヒロイン映画は、これまでに多数あります。

でもしか、ここまでの難役を、悩み深さも演技しつつ、冷静に演じ切ったのは、オスカー女優賞にふさわしおす。

1
さてはて、最近も日本であった、男が女を拉致監禁する事件が、前半のポイントでおます。

ヒロインは犯人に拉致監禁されて、地下室に閉じ込められてしもた。

ほんで、2年後に犯人との間に、望まない男のベイビーを産んでしもた。

さらに5年後。ヒロインは監禁部屋から逃げ出すために、5歳になった息子を利用しはります。

その方法は、見てのお楽しみどすが、遂に息子と共に外へ出て、ヒロインの両親のとこへと、戻ってまいります。

2_2
ヒロインの試練のドラマは、拉致監禁の前半。

そして、息子と共に故郷に戻ってから、一体どないなるんかとゆうところでおます。

拉致監禁からの脱出とゆう、前半のスリリングと同様、

後半のヒロインの、ヒューマン・ドラマもまた、波乱がござります。

5_2
試練を与えられたヒロイン・ドラマ。

試練を乗り越えて、前向きに生きてゆこうとするヒロイン・ドラマは、

女優としては最も演技映えし、女優冥利に尽きるものでおましょう。

名作「風と共に去りぬ」(1939年・アメリカ)のヴィヴィアン・リーの、演技性にも近いもんがあります。

でもしか、本作の場合の試練度合いは、最初にも言いましたが、かつてないものどす。

3_2
監禁からの脱出。

自分が産んだコドモやけど、犯人との間のコドモと、果たして母子のキズナを結べるんか。

このパターンで思い出されるんは、「重力ピエロ」(2009年・日本)なんかやけど、まず、ないと言っていい設定でおます。

ちゅうか、そういう関係性は、ある種タブーとされたとこがあり、

そんなキズナを、感動あるとこへと持っていくには、非常に難解極まりないもんがあるかと思います。

4_2
その大いなるハードル超えに、挑戦したんが本作やと言えましょう。

コドモ視点による、ナレーション、クローズアップ、近接撮影もあり、オカンとのキズナを求めてゆくとこも、キズナ・ドラマの重大ポイントでおました。

ほんで、人生壊れてるとかゆうて、遂には自殺未遂までやってまうヒロイン。

でもしか、その向こうの微かな光まで捉えて、観客に対し心理的にも、説得力ある作りをしてはります。

賛否はありつつも、ヒロイン・ドラマの新次元に、踏み込んだ作品どした。

2016年4月 5日 (火)

アメリカ映画「COP CAR/コップ・カー」⇒ケヴィン・ベーコン主演

1_3
アメリカン・ニューシネマな、波乱に満ちた快作

新設定で魅せる、刑事アクション映画

http://www.cop-car.com

4月9日のサタデーから、コピアポア・フィルムの配給によりまして、ヒューマントラストシネマ渋谷やらで、全国順グリのロードショー。

本作は2015年製作のアメリカ映画88分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2
ⒸCOP CAR LLC 2015

アメリカン刑事アクション映画と言えば、そらモーいっぱいござります。

メッチャな正義派と言えば、人口に膾炙した「ダイ・ハード」(1988年製作)があります。

けども、本作のケヴィン・ベーコン扮する刑事・警官は、正義の味方と言うよりは、アウトロー・悪徳・ハミ出し系警官のノリ。

ハミ出し系で言えば、個人的には「フレンチ・コネクション」(1971年)の、ポパイ刑事(ジーン・ハックマン)がよろしおま。

3
さてはて、本作には、アメリカン・ニューシネマなタッチが、さりげなく入ってると思いました。

「フレンチ・コネクション」やら、「夜の大捜査線」(1967年)やらやろか。

さらに、新設定も入っておます。

ベーコン刑事は、極悪犯罪者を縛り上げ、コップ・カーこと警察車輌のトランクに入れて、キーを付けたまま、どっかへ行ってしもた。

4
そこへ、コドモ2人が現れて、勝手に車を運転して、道路へ出てまいました。

周りは草原なんで、走る車もなく、誰もいてまへん。

いい気になったコドモは、ずーっと運転し続けて…。

ほんで、つと停車して、トランクの中に、犯罪者を見つけてしまい…。

5
一方、刑事は車のとこに戻ったけど、車はなし。

ベーコン刑事の、マイ・コップ・カーを探す、目の離せない、1人芝居が始まります。

結局、つまりは、刑事対犯罪者の銃撃戦が、クライマックスにあるんやけど、

そこへ持っていくまでの流れに、遊び感覚のコドモたちを使うとゆう、新味があるっちゅうとこでおます。

7
ロングショットを多投する作りには、モチ、映画らしさがあるんやけど、

これがアメリカの、広大な土地がバックなだけに、ケッコー映えておるんだす。

そして、スリリングなバンド・サウンドによる、サスペンスフルなサントラ使いが、ココロワクワク躍らせてくれはります。

8
ケヴィン・ベーコンはん主演やけど、

映画の出来は別にして、チョー印象的やった、ベーコン主演の、

順不同で思いつくままに、マイ・ベスト・スリーを言いますと…。

①本作②フットルース(1984年)③インビジブル(2000年)

ナンチューカンジやろか。

9
出世作となった、前向き高校生役をやった②のさわやかさが、諸刃の剣となってもうたとこはあるけど、

でもしか、この②と、透明人間になった悪役③の段差は、強烈至極でおました。

ほんで、本作の、銃撃アクションも見せる刑事役。

これがオーディナリーかもしれんけど、最も彼にふさわしい役柄やと、ボクは見ました。

6
静かで西部劇的な、荒野の2人銃撃戦は、本作のハイライト・シーンでおます。

「真昼の決闘」(1952年)のような、スリルもカンジました。

加えて、サプライズなラストも、突き放されるようで良かったどす。

2016年4月 4日 (月)

フランス映画「最高の花婿」

1
娘たちが全員、別宗教の外国人と結婚するお話

極端な作りの、トンデル家族ラブコメだす

http://www.cetera.co.jp/hanamuko

セテラ・インターナショナルの配給によりまして、4月2日からシネ・リーブル梅田で上映中。

その後、4月30日からシネ・リーブル神戸など、全国漸次のロードショー。

本作は2014年製作のフランス映画97分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2

Ⓒ2013 LES FILMS DU 24 - TFI DROITS AUDIOVISUELS - TFI FILMS PRODUCTION

フランス人夫妻の、4人の娘たち全員が、別宗教の外国人たち(ユダヤ人・アラブ人・中国人・アフリカ系黒人)と結婚。

そのカルチャー・ギャップに加え、夫妻や各娘夫婦同士の間に、波紋と波乱を呼んでいく家族ドラマどす。

しかも、この種の映画のルーツとも言える、白人娘と黒人との婚約を描いた「招かれざる客」(1967年製作・アメリカ映画)みたいに、重たいシリアスなドラマやなく、

また、在日の恋を描いた「GO」(2001年・日本)みたいに、鮮烈な人間ドラマでもなく、

とことんコミカル。ケンカもアットホームなノリで展開して、コメディ家族ドラマの、肩の凝らない作品になっとります。

3
悩み深いのは親の方どして、娘たちのオトンは嘆き、オカンはうつ病にならはりますが、

これらも深刻劇とはならず、コミカル・ファクターとして、一つの見どころとなっとります。

確かに、大仰で極端な設定での、物語展開どすし、問題ある国のダンナもいて、

どうせやったら、とことんアリエネー設定にしたれー、ちゅうとこが見え見え。

けども、こおゆう家族ドラマは、コメディであれ、アメリカや日本にはなかなかありまへん。

大げさやけども、度の過ぎを超えて、笑えて、ほんでバカバカしいけど、ついあったかーいキモチになれます。

4
フランス映画としても、家族コメディは珍しおますし、

またクリスマスやらに家族一同が、実家に集合するとゆうパターンは、今年も「クーパー家の晩餐会」(2015年・アメリカ・弊ブログ分析済み)などが出ておりますが、

ダンナたち同士の、異種交流の面白さに加え、娘の親たちとどう折り合いを付けていくんか。娘たちは?…など、

人種間のいろんな問題も含めて、ざっくりで大ざっぱで強引かもしれへんけど、

家族ラブコメの新境地を、見せようとゆう意欲が見えて、ケッコー楽しめました。

5
3人の娘が次々に異国人と結婚する、前半の夫婦の動揺ぶり。

末娘こそ、真っ当な人と結婚するかと思ったら、ヒップホップな黒人を紹介されて、さらなる消沈へと進行していく後半。

“でもしか”がある流れは、クライマックスとなる末娘の結婚式で、ハッピーな方向で弾けます。

アフロ・ダンスの披露、今どきのヒップホップ・ナンバーなども、快調なテンポ。

フランス映画らしからぬ、トンデルコメディぶりでおました。

2016年4月 2日 (土)

「モヒカン故郷に帰る」⇒松田龍平・前田敦子共演・週末日本映画劇場

1
モヒカン松田龍平が、妊娠中の前田アッチーを連れて、7年ぶりに帰郷

沖田修一監督流儀のコメディ・タッチが、家族ドラマに反映

http://www.mohican-movie.jp

4月9日の土曜日から、東京テアトルの配給によりまして、全国ロードショー。

広島県では、3月26日から先行公開中。

また、本年度の「大阪アジアン映画祭」でも、プレミア上映されました。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

2
Ⓒ2016「モヒカン故郷に帰る」製作委員会

「瀬戸内の島を舞台にした映画は、これまでになかったので、撮ってみたいと思いました」と言う、本作の沖田修一監督。

でもしか、そういう映画は、それなりにありまっせ。

そんな言葉に釣られて、島もの映画の系譜でもやろかと思たけど、ヤンペしまして、

思いつくままに、瀬戸内海周辺を舞台にした作品に限定して、島ものも含む、

マイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)をば、披露さしてもらいますわ。

3
●ベスト⇒①裸の島(1960年製作)②故郷(1972年)③二十四の瞳(1954年)

●カルト⇒①本作②八日目の蝉(2011年・弊ブログ分析済み)③船を降りたら彼女の島(2002年)

5
●新藤兼人監督の傑作ベスト①は、モロストレートに、瀬戸内の小島オールロケ映画どす。

オールロケのベスト③、一部やけどカルト②などの小豆島が、瀬戸内に入るかどうかは、ビミョーかもしれへんけど、いちおう瀬戸内海にある島ではあります。

そして、山田洋次監督のベスト②や、磯村一路監督のカルト③も、とりあえずは、瀬戸内島ものどすえ~。

8
ただ、ほとんどの作品が、シリアス系のドラマなんやけど、本作はあくまでコミカル・モードでいってはります。

島ものコメディは稀少やし、

加えて、何年振りかに帰省した主人公が、故郷で活躍する映画は、イロイロあるけど、

そういう映画でも、シリアスが基調にあるかと思います。

6
でも、本作の場合は、オトン役・柄本明が末期ガンの設定やから、どないやろか、なんやけど、

沖田監督作品は、コミカルをベースにしながらも、「横道世之介」(2013年)みたいに、

ここぞとゆう時の、例えば吉高由里子の、泣けるシリアス部なエピソードにも対応しはります。

コミカル一辺倒やなく、人間ドラマとしてのキモ部分も、しっかり把握してはる演出ぶりなんどす。

4
さてはて、各演技陣が、飄々と魅せてくれはります。

冒頭の前田敦子と主人公役・松田龍平の、軽~いセリフのやり取りから、ドラマの中へスーッと入れますで。

松田龍平のオトン役・柄本明のガンコや、オカン役もたいまさこのノホホン。

そこへ、ぶっきらボーッと演技の松田龍平と、明るい自然体の前田敦子が絡んで、

「男はつらいよ」並みの、人情コミカル・ドラマ部を、創出してるんやないかなと思います。

7
ユルユルな2~3分のゆったり長回し撮影部やら、

サントラを始め、細野晴臣はんの癒やしの、アコースティック・スロー・ナンバーなどが、

ユーモアな軽みを、さらに助長しはります。

人の死のある重たい素材なのに、最終的にはフワーンとしたとこが、ココロに残ってくる仕上げぶりどす。

沖田修一監督ならではの、コミカル・ペーソス・センスに、酔える快作品どした。

« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »